JP4627118B2 - スキャンテスト用回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スキャンテスト用回路、特に、ゲーテッド・クロック方式が採用されたスキャンテスト用回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
同期回路を形成するフリップフロップ回路やラッチ回路(以下、レジスタと総称する)にはクロック信号を供給する必要があるが、レジスタの数が多くなるほど、そのクロック信号の負荷容量は大きくなる。そこで、クロック信号の負荷を分散させるために、クロック信号の供給源とレジスタとの間に、比較的低駆動なバッファセルをツリー状に形成して介在させることがある。このような場合、半導体集積回路の機能仕様上クロック信号を必要としないクロック期間にはクロック信号をマスクするゲート機能をクロックツリーに付加したゲーテッド・クロック方式が採用されることが多い。
【0003】
ところで、半導体集積回路のレジスタをシリアルに接続してシフトレジスタとして動作させ、レジスタが保持するデータを外部端子から制御し・観測することによって、半導体集積回路のテストを容易化したスキャンテスト方法が知られている。このスキャンテスト用回路にゲーテッド・クロック方式を採用した従来例を図5に示す。
【0004】
図5を参照すると、このスキャンテスト用回路は、スキャン用レジスタとしてのマルチプレクサ型フリップフロップ(以下、「スキャンFF」と記す)1と、SCANTEST信号の否定とCLK信号の論理積をとるANDゲート4と、ANDゲート4の否定でゲートされたEnable信号をラッチするホールドタイム保証用トランスペアレント・ラッチ手段としてのレベルラッチ2と、SCANTEST信号とレベルラッチ2との論理和をとるORゲート3と、CLK信号をORゲート3の出力でゲートするANDゲート5とを有する。
【0005】
レベルラッチ2は、CLK信号に対して位相が前後にづれ得るEnable信号を、通常動作時にCLK信号の立下りでラッチすることにより、CLK信号のハイレベル期間では決してレベル遷移しない出力Q1をANDゲート5に供給する。この結果、スキャンFF1のCLK端子にグリッジののらないゲーテッド・クロック信号を与えることができるようになる。ORゲート3とANDゲート5は、通常動作時にはレベルラッチ2の出力Q1でマスクして、また、スキャンテスト時にはそのままの状態で、それぞれCLK信号をスキャンFF1のCLK端子に供給する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来のスキャンテスト用回路では、スキャンテスト時には、CLK信号は常時スキャンFF1に供給されるので、ScanEnable信号を切り替えることによって、組合せ回路から出力されるDATAIN信号を受け取るキャプチャー動作と、スキャンチェーンの1つ前段のレジスタから出力されたSCANIN信号を受け取るシフト動作を行うことができる。
【0007】
しかし、組合せ回路から出力されるEnable信号はクロック信号と組み合わされて使用されキャプチャーされるルートがないため、スキャンFF1にてデータとしてラッチされず、スキャンパスを介して外部出力端子に伝搬されない。したがって、Enable信号を生成する論理回路の故障は検出されないので、その分だけ組合せ回路の検出率が低下しているという問題点がある。
【0008】
この問題を通常動作時にEnable信号を回路の出力端子にまで導き出すことにより解決しようとすれば、回路の構成は複雑化し、テストパターンは長大化し、LSIテスタの搭載メモリの容量は増るが、その割には故障検出率が向上せず、設計期間とコストも嵩むことになる。
【0009】
したがって、本発明の目的は、Enable信号の故障検出ができるスキャンテスト用回路を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ゲーテッド・クロック方式が採用されたスキャンテスト用回路において、組合せ回路からのデータまたはスキャンチェーン上のスキャンデータを切り替えて入力するスキャンFF(図1の1)と、機能上必要な期間のみスキャンフFFにクロック信号を供給するように制御するために組合せ回路から入力するイネーブル信号を、組合せ回路から入力するデータと切り替えてスキャンFFに入力するイネーブル信号供給回路(図1の6および7)とを有することを特徴とする。
【0011】
具体的には、本発明のスキャンテスト用回路は、機能上必要な期間のみレジスタへクロック信号を供給するように制御するために組合せ回路から入力するイネーブル信号に基づくゲーテッド・クロック方式が採用されたスキャンテスト用回路において、組合せ回路からのデータまたはスキャンチェーン上のスキャンデータを切り替えて入力するスキャンFF(図1の1)と、通常動作とスキャンテストとのモードを切り替えるためにテスタから入力するスキャンテスト信号の否定とクロック信号との論理積をとる第1のANDゲート(図1の4)と、該第1のANDゲートの否定でゲートされたイネーブル信号をラッチするホールドタイム保証用トランスペアレント・ラッチ手段としてのレベルラッチ(図1の2)と、スキャンテスト信号とレベルラッチの出力との論理和をとるORゲート(図1の3)と、クロック信号をORゲートの出力でゲートしてスキャンFFに供給する第2のANDゲート(図1の5)と、スキャンテスト信号とレベルラッチの出力との論理積をとるを第3のANDゲート(図1の6)と、該第3のANDゲートの出力と組合せ回路から出力されるデータとの排他的論理和をとってスキャンFFに供給する排他的論理和回路(図1の7)とで構成されたことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のスキャンテスト用回路は、機能上必要な期間のみレジスタへクロック信号を供給するように制御するために組合せ回路から入力するイネーブル信号を前記レジスタが受け取るための手段を設けたことを特徴とするものである。
【0013】
より詳しくは、ゲーテッド・クロック方式が採用されたスキャンテスト用回路において、組合せ回路からのデータまたはスキャンチェーン上のスキャンデータを切り替えて入力するスキャンFFと、機能上必要な期間のみスキャンFFにクロック信号を供給するように制御するために組合せ回路から入力するイネーブル信号を、組合せ回路から入力するデータと切り替えてマルチスキャンフリップフロップに入力するイネーブル信号供給回路とを有することを特徴とする。
【0014】
【実施例】
次に、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1は、本発明の第1の実施例を示す回路図である。図1を参照すると、このスキャンテスト用回路は、スキャン用レジスタとしてのスキャンFF1と、SCANTEST信号の否定とCLK信号の論理積をとるANDゲート4と、ANDゲート4の否定でゲートされたEnable信号をラッチするホールドタイム保証用トランスペアレント・ラッチ手段としてのレベルラッチ2と、SCANTEST信号とレベルラッチ2との論理和をとるORゲート3と、CLK信号をORゲート3の出力でゲートするANDゲート5と、スキャンテスト時にEnable信号をキャプチャーするためのルートを形成するANDゲート6および排他的論理和回路7とで構成されている。
【0016】
図1において、DATAIN信号は通常動作時またはスキャンテスト時におけるキャプチャー対象となるデータであり、Enable信号はゲーテッド・クロックのための制御信号であって、いずれも1つ前段の組合せ回路から出力される。Enable信号がアクティブになると、スキャンFF1にクロック信号CLKが供給されるようになる。通常動作時にはInValidであるSCANIN信号はスキャンチェーンの1つ前段のレジスタから出力されるデータである。ScanEnable信号は“0”ならDATAIN信号、“1”ならSCANIN信号をスキャンFF1に読み取らせるための信号、SCANTEST信号はスキャンテスト時にアクティブ(“1”)となる信号であって、いずれもクロック信号CLKと共に1つ前段の組合せ回路から出力される。
【0017】
ANDゲート4は、SCANTEST信号の否定とクロック信号CLKとの論理積を出力する。つまり、通常動作時にCLK信号をレベルラッチ2へ供給する。レベルラッチ2は、ANDゲート4の出力を反転してG端子に入力することにより、D端子に入力するEnable信号をCLK信号の立下りでラッチする。これにより、Enable信号はCLK信号に対して位相が前後にづれ得るが、CLK信号のハイレベル期間では決してレベル遷移しないように保証されたEnable信号を出力Q1としてORゲート3に供給できる。
【0018】
しかしながら、スキャンテスト時においては、ANDゲート4とレベルラッチ2の使命はEnable信号のANDゲート6への供給となる。この場合には、SCANTEST信号が“1”となるため、ANDゲート4は常に“0”を出力する。レベルラッチ2ではその反転信号、すなわち“1”をG端子に入力するため、Enable信号をそのままの位相でラッチして出力Q1としてANDゲート6へ供給する。
【0019】
ORゲート3は、SCANTEST信号が“0”となる通常動作時には、レベルラッチ2の出力Q1をANDゲート5へ出力する。ANDゲート5は、ORゲート3の出力とCLK信号との論理積をマルチスキャンFF1のCLK端子へ供給する。この結果、マルチスキャンFF1のCLK端子にはグリッジののらないゲーテッド・クロックされたCLK信号を与えることができるようになる。なお、スキャンテスト時には“1”となるSCANTEST信号がレベルラッチ2の出力Q1をマスクするため、ゲーテッド・クロック機能はスポイルされ、CLK信号は常時スキャンFF1のCLK端子に供給される。
【0020】
また、レベルラッチ2の出力Q1はANDゲート6にも導かれ、SCANTEST信号との論理積結果が排他的論理和回路7を経てマルチスキャンFF1のD端子に入力している。このルートによって、スキャンFF1のD端子には、通常動作時はDATAIN信号、スキャンテスト時にはDATAIN信号に加えてEnable信号をも供給できるようになる。
【0021】
スキャンFF1は、SCANIN端子に供給されるSCANIN信号と、排他的論理和回路7からD端子に供給されるデータとを、SMC端子に入力するScanEnable信号によって切り替え、ANDゲート5からCKL端子に供給されるクロック信号に応答して受け入れる。すなわち、マルチプレクサタイプのスキャン用レジスタである。スキャンFF1の出力Q2は、スキャンチェーンの次段のレジスタへ供給される。
【0022】
次に、図2および図3に示すタイムチャートを参照しながら本実施例の動作について説明する。
【0023】
図2は、図1に示した実施例の通常動作時におけるタイムチャートである。この場合は、SCANTEST信号およびScanEnable信号は“0”、SCANIN信号はInValidである。ScanEnable信号が“0”であるため、スキャンFF1はD端子に入力するデータを受け入れることになる。このとき、SCANTEST信号も“0”であるためANDゲート6の出力は“0”であり、排他的論理和回路7はDATAIN信号を受け入れ、結局、スキャンFF1のD端子にはDATAIN信号が供給される。
【0024】
この場合は図2に図示すようにゲーテッド・クロックが行われる。SCANTEST信号が“0”であるためANDゲート4はCLK信号をレベルラッチ2に出力する。レベルラッチ2は、D端子に入力するEnable信号がアクティブになると、CLK信号の立下りでラッチした出力Q1を生成する。出力Q1は、SCANTEST信号も“0”であるためORゲート3をスルー状態で通過し、ANDゲート5においてCLK信号の通過を制御する。つまり、出力Q1がアクティブな期間のみCLK信号をスキャンFF1のCLK端子に供給する。
【0025】
スキャンFF1は、CLK端子上のCLK信号の立上りに応答してD端子上のDATAIN信号をキャプチャーし、出力Q2をスキャンチェーンの次段のスキャンFF1に供給する。CLK信号は、このキャプチャーに必要な期間のみスキャンFF1のCLK端子に供給されたことになる。
【0026】
次に、図3は、図1に示した実施例のスキャンテスト時におけるタイムチャートである。この場合は、SCANTEST信号は“1”固定であるが、ScanEnable信号は“0”のフェーズと“1”のフェーズとがある。ScanEnable信号が“0”のフェーズではSCANIN信号はInValidである。
【0027】
SCANTEST信号が“1”固定の状態の下では、ANDゲート4は“0”を出力し、レベルラッチ2の端子には“1”固定が入力する。したがって、レベルラッチ2はEnable信号をラッチして出力Q1をANDゲート6に供給する。排他的論理回路7は、ANDゲート6の出力である出力Q1(Enable信号)とDATAIN信号とを受け入れてスキャンFF1のD端子に供給する。そして、ScanEnable信号が“0”であるため、スキャンFF1はD端子に入力するデータを受け入れることになる。このようにして、スキャンテスト時に、DATAIN信号と共にEnable信号もキャプチャーされるのである。
【0028】
ScanEnable信号が“1”のフェーズになると、上述のキャプチャーデータがマルチスキャンFF1のQ2出力となる。また、SCANIN信号はValidとなり、スキャンチェーンの前段レジスタからのSCANIN信号がスキャンFF1のSCANIN端子にシフトデータとして供給され、スキャンFF1のQ2出力となる。
【0029】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。
【0030】
図5は、本発明の第2の実施例を示す回路図である。図5を参照すると、このスキャンテスト用回路は、スキャン用レジスタとしてのスキャンFF1と、スキャンFF1のクロック端子CLKに供給されるCLK信号を通常動作時にマスクするORゲート3およびANDゲート5と、通常動作時におけるホールドタイム保証用トランスペアレント・ラッチ手段としてのレベルラッチ2およびANDゲート4と、スキャンテスト時にEnable信号をキャプチャーするためのルートを形成する2つのANDゲート8,9およびORゲート10とで構成されている。
【0031】
この実施例では、テスタから供給されるEnableCaptureという信号を第1の実施例に追加している。ANDゲート8ではEnableCapture信号の反転入力とDATAIN信号との論理積をとり、またANDゲート9ではEnableCapture信号とEnable信号との論理積をとり、ANDゲート8の出力とANDゲート9の出力の論理和をスキャンFF1のD端子に供給している。
【0032】
通常動作時にはEnableCapture信号は“0”に固定される。SCANTEST信号が“1”、ScanEnable信号が“0”になると、スキャンテストのキャプチャー動作が行われ、EnableCapture信号は“0”と“1”に切り替わる。“0”の場合はDATAIN信号がスキャンFF1のD端子に入力し、“1”の場合にはEnable信号がスキャンFF1のD端子に入力する。SCANTEST信号が“1”、ScanEnable信号が“1”になると、スキャンテストのシフト動作が行われ、SCANIN信号がスキャンFF1のSCANIN端子に入力する。
【0033】
なお、以上に説明した実施例は、レベルラッチ2,ORゲート3および2つのANDゲート4,5から成るゲーテッド・クロック回路を伴っているが、これはゲーテッド・クロック方式の採用とEnable信号のマルチスキャンFF1への供給ルートとを明示するためでもある。したがって、このゲーテッド・クロック回路は、クロックツリー上の他の部分へ移し、スキャンテスト用回路には含めないようにしてもよい。
【0034】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、ゲーテッド・クロック方式が採用されたスキャンテスト用回路において、組合せ回路から出力されるEnable信号をキャプチャーするためのルートを設けたためEnable信号の故障検出ができるという効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す回路図
【図2】図1に示した実施例の通常動作を示すタイムチャート
【図3】図1に示した実施例のスキャンテスト動作を示すタイムチャート
【図4】本発明の第2の実施例を示す回路図
【図5】従来例を示す回路図
【符号の説明】
1 スキャンFF
2 レベルラッチ
3,10 ORゲート
4,5,6,8,9 ANDゲート
7 排他的論理和回路
Claims (3)
- スキャンフリップフロップと、
スキャンテスト時に前記スキャンフリップフロップにクロック信号を継続的に供給すると共に、通常動作時には第1の制御信号が示す論理レベルに応じて前記クロック信号を前記スキャンフリップフロップに供給するクロック制御回路と、
前記第1の制御信号および組合せ論理回路から出力されるデータ入力信号に結合され、前記通常動作時には前記データ入力信号を前記スキャンフリップフロップに出力し、前記スキャンテスト時には前記第1の制御信号と前記データ入力信号とにより表される状態を示す第2の制御信号を前記スキャンフリップフロップに出力する信号生成回路と
を有するスキャンテスト回路。 - 通常動作とスキャンテスト動作とを切替える第1の制御信号に結合され、前記スキャンテスト動作時にはクロック信号を継続的に出力すると共に、前記通常動作時には第2の制御信号が示す論理レベルに応じて前記クロック信号を出力するクロック制御回路と、
組合せ論理回路から出力されるデータ入力信号と前記第1の制御信号と前記第2の制御信号とに結合され、前記通常動作時には前記データ入力信号を出力すると共に、前記スキャンテスト時には前記第2の制御信号と前記データ入力信号とにより表される状態を示す第3の制御信号を出力する信号生成回路と、
前記クロック制御回路および前記信号生成回路に結合され、前記スキャンテスト時に前記第2の制御信号の故障の状態を取得するスキャンフリップフロップと
を有するスキャンテスト回路。 - 前記信号生成回路が、
前記第1の制御信号と前記第2の制御信号との論理積をとるANDゲートと、
前記ANDゲートの出力と前記データ入力信号との排他的論理和をとるEXORゲートと
を備える請求項2に記載のスキャンテスト回路。
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