以下、図面を参照して、本発明に係る実施形態について説明する。
〔第1の実施形態〕
図1は第1の実施形態に係る装身具用留め具100を示す正面断面図、図2は装身具用留め具100の分解斜視図である。なお、図2においては、左右の位置関係が図1に対しほぼ反転している。
図1及び図2に示すように、第1の実施形態に係る装身具用留め具100は、本体ケース(本体部)10と、この本体ケース10内に差し込まれる差込部材20と、本体ケース10に差し込まれた差込部材20に係合することによって該差込部材20を本体ケース10内より抜け止めされた状態とする係合部31と、該係合部31と差込部材20との係合状態を解除操作するための操作部32と、を備えている。
ここで、係合部31と操作部32とは相互に一体的に構成されている。すなわち、係合部31と操作部32とはそれぞれ可動部材30の一部分ずつを構成している。この可動部材30は、本体ケース10に取付けられて、該本体ケース10に対し可動となるものである。
更に、装身具用留め具100は、可動部材30を付勢するコイルスプリング(可動部材付勢手段)40と、このコイルスプリング40及び可動部材30が本体ケース10から脱落してしまうことを防止するピン(単一の部材)50と、を備えている。
そして、この単一の部材、すなわちピン50により、係合部31及び操作部32を有する可動部材30が、本体ケース10に取付けられるようになっている。
以下、各構成要素について詳しく説明する。
<ピン>
本実施形態の場合、ピン50は、例えば、図3に示すように、バネ棒である。
すなわち、ピン50は、筒状の本体筒51と、この本体筒51の両端の開口部よりそれぞれ突出可能となるように該本体筒51に設けられた突出部材52と、本体筒51内に圧縮状態で配設された圧縮型のコイルスプリング(付勢手段)53と、を備えている。
このうち突出部材52は、本体筒51内に配置され該本体筒51の内周面に沿って摺動する摺動部52aと、この摺動部52aよりも小径に構成され本体筒51外に突出させたり該本体筒51内に入り込ませたりすることが可能な伸縮部52bと、からなる。
また、本体筒51の両端部は、コイルスプリング53及び一対の突出部材52を該本体筒51内に配置した状態で内側に向けて折り曲げ形成され、該両端部の開口面積が、突出部材52の伸縮部52bの径よりは大きいが摺動部52aの径よりは小さい広さに狭められている。これにより、一対の突出部材52及びコイルスプリング53が本体筒51より脱落防止されている。
このようなピン50においては、突出部材52の伸縮部52bを図3の矢印A方向(右側の突出部材52の場合は矢印B方向)に押すと、該押された突出部材52の伸縮部52bが、コイルスプリング53の付勢に抗して本体筒51内に入り込み、外見上はピン50が縮むような動作となる。なお、この際に、摺動部52aは本体筒51の内周面に沿って摺動する。また、突出部材52に対する押圧力を解除すると、該突出部材52の伸縮部52bは、再びコイルスプリング53の付勢に従って本体筒51外に突出し、外見上はピン50が伸びるような動作となる。
<差込部材>
図1及び図2に示すように、差込部材20において、例えば、少なくとも本体ケース10内に差し込まれる部分は、ピン状(丸棒状)に構成されている。本実施形態の場合、例えば、差込部材20のほぼ全体がピン状に構成されている。
この差込部材20には、係合部31が係合される被係合溝21が形成されている。この被係合溝21は、例えば、差込部材20の胴回りを一周するように形成された、くびれ状の部分となっている。
また、図1に示すように、差込部材20の先端部22は、その先端側に向けて次第に径が細くなるように形成されたテーパ状部22aと、差込部材20の先端側の端面を構成する平面状部22bと、からなる。このうちテーパ状部22aは、差込部材20を本体ケース10内に差し込む際に、該差込部材20を所定位置に案内しやすくするためのものである。また、先端側の端面を平面状部22bとしているのは、該端面が尖っていると使用者の手などが傷ついてしまう虞があるためである。
なお、差込部材20は、例えば、比較的小径の小径部23と比較的大径の大径部24とを備え、このうち小径部23には、上記の被係合溝21及び先端部22が含まれる。また、大径部24は使用者が差込部材20をつまんで扱いやすいように大径に形成されたものである。
なお、大径部24と小径部23との境界部25においては、その外径が大径部24と等しい部分から小径部23に等しい部分へと次第に変化している。
更に、差込部材20の基端部(先端側とは反対側の部分)、すなわち、例えば大径部24の基端部には、差込部材20を例えばネックレス80(図2参照)或いはその他の装身具の一端部と連結するための連結環(連結部)26が形成されている。
<可動部材>
図1及び図2に示すように、可動部材30は、上記のように係合部31及び操作部32を備える他に、該可動部材30の内部にピン50を貫通させるための第1貫通孔33と、該可動部材30の内部に差込部材20(例えば、特に小径部23)を貫通させるための第2貫通孔34と、コイルスプリング40の一部を外挿状態で保持するスプリング保持部35と、コイルスプリング40からの付勢力を受ける付勢受部36と、を備えている。
ここで、可動部材30は、ピン状(丸棒状)に構成されているとともに、その径が、例えば3段階に変化している。すなわち、可動部材30は、例えば、図2に示すように、大径部301、中径部302及び小径部303をこの配置順に備えて構成されている。
そして、可動部材30の一端部(例えば、大径部301)により、操作部32が構成されている。
また、ピン50を貫通させる第1貫通孔33は、可動部材30をその長手方向に対し直交方向へ貫通した状態に形成されている。この第1貫通孔33は、ピン50が貫通した状態でも可動部材30が操作方向及びその反対方向である係合部31の係合方向(図1の矢印E方向及びF方向)に移動できるように、その方向においてはピン50(の本体筒51)の径よりも十分に大きく形成されているが、図1の紙面の手前から奥に向かう方向においてはピン50(の本体筒51)の径よりも僅かだけ大きい寸法に設定されている。
また、差込部材20を貫通させる第2貫通孔34も、可動部材30をその長手方向に対し直交方向に貫通した状態に形成されている。なお、第1及び第2の貫通孔33,34の貫通方向は、例えば、相互に平行な方向に設定されている。従って、差込部材20とピン50とは相互に平行な状態で可動部材30を貫通し、本体ケース10に装着される。また、第2貫通孔34は、差込部材20が貫通した状態でも可動部材30が操作方向及びその反対方向である係合部31の係合方向(図1の矢印E方向及びF方向)に移動できるように、この方向においては差込部材20(の小径部23)の径よりも十分に大きく形成されているが、図1の紙面の手前から奥に向かう方向においては差込部材20(の小径部23)の径よりも僅かだけ大きい寸法に設定されている。
また、係合部31は、例えば、突起部からなり、第2貫通孔34の内周面より該第2貫通孔34の中心側に向けて起立するように形成されている。より具体的には、係合部31が配置されているのは、第2貫通孔34の内周面において、例えば、スプリング保持部35側の部分である。この係合部31には、差込孔13側に臨む傾斜面31a(図1)が形成されている。この傾斜面31aは、差込部材20の先端部22を第2貫通孔34内に好適に案内する。
なお、第1貫通孔33は、例えば、大径部301から中径部302にかけての部分に設けられ、第2貫通孔34は、例えば、中径部302に設けられている。
また、スプリング保持部35は、例えば、小径部303により構成されている。このスプリング保持部35の径(つまり、例えば小径部303の径)は、コイルスプリング40の内径とほぼ同じに設定されている。
また、コイルスプリング40からの付勢力を受ける付勢受部36は、例えば、小径部303と中径部302との境界の段差部により構成されている。
<本体ケース>
図1及び図2に示すように、本体ケース10は、例えば、楕円柱状の筐体状に構成されている。
この本体ケース10には、可動部材30、コイルスプリング40及びピン50の配設領域となる配設孔11が形成されている。
後述するように、可動部材30、コイルスプリング40及びピン50は配設孔11内に挿入されて、該配設孔11内に配置される。
また、本体ケース10の内部には、配設孔11を構成する筒状の壁状部12が、該本体ケース10と一体形成されている。
更に、本体ケース10には、差込部材20が差し込まれる差込孔13が形成されている。この差込孔13は、差込部材20の差込方向が、配設孔11への可動部材30の挿入方向とは交差方向、より具体的には直交方向となるように形成されている。なお、より具体的には、差込部材20の差込方向と、配設孔11への可動部材30の挿入方向と、が同一平面内に含まれるようになっている。
また、壁状部12には、貫通孔12aが形成され、この貫通孔12aを、差込孔13より差し込まれた差込部材20が貫通するようになっている。なお、この貫通孔12aにおいて差込孔13側に臨む部位は、差込孔13に近づくにつれて広がる(差込孔13から遠ざかるにつれて狭まる)すり鉢状部12bとされ、差込部材20の先端部22を該貫通孔12aの中心位置へと好適に案内する。
なお、本体ケース10内部空間において、壁状部12よりも差込孔13に近い部分、並びに、壁状部12よりも差込孔13から遠い部分は、それぞれ差込部材20が差し込まれる空間部18、19を構成している。
更に、壁状部12には、ピン50を位置決めさせるための一対の孔部14、15が形成されている。これら位置決め用の孔部14,15は、より具体的には、例えば、ピン50の両端部、すなわち両伸縮部52bを位置決めすることにより、該ピン50を本体ケース10内に位置決めさせるものである。
孔部14,15のうち、差込孔13側に臨む孔部15の内径は、ピン50の突出部材52の伸縮部52bの外径よりも僅かだけ大きい程度に設定されている。
他方、孔部14の内径は、図1の紙面の手前から奥に向かう方向においては、孔部15と同様に、伸縮部52bの外径よりも僅かだけ大きい程度に設定されているが、図1の矢印E及びF方向には伸縮部52bの外径よりも十分大きい径に設定されている。つまり、孔部14は図1の矢印E及びF方向に長い長孔となっている。これは、後述するように、ピン50を外す際における伸縮部52bの傾動領域を確保するためである。
なお、孔部15は配設孔11及び空間部18へと連通し、孔部14は配設孔11及び空間部19へと連通している。
また、本体ケース10の外面において、差込孔13とは反対側の部分には、例えば、ネックレス80(図2参照)或いはその他の装身具の一端部(例えば、差込部材20の連結環26と連結されるのとは反対側の端部)と連結するための連結環(連結部)16が形成されている。
なお、配設孔11の底部、つまり、本体ケース10の外面に対し裏面となる内周面は、コイルスプリング40に反力を付与する反力付与部17を構成している。
<コイルスプリング>
コイルスプリング40は、例えば圧縮型のコイルスプリングである。
<組み付け>
以上のように構成された装身具用留め具100の各構成要素の組み付けは、例えば、以下の要領で行うことができる。
先ず、可動部材30のスプリング保持部35にコイルスプリング40の一部を外挿する。ここで、スプリング保持部35の外径は、コイルスプリング40の内径とほぼ等しいため、コイルスプリング40は、手を離しても落下しない。
そして、コイルスプリング40及び可動部材30を配設孔11内に図2の矢印C方向に挿入する。
この際に、可動部材30の第1貫通孔33内にピン50を挿入し、該ピン50とともに可動部材30を配設孔11内に押し込んでゆく。
ここで、ピン50の一端側の伸縮部52bが孔部14内に入り込むようにピン50を傾けるとともに、他端側の伸縮部52bは押圧して縮めた状態とし、該他端側の伸縮部52bの先端部を配設孔11の内周壁に沿わせながら、可動部材30を配設孔11に押し込む。
そして、ピン50が配設孔11内に入り込んだ後も、更に、操作部32を矢印C方向に押し込む。
すると、前記他端側の伸縮部52bが孔部15に達した時点で該伸縮部52bがピン50内のスプリング53の付勢に従って突出して孔部15内に入り込み、図1に示す状態にピン50が配置される。
そして、操作部32に対する矢印C方向への押圧力を解除すると、可動部材30及びコイルスプリング40の配置も図1に示す状態となる。
図1に示すようにピン50が配置された状態では、可動部材30(の操作部32)を矢印E方向に押圧する力を解除しても、可動部材30、ピン50及びコイルスプリング40が本体ケース10から脱落しない。これは、ピン50の両端部の一対の伸縮部52bがそれぞれ孔部14、15から抗力を受け、更に、ピン50から可動部材30が抗力を受け、更に、可動部材30の付勢受部36からコイルスプリング40が抗力を受けるからである。
なお、図1に示す状態で、コイルスプリング40は、付勢受部36と反力付与部17とに挟持されて、圧縮状態となっている。
また、操作部32は本体ケース10外に突出した状態となる。
<動作>
次に、以上のような構成の装身具用留め具100の動作について説明する。
先ず、係合部31と差込部材20との係合動作について説明する。
係合部31と差込部材20とを係合させるには、差込部材20をその先端部22側から本体ケース10の差込孔13内へと図2の矢印D方向に差し込む。
この際に、差込部材20の先端部22が貫通孔12aのセンター位置からずれていても、該先端部22がすり鉢状部12bにより貫通孔12aのセンター位置へと案内される。
また、差込部材20の先端部22が可動部材30の第2貫通孔34内に差し込まれて係合部31に達した後、更に奥へと差し込まれると、係合部31は徐々に先端部22のテーパ状部22aに押圧され、コイルスプリング40の付勢力に抗して図1の矢印E方向に移動する。なお、この際に、係合部31とともに、可動部材30の全体が矢印E方向に移動する。また、この際に、ピン50は動かないが、可動部材30が矢印E方向に移動するため、ピン50は、第1貫通孔34内において、可動部材30に対し矢印E方向とは反対方向の矢印F方向へと相対的に移動する。
その後、更に、差込部材20が奥へと差し込まれ、該差込部材20の被係合溝21が係合部31に達すると、該係合部31がコイルスプリング40の付勢力に従って矢印F方向に移動して被係合溝21内に入り込み、該被係合溝21と係合する。この際に、係合部31とともに、可動部材30の全体が矢印F方向に移動する。また、この際に、ピン50は動かないが、可動部材30が矢印F方向に移動するため、ピン50は、第1貫通孔34内において、可動部材30に対し矢印E方向へと相対的に移動する。
こうして、図1に示すように、差込部材20に対し係合部31が係合し、該差込部材20が本体ケース10から抜け止めされた状態となる。
次に、係合解除動作について説明する。
係合部31と差込部材20との係合状態を解除させるには、操作部32を矢印E方向に押圧操作する。すなわち、操作部32を含む可動部材30の全体を、コイルスプリング40の付勢に抗して矢印E方向に押すことにより、係合部31と差込部材20との係合状態が解除される。このように操作を行った状態では、差込部材20を矢印G方向へと本体ケース10内から引き抜くことができる。
<部品交換動作>
次に、何らかの理由で何れかの部品を交換する場合の動作について説明する。
ここで、何らかの理由とは、例えば、何れかの部品が壊れた場合や、何れかの部品を、異なる装飾性を有する同一部品へと交換したい場合に生ずる。
このような部品交換動作は、差込部材20を本体ケース10から抜いた状態で行う。
この状態で、本体ケース10の差込孔13に、例えば、ピン(図示略)を差し込み、該差し込んだピンの先端を、空間部18を介して更に孔部15内に差し込み、該ピンの先端によりピン50の一端側の伸縮部52bを押して縮める。すると、ピン50の該一端側が、コイルスプリング40の付勢力に従って図1の矢印F方向に移動し、第1の貫通孔33の内部においてピン50が傾動する。なお、この傾動の際に、ピン50の他端側の伸縮部52bは、孔部14内において傾動する。
更に、ピン50の前記一端側の伸縮部52bは、コイルスプリング40の付勢に従って、配設孔11の内周壁づたいに矢印F方向へと移動し、ピン50は更に傾動する。なお、ピン50の移動に伴い、可動部材30も矢印F方向に移動する。
この状態で、操作部32を配設孔11から引き抜くことにより、該操作部32とともに、ピン50及びコイルスプリング40も配設孔11から取り出すことができる。
よって、ピン50、コイルスプリング40、可動部材30及び本体ケース10のうちの何れか1つ或いは2つ以上の部品を交換することができる。
以上のような第1の実施形態によれば、操作部32及び係合部31(可動部材30)が、本体ケース10の内部に配置される単一の部材、すなわち、例えばピン50により本体ケース10に取付けられるので、ピン50が完全に本体ケース10の内部に埋設された状態となり、露出していないため、見栄えがよい。つまり、装飾性が問われる本体ケース10の表面の見栄えを保つことができる。
更に、1つのピン50により可動部材30及びコイルスプリング50を本体ケース10に取付けることができるため、部品点数も少なく、しかも、組み付けや部品交換は上記のように簡便に行うことができるとともに、取付けに際して本体ケース10の表面にキズを付けてしまうこともない。
また、装身具用留め具100の各構成部材にメッキや塗装を施す場合、仮に、各構成要素を相互に組み付けた後でメッキや塗装を施すものとすれば、例えば、可動部材30が動かなくなったりして具合が悪いし、また、マーキングして色分けしたりする必要もあり、面倒であるが、本実施形態の場合、各構成部材にメッキや装飾を施した後で、組み付けることができるので、例えば、可動部材30が動かなくなったりすることがないとともに、各構成部品へのメッキや塗装を美しく行うことができ、また、色のコーディネイト(各構成部品の色分け)が容易であるという効果も得られる。
〔第2の実施形態〕
次に、図4を参照して、第2の実施形態に係る装身具用留め具200について説明する。
図4示す装身具用留め具200は、以下に説明する点でのみ上記の第1の実施形態に係る装身具用留め具100と異なり、その他の点では装身具用留め具100と同様に構成されているため、装身具用留め具100におけるのと同様の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図4示すように、装身具用留め具200の場合、差込部材20には、複数段の被係合溝21が形成されている。つまり、差込部材20の長手方向(差込方向)における複数箇所に、被係合溝21が形成されている。
このため、複数の被係合溝21のうち何れの被係合溝21に対して係合部31を係合させてもよいこととなるため、若干ではあるが、ネックレス80(図2参照)或いはその他の装身具の長さ(図4の矢印D方向及び矢印G方向における長さ)を調節することが可能となる。
また、例えば、複数の被係合溝21のうち、最も先端部22から遠い側の被係合溝21或いは真ん中の被係合溝21に対して係合部31を係合させておけば、何らかのはずみでその係合状態が解除されてしまった場合にも、係合部31が、それまで係合していたよりも先端部22側の別の被係合溝21に対し係合し直すことにより、差込部材20と本体ケース10との結合状態を維持させることができる。よって、装身具用留め具200に連結されたネックレス80(図2参照)或いはその他の装身具を何らかのはずみで落下させたりする可能性を低減できる。
更に、装身具用留め具200の場合、各被係合溝21は、差込部材20が先端部22側に向けて縮径するような傾斜を有している。このため、差込部材20を矢印D方向に差し込む際には、係合部31が容易に次段の被係合溝21へと移ることができるが、差込部材20が矢印G方向に引っ張られても、係合部31が各被係合溝21から脱落し難いようになっている。
なお、係合部31と被係合溝21との係合強度(差込部材20が矢印G方向に引っ張られた場合に脱落する強度)は、被係合溝21の山の角度、高さ、及びコイルスプリング40の強度を適宜に調節することにより設定する。
以上のような第2の実施形態によれば、上記の第1の実施形態と同様の効果が得られる他に、複数段の被係合溝21を備えるため、装身具の長さの調節ができるという効果が得られる。
また、このように、長さ調節が可能となることから、差込部材20の本体ケース10からの突出量が可変となる。これにより、本体ケース10を、それぞれ異なる寸法(図4の矢印G方向及び矢印D方向における寸法で、特に、係合部31の配置位置から差込孔13の開口端部までの寸法)を有する複数種類の本体ケース10のものの中から、好みのもの(例えば、色やデザインが好みに合致するもの)を適宜に選択できるという副次的効果も得られる。
なお、上記の第2の実施形態では、被係合溝21が2段の例を示したが、被係合溝21は3段以上であっても良い。このことは、他の実施形態においても同様である。
〔第3の実施形態〕
次に、図5及び図6を参照して、第3の実施形態に係る装身具用留め具300について説明する。
図5は第3の実施形態に係る装身具用留め具300を示す正面断面図、図6は装身具用留め具100の斜視図である。
図5及び図6に示す装身具用留め具300は、以下に説明する点でのみ上記の第1の実施形態に係る装身具用留め具100と異なり、その他の点では装身具用留め具100と同様に構成されているため、装身具用留め具100におけるのと同様の構成要素には同一の符号を付すとともに、その説明を省略することがある。
図5及び図6に示すように、第3の実施形態に係る装身具用留め具300は、本体ケース(本体部)10と、差込部材20と、可動部材30(係合部31及び操作部32を含む)と、コイルスプリング40と、ピン50と、を備えている他に、本体ケース10とは別体に構成され、該本体ケース10との協働により装身具用留め具300の外表面を構成する外表面構成部材60を備えている。
このうち、差込部材20、コイルスプリング40及びピン50は、上記の第1の実施形態と同様に構成されている。
以下、その他の構成要素について詳しく説明する。
<外表面構成部材>
図5及び図6に示すように、外表面構成部材60は、該外表面構成部材60の内部にピン50を貫通させるための第1貫通孔63と、該外表面構成部材60の内部に差込部材20(例えば、特に小径部23)を貫通させるための第2貫通孔64と、コイルスプリング40を内部に保持するコイルスプリング保持凹部65と、コイルスプリング40に反力を付与する反力付与部66と、本体ケース10との協働により装身具用留め具300の外表面を構成する外表面構成部67と、を備えている。
ここで、外表面構成部材60は、例えば、一端側が閉塞された筒状(例えば円筒状)に構成されている。
この外表面構成部材60の閉塞された側の端部により、外表面構成部67が構成されている。この外表面構成部67は、本体ケース10の外表面に沿う面(本実施形態の場合、例えば、曲面)を構成するように形成及び配置される。つまり、本実施形態の場合、例えば、外表面構成部67は、本体ケース10と同一寸法の楕円球面の一部を構成するような形状・寸法とされている。
また、ピン50を貫通させる第1貫通孔63は、外表面構成部材60をその長手方向に対し直交方向に貫通した状態に形成されている。この第1貫通孔63は、ピン50(の本体筒51)の径よりも僅かだけ大きい寸法に設定されている。
また、差込部材20を貫通させる第2貫通孔64も、外表面構成部材60をその長手方向に対し直交方向に貫通した状態に形成されている。なお、第1及び第2の貫通孔63,64の貫通方向は、例えば、相互に平行な方向に設定されている。従って、差込部材20とピン50とは相互に平行な状態で外表面構成部材60を貫通し、本体ケース10に装着される。また、第2貫通孔64は、差込部材20(の小径部23)の径よりも僅かだけ大きい寸法に設定されている。
また、コイルスプリング保持凹部65は、例えば、外表面構成部材60において、第2貫通孔64よりも外表面構成部67側に位置する内周部により構成されている。このコイルスプリング保持凹部65の内径は、コイルスプリング40の外径(巻径)よりも若干大きい程度に設定されている。
また、コイルスプリング40に反力を付与する反力付与部66は、コイルスプリング保持凹部65の底面(外表面構成部67の裏面でもある)により構成されている。
ここで、外表面構成部材60において、少なくともその外表面構成部67は、本体ケース10の外表面とは相互に異なる装飾性を有している。具体的には、例えば、相互に異なる色彩或いは仕上げ加工(鏡面加工にする、或いはくすんだような質感を持たせるといったような各種の加工)が施されている。
また、外表面構成部67は、例えば、以下のようにして活用することもできる。
すなわち、例えば、社名、店名(販売店名)、ブランド、商品名を刻印したり、使用者のイニシャルや記念日を店頭で刻印したりすることができる。
<可動部材>
図1及び図2に示すように、本実施形態の場合の可動部材30は、上記のように係合部31及び操作部32を備える他に、該可動部材30の内部にピン50を貫通させるための第1貫通孔33と、該可動部材30の内部に差込部材20(例えば、特に小径部23)を貫通させるための第2貫通孔34と、コイルスプリング40からの付勢力を受ける付勢受部36と、を備えている。
ここで、本実施形態の場合、可動部材30も、例えば、外表面構成部材60と同様に、一端側が閉塞された筒状(例えば円筒状)に構成されている。
この可動部材30を構成する筒状部の外径は、外表面構成部材60を構成する筒状部の内径よりも僅かに小さい寸法に設定されている。そして、可動部材30は、その筒状部が、外表面構成部材60の筒状部内に挿入されるようになっている。
この可動部材30の閉塞された側の端部により、操作部32が構成されている。
また、ピン50を貫通させる第1貫通孔33は、可動部材30をその長手方向に対し直交方向に貫通した状態に形成されている。この第1貫通孔33は、ピン50が貫通した状態でも可動部材30が操作方向及びその反対方向である係合部31の係合方向(図5の矢印E方向及びF方向)に移動できるように、この方向においてはピン50(の本体筒51)の径よりも十分に大きく形成されているが、図5の紙面の手前から奥に向かう方向においてはピン50(の本体筒51)の径よりも僅かだけ大きい寸法に設定されている。
また、差込部材20を貫通させる第2貫通孔34も、可動部材30をその長手方向に対し直交方向に貫通した状態に形成されている。なお、第1及び第2の貫通孔33,34の貫通方向は、例えば、相互に平行な方向に設定されている。つまり、差込部材20とピン50とは相互に平行な状態で可動部材30及び外表面構成部材60を貫通し、本体ケース10に装着される。
また、第2貫通孔34は、差込部材20が貫通した状態でも可動部材30が操作方向及びその反対方向である係合部31の係合方向に移動できるように、この方向においては差込部材20(の小径部23)の径よりも十分に大きく形成されているが、図1の紙面の手前から奥に向かう方向においては差込部材20(の小径部23)の径よりも僅かだけ大きい寸法に設定されている。
また、係合部31は、第2貫通孔34の両端の開口部のうち、差込孔13側に配置される方の開口部に形成されている。より具体的には、差込孔13側に配置される方の開口部の内周縁部において操作部32から遠い側の部分に、該操作部32側を向くように形成されている。
この係合部31には、差込孔13側に臨む傾斜面31aが形成されている。この傾斜面31aは、差込部材20の先端部22を第2貫通孔34内に好適に案内する。
なお、第2貫通孔34は、第1貫通孔33よりも操作部32から遠い位置に設けられている。
また、コイルスプリング40からの付勢力を受ける付勢受部36は、可動部材30を構成する筒状部の開口側の端面により構成されている。
<本体ケース>
本実施形態の場合、本体ケース10は、以下に説明するように、上記の第1の実施形態の場合と異なる。
先ず、配設孔11は、本体ケース10を貫通し、該配設孔11内には、外表面構成部材60も配設されるようになっている。なお、配設孔11において、外表面構成部材60が挿入される側の開口端11bは、その他端側よりも大径に形成されている。
また、本体ケース10は、反力付与部17を備えていない。
また、壁状部12の形状は、外表面構成部材60の筒状部の外周に沿うように、上記の第1の実施形態の場合とは異なる形状とされている。
また、孔部14の寸法形状が、孔部15と同様となっている。
<組み付け>
以上のように構成された装身具用留め具300の各構成要素の組み付けは、例えば、以下の要領で行うことができる。
先ず、コイルスプリング40を外表面構成部材60のコイルスプリング保持凹部65内に挿入し、更に、外表面構成部材60の筒状部内に可動部材30の筒状部をその開口端側から挿入する。
そして、可動部材30の第1貫通孔33と外表面構成部材60の第1貫通孔63とが一致するように両部材30,60を位置合わせする。
そして、これら可動部材30,外表面構成部材60及びコイルスプリング40を、可動部材30側から、配設孔11の開口端11b内に挿入する。
そして、外表面構成部材60の第1貫通孔63が壁状部12の貫通孔12aと一致する位置に達すると、操作部32を矢印E方向に押して、可動部材30を矢印E方向に移動させ、該可動部材30の第1貫通孔33を外表面構成部材60の第1貫通孔63と一致させる。
この状態で、差込孔13よりピン50を本体ケース10内に差し込み、該ピン50を空間部18及び壁状部12の貫通孔12aを介して、貫通孔33,63に差し込む。
この際に、ピン50の一端側(の伸縮部52b)を壁状部12において、貫通孔12aの内周を構成する角部12cに突き当てて、該伸縮部52bを押し縮める。なお、この際に、ピン50を僅かに傾けるようにする。更に、ピン50の他端側(差込孔13側)の伸縮部52bも押し縮める。
この状態のまま、外表面構成部材60の外表面構成部67を矢印F方向に押し込むと、ピン50の一対の伸縮部52bは、共に押し縮められた状態のまま、壁状部12の内周に沿って矢印E方向に移動する。なお、この際には、外表面構成部材60、可動部材30及びコイルスプリング40も矢印E方向に移動する。
そして、ピン50の一対の伸縮部52bが、それぞれ孔部14、15に達すると、双方の伸縮部52bがピン50内のスプリング53の付勢に従って突出し、それぞれ孔部14、15内に入り込む。
これにより、各構成要素が所定位置に組み付けられた状態となる(図5から差込部材20を除いた状態)。
つまり、可動部材30と外表面構成部材60とは、ピン50により相互に連結された状態で、該ピン50により本体ケース10に取付けられる。
また、コイルスプリング40は、コイルスプリング保持凹部65内において、可動部材30の付勢受部36と、外表面構成部材60の反力付与部66とに挟持されて、圧縮状態となっている。
このように組み付けることにより、操作部32は、本体ケース10より突出した状態となる。
また、外表面構成部材60の外表面構成部67は、本体ケース10の外表面に沿うように配置される。つまり、外表面構成部67が、本体ケース10との協働により装身具用留め具300の外表面を構成した状態となる。
<動作>
係合部31と差込部材20との係合動作及び係合解除動作については、上記の第1の実施形態の場合と同様である。
<部品交換動作>
本実施形態の場合の部品交換動作は、例えば、以下のようにして行うことができる。
差込部材20を本体ケース10から抜いた状態で、本体ケース10の差込孔13に、例えば、ピン(図示略)を差し込み、該差し込んだピンの先端を、空間部18を介して更に孔部15内に差し込み、該ピンの先端によりピン50の一端側の伸縮部52bを押して縮めるとともに、本体ケース10の差込孔13に、例えば、J字形状のピンを差し込み、該ピンの先端を、空間部18〜空間部19を介して孔部14内に差し込み、該ピンの先端によりピン50の他端側の伸縮部52bを押して縮める。
この状態で、操作部32を矢印E方向に押し込む。すると、ピン50、可動部材30、コイルスプリング40及び外表面構成部材60が、図5の矢印E方向に移動する。
そして、ピン50の一対の伸縮部52bが壁状部12の貫通孔12aに達すると、双方の伸縮部52bがピン50内のスプリング53の付勢に従って突出するとともに、ピン50が本体ケース10より脱落するので、このピン50を空間部18及び差込孔13を介して本体ケース10外に取り出す。
次に、操作部32を更に矢印E方向に押し込むことにより、可動部材30、外表面構成部材60及びコイルスプリング40を配設孔11の開口端11bより取り出すことができる。
よって、ピン50、コイルスプリング40、可動部材30、外表面構成部材60及び本体ケース10のうちの何れか1つ或いは2つ以上の部品を交換することができる。
なお、この交換作業は、上記のようなJ字状のピンを用いる代わりに、本体ケース10の空間部19側の外周面において、孔部14と対向する部分に孔部(図示略)を設けておき、該孔部よりピンを差し込み、更にこのピンを、空間部19を介して孔部14内に差し込み、ピン50の他端側の伸縮部52bを押し縮めることにより、一層容易に行うことができる。
以上のような第3の実施形態によれば、本体ケース10とは別体に構成されるとともに、本体ケース10とは相互に異なる装飾性を有し、本体ケース10との協働により装身具用留め具300の外表面を構成する外表面構成部材60を備えるので、装身具用留め具300の装飾性を高めることができる。
〔第4の実施形態〕
次に、図7を参照して、第4の実施形態に係る装身具用留め具400について説明する。
図7は第4の実施形態に係る装身具用留め具400を示す正面断面図である。
図7に示す装身具用留め具300は、以下に説明する点でのみ上記の第1の実施形態に係る装身具用留め具100と異なり、その他の点では装身具用留め具100と同様に構成されているため、装身具用留め具100におけるのと同様の構成要素には同一の符号を付すとともに、その説明を省略することがある。
図7に示すように、第4の実施形態に係る装身具用留め具400は、本体ケース(本体部)10と、差込部材20と、可動部材30(係合部31及び操作部32を含む)と、コイルスプリング40と、ピン50と、を備えている他に、本体ケース10とは別体に構成され、該本体ケース10との協働により装身具用留め具300の外表面を構成する外表面構成部材60と、この外表面構成部材60と本体ケース10との接触を緩衝する緩衝部材としての緩衝リング70と、を備えている。
このうち、差込部材20、可動部材30、コイルスプリング40及びピン50は、上記の第1の実施形態と同様に構成されている。
以下、その他の構成要素について詳しく説明する。
<外表面構成部材>
図7に示すように、外表面構成部材60は、該外表面構成部材60の内部にピン50を貫通させるための第1貫通孔63と、該外表面構成部材60の内部に差込部材20(例えば、特に小径部23)を貫通させるための第2貫通孔64と、可動部材30を内部に挿入させる挿入孔69と、コイルスプリング40を内部に保持するコイルスプリング保持凹部65と、コイルスプリング40に反力を付与する反力付与部66と、本体ケース10との協働により装身具用留め具300の外表面を構成する外表面構成部67と、を備えている。
ここで、外表面構成部材60は、例えば、一端側が閉塞された筒状(例えば円筒状)に構成されている。
この外表面構成部材60の内周部により、可動部材30を内部に挿入させる挿入孔69が構成されている。
また、外表面構成部材60の閉塞された側の端部により、外表面構成部67が構成されている。この外表面構成部67は、例えば、本体ケース10の外表面より突出するように形成及び配置される。
また、ピン50を貫通させる第1貫通孔63は、外表面構成部材60をその長手方向に対し直交方向に貫通した状態に形成されている。この第1貫通孔63は、ピン50(の本体筒51)の径よりも僅かだけ大きい寸法に設定されている。
また、差込部材20を貫通させる第2貫通孔64も、外表面構成部材60をその長手方向に対し直交方向に貫通した状態に形成されている。なお、第1及び第2の貫通孔63,64の貫通方向は、例えば、相互に平行な方向に設定されている。従って、差込部材20とピン50とは相互に平行な状態で外表面構成部材60を貫通し、本体ケース10に装着される。また、第2貫通孔64は、差込部材20(の小径部23)の径よりも僅かだけ大きい寸法に設定されている。
また、コイルスプリング保持凹部65は、例えば、外表面構成部材60において、第2貫通孔64よりも外表面構成部67側に位置する内周部により構成されている。このコイルスプリング保持凹部65の内径は、コイルスプリング40の外径(巻径)よりも若干大きい程度に設定されている。
また、コイルスプリング40に反力を付与する反力付与部66は、コイルスプリング保持凹部65の底面により構成されている。
なお、外表面構成部材60の外径は、例えば2段階に変化している。すなわち、外表面構成部材60は、例えば、図7に示すように、大径部601及び小径部602を相互に隣接して備える。
このうち大径部601には、第1貫通孔63及び第2貫通孔64が設けられている。
また、小径部602には、外表面構成部67及びコイルスプリング保持凹部65が設けられている。
更に、大径部601と小径部602との境界の段差部は、本体ケース10の内周面との協働により緩衝リング70を挟み込んで保持する緩衝リング保持部68を構成している。
また、外表面構成部材60の外表面構成部67には、装飾部材(図示略)の取付けスペースとなる取付凹部(取付部)67aが形成されている。ここで、装飾部材は、例えば、宝石或いは貴金属といった宝飾品であることを好ましい例とする。
なお、この取付凹部67aには、予め、このような装飾部材が取付けられていることとしても良いし、後から取付可能となっていても良い。すなわち、装飾部材は、個々の使用者の要求に応じて、例えば、店頭で取付けることもできる。例えば、使用者の誕生石を取り付けたりすることにより、使用者毎の個別の対応が可能である。
また、上記の第3の実施形態と同様に、外表面構成部材60において、少なくともその外表面構成部67は、本体ケース10の外表面とは相互に異なる装飾性を有していることも好ましい。
<本体ケース>
本実施形態の場合、本体ケース10は、以下に説明するように、上記の第1の実施形態の場合と異なる。
先ず、配設孔11は、本体ケース10を貫通し、該配設孔11内には、外表面構成部材60も配設されるようになっている。なお、配設孔11において、外表面構成部材60が挿入される側の開口端11bは、その他端側よりも小径に形成されている。
また、本体ケース10は、反力付与部17を備えていない。
また、壁状部12は、配設孔11の一部のみを構成し、貫通孔12aは壁状部12において差込孔13側の部分にのみ存在する。
また、孔部14の寸法形状が、孔部15と同様となっている。ただし、両孔部14,15とも、上記の第1の実施形態と比べると僅かに大きい内径に設定され、ピン50の伸縮部52bを、遊びを有した状態で内部に保持するようになっている。
更に、壁状部12の内周面において、両孔部14、15から配設孔11の開口端側に位置する部分は、該開口端に近づくにつれて、その内周が狭まるような(両孔部14,15に近づくにつれて、その内周が拡大するような)傾斜面12d、12eとされている。
<緩衝リング>
緩衝リング70は、その内周が、外表面構成部材60の小径部602の外周とほぼ同じ寸法に設定され、該緩衝リング70を小径部602内に外挿した状態において、緩衝リング70から手を離しても、該緩衝リング70が小径部602より落下しないようになっている。
<組み付け>
以上のように構成された装身具用留め具400の各構成要素の組み付けは、例えば、以下の要領で行うことができる。
先ず、可動部材30のコイルスプリング保持部35にコイルスプリング40の一部を外挿する。ここで、コイルスプリング保持部35の外径は、コイルスプリング40の内径とほぼ等しいため、コイルスプリング40は、手を離しても落下しない。
そして、コイルスプリング40及び可動部材30を外表面構成部材60の挿入孔69内に、コイルスプリング40側から挿入する。
続いて、操作部32は矢印E方向に、外表面構成部67は矢印F方向に、それぞれ押圧して、外表面構成部材60の第1貫通孔63と、可動部材30の第1貫通孔33とを相互に位置合わせし、これら両孔部63,33内にピン50を貫通させる。
この段階で、可動部材30と外表面構成部材60とは、ピン50により相互に連結されている。また、コイルスプリング40は、コイルスプリング保持凹部65内において、可動部材30の付勢受部36と、外表面構成部材60の反力付与部66とに挟持されて、圧縮状態となっている。
次に、緩衝リング70を外表面構成部材60の小径部602に対し最奥部まで外挿する。ここで、外表面構成部材60の小径部602の外径は、緩衝リング70の内径とほぼ等しいため、緩衝リング70は、手を離しても落下しない。
次に、ピン50の一対の伸縮部52bをともに押し縮めた状態で、外表面構成部材60、緩衝リング70、コイルスプリング40、ピン50及び可動部材30を、本体ケース10の配設孔11内に、外表面構成部67側から図7の矢印E方向に挿入する。
この挿入の際に、ピン50の一対の伸縮部52bは、孔部14、15に達するまでは配設孔11の内周面を摺動し、孔部14、15に達すると、ピン50内のスプリング53の付勢に従って突出し、それぞれ孔部14、15内に入り込む。
また、この挿入の結果、外表面構成部67は開口端11bを介して本体ケース10外に突出する。また、緩衝リング70は、本体ケース10の内周面と、緩衝リング保持部68とにより挟持された状態となる。
なお、この状態で、ピン50の両端部の伸縮部52bがそれぞれ孔部14、15内に位置決めされているため、可動部材30、外表面構成部材60、緩衝リング70、コイルスプリング40、ピン50及び可動部材30は本体ケース10から脱落しない。
また、操作部32は本体ケース10外に突出した状態となる。
<動作>
係合部31と差込部材20との係合動作及び係合解除動作については、上記の第1の実施形態の場合と同様である。
<部品交換動作>
本実施形態の場合の部品交換動作は、上記の第1の実施形態の場合と同様に行うことができる。
なお、本実施形態の場合、孔部14の径が上記の第1の実施形態と比べて小さいが、その代わりに、孔部15の径は上記の第1の実施形態と比べて大きく、しかも、壁状部12の内周面が傾斜面12d、12eとされているので、このような部品交換動作を好適になし得る。
以上のような第4の実施形態によれば、上記の第3の実施形態と同様の効果が得られる他に、外表面構成部材60の外表面構成部67には、装飾部材の取付けスペースとなる取付凹部67aが形成されているので、外表面構成部材60、ひいては、これを含む装身具用留め具400の装飾性を、より一層高めることができる。