JP4622625B2 - 金属板の冷間圧延方法 - Google Patents

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Description

本発明は金属板の冷間圧延方法に関するもので、従来用いられているようなエマルションタイプのクーラントを用いることなく、適切な潤滑性を確保しつつ冷間圧延を行うことができる方法を提供するものである。
従来、鋼板などの金属板の冷間圧延では、鉱物油、天然油脂、合成エステルなどの不水溶性油剤(圧延油)を界面活性剤で水に分散・希釈化したエマルションがクーラントとして用いられている。このエマルションは、圧延油が1〜5mass%程度の濃度で且つ平均粒径5〜15μm程度の油滴として含まれるO/W型(水中油滴型)のものであり、潤滑性能と冷却性能とを兼ね備えたクーラントとして使用することができる。
このようなエマルションタイプのクーラント(以下、主に“エマルション圧延油”という)は、クーラントタンクから圧延部(鋼板や圧延ロール)に供給されるが、圧延油の使用量の低減及び廃液処理量の低減のために、循環使用されるのが通常である。エマルション圧延油は、鋼板や圧延ロールにスプレー供給されると、鋼板上やロールバイト入口において水が排除されながら油膜が形成され、このようにして形成された油膜がロールバイトにおける潤滑性を向上させる。すなわち、ロールバイトに導入される油膜が厚いほど潤滑性は向上し、硬質の鋼板であっても高圧下の圧延が可能となる。
一方、操業面では、良好な潤滑性だけでなく、コスト低減のために圧延油の使用量(原単位)を低減することが重要である。エマルション圧延油を使用する場合において、圧延油の原単位を悪化させる主な要因としては、フィルターロス、スカムアウト、ヒュームロス、鋼板による持ち出しが挙げられる。
これらのうちフィルターロスは、冷間圧延によって発生する摩耗粉などの固形物粉がエマルション中に取り込まれ、これをフィルターによって分離除去しようとした場合に、エマルション中の油滴もフィルターに捕捉されてしまうために生じる。スカムアウトは、摩耗粉などの固形物粉がエマルションの油滴中に抱き込まれ、圧延油の劣化物との混合物であるスカムが発生することにより生じる油分のロスである。また、ヒュームロスとは、特に流動点の高い天然油脂を使用する場合には、クーラント全体の温度を50〜60℃程度まで加熱して循環使用しており、これによって生じるヒュームに油分が含まれているために生じるロスである。一方、鋼板による持ち出しは、圧延後の鋼板は油分が付着した状態でコイルとして巻き取られるため、鋼板によって循環系から持ち出される油分によるものである。
したがって、エマルション圧延油の原単位を向上させるためには、これらの原因を解消する必要があり、例えば、圧延油の種類や粘度の選定、界面活性剤の種類や添加量の最適化などの対策がとられている。
さらに、冷間圧延後のコイルは、次工程である焼鈍前に洗浄工程を経るのが通常である。洗浄工程は、アルカリ電解脱脂が使用されることが多く、鋼板に付着した油分が多いほど洗浄性は低下するため、アルカリ液の原単位や温度維持のための蒸気コストが、冷延コイルの製造コストを引上げる原因ともなっている。
このようにエマルション圧延油を用いる従来の冷間圧延においては、良好な潤滑性と冷却性を維持しながら、圧延油の原単位や洗浄工程での処理コストを含めたコスト削減が求められているが、このような課題を同時に解決できるような抜本的な解決策は見出されていない。
一方、調質圧延のように、軟質化した鋼板を軽圧下で圧延する場合には、優れた潤滑性は必要なく、逆に安定した伸長率を得るためには摩擦係数は高いことが要求される。このため湿式の調質圧延では、水溶性の物質を水に溶解させたソリューションタイプのクーラント(調質圧延液)が使用されている。
このようなソリューションタイプのクーラントは、潤滑成分自身が水への溶解性を示すため、エマルション圧延油のような大きな油滴を形成しない。したがって、冷間圧延において発生する摩耗粉などの固形物粉とはすぐに分離し、クーラント中から固形物粉を除去することが極めて容易となって、フィルター設備の簡易化も可能である。また、固形物粉を油分中に抱き込むこともないため、スカムの生成によるロスが極めて少なく、さらに、常温で使用することが可能であるためヒュームロスも少ない。また、洗浄性にも優れているため、圧延後に鋼板上に残留する潤滑成分が極めて少なく、鋼板による持ち出しロスも低減できる。
しかしながら、調質圧延に用いられているような従来のソリューションタイプのクーラントは、エマルション圧延油に較べて潤滑性が著しく劣ることから、通常のタンデム圧延等の冷間圧延に使用することは困難であると考えられてきた。このため従来では、タンデム圧延機やレバース圧延機などの圧下率を大きくとる冷間圧延では、潤滑性に優れたエマルション圧延油が使用され、調質圧延のように伸長率が5%以下の軽圧下域では、摩擦係数が高いソリューションタイプのクーラントが使用されており、圧延条件に応じて両者は明確に使い分けられている。
なお、特許文献1には、調質圧延であっても圧下率20%程度の高圧下を行うためのソリューションタイプの調質圧延液が開示されているが、この調質圧延液は焼鈍後の軟質化された鋼板の1パス圧延には適用できても、タンデム圧延やレバース圧延のような多パス圧延において加工硬化が生じるような厳しい圧延条件においては十分な潤滑性を得ることができない。
特開昭61−7395号公報
上述したように、ソリューションタイプのクーラントは、エマルション圧延油のように固形物粉の抱き込みは発生せず、圧延油の劣化物との混合物であるスカムが生成しなくなる。また、細かなメッシュのフィルターを用いても、固形物粉との分離が容易でフィルターに潤滑成分がトラップされることも少ないので、フィルターロスの低減が図れる。さらに、クーラントの低温化が可能であればヒュームロスも低減し、また、優れた洗浄性によって鋼板による潤滑剤の持ち出し量を低減されることが可能であり、現状のエマルション圧延油における原単位の低下要因を大幅に解消することが可能である。しかし、ソリューションタイプのクーラントは、冷間圧延における潤滑性が劣り、特に多パス圧延によってトータル圧下率を大きくとるような冷間圧延条件においては適用できないものと考えられてきた。
本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決し、ソリューションタイプのクーラントを使用して、エマルションタイプのクーラントを使用した場合と同等の潤滑性を確保しつつ、金属板を冷間圧延することができ、これによりクーラント中の潤滑剤の原単位を低減させることができる冷間圧延方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するためにソリューションタイプのクーラントとして用いられる水溶液の特性について検討を行い、その結果、水溶性潤滑剤を溶解させることにより曇点を有する水溶液をクーラントとして用いた場合、曇点を境とした液温(クーラント温度)の違いによって冷間圧延におけるクーラントの潤滑性が大幅に変化し、このような性質を利用することにより、エマルションタイプのクーラントと同等の圧延潤滑性と、ソリューションタイプのクーラントに特有の優れた固形物粉分離性、耐劣化性、洗浄性等を同時に満足させつつ、金属板の冷間圧延方法を行うことができることを見出した。
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、その特徴は以下のとおりである。
(1)クーラントを供給しつつ金属板の冷間圧延を行う方法において、
水溶性潤滑剤を主体とする潤滑剤を水で希釈し且つ前記水溶性潤滑剤を溶解することにより曇点を有する溶液であって、前記水溶性潤滑剤の少なくとも一部がポリアルキレングリコールである溶液をクーラントとして用いるとともに、少なくとも一部の圧延スタンド又は圧延パスにおいて、前記クーラントがその曇点以上の液温でロールバイトに供給されるようにしたことを特徴とする金属板の冷間圧延方法。
(2)上記(1)の冷間圧延方法において、クーラントを循環使用するとともに、金属板及び/又は圧延ロールに供給後、回収されたクーラントに対して、その曇点未満の液温で液中固形物の除去処理を施すことを特徴とする金属板の冷間圧延方法。
(3)上記(1)又は(2)の冷間圧延方法において、予め曇点以上の液温に加熱されたクーラントを金属板及び/又は圧延ロールに供給することにより、クーラントがその曇点以上の液温でロールバイトに供給されるようにしたことを特徴とする金属板の冷間圧延方法。
(4)上記(1)又は(2)の冷間圧延方法において、曇点未満の液温のクーラントを金属板及び/又は圧延ロールに供給し、金属板及び/又は圧延ロールの熱により前記クーラントがその曇点以上の液温に加熱され、曇点以上の液温でロールバイトに供給されるようにしたことを特徴とする金属板の冷間圧延方法。
(5)上記(1)〜(4)のいずれかの冷間圧延方法において、クーラントの曇点が20℃以上、沸点未満であることを特徴とする金属板の冷間圧延方法。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかの冷間圧延方法において、タンデム式冷間圧延機又はレバース式冷間圧延機において金属板を冷間圧延するに際し、タンデム式冷間圧延機の各圧延スタンド又はレバース式冷間圧延機の各圧延パスでの圧延条件に応じて、クーラントがその曇点以上の液温でロールバイトに供給されるようにしたことを特徴とする金属板の冷間圧延方法。
(7)上記(6)の冷間圧延方法において、最終圧延スタンド又は最終圧延パスでは、クーラントがその曇点未満の液温でロールバイトに供給されるようにしたことを特徴とする金属板の冷間圧延方法。
(8)水溶性潤滑剤を主体とする潤滑剤を水で希釈し且つ前記水溶性潤滑剤を溶解することにより曇点を有する溶液であって、前記水溶性潤滑剤の少なくとも一部がポリアルキレングリコールである溶液からなることを特徴とする金属板の冷間圧延用クーラント。
(9)上記(8)の冷間圧延用クーラントにおいて、曇点が20℃以上、沸点未満であることを特徴とする金属板の冷間圧延用クーラント。
本発明法の圧延の対象となる金属板は、鋼板に限定されるものではなく、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金などのような種々の金属板、合金板が対象となる。また、鋼板の場合には、普通鋼、高炭素鋼、ステンレス鋼など鋼種は問わない。
また、金属板の厚さにも制限はなく、金属箔などのような薄い金属板も対象とすることができる。
本発明によれば、曇点以上の液温でロールバイトに供給されたクーラントは、曇点未満の液温の場合に較べて金属板への潤滑剤成分の付着性が大幅に向上し、基本的にソリューションタイプのクーラントでありながら、エマルションタイプのクーラントと同程度の潤滑性を維持しつつ、圧延を行うことができる。一方、クーラントはその曇点未満の液温では潤滑剤成分が水に溶解した状態に維持されるため、固形物粉の分離性、耐劣化性、洗浄性等が極めて良好であり、このためクーラント中の潤滑剤の原単位を、従来のエマルションタイプのクーラントに較べて大きく改善することができる。
本発明では、クーラントを供給しつつ金属板(以下「鋼板」を例に説明する)の冷間圧延を行うに際し、水溶性潤滑剤を主体とする潤滑剤を水で希釈し且つ前記水溶性潤滑剤を溶解することにより曇点を有する溶液をクーラントとして用いるとともに、少なくとも一部の圧延スタンド又は圧延パスにおいて、前記クーラントがその曇点以上の液温でロールバイトに供給されるようにする。
ここで、曇点を有する溶液とは、温度を上昇させると、ある温度で溶解成分の溶解度が急激に低下して白濁する性質を有する溶液のことであり、曇点とはそのように白濁化する液温を指す。
本発明においてクーラントとして用いる溶液、すなわち、水溶性潤滑剤を主体とする潤滑剤を水で希釈し且つその水溶性潤滑剤を溶解することにより曇点を有する溶液は、曇点を境とした液温(クーラント温度)の違いによって冷間圧延におけるクーラントとしての潤滑性が大幅に変化する。すなわち、クーラントの液温が曇点以上になると、上述したように潤滑剤成分の溶解度が急激に低下して白濁状態となり、曇点未満の液温の場合に較べて鋼板への潤滑剤成分の付着性が大幅に向上する。したがって、このような性質を利用し、クーラントがその曇点以上の液温でロールバイトに供給されるようにすることにより、ロールバイトにおいて形成される潤滑膜を十分厚くすることができ、基本的にソリューションタイプのクーラントでありながら、従来のエマルションタイプのクーラントと同程度の潤滑性が得られる。
上記のようにクーラントの液温が曇点以上になると鋼板への付着性が大幅に向上するメカニズムは必ずしも明らかではないが、曇点以上ではクーラント中での水溶性潤滑剤の溶解度が低下するために鋼板に対してより付着し易くなること、或いは曇点以上ではクーラント中での水溶性潤滑剤が一定の大きさの粒子状になり、エマルションタイプのクーラントの潤滑メカニズムと同様に、潤滑剤がロールバイト入口でトラップされること、などが考えられる。
本発明においてクーラントを循環使用する場合には、鋼板及び/又は圧延ロールに供給後、回収されたクーラントに対して、その曇点未満の液温で液中固形物(主として摩耗粉などの固形物粉)の除去処理を施す。クーラントは曇点未満の液温では潤滑剤成分が水に溶解した状態に維持されているため、固形物粉との分離性がよく、液中固形物の除去処理において潤滑剤成分のロス(系外への排出)を最小限に抑えることができる。この除去処理を行う手段としては、フィルター方式のものが一般的であるが、それ以外に、遠心分離方式、磁気吸着方式など適宜な方式のものを採用できる。
なお、本発明で用いる冷間圧延機としては、タンデム式圧延機、レバース式圧延機などの通常の冷間圧延を行うものを含む。調質圧延のような焼鈍材の軽圧下圧延を行うものは対象としないものの、調質圧延機を使用して圧下率10%以上の圧延を行うような場合に適用してもよい。
以下、本発明の好ましい実施形態について、より詳細に説明する。
本発明においてクーラントとして用いる、水溶性潤滑剤を溶解することにより曇点を有する溶液(水溶液)は、上述したように曇点未満の液温では潤滑剤成分が水に溶解した状態に維持されるため、透明又は半透明な外観を呈するものであり、エマルション圧延油のように5〜15μm程度のエマルション粒子による光の乱反射に起因して乳白色の外観を呈するものとは区別できる。一方、溶液が曇点以上の液温となると透明な外観ではなくなり、一般に白濁したような不透明な外観になる。
クーラントに含有される水溶性潤滑剤は、溶液(水溶液)が曇点を有することができるようなものであればその種類は問わないが、そのなかでも化学合成された潤滑剤(以下、合成潤滑剤という)が特に好ましい。この合成潤滑剤は、従来用いられている圧延油に較べて耐腐敗性に優れ、摩耗粉などの固形物粉と油剤劣化物の混合物であるスカムを形成しにくい点で有利となる。
また、クーラントに配合される潤滑剤は、一部が非水溶性の潤滑剤(例えば、従来用いられている圧延油)であってもよいが、配合される潤滑剤のうち80mass%以上、好ましくは95mass%以上が水溶性潤滑剤(特に好ましくは水溶性の合成潤滑剤)であることが望ましい。水溶性潤滑剤(特に好ましくは水溶性の合成潤滑剤)の割合が95mass%未満では非水溶性潤滑剤が多くなるため、ソリューションタイプのクーラントとしての固形物粉分離性、耐劣化性、洗浄性等が低下するようになり、特に80mass%未満ではそれらの特性の低下が著しい。
クーラント中に水溶性潤滑剤とともに配合する非水溶性の潤滑剤としては、油脂、脂肪酸エステル、鉱物油などのようなエマルションタイプのクーラントに用いられる圧延油の1種以上を用いることができる。このように非水溶性の潤滑剤を少量併用したとしても、ソリューションタイプのクーラントとしての特性を失うことはなく、エマルションタイプのクーラントに較べて潤滑剤の原単位を大幅に向上させることが可能である。
本発明で用いるクーラントには、上述した潤滑剤以外に、極圧添加剤、防錆剤、消泡剤、各種アミン、防腐剤などの1種以上を適宜添加してもよい。極圧添加剤としては、例えば、塩素化油脂、塩素化脂肪酸エステル等の塩素化化合物;硫化油脂、アルキルポリサルファイド等の合成硫黄化合物;リン化合物;有機金属塩化合物等の1種以上を使用することができる。水溶性防錆剤としては、脂肪族モノカルボン酸等の脂肪酸類に、塩基性物質としてアルカノールアミン等を加えたものを用いることもできる。
クーラント中での潤滑剤の含有濃度には特別な制限はないが、溶液中での割合で1〜12mass%程度とすることが好ましい。潤滑剤の含有濃度が1mass%未満では冷間圧延に必要な潤滑性が十分に得られず、一方、含有濃度が12mass%を超えると潤滑剤の消費量が増加して、経済的に不利になる。
クーラントを循環使用することを前提とした場合、クーラントの曇点が低すぎると、季節によってはクーラントの液温が常温であっても曇点以上となるため、圧延部(鋼板及び/又は圧延ロール)に供給した後、回収して液中固形物の除去処理を施す際に白濁した状態のままとなり、液中固形物の分離性が悪くなる。これを避けるためには、少なくとも液中固形物の除去処理前にクーラントを曇点未満の液温に冷却する必要がある。このようなクーラントの冷却は軽度の冷却であればあまり大きな問題はないが、クーラントの曇点が過剰に低いと強度の冷却を行う必要があり、多大な運転コストがかかる。以上の点から、クーラントの曇点の下限は20℃程度、より好ましくは40℃程度とすることが適当である。
一方、通常のクーラント供給系や圧延部の温度(加工発熱、摩擦発熱などによる温度)などを前提とした場合、クーラントの曇点が過剰に高いと、クーラントの温度を曇点以上の液温まで高めて圧延部に供給すること自体が難しくなり、高い潤滑性を発揮させることが困難になる。このためクーラントの曇点の上限は溶液の沸点、実用的には70℃程度、より好ましくは60℃程度とすることが適当である。
本発明で用いる水溶性の合成潤滑剤としては、特にポリアルキレングリコールが好ましい。
ポリアルキレングリコールは、エチレンオキシド(EO)やプロピレンオキシド(PO)などのアルキレンオキシド(AO)を、活性水素を持つ物質に開環重合させて得られるものであり、モノオール型、ジオール型、トリオール型などの種類があり、それぞれ以下のような構造を有する。
モノオール型:RO-(AO)n-H
ジオール型:HO-(AO)n-H
トリオール型:R{-O-(AO)n-H}
ポリアルキレングリコールは、重合度nやアルキル基など(R)を変化させることにより、目的に応じた特性をもつ分子設計が可能であり、(AO)の種類や比率、末端置換基の有無や種類などを選択することにより、種々の特性を付与することができる利点がある。さらに、高い粘度指数を示し、且つ低温流動性、化学的安定性にも優れている点で、冷間圧延用の潤滑剤として優れた特性を備えるものがある。
また、一般にポリアルキレングリコールは、POホモ重合物は非水溶性、EOホモ重合物は水溶性であり、EO/POランダム共重合体ではEO比率が高いほど水溶性が高い。このようにポリアルキレングリコールは、分子設計によって水への溶解性を調整でき、したがってこれを溶解させた水溶液の曇点を調整することができる利点がある。
ポリアルキレングリコールは分子中にエーテル酸素を有しており、水溶液状態ではこのエーテル酸素が水分子と水素結合した状態で溶解しているが、水溶液の温度が上昇すると水素結合が容易に切断されることで、水に溶解できなくなって、白濁化し始めるという特性があり、したがって、分子中のエーテル酸素の比率によっても、曇点を調整できる利点がある。
以上の理由から、水溶性の合成潤滑剤としてはポリアルキレングリコールを用いることが好ましい。なお、ある任意のポリアルキレングリコールが水溶性潤滑剤に該当するかどうかは、当該ポリアルキレングリコールの水溶液が曇点を有するかどうかで決まり、その水溶液が曇点を有するポリアルキレングリコールは水溶性潤滑剤に該当するものとする。
また、本発明で使用するポリアルキレングリコールとしては、40℃における動粘度が60mm/s以上であるものが望ましい。潤滑剤成分の粘度を上げることで、ロールバイトへの潤滑剤の引込み量を増加させ、圧延時の摩擦係数をより効果的に低減させることができるからである。また、ロールバイト内での焼き付き現象(ヒートスクラッチ)を防止する観点からも高粘度ほど有利である。ここで、ポリアルキレングリコールは、分子量が大きいほど粘度も増加するので、分子量はある程度大きい方が好ましい。また、同じ平均分子量を有するものであっても、モノオール型に較べてジオール型、トリオール型の方が粘度は大きい傾向にあることから、そのような点を考慮した分子設計を行うことができる。
したがって、ポリアルキレングリコールの種類と分子量を選択・設計して合成することで、水溶液の曇点と粘度を最適な範囲に容易に調整でき、所望の特性を有するクーラントを得ることができるという点でも、合成潤滑剤としてポリアルキレングリコールを使用する利点は大きい。
ポリアルキレングリコールとしては、例えば、EO/POランダム共重合体であるポリオキシエチレンプロピレングリコールモノアルキルエーテルが挙げられる。このポリオキシエチレンプロピレングリコールモノアルキルエーテルは、常温で水溶性を示すとともに、分子量1000では曇点が65℃、動粘度が50.7mm/s(40℃)であり、分子量を大きくすると、曇点が低下し、動粘度が増加する。したがって、さきに述べた40℃における動粘度が60mm/s以上という条件も容易にクリアできる。また、リバースブロック型共重合体として、旭電化株式会社製の商品名「アデカプルロニック」やBASF Japan社製の商品名「プルロニック25R4」、「プルロニック25R8」等の市販品を用いることもできる。
クーラントに配合される潤滑剤中でのポリアルキレングリコールの割合は高いほど望ましい。ここで、配合される潤滑剤中でのポリアルキレングリコールの割合が50mass%未満では、潤滑剤としてポリアルキレングリコールを用いることによるクーラントの低温流動性、化学的安定性の向上効果が十分に得られない。したがって、クーラントに配合される潤滑剤中でのポリアルキレングリコールの割合は50mass%以上とすることが好ましく、さらに、他の水溶性潤滑剤を合わせて80mass%以上、好ましくは95mass%以上の潤滑剤を水溶性潤滑剤(好ましくは水溶性の合成潤滑剤)とすることが望ましい。なお、クーラントにはその他の潤滑剤が含まれてよいことはさきに述べたとおりである。
また、以上のように潤滑剤の一部又は全部としてポリアルキレングリコールを用いる場合についても、クーラントに配合される潤滑剤の濃度、クーラントの曇点などは、さきに述べたとおりである。
本発明では、クーラントがその曇点以上の液温でロールバイトに供給されるようにするものであり、このためロールバイトに供給されるべきクーラントが曇点未満の液温である場合には、通常、予めクーラントを曇点以上の液温に加熱した後、圧延部(鋼板及び/又は圧延ロール)に供給する。このクーラントの加熱は、クーラント供給系に設けられた加熱装置(例えば、各圧延スタンドのスプレーノズルにクーラントを供給するための供給支管系に設けられた加熱装置)などにより行う。
また、クーラントが曇点以上の液温でロールバイトに供給されるようにするための他の方法としては、曇点未満の液温のクーラントを圧延部(鋼板及び/又は圧延ロール)に供給し、鋼板及び/又は圧延ロールの熱によりクーラントがその曇点以上の液温に加熱され、曇点以上の液温でロールバイトに供給されるようにしてもよく、この方法には以下のような利点がある。
すなわち、クーラントの曇点を圧延条件に応じて最適化することにより、以下のような自律的な潤滑作用が得られる。鋼板の冷間圧延をタンデム圧延やレバース圧延などの多パス圧延で行う場合、タンデム圧延の前段パスやレバース圧延の初期パスでは、未だ鋼板などの温度は低いためそれほど高い潤滑性は必要とされない。そして、このようなタンデム圧延の前段パスやレバース圧延の初期パスでは、曇点未満の液温のクーラントを供給しても鋼板等の熱によるクーラント液温の上昇量は小さく、したがって、クーラントは曇点未満の液温の状態に維持され、通常のソリューションとしての挙動を示す。一方、多パス圧延では圧延パスが進むほど加工発熱や摩擦発熱による鋼板温度の上昇が大きくなり、例えばタンデム式圧延機では通常100℃を超え、圧延条件によっては170℃程度まで温度上昇が生じる。この場合、鋼板や圧延ロールに曇点未満の液温のクーラントを供給すると、鋼板等が有する熱によってクーラントが加熱され、その液温が曇点以上に達する。その結果、クーラント中の潤滑剤成分の付着性が大幅に上昇し、高い潤滑性が自動的に得られる。つまり、圧延条件がそれほど厳しくなく、鋼板の温度上昇も小さいため高い潤滑性が必要とされない条件では、そこに供給されるクーラントも曇点未満の液温に維持されてソリューションの特徴が生かされ、一方、圧延条件が厳しく、鋼板の温度上昇が大きいために高い潤滑性が必要とされる条件では、そこに供給されるクーラントは曇点以上の液温に上昇し、高い潤滑性を発揮するものである。
なお、本発明では、高い潤滑性を必要とするロールバイト近傍以外では、クーラント中の潤滑剤成分は水に溶解した状態のままで循環するのが望ましい。その点では、鋼板等に供給されたクーラントの一部が曇点以上になっても大部分が曇点に達していなければ、全体としては水への溶解性を維持しながら、循環させることは可能であるが、循環系にクーラントを冷却するクーラーを設置して、循環時のクーラント温度を曇点に達しない範囲に維持するのがより好ましい。
次に、タンデム式冷間圧延機及びレバース式冷間圧延機を各々用いて圧延する場合の具体的な実施形態について説明する。なお、以下の説明における「クーラントが曇点以上の液温でロールバイトに供給される」とは、さきに述べたように、(i)予め曇点以上の液温に加熱されたクーラントを圧延部に供給する場合、(ii)曇点未満の液温で圧延部に供給されたクーラントが金属材および/または圧延ロールの熱により加熱され、曇点以上の液温でロールバイトに供給される場合、の両方を含む。
まず、タンデム式冷間圧延機による鋼板の冷間圧延では、全圧延スタンドの圧延において曇点以上の液温のクーラントがロールバイトに供給されるようにしてもよいが、より好ましい実施形態では、各圧延スタンドの圧延条件に応じて、高い潤滑性が必要とされる圧延スタンドにおいて曇点以上の液温のクーラントがロールバイトに供給されるようにする。すなわち、圧延の際に必要とされる潤滑性は、圧延スタンドの前・後段位置の違い、被圧延材の種類や寸法、ロール径、ロール粗さ、圧延速度等によって異なり、圧延スタンドのなかには、潤滑性をあまり必要としない場合もある。したがって、曇点未満の液温のクーラントによる潤滑効果では十分な潤滑性を確保できず、必要な圧下率を採ることができないような場合に、曇点以上の液温のクーラントがロールバイトに供給されるようにすればよい。
タンデム式冷間圧延機においては、各スタンドにおいて材料が連続的に順次圧下されていくため、前段スタンドに較べて後段スタンドの圧延速度は高速になるととともに、材料の加工硬化によって後段スタンドほど接触面圧が高くなり、材料温度も上昇していく。すなわち、前段スタンドに較べて後段スタンドでの圧延条件は非常に過酷になるため、そのような圧延条件の変化に応じた潤滑性の向上が必要となる。
したがって、本発明のより具体的で好ましい実施形態では、低速で材料の加工硬化も大きくない前段スタンドにおいては、ロールバイトに曇点以下の液温のクーラント(水溶性潤滑剤が水に溶解した状態のクーラント)が供給され、圧延条件が過酷になる後段スタンドにおいては、ロールバイトに曇点以上の液温のクーラントが供給されるようにする。これによって、後段スタンドでは十分な潤滑性を確保することが可能になる。
従来のようにエマルションタイプのクーラントを用いる圧延では、前段スタンドと後段スタンドでのクーラント供給量が異なるようにして、後段スタンドほど供給量を増加させる工夫をするのが通常であるが、本発明の上記実施形態によれば、クーラントの液温を前段スタンドと後段スタンドとで異なる温度にすることで、圧延条件に応じた潤滑状態の調整が可能となる。
また、曇点以上の液温でロールバイトに供給するクーラントを後段スタンドに限定することによって、循環系全体としてのクーラント温度の上昇を抑制することができるため、液中固形物の除去処理における良好な固形物分離性等を維持するのが容易になる。
なお、上述したように圧延の際に必要とされる潤滑性は、各圧延スタンドの圧延条件によって異なり、したがって、通常は第1スタンドについては曇点未満の液温のクーラントを供給し、第2スタンド以降において曇点以上の液温のクーラントを供給するかどうかを決定するものであるが、例えば、硬質材の圧延においては、第1スタンドであっても曇点以上の液温のクーラントを供給するようにしてもよい。また、被圧延材の変形抵抗に応じて、曇点以上の液温のクーラントを供給するスタンドを変更してもよい。
また、本発明の他の好ましい実施形態においては、タンデム式冷間圧延機の最終圧延スタンドでは、曇点未満の液温のクーラントがロールバイトに供給されるようにする。
上述したように、タンデム式冷間圧延機において曇点以上の液温のクーラントをロールバイトに供給することで、鋼板への潤滑剤成分の付着性を向上させ、潤滑性を高めることが可能であるが、鋼板に付着した潤滑剤成分がそのままコイルに巻き込まれると、循環使用しているクーラント中の潤滑剤成分が鋼板によって持ち出され、通常のソリューション潤滑のみの場合に比べると、その分の潤滑剤の原単位が低下してしまう。
そこで、この実施形態では、最終圧延スタンドのクーラントは、曇点未満の液温でロールバイトに供給されるようにする。液温が曇点未満のクーラントは、潤滑剤が水への溶解性を維持しているため高い洗浄性を有し、前段スタンドまでに鋼板に付着している潤滑剤成分を最終圧延スタンドにおいて一定量洗い流すことが可能となる。これによって、鋼板により持ち出される潤滑剤成分の量が低減され、潤滑剤の原単位を大幅に向上させることができる。
なお、通常のシートゲージの鋼板のタンデム圧延においては、鋼板表面にダル目を付与するために、最終圧延スタンドではダル加工したワークロールを使用して圧下率5%程度の軽圧下圧延が行われる。そのような圧延条件においては、本来的に高い潤滑性は必要なく、本実施形態のように曇点未満の液温の潤滑性が低いクーラントを使用しても十分圧延が可能である。
以上述べたようなタンデム式圧延機による冷間圧延の実施形態からして、例えば、普通鋼板などの冷間圧延を4スタンド以上(一般には5スタンド)のタンデム式圧延機で行う場合、第1スタンドと最終スタンドでは、曇点未満の液温のクーラントがロールバイトに供給されるようにし、その他のスタンドでは、圧延条件に応じて(すなわち、必要に応じて)曇点以上の液温のクーラントがロールバイトに供給されるようにするのが、特に好ましい実施形態の1つであると言える。
次に、レバース式冷間圧延機による鋼板の冷間圧延について説明すると、この場合も全圧延パスにおいて曇点以上の液温のクーラントがロールバイトに供給されるようにしてもよいが、より好ましい実施形態では、各圧延パスの圧延条件に応じて、高い潤滑性が必要とされる圧延パスにおいて曇点以上の液温のクーラントがロールバイトに供給されるようにする。すなわち、圧延の際に必要とされる潤滑性は、圧延パスの段階の違い、被圧延材の種類や寸法、ロール径、ロール粗さ、圧延速度等によって異なり、圧延パスのなかには潤滑性をあまり必要としない場合もある。したがって、曇点未満の液温のクーラントによる潤滑効果では十分な潤滑性を確保できず、必要な圧下率を採ることができないような場合に、曇点以上の液温のクーラントがロールバイトに供給されるようにすればよい。
レバース式冷間圧延機においては、圧延パス毎に材料が圧下されていくため、材料の加工硬化の影響により中間パス以降の接触面圧が高く、材料温度も上昇していく。すなわち、初期パスに較べて後の圧延パスでの圧延条件は非常に過酷になるため、そのような圧延条件の変化に応じた潤滑性の向上が必要となる。
したがって、本発明のより具体的で好ましい実施形態では、材料の加工硬化も大きくない初期パスでは、ロールバイトに曇点以下の液温のクーラント(水溶性潤滑剤が水に溶解した状態のクーラント)が供給され、圧延条件が過酷になる後段パスにおいては、ロールバイトに曇点以上の液温のクーラントが供給されるようにする。これによって、後段パスでは十分な潤滑性を確保することが可能になる。
また、曇点以上の液温でロールバイトに供給するクーラントを後段パスに限定することによって、循環系全体としてのクーラント温度の上昇を抑制することができるため、液中固形物のフィルター除去処理での良好なフィルタリング性等を維持するのが容易になる。
また、レバース式冷間圧延機で圧延を行う本発明の他の好ましい実施形態においては、レバース式冷間圧延機の最終圧延パスでは、曇点未満の液温のクーラントがロールバイトに供給されるようにする。
上述したタンデム式冷間圧延機で圧延を行う場合と同様に、曇点未満の液温のクーラントは潤滑剤の水への溶解性を維持しているため高い洗浄性を有しており、前パスまでに鋼板に付着している潤滑成分を最終圧延パスにおいて一定量洗い流すことが可能となる。このため鋼板に付着した潤滑剤成分の持ち出しによる潤滑剤の原単位低下を防止することができる。
以上述べたようなレバース式圧延機による冷間圧延の実施形態からして、例えば、普通鋼板などの冷間圧延をレバース式圧延機により4パス以上で行う場合、第1パスと最終パスでは曇点未満の液温のクーラントがロールバイトに供給されるようにし、その他のパスでは、圧延条件に応じて(すなわち、必要に応じて)曇点以上の液温のクーラントがロールバイトに供給されるようにするのが、特に好ましい実施形態の1つであると言える。
さきに述べたように、本発明においてクーラントを循環使用する場合には、鋼板及び/又は圧延ロールに供給後、回収されたクーラントに対して、その曇点未満の液温で液中固形物の除去処理を施すものであり、これによりクーラント中の固形物粉などを効率的に分離除去でき、潤滑剤のロス(系外への排出)を最小限に抑えることができる。
ここで、鋼板及び/又は圧延ロールに供給後、回収されたクーラントは、事前に加熱されることにより或いは鋼板及び/又は圧延ロールの熱で加熱されることにより、曇点以上の液温になっている場合があり、その場合には液中固形物の除去処理前にクーラントをクーラー及び/又は循環系内での自然冷却などによって冷却し、曇点未満の液温にしておく。
なお、液中固形物の除去処理を行う手段としては、フィルター方式(ホフマンフィルタ、電磁フィルター等)、遠心分離方式、磁気吸着方式など適宜な方式のものでよい。
以下、本発明の実施に供される圧延設備について説明する。
図1は、本発明の実施に供されるタンデム式冷間圧延機の一実施形態を示すもので、本実施形態のタンデム式冷間圧延機は、5基の圧延スタンド4a〜4eを備えている。
各圧延スタンド4a〜4eのロールバイト入側には、クーラントを供給するためのスプレーノズル5a〜5eが設置されており、これら各スプレーノズル5a〜5eから各スタンド毎に潤滑用のクーラントが供給されるようになっている。なお、図1には明示していないが、通常は、ロール・鋼板冷却用のクーラントを供給するためのスプレーノズルも設置されており、スプレーノズル5a〜5eと同様に、これら各スプレーノズルからスタンド毎に冷却のためのクーラントが供給されるようになっている。
クーラント循環系は、圧延スタンド4a〜4eに下方に配置されたクーラント回収用のオイルパン7と、このオイルパン7で回収されたクーラントが集められるタンク9と、このタンク9から供給されるクーラントから摩耗粉などの液中固形物を除去する固形物除去装置10と、この液中固形物の除去処理を施したクーラントを一時貯留するタンク11と、このタンク11から各スプレーノズル5a〜5eにクーラントを供給する供給系13などを備えているが、さらに、前記供給系13の途中にクーラント加熱装置6が設けられている。本実施形態では、各スタンドに設置されたスプレーノズルにクーラントを供給する供給支管130の途中にクーラント加熱装置6が設置されており、より詳細には、第2圧延スタンド4b〜第4圧延スタンド4dの各スプレーノズル5b〜5d用のクーラント供給支管130に、クーラント加熱装置6b〜6dが設置されている。
クーラント加熱装置6b〜6dは、クーラントをその曇点以上の液温に加熱することを目的とするものであるが、実用的なクーラントの曇点(好ましくは70℃以下)からして、クーラント加熱装置6b〜6dはクーラントを70℃以上(沸点未満)の温度に昇温させ得る装置であればよい。したがって、電気、ガス、蒸気等による直接加熱方式や間接加熱方式などの各種の加熱装置を用いることが可能であり、必要なスプレー流量やクーラントの液温を変化させる際の応答性などを考慮して、経済的な加熱装置を選択すればよい。
前記固形物除去装置10としては、クーラントを濾過して固形物を除去するフィルター方式が最も簡便であるが、それ以外に、遠心分離方式、磁気吸着方式など適宜な方式のものを採用することができる。また、必要に応じてタンク11にクーラントの加熱装置を設けてもよい。
なお、本実施形態では、第1圧延スタンド4aと最終圧延スタンド4eにはクーラント加熱装置が設置されていないが、これは以下のような理由による。まず、第1圧延スタンド4aでは加工硬化をしていない材料が圧延されるため、クーラントを曇点以上の液温に加熱して高い潤滑性を得る必要はなく、ソリューション状態のクーラントによる潤滑性があれば十分だからである。また、最終圧延スタンド4eでは主としてワークロールにダルロールを使用して表面調整を行うために、圧下率5%以下の軽圧下となり、この場合も高い潤滑性は必要としないからである。さらに、さきに述べたように、曇点未満の液温であるソリューション状態のクーラントをスプレーすることで、鋼板に付着している潤滑剤成分を洗い流すことができ、潤滑剤成分の持ち出しを低減して、原単位を大きく向上させることが可能である。
但し、設備的に第1圧延スタンド4aや最終圧延スタンド4eのスプレーノズル用のクーラント供給支管130にクーラント加熱装置を設置し、必要に応じてクーラントを曇点以上に加熱しもよいことは言うまでもなく、例えば、硬質材を圧延する場合や最終スタンドでも通常の圧下率を確保する必要がある場合には、第1圧延スタンド4aや最終圧延スタンド4eにおいてクーラントを加熱することがあり得る。
また、本実施形態では、オイルパン7からタンク9に供給されるクーラントを冷却するためのクーラー8が設置されている。このクーラー8は、オイルパン7で回収されたクーラントが曇点以上の液温である場合、これを曇点未満の液温に冷却するためのものである。すなわち、クーラントの液温が曇点未満であれば、潤滑剤成分が水に溶解した状態となり、摩耗粉などの液中固形物とクーラントとの分離性が向上して固形物除去装置10での分離効率が向上するとともに、潤滑剤がフィルターなどの固形物除去手段にトラップされる量(フィルターロスなど)を低減することが可能である。なお、クーラー8は、固形物除去装置10(液中固形物の除去処理工程)の前であれば、適宜な位置に設置することができる。
その他の構成として、タンク11には固形物粉の分離除去を行うための第2の固形物除去装置12が付設されている。また、Pはクーラント移送用のポンプ、14は溶接機、15は切断機、16はルーパである。
なお、クーラントから摩耗粉などの液中固形物を分離除去するための固形物除去装置の種類、設置数、設置位置などは任意であり、本実施形態に限定されるものではない。また、クーラント循環系に本実施形態のようなタンク9,11を設けることも任意である。
図1の圧延設備では、ペイオフリール2のコイルから払出された鋼板1を5基の圧延スタンド4a〜4eにより連続的に圧延した後、テンションリール3に巻取る。各圧延スタンド4a〜4eのロールバイト入側では、スプレーノズル5a〜5eから各スタンド毎に潤滑用のクーラントが供給されるが、第2圧延スタンド4b〜第4圧延スタンド4dでは、必要に応じてクーラント加熱装置6b〜6dによりクーラントの液温が曇点以上の温度に加熱され、この加熱されたクーラントが各々のスプレーノズルに供給される。
なお、第2圧延スタンド4b〜第4圧延スタンド4dでは、被圧延材の種類や板厚、速度、ロール粗さなどの圧延条件に応じて、高い潤滑性を必要とする場合にはクーラントの加熱を行う一方で、高い潤滑性を必要としない対象材については、圧延スタンド毎にクーラント加熱装置6を使用するかどうかを判断して、必要なスタンドにのみ加熱したクーラントを供給すればよい。
具体的には、循環使用するクーラントの温度と摩擦係数の関係を予め調べておき、圧延前に曇点未満の温度域における摩擦係数の値を用いてパススケジュール計算を行う。その際に、スタンド毎に設定されている限界圧延荷重やトルクに対して、パススケジュール計算の結果が、そのような限界値を超えている場合には、改めて曇点以上の温度域における摩擦係数を用いたパススケジュール計算を行い、全スタンドにおいて制約条件を満足した場合に設定計算を終了する。このようにして得られた条件に応じて、クーラントを曇点以上に加熱すべきスタンドを決定して、クーラント加熱装置6b〜6dの使用・不使用を決定することができる。
スプレーノズル5a〜5eから供給されたクーラントはオイルパン7で回収され、必要に応じてクーラー8で冷却された後、タンク9を経て固形物除去装置10に送られ、摩耗粉などの液中固形物が除去される。この固形物除去処理を経たクーラントは、タンク11及び必要に応じて固形物除去装置12を経て供給系13を通じてスプレーノズル5a〜5eに送られ、再使用(循環使用)される。
図2は、本発明の実施に供されるレバース式冷間圧延機の一実施形態を示すもので、本実施形態のレバース式冷間圧延機は1基の4段式圧延スタンド4fを備えている。
圧延スタンド4fのロールバイト両側(圧延スタンド入出側)には、クーラントを供給するスプレーノズル5f,5gが設置されており、レバース圧延中いずれかのスプレーノズル5f,5gから潤滑用のクーラントが供給されるようになっている。
クーラント循環系は、圧延スタンド4fに下方に配置されたクーラント回収用のオイルパン7と、このオイルパン7で回収されたクーラントが集められるタンク22と、このタンク22内のクーラントから摩耗粉などの液中固形物を除去する固形物除去装置23と、この液中固形物の除去処理を施したクーラントをスプレーノズル5f,5gに供給する供給系24などを備えているが、さらに、前記供給系24の途中にクーラント加熱装置6が設けられている。本実施形態では、各スプレーノズル5f,5gにクーラントを供給する供給支管240の途中にクーラント加熱装置6f,6gが設置されている。このクーラント加熱装置の条件は、さきに図1に関して述べたものと同様である。
前記固形物除去装置23としては、クーラントを濾過して固形物を除去するフィルター方式が最も簡便であるが、それ以外に、遠心分離方式、磁気吸着方式など適宜な方式のものを採用することができる。また、必要に応じてタンク22にクーラントの加熱装置を設けてもよい。
また、本実施形態では、オイルパン7からタンク22に供給されるクーラントを冷却するためのクーラー8が設置されている。このクーラー8の詳細については、図1に関して説明したと同様である。
なお、レバース式圧延機の形式としては6段式やクラスタータイプの圧延機であってもよく、2つ以上のスタンドが連続配置されて、全体として可逆式の圧延が行われる形式のものであってもよい。また、クーラントから摩耗粉などの固形物粉を分離除去するための固形物除去装置の種類、設置数、設置位置などは任意であり、本実施形態に限定されるものではない。また、クーラント循環系に本実施形態のようなタンク22を設けることも任意である。
その他の図面において、Pはクーラント移送用のポンプである。
図2の圧延設備では、鋼板1を左右のテンションリール21a、21bによって交互に巻き取りながら、多パス圧延を行う。この各圧延パスにおいて、圧延方向に対して圧延機4f入側に設置されたスプレーノズル5f又は5gから潤滑用のクーラントが供給される。但し、冷却用として出側のスプレーノズルを使用してもよく、図示した以外に冷却用スプレーを圧延ロールなどに噴射していてもよい。潤滑用のクーラントは、必要に応じてクーラント加熱装置6f,6gにより曇点以上の液温に加熱され、この加熱されたクーラントが各々のスプレーノズルに供給される。
スプレーノズル5f,5gから供給されたクーラントはオイルパン7で回収され、必要に応じてクーラー8で冷却された後、タンク22を経て固形物除去装置23で摩耗粉などの液中固形物が除去される。この固形物除去処理を経たクーラントは、供給系24を通じてスプレーノズル5f,5gに送られ、再使用(循環使用)される。
[実施例1]
本実施例で用いたクーラントの組成と曇点を表1に示す。クーラントの組成は、水に添加した添加成分(潤滑剤など)の質量比率で示した。各クーラントは表1の潤滑剤を水で3%に希釈したものである。表1の成分A,B,C,Dは、以下に示すポリアルキレングリコールである。
成分A:ポリオキシエチレンプロピレングリコールモノアルキルエーテル=数平均分子量2000,動粘度134mm/s(40℃)
成分B:ポリオキシエチレンプロピレングリコールモノアルキルエーテル=数平均分子量1000,動粘度51mm/s(40℃)
成分C:ポリオキシエチレンプロピレングリコールモノアルキルエーテル=数平均分子量500,動粘度19.7mm/s(40℃)
成分D:ポリオキシエチレンプロピレングリコール=数平均分子量1400,動粘度126mm/s(40℃)
表1に示すS1〜S5のうち、S1〜S4は水溶性潤滑剤としてポリアルキレングリコールを配合したソリューションタイプのクーラントである。一方、S5は調質圧延に使用される潤滑剤であり、ソリューションタイプのクーラントではあるが、ポリアルキレングリコールを含まず、曇点も有しない。また、比較のために、通常の冷間圧延に使用されるエマルションタイプのクーラントとしてE1を用いた。このE1は、基油が合成エステル60mass%、天然油脂30mass%、高級脂肪酸5mass%から構成され、ノニオン系界面活性剤2mass%及び極圧添加剤等3mass%を含む潤滑剤を、濃度2mass%で60℃の水に希釈して、攪拌機によってエマルション粒径が8μmになるように調整したものである。
本実施例では、板厚1mmの普通鋼板を被圧延材として、ワークロール径φ500mm、圧延速度1200mpmの条件で冷間圧延を行い、各クーラントの潤滑性を調べた。なお、ワークロールは5%Cr鍛造鋼であり、表面粗さはRa0.5μmである。
図3は、クーラントS1(曇点50℃)を用いた場合の潤滑性(単位幅圧延荷重)を示したものであり、クーラントS1を常温である15℃の状態及び60℃に加熱した状態で、それぞれロールバイトに供給しつつ圧延を行った結果を示している。また、比較として、エマルションタイプであるクーラントE1を供給しつつ圧延した場合と、水のみを供給しつつ圧延した場合の結果も併せて示している。
なお、圧延荷重と圧延潤滑性との関係については、同一の圧下率であれば、ロールバイトでの摩擦係数が低いほど圧延荷重が低減するため、圧延荷重が低いほど良好な潤滑性を示しているものと解釈できる。
図3によれば、水のみの圧延では圧延荷重が高く潤滑性が劣ること、また、エマルションタイプのクーラントE1の潤滑性が優れていることが判る。一方、曇点が50℃であるクーラントS1を液温15℃でロールバイトに供給した場合には潤滑性が劣るが、曇点以上である液温60℃でロールバイトに供給した場合には、エマルションタイプのクーラントE1と同程度の良好な潤滑性が得られることが判る。
クーラントS1の液温15℃と液温60℃における外観を図4に示す。同図から判るように、曇点未満の液温15℃では透明又は半透明な水溶液としての外観を呈しているが、曇点以上の液温60℃では白濁しており、これは水に溶解していた潤滑成分の溶解度が低下して、大きな粒として水中に分散している状態であることが判る。このような曇点以上の液温では、エマルションと同様に、鋼板やロールへの潤滑剤成分の付着性が向上した結果、ロールバイトでの潤滑膜厚が増加して、冷間圧延時の潤滑性を向上させたものと考えられる。
次に、クーラントS3を上記と同じ条件の冷間圧延に供し、潤滑性を評価した結果を図5に示す。この場合も、クーラントS3を常温である15℃の状態及び60℃に加熱した状態で、それぞれロールバイトに供給しつつ圧延を行った。また、比較として、エマルションタイプであるクーラントE1を供給しつつ圧延した場合と、水のみを供給しつつ圧延した場合の結果も併せて示している。
図5によれば、曇点が90℃であるクーラントS3を液温60℃でロールバイトに供給しても、潤滑性は液温15℃で供給した場合とほとんど変わらず、エマルションタイプのクーラントE1のような潤滑性は得られていない。
次に、クーラントS1〜S5について、液温を10〜80℃(クーラントS3の場合は10〜90℃)の範囲で変更して、上記と同じ条件の冷間圧延に供し、圧延時の摩擦係数を調べた結果を図6に示す。摩擦係数は圧下率20%におけるものである。
図6によれば、曇点50℃であるクーラントS1、曇点60℃であるクーラントS2及び曇点90℃であるクーラントS3については、各々の曇点を境にして摩擦係数が大きく変化しており、曇点以上の液温で使用された場合には摩擦係数が低減され、潤滑性が大きく向上していることが判る。一方、曇点100℃以上であるクーラントS4、曇点を有しないクーラントS5では、液温10〜80℃の範囲においては液温の違いによる摩擦係数の変化は極めて小さく、クーラントの液温を調整しても潤滑性を向上させられないことが判る。
[実施例2]
図2に示すレバース式冷間圧延機による冷間圧延において、実施例1に示したクーラントS1,S5、E1を循環使用した。この圧延では、熱延及び酸洗後の板厚2.8mmの普通鋼コイルに対して6パスのレバース圧延を行った。
クーラントS1の場合には、液温20℃で循環させながら、第1パス及び第6パス(最終パス)では液温20℃のままロールバイトに供給し、第2パス〜第5パスでは液温60℃に加熱した状態でロールバイトに供給した。
一方、クーラントS5、クーラントE1の場合には、液温を60℃まで昇温した状態で循環され、第1パス〜第6パスのすべてにおいて液温60℃でロールバイトに供給した。
図7に各パスにおける摩擦係数を示す。これによれば、曇点90℃のクーラントS5は液温60℃でロールバイトに供給されているため潤滑性が劣り、このため第4パスまでに摩擦係数が急激に上昇し、それ以上は圧延を継続することができなくなった。一方、曇点50℃であるクーラントS1については、液温20℃で供給された第1パス及び第6パスでの摩擦係数は高いものの、曇点よりも高い液温60℃で供給された第2パス〜第5パスにおける摩擦係数は低く、クーラントE1と同程度の良好な潤滑性を示している。
また、以上のようにしてレバース圧延した後、コイルに巻き取った鋼板について、表面に残留している潤滑成分の量を測定した。その結果、クーラントE1を使用して圧延した鋼板には約200mg/mの圧延油が残留していたが、クーラントS1を使用して圧延した鋼板は、潤滑成分の残留量は約30mg/mと大幅に低減していた。なお、この鋼板は第5パス終了後の鋼板表面には約230mg/mの潤滑成分が残留していたことから、最終パスにおいて液温が曇点未満の流動性が高いクーラントを供給したことによって、鋼板に付着していた潤滑剤成分の多くが洗い流されたものと考えられる。このことは、圧延後の鋼板が持ち出す潤滑剤成分を大幅に低減させ、循環系から失われる潤滑剤の量がエマルションタイプのクーラントに較べて大幅に低減できることを示している。
さらに、クーラントE1を使用した場合には、循環中のクーラントに摩耗粉(主として鉄粉)が混入して、クーラントの外観が黒ずんできたのに対して、クーラントS1を使用した場合には、固形物除去装置(フィルター)によって摩耗粉が除去され、循環中は透明な外観を維持していた。このことは、摩耗粉がクーラント中に混入することで発生する鋼板表面疵を低減できることも示している。また、フィルターなどの固形物除去手段によって持ち出される潤滑剤成分の量も大幅に低減され、全体としての潤滑剤の消費量は、クーラントE1の場合に比べて約1/3と大幅に減少した。
本発明の実施に供されるタンデム式冷間圧延機の一例を示す説明図 本発明の実施に供されるレバース式冷間圧延機の一例を示す説明図 実施例1において、クーラントS1を曇点以上と曇点未満の液温で用いた場合の圧下率と潤滑性(圧延荷重)との関係を示すグラフ 実施例1において用いた液温が異なるクーラントの外観を示す写真 実施例1において、クーラントS3を曇点未満の2水準の液温で用いた場合の圧下率と潤滑性(圧延荷重)との関係を示すグラフ 実施例1において、クーラントS1〜Sを異なる液温で用いた場合のクーラント液温と摩擦係数との関係を示すグラフ 実施例2において、クーラントS1,S5を用いた場合の各パスでの摩擦係数を示すグラフ
符号の説明
1 鋼板
2 ペイオフリール
3 テンションリール
4a,4b,4c,4d,4e,4f 圧延機
5a,5b,5c,5d,5e,5f スプレーノズル
6b,6c,6d,6f,6g クーラント加熱装置
7 オイルパン
8 クーラー
9,11,22 タンク
10,12,23 固形物除去装置
13,24 クーラント供給系
14 溶接機
15 切断機
16 ルーパ
21a,21b テンションリール
130,240 供給支管

Claims (9)

  1. クーラントを供給しつつ金属板の冷間圧延を行う方法において、
    水溶性潤滑剤を主体とする潤滑剤を水で希釈し且つ前記水溶性潤滑剤を溶解することにより曇点を有する溶液であって、前記水溶性潤滑剤の少なくとも一部がポリアルキレングリコールである溶液をクーラントとして用いるとともに、少なくとも一部の圧延スタンド又は圧延パスにおいて、前記クーラントがその曇点以上の液温でロールバイトに供給されるようにしたことを特徴とする金属板の冷間圧延方法。
  2. クーラントを循環使用するとともに、金属板及び/又は圧延ロールに供給後、回収されたクーラントに対して、その曇点未満の液温で液中固形物の除去処理を施すことを特徴とする請求項1に記載の金属板の冷間圧延方法。
  3. 予め曇点以上の液温に加熱されたクーラントを金属板及び/又は圧延ロールに供給することにより、クーラントがその曇点以上の液温でロールバイトに供給されるようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の金属板の冷間圧延方法。
  4. 曇点未満の液温のクーラントを金属板及び/又は圧延ロールに供給し、金属板及び/又は圧延ロールの熱により前記クーラントがその曇点以上の液温に加熱され、曇点以上の液温でロールバイトに供給されるようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の金属板の冷間圧延方法。
  5. クーラントの曇点が20℃以上、沸点未満であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の金属板の冷間圧延方法。
  6. タンデム式冷間圧延機又はレバース式冷間圧延機において金属板を冷間圧延するに際し、タンデム式冷間圧延機の各圧延スタンド又はレバース式冷間圧延機の各圧延パスでの圧延条件に応じて、クーラントがその曇点以上の液温でロールバイトに供給されるようにしたことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の金属板の冷間圧延方法。
  7. 最終圧延スタンド又は最終圧延パスでは、クーラントがその曇点未満の液温でロールバイトに供給されるようにしたことを特徴とする請求項に記載の金属板の冷間圧延方法。
  8. 水溶性潤滑剤を主体とする潤滑剤を水で希釈し且つ前記水溶性潤滑剤を溶解することにより曇点を有する溶液であって、前記水溶性潤滑剤の少なくとも一部がポリアルキレングリコールである溶液からなることを特徴とする金属板の冷間圧延用クーラント。
  9. 曇点が20℃以上、沸点未満であることを特徴とする請求項に記載の金属板の冷間圧延用クーラント。
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