JP4627833B2 - ポリカーボネート組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、低分子量の芳香族ポリカーボネートを混合した場合に発生する低温耐衝撃性と耐加水分解の低下を、優れた成形加工性を保持したままで改良したポリカーボネート組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
芳香族ポリカーボネートは、耐熱性、耐衝撃性、透明性などに優れたエンジニアリングプラスチックスとして知られており、多くの分野において幅広く用いられている。中でも、芳香族ポリカーボネートとABS樹脂等のグラフトゴム樹脂とのアロイは芳香族ポリカーボネートの成形加工性を改良し、且つグラフトゴム樹脂の耐熱性を改良した組成物として有用に利用されており、特に、OA機器や携帯機器等の家電分野で広く使用されている。
【0003】
このような分野において、近年は、内部部品を密に配置し小型化するためにハウジング形状が複雑化したり、同時にコストダウンや軽量化のために製品肉厚は薄肉化の傾向にある。また、屋外での携帯使用に関しては、低温での耐衝撃性が要求されている。その為、高い溶融流動性と耐衝撃性を有し、且つ低温での耐衝撃性に優れる芳香族ポリカーボネートとグラフトゴム樹脂等とのアロイが要求されている。
【0004】
その為、溶融流動性を改良を目的にアロイの成分を構成する芳香族ポリカーボネートやグラフトゴム樹脂として分子量の低いものを使用することが提案されている。しかしながら、単に分子量の低い芳香族ポリカーボネートを使用した場合には、溶融流動性は改善されるものの、耐衝撃性が低下するという問題があった。その為、芳香族ポリカーボネートとして低分子量のものと高分子量のものを混合することで、溶融流動性と耐衝撃性のバランスを改良する試みがなされている。
【0005】
例えば、芳香族ポリカーボネート/ABSアロイ中の芳香族ポリカーボネートとして、特公平6−21227号公報では極限粘度が0.5以下と0.5以上の2種類の芳香族ポリカーボネートを用いる組成物が、また、特開平6−128436号公報では相対溶液粘度が1.18〜1.24の範囲と1.24〜1.34の範囲にある2種類の芳香族ポリカーボネートを用いる組成物が、更に、特開平9−194713号公報では重量平均分子量が2,000〜20,000と30,000〜80,000の芳香族ポリカーボネートを用いる組成物が提案されている。
【0006】
これらの方法では、芳香族ポリカーボネートの分子量分布が広げられるために溶融流動性は改善されると共に、耐衝撃性も保持することができている。しかしながら、近年の溶融流動性の向上要求を満足するためにより低分子量の芳香族ポリカーボネートを用いた場合、例えば重量平均分子量が13,000〜17,000の範囲にある低分子量芳香族ポリカーボネートを用いた場合、得られた組成物の低温での耐衝撃性が低下するという問題点が存在していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このような状況に鑑み、本発明は、優れた溶融流動性、耐衝撃強度、低温耐衝撃強度及び耐加水分解性を有する芳香族ポリカーボネート/グラフトゴム樹脂アロイを提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本願発明者等は、かかる課題を解決するために芳香族ポリカーボネートの分子量と分子量分布について詳細に研究を重ねてきた。その結果、低分子量の芳香族ポリカーボネートとして重量平均分子量が13,000〜17,000の芳香族ポリカーボネートを用いても、芳香族ポリカーボネートの分岐構造量、フェノール性末端基比率、アルカリ金属含有量及びゴム強化樹脂中の金属含有量を特定の範囲にすることで、優れた溶融流動性、耐衝撃強度及び低温耐衝撃強度を有する芳香族ポリカーボネート/グラフトゴム樹脂アロイを得ることができるという驚くべき事実を見い出し本発明に到達したものである。
【0009】
すなわち本発明は、1.(A)重量平均分子量13,000〜17,000の芳香族ポリカーボネート(a−1)と重量平均分子量22,000〜30,000の芳香族ポリカーボネート(a−2)の少なくとも2種類の分子量が異なる芳香族ポリカーボネート50〜95重量部、(B)ゴム質重合体(b−1)に、該ゴム質重合体と共重合可能な1種以上の化合物(b−2)をグラフト重合して得られるグラフト重合体を含むグラフトゴム樹脂5〜50重量部、(C)1種類または2種類以上の化合物からなる重合体及び/またはそれら重合体の混合物0〜50重量部とからなり、該(A)芳香族ポリカーボネートの内、少なくとも1種類の芳香族ポリカーボネートが、主鎖内に分岐構造を有し、全末端に占めるフェノール性末端基の比率が10%以上であり、且つ該(A)芳香族ポリカーボネート中のアルカリ金属量が20〜800ppbの範囲にあることを特徴とするポリカーボネート組成物。
【0010】
2.(A)、(B)、(C)の合計100重量部に対して(D)難燃剤0.1〜30重量部及び(E)滴下防止剤0.01〜5重量部を配合してなる1.記載のポリカーボネート組成物。
3.芳香族ポリカーボネート(a−1)が、光ディスクの製造過程から回収されたリサイクルポリカーボネート及びもしくは使用済み光ディスクであることを特徴とする1.又は2.記載のポリカーボネート組成物。
【0011】
4.難燃剤(D)がリン系化合物であることを特徴とする1.〜3.のいずれかに記載のポリカーボネート組成物。
5.滴下防止剤(E)がフィブリル形成能を有するフッ素系樹脂であることを特徴とする1.〜4.のいずれかに記載のポリカーボネート組成物。
6.(A)、(B)、(C)の合計100重量部に対して(F)分子骨格中に1個以上のエポキシ基を有する脂環式エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物、芳香族エポキシ化合物、複素環式エポキシ化合物から選ばれる1種または2種以上のエポキシ化合物0.001〜5重量部を配合してなる1.〜5.のいずれかに記載のポリカーボネート組成物。
【0012】
7.220℃、10kg荷重で測定した組成物のMIが30g/10min以上の1.〜6.のいずれかに記載のポリカーボネート組成物に関する。
本発明の(A)成分として好ましく用いられる芳香族ポリカーボネート樹脂は、下記式で表される繰り返し単位からなる主鎖を有する。
【0013】
【化1】
(式中、Arは、二価のC5〜C200芳香族残基であり、例えば、フェニレン、ナフチレン、ビフェニレンやピリジレンであり、それらは非置換又は置換されていてもよく、あるいはまた、下記式で表されるものが挙げられる。)
【0014】
【化2】
(式中、Ar1 及びAr2 は、それぞれアリーレン基である。例えばフェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、ピリジレン等の基を表し、それらは非置換又は置換されていてもよく、Yは下記式で表されるアルキレン基または置換アルキレン基である。)
【0015】
【化3】
(式中、R1 、R2 、R3 及びR4 はそれぞれ独立に水素原子、C1〜C6低級アルキル基、C5〜C10シクロアルキル基、C6〜C30アリール基、C7〜C31アラルキル基であって、場合によりハロゲン原子、C1〜C10アルコキシ基で置換されていてもよく、kは3〜11の整数であり、R5及びR6は、各Xについて個々に選択され、お互いに独立に水素原子、またはC1〜C6低級アルキル基、C6〜C30アリール基であって、場合によりハロゲン原子、C1〜C10アルコキシ基で置換されていてもよく、Xは炭素原子を表す。)
また、下記式で示される二価の芳香族残基を共重合体成分として含有していても良い。
【0016】
【化4】
(式中、Ar1 、Ar2 は前記と同じ。Zは単なる結合、または、−O−、−CO−、−S−、−SO2 −、−CO2 −、−CON(R1 )−(R1 は前記と同じ)等の二価の基である。)
これら二価の芳香族残基の例としては、下記式で表されるもの等が挙げられる。
【0017】
【化5】
【0018】
【化6】
【0019】
(式中、R7 及びR8 は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、C1 〜C10アルキル基、C1 〜C10アルコキシ基、C5 〜C10シクロアルキル基またはC6〜C30アリール基である。m及びnは1〜4の整数で、mが2〜4の場合には各R7 はそれぞれ同一でも異なるものであってもよいし、nが2〜4の場合は各R8 はそれぞれ同一でも異なるものであっても良い。)
なかでも、下記式で表されるものが好ましい一例である。特に、下記式で表されるものをArとする繰り返しユニットを85モル%以上含むものが好ましい。
【0020】
【化7】
【0021】
ポリマー末端の分子構造は特に限定されないが、フェノール性水酸基(ヒドロキシル基)、アリールカーボネート基、アルキルカーボネート基から選ばれた1種以上の末端基を結合することができる。アリールカーボネート末端基は、下記式で表され、
【0022】
【化8】
(式中、Ar3 は一価のC6〜C30芳香族残基であり、芳香環は置換されていても良い。)
アリールカーボネート末端基の具体例としては、例えば、下記式で表されるものが挙げられる。
【0023】
【化9】
【0024】
アルキルカーボネート末端基は下記式で表される。
【化10】
(式中、R7 は炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐アルキル基を表す。)
アルキルカーボネート末端基の具体例としては、例えば、下記式で表されるものが挙げられる。
【0025】
【化11】
【0026】
これらの中で、フェノール性水酸基、フェニルカーボネート基、p−t−ブチルフェニルカーボネート基、p−クミルフェニルカーボネート等が好ましく用いられる。
本発明において、フェノール性水酸基末端と他の末端との比率は、1種類以上のポリカーボネートにおいて、全末端にしめるフェノール性水酸基末端の比率が10%以上の範囲にあることが好ましく、10%より低いと、低温衝撃強度が低下する傾向にあり好ましくない。
【0027】
フェノール性水酸基末端量の測定方法は、一般にNMRを用いて測定する方法や、チタン法や、UVもしくはIR法で求める方法が知られているが、本発明においては、NMR法で求めた。
本発明に用いられる芳香族ポリカーボネートの重量平均分子量(Mw)は、13,000〜17,000の範囲の芳香族ポリカーボネート(a−1)と22,000〜30,000の範囲の芳香族ポリカーボネート(a−2)の少なくとも2種類の分子量の異なる芳香族ポリカーボネートであることが必要である。好ましくは、(a−1)が13,500〜16,000、(a−2)が22,000〜28,000の範囲にあり、より好ましくは、(a−1)が14,000〜15,500、(a−2)が22,000〜26,000の範囲にある。
【0028】
(a−1)の分子量が上記範囲よりも小さいと、耐衝撃強度と低温耐衝撃強度及び耐加水分解性が低下する傾向があり、上記範囲よりも大きいと低温耐衝撃強度及び耐加水分解性が低下する傾向があり、(a−2)の分子量が上記範囲よりも小さいと、低温耐衝撃強度及び耐加水分解性が低下する傾向があり、上記範囲よりも大きいと成形加工性が低下する傾向があり、好ましくない。
【0029】
本発明における重量平均分子量(Mw)の測定は、GPCを用いて行い、測定条件は下記の方法によった。テトラヒドロフラン溶媒、ポリスチレンゲルを使用し、標準単分散ポリスチレンの構成曲線から下式による換算分子量較正曲線を用いて求めた。
MPC=0.3591MPS 1.0388
(MPCはポリカーボネートの分子量であり、MPSはポリスチレンの分子量である。)
【0030】
これらポリカーボネートは、公知の方法で製造できる。具体的には、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体と反応せしめる公知の方法、例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物とホスゲンを水酸化ナトリウム水溶液及び塩化メチレン溶媒の存在下に反応させる界面重合法(ホスゲン法)、芳香族ジヒドロキシ化合物とジフェニルカーボネートと反応させるエステル交換法(米国特許5596067号公報、米国特許5589664号公報)、結晶化カーボネートプレポリマーを固相重合する方法(米国特許4948871号公報、米国特許5204377号公報)等の方法により製造できる。
【0031】
また、本発明においては、用いられる芳香族ポリカーボネート(a−1),(a−2)の内少なくとも1種類は、主鎖に分岐構造を有するポリカーボネートであることが必要である。多価ヒドロキシ化合物を共重合成分として添加して製造する方法は例えば米国特許4677162号公報、4562242号公報、ドイツ国特許3149812号公報等に示されている。本発明で好ましい分岐構造を有する芳香族ポリカーボネートは、米国特許5932683号公報に記載された方法で製造される。
【0032】
本発明で使用されるポリカーボネート中の分岐構造の量は、式(1)に示す主鎖構造を形成する、二価の芳香族残基に由来する繰り返し単位当たり、0.01〜0.5モル%の範囲にあり、特に0.03〜0.3モル%の範囲が好ましい。また、分岐構造の中でも、下式(2)、(3)で示される分岐構造を有する芳香族ポリカーボネートが特に好ましい。分岐構造を含まない場合には成形加工性が低下し、低温耐衝撃強度と耐加水分解性も低下する。
【0033】
【化12】
(式中、Arは2価の炭素数5〜200の芳香族基を表し、Ar‘は3価の炭素数5〜200の芳香族基を表し、Ar“は4価の炭素数5〜200の芳香族基を表し、Xはそれぞれ式(1)で表される繰り返し単位を含む)
【0034】
【化13】
(式中、Ar、Ar‘及びXは上記の通りであり、Yはそれぞれ式(1)で表される繰り返し単位を含む)
【0035】
主鎖構造は、下式(1‘)で、分岐構造は下式(2‘)、(3’)を有する芳香族ポリカーボネートが特に好ましい。
【化14】
【0036】
【化15】
(Xは式(2)と同じである)
【0037】
【化16】
(Xは式(2)と同じであり、Yは式(3)と同じである)
【0038】
また、本発明で使用する芳香族ポリカーボネート中のアルカリ金属量は20〜800ppbが好ましく、20ppbよりも低い場合は、 芳香族ポリカーボネートの重合速度が遅くなり、製造が困難になり好ましくなく、800ppbよりも高い場合は、溶融混練時や成型時に、芳香族ポリカーボネートの物性低下が起こり、また、耐加水分解性も低下する。
【0039】
芳香族ポリカーボネート中のアルカリ金属量の測定は、原子吸光法等で可能である。本発明で使用するゴム質重合体(b−1)としては、ガラス転移温度が0℃以下のものであれば用いることができる。具体的には、ポリブタジエン、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル・ブタジエン共重合ゴム等のジエン系ゴム、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系ゴム、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合ゴム、スチレン・ブタジエンブロック共重合ゴム、スチレン・イソプレンブロック共重合ゴム等のブロック共重合体およびそれらの水素添加物、ポリオルガノシロキサン成分とポリアルキル(メタ)アクリレート成分を含む複合ゴム(シリコン・アクリル複合ゴム)等を使用することができる。これらの重合体の中で、好ましくは、ポリブタジエン、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル・ブタジエン共重合ゴム、ポリアクリル酸ブチル、シリコン・アクリル複合ゴムが挙げられる。
【0040】
本発明で使用するグラフトゴム樹脂(B)は、上記ゴム質重合体(b−1)に、共重合可能な化合物(b−2)として芳香族ビニル単量体成分、シアン化ビニル単量体成分、およびアルキル(メタ)アクリレート単量体成分のうちの少なくとも1種あるいは2種以上が、さらに必要に応じて、アクリル酸、メタクリル酸などの(メタ)アクリル酸類、無水マレイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸、N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系単量体、グリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有単量体成分の1種以上を、塊状重合、懸濁重合、塊状・懸濁重合、溶液重合あるいは乳化重合等の方法、特に乳化重合でグラフト重合させてなるものである。
【0041】
ここに、グラフトゴム樹脂(B)におけるゴム質重合体(b−1)の使用量は通常、10〜90重量%の範囲にあり、好ましくは30〜85重量%、更に好ましくは40〜82重量%の範囲にある。ゴム質重合体としてブタジエン系重合体を用いる場合にはブタジエン系重合体のブタジエン成分の割合は35重量%以上が好ましい。
【0042】
また本発明では、グラフトゴム樹脂(B)として、乳化重合により得られた粒子状のグラフト共重合体を好適に使用することができるが、この場合にグラフト共重合体の平均粒径は0.1〜1.5μmが好ましく、さらに好ましくは0.15〜0.8μmであり、特に好ましくは0.2〜0.6μmである。本発明にかかわるグラフトゴム樹脂(B)の好ましい例として、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・エチレン・プロピレン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・塩素化ポリエチレン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・アクリル系弾性重合体・スチレン共重合体を挙げることができる。
【0043】
さらに、本発明ではグラフトゴム樹脂(B)成分として、ゴム質重合体(b−1)に(b−2)成分としてアルキル(メタ)アクリレート単量体成分のみ、あるいは、アルキル(メタ)アクリレート単量体成分とスチレン単量体成分がグラフトされた共重合体を用いることが、高流動性と耐衝撃性を高レベルでバランスさせる上でさらに好ましく、特にメチルメタクリレートとスチレンがグラフトされた共重合体が好ましい。例えば三菱レーヨン(株)から製造されている、「メタブレン C−233A」、「メタブレン C−323A」、「メタブレン S−2001」(いずれも商品名)は特に好適に使用される。
【0044】
グラフトゴム樹脂(B)は1種、または2種以上の組み合わせで使用することができる。例えば、ゴム質重合体に芳香族ビニル単量体成分及びシアン化ビニル単量体成分がグラフト重合された共重合体、例えばアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体と、ゴム質重合体にメチルメタクリレートがグラフト重合された共重合体、例えばスチレン・ブタジエン・メチルメタクリレート共重合体やシリコン・アクリルゴムにメチルメタクリレートがグラフトされた共重合体とを組み合わせて使用することは、組成物の流動性と耐衝撃性のバランスを得るのに好適である。
【0045】
また、グラフトゴム樹脂(B)は、一般的に不純物として金属成分を含有しているが、本発明においては、金属成分量が400ppm以下であることが必要である。中でも、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、ナトリウム及び鉄の含有量を低減することが好ましく、好ましくは300ppm以下、より好ましくは200ppm以下とすることが好ましい。ゴム強化樹脂(B)中の金属含有量が、上記範囲より多いと、溶融混練時や成形時に着色したり、機械的物性の低下が発生する。また、耐加水分解性も低下する。
【0046】
本発明の組成物を構成する(C)化合物重合体は、単量体化合物として、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、エチルアクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート類、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体、アクリル酸、メタクリル酸などの(メタ)アクリル酸類、無水マレイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸、N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−シクロヒキシルマレイミド等のマレイミド系単量体、グリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有化合物などを単独もしくは共重合したものである。これらの単量体化合物の内、芳香族ビニル化合物、アルキル(メタ)アクリレート類、シアン化ビニル単量体、マレイミド系化合物が好ましく用いられ、特に、スチレン、N−フェニルマレイミド、アクリロニトリル、ブチルアクリレートが好ましい。
【0047】
本発明における難燃剤(D)とは、いわゆる一般の難燃剤であり、リン系化合物やハロゲン系有機化合物、シリコン系化合部の他、メラミン等の窒素含有有機化合物、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の無機化合物、酸化アンチモン、酸化ビスマス、また、酸化亜鉛、酸化スズなどの金属酸化物、赤リン、ホスフィン、次亜リン酸、亜リン酸、メタリン酸、ピロリン酸、無水リン酸などの無機系リン化合物、カーボンファイバー、グラスファイバー、などの繊維、膨張黒鉛、シリカ、シリカ系ガラス溶融物などが用いられるが、好ましくはハロゲン系有機化合物、リン系化合物、シリコン系化合部及びこれらの併用である。
【0048】
ハロゲン系有機化合物としては、一般のハロゲン系難燃剤および含ハロゲンリン酸エステル全般を指す。例えば、ハロゲン系有機化合物としては、ヘキサクロロペンタジエン、ヘキサブロモジフェニル、オクタブロモジフェニルオキシド、トリブロモフェノキシメタン、デカブロモジフェニル、デカブロモジフェニルオキシド、オクタブロモジフェニルオキシド、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモフタルイミド、ヘキサブロモブテン、ヘキサブロモシクロドデカン等があり、含ハロゲンリン酸エステルとしては、トリス・クロロエチルホスフェート、トリス・ジクロロプロピルホスフェート、トリス・β−クロロプロピルホスフェート、トリス(トリブロモフェニル)ホスフェート、トリス(ジブロモフェニル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチルホスフェート)およびこれらの縮合リン酸エステル等があるが、好ましくは、トリス(トリブロモネオペンチルホスフェート)、トリス(トリブロモフェニル)ホスフェート、トリス(ジブロモフェニル)ホスフェートである。これらのハロゲン系有機化合物は1種類でも、2種類以上組み合わせて用いることもできる。
【0049】
リン系化合物としては、リン酸エステル系難燃剤や縮合リン酸エステル系難燃剤、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、ジメチルエチルホスフェート、メチルジブチルホスフェート、エチルジプロピルホスフェート、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェートなどのリン酸エステルやこれらを各種置換基で変成した化合物があり、これら難燃剤は単独または2種類以上を併用して用いることができる。
【0050】
特に好ましくは、リン酸エステル化合物である。リン酸エステル化合物の中で本発明では特に式(4)で表される1種または2種以上のオリゴマー系有機リン化合物を好ましく使用することができる。
【化17】
【0051】
式(4)における置換基Ra、Rb、Rc、Rdは、アリール基でありその一つ以上の水素が置換されていてもいなくてもよい。置換基Ra、Rb、Rc、Rdがアルキル基やシクロアルキル基である化合物は射出成形を行う際の成形機内の溶融樹脂の滞留安定性が不十分であり、樹脂の物性の低下を招きやすい。置換基Ra、Rb、Rc、Rdの一つ以上の水素が置換されている場合、置換基としてはアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、ハロゲン化アリール基等が挙げられ、またこれらの置換基を組み合わせた基(例えばアリールアルコキシアルキル基等)またはこれらの置換基を酸素原子、硫黄原子、窒素原子等により結合して組み合わせた基(例えば、アリールスルホニルアリール基等)を置換基として用いてもよい。好ましいアリール基は、フェニル基、クレジル基、キシリル基、プロピルフェニル基、およびブチルフェニル基であり、特に流動性と難燃性が共に優れるのはフェニル基である。また、置換基Ra、Rb、Rc、Rdは同じであっても、それぞれが異なっていても良い。
【0052】
また、式(4)におけるAは、2価のフェノール類より誘導される芳香族基であり、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノール、4−t−ブチルカテコール、2−t−ブチルヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールSスルフィド、ビスフェノールF、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン等から誘導される芳香族基を挙げることができるが、本発明では特に式(5)
【化18】
で表される、Aがジフェニロールジメチルメタン基(ビスフェノールAより誘導される芳香族基)であるオリゴマー系有機リン化合物を使用することにより、耐加水分解性が向上し、樹脂組成物の滞留安定性を向上させ、さらに成形の際に金型表面に付着するモールドデポジット(MD)の発生を低減化することができる。
【0053】
オリゴマー系有機リン化合物を得る方法としては、例えば、
[ア]オキシハロゲン化リンにフェノールや2,6−キシレノール等の芳香族モノヒドロキシ化合物をルイス酸触媒の下で反応させ、予めジアリールホスホロハリデードを得て、引き続いてこれに、ビスフェノールA、ヒドロキノン、レゾルシノール等の芳香族ジヒドロキシ化合物(2価フェノール化合物)をルイス酸触媒の下で反応させて得る方法。
[イ]芳香族ジヒドロキシ化合物とそれに対して大過剰(約3倍モル当量以上)のオキシハロゲン化リンをルイス酸触媒の下で反応させ、引き続いて過剰のオキシハロゲン化リンを加熱減圧下で完全に除去した後に、上記反応生成物に芳香族モノヒドロキシ化合物をルイス酸触媒の下で反応させて得る方法。
等が挙げられる。
【0054】
難燃剤の配合量は必要な難燃性のレベルに応じて決められるが、(A)〜(C)の合計100重量部に対して、0.1〜30重量部であることが必要である。0.1重量部未満では必要な難燃効果が発揮されない。30重量部を超えると樹脂の機械的強度を低下させる。好ましくは1〜25重量部の範囲であり、特に好ましい範囲としては3〜22重量部である。
本発明において使用されるフッ素系樹脂(E)とは、一般に、テトラフルオロエチレン(TFE)樹脂、パーフロロアルコキシ(PFA)樹脂、フッ化エチレンプロピレン(FEP)樹脂のことを示し、特に、TFE樹脂が好ましく、例えば、「ふっ素樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社、1990年刊)に記載のように、懸濁重合または乳化重合で製造される。
【0055】
フッ素系樹脂(E)は、ディスパージョンを用いることが好ましい。ディスパージョンとは、例えば、フッ素系樹脂を乳化重合して得られるラテックスに、界面活性剤を加え、濃縮・安定化して製造される水性分散体のことを示す。
フッ素系樹脂(E)は、樹脂組成物中において、主に0.5ミクロン以下の太さのフィブリル状の形態をなし、フィブリルが、ネットワーク構造、及び、または、分岐状で存在することが好ましい。
【0056】
フッ素系樹脂(E)の配合量は、0.01〜5重量部が好ましい、0.01部未満の場合、滴下防止の効果が十分でなく、5重量部を越える場合、樹脂の機械的強度および加工流動性が低下する。より好ましくは0.02〜2重量部で、特に好ましくは0.1〜1重量部である。
本発明に使用されるエポキシ化合物(F)は分子骨格中に1個以上のエポキシ基を有する化合物であり、脂環式エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物、芳香族エポキシ化合物、複素環式エポキシ化合物から選ばれる1種または2種以上の混合物を使用することができる。
【0057】
脂環式エポキシ化合物は、分子構造中に1個以上の二重結合を有する脂肪族環状炭化水素化合物に対して、過酢酸等の過酸化物を用いて二重結合部分に酸素を付加してエポキシ基を導入する手法で合成されるものであり、式(6)で示される脂環式エポキシ化合物が包含されるとともに、一般式(7)、(8)及び(9)で示される構造のものが含まれる。
【0058】
【化19】
【0059】
【化20】
【0060】
【化21】
【0061】
【化22】
【0062】
脂肪族エポキシ化合物としては、本発明では、エポキシ化油脂系化合物、エポキシ化脂肪酸エステルを好ましく使用することができる。ここで、エポキシ化油脂系化合物は天然油脂の二重結合に酸素を付加して得られるものであり、下記一般式(10)
【化23】
で示される構造を有する。このような化合物の具体例としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油などが挙げられる。また、エポキシ化脂肪酸エステルとは不飽和脂肪酸アルキルエステルをエポキシ化した化合物を表し、下記一般式(11)で示される構造を有する。
【0063】
【化24】
【0064】
このような化合物の具体例として、エポキシ化ステアリン酸ブチルなどが挙げられる。また、本発明では脂肪族エポキシ化合物として、エポキシ化油脂系化合物、エポキシ化脂肪酸エステルの他に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、ポリエチレングリコール400ジグリシジルエーテル、3,4−エポキシブタノール等も使用することができる。
芳香族エポキシ化合物、あるいは、複素環式エポキシ化合物としてはフェニルグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、テレフタル酸ジグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等を挙げることができる。
【0065】
これらエポキシ化合物の中で、本発明においては、取り扱い性に優れ、かつ溶融混練に耐え得る熱安定性を有し、かつ、低粘度、低揮発性であるものが好ましく、特に好ましいものは脂環式のエポキシ化合物である。
本発明において特に好ましく用いることができる脂環式エポキシ化合物は、脂環式エポキシ構造単位がジオキサン構造単位やカルボキシル基構造単位等の結合単位で結合した化合物であり、2−(3,4−エポキシシクロアルキル)−5−5’−スピロ−(3,4−エポキシ)シクロアルキル−m−ジオキサン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−5−5’−スピロ−(3,4−エポキシ)シクロヘキサン−m−ジオキサン(商品名 ERL−4234 ユニオンカーバイド社製)、あるいは、式(12)で表される3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3−4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(商品名 ERL−4221 ユニオンカーバイド社製)、
【0066】
【化25】
【0067】
さらに、ユニオンカーバイド社から商品名ERL−4299、あるいはERL−4206として工業的に入手することができる脂肪族環状エポキシ化合物をその例として挙げることができる。これら具体例の中でも、ERL−4221は優れた熱安定性を有し、低粘度、低揮発性であって、さらに、高反応のエポキシ基を多量に含むので、特に好ましく使用される。
エポキシ化合物(F)の配合量は、(A)〜(C)成分の合計100重量部に対して、成分は0.001〜5重量部の範囲であり、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.01〜2重量部、特に好ましくは0.01〜1重量部である。0.001重量部未満では物性の低下を抑える効果が不十分である場合が多く、一方、5重量部を超えると難燃効果や樹脂組成物とした場合の耐衝撃性が低下するので好ましくない。
【0068】
本発明の成形体を形成するための樹脂組成物を製造する方法は、従来から公知の方法で行うことが出来、特に限定されない。例えば、各成分をヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、ターンブルミキサー、リボンブレンダー等で均一に混合(ドライブレンド)した後、単軸押出機や二軸押出機、バンバリーミキサー等で溶融混練する方法等がある。しかし、フッ素系樹脂の滴下防止の効果を得られ易くするために、ドラムブレンダー等の緩やかな混合機によるドライブレンドや溶融した樹脂組成物へのフッ素系樹脂の配合が好ましい。また、その際、本発明の趣旨を妨げない範囲で、公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤、フィラー等の添加剤を加えることは任意である。
【0069】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例における測定方法は以下の通りである。
(1)MFR
ASTM D1238に従って、温度220℃、荷重10kgで測定した。
単位:g/10分
(2)Izod衝撃強度
ASTM D256に従って、射出成形された1/8インチ厚さの試験片を用いてノッチ付きで測定した。
測定にあたっては、23℃、−10℃、−20℃、−30℃、湿度は全て50%RHに保たれた恒温槽に試験片を2時間以上静置した後、素早く測定した。
単位:kg・cm/cm
【0070】
(3)難燃性
UL94規格5VB燃焼試験(厚み1/10インチ)に基づく試験により測定した。
適合を○で示し、不適合を×で示す。
(4)耐加水分解性特性
1/8インチ厚短冊片を60℃、85RH%の雰囲気中に300時間保存し、アイゾット衝撃強度を評価した。
(5)分岐量の測定
芳香族ポリカーボネート55mgをテトラヒドロフラン2mlに溶解した後、5規定の水酸化カリウムメタノール溶液を0.5ml添加し、室温で2時間攪拌して完全に加水分解した。
【0071】
その後、濃塩酸0.3mlを加え、逆相液体クロマトグラフィーで測定した。
逆相液体クロマトグラフィーは、UV検知器として991L型機(米国、ウォーターズ社製)、Inertsil ODS−3カラム(ジーエルサイエンス社製)、溶解液としてメタノールと0.1%リン酸水溶液からなる混合溶解液を用い、カラム温度25℃、メタノール/0.1%リン酸水溶液比率を20/80からスタートし、100/0までグラジェントする条件下で測定し、検出は波長300nmのUV検出器を用いて行い、標準物質の吸光係数から定量した。(標準物質としては、(1‘)〜(3’)の構造単位を加水分解した構造に相当するヒドロキシ化合物を用いた。)分岐の量は、繰り返し単位式(1‘)のモル量に対する、式(2‘)と(3’)の合計量を示す。
【0072】
以下に実施例に用いる配合剤を説明する。なお、部数は重量部とする。
(PC−1)
溶融エステル交換法で製造されたビスフェノールA系ポリカーボネート
Mw=14,500、フェノール性末端基比率=33%
分岐の量=0.09モル%
アルカリ金属含有量=65ppb
(PC−2)
溶融エステル交換法で製造されたビスフェノールA系ポリカーボネート
Mw=25,000、フェノール性末端基比率=23%
分岐の量=0.10モル%
アルカリ金属含有量=70ppb
【0073】
(PC−3)
溶融エステル交換法で製造されたビスフェノールA系ポリカーボネートでCD−Rを成形し、その成形片及びスプールを粉砕したもの
Mw=14,200、フェノール性末端基比率=33%
分岐の量=0.09モル%
アルカリ金属含有量=65ppb
【0074】
(PC−4)
ホスゲン法で製造されたビスフェノールA系ポリカーボネート
Mw=15,000、フェノール性末端基比率=2%
分岐の量=検出されず
アルカリ金属含有量=690ppb
(PC−5)
ホスゲン法で製造されたビスフェノールA系ポリカーボネート
Mw=25,000、フェノール性末端基比率=2%
分岐の量=検出されず
アルカリ金属含有量=720ppb
【0075】
(グラフトゴム樹脂−1)
アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)
ABSレジン RC (三菱レーヨン社製)
(グラフトゴム樹脂−2)
メチルメタクリレート−スチレン−ブタジエン共重合体(MBS)
メタブレン C−233A (三菱レーヨン社製)
(グラフトゴム樹脂−3)
メチルメタクリレート−ブチルアクリレート−ジメチルシロキサン共重合体
メタブレン S−2001 (三菱レーヨン社製)
【0076】
(重合体−1)
ブチルアクリレート−アクリロニトリル−スチレン共重合体
スタイラック−AS T8704 (旭化成工業社製)
ブチルアクリレート含有量10重量%
(重合体−2)
アクリロニトリル−スチレン共重合体
スタイラック−AS T8801 (旭化成工業社製)
(難燃剤−1)
縮合リン酸エステル系難燃剤
CR−741 (大八化学工業社製)
nが1.15の下記式で表されるオリゴマー系有機リン化合物。
【0077】
【化26】
【0078】
(フッ素系樹脂)
テフロン30J (三井デュポンフロロケミカル社製)
(エポキシ化合物−1)
脂環式エポキシ化合物
ERL−4221 (ユニオンカーバイド日本(株)製)
(エポキシ化合物−2)
脂肪族エポキシ化合物
EP−17 (旭電化工業(株)製)
(エポキシ化合物−3)
エポキシ化油脂系化合物
カポックスS6 (花王(株)社製)
【0079】
【実施例及び比較例】
表1〜3記載の配合でポリカーボネート樹脂、ビニル化合物重合体、フッ素系樹脂、エポキシ化合物をドラムブレンダーで2分間ドライブレンドした後、グラフトゴム樹脂を加え、さらに3分間ドライブレンドし、シリンダー温度を250℃に設定した2軸押出機(ZSK−25、W&P社製)で、回転数300rpmで溶融混練し、押出機の途中から難燃剤をポンプで圧入し、造粒し、ペレットを得た。
【0080】
得られたペレットを乾燥し、シリンダー温度240℃、金型温度60℃、スクリュー回転数80rpm、射出速度50mm/分、射出保圧時間10秒、冷却時間15秒に設定された射出成型機(オートショット50D、ファナック社製)で成形し、Izod衝撃強度評価用試験片形状成形体と、燃焼試験用試験片形状成形体、光沢度測定用平板を得た。
評価結果を表1〜3及び図1〜2に示す。
図からわかるように、特定のポリカーボネート樹脂を使用した組成物は、衝撃強度の著しい低下が−20℃と−30℃の間で生じているのに対して、通常のポリカーボネート樹脂を使用した組成物は、衝撃強度の著しい低下が−10℃と−20℃の間で生じており、本発明が低温時の衝撃強度の低下が小さいことを示している。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】
【表3】
【0084】
【発明の効果】
本発明の効果は、優れた溶融流動性、耐衝撃強度、低温耐衝撃強度及び耐加水分解性を有する芳香族ポリカーボネート/グラフトゴム樹脂アロイを得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明実施例の測定時の温度とIzod衝撃強度の関係。
【図2】本発明比較例の測定時の温度とIzod衝撃強度の関係。
Claims (7)
- (A)重量平均分子量13,000〜17,000の芳香族ポリカーボネート(a−1)と重量平均分子量22,000〜30,000の芳香族ポリカーボネート(a−2)の少なくとも2種類の分子量が異なる芳香族ポリカーボネート50〜95重量部、(B)ゴム質重合体(b−1)に、該ゴム質重合体と共重合可能な1種以上の化合物(b−2)をグラフト重合して得られるグラフト重合体を含むグラフトゴム樹脂5〜50重量部、(C)1種類または2種類以上の化合物からなる重合体及び/またはそれら重合体の混合物0〜50重量部とからなり、該(A)芳香族ポリカーボネートの内、少なくとも1種類の芳香族ポリカーボネートが、主鎖内に分岐構造を有し、全末端に占めるフェノール性末端基の比率が10%以上であり、且つ該(A)芳香族ポリカーボネート中のアルカリ金属量が20〜800ppbの範囲にあることを特徴とするポリカーボネート組成物。
- (A)、(B)、(C)の合計100重量部に対して(D)難燃剤0.1〜30重量部及び(E)滴下防止剤0.01〜5重量部を配合してなる請求項1記載のポリカーボネート組成物。
- 芳香族ポリカーボネート(a−1)が、光ディスクの製造過程から回収されたリサイクルポリカーボネート及びもしくは使用済み光ディスクであることを特徴とする請求項1又は2記載のポリカーボネート組成物。
- 難燃剤(D)がリン系化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリカーボネート組成物。
- 滴下防止剤(E)がフィブリル形成能を有するフッ素系樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリカーボネート組成物。
- (A)、(B)、(C)の合計100重量部に対して(F)分子骨格中に1個以上のエポキシ基を有する脂環式エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物、芳香族エポキシ化合物、複素環式エポキシ化合物から選ばれる1種または2種以上のエポキシ化合物0.001〜5重量部を配合してなる請求項1〜5のいずれかに記載のポリカーボネート組成物。
- 220℃、10kg荷重で測定した組成物のMIが30g/10min以上の請求項1〜6のいずれかに記載のポリカーボネート組成物。
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