(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1にかかる連結構造(装身具用連結構造)100について、図面を参照しながら、具体的に説明する。実施の形態1では、ネックレスなどのように環状にして装着する装身具を例に挙げて説明するものとする。
本実施の形態1に係る装身具の連結構造100は、図1に示すように、一本のチェーンの一端Eaと他端Ebとが、一対の連結部材によって連結できるように構成されている。チェーンの一端Eaには、連結部材としてロッド(挿入部)1が接続されている。また、チェーンの他端Ebには、連結部材として挿入穴部10を有する受け部9が接続されている。このように連結構造100は、対をなすロッド1と受け部9とによって構成されている。
まず、ロッド1の形状について説明する。ロッド1は、断面が円形の棒状部材である。そして、ロッド1の尖端近傍の外周面には、ロッド1の断面における周方向に沿ってリング状の係止溝(係合部)1aが形成されている。このような係止溝1aの溝底(図2参照)は、後述する摺動子14内において、円柱形状の係止ピン(連結手段)13と円滑に係合できるように、湾曲して窪むように加工されている。
また、ロッド1の尖端であるロッドヘッド1bは、ロッド1の受け部9への挿入が円滑におこなえるように、半球状となっている。特に、このロッドヘッド1bはロッド1の断面と略等しくなる曲率半径を有するように「面取り」がなされている。しかしながら、ロッドヘッド1bの形状はこのような半球形に限定されるものではない。ロッドヘッド1bは、受け部9の挿入穴部10内への挿入することで、この挿入穴部10内に収容されている摺動子14内に突出している係止ピン13を摺動子14の外側へと押しのけることができる形状であればよく、例えば、円柱形状のロッド1の尖端部分の縁を単に面取りした形状であってもよい。
なお、ロッド1の基端側端部には、ネックレスのチェーン20の一端Eaを連結するための、連結リング19が付設されている。
次に、受け部9の構造について説明する。なお、受け部9において、ロッド1が挿入される側を挿入側(先端側)とし、その反対側を底側(基端側)とする。受け部9は、円筒形の部材であり、ロッド1が挿入される穴(挿入穴)として、挿入穴部10および収容部11を備えてなる構成である。そして、円筒形である受け部9の中心軸線Oに沿って上述したロッド1が挿入できるように、これら挿入穴部10および収容部11が連通している。
挿入穴部10は、ロッド1を受け入れる部分であり、図1に示すように、受け部9の挿入側にはロッド1を受け入れるための挿入側開口10aが形成されている。さらに挿入穴部10は、この挿入側開口10aから底側に向かって断面が円形の挿入路10bが延設されている。
挿入側開口10aの内径は、ロッド1がこの内径方向に遊動できる程度に、該ロッド1の外径よりも大きい寸法となっている。具体的には、挿入側開口10aはロッド1の外径の約2倍の大きさとなる内径を有する。挿入側開口10aから延設された挿入路10bの底側には、ガイド溝(ガイド手段)10cがさらに形成されている。ガイド溝10cは、後述する係止ピン(連結手段)13の移動を規定するための溝である。ガイド溝10cでは、その挿入側の端部および底側の端部それぞれの内周面において、のこぎり歯形状の凹凸部が形成されており(後述の図3参照)、これら凹凸部の間に挟まれたガイド溝10c部分の径は挿入路10bの径よりも大きくなっている。
受け部9では、ロッド1の挿入方向における前後方向の移動(図1のX方向)に応じて、後述する摺動子14および摺動子14に備えられている係止ピン13が共に移動する構成となっている。つまり、係止ピン13は、ガイド溝10cの凹凸部に当接すると、挿入穴部10の周方向に一定距離だけ移動する。そして、この係止ピン13の移動により、摺動子14が挿入穴部10の周方向に回転する。
ガイド溝10cとしては、具体的には図3に示すような形状となる溝が、挿入穴部10の内周面に形成されている。図3は、本実施の形態1に係る挿入穴部10の内周面を平面に展開した状態の一例を示す図である。以下において、図3を参照してガイド溝10cの詳細について説明する。
ここで、ロッド1の挿入方向におけるガイド溝10cの幅を溝幅Wとする。このとき、ガイド溝10cの溝幅Wは、柱形状の係止ピン13の断面の直径よりも大きくなっている。具体的には、溝幅Wは、係止ピン13の断面の直径の約2〜5倍程度の寸法となる。そして、係止ピン13は、ロッド1の挿入方向における幅が、この溝幅Wとなる空間内を移動するように構成されている。このように係止ピン13がガイド溝10cにおいて移動できる空間が形成されている。このため、ネックレスが連結状態にあるとき、連結構造100の連結部分には、ロッド1の挿入方向(図1に示すY方向)において遊びができる。このため、意図せずロッド1を挿入方向に移動させるように外力が作用したとしても、ロッド1と受け部9との連結状態を維持することができる。
また、上述したように、ガイド溝10cの挿入側端部(図3のラインL1)および底側端部(図3のラインL2)には、のこぎり歯形状の凹凸部が形成されている。より具体的には、図3に示すように、ラインL2の凸部は、ラインL1の凸部からガイド溝10cの周方向において略45度ずれた位置に配置されるようになっている。
ここで、ラインL1、L2の凹凸形状(ガイド溝10cにおける内周面を穴中心側から見たラインL1、L2の凹凸形状)についてより具体的に説明する。ラインL2を形成する凹凸部の形状は、底側から挿入側に向かって所定距離だけ略まっすぐ立ち上がり、立ち上がりのピークから底側に向かって緩やかに傾斜した略三角形状となる凸部が一定の周期で繰り返されるように形成されたものとなっている。
これに対して、ラインL1を形成する凹凸部は、以下に示す2種類の凸形状A、Bが、ガイド溝10cの周方向において交互に繰り返される形態を有する。すなわち、ラインL1は、図3に示すように、2種類の凸形状A、Bは、挿入側から底側に向かって、まっすぐ立ち上がり、この立ち上がりのピーク位置から挿入側に向かって緩やかに傾斜した略三角形状となっている。すなわち、ラインL2とは反対側に突出した凸部を有している。また、ラインL1では、凸部と凸部との間に形成される凹部の底は所定間隔だけ平滑となっており、隣接する凸形状Aの凸部と凸形状Bの凸部との間には、所定の間隔が形成されている。
ラインL1は、上述した凸形状A、Bの基本的な形状は略同じであるが、各凸形状A、B間に形成される凹部の位置が異なる。ここで凸形状Aの緩やかな傾斜と凸形状Bの真っ直ぐ底側に向かって立ち上がった部分との間に形成される凹部の底の位置をP2で示す。また、波形Bの緩やかな傾斜と凸形状Aの真っ直ぐ底側に向かって立ち上がった部分との間に形成される凹部の底の位置をP1で示す。このとき、実施形態1ではP1の方がP2よりも挿入側に位置するように構成されている。つまり、P1とP2とは、受け部9において異なる位置となるように形成されている。
実施形態1に係る連結構造100では、ガイド溝10cの挿入側端部に形成されたラインL1(凹凸部)に当接する係止ピン13の位置がP1か、あるいはP2であるかに応じて連結構造100の連結状態と、この連結状態からの解放とを切り替えることができるように構成されている。なお、ガイド溝10cのラインL1のP1およびP2は、本発明のガイド溝の凹部に相当する。
P2に係止ピン13がある場合、ガイド溝10cの断面形状は図4に示すようになる。なお、この断面形状は、図3におけるb−bを基点とし2つの係止ピン13の間をロッド1の挿入方向に切り出したときの形状である。図3に示すように、挿入路10bとガイド溝10cとの境界に位置するラインL1の断面形状は、ガイド溝10cの挿入側端部を頂点とする三角形を切り欠いた形状となっている(図4参照)。逆に言うと、挿入路10bの底側端部の断面は、ガイド溝10c側に向かって突起した略三角形状となっている。
なお、上述したように、本実施の形態1では、ラインL1のP2に係止ピン13があるときの摺動子14の位置で、ロッド1と受け部9との連結が解除されるように構成されている。このようにロッド1と受け部9との連結が解除された状態となる摺動子14の位置を第2ポジションと称する。
一方、ラインL1のP1に係止ピン13が位置する場合、ガイド溝10cの断面形状は図5に示すようになる。なお、この断面形状は、図3におけるc−cを基点として2つの係止ピン13の間をロッド1の挿入方向に切り出したときの形状である。
すなわち、挿入路10bとガイド溝10cとの境界に位置するラインL1の断面形状は、挿入路10bに向かって先細りになるテーパー形状となっている(図5の挟持部12s)。なお、本実施の形態1では、ラインL1のP1に係止ピン13があるときの摺動子14の位置で、ロッド1と受け部9とが連結状態となる。このようにロッド1と受け部9とが連結状態となる摺動子14の位置を第1ポジションと称する。
以上のように、係止ピン13の位置がP2にあるのか、P1にあるのかに応じてラインL1部分の断面形状が異なるように構成されている。そして、詳細は後述するが、この断面形状の違いを利用して、実施形態1に係る連結構造100は、ロッド1と受け部9とが連結されたり、連結された状態から解放されたりする。
次に、受け部9において、ガイド溝10cの底側に形成される収容部11について説明する。収容部11は、後述する押圧ピン15、押圧スプリング(伸縮部材)16、および摺動子14を収容するものあり、ガイド溝10cから受け部9の底側に向かって延設された、断面が円形の円筒形状をしている。
収容部11は、その受け部9の底側端部に底部17が螺着されることによって、収容部11の底側端部を閉塞させた構成となっている(図1参照)。しかしながら、このような構成に限定されるものではない。例えば、底部17を設けることなく、収容部11自体を、底側端部が塞がれた有底穴の形態としてもよい。
図1に示すように、底部17の底側面(外側面)には、底部17と一体に、ネックレスのチェーン20の他端Ebを連結させるための、連結リング18が付設されている。
また、図1に示すように、収容部11内には、底部17と当接するように配置された押圧スプリング16、この押圧スプリング16とその挿入側で隣接する押圧ピン15、ならびにこの押圧ピン15とその挿入側で隣接する摺動子14がそれぞれ収容されている。
押圧スプリング16は、押圧ピン15を受け部9の挿入側(先端側)に向かって押圧するものである。図1、図2に示すように、押圧ピン15は、押圧スプリング16と当接する、円柱形状の土台部15aと、受け部9の挿入側に向かって土台部15aから突出した棒状部材15bとから構成されている。
押圧ピン15は、この棒状部材15bの先端によって、挿入されたロッド1の尖端と当接し、該ロッド1を受け部9の底側(基端側)から挿入側(先端側)に向かって押圧するように構成されている。このため、特にロッド1が受け部9内に挿入されない限り、摺動子14は、押圧スプリング16によって付勢されている押圧ピン15によって、受け部9の底側から挿入側に向かって押圧された状態となる。
また、後述する摺動子14は、回転しながらロッド1の挿入方向において前後に移動するように構成されている。このため、押圧ピン15を介して摺動子14を押圧する押圧スプリング16は、ロッド1の挿入方向において前後に伸び縮みするように力が作用するだけではなく、摺動子14の回転軸まわりの方向にもねじれが生じている。このねじれた状態から元の状態に戻ろうとするとき、押圧スプリング16は、摺動子14の回転方向とは逆に力を及ぼす。このため、この押圧スプリング16のねじれの影響を摺動子14が受けないようにするために、押圧スプリング16と摺動子14との間にこの押圧ピン15が設けられている。
摺動子14は、受け部9の底側において底面を有しており、一方、挿入側ではロッド1を受け入れるための開口である挿通穴14hを備えている(図1、2参照)。そして、この摺動子14は、収納部11内を摺動して、ロッド1の挿入方向において前後に移動することができるとともに、収容部11からガイド溝10cの間で中心軸線Oを回転中心として回転自在となっている。摺動子14の底面の中心には押圧ピン15の棒状部材15bを受け入れるための貫通穴14b(図2参照)が形成されている。
また、摺動子14の挿通穴14h近傍の側部には、係止ピン挿入穴14aが等間隔で2つ設けられている(図2参照)。係止ピン13は、この係止ピン挿入穴14a内を挿通することで、摺動子14の延設方向に対して略垂直となる方向で、かつ受け部9の中心軸線Oに向かって移動したり、逆に摺動子14の側部から外部に向かって突出するように移動したりすることができる。
この係止ピン13は、ロッド1の係止溝1aと係合することでロッド1の挿入方向における前後方向の移動を阻害するとともに、ガイド溝10cのラインL1およびラインL2それぞれの凹凸部と当接することで、摺動子14を受け部9の内周において周方向に回転させたりするものである。なお、係止ピン13の、摺動子14の内周側に突出する側の端部である内周端13bは、ロッド1の係止溝1aと円滑に係合できるように、面取り加工がなされている(図2参照)。
また、実施形態1では、上述したように2本の係止ピン13が、摺動子14の外周において等間隔に配置されていたが係止ピン13の本数は2本に限定されるものではない。例えば、3本であってもよいし、3本以上であってもよい。このように複数、係止ピン13が配置された構成では、各係止ピン13からロッド1に対して作用させる力を、複数の係止ピン13で分散させて作用させることができる。
また、複数の係止ピン13それぞれから均等な力がロッド1に対して作用されるように構成することで、安定してロッド1を係止することが可能となる。なお、係止ピン13が複数配置される場合、その数に合わせて、係止ピン挿入穴14aも形成されることは言うまでもない。
ところで、本実施の形態1に係る連結構造100は、装着者にとって見えない状態においても簡単に連結することができ、また、取り外すことが可能となっている。つまり、以上のようなロッド1および受け部9の構成において、ロッド1を受け部9に挿入すると、連結構造100は以下のように動作し、容易に連結部材同士を連結することができる。さらには、連結した連結部材同士を容易に取り外すことができるように構成されている。
以下において、上述した図1〜図5に加え、図6〜図9を参照して、連結構造100による連結および取り外し動作を説明する。図6〜図9は、実施形態1に係る連結構造100におけるロッド1と受け部9との連結状態の一例を示す図である。
まず、図6に示すように、ロッド1と受け部9とが分離している状態から、ロッド1の尖端を受け部9の挿入穴部10(挿入側開口10a)に挿入する。ロッド1が受け部9に挿入されると、図7に示すように摺動子14の側部に挿入されている係止ピン13は摺動子14の外側に向かってロッド1により押し出される。
さらにロッド1を、受け部9の底側に向かって挿入していくと、摺動子14と押圧ピン15とに当接する。さらにロッド1を挿入すると、摺動子14と押圧ピン15とがロッド1により受け部9の底側に向かって押され、摺動子14の側部に取り付けられた係止ピン13が図3に示すように経路a1だけ移動してガイド溝10cのラインL2として形成されている凹凸部と当接する(図3(I))。なお、このとき、摺動子14と押圧ピン15とを押圧する押圧スプリング16の押圧力に抗してロッド1が挿入されることとなる。
さらに前記ロッド1を挿入すると、係止ピン13は、ラインL2の凹凸部の傾斜に沿って、該ラインL2の周方向に一定距離(経路a2)だけ移動し、ラインL2の挿入側に向かって真っ直ぐ立ち上がった部分と当接して停止する(図3の(II))。ここまでの係止ピン13の移動により摺動子14は、初期位置から略45度回転した位置となる(図7に示す状態)。
ここで、受け部9に挿入するためにロッド1に作用させている力を解放すると、押圧スプリング16の復元力により押圧された押圧ピン15の棒状部材15bによってロッド1が受け部9の挿入側に押し出され、次いで、押圧ピン15の土台部15aが摺動子14と当接し、摺動子14が受け部9の挿入側に押し出される。このように摺動子24が挿入側に押し出されることで、係止ピン13は、今度はラインL1と当接し、ラインL1の凸部(凸形状B)の緩やかに弧を描いた傾斜に沿って経路a3だけ移動して、ラインL1のP1の位置となる(図3の(III))。この係止ピン13の移動により摺動子14は、図7に示す状態からさらに約45度回転して図8に示す状態となる。
係止ピン13がP1の位置にあるとき、連結構造100では、摺動子14の位置が図5に示す第1ポジションとなる。この第1ポジションでは、テーパーになっているガイド溝10cの端部、すなわち挟持部12sによって係止ピン13が摺動子14内に向かって押される。このように第1ポジションになると、ロッド1の係止溝1aに係止ピン13の端部がそれぞれ挿入される。このため、図5に示すように挿入されたピン13によってロッド1は挟持され、受け部9から抜き出すことができなくなる。これにより、ネックレスの両端Ea,Ebが連結構造100により連結され、その連結された状態が維持されることになる。
また、連結構造100において連結部材同士(ロッド1と受け部9)が連結状態にあるとき、図1のXで示す向きに力が作用しても、ロッド1が挿入穴部10から抜け出す(外れる)ことはない。また、偶然に、ロッド1を挿入するようにYの向きに押圧する力が作用したとしても、上述したようにガイド溝10cにおいて係止ピン13が有る程度、移動できる空間が形成されているため、ロッド1が所定深さまで押圧され、係止ピン13が、例えば、図3の(III)の位置から(IV)の位置まで移動しない限り、連結状態が解除されることはない。
一方、連結構造100において連結部材同士の連結状態を解除したいときには、係止ピン13がガイド溝10cのラインL2に当接し、それ以上移動できない位置(図3の(IV)の位置)まで移動するように、ロッド1を押し込む。すなわち、再度、ロッド1を受け部9に向かって押圧し、摺動子14の係止ピン13を移動させる。ロッド1の挿入に伴い、係止ピン13は、受け部9の底側に向かって移動し、ラインL2と当接する。そして、係止ピン13は、このラインL2の傾斜に沿って該ラインL2の周方向に移動し、ラインL2の立ち上がり部分の前(図3の(IV)の位置)で停止する。このとき、摺動子14はさらに45度回転して図7に示す状態となる。
そして、この状態から、ロッド1を受け部9に挿入するために作用させている力を解放させると、押圧スプリング16によって押圧された押圧ピン15によってロッド1が挿入側に押し出され、次いで摺動子14も挿入側に押し出される。これにより、係止ピン13は、ラインL1と当接し、ラインL1の凸部(凸形状A)の緩やかに弧を描いた傾斜に沿って移動して、ラインL1のP2の位置に至る(図3の(V))。そして、この係止ピン13の移動により摺動子14は、さらに約45度回転する。
この時の受け部9とロッド1との関係は、例えば、図9に示すように係止ピン13が摺動子14の側部から外方に移動し係止溝1aからはずれた状態となる。より具体的には、この時の係止ピン13は、図4に示す第2ポジションとなり、係止ピン13はロッド1に摺動子14の外側に押し出された状態となる。そして、この係止ピン13の押し出された部分が、挿入路10bからガイド溝10c内に突起した略三角形状の突起部分と当接する。
このように、底側から挿入側に向かって押圧されている摺動子14は、図4に示すように、係止ピン13が突起部分と当接した状態で移動が止められてしまう。また、この突起部分は、底側に向かって鋭角な三角形状となっており、係止ピン13が摺動子14内に移動しないようにも拘束している。そして、ロッド1のみを受け部9から容易に引き抜くことができる。すなわち、本実施の形態1に係る連結構造100では、受け部9において係止ピン13が第2ポジションにあるときにロッド1と受け部9との連結状態が解除されるように構成されている。
ところで、実施形態1に係る受け部9が備える押圧ピン15は、例えば、図1、2に示すように、円柱形状の土台部15aから細長い棒状部材15bが突出した形状をしていたがこの形状に限定されるものではない。例えば、図10に示すように土台部15aにおいて、棒状部材15bが形成される側の端面を、この棒状部材15bに向かってテーパー状に盛り上がった形状としてもよい。土台部15aをこのような形状とすることで、押圧スプリング16の復元力によって押圧ピン15が摺動子14を挿入側へ押圧する際、該押圧ピン15が摺動子14の底部の中央部分で摺動子14と当接する。このため、摺動子14の側部に複数、配置されている係止ピン13それぞれに対して、全ての係止ピン13に均一に押圧力を作用させて、ガイド溝10cの端部(ラインL1)部分に当接させることができる。
また、実施形態1に係る受け部9では、ガイド溝10cにおけるラインL1のP2の位置での断面形状は、挿入路10b側からガイド溝10c側に向かって突出した、鋭角な頂点を有する三角形状をしていた。そして、ラインL1の断面形状をこのようなエッジ形状とすることで、係止ピン13が摺動子14内に移動することを防止していた。しかしながら、例えば、以下に示すように係止ピン13の形状を工夫し、この係止ピン13が摺動子14内に移動することを防止する構成としてもよい。
すなわち、図11に示すように、係止ピン13の摺動子14の外側に配される端部(外周端)の断面を係止ピン挿入穴14aの穴径よりも大きくするように構成してもよい。このように、係止ピン13を形成することで、係止ピン13が摺動子14内に向かって移動するような場合であっても、その外周端が摺動子14の外側面と当接して、係止ピン13が摺動子14内に入り込んでしまうことを防止することができる。なお、図11では、摺動子14の挿通穴14h内にロッド1が挿入され、係止ピン13が摺動子14の外部に押し出された状態を示している。
あるいは、係止ピン13の形状を、図12に示すように、摺動子14内側に配された係止ピン13の端部(内周端)に向かって先細りとなる形状とする。さらに、摺動子14の側部に形成する係止ピン挿入穴14aの穴径を図12に示すように摺動子14の外周から内周に向かって小さくなるようにする。ただし、係止ピン挿入穴14aにおいて最も穴径が小さくなる部分の寸法は、係止ピン13の内周端の断面よりも大きく、係止ピン13の外周端の断面よりも小さくなるように設定する。このように、係止ピン13および係止ピン挿入穴14aを形成することで、係止ピン13が摺動子14内に向かって移動するような場合であっても、係止ピン13が摺動子14内に入り込んでしまうことを防止することができる。なお、図12では、摺動子14の挿通穴14h内にロッド1が挿入され、係止ピン13が摺動子14の外部に押し出された状態を示している。
また、実施形態1に係る連結構造100では、ガイド溝10cは、その挿入側および底側それぞれにラインL1およびラインL2の凹凸部が形成され、ラインL1の凹凸部とラインL2の凹凸部とが対向するように配置された構成であった。そして、このラインL1およびラインL2は、ガイド溝10cの周方向全体に渡って形成される構成であった。
また、係止ピン13がラインL1のP1に位置するときに摺動子14の位置は第1ポジションとなり、係止ピン13がP2に位置するときに摺動子14の位置は第2ポジションとなる構成であった。しかしながら、ガイド溝10cの形状は上述したラインL1とラインL2の形状に限定されるものではない。さらにまた、摺動子14の位置を第1ポジションと第2ポジションとに切り替えるための構成はこれに限定されるものではない。
以下において、上述した第1ポジションと第2ポジションとを切り替える構成の変形例について説明する。
(変形例1)
変形例1に係る連結構造100は、以下に示すようにガイド溝10cの溝形状が異なる点を除けば、上述した連結構造100と同様の構成となる。すなわち、図13に示すように、受け部9の内周における、中心角が略0度から90度の範囲、略180度から270度の範囲に、ガイド溝10cとして楕円形状の溝が形成された構成であってもよい。なお、変形例1に係る連結構造100では、摺動子14が備える係止ピン13の個数が2本の場合について説明しており、一方の係止ピン13が略0度から90度の範囲に形成されたガイド溝10cによって移動が規制され、他方の係止ピン13が略180度から270度の範囲に形成されたガイド溝10cによって移動が規制されるようになっている。このため、略0度から90度の範囲に形成されたガイド溝10cと略180度から270度の範囲に形成されたガイド溝10cとは同じ溝形状となる。
図13に示すガイド溝10cでは、楕円形状の溝のうち図13に示す左半分の溝を左外溝10c1、右半分の溝を右外溝10c2とする。また、ガイド溝10cは左外溝10c1と右外溝10c2とによって囲まれた範囲内には、挿入側(先端側)に配された挿入側段差10c3と、底側(基端側)に配された底側段差10c4とが形成されている。
図13に示すガイド溝10cの溝は、摺動子14の回転位置が0度(180度)となる位置の近傍で最も挿入側(先端側)となり、90度(270度)となる位置の近傍で最も底側(基端側)となるように形成されている。
ここで、ロッド1が受け部9内に挿入されると、係止ピン13は、上記したガイド溝10cにおいて、最も挿入側となるP1の位置から底側に向かって真っ直ぐ移動し、略挿入側に窪んだ曲線を描く弧形状の挿入側段差10c3と当接する。
この挿入側段差10c3と当接した係止ピン13は、挿入側段差10c3における挿入側の面に沿って移動し、挿入側段差10c3の端部を越えると、さらに底側に向かって移動し、略底側に窪んだ曲線を描くU字形状の底側段差10c4と当接する。そして、ロッド1を挿入することで作用する、挿入側から底側に向かって押し込まれる力によって係止ピン13が底側段差10c4の窪んだ部分に押さえつけられ、その移動は停止する。
ここで、ロッド1を挿入するために作用させている力を解放すると、押圧スプリング16の復元力によって押圧ピン15がロッド1および摺動子14を受け部9の挿入側へ押圧する。これにより、係止ピン13は底側段差10c4に沿って弧を描きながら挿入側に向かって移動する。
ガイド溝部10cの挿入側に向かって移動した係止ピン13は、挿入側段差10c3の底側の面と当接する。そして、挿入側へ向かって押圧される力によって係止ピン13が先端側段差10c3の窪んだ部分に押さえつけられ、その移動は停止する(図14のP2の位置)。
再度、ロッド1に対して受け部9に向かって挿入する方向に力を及ぼすと、係止ピン13は、挿入側段差10c3から、右外溝10c2に沿って底側に向かって移動する。そして、ガイド溝10cにおいて最も底側となる位置にて、ロッド1を挿入することで作用する、挿入側から底側に向かって押し込まれる力によって係止ピン13が押さえつけられ、その移動は停止する。
この状態から、ロッド1を挿入するために作用させている力を解放すると、押圧スプリング16の復元力によって押圧ピン15がロッド1および摺動子14を受け部9の挿入側へ押圧する。これにより、係止ピン13は、左外溝10c1に沿って底側から挿入側に向かって移動する。そして、ガイド溝10cにおいて最も先端側となる位置(P1)に至り、先端側へ向かって押圧される力によって係止ピン13が押さえつけられ、その移動は停止する(図13のP1の位置)。
以上のように、ロッド1の受け部9に対する挿入および挿入するように作用させている力の解放を繰り返すことで、係止ピン13はP1とP2との2つの位置に交互に移動することとなる。
この変形例1では、係止ピン13がP1にあるときの摺動子14の位置が第1ポジションとなり、図5に示すように係止ピン13が摺動子14内に押し出され、摺動子14内に挿通しているロッド1を挟持して連結状態となる。一方、係止ピン13がP2にあるときの摺動子14の位置が第2ポジションとなり、図4に示すように係止ピン13がロッド1によって摺動子14の外側に押し出され、連結状態が解除された状態となる。
しかしながら、実施形態1の変形例1は上述した構成に限定されるものではなく、係止ピン13がこのP1にあるときに第2ポジションとなり、係止ピン13がP2にあるときに第1ポジションとなるように構成されていてもよい。
また、ガイド溝10cの溝形状は、これに限定されるものではなく、変形例1に示したガイド溝10cを上下で反転させた形状としてもよい。
(変形例2)
次に、図14を参照して変形例2に係る連結構造100の構成について説明する。
変形例2に係る連結構造100は、図14に示すように、受け部9の内周方向における0度から90度の範囲、180度から270度の範囲に、ガイド溝10cとしてハートが上下で反転した形状の溝が形成された構成であってもよい。
なお、変形例2に係る連結構造100では、摺動子14が備える係止ピン13の個数が2本の場合について説明しており、一方の係止ピン13が0度から90度の範囲に形成されたガイド溝10cによって移動が規制され、他方の係止ピン13が180度から270度の範囲に形成されたガイド溝10cによって移動が規制されるようになっている。このため、0度から90度の範囲に形成されたガイド溝10cと180度から270度の範囲に形成されたガイド溝10cとは同じ溝形状となる。
変形例2に係る連結構造100では、ロッド1が受け部9内に挿入されると係止ピン13は、上記したガイド溝10cにおいて、最も挿入側となるP1の位置から底側に向かって真っ直ぐ移動し、底側における窪んだ部分に至る。そして、ロッド1を挿入することで作用する、挿入側から底側に向かって押し込まれる力によって係止ピン13がこの窪んだ部分に押さえつけられ、その移動は停止する。
ここで、ロッド1を挿入するために作用させている力を解放すると、押圧スプリング16の復元力によって押圧ピン15がロッド1および摺動子14を受け部9の挿入側へ押圧する。これにより、ハート側溝形状の略中央近傍に設けられた、挿入側に向かって窪んだ曲線を有するU字形状の中間保持段差10c5に係止ピン13が当接する。そして、先端側へ向かって押圧される力によって係止ピン13が押さえつけられ、その移動は停止する(図14のP2の位置)。
再度、ロッド1に対して受け部9に向かって挿入する方向に力を及ぼすと、係止ピン13は、中間保持段差10c5から、基端部側に向かって移動する。そして、ガイド溝10cに沿って移動し、底側に窪んだ部分に至る。そして、ロッド1を挿入することで作用する、挿入側から底側に向かって押し込まれる力によって係止ピン13がこの窪んだ部分に押さえつけられ、その移動は停止する。
ここで、ロッド1を挿入するために作用させている力を解放すると、押圧スプリング16の復元力によって、押圧ピン15がロッド1および摺動子14を受け部9の挿入側へ押圧する。これにより、係止ピン13は、ハート側溝形状であるガイド溝10cに沿って底側から挿入側に向かって移動し、図14のP1の位置に至る。そして、このP1の位置で、挿入側へ向かって押圧される力により係止ピン13が押さえつけられ、その移動は停止する。
このように、ロッド1を挿入させるように力を作用させたり、作用させている力を解放させたりすることで、係止ピン13はP1とP2との2つの位置に交互に移動することとなる。
この変形例2では、係止ピン13がP1にあるときが第1ポジションであり、図5に示すように係止ピン13が摺動子14内に押し出され、摺動子14内に挿通しているロッド1を挟持して連結状態となる。一方、係止ピン13がP2にあるときが第2ポジションであり、図4に示すように係止ピン13がロッド1によって摺動子14の外側に押し出され、連結状態が解除された状態となる。
なお、変形例2では、係止ピン13がP1にあるときに第1ポジションとなり、P2にあるときに第2ポジションとなる構成であったが、P1にあるときに第2ポジションとなり、P2にあるときに第1ポジションとなるように構成されていてもよい。
また、ガイド溝10cの溝形状は、これに限定されるものではなく、変形例2に示したガイド溝10cを上下で反転させた形状としてもよい。
(変形例3)
次に図15から図19を参照して変形例3に係る連結構造100の構成について説明する。図15は、実施形態1の変形例3に係る連結構造100の概略構成の一例を示す断面図である。図15では、ロッド1を受け部9における挿入側開口10aから挿入路10bに挿入した状態を上段に示している。そして、ロッド1を挿入して受け部9の底側まで押し込んだ状態を下段に示している。図16は、実施形態1の変形例3に係る連結構造100において、円筒形状である受け部9を、該受け部9の延設方向(ロッド1の挿入方向)に切り出した断面図である。また、図17は図16に示す受け部9を展開させた展開図である。図18は、図17に示すガイド溝10cのP1に係止ピン13が配置されている構成において、係止ピン13とガイド溝10cとロッド1との位置関係を示す断面図である。図19は、図17に示すガイド溝10cのP2に係止ピン13が配置されている構成において、係止ピン13とガイド溝10cとロッド1との位置関係を示す断面図である。
変形例3に係る受け部9は、上述した本実施の形態に係る連結構造100と同様に受け部9の内周において、その周方向にガイド溝10cが形成されているが、ラインL1およびラインL2の凹凸形状が図3に示すガイド溝10cと異なっている。
具体的には、図17に示すように、ラインL1では、0°の位置から120°の位置まで、すなわち、摺動子14が120°回転するまでに2種類の凸形状の凸部が形成されており、この2種類の凸形状の凸部の組が交互に繰り返されるようになっている。なお、図17に示す角度は、受け部9の中心軸線Oを中心としたときの中心角の角度を示している。
すなわち、1種類目の凸形状(凸形状A)の凸部は、図17の0°の位置において、挿入側から底側に向かって真っ直ぐ立ち上がり、そのピークから緩やかな弧を描くように挿入側に向かって傾斜する形状となっている。ただし、この傾斜する区間は凸形状Aの凸部の開始位置(図17の0°の位置)よりも底側となっている。この凸形状Aの後には底(P1)が平滑な凹部が形成され、続いて2種類目の凸形状Bとなる凸部が形成される。
凸形状Bの凸部は、略60°の位置から開始しており、P1の位置から真っ直ぐ底部側に向かって立ち上がり、そのピークから緩やかな弧を描くように挿入側に向かって傾斜する。そして、この傾斜がP1と同じ高さ位置まで続くと、その後は挿入側に向かって、凸形状Aの凸部の開始位置と同じ高さ位置まで真っ直ぐ立ち下がった形状をしている。この凸形状Bの凸部の後には、P2が平滑となる凹部が形成され、そのP2の後に上述した凸形状Aの凸部が再度、形成される。
このように、P1の方が、P2よりも受け部9の底側に位置している。また、凸形状Aの凸部と凸形状Bの凸部とは摺動子14が略60度回転するたびに交互に出現する。なお、凸形状Aの凸部と凸形状Bの凸部とは必ずしも交互に形成される必要はなく、例えば、凸形状A、凸形状B、凸形状B、凸形状A・・・の順番に形成されてもよい。ただし、凸形状Aの個数および凸形状Bの個数それぞれは、摺動子14が備える係止ピン13の個数の整数倍であることが好ましい。このように、整数倍とすることで、例えば、複数の係止ピン13の全部でロッド1を挟み込み、固定したり、ロッド1の固定を解除したりすることができる。なお、図17では、係止ピン13の個数が3個の場合におけるライン1を示している。
一方、変形例3に係る受け部9におけるラインL2の凹凸部は、ラインL1の凸部よりも略30°ずれた位置に凸部が形成された形状となっている。具体的には、図17に示すように、ラインL1の凸形状Aの凸部の開始位置(0°)よりも略30°ずれた位置(G1)から受け部9における挿入側に向かって真っ直ぐ立ち上がり、そのピークから底側に向かって弧を描くように傾斜した形状となる凸部が繰り返されている。
また、変形例3に係る連結構造100では、上述したような溝形状のガイド溝10cを有する受け部9に対して、図15に示すように尖端に球形状の球状部(係合部)1dを備えたロッド1が挿入される。そして、ロッド1が挿入されると、摺動子14に備えられた3本の係止ピン13が該摺動子14の外側に向かって移動するようにロッド1の尖端で押しのけられる。
さらにロッド1を挿入すると、まず押圧ピン15を押し下げ、次に摺動子14を受け部9の底側に向かって押しこみ、図15の下段に示すようにロッド1と押圧ピン15及び摺動子14がそれぞれ当接する。この時、ロッド1によって押しのけられた係止ピン13はガイド溝10cの底側に形成された凹凸部であるラインL2の傾斜に沿って移動し、ラインL2における真っ直ぐな立下り部分に当接して停止する(図17のG1)。この係止ピン13の移動により摺動子14は、上述の図3の溝形状を有するガイド溝10cの構成の場合とは反対側に回転する。
ここで、ロッド1に及ぼしている力を解放すると、押圧スプリング16の復元力により押圧ピン15がロッド1および摺動子14を受け部9の挿入側に向かって押圧する。これにより係止ピン13はラインL1の凸形状Aの凸部の傾斜部分に沿って移動し、凸形状Aの凸部と凸形状Bの凸部との間に形成された凹部の底(P1)に至る。そして、係止ピン13はこのP1でラインL1と当接して停止する。
さらに再度、受け部9に挿入させる方向にロッド1に力を及ぼすと、係止ピン13が底側に向かって移動しラインL2と当接する。そして、係止ピン13は、このラインL2の傾斜に沿って移動し、ラインL2の凸部の真っ直ぐな立ち上がり部分(図17のG2)に当接して停止する。この係止ピン13の移動により摺動子14は、上述の図3の溝形状を有するガイド溝10cの構成の場合とは反対側にさらに回転する。
ここで、ロッド1に及ぼしている力を解放すると、押圧スプリング16の復元力により押圧ピン15がロッド1および摺動子14を受け部9の挿入側に向かって押圧する。これにより係止ピン13は、ラインL1における凸形状Bの凸部の傾斜部分に沿って移動し、凸形状Aの凸部と凸形状Bの凸部との間に形成される凹部の底(P1)に至る。そして、係止ピン13は、このP1でラインL1に当接して停止する。以上のようにロッド1を挿入させるように力を作用させたり、作用させている力を解放させたりすることで、係止ピン13はP1とP2との2つの位置に交互に移動することとなる。
なお、変形例3に係る受け部9のP1部分での断面形状は、図18に示すように、挿入路10bおよびガイド溝10cによって形成される受け部9の内周面と摺動子14との間隔が、係止ピン13の外周端の幅と同程度になっている。このため、係止ピン13がP1の位置にあるとき、係止ピン13は、受け部9の内周面(挿入路10bおよびガイド溝10c)によって摺動子14の内部に向かって押しだされることとなる。
これにより、図18に示すように、ロッド1のストレート部分と先端部の球状部1dとの境界である括れ部1eを、3本の係止ピン13によって挟み込む。そして、係止ピン13によってロッド1を固定させるとともに、ロッド1を受け部9から引き抜く向きに大きな力が作用させられても係止ピン13により球状部1dの移動が阻害される。このため、ロッド1を受け部9内にしっかり連結した状態とすることができる(第1ポジション)。
一方、変形例3に係る受け部9では、係止ピン13がラインL1のP2の位置にて停止しているときに、図19に示すように、摺動子14と受け部9の内周面(挿入路10b)との間に、P1の位置のときよりも大きな間隙が形成されている。具体的には、この間隙は、係止ピン13の内周端が摺動子14の内周面と同一面となるか、それよりも外周側となるように、係止ピン13が移動できる程度の大きさとなっている。
このため、ロッド1を受け部9から引き抜く向きに力を作用させると、ロッド1の球状部1dによって係止ピン13が摺動子14の外側に向かって押し出され、ロッド1が引き抜かれることとなる。つまり、ロッド1と受け部9との連結が解除される(第2ポジション)。
また、この変形例3では、係止ピン13がラインL1のP2にて停止しているときに、第2ポジションとなり、係止ピン13がラインL1のP1にて停止しているときに第1ポジションとなる構成であったが、係止ピン13がP1にて停止しているときに、第2ポジションとなり、係止ピン13がP2にて停止しているときに、第1ポジションとなる構成であってもよい。
また、上記した連結構造100を製品化するにあたり、例えば、以下のようにして製造することができる。ここでは、変形例3に係る連結構造100の構成を例に挙げ、連結構造100の製造方法の一例について説明する。
すなわち、受け部9を、ガイド溝10c部分で挿入側受け部9bと底側受け部9aとに分割して形成する(図15参照)。そして、挿入側受け部9bの方では、挿入側開口10a、挿入路10b、ガイド溝10cの一部を形成し、底側受け部9aの方では、ガイド溝10cの一部と収容部11とを形成する。そして、これら二つの挿入側受け部9bと底側受け部9aとを接合させ、ケーシング部2でこれら2つの受け部9a、9bを包み込む。さらに、ケーシング部2の一端(底側の端部2e)を、受け部9の内部に向かう方向に屈曲させ固く接合する(カシメる)。このように、挿入側受け部9bと底側受け部9aとに分割して形成するため、挿入路10bや収容部11などよりも内周寸法が大きくなるガイド溝10cを、例えば中子を入れて鋳造により生成するといった製造方法を採用しなくても容易に製造することができる。
また、受け部9を真鍮等の金や銀より硬い素材で構成するとともに、ケーシング部2を銀や金等の貴金属で構成するといった、用途に応じた素材を部品ごとに採用することができる。例えば、ケーシング部2をネックレスやブレスレットと同じ材質でコーティングすることで外観的に美しい形態を実現する。その一方で、受け部9を固い素材で形成することで摺動子14に対する耐摩耗性を向上させることができる。
(実施の形態2)
次に、他の実施形態として実施の形態2に係る連結構造(装身具用連結構造)200の構成について図20から図28を参照して説明する。上述した実施形態1に係る連結構造100では、摺動子14が備える係止ピン13が、受け部9におけるガイド溝10cの溝に沿って移動することで第1ポジションと第2ポジションとを切り替える構成であった。そして、係止ピン13が第1ポジションにあるとき、この係止ピン13によってロッド1を挟持して固定する構成であった。
すなわち、係止ピン13は、受け部9において摺動子14を異なるポジションへ誘導させる誘導機能と、ロッド1の抜き取り方向への移動を阻害するロック機能という2つの機能を担っていた。しかしながら、例えば、以下の実施の形態2に係る連結構造200のように、ロック機能を係止ピン13とは異なる別の部材に担わせる構成としてもよい。
すなわち、本実施の形態2に係る連結構造200は、図20、21に示すように、ロッド21と受け部29とを備えてなる構成である。
ロッド21は、図20、21に示すように、断面が円形の棒状部材であるストレート部21cと、ストレート部21cの尖端に形成された球形の球状部(係合部)21aと、ストレート部21cと球状部21aとの接合部分である括れ部21bとを備える。
受け部29は、図20、21に示すように、一方の端部のみが開口した断面が円形の円筒形状部材である。受け部29は、開口が形成されている挿入側開口部29aと、この挿入側開口部29aから真っ直ぐ伸びた円筒部分である収容部29bとから構成される。
なお、挿入側開口部29aは、収容部29bよりも断面における外径寸法および内径寸法が大きくなるように形成されている。例えば、ロッド1のストレート部21cの断面の直径を0.8mmとし、球状部21aの直径を1.2mmとしたとき、受け部29の挿入側開口部29aにおける断面の外径は4mm、内径は3.2mm程度となる。
これは、ロッド1をスムースに受け部29内に受け入れることができるようにするとともに、ロッド1と受け部29とが連結状態にある際に、ロッド1が挿入側開口部29aの径方向および周方向にある程度自由に移動できるように挿入側開口部29aの内径が設計されている。
また、挿入側開口部29aの断面における外径寸法を例えば、4mm、内径寸法を3.2mm程度とした場合、収容部29bの断面における外径寸法は、例えば3.2mm、内径寸法を2.4mm程度とする。詳細は後述するが、実施形態2に係る連結構造200は、この挿入側開口部29aの内径寸法と収容部29bの内径寸法との違いを利用してロック機能を実現している。なお、ここで提示した挿入開口部29aおよび収容部29bの内径寸法、外形寸法は例示であり、この寸法に限定されるものではない。
受け部29の収容部29b内には、図20に示すように、挿入側開口部29aが配されている側から順に、摺動子24、板バネ(連結手段)25、押圧スプリング26が収容されている。また、収容部29bの延伸方向における中点近傍の側面には、図21に示すように、受け部29の外部から内部に向かって係止ピン23を挿入するための2つの係止ピン挿入穴29cが形成されている。2つの係止ピン挿入穴29cは、ロッド1の受け部29への挿入方向(収容部29bの延伸方向)に対して略垂直となる方向に延びるように形成されており、互いに対向する位置に配置されている。また、係止ピン23の一方の端部には、収容部29bの側面の周方向に沿うように湾曲し、この側面に固定することができる弧状固定部22が接合されている。このため、係止ピン23は、収容部29bの側面から収容部29b内に向かって突出するように弧状固定部22によって固定することができる。
図20に示すように、押圧スプリング26は、収容部29b内において開口していない底側(基端側)の端部に配置され、ロッド1の挿入方向において伸縮する圧縮コイルバネである。この押圧スプリング26の復元力により隣接して配置される摺動子24を挿入側開口部29a側に押圧することができるようになっている。
摺動子24は、受け部29内部を回転しながら、ロッド1の挿入方向において前後に摺動する。摺動子24は、押圧スプリング26と当接する側の端部が塞がれており、この端部とは反対側となる端部が開口している。より具体的には、摺動子24は、図21に示すように、受け部29の挿入側(先端側)に配され、開口を有する挿入側摺動部24aと、押圧スプリング26と当接する側に配される底側摺動部24bと、これら挿入側摺動部24aと底側摺動部24bとの間に配置され両者を連結する連結部24cとを備えている。つまり、図20、図21に示すように摺動子24は、挿入側摺動部24aおよび底側摺動部24bよりも外径寸法が小さい棒状の連結部24cを、互いに同じ外径寸法となる挿入側摺動部24aおよび底側摺動部24bが挟みこんだ形状となっている。
また、挿入側摺動部24aおよび底側摺動部24bにおいて互いに対向する端部には鋸歯型の挿入側凹凸部24fおよび底側凹凸部24g(ガイド手段、凹凸部)がそれぞれ形成されている。これら挿入側凹凸部24fおよび底側凹凸部24gは、機能的には実施形態1に係る連結構造100が備えるガイド溝10cのラインL1およびラインL2と同様な部材となる。
ここで、図22を参照して挿入側摺動部24aの構造についてより詳細に説明する。図22に示すように、挿入側摺動部24aは、断面が略円形の円筒形状をしており、この円筒形となる挿入側摺動部24の中心軸線は受け部9の中心軸線Oと一致するものとする。
挿入側摺動部24の挿入側の端面にはロッド1を受け入れることができる開口である第1開口部24dが形成され、この第1開口部24dよりも底側に、第1開口部24dが形成される面と平行な面に開口した、第2開口部24hが形成されている。なお、第1開口部24dと第2開口部24hとはともに中心が中心軸線O上となるように形成されている。
そして、第1開口部24dと第2開口部24hとの間における挿入側摺動部24aの側面には3つの開口(板バネ挿入口24e)が形成されている。このため、図22に示すように第1開口部24dが形成されている面と第2開口部24hが形成されている面との間を3箇所の側壁で支えているような形状となっている。
挿入側凹凸部24fでは、図22に示すように挿入側摺動部24aの外周側面の端部が、底側に向かって緩やかに立ち上がり、所定位置でピークに達すると真っ直ぐ挿入側に立ち下がる形状の凸部が連続している。このため、挿入側凹凸部24fの凹部の底に係止ピン23が配置されると、緩やかにたち下がった斜面が形成されている方向には係止ピン23は移動できるが、真っ直ぐ立ち上がった斜面側には係止ピン23は移動することができないように構成されている。
また、図22に示すように挿入側摺動部24aにおいて、挿入側凹凸部24fが形成される側の端部から棒形状の連結部24cが突出している。
次に、連結部24cを介して挿入側摺動部24aと接合される底側摺動部24bについて説明する。図23に示すように、底側摺動部24bにおける挿入側(先端側)の端面(連結部24cが配される側の端面)の外周において、挿入側摺動部24aに向かって突出した底側凹凸部24gが形成されている。
底側凹凸部24gでは、図23に示すように、2種類の凸形状となる凸部が形成されている。まず、1種目の凸形状の凸部は、底側摺動部24bの凹部の底であるボトムβ2から挿入側(先端側)に向かって真っ直ぐ立ち上がり、途中で弧を描くように緩やかに傾斜しながらさらに立ち上がってピークα1に達する。そして、ピークα1から、緩やかな傾斜が開始された位置と同じ高さ位置まで底側(基端側)に向かって真っ直ぐ立ち下がって凹部の底であるボトムβ1に至る。2種類目の凸形状の凸部は、ボトムβ1から緩やかに挿入側(先端側)に向かって傾斜しながら立ち上がり、ピークα2に達し、ピークα2から底側(基端側)に向かって真っ直ぐ立ち下がってボトムβ2に至る。
特に、ボトムβ1よりもボトムβ2の方が底側摺動部24bにおいてより底側(基端側)に位置している。なお、実施形態2に係る底側摺動部24bにおいて、ボトムβ2を含む凹部を凹部24g1と称し、ボトムβ1を含む凹部を凹部24g2と称するものとする。そして、これら凹部24g1と凹部24g2とは、ロッド21の挿入方向においてそれぞれ異なる位置に形成されている。
次に、挿入側摺動部24の板バネ挿入口24eに挿入される板バネ25について説明する。板バネ25は、細長い長方形状の金属製の板を図24に示すように馬蹄形に湾曲させ、両端部を外側に開くように折り曲げられた形状となっている。図24は、実施形態2に係る摺動子24に取り付けられる板バネ25を挿入側からみたときの側面形状の一例を示す側面図である。また、この板バネ25を摺動子24の側面に形成された3つの板バネ挿入口24e1、24e2、24e3それぞれに取り付けた状態は図25に示すようになる。図25は、図20に示す連結構造200において、受け部29をA−Aで切り出した際の断面図である。
すなわち、挿入側摺動部24aには、板バネ挿入口24eの中で最も大きな開口寸法となる板バネ挿入口24e1と、この板バネ挿入口24e1よりも小さい開口寸法となる2つの板バネ挿入口24e2、24e3が形成されている。そして、外側に広がるように折り曲げられた板バネ25の端部それぞれが板バネ挿入口24e2、24e3それぞれを介して摺動部24内から外側に向かって突出しており、板バネ25の湾曲した部分の一部が板バネ挿入口24e1から突出するように配置され、板バネ25が挿入側摺動部24aに取り付けられている。つまり、湾曲された板バネ25には平板形状に戻ろうとする力が作用する。このため、外側に折り曲げられている板ばね25の端部が板バネ挿入口24e1と板バネ挿入口24e2との間の側面、板バネ挿入口24e1と板バネ挿入口24e3との間の側面それぞれを押圧することとなり、結果として板バネ25が摺動子24に固定されることとなる。
なお、上記した構成を備える実施形態2に係る連結構造200は、例えば、図21に示すように、以下のように組み立てられている。すなわち、受け部29内に押圧スプリング26と、板バネ25を取り付けた摺動子24とを収容する。そして、摺動子24において挿入側摺動部24aと底側摺動部24bとの間に形成される間隙(挿入側凹凸部24fと底側凹凸部24gとの間に形成される間隙)に係止ピン23を挿入し、受け部29の側面に固定する。このように係止ピン23が上述した間隙内に挿入されているため、押圧スプリング26により摺動子4が受け部29の挿入側に向かって押圧されても、この摺動子4は受け部29内から飛び出すことがないようになっている。
このような構成において、実施形態2に係る連結構造200は、以下のように動作することで、第1ポジションと第2ポジションとの間におけるポジションの切り替え、ならびにロッド21と受け部29との連結、あるいはこの連結の解除を実施することができる。
まず、ロッド21を受け部29に挿入する時点では、摺動子24が押圧スプリング26により受け部29の挿入側に押圧され、図26に示すように係止ピン23が底側凹凸部24gの凹部24g1と当接する位置にある。この時、挿入側摺動部24aに取り付けられている板バネ25は、受け部29の挿入側開口部29aに位置しており、図29に示すように板バネ24の両端部および湾曲部分がそれぞれ板バネ挿入口24から突出した状態となっている。図29は、図20に示す連結構造200において、板バネ25が受け部29の挿入側開口部29aに位置している際の摺動子24、板バネ25、およびロッド21の球状部21aそれぞれの位置関係を模式的に示した断面図である。
板バネ25が図29に示す状態で摺動子24に取り付けられているとき、受け部29内で板バネ25が湾曲することで形成される環状部分はロッド21の球状部21aの直径より大きくなる。このため、板バネ25の環状部分に囲まれた空間をロッド21の球状部21aは、挿入方向の前後に板バネ25に阻害されることなく自由に移動することができる。
次に、ロッド21を受け部29内に挿入すると、摺動子24はロッド21によって受け部29の底側に押し込まれ、その結果、底側凹凸部24gの凹部24g1に位置していた係止ピン23が挿入側凹凸部24fと当接し、挿入側凹凸部24fの凹凸形状に沿って挿入側凹凸部24fの凹部24f1で係止ピン23が停止する(図27参照)。すなわち、係止ピン23の位置は図26に示す状態から図27に示す状態へと遷移する。このとき、摺動子24は、初期位置(図26に示す位置)から45度回転した位置となる。
図27に示すように、係止ピン23が、挿入側凹凸部24fの凹部24f1と当接した位置で停止した状態で、ロッド1を受け部29に挿入させるために及ぼしていた力を解放すると、押圧スプリング26によって摺動子24が受け部29の挿入側に向かって押圧される。このとき摺動子24は、図27に示す位置からさらに45度回転した、図28に示す位置となる。つまり、係止ピン23は、図28に示すように底側凹凸部24gの凹部24g2と当接した位置で停止する。
実施形態2に係る連結構造200では、結果的には、係止ピン23が底側凹凸部24gの凹部24g1から凹部24g2に移動するまでの間に、初期位置から90度移動したこととなる。
係止ピン23が凹部24g2にあるとき、挿入側摺動部24aに備えられている板バネ25は、収容部29b内に位置しており、板バネ25の両端部および湾曲部が板バネ挿入口24からほとんど突出できない状態となっている。このため、板バネ25は図30に示すように摺動部24内においてさらに湾曲した状態で収容され、板バネ25が湾曲することで形成される環状部分はロッド1の球状部21aの直径より小さくなる。これにより、ロッド1の球状部21aは、受け部29の底側から挿入側に向かって移動しようとしても、この移動は板バネ25によって阻害され、ロッド21は受け部29から抜き出すことができなくなる。すなわち、実施形態2に係る連結構造200では、係止ピン23が底側凹凸部24gの凹部24g2に位置するときに、第1ポジションとなる。
再度、ロッド1を挿入すると、摺動子24はロッド1によって受け部29の底側に押し込まれ、その結果、底側凹凸部24gの凹部24g2に位置していた係止ピン23が挿入側凹凸部24fと当接し、挿入側凹凸部24fに沿って移動する。そして、挿入側凹凸部24fの凹部24f1と当接する位置で係止ピン23が停止する。
ここで、ロッド1を受け部29に挿入させるために及ぼしていた力を解放すると、押圧スプリング26によって摺動子24が受け部29の挿入側に向かって押圧される。このため係止ピン23は、図26に示すように底側凹凸部24gの凹部24g1と当接する位置で停止する。このとき、挿入側摺動部24aに備えられている板バネ25は、挿入側開口部29aに位置しており、図29に示すように板バネ25の両端部および湾曲部分がそれぞれ板バネ挿入口24eから突出した状態となる。
このため、ロッド1の球状部21aは、板バネ25の環状部分に囲まれた空間を挿入方向の前後に自由に移動することができる。つまり、実施形態2に係る連結構造200は、係止ピン23が底側凹凸部24gの凹部24g1に位置するとき、第2ポジションとなる。
以上のようにして実施形態2に係る連結構造200は、ロッド21と受け部29とが容易に連結したり、連結された状態から解除されたりすることができる。
なお、上記した実施形態2に係る板バネ25は、摺動子24の板バネ挿入穴24eに挿入されることでこの摺動子24に取り付けられる構成であった。しかしながらこのように板バネ25と摺動子24とが別体に設けられた構成に限定されるものではなく、板バネ25と摺動子24が一体に形成されていてもよい。
以下、実施形態2に係る連結構造200の変形例として、板バネ25と摺動子24とが一体に形成された構成について説明する。
(変形例1)
実施形態2に係る連結構造200は、上述したように、摺動子24の挿入側摺動部24aにおいて、板バネ挿入口24eが形成され、板バネ25がその板バネ挿入口24eに取り付けられる構成であった。これに対して実施形態2の変形例1に係る連結構造200では、図31に示すように、第1開口部24dの外周に2つの板バネ25が本発明の連結手段として互いに対向する位置に取り付けられる構成とする。図31は、実施の形態2に係る連結構造200における摺動子24の一例を示す斜視図である。図31では、説明の便宜上、摺動子24の挿入側摺動部24aの挿入側端部付近のみを図示している。
このように、実施形態2の変形例1に係る摺動子24は、挿入側摺動部24aの挿入側端部形状のみが上述した実施形態2の摺動子24と異なる。このため、挿入側摺動部24aの挿入側端部形状について説明し、それ以外の部位については説明を省略する。
板バネ25は、第1開口部24dから受け部29の挿入側に向かって突出し、その先端部が第1開口部24dの径方向に外側に向かって湾曲した形状をしている。また、板バネ25それぞれの先端部には、略半円筒型の板バネ当接部30がそれぞれ形成されている。ここで、板バネ25は、詳細は後述するが、ロッド21との連結時には、その先端部がロッド21と当接して受け部29から抜け出ることを防ぐように構成されている。
上述したように板バネ25は、板バネ当接部30を備えているため、ロッド21と当接する端部の強度を増すことができる。また、板バネ当接部30が略半円筒型であるため、板バネ25の先端部にネックレスの装着者が触れて怪我をすることを防止することができる。
一方、実施形態2の変形例2に係る連結構造200では、図32、33に示すように、受け部29の断面形状は、その側面が収容部29bから挿入側開口部29aまで真っ直ぐに延びている。そして、受け部29の側面は、挿入側開口部29aから、この挿入側開口部29aの径方向に外側に向かって広がるように突出した形状をしている。
図32、33は、実施形態2の変形例1に係る連結構造200における受け部29と摺動子24との配置関係の一例を模式的に示す断面図である。図32、33では、説明の便宜上、受け部29の挿入側半分のみと挿入側摺動部24aのみを模式的に図示している。つまり、実施形態2の変形例2に係る受け部29は、挿入側開口部29a近傍の側面形状が上述の実施形態2で説明した受け部29と異なるが、それ以外は同様である。このため、受け部29において相違する部分についてのみ説明し、それ以外の構成については説明を省略する。
上述したように、実施形態2に係る連結構造200では、係止ピン23が底側凹凸部24gの凹部24g1と当接する位置で停止しているとき、第2ポジションとなる。一方、係止ピン23が底側凹凸部24gの凹部24g2と当接する位置で停止しているとき、第1ポジションとなる。
また、係止ピン23が第1ポジションのときよりも第2ポジションのときの方が、摺動子24は、受け部29の挿入側に位置する構成であった。つまり、実施形態2に係る連結構造200は、係止ピン23が第1ポジションにあるときの摺動子24の位置(挿入側となる位置)と第2ポジションにあるときの摺動子24の位置(底側となる位置)とを切り替えることでロッド21と受け部29との連結、または連結の解除を行う構成であった。
実施形態2の変形例1に係る連結構造200においても、同様に、摺動子24の位置を切り替えることで、ロッド21と受け部29との連結または連結の解除を行なうように構成されている。
より具体的には、図32に示すように、摺動子24が受け部29の底側となる位置にある場合、受け部29の内周側面により板バネ25の先端部が中心軸線Oに向かうように押し付けられる。これにより、板バネ25の先端部によって摺動子24の内径が狭められるため、ロッド21を受け部29から引き抜く場合、板バネ当接部30とロッド21の球状部21aとが当接して引き抜くことができなくなる。すなわち、ロッド21と受け部29とが連結状態となる。
一方、図33に示すように、摺動子24が受け部29の挿入側となる位置にある場合、受け部29の挿入側開口部29a付近における外側に広がった形状により板バネ25の先端部が受け部29と同様に外側に広がった形状となる。
このため、摺動子24の開口寸法は、板バネ25の先端部によって狭められることなくロッド21の球状部21aが通過するのに十分な寸法となるため、ロッド21を受け部29から容易に引き抜くことができる。すなわち、ロッド21と受け部29との連結状態が解除された状態となる。
(変形例2)
実施形態2の変形例1に係る連結構造200は、上述したように、係止ピン23が凹部24g2と当接する位置にあるとき、つまり、摺動子24が底側となる位置にあるとき、ロッド21と受け部29とが連結状態となる。一方、係止ピン23が凹部24g1にあるとき、つまり、摺動子24が挿入側となる位置にあるとき、連結状態が解除される構成であった。
しかしながら、実施形態2の変形例2では、係止ピン23が凹部24g2と当接する位置にあるとき、つまり、摺動子24が底側となる位置にあるとき、ロッド21と受け部29との連結が解除される状態となる。一方、係止ピン23が凹部24g1と当接する位置にあるとき、つまり、摺動子24が挿入側となる位置にあるとき、連結状態となるように構成する。
より具体的には、実施形態2の変形例2に係る連結構造200では、摺動子24の構成については実施形態2の変形例1に係る摺動子24と同様の構成とする。このため、摺動子24の構成について説明は省略する。
ただし、受け部29は、挿入側開口部29a近傍の外径寸法と内径寸法とが上述の実施形態2の変形例1で説明した受け部29とは異なっている。それ以外については同様であるため、受け部29において相違する部分についてのみ説明する。
実施形態2の変形例2に係る受け部9は、図34、図35に示すように、収容部29b挿入側開口部29aから収容部29bに渡って同じ外径寸法となるが、収容部29bから挿入側開口部29aにかけて内径が先細りとなるテーパー形状をしている。
図34、図35は、実施形態2の変形例2に係る連結構造200における受け部29と摺動子24との配置関係の一例を模式的に示す断面図である。図34、図35では、説明の便宜上、受け部29の挿入側半分のみと挿入側摺動部24aのみを模式的に図示している。
より具体的には、図34に示すように、摺動子24が挿入側となる位置にある場合、受け部29の挿入側開口部29a近傍のテーパー形状となった内周側面により、本発明の連結手段を実現する板バネ25の先端部が中心軸線Oに向かうように押し付けられる。これにより、板バネ25の先端部によって摺動子24の内径が狭められる。
このため、ロッド21を受け部29から引き抜く場合、板バネ当接部30とロッド21の球状部21aとが当接して引き抜くことができなくなる。すなわち、ロッド21と受け部29とが連結状態となる。
一方、図35に示すように、摺動子24が底側となる位置にある場合、板バネ25は受け部29の内周側面に沿ったままの位置で配置される。このため、板バネ25の先端部が配置されている部分において、摺動子24の内径が狭められることなくロッド21の球状部21aが通過するのに十分な寸法となっている。よって、ロッド21を受け部29から容易に引き抜くことができる。すなわち、ロッド21と受け部29との連結状態が解除された状態となる。
(変形例3)
実施形態2の変形例1に係る連結構造200では、係止ピン23が底側凹凸部24gの凹部24g2にあるときロッド21と受け部29とが連結状態となり、係止ピン23が底側凹凸部24gの凹部24g1にあるとき連結状態が解除される構成であった。つまり、摺動子24が底側に配置されるか、あるいは挿入側に配置されるかに応じて、ロッド21と受け部29とを連結状態とするか、あるいは連結状態から解除された状態とするかを切り替える構成であった。
しかしながら、変形例3に係る連結構造200では、摺動子24の初期位置からの回転位置に応じてロッド21と受け部29とを連結状態とするか、あるいは連結状態から解除された状態とするかを切り替える構成とする。
より具体的には、実施形態2の変形例3に係る連結構造200では、摺動子24の構成については実施形態2の変形例1に係る摺動子24と同様の構成とする。このため、摺動子24の構成について説明は省略する。
一方、受け部29の構成は、実施形態2の変形例1に係る連結構造200とは異なる。すなわち、図36に示すように、受け部29は、底部から挿入側開口部29aまで真っ直ぐに延設された円筒形状をしている。そして、受け部29の側面には対向する位置に一対の切り込み部29eが挿入側開口部29aから係止ピン挿入穴29cの近傍まで形成されている。切り込み部29の幅は、板バネ25の幅よりもやや大きくなるように設定されている。図36は実施形態2の変形例3に係る連結構造200が備える受け部29の概略構成を示す斜視図である。
ところで、上述したように実施形態2に係る連結構造200では、係止ピン23が底側凹凸部24gの凹部24g1から凹部24g2に移動するまでの間に、初期位置から90°回転移動するように構成されていた。そこで、実施形態2の変形例3に係る連結構造200も同様に、係止ピン23が凹部24g1から凹部24g2に移動するまでの間に、初期位置から90°回転移動する構成とする。そして、係止ピン23が底側凹凸部24gの凹部24g1にあるときに、一対の板バネ25が図38に示すように切り込み部29eが形成されている部分に配置される。
一方、凹部24g1にあるときに図37に示すように切り込み部29eが形成されていない部分に配置されるように構成されている。図37、38は、実施形態2の変形例3に係る連結構造200における受け部29、板バネ25の端部に形成された板バネ当接部30、ロッド21の球状部21aの位置関係を模式的に示した図である。
すなわち、係止ピン23が凹部24g1にあるとき、一対の板バネ25は、切り込み部29eが形成されている部分に配置されるため、摺動子24の径方向において外側に向かって開こうとする。そして、板バネ24は、この切り込み部29eの間から受け部29の側面に阻害されることなく外側に向かって開くことができる(図38参照)。それ故、板バネ25によって囲まれた部分の内径(摺動子24の内径)が大きくなり、ロッド21の球状部21aはこの板バネ25の間を自由に移動することができる。つまり、係止ピン23が凹部24g1にあるとき、ロッド21と受け部29とは連結を解除した状態とすることができる。
一方、係止ピン23が凹部24g2にあるとき、一対の板バネ25は、図37に示すように、受け部29の内周側面に配置される。このため、摺動子24の径方向において外側に向かって開こうとする板バネ25は、受け部29の内周側面に阻害され、板バネ25の板バネ当接部30が形成されている先端部は中心軸線Oの方向に向けられた状態となる。それ故、板バネ25によって囲まれた空間の内径(摺動子24の内径)が狭められることとなり、摺動子24内に挿入されたロッド21の球状部21aは板バネ当接部30によって、移動が阻害されてしまう。つまり、係止ピン23が凹部24g2にあるとき、ロッド21と受け部29とを連結状態とすることができる。
なお、上記では、係止ピン23が底側凹凸部24gの凹部24g1にあるときに、一対の板バネ25が図38に示すように切り込み部29eが形成されている部分に配置される。また、凹部24g2にあるときに、一対の板バネ25が図37に示すように受け部29の内周側面部分に配置される構成であった。しかしながら、係止ピン23の位置と板バネ25の配置との関係が逆であってもよい。
(変形例4)
上記した実施形態2の変形例1から3は、先端部分が外側に向かって開いた一対の棒状の板バネ25を摺動子24の挿入側摺動部24aの端部に接合した構成であった。しかしながら、この板バネ25は摺動子24に接合される構成に限定されるものではない。
例えば、図39に示すように、円筒形状の受け部29の挿入側の内部に、図24に示す側面形状の板バネ(連結手段)25を接合する。図39は、実施形態2の変形例4に係る連結構造200が備える受け部29の概略構成の一例を示す斜視図である。この板バネ25の側面が、受け部29の水平方向に切り出した断面と平行になるように、この受け部29内に配置される。
一方、摺動子24は、図40に示すように、挿入側摺動部24aの挿入側の端部において挿入側に向かって突出する一対の挿入側突出部24hが形成されている。図40は、実施形態2の変形例4に係る連結構造200が備える摺動子24の概略構成の一例を示す斜視図である。この図40では、説明の便宜上、摺動子24における挿入側摺動部24aの挿入側の端部近傍のみを図示しており、それ以外は省略している。挿入側突出部24hは、第1開口部24dの外周から挿入側に向かって突出した棒形状の部材であり、その尖端が先鋭化されている。
上述したように、実施形態2に係る連結構造200では、摺動子24は、係止ピン23が底側凹凸部24gの凹部24g1から、凹部24g2に移動すると、受け部9の挿入穴部10および収容部11において初期位置から90°回転する構成であった。つまり、凹部24g1と凹部24g2とは、受け部9の周方向において異なる位置に形成されているといえる。
一方、実施形態2の変形例4に係る連結構造200では、同様に、摺動子24が受け部9の挿入穴部10および収容部11において回転する構成とする。そして、板バネ25と摺動子24との位置関係が以下に示すようになるように配置する。
すなわち、係止ピン23が凹部24g1と当接する位置にあるとき、図41に示すように一対の挿入側突出部24hが、側面形状が馬蹄形となる板バネ25の側を通って挿入側に突出するようにする。なお、このとき、板バネ25は、受け部9の断面において、摺動子24に挿入されているロッド21の球状部21aの挿入方向における前後の移動を妨げないように、摺動子24の外周側に向かって開いた形状となっている。このため、係止ピン23が凹部24g1と当接する位置にあるとき、ロッド21と受け部29とは連結を解除した状態とすることができる。
一方、係止ピン23が凹部24g1と当接する位置にあるとき、図42に示すように一対の挿入側突出部24hが、板バネ25の側部を外側から挟み込むように突出する。このため、板バネ25の側部は、摺動子24内側に向かって湾曲するように変形させられる。このように、板バネ25が挿入側突出部24hにより変形させられるため、板バネ25は、受け部9の断面において、摺動子24に挿入されているロッド21の球状部21aの引張り方向への移動を妨げることとなる。このため、係止ピン23が凹部24g2と当接する位置にあるとき、ロッド21と受け部29とは連結状態とすることができる。
なお、上記では本発明の伸縮部材として押圧スプリング16、26を利用した構成について説明したが伸縮部材はこれに限定されるものではない。例えば、押圧スプリングの代わりに複数の伸縮性の糸を受け部9、29の長手方向に対して略垂直となる方向に張った構成としてもよい。
上記した構成を有する装身具用連結構造は以下の構成を有するものとも言える。
本発明にかかる装身具用連結構造は、一端に形成される挿入部を他端に形成された受け部の挿入穴に挿入して締結することにより、該一端と他端とを一体に連結する。挿入部はロッド形状をしており、このロッドの挿入部位に係合部が形成されている。挿入穴の少なくとも開口端部において、ロッドがこの開口の径方向に遊動できる程度の穴断面を有する。また、この挿入穴の一部には、スライド部が形成されている。また、スライド部には、ロッドの少なくとも先端部が挿入される挿通穴を備えた摺動子が設けられている。摺動子はこのスライド部において穴長手方向に摺動自在に保持される。また、摺動子は、ロッドの係合部と係合できる連結手段を備える。挿入穴の内周面と摺動子の間には、連結手段を回転方向及び穴長手方向にガイドするガイド手段が設けられている。ここでロッドを挿入穴における所定深さまで挿入させると、この挿入に応じて摺動子は移動する。そして、この移動に際して、ガイド手段が連結手段をガイドして、連結手段が前記係合部と係合した状態となる(第1ポジション)。連結手段がロッドの係合部に係合した状態で、再度、ロッドを挿入穴に所定深さまで挿入させると、この挿入に応じて摺動子が再度、移動する。そして、この移動に際して、ガイド手段によって連結手段となる係止ピンをガイドして、係合部が連結手段から解放された状態となる(第2ポジション)。そして、ロッドを挿入穴から引き抜くことができる。
また、本発明にかかるさらなる具体的な装身具用連結構造は、一端に形成される挿入部を他端に形成された受け部の挿入穴に挿入して締結することにより、該一端と他端とを一体に連結する。挿入部がストレート状の断面円形のロッド形状をしており、このロッドの先端部にその外周方向にリング状に延びる係止溝が形成されている。挿入穴の開口端部において、ロッドがこの開口の径方向に遊動できる程度の穴断面を有するとともに、その奥方にスライド部が形成されている。また、スライド部には、ロッドの少なくとも先端部が挿入される挿通穴を中心部に形成した摺動子が設けられている。摺動子はこのスライド部において穴長手方向に摺動自在に保持される。また、前記摺動子には、受け部の径方向に突出および後退自在に移動してロッドの係止溝に係止可能になった係止ピンが設けられている。さらに、摺動子を挿入穴の開口端に向けて付勢する付勢手段、ならびに挿入穴の内周面に形成された係止ピンをガイドするガイド手段を設ける。そして、ロッドを挿入穴に所定深さまで挿入させると、この挿入に応じて摺動子が移動し、その後に手を離すと付勢手段により開口端部方へ摺動子が移動させられる。各移動に際しては、ガイド手段が、係止ピンを周方向及び穴長手方向へガイドして、係止ピンを挿通穴内へ突出させた状態で維持する。そして、係止ピンをロッドの係止溝に係合させた状態(第1ポジション)で保持し、再度、ロッドを挿入穴に所定深さまで挿入させると、この挿入に応じて摺動子が移動する。そして、手を離すと摺動子は、付勢手段により開口端部の方へ移動するが、各移動に際して、ガイド手段が、係止ピンを、周方向及び穴長手方向へガイドして、係止ピンを挿通穴から外径方へ移動させる第2ポジションに導く。そして、該ロッドを挿入穴から引き抜くことができるように構成されている。
前述のように構成された本発明にかかる装身具用連結構造によれば、一端のロッドを他端の挿入穴部に連結するのに際して、ロッドを、該ロッドが遊動できる穴径を有する挿入穴内に所定深さ(ロッドの係止溝(係合部)が摺動子の係止ピン(連結手段)を越える深さ)まで挿入するだけで、簡単に連結できる。つまり、ロッドを挿入穴に付勢手段の付勢力に抗して摺動子を所定深さまで挿入し、手を離すだけで、その移動及びその後の付勢手段の付勢による移動により、摺動子に設けられている係止ピンが、周方向及び穴長手方向へガイド手段によってガイドされて該摺動子は第1ポジションに位置する。かかる位置では係止ピンがガイド手段によって挿入穴内へ押圧され、その係止ピンの端部がロッドの先端部の係止溝と係合する。その結果、本発明にかかる装身具用連結構造では、ロッドと摺動子とが係止ピンを介して確実に連結された状態になる。そして、ロッドの先端部が挿入穴内に係止された状態を形成および維持することができる。
また、ロッドがストレート状の断面円形の形態を有するため、簡単に、片手の二つの指(例えば、親指と人差し指)で該ロッドの基端部等を把持して、回転方向の位置合わせをすることなく、もう一方の手で把持した挿入穴部の挿入穴に挿入することができる。しかも、ロッドが挿入穴に挿入された状態では、該ロッドが挿入穴内で、ロッドの長手方向に対して直交する挿入穴の径方向において遊動可能となる。このため、本発明にかかる装身具用連結構造は、首や腕の曲線になじむような屈曲した状態で連結できる。また、ロッドの挿入穴への挿入に際し、該挿入穴の開口端部が、ロッドが径方向に遊動できるだけの大きさを有しているため、簡単に挿入が可能となる。
一方、ロッドと挿入穴部との連結を解除するときには、連結された状態から、再び該ロッドを付勢手段の付勢力に抗して挿入穴の奥方へ所定深さだけ押し込む。このようにロッドを押し込むと、ガイド手段が係止ピンを第2ポジションに導いて、該係止ピンが摺動子の外径方へ移動しロッドの係止溝から抜け出す。その結果、ロッドと摺動子との連結が解除されて、該ロッドを挿入穴部から自由に引き抜くことが可能となる。
また、装身具用連結構造の、挿入穴の内周面に比較的複雑な形態を有するガイド手段を備えた挿入穴部は、鋳造によって簡単に製造できる。一方、ロッドは先端部にリング状の溝を形成するだけでよい。したがって、本発明にかかる装身具用連結構造は、全体として、簡単に製造することが可能となる。また、組立に際しても、係止ピンを配置した摺動子を前記挿入穴内に挿入し、付勢手段で該摺動子を挿入穴の開口端方へ付勢するように配置するだけでよいため、簡単に組立することができる。
また、装身具用連結構造では、ガイド手段が、挿入穴の内周面に形成されたガイド溝から構成されている。そして、このガイド溝の、挿入穴の穴長手方向における溝幅寸法が、係止ピンが穴長手方向で遊動できる寸法に構成されている。さらに、ガイド溝が挿入穴の周方向においてジクザク状に形成されている。このため、ロッドを挿入穴部へ1回押し込む毎に、あるいは開放する毎に、所定角度だけ係止ピン及び摺動子が受け部の挿入穴において回転し、第1ポジションと第2ポジションとに交互に導くことができる構成を実現できる。そして、かかるガイド溝は、鋳型に形成しておけば、該ガイド溝を備えた挿入穴部を鋳造によって簡単に安価に製造することが可能となる。
また、係止ピンが、挿入穴中心に対して対をなすように又は等配的に摺動子の側周壁に複数設けられていると、より円滑に且つ安定してガイド手段によってガイドされる連結構造を実現できる。例えば、摺動子の側周壁に120度間隔で3本の係止ピンを等配的に配置すると、均等に外力が作用するため、円滑に且つ安定してガイドされるのに適した構成となる。
また、図12に図示するように、係止ピンは、その外周端部に拡径部(頭部)を形成する構成としてもよい。あるいは、係止ピンは、その外周端部に拡径部を形成するとともに係止ピンを挿入する係止ピン挿入穴を図13に示すように内径側に向かってテーパー状となるように構成して、係止ピンの挿通穴内への移動を拘束するように構成してもよい。このように構成することで、係止ピンが挿通穴内に脱落することがないようにすることができる。
また、本発明にかかる装身具がネックレス又はブレスレットであると、首の後側や腕の裏側の目で視認できないところでも、簡単に連結することができ、また、連結を解除することが可能となる。
本発明の実施形態1および実施形態2では、装身具としてネックレスを例に挙げて説明したが、ブレスレット、アンクレット、チェーンベルト、またはピアスキャッチなどのその他の装身具の連結構造に適用できる。
また、前述した実施形態1、2、ならびに実施形態1の変形例1〜5、実施形態2の変形例1〜4それぞれは単なる実施例であって、本発明は、これらの実施例に限定されるものでなく、本発明の技術的思想に基づく範囲において種々の形態で実施することが可能であることは言うまでもない。