JP4623817B2 - 電線被覆用ポリエステル樹脂材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電線被覆用途に使用するポリエステル樹脂材料に関し、より詳しくは良好な耐熱性と機械強度のバランスを有し、その経時変化を抑制した電線被覆用途に使用するポリエステル樹脂材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリブチレンテレフタレートやポリエチレンテレフタレ−トに代表されるポリエステル樹脂は、機械特性、耐薬品性等各種物性に優れるため、家庭用品や自動車部品、繊維、包装用フィルム、食品用ボトル、医療用容器等、幅広く使用されており、その中でも、ポリブチレンテレフタレートの有する高耐熱性、耐薬品性は、使用環境範囲を広く設定することができ、その用途は多岐にわたる。
【0003】
しかし、ポリブチレンテレフタレートを電線被覆用として使用する上では、剛性が高く柔軟性が不足することが、その使用を困難にしている。また、ポリエーテルグリコールとポリブチレンテレフタレートのブロック共重合体に代表されるポリエステルエラストマーは、性能に優れるもののコストが高く、使用範囲は著しく限定される。
【0004】
また、これらの用途に使用されるその他の樹脂としてはポリエチレン、ポリ塩化ビニル等があるが、ポリエチレンは、難燃化が困難であること、ポリ塩化ビニルは環境問題が懸念されるため、ポリエステル樹脂の機械物性を改良した安価な電線被覆用樹脂に期待がかかる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、良好な耐熱性と機械強度のバランスを有し、その経時変化を抑制した電線被覆用途に使用するポリエステル樹脂材料を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、120℃で24時間熱処理した後の引張伸度が200%以上、比重の変化が0.05g/cm3以下であり、下記式を同時に満たす電線被覆用ポリエステル樹脂材料にある。
【0007】
500≦TM0≦1500 (1)
500≦TM≦TM0+20.83×T (2)
TM0:初期引張弾性率(MPa)
TM:120℃での熱処理後の引張弾性率(MPa)
T:120℃での熱処理時間(hr)、0≦T≦24
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の電線被覆用ポリエステル樹脂材料は、120℃で24時間熱処理した後の引張伸度は200%以上であることが好ましい。120℃で24時間熱処理した後の引張伸度が200%未満であると、電線使用時に応力がかかっている箇所の破断につながる場合がある。
【0009】
本発明の電線被覆用ポリエステル樹脂材料の120℃で24時間熱処理した後の比重の変化は0.05g/cm3以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.03g/cm3である。比重の変化が0.05g/cm3を超える場合、電線使用時の剛性の変化、寸法変化が大きくなる傾向にある。
【0010】
本発明の電線被覆用ポリエステル樹脂材料は、下記式を同時に満たすことが好ましい。
【0011】
500≦TM0≦1500 (1)
500≦TM≦TM0+20.83×T (2)
TM0:初期引張弾性率(MPa)
TM:120℃での熱処理後の引張弾性率(MPa)
T:120℃での熱処理時間(hr)、0≦T≦24
TM0が500MPa未満の場合は、電線被覆としたときの剛性が不足する。TM0のより好ましい範囲は800〜1200である。また、TMが500MPa未満の場合には、電線被覆としたときの剛性が不足し、(TM0+20.83×T)を超える場合には、電線使用時の経時変化特性が大きすぎるということから、電線被覆としたときの耐用時間に悪影響を及ぼす傾向がある。TMのより好ましい範囲は熱処理時間に関わらず、800〜1200である。
【0012】
本発明に使用されるポリエステル樹脂(A)の酸成分としては、テレフタル酸成分が好ましく、ポリエステル全酸成分中に50モル%以上含有されることが好ましい。これは、テレフタル酸成分が50モル%未満では、電線被覆としたときの耐熱性が低下する傾向にある。
【0013】
上記以外の酸成分の具体例としては、イソフタル酸が挙げられる。
【0014】
本発明に使用されるポリエステル樹脂(A)のアルコール成分としは、テトラメチレングリコール成分が好ましく、全アルコール成分中に50モル%以上含有されることが好ましい。これは、テトラメチレングリコール成分が50モル%未満では、電線被覆としたときの耐熱性が低下する傾向にあるためである。
【0016】
本発明に使用されるポリエステル樹脂(A)の総変性量は、3〜20モル%であることが好ましく、3モル%未満では効果がなく、20モル%を超えると結晶性が低下するため、重合後のチップ取り出し時に長時間の冷却が必要になるためである。ここで総変性量とは、テレフタル酸およびテトラメチレングリコール以外の酸成分量(酸成分中のモル%)とアルコール成分量(アルコール成分中のモル%)の合計量を示す。
【0017】
本発明に使用されるポリエステル樹脂(A)に含有される重量平均分子量450以上のポリエーテルグリコール成分としては、ポリテトラメチレングリコールが特に好ましく、その含有量は全アルコール成分中、0.5〜6モル%の範囲である。ポリエーテルグリコールが0.5モル%未満であると効果がなく、6モル%を超えると重合後のチップ取り出し時に長時間の冷却が必要になり、電線被覆としたときの耐熱性が低下する傾向にある。ポリエーテルグリコールの重量平均分子量は450以上である。重量平均分子量が450未満であるとポリエステル樹脂の結晶性が高くなり、熱処理による機械物性の変化が大きくなることがある。上記以外の好ましいポリエーテルグリコールとして、ポリエチレングリコールが挙げられる。
【0018】
フェノ−ル/1,1,2,2−テトラクロルエタン=重量比1/1の混合溶媒に溶解させ、25℃にて測定したポリエステル樹脂(A)の固有粘度は0.55〜1.40dl/gの範囲が好ましく、固有粘度が0.55dl/g未満であると溶融粘度が低いため重合後のチップの取り出しが困難であったり、耐衝撃性が低い傾向にあり、1.40dl/gを超える重合は重合時間が著しく長くなる。
【0019】
本発明に使用されるポリエステル樹脂(A)とは異なるポリエステル樹脂(B)の酸成分としては、テレフタル酸成分が好ましく、全酸成分中に50モル%以上含有されることが好ましい。これは、テレフタル酸成分が50モル%未満では、電線被覆としたときの耐熱性が低下する傾向にあるためである。
【0020】
テレフタル酸以外の酸成分の具体例としては、ポリエステル樹脂(A)と同様のものが挙げられる。
【0021】
本発明に使用されるポリエステル樹脂(B)のアルコール成分としては、テトラメチレングリコール成分が好ましく、全アルコール成分中に50モル%以上含有されることが好ましい。これは、テトラメチレングリコール成分が50モル%未満では、電線被覆としたときの耐熱性が低下する傾向にあるためである。
【0022】
テトラメチレングリコール以外のアルコール成分の具体例としては、ポリエステル樹脂(A)と同様のものが挙げられる。
【0023】
フェノ−ル/1,1,2,2−テトラクロルエタン=重量比1/1の混合溶媒に溶解させ、25℃にて測定したポリエステル樹脂(B)の固有粘度は0.55〜1.40dl/gの範囲が好ましく、固有粘度が0.55dl/g未満であると溶融粘度が低いため重合後のチップの取り出しが困難であったり、耐衝撃性が低い傾向にあり、1.40dl/gを超える重合は重合時間が著しく長くなる。
【0024】
本発明においては、ポリエステル樹脂(A)を単独で用いることもできるが、ポリエステル樹脂(A)20〜90重量%とポリエステル樹脂(B)10〜80重量%からなるポリエステル樹脂組成物を用いることが好ましい。ポリエステル樹脂(A)が20重量%未満の場合、電線被覆としたときの耐熱性が低下する傾向にあり、経時変化が大きくなる傾向にある。
【0025】
本発明に使用されるポリエステル樹脂(A)および(B)の重合は、公知のエステル交換法やエステル化法の重合方法によって製造される。例えばポリエステル樹脂(A)の場合、エステル交換法では、テトラメチレングリコ−ル等の全アルコール成分が、テレフタル酸のエステル形成性誘導体等の、全酸成分に対してモル比で1.2〜1.6倍となるように反応容器内に仕込み、ポリエーテルグリコールおよびテトラキス[メチレン(3,5−ジ−t-ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート)]メタン等の酸化安定剤を添加し、テトラブトキシチタン等の触媒の存在下で150〜220℃まで徐々に加熱して十分にエステル交換反応を行った後、−0.7kPa以下の減圧下で230〜260℃に加熱し、2〜5時間縮合重合した後、ストランド状で水槽中に吐出し、ストランドカッターにてチップ状にカットしたものを速やかに乾燥してチップに付着した水分を取り除くことによって、本発明に使用されるポリエステル樹脂を得ることができる。
【0026】
また、エステル化法では、テトラメチレングリコ−ル等の全アルコール成分が、テレフタル酸等の全酸成分に対してモル比で1.2〜1.6倍となるように反応容器内に仕込み、ポリエーテルグリコールおよびテトラキス[メチレン(3,5−ジ−t-ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート)]メタン等の酸化安定剤を添加し、窒素で加圧した状態で徐々に150〜220℃まで加熱して十分にエステル化反応を行った後、−0.7kPa以下の減圧下で230〜260℃に加熱し、2〜5時間縮合重合した後、ストランド状で水槽中に吐出し、ストランドカッターにてチップ状にカットしたものを速やかに乾燥してチップに付着した水分を取り除くことによって、本発明に使用されるポリエステル樹脂を得ることができる。
【0027】
本発明に使用されるポリエステル樹脂を製造する際に使用されるその他の触媒は、エステル交換触媒として酢酸亜鉛、酢酸マンガン、酢酸マグネシウム等が挙げられ、重合触媒として三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウム、ジブチルスズオキシド等が挙げられ、全酸成分に対して20〜1000ppmの範囲で添加される。
【0028】
さらに本発明に際し、必要に応じて酸化安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、繊維状および板状無機強化剤等の添加剤ならびにポリカ−ボネ−ト、ポリメチルメタクリレ−ト、ポリオレフィン樹脂等、他の成分を配合することができる。
【0029】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。
【0030】
ポリエステル樹脂(A)−1
ジメチルテレフタレート90モル部(以下DMT)、ジメチルイソフタレート10モル部(以下DMI)とテトラメチレングリコ−ル138.8モル部(以下BDO)、ポリテトラメチレングリコール(Mw:1000;以下PTMG)を1.2モル部、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t-ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート)]メタンを対ポリマー0.05モル部となるように、精留塔および攪拌装置を備えた反応容器に入れ、反応容器を140℃まで加熱した後、テトラブトキシチタンを対酸成分に対して600ppm(BDO溶液の希薄溶液として)添加し、攪拌を行いながら220℃まで3時間かけて徐々に昇温し、留出するメタノールを系外に排出しながらエステル交換反応を行った。その後、重縮合反応容器に移し真空度−99kPa以下、245℃で3時間縮合重合を行い所定の攪拌トルクに至ったところで、ストランド状で水槽中に吐出したものを、ストランドカッターにてチップ状に切断し、これを120℃で6時間真空乾燥してポリエステル樹脂(A)−1を得た。これについて、固有粘度を測定したところ 1.01dl/gであった。
【0031】
また、熱分解ガスクロマトグラフィーおよび、アルカリ分解物についての高速液体クロマトグラフィーにより、原料についての組成分析を行い、結果を表1に示した。
【0032】
ポリエステル樹脂(A)−2
DMT95モル部、DMI5モル部、BDO137.6モル部、PTMG2.4モル部、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t-ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート)]メタンを対ポリマー0.1モル部とした以外は、ポリエステル樹脂(A)−1と同様にしてポリエステル樹脂を得た。これについて、固有粘度を測定したところ、1.09dl/gであった。
【0033】
ポリエステル樹脂(A)−3
DMT90モル部、DMI10モル部、BDO140モル部、PTMG、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t-ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート)]メタンを添加しない以外は、ポリエステル樹脂(A)−1と同様にしてポリエステル樹脂を得た。これについて、固有粘度を測定したところ、0.88dl/gであった。
【0034】
ポリエステル樹脂(A)−4
DMT100モル部、DMIを添加せずとした以外は、ポリエステル樹脂(A)−2と同様にしてポリエステル樹脂を得た。これについて、固有粘度を測定したところ、1.10dl/gであった。
【0035】
ポリエステル樹脂(A)−5
DMT40モル部、DMI60モル部、BDO137.6モル部、PTMG2.4モル部、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t-ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート)]メタンを対ポリマー0.1モル部とした以外は、ポリエステル樹脂(A)−1と同様にしてポリエステル樹脂を得た。これについて、固有粘度を測定したところ、0.95dl/gであった。
【0036】
ポリエステル樹脂(A)−6
DMT90モル部、DMI10モル部、BDO130.4モル部、PTMG9.6モル部、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t-ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート)]メタンを対ポリマー0.4モル部とした以外は、ポリエステル樹脂(A)−1と同様にしてポリエステル樹脂を得た。これについて、固有粘度を測定したところ、1.19dl/gであった。
【0037】
ポリエステル樹脂(B)−1
TPA100モル部、IPAを添加せずとし、重合時間を3時間30分とした以外はポリエステル樹脂(A)―3と同様にして行った。これについて、固有粘度を測定したところ、1.15dl/gであった。
【0038】
ポリエステル樹脂(B)−2
TPA100モル部、IPAを添加せずとした以外はポリエステル樹脂(A)―3と同様にして行った。これについて、固有粘度を測定したところ、0.91dl/gであった。
【0039】
ポリエステル樹脂(B)−3
テレフタル酸100モル部(以下TPA)、エチレングリコ−ル150モル部(以下EG)を精留塔および攪拌装置を備えた反応容器に入れた。これを300kPaの窒素雰囲気下で攪拌を行いながら260℃まで3時間かけて徐々に昇温し、留出する水を系外に排出しながらエステル化を行った。その後、生成物を重縮合用反応容器に移した後、正リン酸を対酸成分にして30ppm(EG溶液の希薄溶液として)添加した。5分経過後、重合触媒として3酸化アンチモンを対酸成分にして350ppm(EG溶液の希薄溶液として)添加し、真空度−99kPa以下、285℃で3時間縮合重合を行い所定の攪拌トルクに至ったところで、ストランド状で水槽中に吐出したものを、ストランドカッターにてチップ状にカットし、これを150℃で6時間真空乾燥してポリエステル樹脂(B)―3を得た。これについて、固有粘度を測定したところ、0.72dl/gであった。
【0040】
(実施例1)
ポリエステル樹脂(A)−1を60質量部と、ポリエステル樹脂(B)−1を40質量部をドライブレンドした後、サーモプラスティックス工業(株)製40mm単軸押出製膜機にて樹脂温250℃、チルロール温度5℃にて製膜し、厚さ200μmのポリエステルシートを得た。このシートについて評価したところ、120℃で24時間熱処理した後の引張伸度、引張弾性率、比重とも変化が極めて小さく良好であった。この評価結果を表2に示す。
【0041】
(実施例2)
ポリエステル樹脂(A)−2を70質量部と、ポリエステル樹脂(B)−2を30質量部を池貝(株)製PCM30二軸押出機で250℃にて溶融混練した後ペレット化したものを、押出製膜機にて樹脂温250℃、チルロール温度5℃にて製膜し、厚さ200μmのポリエステルシートを得た。このシートについて評価したところ、120℃で24時間熱処理した後の引張伸度、引張弾性率、比重とも変化が極めて小さく良好であった。
【0042】
(実施例3)
ポリエステル樹脂(A)−1を70質量部と、ポリエステル樹脂(B)−2を30質量部をドライブレンドしたものを、押出製膜機にて樹脂温250℃、チルロール温度5℃にて製膜し、厚さ200μmのポリエステルシートを得た。このシートについて評価したところ、120℃で24時間熱処理した後の引張伸度、引張弾性率、比重とも変化が極めて小さく良好であった。
【0043】
(実施例4)
ポリエステル樹脂(A)−2を押出製膜機にて樹脂温250℃、チルロール温度5℃にて製膜し、厚さ200μmのポリエステルシートを得た。このシートについて評価したところ、120℃で24時間熱処理した後の引張伸度、引張弾性率、比重とも変化が極めて小さく良好であった。
【0044】
(比較例1)
ポリエステル樹脂(B)−3を押出製膜機にて樹脂温280℃、チルロール温度5℃にて製膜し、厚さ200μmのポリエステルシートを得た。このシートについて評価したところ、120℃で24時間熱処理した後の変形、外観変化が著しく、引張試験を行うことを断念した。
【0045】
(比較例2)
ポリエステル樹脂(B)−2を押出製膜機にて樹脂温250℃、チルロール温度5℃にて製膜し、厚さ200μmのポリエステルシートを得た。このシートについて評価したところ、120℃で24時間熱処理した後の引張弾性率変化が大きく電線被覆としては用をなすものではなかった。
【0046】
(比較例3)
ポリエステル樹脂(A)−3を50質量部と、ポリエステル樹脂(B)−2を50質量部をドライブレンドしたものを、押出製膜機にて樹脂温250℃、チルロール温度5℃にて製膜し、厚さ200μmのポリエステルシートを得た。このシートについて評価したところ、120℃で24時間熱処理した後の引張伸度の低下が大きいうえ、弾性率変化も大きく電線被覆としては用をなすものではなかった。
【0047】
(比較例4)
ポリエステル樹脂(A)−1を60質量部と、ポリエステル樹脂(B)−3を40質量部をドライブレンドしたものを、押出製膜機にて樹脂温280℃、チルロール温度5℃にて製膜し、厚さ200μmのポリエステルシートを得た。このシートについて評価したところ、120℃で24時間熱処理した後の引張伸度の低下が大きいうえ、弾性率変化も大きく電線被覆としては用をなすものではなかった。
【0048】
(比較例5)
ポリエステル樹脂(A)−4を50質量部と、ポリエステル樹脂(B)−2を50質量部をドライブレンドしたものを、押出製膜機にて樹脂温250℃、チルロール温度5℃にて製膜し、厚さ200μmのポリエステルシートを得た。このシートについて評価したところ、120℃で24時間熱処理した後の引張伸度の低下が大きいうえ、弾性率変化が急激であり電線被覆としては用をなすものではなかった。
【0049】
(比較例6)
ポリエステル樹脂(A)−5を押出製膜機にて樹脂温250℃、チルロール温度5℃にて製膜し、厚さ200μmのポリエステルシートを得た。このシートについて評価したところ、120℃で24時間熱処理した後の引張弾性率変化は小さく良好であったものの、引張伸度が低く電線被覆としては用をなすものではなかった。
【0050】
(比較例7)
ポリエステル樹脂(A)−6を60質量部と、ポリエステル樹脂(B)−3を40質量部をドライブレンドしたものを、押出製膜機にて樹脂温280℃、チルロール温度5℃にて製膜し、厚さ200μmのポリエステルシートを得た。このシートについて評価したところ、120℃で24時間熱処理した後の引張弾性率変化は小さく良好であったものの、比重変化が大きく、引張伸度も低く電線被覆としては用をなすものではなかった。
【0051】
各種物性値は以下のようにして測定を行った。
【0052】
・固有粘度
フェノ−ル/1,1,2,2−テトラクロルエタン=重量比1/1の混合溶媒にポリエステル樹脂の粉砕物を溶解させ、ウベローデ粘度計を用いて25℃で測定した。単位はdl/gで示した。
【0053】
・引張伸度および弾性率
JIS K7127に準拠し、ブランクと120℃、24時間の熱処理後の膜厚200μmポリエステルシートサンプルについて23℃、50%Rhで2日間調温、調湿の後、幅10mmの1号形試験片を切り出し、23℃において、毎分10mmの試験速度にて測定を行った。単位は伸度が%、弾性率がMPaで表示した。
【0054】
また、引張弾性率の熱変化特性について、下記式を満足するか判断した。
【0055】
○:2式を同時に満足する
×:1式のみか、2式とも満足しない
500≦TM0≦1500 (1)
500≦TM≦TM0+20.83×T (2)
TM0:初期引張弾性率(MPa)
TM:120℃での熱処理後の引張弾性率(MPa)
T:120℃での熱処理時間(hr)、0≦T≦24
・ 比重変化
熱処理前後のポリエステルシートについて、23℃、50%Rhで2日間調温、調湿の後、調温、調湿の後、30℃において臭化ナトリウム水溶液を用いた密度勾配管をしようして比重を測定し、熱処理前後の比重差を求めた。水を完全に充填した時の容量を処理前後について比較し、下記の式に従って収縮率を求め、パーセント表示で表した。
【0056】
(比重変化)=(熱処理後の比重)−(熱処理前の比重)
以上各実施例、比較例で得られた評価結果を一括して表2に示す。
【0057】
【表1】
【表2】
【0058】
【発明の効果】
以上示したように、本発明に関わる電線被覆用ポリエステル樹脂材料は、良好な耐熱性と機械強度のバランスを有し、その経時変化を抑制した性能を有し、電線被覆用途に使用可能な低コストなものである。
Claims (2)
- テレフタル酸と、イソフタル酸とからなる酸成分と、テトラメチレングリコールと、重量平均分子量450以上のポリエーテルグリコールとからなるアルコール成分よりなり、
イソフタル酸及びポリエーテルグリコールによる総変性量が3〜20モル%であり、ポリエーテルグリコール成分を全アルコール成分中0.5〜6モル%含有し、フェノ−ル/1,1,2,2−テトラクロルエタン=重量比1/1の混合溶媒に溶解させ、25℃にて測定した固有粘度が0.55〜1.40dl/gの範囲であるポリエステル樹脂(A)からなり、
120℃で24時間熱処理した後の引張伸度が200%以上、比重の変化が0.05g/cm 3 以下であり、下記式を同時に満たす電線被覆用ポリエステル樹脂材料。
500≦TM 0 ≦1500 (1)
500≦TM≦TM 0 +20.83×T (2)
TM 0 :初期引張弾性率(MPa)
TM:120℃での熱処理後の引張弾性率(MPa)
T:120℃での熱処理時間(hr)、0≦T≦24 - テレフタル酸と、イソフタル酸とからなる酸成分と、テトラメチレングリコールと、重量平均分子量450以上のポリエーテルグリコールとからなるアルコール成分よりなり、
イソフタル酸及び/又はポリエーテルグリコールによる総変性量が3〜20モル%であり、ポリエーテルグリコール成分を全アルコール成分中0.5〜6モル%含有し、フェノ−ル/1,1,2,2−テトラクロルエタン=重量比1/1の混合溶媒に溶解させ、25℃にて測定した固有粘度が0.55〜1.40dl/gの範囲であるポリエステル樹脂(A)20〜90質量%と、テレフタル酸を主成分とする酸成分と、テトラメチレングリコール成分を主成分とするアルコール成分よりなり、フェノ−ル/1,1,2,2−テトラクロルエタン=重量比1/1の混合溶媒に溶解させ、25℃にて測定した固有粘度が0.55〜1.40dl/gの範囲であるポリエステル樹脂(B)10〜80重量%からなるポリエステル樹脂組成物からなり、
120℃で24時間熱処理した後の引張伸度が200%以上、比重の変化が0.05g/cm 3 以下であり、下記式を同時に満たす電線被覆用ポリエステル樹脂材料。
500≦TM 0 ≦1500 (1)
500≦TM≦TM 0 +20.83×T (2)
TM 0 :初期引張弾性率(MPa)
TM:120℃での熱処理後の引張弾性率(MPa)
T:120℃での熱処理時間(hr)、0≦T≦24
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