JP4450336B2 - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の粘度領域を持つ熱可塑性樹脂組成物と、フッ素系樹脂からなり、高い難燃性を有する樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
難燃化規制の強化に伴い、樹脂の難燃化技術は各分野で重要な技術となってきており、特にコンピュータやワープロ、複写機等のOA分野や、テレビ、ゲーム機等の一般家電分野で欠くことのできない特性の一つとなりつつある。
米国アンダーライターラボラトリーズ(Underwriter Laboratories)規制によるUL燃焼試験(UL94)において樹脂が高い難燃レベルにランク付けされるには、試験片がUL燃焼試験の過程で滴下しないことが重要であり、実際の火災時における延焼を防ぐためにも、樹脂の滴下防止は重要な課題である。
【0003】
こうした要請を受けて、熱可塑性樹脂においては、燃焼時における樹脂の滴下を防ぐ目的で滴下防止剤を添加している。例えば、特公昭59−36657号公報、特開昭60−13844号公報に記載されている樹脂組成物はポリテトラフルオロエチレン、特開平3−190958号公報に記載の樹脂組成物では、シリコン樹脂を滴下防止の目的で添加しているが、これらは本来樹脂との相溶性に劣るため、分散が悪く、また、期待される滴下防止性能を充分に達成できない。さらに、機械的特性を低下させたり、押し出し加工時にストランド切れを起こしたり、スクリーンメッシュの目詰まりの原因となったりする等の問題点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、滴下防止効果に卓越した効果を示し、しかも難燃性、機械物性のバランスの優れた、特に射出成形用難燃性樹脂を提供することを課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するにあたって、鋭意検討の結果、特定の粘度領域を有するフッ素系樹脂を除く樹脂組成物にフッ素系樹脂を溶融混練することにより、フッ素系樹脂を特定の形態に制御することが可能になり、滴下防止性能が大幅に改良され、難燃性が優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、
1.(A)芳香族ジヒドロキシ化合物とホスゲンまたは炭酸ジエステルの反応により製造される重量平均分子量12000〜80000のポリカーボネート系樹脂、又は芳香族ジヒドロキシ化合物とホスゲンまたは炭酸ジエステルの反応により製造される重量平均分子量12000〜80000のポリカーボネート系樹脂5〜98重量部とゴム状重合体の含有量が5〜50重量%かつ該ゴム状重合体の粒子径が250〜450nmであるアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂95〜2重量部からなる熱可塑性樹脂から選ばれた熱可塑性樹脂100重量部に対し、(B)リン酸エステル系および/または縮合リン酸エステル系である難燃剤3〜22重量部、(C)テトラフルオロエチレン樹脂のディスパージョン0.1〜1重量部を配合し、溶融混練してなる樹脂組成物であって、前記(C)フッ素系樹脂は、前記熱可塑性樹脂が前記ポリカーボネート系樹脂である場合には、該樹脂組成物の(C)フッ素系樹脂を除く樹脂組成物の280℃におけるキャピラリーレオメータで測定した溶融粘度が、シェアレート240sec−1で、粘度3000〜12000poiseの範囲にあるときに、また前記熱可塑性樹脂が前記ポリカーボネート系樹脂とアクリルニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂からなる熱可塑性樹脂である場合には該樹脂組成物の(C)フッ素系樹脂を除く樹脂組成物の250℃におけるキャピラリーレオメータで測定した溶融粘度が、シェアレート240sec −1 で、粘度3000〜12000poiseの範囲にあるときに、添加されて溶融混練されてなり、かつ該樹脂組成物中のフッ素系樹脂が、樹脂組成物のUL燃焼試験片の引っ張り破断面の7ミクロン×7ミクロンの範囲を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したとき、フィブリルの総延長の70%以上が0.5ミクロン以下の太さのフィブリル状の形態をなし、図1中aで示した2本以上のフィブリルが重なって観察される部分、及び、フィブリルが相互に連結したネットワーク構造、bで示した1点より2本以上のフィブリルが分かれた分岐構造が、合わせて10箇所以上存在する部分が観察されうることを特徴とする樹脂組成物。
2.ポリカーボネート系樹脂が、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとからエステル交換法にて製造され、全末端に占める末端ヒドロキシ基の割合が5〜50モル%である前記1.に記載の樹脂組成物。
3.前記1.又は2.のいずれかに記載の樹脂組成物からなることを特徴とする成形品。
に関する。
【0007】
以下、本発明について、詳細に説明する。
本発明について用いられる(A)熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂や、ポリアミド系樹脂、ポリオキシメチレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂等のエンジニアプラスチック類、ポリメチルメタクリレート系樹脂等がある。また、これらを単独で使用しても、2種類以上混合してもよい。ここで、特に熱可塑性樹脂として、ポリスチレン系樹脂とポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂が好ましい。ポリスチレン系樹脂は、ゴム変性スチレン系樹脂または、ゴム非変性スチレン系樹脂である。
【0008】
本発明に用いられる(D)ポリカーボネート樹脂は、2価フェノールとホスゲンまたは、炭酸ジエステルの反応により製造される。2価フェノールとしては、ビスフェノール類が好ましく、特に2,2−ビス(4ーヒドロキシフェニル)プロパン(以下ビスフェノールAと記す)が好ましい。また、ビスフェノールAの一部または、全部を他の2価フェノール化合物で置換してもよい。ビスフェノールA以外の2価フェノール化合物は、例えば、ハイドロキノン、4,4ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフォン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトンなどの化合物である。これらの2価フェノールのホモポリマー、または、2種以上のコポリマーあるいは、これらのブレンド品であってもよい。
【0009】
本発明では(D)ポリカーボネート系樹脂が、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとからエステル交換法にて製造されたポリカーボネート系樹脂が好ましく、例えば、米国特許5589564号明細書に記載の方法で製造されたものがある。本発明のポリカーボネートの分子量は特に限定されないが、一般に重量平均分子量で通常1000〜300000の範囲であり、好ましくは5000〜100000の範囲であり、特に好ましくは12000〜80000の範囲にある。
【0010】
また、本発明に用いられるポリカーボネート系樹脂は、該ポリカーボネート系樹脂の全末端に占めるヒドロキシ基末端の割合が5〜50モル%が好ましく、更に好ましくは、10〜40モル%の範囲、特に好ましくは15〜35モル%の範囲にある。末端比率の測定方法は、一般に用いられている方法で可能である。例えば、NMRを用いて測定する方法や、チタン法や、UVもしくはIR法で直接求めたOH末端量と粘度法もしくはGPC法で得られた分子量とから計算で求める方法等がある。
【0011】
本発明の(E)ポリフェニレンエーテル系樹脂は、米国特許4788277号明細書(特願昭62−77570号)等に記載の方法で製造され、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルが好ましい。また、ポリフェニレンエーテル(PPE)系樹脂には、変性PPE樹脂も含み、例えば、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、ポリアミド等とのアロイがある。
【0012】
次に、本発明の(F)ゴム強化樹脂の組成および製造方法について述べる。本ゴム強化樹脂はゴム状重合体にグラフト重合可能なビニル化合物をグラフト重合させて得ることができるが、この重合過程において同時に重合されるビニル重合体が含まれてもかまわない。また、ビニル重合体を同時または別に重合して配合してもよい。
【0013】
本発明に使用するゴム状重合体としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体などの共役ジエン系ゴム、エチレン−プロピレンゴム、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルなどのアクリル系ゴムなどであるが、好ましくは共役ジエン系ゴムのポリブタジエンとブタジエン−スチレン共重合体およびブタジエン−アクリロニトリル共重合体である。また、これらは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0014】
ゴム強化樹脂中のゴム状重合体の含有量は3〜60重量%で、好ましくは5〜50重量%である。5重量%未満では耐衝撃性が得られず、また60重量%を越えると成形加工時の流動性や光沢が低下し好ましくない。
ゴム強化樹脂中のゴム状重合体の好ましい粒子径については、マトリックスになるビニル重合体の種類により異なるため特に限定されないが、例えばABS樹脂の場合、粒子径が150〜600nmで、好ましくは200〜500nm、さらに好ましくは250〜450nmである。粒子径が150nmより小さいと耐衝撃性が得られず、また600nmを越えると光沢値が低下する。
【0015】
本発明に用いるゴム状重合体粒子にグラフト重合可能なビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、エチルアクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類、アクリル酸、メタクリル酸などの(メタ)アクリル酸類、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体、無水マレイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸、N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−シクロヒキシルマレイミド等のマレイミド系単量体、グリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有化合物があげられるが、好ましくは、芳香族ビニル化合物、アルキル(メタ)アクリレート類、シアン化ビニル化合物、マレイミド系化合物であり、更に好ましくは、スチレン、アクリロニトリル、N−フェニルマレイミド、ブチルアクリレートである。これらのビニル化合物は単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0016】
(F)ゴム強化樹脂に含むことのできるビニル重合体とは、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、エチルアクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート類、アクリル酸、メタクリル酸などの(メタ)アクリル酸類、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物、無水マレイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸、N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−シクロヒキシルマレイミド等のマレイミド系化合物、グリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有化合物があげられるが、好ましくは、芳香族ビニル化合物、アルキル(メタ)アクリレート類、シアン化ビニル化合物、マレイミド系化合物であり、さらに好ましくは、スチレン、アクリロニトリル、N−フェニルマレイミド、ブチルアクリレートからなる重合体である。
【0017】
これらのビニル化合物は単独あるいは2種以上を組み合わせたり、共重合して用いることができる。
(F)ゴム強化樹脂の具体例としては、ハイインパクトポリスチレン樹脂(HIPS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂等があげられる。
【0018】
本発明におけるゴム強化樹脂の製造方法としては、特に限定はされないが、乳化重合で製造されたゴム状重合体ラテックスにビニル化合物をグラフト重合させる乳化グラフト重合方式、および、乳化グラフト重合と溶液重合や懸濁重合を組み合わせた、二段重合法などが例示される。これらは、連続式、バッチ式、セミバッチ式いずれも可能である。また、上記の方法であらかじめ高ゴム含量のグラフト重合体をつくり、後に塊状重合、乳化重合や懸濁重合で製造したグラフト重合時に用いたビニル化合物を主成分とする熱可塑性樹脂を配合して目的のゴム含有量にする方法もとられる。
【0019】
本発明においては、乳化重合で製造されたゴム状重合体にビニル化合物を開始剤、分子量調節剤等とともに連続的に添加する乳化グラフト方式が好ましい。
また、重合時のpHにも特に限定はないが、中性付近(pH7〜9)がグラフト反応の面から好ましい。
【0020】
乳化重合に用いられる乳化剤は、特に限定されないが、一般に乳化重合用として用いられる乳化剤(以下、非重合性乳化剤と略することがある)、例えば、ロジン酸塩、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩等のアニオン性乳化剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等のノニオン性乳化剤があげられる。また、化合物中に二重結合を1つ以上有し、共役ジエン系ゴム、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物および/または(メタ)アクリル酸エステル化合物とラジカル重合可能な乳化剤(以下、重合性乳化剤と略することがある)が好ましく用いることが出来る。これらの重合性乳化剤としては、下記(1)式で表される重合性乳化剤があげられる。
【0021】
【化2】
Figure 0004450336
(式中、X1 は(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基または1−プロペニル基を示す。Y1 は水素、または−SO3 M(Mは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたは炭素数1〜4のヒドロキシアルキルアンモニウム)で表される硫酸エステル塩、または−CH2 COOM(Mは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたは炭素数1〜4のヒドロキシアルキルアンモニウム)で表されるカルボン酸塩、または下記(1’)式で表されるリン酸モノエステル塩を示す。R1 は炭素数1〜18のアルキル基、アルケニル基もしくはアラルキル基、R2 は水素または炭素数1〜18のアルキル基、アルケニル基もしくはアラルキル基、R3 は水素またはプロペニル基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基または置換アルキレン基、nは1〜200の整数を示す。)
【0022】
【化3】
Figure 0004450336
(M1 及びM2 は水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたは炭素数1〜4のヒドロキシアルキルアンモニウムであり、M1 、M2 は異なるものでも同一のものでもよい。)
【0023】
これらの乳化剤のうち好ましくは、下記の(2)および/または(3)式であり、具体例としては(4)〜(8)式、特に好ましくは(4)および/または(5)式の乳化剤である。
これらの乳化剤は、単独でも2種類以上組み合わせて使用してもよい。
【0024】
【化4】
Figure 0004450336
【0025】
【化5】
Figure 0004450336
【0026】
本発明における難燃剤(B)とは、いわゆる一般の難燃剤であり、リン系化合物やハロゲン系有機化合物の他、メラミン等の窒素含有有機化合物、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の無機化合物、酸化アンチモン、酸化ビスマス。また、酸化亜鉛、酸化スズなどの金属酸化物、赤リン、ホスフィン、次亜リン酸、亜リン酸、メタリン酸、ピロリン酸、無水リン酸などの無機系リン化合物、カーボンファイバー、グラスファイバー、などの繊維、膨張黒鉛、シリカ、シリカ系ガラス溶融物などが用いられるが、好ましくはリン系化合物、またはハロゲン系有機化合物および、ハロゲン系有機化合物と酸化アンチモンの併用である。
【0027】
ハロゲン系有機化合物としては、一般のハロゲン系難燃剤および含ハロゲンリン酸エステル全般を指す。例えば、ハロゲン系有機化合物としては、ヘキサクロロペンタジエン、ヘキサブロモジフェニル、オクタブロモジフェニルオキシド、トリブロモフェノキシメタン、デカブロモジフェニル、デカブロモジフェニルオキシド、オクタブロモジフェニルオキシド、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモフタルイミド、ヘキサブロモブテン、ヘキサブロモシクロドデカン等があるが、好ましくは下記(9)の構造を有するハロゲン系有機化合物であり、特に好ましいのは下記(10)のハロゲン系有機化合物である。
【0028】
【化6】
Figure 0004450336
【0029】
【化7】
Figure 0004450336
【0030】
一方、含ハロゲンリン酸エステルとしては、トリス・クロロエチルホスフェート、トリス・ジクロロプロピルホスフェート、トリス・β−クロロプロピルホスフェート、トリス(トリブロモフェニル)ホスフェート、トリス(ジブロモフェニル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチルホスフェート)およびこれらの縮合リン酸エステル等があるが、好ましくは、トリス(トリブロモネオペンチルホスフェート)、トリス(トリブロモフェニル)ホスフェート、トリス(ジブロモフェニル)ホスフェートである。これらのハロゲン系有機化合物は1種類でも、2種類以上組み合わせて用いることもできる。
【0031】
リン酸エステル系難燃剤としては、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、ジメチルエチルホスフェート、メチルジブチルホスフェート、エチルジプロピルホスフェート、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェートなどのリン酸エステルやこれらを各種置換基で変成した化合物がある。
本発明の組成物中における縮合リン酸エステル系難燃剤は、式(13)
【0032】
【化8】
Figure 0004450336
(式中、nは1〜10の整数であり、Ar〜Arは各々独立に、フェニル基、トリル基またはキシリル基である。また、nが2以上の場合、複数あるArは各々同一でも異なってもよい。)
で表され、好ましくは、
【0033】
【化9】
Figure 0004450336
(式中、Ar5 〜Ar7 は各々同一または異なっており、フェニル基、トリル基、又は2,6−キシリル基以外のキシリル基であり、Rは前記のA4である。)で表されるリン酸エステル化合物であり、このリン酸エステル化合物は難燃化効果、および、耐熱性が特によい。
これらは単独または2種類以上を併用して用いることができる。
【0034】
難燃剤の配合量は必要な難燃性のレベルに応じて決められるが、樹脂組成物の合計が100重量部に対して、0.1〜30重量部であることが必要である。0.1重量部未満では必要な難燃効果が発揮されない。30重量部を超えると樹脂の機械的強度を低下させる。好ましくは1〜25重量部の範囲であり、特に好ましい範囲としては3〜22重量部である。難燃剤としてハロゲン系化合物を用いる場合、難燃効果を高める為に難燃助剤を用いることが出来る。
【0035】
難燃助剤として好ましくは、元素周期律表におけるVAに属する元素を含む化合物で、具体的には、窒素含有化合物、リン含有化合物、酸化アンチモン、酸化ビスマス等がある。また、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化スズなどの金属酸化物も効果的である。この中でも特に好ましくは、酸化アンチモンであり、具体的には三酸化アンチモン、五酸化アンチモンがあげられる。これらの難燃助剤は樹脂中への分散を改善する目的および/または樹脂の熱的安定性を改善する目的で表面処理を施されているものを用いてもよい。
【0036】
難燃助剤の添加量は、0.5〜20重量部が好ましい、0.5部未満の場合、難燃助剤の効果が十分でなく、20重量部を越える場合、樹脂の機械的強度および加工流動性が低下する。より好ましくは1〜15重量部で、特に好ましくは1〜10重量部である。
【0037】
次に本発明において、好ましい樹脂組成物の溶融粘度について説明する。本発明においては、フッ素系樹脂が溶融混練される時に、フッ素系樹脂を除く樹脂組成物の溶融粘度がある特定範囲内であることが後述するフッ素系樹脂がネットワーク構造、および/または分岐構造をとるために重要である。すなわち、フッ素系樹脂を含む樹脂組成物の溶融混練温度において、該樹脂組成物のフッ素系樹脂を除いた樹脂組成物の溶融粘度が、シェアレート240sec-1で、3000〜12000poiseにあれば、さらに好ましくは、3000〜10000poiseにあれば、滴下防止に適したフッ素系樹脂の分散形態が達成され、難燃性能の向上が達成される。
【0038】
溶融混練温度は、用いる熱可塑性樹脂の種類によって適当な温度が選択されるが、320℃以下であることが好ましく、さらに好ましくは310℃以下である。また、熱可塑性樹脂がポリカーボネート系樹脂である場合には、280℃での樹脂組成物のフッ素系樹脂を除いた樹脂組成物の溶融粘度が、シェアレート240sec-1で、3000〜12000poiseにあれば、さらに好ましくは、3000〜10000poiseにあれば、実用的な溶融混練温度でのフッ素系樹脂の溶融混練・分散において同様に滴下防止に適したフッ素系樹脂の分散形態が達成され、難燃性能の向上が達成される。
【0039】
同様にして、熱可塑性樹脂が、PPE系樹脂、ゴム強化スチレン等ビニル重合体樹脂、ポリカーボネート系樹脂とゴム強化スチレン等ビニル重合体樹脂のアロイの場合には、それぞれ300℃、240℃、250℃での樹脂組成物のフッ素系樹脂を除いた樹脂組成物の溶融粘度が、シェアレート240sec-1で、3000〜12000poiseにあれば、さらに好ましくは、3000〜10000poiseにあれば、実用的な溶融混練温度でのフッ素系樹脂の溶融混練・分散において同様に滴下防止に適したフッ素系樹脂の分散形態が達成され、難燃性能の向上が達成される。
【0040】
溶融粘度範囲が3000poise未満であれば、フッ素系樹脂のフィブリル化が不十分となり、また、12000poiseを越える場合、フッ素系樹脂の分散が不良となり、十分な滴下防止の効果が達成できない。
【0041】
フッ素系樹脂を除いた樹脂組成物の溶融粘度の測定は、以下の方法で行う。
キャピラリーレオメーター:キャピログラフ1B(東洋精機社製)
サンプルの調整:フッ素系樹脂を除く原料をあらかじめ製造する設備で溶融混練したものを用いる。
キャピラリー長:10.00mm
キャピラリー径:1.00mm
測定温度:溶融混練する樹脂に適する温度で、実際の製造する設備での樹脂温度
バレル径:9.55mm
測定速度:5、10、20、50、100、200、500mm/分にて測定し、Shear Rate/Viscosityカーブより、シェアレート240sec-1の溶融粘度を読みとる。
【0042】
本発明において使用されるフッ素系樹脂(C)とは、一般に、テトラフルオロエチレン(TFE)樹脂、パーフロロアルコキシ(PFA)樹脂、フッ化エチレンプロピレン(FEP)樹脂のことを示し、特に、TFE樹脂が好ましく、樹脂組成物中において、主に0.5ミクロン以下の太さのフィブリル状の形態をなし、フィブリルが、ネットワーク構造、及び/または、分岐状で存在する必要がある。
フッ素系樹脂の添加量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して0.01〜5重量部が好ましい、0.01重量部未満の場合、滴下防止の効果が十分でなく、5重量部を越える場合、樹脂の機械的強度および加工流動性が低下する。より好ましくは0.02〜2重量部で、特に好ましくは0.1〜1重量部である。
【0043】
本発明のフッ素系樹脂の形態は具体的には以下の方法で観察される。すなわち、樹脂組成物のUL94燃焼試験用テストピースを射出成形で成形し、その引っ張り破断面を走査型電子顕微鏡(SEM)観察することにより、上記記載のフィブリルの存在を測定する。本発明において、他の条件は特に限定されないが、下記の条件で測定した。
【0044】
(1)射出成形
成型機 :M−JEC10(モダンマシナリー社製)
成形温度 :260℃
金型温度 :60℃
射出速度 :500(設定値)
テストピース:1/2×5×1/16inch
但し成形温度と金型温度は、熱可塑性樹脂として、後述の(A−1〜4)を単独で用いる場合は、それぞれ280℃、80℃に変更して実施した。同様に、熱可塑性樹脂として、後述の(A−5、6)を単独で用いる場合は、それぞれ290℃、80℃に変更して実施した。
【0045】
(2)SEM観察用サンプルの作成
上記のテストピースを引っ張り試験器(オートグラフ5000D、島津製作所製)を用いて、速度5mm/分で破断するまで引っ張る。
(3)SEM観察
前処理 :サンプルに金蒸着を行う。
SEM :JSM−5300(日本電子社製)
加速電圧:15kV
【0046】
本発明で言う、ネットワーク構造、及び、または、分岐構造で存在するフッ素系樹脂の一例を以下に図1〜6で例示し、説明する。なお、図1はフッ素系樹脂の形態を示す模式図であり、図2〜6はSEM写真である。
フッ素系樹脂の形態は、7ミクロン×7ミクロンの範囲を観察して、次の条件を満たされる部分が観察されることが必要である。
フッ素系樹脂は、図2〜5のSEM写真では白く見える部分、図1の模式図では黒い実線で示した部分である。
【0047】
フッ素系樹脂のフィブリルは、0.5ミクロン以下の太さのものが主に存在する必要がある。0.5ミクロン以上の太さのフィブリルの存在は可能であるが、例えば図2に見られるように、7ミクロン×7ミクロンの範囲に観察されるフィブリルの総延長の70%以上、好ましくは90%以上が0.5ミクロン以下で存在している部分が存在する必要がある。
【0048】
また、本発明においては、図1の模式図で示したaの部分で例示した様な2本以上のフィブリルが重なって観察される部分、及び、フィブリルが相互に連結した系をネットワーク構造と呼び、bの部分で例示した1点より2本以上のフィブリルが分かれた部分を分岐構造と呼ぶ。ネットワーク構造、分岐構造とも3次元の広がりを持つ。さらに、これらネットワーク構造、及び/または、分岐構造は、7ミクロン×7ミクロンの範囲に合わせて10箇所以上存在する部分が観察される必要がある。
【0049】
すなわち、SEMで観察されたネットワーク構造、分岐構造は必ずしも樹脂組成物中のネットワーク構造、分岐構造を示すものではないが、樹脂組成物中のフィブリルの密な存在を反映しており、SEM観察におけるネットワーク構造及び分岐構造の存在をもって、樹脂組成物中のネットワーク構造及び分岐構造の存在とする。
フッ素系樹脂のこの様な密なフィブリル形態の存在により、燃焼時のフィブリルの収縮が3次元的に生起し、効果的な滴下防止が達成されると推定される。
【0050】
本発明の樹脂組成物を製造する方法は、例えば、フッ素系樹脂としてファインパウダーを用いる場合、−20℃以上にならない状態で粉砕したフッ素系樹脂と、冷却した原料樹脂をブレンドし、溶融混練するのが好ましい。または、ファインパウダー、ディスパージョン等のフッ素系樹脂を除く原料を溶融させ、フッ素系樹脂をその溶融した原料に配合して混練する等の製造方法をとるのが好ましく、溶融混練方法は従来から公知の方法で行うことが出来、特に限定されない。例えば、各成分をヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、ターンブルミキサー、リボンブレンダー等で均一に混合した後、単軸押出機や二軸押出機、バンバリーミキサー等で溶融混練する方法等がある。また、その際、本発明の趣旨を妨げない範囲で、公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤、フィラー等の添加剤を加えることは任意である。
【0051】
さらに、これらの熱可塑性樹脂組成物からなる成形品の成型方法は、押し出し成形、圧縮成型、射出成形、ガスアシスト成形等があり、特に限定されない。成形品の例としては、OA機器筐体、OA機器シャーシ、ホイールキャップ、スポイラー、自動車のインパネ等が挙げられる。
【0052】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例における測定方法は以下の通りである。
(1)形態観察方法
明細書に記載の方法で観察した。その結果、明細書記載のネットワーク構造、及び/または、分岐状で存在するフッ素系樹脂の形態が観察された樹脂組成物は○で示し、観察されなかった樹脂組成物は×で示した。
(2)溶融粘度測定法
明細書に記載の方法で測定した。(単位、poise)
【0053】
(3)樹脂温度の測定
混練ゾーンに樹脂温度計を設置し、直接測定した。(単位、℃)
(4)ヒドロキシ基末端比率の測定
NMRにて測定した。
(5)難燃性
UL94規格垂直燃焼試験(厚み1/16インチ)に基づく試験により測定した。
(6)燃焼時間
上記(5)の方法で5回測定し、その平均時間を燃焼時間とした。
【0054】
以下に実施例に用いる配合剤を説明する。なお、部数は重量部とする。
(ポリカーボネート樹脂A−1)
芳香族ジヒドロキシ化合物として、ビスフェノールAを、炭酸ジエステルとしてジフェニルカーボネート(対ビスフェノールAモル比1.10)を、触媒としてビスフェノールAのジナトリウム塩(対ビスフェノールAモル比2.8E−8)を用いて、溶融エステル交換法でポリカーボネートを製造した。
Mw=22000
ヒドロキシ基末端量:23モル%
【0055】
(ポリカーボネート樹脂A−2)
ホスゲン法で製造された、ビスフェノールA系ポリカーボネート
Mw=22000
ヒドロキシ基末端量:2モル%
(ポリカーボネート樹脂A−3)
ホスゲン法で製造された、ビスフェノールA系ポリカーボネート
Mw=35000
(ポリカーボネート樹脂A−4)
ホスゲン法で製造された、ビスフェノールA系ポリカーボネート
Mw=15000
【0056】
(ポリフェニレンエーテル樹脂A−5)
ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル(以下PPEと略す)であり、米国特許4788277号明細書(特願昭62−77570号)に記載されている方法に従って、ジブチルアミンの存在下に、2,6−キシレノールを酸化カップリング重合して製造する。このPPEの粘度は280℃で140sec-1の剪断速度で測定し、49000poiseである、PPE樹脂75重量部と重量平均分子量210000の一般ポリスチレン樹脂30重量部をあらかじめ溶融混練した、変性PPE樹脂。
(ポリフェニレンエーテル樹脂A−6)
A−4と同じPPEと重量平均分子量380000の一般ポリスチレン樹脂30重量部をあらかじめ溶融混練した、変性PPE樹脂。
【0057】
(ゴム強化樹脂A−7)
ブタジエンゴムラテックス(電子顕微鏡より求めたラテックスの重量平均粒子径は0.28ミクロン)40部、イオン交換水100部、ロジン酸カリウム0.3部を10リットル反応器に入れ、気相部を窒素置換した後、この初期溶液を70℃に昇温した。重合前のpHの調整は炭酸ガスを反応器内でバブルして調整した。次に以下に示す組成からなる水溶液1と単量体混合液3、さらに乳化剤としてロジン酸カリウムを含んだ水溶液2を反応器に5時間にわたり連続的に添加した。添加終了後、1時間温度を保ち、反応を完結させた。
【0058】
水溶液1の組成は次の通りである。
硫酸第一鉄0.005部、ソジウムフォルムアルデヒドスルホキシレート(SFS)0.1部、エチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウム(EDTA)0.04部、イオン交換水50部
水溶液2の組成は次の通りである。
ロジン酸カリウム1.0部、イオン交換水20部
水溶液3の組成は次の通りである。
アクリロニトリル18部、スチレン42部、t−ドデシルメルカプタン(t−DM)0.6部、クメンハイドロパーオキサイド(CHP)0.1部
【0059】
次に作成したグラフト重合体ラテックスに酸化防止剤を添加した後、塩析し、水洗浄、脱水した後加熱乾燥し、粉末を得た。
さらに、アクリロニトリル成分比27重量%のAS樹脂(アクリロニトリル−スチレン樹脂)と得られた粉末を混合し、以下の割合のABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂を得た。
ブタジエン成分比 33重量%
スチレン成分比 49重量%
アクリロニトリル成分比 18重量%
【0060】
(ゴム強化樹脂A−8)
水溶液2の組成のロジン酸カリウムを式(4)で表される重合性乳化剤を用いた以外は、A−7と同様に製造した。
ブタジエン成分比 33重量%
スチレン成分比 49重量%
アクリロニトリル成分比 18重量%
からなるABS樹脂
【0061】
(難燃剤B−1)
明細書記載の式(10)で表され、n=0又は自然数、R6 とR7 は式(12)に記載の基で表される化合物であって、軟化温度が105℃である難燃剤。
(難燃剤B−2)
トリフェニルホスフェート(大八化学社製)
【0062】
(難燃剤B−3)
以下の方法で合成した、式(15)と(16)の混合物を主成分とする縮合リン酸エステル系難燃剤。
ビスフェノールA114g(0.5モル)、オキシ塩化リン192g(1.25モル)、及び無水塩化マグネシウム1.4g(0.015モル)を攪拌機・還流管付きの500ml四つ口フラスコに仕込み、窒素気流下70〜140℃にて4時間反応させた。反応終了後、反応温度を維持しつつ、フラスコを真空ポンプにて200mmHg以下に減圧し、未反応のオキシ塩化リンをトラップにて回収した。ついでフラスコを室温まで冷却し、2,6キシレノール122g(1.0モル)、及び無水塩化アルミニウム2.0g(0.015モル)を加え、100〜150℃に加熱して4時間反応させた。
【0063】
ついでフラスコを室温まで冷却し、フェノール94g(1.0モル)を加え、100〜150℃に加熱して4時間保持し、反応を完結させた。そのままの温度で1mmHgまで減圧し、未反応のフェノール類を溜去した。反応時に発生する塩化水素ガスは水酸化ナトリウム水溶液にて捕集し、中和滴定によりその発生量を測定して反応の進行をモニターした。生成した粗リン酸エステルを蒸留水で洗浄した後、濾紙(アドバンテック社製#131)により固形分を除去した。真空乾燥して淡黄色透明な精製物を得た。
HPLC測定(島津製LC−10A、カラム:東ソーTSKgel ODS−80T、溶媒:メタノール/水 90/10)の結果、式(15)と(16)成分の合計の純度は75重量%であった。
【0064】
(フッ素系樹脂C−1)
ダイキン工業社製、ダイフロンD−1(PTFE60%含有ディスパージョン)
(フッ素系樹脂C−2)
ダイキン工業社製、ダイフロンF−201L
【0065】
【実施例】
実施例1、2、5、6、12、14、16、18、比較例1、3、9
以上のように調製したフッ素系樹脂を除く樹脂を、表1〜3に記載した組成(単位は重量部)でブレンドし、2軸押出機(ZSK−25、W&P社製)で、表1〜3に記載の溶融粘度測定温度に近い温度で溶融混練し、押出機の根本付近から難燃剤をポンプで圧入し、押出機の途中から冷却(3℃)したフッ素系樹脂(C−1)を溶融した樹脂中に添加し造粒し、ペレットを得て、溶融粘度以外の評価を行った。また、フッ素系樹脂(C−1)を除く樹脂を、表1〜3に記載した組成(単位は重量部)でブレンドし、2軸押出機(ZSK−25、W&P社製)で、表1〜3に記載の溶融粘度測定温度に近い温度で溶融混練し、押出機の根本付近から難燃剤をポンプで圧入し造粒し、ペレットを得て表1〜3に掲げる温度で溶融粘度の測定を行った。結果を表1〜3に示す。
【0066】
比較例11,12
以上のように調製したフッ素系樹脂を除く原料を冷却(3℃)し、ドライアイスとともに粉砕(サンプルミル、SK−M10型、協立理工社製)したフッ素系樹脂(C−2)を、表2に記載した組成(単位は重量部)でブレンドし、2軸押出機(ZSK−25、W&P社製)で、表2に記載の溶融粘度測定温度に近い温度で溶融混練し、ペレットを得て、溶融粘度以外の評価を行った。また、フッ素系樹脂(C−2)を除く原料を、表2に記載した組成(単位は重量部)でブレンドし、2軸押出機(ZSK−25、W&P社製)で、表2に記載の溶融粘度測定温度に近い温度で溶融混練し造粒し、ペレットを得て表2に記載の温度で溶融粘度の測定を行った。結果を表2に示す。
【0067】
実施例3、4、7、13、15、17、比較例2、4〜8、10
以上のように調製したフッ素系樹脂を除く樹脂を冷却(3℃)し、ドライアイスとともに粉砕(サンプルミル、SK−M10型、協立理工社製)したフッ素系樹脂(C−2)を、難燃剤を除く表1〜3に記載した組成(単位は重量部)でブレンドし、2軸押出機(ZSK−25、W&P社製)で、表1〜3に記載の溶融粘度測定温度に近い温度で溶融混練し、押出機の根本付近から難燃剤をポンプで圧入して造粒し、ペレットを得て、溶融粘度以外の評価を行った。また、フッ素系樹脂(C−2)を除く樹脂を、表1〜3に記載した組成(単位は重量部)でブレンドし、2軸押出機(ZSK−25、W&P社製)で、表1〜3に記載の溶融粘度測定温度に近い温度で溶融混練し、押出機の根本付近から難燃剤をポンプで圧入し造粒し、ペレットを得て表1〜3に記載の温度で溶融粘度の測定を行った。結果を表1〜3に示す。
【0068】
これらを表1〜3にまとめた。実施例および比較例の結果から次のことが明らかである。
実施例の樹脂組成物は、フッ素系樹脂が最適な溶融粘度で混練されることにより、フッ素系樹脂の分散が優れ、滴下防止効果が高く、いずれも難燃性に優れている。
【0069】
【表1】
Figure 0004450336
【0070】
【表2】
Figure 0004450336
【0071】
【表3】
Figure 0004450336
【0072】
【発明の効果】
特定溶融粘度領域を有するフッ素系樹脂を除く樹脂組成物にフッ素系樹脂を混練することにより、フッ素系樹脂を、樹脂組成物中でネットワーク構造、及び/または、分岐状で存在させることによって、フッ素系樹脂の少量配合で、高い難燃性を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】樹脂組成物成形品の破断面のフッ素系樹脂のフィブリル形態を表す模式図である。なお、図1において黒い実線で示した部分がフッ素系樹脂である。
【図2】実施例12の樹脂組成物成形品の破断面のフッ素系樹脂のフィブリル形態を観察した走査型電子顕微鏡写真である。
【図3】実施例13の樹脂組成物成形品の破断面のフッ素系樹脂のフィブリル形態を観察した走査型電子顕微鏡写真である。
【図4】実施例16の樹脂組成物成形品の破断面のフッ素系樹脂のフィブリル形態を観察した走査型電子顕微鏡写真である。
【図5】比較例6の樹脂組成物成形品の破断面のフッ素系樹脂のフィブリル形態を観察した走査型電子顕微鏡写真である。
【図6】比較例8の樹脂組成物成形品の破断面のフッ素系樹脂のフィブリル形態を観察した走査型電子顕微鏡写真である。なお、図2〜6の写真において、白く観察される部分がフッ素系樹脂である。
【符号の説明】
a ネットワーク構造
b 分岐構造

Claims (3)

  1. (A)芳香族ジヒドロキシ化合物とホスゲンまたは炭酸ジエステルの反応により製造される重量平均分子量12000〜80000のポリカーボネート系樹脂、又は芳香族ジヒドロキシ化合物とホスゲンまたは炭酸ジエステルの反応により製造される重量平均分子量12000〜80000のポリカーボネート系樹脂5〜98重量部とゴム状重合体の含有量が5〜50重量%かつ該ゴム状重合体の粒子径が250〜450nmであるアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂95〜2重量部からなる熱可塑性樹脂から選ばれた熱可塑性樹脂100重量部に対し、(B)リン酸エステル系および/または縮合リン酸エステル系である難燃剤3〜22重量部、(C)テトラフルオロエチレン樹脂のディスパージョン0.1〜1重量部を配合し、溶融混練してなる樹脂組成物であって、前記(C)フッ素系樹脂は、前記熱可塑性樹脂が前記ポリカーボネート系樹脂である場合には、該樹脂組成物の(C)フッ素系樹脂を除く樹脂組成物の280℃におけるキャピラリーレオメータで測定した溶融粘度が、シェアレート240sec−1で、粘度3000〜12000poiseの範囲にあるときに、また前記熱可塑性樹脂が前記ポリカーボネート系樹脂とアクリルニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂からなる熱可塑性樹脂である場合には該樹脂組成物の(C)フッ素系樹脂を除く樹脂組成物の250℃におけるキャピラリーレオメータで測定した溶融粘度が、シェアレート240sec −1 で、粘度3000〜12000poiseの範囲にあるときに、添加されて溶融混練されてなり、かつ該樹脂組成物中のフッ素系樹脂が、樹脂組成物のUL燃焼試験片の引っ張り破断面の7ミクロン×7ミクロンの範囲を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したとき、フィブリルの総延長の70%以上が0.5ミクロン以下の太さのフィブリル状の形態をなし、図1中aで示した2本以上のフィブリルが重なって観察される部分、及び、フィブリルが相互に連結したネットワーク構造、bで示した1点より2本以上のフィブリルが分かれた分岐構造が、合わせて10箇所以上存在する部分が観察されうることを特徴とする樹脂組成物。
  2. ポリカーボネート系樹脂が、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとからエステル交換法にて製造され、全末端に占める末端ヒドロキシ基の割合が5〜50モル%である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2のいずれかに記載の樹脂組成物からなることを特徴とする成形品。
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