JP4454822B2 - パルプ製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリサルファイドイオン(多硫化物イオン)を含むアルカリ性蒸解液を用いたポリサルファイド蒸解において、ポリサルファイド蒸解液の原料液の硫化物イオン濃度を上げることなく、未蒸解粕率やカッパー価の上昇を抑制することのできるパルプ製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリサルファイドを生成する方法については、活性炭触媒の存在下に空気酸化する方法(特開昭47ー10217号公報)、石灰泥と触媒の存在下に空気酸化する方法(特開平8ー209573号公報、特開平9ー87987号公報)、酸化還元樹脂により直接酸化する方法(特開昭56ー149304号公報)、硫黄を溶解する方法(特開平8ー311790号公報、特開昭54ー151602号公報)、電気分解により直接生成する方法(特表平8ー512099号公報=PCT国際公開WO95/0071号)など種々知られているが、現在、パルプを製造する目的で工業的に実用化されているのは活性炭触媒(特開昭47ー10212号公報、特開昭53ー92981号公報)を用いる空気酸化法のみである。
【0003】
ポリサルファイドの生成を従来の空気酸化法(例えば下記反応式1)によった場合には、硫化物イオンの酸化によりポリサルファイドが生成する反応のほかに、硫化物イオンやポリサルファイドの空気酸化に起因して、これらの一部がチオ硫酸ナトリウムに転ずる副反応が起る(例えば下記反応式2および3)。
【0004】
【化1】
【0005】
このような活性炭触媒を用いる空気酸化法では、蒸解工程において有効な蒸解効果を有する硫化ソーダが蒸解不活性なチオ硫酸ソーダへの酸化に消費されるため、白液中の硫化ソーダをポリサルファイドに変換する効率の点で劣る。さらに、この副反応はポリサルファイドサルファーの濃度を上げようとすればするほど起りやすくなる傾向にあり、このため空気酸化法では高濃度のポリサルファイドサルファーを生成することが困難である。
【0006】
そこで、本出願人らは、特願平10ー166374号のような電解酸化法により、チオ硫酸イオンの副生を小さくしてポリサルファイド蒸解液を効率的に製造する方法を先に開発している。この方法によれば、空気酸化法に比較してNa2S態硫黄の濃度低下を最小限にしながらポリサルファイドサルファーを高濃度で製造することができる。
【0007】
なお、本明細書中、ポリサルファイドサルファー(PSーS)とは、たとえば多硫化ナトリウム:Na2SXにおける酸化数0の硫黄、すなわち原子(x−1)個分の硫黄をいう。また、Na2S態硫黄とは、多硫化物イオン(ポリサルアファイドイオン:SX 2-)中の酸化数−2の硫黄に相当する硫黄(SX 2-につき1個分の硫黄)および硫化物イオン(S2-)を合わせたものを意味し、ポリサルファイドとは、ポリサルファイドサルファーとNa2S態硫黄を合わせたものを意味する。
【0008】
空気酸化法ではポリサルファイド生成後のNa2S態硫黄濃度はポリサルファイド生成とチオ硫酸イオンの副生に伴い必ず低くなるが、高効率な、例えば電解酸化法によりポリサルファイドを生成した場合でも、高濃度のポリサルファイドを得ようとした場合には、必ずNa2S態硫黄濃度が低くなる。
【0009】
すなわち、ポリサルファイドサルファーが生成した分はNa2S態硫黄が消費されていくことは否めず、Na2S態硫黄の不足によってパルプ収率向上などのポリサルファイド蒸解の本来の効果が発揮されない。
【0010】
蒸解初期のNa2S態硫黄濃度の低下は、精製収率の低下、未蒸解粕率やカッパー価の上昇を伴う、著しい蒸解性の悪化を引き起すため、特願平11−51033号、特願平11−168948号、特願平11−169002号ではチップに対して蒸解液が供給された直後のNa2S態硫黄濃度の下限値を規定している。
【0011】
このような蒸解初期のNa2S態硫黄濃度低下を回避するためには、第一に、Na2S濃度の高い白液をプロセス(クラフト法パルプ製造プロセス)内に保有することがあげられるが、白液硫化度の上昇は、悪臭、腐食、回収ボイラーでの燃焼不良の問題を引き起すため、Na2S濃度の高い白液をプロセス内に保有することは環境上そして操業上好ましい方法ではない。第二に、ポリサルファイドサルファーの生成濃度を小さくすることがあげられるが、結局パルプ収率等のポリサルファイド蒸解の効果が十分に発揮されないことになる。
【0012】
従来から、キノン類を用いた蒸解法が知られており、特にポリサルファイド蒸解にキノン類を用いると、パルプ収率や薬品削減に関し大きな効果があることが知られていた。しかし、前述したようにポリサルファイドサルファー濃度が大きくなるとNa2S態硫黄濃度が減少してしまい、ポリサルファイド蒸解の効果を相殺するために、Na2S態硫黄濃度が小さい領域でのポリサルファイド蒸解は行われていなかった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、このような事情に鑑み、鋭意実験、検討した結果、従来ポリサルファイドの効果が相殺されるNa2S態硫黄濃度が小さい液組成においても、キノン類を用いると、通常のポリサルファイド蒸解と同等あるいはそれ以上の効果が得られることを見い出した。
すなわち、本発明は、ポリサルファイド蒸解を行う際に起りやすい蒸解初期のNa2S態硫黄濃度の低下に起因する、精選収率の低下、未蒸解粕率やカッパー価の上昇を抑制することであり、プロセス内に保有する白液のNa2S濃度を上げることなく、蒸解初期のNa2S態硫黄濃度が必要な下限値以下となるような、非常に高濃度のポリサルファイドサルファー濃度を有するポリサルファイド蒸解を可能とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、従来における前記のような問題を解決するためになされたものであり、ポリサルファイドイオンを含むアルカリ性蒸解液を用いるポリサルファイド蒸解法によるパルプ製造法において、該蒸解液について、これがチップに供給された直後のNa2S態硫黄濃度が5g/L(Na2Oとして)以下であって、キノン類の存在下で蒸解を行うことを特徴とするパルプ製造法を提供する。なお、Lはリットルを表し、「Na2Oとして」とはNa2O換算の意味である。
【0015】
本発明においては、蒸解液がチップに供給された直後のNa2S態硫黄濃度が5g/L(Na2Oとして)以下であるポリサルファイド蒸解が前提となる。ここで蒸解液がチップに供給された直後のNa2S態硫黄濃度とは、ポリサルファイド蒸解液がチップに供給された後、チップに含まれる水分とスチーム由来の水分とが混ざったあとの濃度を意味し、必要に応じて添加される黒液の水分は加味されない。
【0016】
本発明によれば、ポリサルファイド蒸解液を行う際に起りやすい蒸解初期のNa2S態硫黄濃度の低下に起因する、精選収率の低下、未蒸解粕率の上昇やカッパー価の上昇を効果的に抑制することができる。すなわち、ポリサルファイド蒸解液を製造する際、条件によっては酸化を進めすぎてしまい、ポリサルファイドサルファー濃度やチオ硫酸イオン濃度が大きくなり、Na2S態硫黄濃度が小さくなりすぎる場合がある。このような液を用いたポリサルファイド蒸解では、蒸解性が極端に悪くなり、いわゆるノットがパルプ中に多く残るようになり未蒸解粕率の上昇を引き起してしまう。したがって、このようなことのないようにポリサルファイド蒸解液を製造する際には、酸化が進みすぎないよう管理しなければならない。また、ポリサルファイドサルファー濃度が高いとパルプ収率が向上することは知られているが、これに反してNa2S態硫黄濃度は減少してしまう。このような事情により、Na2S態硫黄濃度が小さくなるような高濃度ポリサルファイドサルファーのポリサルファイド蒸解液は製造しにくいのが現状である。
【0017】
ところが、本発明では、このようなポリサルファイド蒸解液にキノン類を一緒に用いることにより、未蒸解粕率の上昇やパルプカッパー価の上昇を引き起してしまうような残存Na2S態硫黄濃度の小さいポリサルファイド蒸解液での、そのような現象を効果的になくすることができる。
【0018】
従来から、ポリサルファイド蒸解にキノン類を併用することで、パルプ収率の向上や薬品削減に関し大きな効果があることが知られていた。しかし、上述したように、Na2S態硫黄濃度の小さい条件下では、ポリサルファイドの効果が相殺されることから、そのような蒸解液にキノン類を用いることに関しては何らの知見も得られていなかった。
【0019】
本発明においてはその効果を初めて明らかにすることができたものである。これまで、ポリサルファイド蒸解においては、パルプの精選収率は、キノン類無添加の場合、蒸解液がチップに供給された直後のNa2S態硫黄濃度が5g/L(Na2Oとして)以下で急激に低下したが、キノン類を添加すると、精選収率は低下しないことが分かった。同様に、カッパー価は、キノン類無添加の場合、Na2S態硫黄濃度が5g/L(Na2Oとして)以下で急激に上昇したが、キノン類を添加すると、カッパー価の急激な上昇は抑制されることが分かった。
【0020】
すなわち、Na2S態硫黄濃度が5g/L(Na2Oとして)以下のポリサルファイド蒸解においてキノン類を加えると、Na2S態硫黄濃度の減少に影響されることなく、ポリサルファイドサルファー濃度の増加に従って精選収率が増加する。本発明は、この事実を利用するもので、薬液分割添加が行えないタイプのいわゆるバッチ式蒸解釜タイプでも、薬液分割添加を行うことができるタイプのいわゆる連続蒸解釜でも適用することができる。
【0021】
本発明においては、ポリサルファイド蒸解の初期においてキノン類を添加することが蒸解工程に対してきわめて有効である。ポリサルファイドとキノン類を蒸解の初期に共存させることにより蒸解工程での糖安定化と脱リグニン速度を促進し、大幅なパルプ収率の向上とアルカリの節減、そして有機物及び無機物に起因するボイラー負荷の軽減を併せて可能にする。なお、キノン類は、蒸解初期にポリサルファイド蒸解液とともに添加するのが最も好ましいが、後に述べる後段工程や洗浄工程で白液やNaOH液とともに添加してもよい。
【0022】
さらに、本発明においては、蒸解初期のNa2S態硫黄濃度が不足する条件においても、キノン類の添加は蒸解初期のNa2S態硫黄濃度の不足に起因するカッパー価や未蒸解粕の増加を防ぐことができる。このために、ポリサルファイド蒸解液中のNa2S態硫黄濃度が低くなってもよく、従来よりも高い濃度のポリサルファイドで良好な蒸解を行うことができる。キノン類の添加によって可能となるポリサルファイドの高濃度化は、プロセス内の白液及び緑液のNa2S態硫黄濃度を増加させることなく、従来のポリサルファイドとキノン類を蒸解の初期に共存させた際の効果をより大きくする。また、プロセス内の白液及び緑液のNa2S態硫黄濃度を増加させないことは、悪臭、腐食を防止し、ボイラーの安定操業を容易にする。
【0023】
本発明において使用されるキノン類は、いわゆる公知の蒸解助剤としてのキノン化合物、ヒドロキノン化合物又はこれらの前駆体であり、これらから選ばれた少なくとも1種の化合物を使用することができる。これらの化合物としては、例えば、アントラキノン、ジヒドロアントラキノン(例えば、1,4−ジヒドロアントラキノン)、テトラヒドロアントラキノン(例えば、1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラキノン、1,2,3,4−テトラヒドロアントラキノン)、メチルアントラキノン(例えば、1−メチルアントラキノン、2−メチルアントラキノン)、メチルジヒドロアントラキノン(例えば、2−メチル−1,4−ジヒドロアントラキノン)、メチルテトラヒドロアントラキノン(例えば、1−メチル−1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラキノン、2−メチル−1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラキノン)等のキノン化合物であり、アントラヒドロキノン(一般に、9,10−ジヒドロキシアントラセン)、メチルアントラヒドロキノン(例えば、2−メチルアントラヒドロキノン)、ジヒドロアントラヒドロアントラキノン(例えば、1,4−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシアントラセン)又はそのアルカリ金属塩等(例えば、アントラヒドロキノンのジナトリウム塩、1,4−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシアントラセンのジナトリウム塩)等のヒドロキノン化合物であり、アントロン、アントラノール、メチルアントロン、メチルアントラノール等の前駆体が挙げられる。これら前駆体は蒸解条件下ではキノン化合物またはヒドロキノン化合物に変換する可能性を有している。
【0024】
さらに、本出願人らの特願平11−168948号に示されるように、キノン−ヒドロキノン化合物の蒸解時に存在する形態の酸化還元電位が水素イオン活量1の標準酸化還元電位に換算した値が標準水素電極電位に対して0.12〜0.25Vであるようなキノン類を用いることにより蒸解効果がより発揮されるので好ましい。
【0025】
本発明においては、これらのキノン類を添加することにより効果が発揮される。より効果を発揮させるために、好ましくは、少なくとも絶乾チップに対して0.005%以上のキノン類が添加される。キノン類の添加は多ければ多いほど好ましいが、スケールトラブル、費用対効果の観点からチップに対して0.5%以下であるのが好ましい。
【0026】
前記のとおり、本発明においては、ポリサルファイド蒸解液中のNa2S態硫黄濃度が、チップに供給された直後で5g/L(Na2Oとして)以下のときに効果が発揮される。より効果が現れるのは、チップに対して蒸解液が供給された直後のNa2S態硫黄濃度は1g/L(Na2Oとして)以上であることが好ましい。1g/L(Na2Oとして)に満たないと、キノン類添加の効果が出にくいので好ましくない。
【0027】
本発明のポリサルファイド蒸解液におけるポリサルファイドサルファー濃度は、チップに供給された直後の状態で2g/L以上であるのが好ましい。2g/Lに満たないとポリサルファイド蒸解そのものの効果が得られない。このようなポリサルファイド蒸解液は以下に述べるような方法で製造される。
【0028】
ポリサルファイド蒸解液を製造する際は、通常白液が用いられるが、緑液を用いてもよい。白液の組成は、例えば、現在行われているクラフトパルプ蒸解に用いられている白液の場合、通常、アルカリ金属イオンとして2〜6mol/Lを含有し、そのうち90%以上はナトリウムイオンであり、残りはほぼカリウムイオンである。またアニオンは、水酸化物イオン、硫化物イオン、炭酸イオンを主成分とし、他に硫酸イオン、チオ硫酸イオン、塩素イオン、亜硫酸イオンを含む。さらにカルシウム、ケイ素、アルミニウム、リン、マグネシウム、銅、マンガン、鉄のような微量成分を含む。一方、緑液の組成は、白液の主成分が硫化ナトリウムと水酸化ナトリウムであるのに対して、硫化ナトリウムと炭酸ナトリウムが主成分である。緑液中のその他のアニオンや微量成分については白液と同様である。
【0029】
本発明はポリサルファイド蒸解に適用されるが、ポリサルファイド蒸解液の製造法としては従来の空気酸化法や本出願人らの電解酸化法(特願平10−166374号、等)を使用することができる。
空気酸化法によるポリサルファイド蒸解液の製造法としては、例えば活性炭触媒の存在下に空気酸化する方法(特開昭47−10212号公報、特開昭47−10217号公報、特開昭53−92981号公報)がある。酸化塔に活性炭触媒を充填し、白液を流しながら空気をブローすることにより、白液中の硫化物イオンがポリサルファイドに酸化される。
また、別の製造例としては、石灰泥と触媒の存在下に空気酸化する方法(特開平8−209573号公報、特開平9−87987号公報)がある。白液または緑液中にカルシウム化合物(ライムマッド)、黒液、必要に応じて二酸化マンガンのような遷移金属化合物を介在させ、空気を吹き込むことにより白液または緑液中の硫化物イオンがポリサルファイドに酸化される。その後、必要に応じて苛性化処理がなされる。
【0030】
空気酸化法は、前記のとおり、硫化物イオンの酸化によりポリサルファイドが生成する反応のほかに、ポリサルファイドの空気酸化に起因してポリサルファイドの一部がチオ硫酸ナトリウムに転ずる副反応が起る。さらに、この副反応はポリサルファイドサルファーの濃度を上げようとすればするほど起りやすくなる傾向にあり、このため空気酸化法では高濃度のポリサルファイドサルファーを生成することができない。すなわち、硫化物イオンの消費に見合った量のポリサルファイドサルファーは生成しない。このような理由で、ポリサルファイド蒸解液中のNa2S態硫黄が減少しやすくなるため、本発明はこのような空気酸化法でポリサルファイド蒸解液を製造するパルプ工程に適用することでも大きな効果が得られる。
好ましくは例えば、パルプ製造工程における白液または緑液を空気酸化処理してポリサルファイド蒸解液を製造し、その液をそのまま、あるいは苛性化した後に、チップが最高温度に達する以前に添加することにより利用する。また残りの白液はそのまま蒸解工程、例えば、蒸解後段に添加される。必要に応じて残りの白液を硫化物イオンが存在しなくなるまで完全に酸化した完全酸化白液にした後、例えば酸素脱リグニン工程や、その後の漂白段のアルカリとして工程に添加される。
【0031】
このようなポリサルファイド蒸解液におけるポリサルファイドサルファーの濃度は、通常4〜6g/Lとなるように製造される。このようなポリサルファイド蒸解液がチップと混合された後、チップに供給された直後のポリサルファイドサルファーの濃度は2〜3g/Lになる。
【0032】
また、本発明は、通常の空気酸化法によりポリサルファイドを生成した場合にも有効であるが、電解酸化法により高濃度のポリサルファイドを生成したときには更に大きな効果が得られる。電解酸化法によれば、従来の空気酸化法と比較してチオ硫酸イオンを生成する副反応が僅かであるため、白液中の硫化物イオンを非常に効率よくポリサルファイドに変換することができる。
【0033】
電解酸化法によるポリサルファイド蒸解液の製造法としては、例えば特願平10−166374号の製造法があげられる。例えば、アノードを配するアノード室、カソードを配するカソード室、それら両室を区画する隔膜を有する電解槽のアノード室に硫化物イオンを含有する溶液を導入し、電解酸化することによりポリサルファイドイオンを得る。また、陰極においては、アノード室から移動するアルカリ金属イオンと水の電気分解により高純度の水酸化アルカリ溶液と水素が生成する。この方法によれば、チオ硫酸イオンの副生がきわめて少なく、高濃度のポリサルファイドサルファーを含む蒸解液を高い選択率を維持しながら製造することができ、こうして得られたポリサルファイド蒸解液を蒸解に用いることによりパルプ収率を効果的に増加させることができる。
【0034】
さらに具体的には、特願平10−166374号に記載のように、少なくとも表面がニッケル又はニッケルを50重量%以上含有するニッケル合金からなる物理的に連続な3次元の網目構造を有し、かつ、アノード室の単位体積当りのアノードの表面積が500〜20000m2/m3 である多孔性アノードを配するアノード室、カソードを配するカソード室、アノード室とカソード室を区画する隔膜を有する電解槽のアノード室に硫化物イオンを含有する溶液を導入し、電解酸化するによってもポリサルファイド蒸解液を得ることができる。
【0035】
また、このような電解槽に用いられるアノード材料は、アルカリ性条件下で耐酸化性があれば特に限定されることはなく、非金属又は金属が用いられる。非金属の例としては例えば炭素材料を用いることができ、金属としては例えばニッケル、コバルト、チタンなどの卑金属またはそれらの合金、白金、金、ロジウムなどの貴金属またはそれらの合金又は酸化物を用いることができる。アノードの構造としては、セル電圧を低くできる物理的に3次元網目構造を有する多孔性アノードを用いることが好ましい。具体的には、例えばニッケルアノード材料の場合は、発泡性高分子材料の骨格にニッケルメッキをした後、内部の高分子材料を焼成除去して得られる多孔性ニッケルが好ましい。
【0036】
カソード材料としては耐アルカリ性の材料が好ましく、例えばニッケル、ラネーニッケル、鋼、ステンレス鋼などを用いることができる。カソードは平板又はメッシュ状の形状のものを一つ、またはその複数を多層構成にして用いたり、線状の電極を複合した3次元電極を用いることもできる。
アノード室とカソード室とを隔てる隔膜としてはカチオン交換膜を用いるのが好ましい。カチオン交換膜はアノード室からカソード室へカチオンを導き、硫化物イオン及びポリサルファイドイオンの移動を妨げる。カチオン交換膜としては、炭化水素系又はフッ素樹脂系の高分子に、スルホン基、カルボン酸基などのカチオン交換基が導入された高分子膜が好ましい。また、耐アルカリ性などの面で問題がなければ、バイポーラ膜、アニオン交換膜などを使用することもできる。
【0037】
ポリサルファイド蒸解液を電解酸化法により製造する場合、隔膜面での電流密度は0.5〜20kA/m2で運転するのが好ましい。隔膜面での電流密度が0.5kA/m2に満たない場合は不必要に大きな電解設備が必要となるので好ましくない。隔膜面での電流密度が20kA/m2を超える場合は、チオ硫酸、硫酸、酸素などの副生物を増加させるだけでなく、金属アノードの場合アノード溶解を起すおそれがあるので好ましくない。隔膜面での電流密度が2〜15kA/m2である場合は、さらに好ましい。3次元網目構造のアノードならばアノード表面での電流密度が小さい範囲で運転することができるので好ましい。
【0038】
電解酸化法においては、白液または緑液の流量、温度、電流密度等の電解条件を、硫化物イオンの酸化生成物としてS2 2-、S3 2-、S4 2-、S5 2-などのポリサルファイドイオン(SX 2-)が生成し、チオ硫酸イオンが副生しないように調整、維持することが容易なため、従来の空気酸化法と違い硫化物イオンを非常に効率よくポリサルファイドに変換することができる。その結果、硫黄濃度として8〜20g/Lのポリサルファイドサルファー濃度のアルカリ性蒸解液を生成することができる。白液または緑液の流量、温度、電流密度等の電解条件を選べば8g/Lを下回るポリサルファイドサルファー濃度のアルカリ性蒸解液も生成することができる。
【0039】
本発明に電解酸化法を組み合わせれば、Na2S態硫黄濃度を小さくしてもNa2S濃度がポリサルファイド(PS)の効果を相殺することはなく、ポリサルファイドサルファー濃度を最大限大きくすることができ、ポリサルファイド蒸解の効果を最大限発揮させることができる。
【0040】
好ましくは、例えば、パルプ製造工程における白液又は緑液を電解酸化処理して、ポリサルファイド蒸解液を製造し、その液をそのまま、あるいは苛性化した後に、チップが最高温度に達する以前に添加することにより利用する。また電解槽の陰極側で生じるNaOH(少量のKOHを含む)溶液は、チップが最高温度に到達した後から最終漂白段までの間の少なくとも1つの工程、例えば、蒸解後段、蒸解洗浄工程、酸素脱リグニン工程、漂白工程に添加される。
【0041】
また、電解酸化法では、陰極側で生成するアルカリ溶液のアルカリ金属イオンは陽極側から移動してくる。このため、陽極側に生成するポリサルファイド蒸解液の活性アルカリ量は元の白液よりも減少するが、蒸解に活性な硫黄成分(ポリサルファイドサルファーとNa2S態硫黄の合計)量は変わらないので、蒸解に活性な硫黄成分は活性アルカリに対して相対的に濃縮された状態となる。このため、電解酸化法は優れたポリサルファイド生産能に加え、優れた硫黄成分分離能を有し、2段硫化度蒸解を実現する上でもきわめて有効である。
【0042】
電解酸化法では、クラフトパルプ製造プロセスを流れるすべてのNa2S態硫黄を含むアルカリ性溶液を電解処理の対象とすることができる。この場合、蒸解に供されるNa2Sを含むアルカリ性溶液の全量を処理対象としてもよいが、蒸解の方法やNa2Sを含まないNaOH溶液の必要量に応じて電解処理量を最適化することによりパルプ歩留まりをさらに上げることができ、蒸解黒液によるボイラー負荷も軽減させることができる。
【0043】
また、被処理液の種類として、回収ボイラー由来のすべてのNa2Sを含むアルカリ性溶液を被処理液としてもよいが、被処理液が弱液や漂白白水のように低Na2S濃度の場合には、電解設備が肥大化したり、電解生成物の利用に際して濃縮が必要になったりするために、白液、緑液程度のNa2S濃度組成をもつことが望ましい。また、ポリサルファイドは空気酸化や熱により分解するため、パルプ歩留まり向上による蒸解黒液によるボイラー負荷軽減を最大にするためには、蒸解釜においてチップに供給される直前のNa2Sを含むアルカリ性溶液、すなわち白液を処理対象とすることが最も望ましい。
【0044】
本発明は、ポリサルファイドを生成する方法が、例えば電解酸化法のように選択性が高い方法とともに用いた場合において最も大きな効果を発揮するが、ポリサルファイドを生成する際に必要以上にNa2S態硫黄の減少を伴うような、例えば空気酸化法のような方法においてもきわめて有益である。本発明は蒸解初期のNa2S態硫黄濃度低下によって引き起される蒸解性の低下を抑制し得る技術であるため、該状況においても良好な蒸解性を維持するためにきわめて有益な技術である。
【0045】
本発明において好ましい例としては、クラフト法パルプ製造プロセスにおけるクラフト蒸解に関する前記(1)パルプ収率向上技術であるキノン添加法やポリサルファイド蒸解法、(2)薬液多段添加対応技術である2段硫化度蒸解法や分散添加法、(3)高効率にポリサルファイドを生成する技術である電解法などの新技術を最適な形で組み合わせて構成される。これによりクラフト法パルプ製造プロセスにおいて、パルプ歩留まりが向上することに加え、排出される薬品を効率的に再生、回収して利用し、薬品を系外から持ち込むことなく、しかも排液を系外へ排出しないか、可及的に少なくするようクローズド化することが可能となる。そして、電解酸化法を組み入れることにより生じた回収ボイラーの余力を漂白白水に由来する薬品の回収及び有機物の処理に振り向けることができる。
【0046】
また、電解酸化法により蒸解時に余剰となったアルカリ分を、電解時、陰極側で生じるNa2S態硫黄を殆ど含まない溶液として酸素脱リグニン工程や漂白工程に振り向けることにより、漂白白水(洗浄排水)を回収ボイラーで回収した場合のナトリウム/硫黄バランスの崩れを最低限に抑え、クラフト法パルプ製造プロセスのクローズド化に適した、高効率なクラフト蒸解薬品回収方法とすることができる。
【0047】
さらに、電解酸化法により、陰極側で生じるNaOH溶液をチップが最高温度に到達した後から最終漂白段までの間の少なくとも1つの工程に添加し、蒸解工程から最終漂白段の間で排出される薬品のうち少なくともNaOHが添加された工程の薬品を回収し再利用することにより、最も好ましいクラフト法パルプ製造プロセスの状態を作り出すことが可能であるが、陰極側で生じるNaOH溶液を全く用いず、例えば、クラフト法パルプ製造プロセス外からのNaOHや、白液、酸化白液等のアルカリ源により、陰極側で生じるNaOH溶液を代替することでも、パルプ歩留まりの向上、所要薬品の節減効果、および、両効果に起因するボイラ負荷削減効果を得ることができる。
【0048】
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳しく説明するが、本発明がこれら実施例に限定されないことはもちろんである。なお、以下で使用するNaOHの値は、特に表示のない場合、Na2O換算の意味である。
【0049】
<実施例1、2、比較例1〜10>
ユーカリを主体とする一定の材配合のユーカリ(Eucariyptus)70%、アカシア(Acacia)30%の混合材を用いた。チップのサイズや樹種毎の含水率は実工程並(T−16wd−74準拠、3/4インチ、固形分60〜80%)のものを使用した。ポリサルファイド蒸解液(OL)は以下の組成の白液から現行の空気酸化法によって製造されたものとして調製した。すなわち、実工程の一般的な硫化度(25%)の白液を、種々の酸化率(40〜77%)と酸化効率(42〜54%)の条件下で酸化したことを想定して成分を算出し、ポリサルファイド蒸解液を調製した。
【0050】
必要量の水を加えて、薬品添加率が15%(絶乾チップに対する活性アルカリ添加率)及び液比が2.5L/kgになるようポリサルファイド蒸解液を加えた。表1にチップに供給された直後のNa2S態硫黄濃度及びポリサルファイドサルファー(PSーS)濃度を示す。連続蒸解をシミュレートするため実機と同様の低液比蒸解を行うことができる2.5Lの回転式オートクレーブを用い、蒸解を行った。蒸解条件を以下に示す。
【0051】
〔白液組成〕
活性アルカリ濃度 ;100g/L
硫化度 ;25%
〔蒸解条件〕
液比 ;2.5L/kg
最高温度 ;160℃
最高温度保持時間 ;90分
薬品添加率 ;15%(絶乾チップに対する活性アルカリ添加率)
キノン添加率 ;0%又は0.03%(対絶乾チップ)
キノンとしてはSAQ(登録商標、川崎化成工業株式会社製、1,4−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシアントラセンジナトリウム塩)を使用した。
【0052】
蒸解実験により得られたパルプの精選収率及びカッパー価を測定した。なお、カッパー価はTAPPI T230 om−8に準拠して測定した。結果を表1及び図1、2に示す。
精選収率は、キノン無添加の場合、初期Na2S態硫黄濃度が5g/L以下になると急激に低下した。これは、蒸解性が悪くなったため、ノットが増え未蒸解粕率が上昇したためである。一方、キノンを添加した場合、精選収率は、Na2S態硫黄濃度が5g/L以下になっても低下せず、ポリサルファイドサルファー濃度の増加に応じて増加した。
カッパー価は、キノン無添加の場合、初期Na2S態硫黄濃度が下がると急激に上昇した。一方、キノンを添加すると、Na2S態硫黄濃度が5g/L以下になってもカッパー価の急激な上昇は抑制された。
【0053】
<実施例3、4、比較例11〜20>
ユーカリを主体とする一定の材配合の広葉樹混合材を用いた。チップのサイズや樹種毎の含水率は実工程並(T−16wd−74準拠、3/4インチ、固形分60〜80%)のものを使用した。ポリサルファイド蒸解液(OL)は以下の組成の白液から電解酸化法により製造した。
【0054】
アノードとしてニッケル多孔体(アノード室体積当りのアノード表面積:5600m2/m3、網目の平均孔径:0.51mm、隔膜面積に対する表面積:28m2/m2)、カソードとして鉄のエクスパンジョンメタル、隔膜としてフッ素樹脂系カチオン交換膜とからなる2室型の電解槽を組み立てた。この電解槽に上記の組成をもつ白液を導入し、電解温度:85℃、隔膜での電流密度:6kA/m2の条件下で電解を行った。その結果、電流効率95%で4種類のポリサルファイド蒸解液を得た。一方、カソード側では電流効率80%でNaOHが生成した。
【0055】
必要量の水を加えて、薬品添加率が15%(絶乾チップに対する活性アルカリ添加率)及び液比が2.5L/kgになるようポリサルファイド蒸解液を加えた。表2にチップに供給された直後のNa2S態硫黄濃度及びポリサルファイドサルファー(PS−S)濃度を示す。連続蒸解をシミュレートするため実機と同様の低液比蒸解を行うことができる2.5Lの回転式オートクレーブを用い、蒸解を行った。蒸解条件を以下に示す。
【0056】
〔白液組成〕
活性アルカリ濃度 ;100g/L
硫化度 ;25%
〔蒸解条件〕
液比 ;2.5L/kg
最高温度 ;160℃
最高温度保持時間 ;90分
薬品添加率 ;15%(絶乾チップに対する活性アルカリ添加率)
キノン添加率 ;0%又は0.03%(対絶乾チップ)
キノンとしてはSAQ(登録商標、川崎化成工業株式会社製、1,4−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシアントラセンジナトリウム塩)を使用した。
【0057】
蒸解実験により得られたパルプの精選収率及びカッパー価を測定した。なお、カッパー価はTAPPI T230 om−8に準拠して測定した。結果を表2及び図3、4に示す。
精選収率はキノン無添加の場合、初期Na2S態硫黄濃度が5g/L以下になると急激に低下した。これは、蒸解性が悪くなったため、ノットが増え未蒸解粕率が上昇したためである。一方、キノンを添加した場合、精選収率は、Na2S態硫黄濃度が5g/L以下になっても低下せず、ポリサルファイドサルファー濃度の増加に応じて増加した。
カッパー価は、キノン無添加の場合、初期Na2S態硫黄濃度が下がると急激に上昇した。一方、キノンを添加すると、Na2S態硫黄濃度が5g/L以下になってもカッパー価の急激な上昇は抑制された。
【0058】
以上、実施例からも明らかなとおり、本発明によれば、キノン類を添加することにより、従来ポリサルファイド蒸解で効果が劣るとされていたNa2S態硫黄濃度がチップに供給された直後で5g/L以下というような低い液組成においても、通常のポリサルファイド蒸解と同等、あるいはそれ以上の効果が得られる。すなわち、特に空気酸化法にありがちなポリサルファイド蒸解を行う際に起りやすい蒸解初期のNa2S態硫黄濃度の低下に起因する、精選収率の低下やカッパー価の上昇を抑制することができる。
また、プロセス内に保有する白液のNa2S態硫黄濃度を上げることなく、蒸解初期のNa2S態硫黄濃度が必要な下限値以下となるような、非常に高濃度のポリサルファイドサルファー濃度を有するポリサルファイド蒸解を可能にすることができる。すなわち、低い硫化度の白液を原料にして、ポリサルファイドサルファー濃度を高くしすぎた場合には、電解酸化法によった場合でも、蒸解初期のNa2S態硫黄濃度が低くなり、多量の未蒸解物が発生したり、異常に高いカッパー価のパルプが得られたりする。ところが、実施例に示したように、蒸解性は大幅に改善され、電解酸化法本来の収率向上、薬品節減、すなわち有機、無機のボイラー負荷削減効果を得ることができる。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【発明の効果】
本発明によれば、従来、ポリサルファイド蒸解で効果が劣るとされていたNa2S態硫黄濃度が低い液組成においても、通常のポリサルファイド蒸解と同等あるいはそれ以上の効果が得られる。すなわち、ポリサルファイド蒸解を行う際に起りやすい蒸解初期のNa2S態硫黄濃度の低下に起因する、精選収率の低下やカッパー価の上昇を抑制することができる。また、クラフト法パルプ製造プロセス内に保有する白液のNa2S濃度を上げることなく、蒸解初期のNa2S態硫黄濃度が必要な下限値以下となるような、非常に高濃度のポリサルファイドサルファー濃度を有するポリサルファイド蒸解を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1、2の結果を示す図。
【図2】実施例1、2の結果を示す図。
【図3】実施例3、4の結果を示す図。
【図4】実施例3、4の結果を示す図。
Claims (9)
- ポリサルファイドイオンを含むアルカリ性蒸解液を用いるポリサルファイド蒸解法によるパルプ製造法において、該蒸解液がチップに供給された直後のNa2S態硫黄濃度が5g/L(Na2Oとして)以下であって、キノン類の存在下に蒸解を行うことを特徴とするパルプ製造法。
- 上記チップに供給されるポリサルファイドイオンを含むアルカリ性蒸解液の、チップに供給された直後のNa2S態硫黄濃度が1g/L(Na2Oとして)以上であることを特徴とする請求項1に記載のパルプ製造法。
- 上記チップに供給されるポリサルファイドイオンを含むアルカリ性蒸解液の、チップに供給された直後のポリサルファイドサルファー濃度が2g/L以上であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のパルプ製造法。
- 上記キノン類を絶乾チップ当り0.005〜0.5重量%の割合で添加することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のパルプ製造法。
- 上記ポリサルファイドイオンを含むアルカリ性蒸解液が、白液の少なくとも一部を酸化することにより製造され、これらがキノン類とともにチップが最高温度に達する以前に添加され、残りの白液はそのまま、あるいは酸化された後に次工程以降に添加されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のパルプ製造法。
- 上記ポリサルファイドイオンを含むアルカリ性蒸解液が、硫化物イオンを含むアルカリ性溶液の空気酸化法により製造されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のパルプ製造法。
- 上記ポリサルファイドイオンを含むアルカリ性蒸解液が、硫化物イオンを含むアルカリ性溶液の電解酸化法により製造されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のパルプ製造法。
- 上記硫化物イオンを含むアルカリ性溶液が白液であり、全白液の少なくとも一部が空気酸化または電解酸化された後にキノン類とともにチップが最高温度に達する以前に添加され、残りの白液はそのまま蒸解工程に添加されることを特徴とする請求項6または7に記載のパルプ製造法。
- 上記硫化物イオンを含むアルカリ性溶液が緑液であり、全緑液の少なくとも一部が空気酸化または電解酸化された後にキノン類とともにチップが最高温度に達する以前に添加され、残りは苛性化された後に蒸解工程に添加されることを特徴とする請求項6または7に記載のパルプ製造法。
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