以下、図面を参照して、本発明に係る実施形態について説明する。
〔第1の実施形態〕
図1は第1の実施形態に係る装身具用留め具100を示す正面断面図、図2は装身具用留め具100の分解斜視図である。なお、図2においては、左右の位置関係が図1に対しほぼ反転している。
図1及び図2に示すように、第1の実施形態に係る装身具用留め具100は、本体ケース(本体部)10と、この本体ケース10内に差し込まれる差込部材20と、本体ケース10に差し込まれた差込部材20に係合することによって該差込部材20を本体ケース10内より抜け止めされた状態とする係合部31と、該係合部31と差込部材20との係合状態を解除操作するための操作部32と、を備えている。
ここで、係合部31と操作部32とは相互に一体的に構成されている。すなわち、係合部31と操作部32とはそれぞれ可動部材30の一部分ずつを構成している。この可動部材30は、本体ケース10に取付けられて、該本体ケース10に対し可動となるものである。
更に、装身具用留め具100は、可動部材30を付勢するコイルスプリング(可動部材付勢手段)40と、このコイルスプリング40及び可動部材30が本体ケース10から脱落してしまうことを防止するピン(脱落防止部材)50と、を備えている。
以下、各構成要素について詳しく説明する。
<ピン>
本実施形態の場合、ピン50は、例えば、図3に示すように、バネ棒である。
すなわち、ピン50は、筒状の本体筒51と、この本体筒51の両端の開口部よりそれぞれ突出可能となるように該本体筒51に設けられた突出部材52と、本体筒51内に圧縮状態で配設された圧縮型のコイルスプリング(付勢手段)53と、を備えている。
このうち突出部材52は、本体筒51内に配置され該本体筒51の内周面に沿って摺動する摺動部52aと、この摺動部52aよりも小径に構成され本体筒51外に突出させたり該本体筒51内に入り込ませたりすることが可能な伸縮部52bと、からなる。
また、本体筒51の両端部は、コイルスプリング53及び一対の突出部材52を該本体筒51内に配置した状態で内側に向けて折り曲げ形成され、該両端部の開口面積が、突出部材52の伸縮部52bの径よりは大きいが摺動部52aの径よりは小さい広さに狭められている。これにより、一対の突出部材52及びコイルスプリング53が本体筒51より脱落防止されている。
このようなピン50においては、突出部材52の伸縮部52bを図3の矢印A方向(右側の突出部材52の場合は矢印B方向)に押すと、該押された突出部材52の伸縮部52bが、コイルスプリング53の付勢に抗して本体筒51内に入り込み、外見上はピン50が縮むような動作となる。なお、この際に、摺動部52aは本体筒51の内周面に沿って摺動する。また、突出部材52に対する押圧力を解除すると、該突出部材52の伸縮部52bは、再びコイルスプリング53の付勢に従って本体筒51外に突出し、外見上はピン50が伸びるような動作となる。
<差込部材>
図1及び図2に示すように、差込部材20において、例えば、少なくとも本体ケース10内に差し込まれる部分は、ピン状(丸棒状)に構成されている。本実施形態の場合、例えば、差込部材20のほぼ全体がピン状に構成されている。
この差込部材20には、係合部31が係合される被係合溝21が形成されている。この被係合溝21は、例えば、差込部材20の胴回りを一周するように形成された、くびれ状の部分となっている。
また、図1に示すように、差込部材20の先端部22は、その先端側に向けて次第に径が細くなるように形成されたテーパ状部22aと、差込部材20の先端側の端面を構成する平面状部22bと、からなる。このうちテーパ状部22aは、差込部材20を本体ケース10内に差し込む際に、該差込部材20を所定位置に案内しやすくするためのものである。また、先端側の端面を平面状部22bとしているのは、該端面が尖っていると使用者の手などが傷ついてしまう虞があるためである。
なお、差込部材20は、例えば、比較的小径の小径部23と比較的大径の大径部24とを備え、このうち小径部23には、上記の被係合溝21及び先端部22が含まれる。また、大径部24は使用者が差込部材20をつまんで扱いやすいように大径に形成されたものである。
なお、大径部24と小径部23との境界部25においては、その外径が大径部24と等しい部分から小径部23に等しい部分へと次第に変化している。
更に、差込部材20の基端部(先端側とは反対側の部分)、すなわち、例えば大径部24の基端部には、差込部材20を例えばネックレス80(図2参照)或いはその他の装身具の一端部と連結するための連結環(連結部)26が形成されている。
<可動部材>
図1及び図2に示すように、可動部材30は、上記のように係合部31及び操作部32を備える他に、該可動部材30の内部にピン50を貫通させるための第1貫通孔33と、該可動部材30の内部に差込部材20(例えば、特に小径部23)を貫通させるための第2貫通孔34と、コイルスプリング40を外挿状態で保持するスプリング保持部35と、コイルスプリング40からの付勢力を受ける付勢受部36と、本体ケース10との協働で装身具用留め具100の外表面を構成する外表面構成部(操作部とは反対側の端部)37と、この外表面構成部37に形成され、係合部31が差込部材20に対し係合した際に発せられる係合音を外部に出すための孔(音出用孔部)38と、を備えている。
ここで、可動部材30は、ピン状(丸棒状)に構成されているとともに、その径が、例えば3段階に変化している。すなわち、可動部材30は、例えば、図2に示すように、大径部301、中径部302及び小径部303をこの配置順に備えて構成されている。
そして、可動部材30の一端部(例えば、特に大径部301の端部)により、外表面構成部37が構成されている。この外表面構成部37は、本体ケース10の外表面に沿う面(本実施形態の場合、例えば、曲面)を構成するように形成及び配置される。つまり、外表面構成部37は、可動部材30が本体ケース10に取付けられた状態においては、該本体ケース10との協働で装身具用留め具100の外表面を構成する。
また、ピン50を貫通させる第1貫通孔33は、可動部材30をその長手方向に対し直交方向へ貫通した状態に形成されている。この第1貫通孔33は、ピン50が貫通した状態でも可動部材30が操作方向及びその反対方向である係合部31の係合方向(図1の矢印E方向及びF方向)に移動できるように、その方向においてはピン50(の本体筒51)の径よりも十分に大きく形成されているが、図1の紙面の手前から奥に向かう方向においてはピン50(の本体筒51)の径よりも僅かだけ大きい寸法に設定されている。
また、差込部材20を貫通させる第2貫通孔34も、可動部材30をその長手方向に対し直交方向に貫通した状態に形成されている。なお、第1及び第2の貫通孔33,34の貫通方向は、例えば、相互に平行な方向に設定されている。従って、差込部材20とピン50とは相互に平行な状態で可動部材30を貫通し、本体ケース10に装着される。また、第2貫通孔34は、差込部材20が貫通した状態でも可動部材30が操作方向及びその反対方向である係合部31の係合方向(図1の矢印E方向及びF方向)に移動できるように、この方向においては差込部材20(の小径部23)の径よりも十分に大きく形成されているが、図1の紙面の手前から奥に向かう方向においては差込部材20(の小径部23)の径よりも僅かだけ大きい寸法に設定されている。
また、係合部31は、例えば、突起部からなり、第2貫通孔34の内周面より該第2貫通孔34の中心側に向けて起立するように形成されている。より具体的には、係合部31が配置されているのは、第2貫通孔34の内周面において、例えば、スプリング保持部35側の部分である。この係合部31には、差込孔13側に臨む傾斜面31a(図1)が形成されている。この傾斜面31aは、差込部材20の先端部22を第2貫通孔34内に好適に案内する。
なお、第1貫通孔33は、例えば、大径部301から中径部302にかけての部分に設けられ、第2貫通孔34は、例えば、中径部302に設けられている。
また、スプリング保持部35は、例えば、小径部303において中径部302に近い部分により構成されている。このスプリング保持部35の径(つまり、例えば小径部303の径)は、コイルスプリング40の内径よりも僅かだけ小さい程度に設定されている。
また、コイルスプリング40からの付勢力を受ける付勢受部36は、例えば、小径部303と中径部302との境界の段差部により構成されている。
更に、可動部材30の一端部(外表面構成部37とは反対部の端部であり、例えば、特に、小径部303の端部)には、操作部32が形成されている。この操作部32は、例えば、それ自体が操作者に保持されて操作されるようなものであっても良いが、本実施形態の場合、該操作部32には操作用のツマミ60(図2)を連結するための連結孔32aが形成されている。
具体的には、例えば、図2に示すように、ツマミ60には連結孔60aが設けられ、この連結孔60aと操作部32の連結孔32aとは連結環61により相互に連結される。これにより、このツマミ60をつまんで、容易に操作部32を引っ張り操作することが可能となっている。このツマミ60は、装飾性のある部材であることが好ましく、具体的には、例えば真珠或いはガラス珠により構成されている。
また、音出し用の孔38は、例えば、外表面構成部37の表側から第1貫通孔33側へと貫通した状態に形成されている。
なお、図2においては、音出し用の孔38の図示を省略している。また、その他にも図1と図2とでは可動部材30の形状が若干異なっている。
<本体ケース>
図1及び図2に示すように、本体ケース10は、例えば、楕円柱状の筐体状に構成されている。
この本体ケース10には、可動部材30、コイルスプリング40及びピン50の配設領域となるとともに、可動部材30をその移動方向にガイドする配設孔11が形成されている。
後述するように、可動部材30、コイルスプリング40及びピン50は配設孔11内に挿入されて、該配設孔11内に配置される。この配設孔11は、本実施形態の場合、例えば、本体ケース10を貫通した状態に形成されている。
また、本体ケース10の内部には、配設孔11を構成する筒状の壁状部12が、該本体ケース10と一体形成されている。
更に、本体ケース10には、差込部材20が差し込まれる差込孔13が形成されている。この差込孔13は、差込部材20の差込方向が、配設孔11への可動部材30の挿入方向とは交差方向、より具体的には直交方向となるように形成されている。なお、より具体的には、差込部材20の差込方向と、配設孔11への可動部材30の挿入方向と、が同一平面内に含まれるようになっている。
また、壁状部12には、貫通孔12aが形成され、この貫通孔12aを、差込孔13より差し込まれた差込部材20が貫通するようになっている。なお、この貫通孔12aにおいて差込孔13側に臨む部位は、差込孔13に近づくにつれて広がる(差込孔13から遠ざかるにつれて狭まる)すり鉢状部12bとされ、差込部材20の先端部22を該貫通孔12aの中心位置へと好適に案内する。
なお、本体ケース10内部空間において、壁状部12よりも差込孔13に近い部分、並びに、壁状部12よりも差込孔13から遠い部分は、それぞれ差込部材20が差し込まれる空間部18、19を構成している。
更に、壁状部12には、ピン50を位置決めさせるための一対の孔部14、15が形成されている。これら位置決め用の孔部14,15は、より具体的には、例えば、ピン50の両端部、すなわち両伸縮部52bを位置決めすることにより、該ピン50を本体ケース10内に位置決めさせるものである。
孔部14,15のうち、差込孔13側に臨む孔部15の内径は、ピン50の突出部材52の伸縮部52bの外径よりも僅かだけ大きい程度に設定されている。
他方、孔部14の内径は、図1の紙面の手前から奥に向かう方向においては、孔部15と同様に、伸縮部52bの外径よりも僅かだけ大きい程度に設定されているが、図1の矢印E及びF方向には伸縮部52bの外径よりも十分大きい径に設定されている。つまり、孔部14は図1の矢印E及びF方向に長い長孔となっている。これは、後述するように、ピン50を外す際における伸縮部52bの傾動領域を確保するためである。
なお、孔部15は配設孔11及び空間部18へと連通し、孔部14は配設孔11及び空間部19へと連通している。
また、本体ケース10の外面において、差込孔13とは反対側の部分には、例えば、ネックレス80(図2参照)或いはその他の装身具の一端部(例えば、差込部材20の連結環26と連結されるのとは反対側の端部)と連結するための連結環(連結部)16が形成されている。
なお、配設孔11において、操作部32側の開口部の内径は、コイルスプリング40の外径(巻径)よりも小径に設定され、該端部の内周壁面は、コイルスプリング40に反力を付与する反力付与部(本体部の内周面)17を構成している。
<コイルスプリング>
コイルスプリング40は、例えば圧縮型のコイルスプリングである。
<組み付け>
以上のように構成された装身具用留め具100の各構成要素の組み付けは、例えば、以下の要領で行うことができる。
先ず、コイルスプリング40及び可動部材30を配設孔11内に図2の矢印C方向に挿入する。この際に、コイルスプリング40が可動部材30の操作部32側からスプリング保持部35に外挿されるようにする。
加えて、この際に、可動部材30の第1貫通孔33内にピン50を挿入し、該ピン50とともに可動部材30を配設孔11内に押し込んでゆく。
ここで、ピン50の一端側の伸縮部52bが孔部14内に入り込むようにピン50を傾けるとともに、他端側の伸縮部52bは押圧して縮めた状態とし、該他端側の伸縮部52bの先端部を配設孔11の内周壁に沿わせながら、可動部材30を配設孔11に押し込む。
そして、ピン50が配設孔11内に入り込んだ後も、更に、外表面構成部37を矢印C方向に押し込む。
すると、前記他端側の伸縮部52bが孔部15に達した時点で該伸縮部52bがピン50内のスプリング53の付勢に従って突出して孔部15内に入り込み、図1に示す状態にピン50が配置される。
そして、外表面構成部37に対する矢印C方向への押圧力を解除すると、可動部材30及びコイルスプリング40の配置も図1に示す状態となる。
図1に示すようにピン50が配置された状態では、可動部材30を矢印E方向に押圧する力を解除しても、可動部材30、ピン50及びコイルスプリング40が本体ケース10から脱落しない。これは、ピン50の両端部の一対の伸縮部52bがそれぞれ孔部14、15から抗力を受け、更に、ピン50から可動部材30が抗力を受け、更に、可動部材30の付勢受部36からコイルスプリング40が抗力を受けるからである。
なお、図1に示す状態で、コイルスプリング40は、付勢受部36と反力付与部17とに挟持されて、圧縮状態となっている。
このように組み付けることにより、操作部32は本体ケース10外に露出した状態となり、外表面構成部37は本体ケース10との協働で装身具用留め具100の外周面を構成した状態となる。
なお、連結環61は、連結孔32aに対し、上記の組み付け工程の最後に取付けることとしても良いし、或いは、該連結環61が配設孔11を通過可能な寸法であれば、予め取り付けておいても良い。
<動作>
次に、以上のような構成の装身具用留め具100の動作について説明する。
先ず、係合部31と差込部材20との係合動作について説明する。
係合部31と差込部材20とを係合させるには、差込部材20をその先端部22側から本体ケース10の差込孔13内へと図2の矢印D方向に差し込む。
この際に、差込部材20の先端部22が貫通孔12aのセンター位置からずれていても、該先端部22がすり鉢状部12bにより貫通孔12aのセンター位置へと案内される。
また、差込部材20の先端部22が可動部材30の第2貫通孔34内に差し込まれて係合部31に達した後、更に奥へと差し込まれると、係合部31は徐々に先端部22のテーパ状部22aに押圧され、コイルスプリング40の付勢力に抗して図1の矢印E方向に移動する。なお、この際に、係合部31とともに、可動部材30の全体が矢印E方向に移動する。また、この際に、ピン50は動かないが、可動部材30が矢印E方向に移動するため、ピン50は、第1貫通孔34内において、可動部材30に対し矢印E方向とは反対方向の矢印F方向へと相対的に移動する。
その後、更に、差込部材20が奥へと差し込まれ、該差込部材20の被係合溝21が係合部31に達すると、該係合部31がコイルスプリング40の付勢力に従って矢印F方向に移動して被係合溝21内に入り込み、該被係合溝21と係合する。この際に、係合部31とともに、可動部材30の全体が矢印F方向に移動する。また、この際に、ピン50は動かないが、可動部材30が矢印F方向に移動するため、ピン50は、第1貫通孔34内において、可動部材30に対し矢印E方向へと相対的に移動する。
こうして、図1に示すように、差込部材20に対し係合部31が係合し、該差込部材20が本体ケース10から抜け止めされた状態となる。
次に、係合解除動作について説明する。
係合部31と差込部材20との係合状態を解除させるには、操作部32を矢印E方向に引っ張り操作する。すなわち、操作部32を含む可動部材30の全体を、コイルスプリング40の付勢に抗して矢印E方向に引っ張ることにより、係合部31と差込部材20との係合状態が解除される。なお、操作部32の引っ張り操作は、例えば、ツマミ60を引っ張ることによって、より好適に行うことができる。このように引っ張り操作を行った状態では、差込部材20を矢印G方向へと本体ケース10内から引き抜くことができる。
このように、本実施形態に係る装身具用留め具100においては、操作部32を引っ張り操作するという斬新且つ意外性のある操作を行うことにより、差込部材20と係合部31との係合状態を解除することができる。
<部品交換動作>
次に、何らかの理由で何れかの部品を交換する場合の動作について図4を参照して説明する。なお、図4においては、簡単のため、一部の構成要素にのみ符号を付している。
ここで、何らかの理由とは、例えば、何れかの部品が壊れた場合や、何れかの部品を、異なる装飾性を有する同一部品へと交換したい場合などに生ずる。
このような部品交換動作は、差込部材20を本体ケース10から抜いた状態(図4参照)で行う。
この状態で、本体ケース10の差込孔13に、例えば、ピン(図示略)を差し込み、該差し込んだピンの先端を、空間部18を介して更に孔部15内に差し込み、該ピンの先端によりピン50の一端側の伸縮部52bを押して縮める。すると、図4に示すように、ピン50の該一端側が、コイルスプリング40の付勢力に従って図4の矢印F方向に移動し、第1の貫通孔33の内部においてピン50が傾動する。なお、この傾動の際に、ピン50の他端側の伸縮部52bは、孔部14内において傾動する。
更に、ピン50の前記一端側の伸縮部52bは、コイルスプリング40の付勢に従って、配設孔11の内周壁づたいに矢印F方向へと移動し、ピン50は更に傾動する。なお、ピン50の移動に伴い、可動部材30も矢印F方向に移動する。
こうして、ピン50を配設孔11から取り出すことができるとともに、可動部材30及びコイルスプリング40も配設孔11内から取り出すことができるので、ピン50、コイルスプリング40、可動部材30及び本体ケース10のうちの何れか1つ或いは2つ以上の部品を交換することができる。
以上のような第1の実施形態によれば、操作部32を引っ張り操作することにより差込部材20と係合部31との係合状態を解除することができるので、操作部32の寸法が小さい場合にも、指が痛くなったりすることがない。
しかも、操作部32を引っ張り操作するという斬新且つ意外性のある操作を行うことにより差込部材20と係合部31との係合状態を解除することができるので、機能の面で使用者の興趣を好適に惹きつけることができる。
更に、1つのピン50により可動部材30及びコイルスプリング40を本体ケース10に取付けることができるため、部品点数も少なく、しかも、組み付けや部品交換は上記のように簡便に行うことができる。
また、ピン50が完全に本体ケース10の内部に埋設された状態となり、露出していないため、見栄えがよい。
加えて、音出し用の孔38を備えるので、差込部材20に対し係合部31が係合した際に発せられる係合音を好適に使用者の耳に届かせることができ、係合状態となったか否かを確実に使用者に認識させることができる。なお、装身具用留め具においては、このように係合音が聞こえるものの方が、聞こえないものよりも、明らかに売れ行きが良いという実情もある。
また、可動部材30が、本体ケース10との協働で装身具用留め具100の外表面を構成する外表面構成部37を備えるので、可動部材30(の特に外表面構成部37)と本体ケース10との材質或いは色彩を相互に違えることにより、好適に装身具用留め具100のデザイン性を向上させることができる。
また、装身具用留め具100の各構成部材にメッキや塗装を施す場合、仮に、各構成要素を相互に組み付けた後でメッキや塗装を施すものとすれば、例えば、可動部材30が動かなくなったりして具合が悪いし、また、マーキングして色分けしたりする必要もあり、面倒であるが、本実施形態の場合、各構成部材にメッキや装飾を施した後で、組み付けることができるので、例えば、可動部材30が動かなくなったりすることがないとともに、各構成部品へのメッキや塗装を美しく行うことができ、また、色のコーディネイト(各構成部品の色分け)が容易であるという効果も得られる。
なお、上記の第1の実施形態においては、本体部として筐体状の本体ケース10を例示したが、本体ケース10の形状は任意であり、例えば、直方体形状に構成しても良いし、球形に構成しても良い。
また、音出し用の孔38を外表面構成部37に形成した例を説明したが、該孔38は、本体ケース10に形成しても良いし、或いは、本体ケース10と外表面構成部37との双方に形成しても良い。更に、音出し用の孔38の個数も任意であり、例えば、外表面構成部37のみ、或いは本体ケース10のみに形成する場合にも、複数個形成しても良い。また、外表面構成部37及び本体ケース10の双方に複数個ずつの孔38を形成しても良い。
〔第2の実施形態〕
次に、図5を参照して、第2の実施形態に係る装身具用留め具200について説明する。
図5に示す装身具用留め具200は、以下に説明する点でのみ上記の第1の実施形態に係る装身具用留め具100と異なり、その他の点では装身具用留め具100と同様に構成されているため、装身具用留め具100におけるのと同様の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図5に示すように、装身具用留め具200の場合、外表面構成部37が装身具用留め具100の場合と比べて厚肉に構成され、その分だけ本体ケース10より外方に突出している。これにより、外表面構成部37は、第2の操作部を構成している。
すなわち、操作部32を矢印E方向に引っ張りながら、第2の操作部としての外表面構成部37を矢印E方向に押圧操作することによっても差込部材20と係合部31との係合状態の解除操作を行うことができるし、単に、外表面構成部37を矢印E方向に押圧操作するだけ、或いは、操作部32を矢印E方向に引っ張るだけでも解除操作を行うことができる。
また、装身具用留め具200の場合、差込部材20には、複数段の被係合溝21が形成されている。つまり、差込部材20の長手方向(差込方向)における複数箇所に、被係合溝21が形成されている。
このため、複数の被係合溝21のうち何れの被係合溝21に対して係合部31を係合させてもよいこととなるため、若干ではあるが、ネックレス80(図2参照)或いはその他の装身具の長さ(図5の矢印G方向及び矢印H方向における長さ)を調節することが可能となる。
また、このように、長さ調節が可能となることから、差込部材20の本体ケース10からの突出量が可変となる。これにより、本体ケース10を、それぞれ異なる寸法(図5の矢印G方向及び矢印H方向における寸法で、特に、係合部31の配置位置から差込孔13の開口端部までの寸法)を有する複数種類の本体ケース10のものの中から、好みのもの(例えば、色やデザインが好みに合致するもの)を適宜に選択できるという副次的効果も得られる。
また、例えば、複数の被係合溝21のうち、最も先端部22から遠い側の被係合溝21或いは真ん中の被係合溝21に対して係合部31を係合させておけば、何らかのはずみでその係合状態が解除されてしまった場合にも、係合部31が、それまで係合していたよりも先端部22側の別の被係合溝21に対し係合し直すことにより、差込部材20と本体ケース10との結合状態を維持させることができる。よって、装身具用留め具200に連結されたネックレス80(図2参照)或いはその他の装身具を何らかのはずみで落下させたりする可能性を低減できる。
更に、装身具用留め具200の場合、各被係合溝21は、先端部22側に向けて縮径するような傾斜を有している。このため、差込部材20を矢印H方向に差し込む際には、係合部31が容易に次段の被係合溝21へと移ることができるが、差込部材20が矢印G方向に引っ張られても、係合部31が各被係合溝21から脱落し難いようになっている。
なお、係合部31と被係合溝21との係合強度(差込部材20が矢印G方向に引っ張られた場合に脱落する強度)は、被係合溝21の山の角度、高さ、及びコイルスプリング40の強度を適宜に調節することにより設定する。
装身具用留め具200の場合、音出し用の孔38を省略しているが、該孔38を外表面構成部37に形成することとしても良いし、或いは、本体ケース10に形成することとしても良いのは、上記の第1の実施形態の場合と同様である。
以上のような第2の実施形態によれば、上記の第1の実施形態と同様の効果が得られる他に、以下の効果を奏することができる。
すなわち、第2の実施形態によれば、外表面構成部37が第2の操作部として機能するため、操作の自由度が増す。
また、複数段の被係合溝21を備えるため、装身具の長さの調節ができるという効果や、複数回の係合音を聞くことができるという副次的効果も得られる。
なお、上記の第2の実施形態では、被係合溝21が3段の例を示したが、被係合溝21は2段であっても良いし、或いは、4段以上であっても良い。このことは、他の実施形態においても同様である。
〔第3の実施形態〕
次に、図6を参照して、第3の実施形態に係る装身具用留め具300について説明する。
図6に示す装身具用留め具300は、以下に説明する点でのみ上記の第1の実施形態に係る装身具用留め具100と異なり、その他の点では装身具用留め具100と同様に構成されているため、装身具用留め具100におけるのと同様の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
上記の各実施形態では、ピン50として、図3に示すようなバネ棒を用いる例について説明したが、第3の実施形態ではピン50として、例えば、図7に示すスプリングピンを用いる。
図7に示すピン50は、円筒状の本体部55と、該本体部55の軸方向における両端部に亘って形成された切り欠き部56と、本体部55が僅かに先細となるよう該本体部55の両端部に形成された面取部57と、を備えている。
このようなピン50は、該ピン50の外径(胴回り)とほぼ等しいか、或いは、該外径よりも若干狭い孔部(つまり、後述する孔部311)に無理嵌めすることにより、該孔部311内に固定されるようになっている。なお、ピン50が面取部57を備えるのは、無理嵌めをスムーズにするためである。
また、本実施形態に係る装身具用留め具300は、上記の第1の実施形態に係る装身具用留め具100における本体ケース10に代えて、本体部310を備えている。この本体部310は、例えば、直方体形状に形成されている。
本実施形態の場合、上記の第1の実施形態における孔部14,15に代えて、ピン50の配設用の孔部311が、本体部310を貫通した状態に形成されている。孔部311の長手方向は、具体的には、例えば、差込部材20の差込方向と平行となっている。
また、本実施形態の場合、差込孔13は、本体部310内で配設孔11と交わり、更に、該配設孔11を越えて奥側に至るように形成され、上記の第1の実施形態における空間部18、19の機能も一部兼ねる。
なお、本実施形態の場合、可動部材30は、例えば、大径部301及び小径部303のみからなり、中径部302は有していない。また、第1及び第2の貫通孔33、34は共に大径部301に設けられ、スプリング保持部35は小径部303において大径部301に近い部分によって構成されている。また、コイルスプリング40からの付勢力を受ける付勢受部36は、小径部303と大径部301との境界の段差部により構成されている。
従って、本実施形態の場合、配設孔11の形状は、本実施形態の場合の可動部材30の形状に沿うように、上記の第1の実施形態とは若干異なる。なお、本実施形態の場合、配設孔11は、壁状部12により構成されているのではなく、本体部310に孔を形成(例えば穿設により形成)することにより構成されている。
更に、本実施形態の場合、外表面構成部37は、本体部310の形状に合わせて、平坦に形成されている。
次に、本実施形態の場合の組み付け動作について説明する。
先ず、コイルスプリング40及び可動部材30を配設孔11内に図6の矢印E方向に挿入する。この際に、コイルスプリング40が可動部材30のスプリング保持部35に外挿されるようにする。
次に、コイルスプリング40及び可動部材30を配設孔11内に完全に押し込んだ状態で、孔部311の何れか一方の開口端よりピン50を図6の位置まで押し込む。
そして、可動部材30に対する矢印E方向への押圧力を解除すると、可動部材30及びコイルスプリング40の配置は図6に示す状態となる。
図6に示すようにピン50が配置された状態では、可動部材30を矢印E方向に押圧する力を解除しても、可動部材30、ピン50及びコイルスプリング40が本体部310から脱落しない。これは、ピン50の両端部がそれぞれ孔部311から抗力を受け、更に、ピン50から可動部材30が抗力を受け、更に、可動部材30の付勢受部36からコイルスプリング40が抗力を受けるからである。なお、図6に示す状態で、コイルスプリング40は、付勢受部36と反力付与部17とに挟持されて、圧縮状態となっている。
このように組み付けることにより、操作部32は本体部310外に露出した状態となり、外表面構成部37は本体部310との協働で装身具用留め具300の外周面を構成した状態となる。
なお、係合部31と差込部材20との係合動作及び係合解除動作(解除操作)については、第1の実施形態の場合と同様である。
また、本実施形態の場合、部品の交換作業は、孔部311内にピン(図示略)を強く押し込んでピン50を孔部311外に突き出すことによって行うことができる。
以上のような第3の実施形態によれば、上記の第1の実施形態と同様の効果が得られる。しかも、図7に示すようなピン50を用いるため、組み付け動作が、より一層簡単となる。
なお、上記の第3の実施形態の場合にも、上記の第2の実施形態のように被係合溝21を複数段に構成しても良いし、上記の第1の実施形態のように音出し用の孔38を設けても良い。
また、本体部310の外径形状が直方体形状である例を示したが、本体部310の外径形状は任意であり、例えば、楕円柱形状、円柱形状或いは球形状であっても良い。
また、図7に示すピン50は、上記の第1の実施形態の場合のように本体ケース10を用いる場合に適用することも可能である。ただし、この場合には、ピン50と本体ケース10との密着強度を確保するために、壁状部12や本体ケース10の外殻部を適宜に肉厚にすると良い。
〔第4の実施形態〕
次に、図8を参照して、第4の実施形態に係る装身具用留め具400について説明する。
図8に示す装身具用留め具400は、以下に説明する点でのみ上記の第3の実施形態に係る装身具用留め具300と異なり、その他の点では装身具用留め具300と同様に構成されているため、装身具用留め具300におけるのと同様の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
上記の各実施形態では、ピン50により可動部材30及びコイルスプリング40を本体部(本体ケース10或いは本体部310)に取付ける例を説明したが、本実施形態では、ピン50を用いないで可動部材30及びコイルスプリング40を本体部に取付ける例について説明する。
本実施形態に係る装身具用留め具400の本体部310は、上記の第3の実施形態の場合と比べて、以下に説明する点で異なる。
先ず、配設孔11は、本体部310を貫通しておらず、差込孔13に達するまでの深さに留められている。更に、本体部310には、孔部311、反力付与部17が形成されていない。
また、本体部310には、可動部材30の矢印F方向への移動を規制するための移動規制部430が形成されている。この移動規制部430は、配設孔11と差込孔13との境界部を可動部材30(の例えば付勢受部36)よりも小径に形成することにより構成されている。
更に、本体部310には、後述する反力付与リング410を位置決め状態で配設するための凹部314が形成されている。この凹部314は、配設孔11の開口端部を、配設孔11における他の部分よりも大径に形成することにより構成されている。
なお、反力付与リング410は、図8に示すように、可動部材30に外挿状態で設けられるリングであり、その内径が、コイルスプリング40の巻径よりも小さく設定されている。
更に、本体部310には、配設孔11の開口端の縁部より起立した起立片420が設けられている。この起立片420は、凹部314内に反力付与リング410を配設した状態で、該反力付与リング410を覆うように変形され、該反力付与リング410を本体部310に対し固定状態とさせるものである。
また、本実施形態の場合、可動部材30が、上記の第3の実施形態の場合と比べて、以下に説明する点で異なる。
先ず、可動部材30には、例えば、大径部301及び小径部303の別が無く、付勢受部36を除いては、可動部材30の長手方向に亘って、ほぼ一定の径となっている。
また、可動部材30の付勢受部36は、該可動部材30の外周側に向けて膨出するように形成され、スプリング保持部35よりも大径となっている。
更に、可動部材30は、外表面構成部37、第1及び第2の貫通孔33、34を備えていない。これに伴い、係合部31は、可動部材30の先端部に位置している。
次に、本実施形態の場合の組み付け動作について説明する。
例えば、予め、可動部材30のスプリング保持部35にコイルスプリング40を外挿し、続いて、反力付与リング410も可動部材30に外挿し、その状態で連結孔32aに連結環61を取り付けておく。
そして、可動部材30、コイルスプリング40及び反力付与リング410を配設孔11内に図8の矢印F方向に挿入する。
そして、反力付与リング410を凹部314内に位置決めした状態(図8の状態)で、本体部310の起立片420を変形させて、該起立片420により反力付与リング410を本体部310に固定する。なお、図8に示すのは、起立片420を変形させる前の状態である。
このように組み付けられると、反力付与リング410を矢印F方向に押圧する力を解除しても、可動部材30、コイルスプリング40及び反力付与リング410が本体部310から脱落しない。これは、起立片420から反力付与リング410が抗力を受け、更に、反力付与リング410からコイルスプリング40が抗力を受け、更に、コイルスプリング40から可動部材30が抗力を受けるからである。なお、可動部材30は、移動規制部430により移動規制されるので、図8に示す位置よりも矢印F方向には移動できないようになっている。また、コイルスプリング40は、付勢受部36と反力付与リング410とに挟持されて、圧縮状態となっている。また、操作部32は本体部310外に露出した状態となっている。
なお、係合部31と差込部材20との係合動作及び係合解除動作(解除操作)については、第1の実施形態の場合と同様である。
以上のような第4の実施形態によれば、上記の第3の実施形態と同様の効果が得られる。しかも、起立片420を用いて可動部材30及びコイルスプリング40を本体部310に取付けるので、本体部310及び可動部材30の構成を第3の実施形態よりも簡素とすることができる。
なお、上記の第4の実施形態の場合にも、上記の第2の実施形態のように被係合溝21を複数段に構成しても良いし、本体部310に音出し用の孔38を設けても良い。
また、本体部310の外径形状が直方体形状である例を示したが、本体部310の外径形状は任意であり、例えば、楕円柱形状、円柱形状或いは球形状であっても良い。
〔第5の実施形態〕
次に、図9を参照して、第5の実施形態に係る装身具用留め具500について説明する。
図9に示す装身具用留め具500は、以下に説明する点でのみ上記の第3の実施形態に係る装身具用留め具300と異なり、その他の点では装身具用留め具300と同様に構成されているため、装身具用留め具300におけるのと同様の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態に係る装身具用留め具500の本体部310は、上記の第3の実施形態の場合と比べて、以下に説明する点で異なる。
先ず、配設孔11は、本体部310を貫通しておらず、差込孔13に達するまでの深さに留められている。
更に、本体部310には、反力付与部17が形成されていない。
また、孔部311の配置位置は、第3の実施形態の場合には、差込孔13を基準として、コイルスプリング40の配置領域とは反対側であったが、本実施形態の場合は、コイルスプリング40の配置位置と同じ側となっている。
加えて、差込孔13の長手方向が、上記の第3の実施形態とは異なる。すなわち、差込孔13の長手方向が、配設孔11の長手方向と同一面内に含まれる点では上記の第3の実施形態と同様であるが、その面内において、差込孔13の長手方向が、配設孔11に対し直交方向とは異なる方向とされている。つまり、差込孔13の長手方向が、上記の第3の実施形態の場合と比べて傾斜した配置となっている。
また、連結環16の配置位置も異なる。すなわち、連結環16は、差込部材20の連結環26の位置(差込部材20を差込孔13内に差し込んだ状態での位置)に対し、配設孔11の軸心を中心とする線対称な配置となっている。
なお、本体部310の全体形状は、本実施形態の場合、例えば、球形(又は円柱形)となっている。
また、本実施形態の場合、可動部材30は、上記の第3の実施形態よりも上記の第4の実施形態に近いため、第4の実施形態の場合との比較で説明する。
すなわち、本実施形態の場合の可動部材30は、上記の第4の実施形態の場合と比べて、以下に説明する点で異なる。
先ず、本実施形態の場合の可動部材30は、係合部31の突出方向が、差込孔13の長手方向に対し直交するように、上記の第4の実施形態の場合と比べて傾斜している。更に、係合部31が形成されている面31bも、差込孔13の長手方向に沿うように、上記の第4の実施形態の場合と比べて傾斜している。
また、本実施形態の場合の可動部材30には、ピン50を貫通させるための第1貫通孔33が形成されている。ただし、この第1貫通孔33は、図6の場合とは異なり、スプリング保持部35よりも操作部32側の位置に形成されている。
更に、本実施形態の場合、第4の実施形態の場合と同様に、反力付与リング410を用いるが、この反力付与リング410も、上記の第4の実施形態の場合と比べて以下の点で異なる。
すなわち、本実施形態の場合の反力付与リング410には、ピン50が貫通される貫通孔411が形成されている。ここで、図9に示すように、貫通孔411及び孔部311を貫くようにピン50を差し込んだ状態にて、反力付与リング410の一端が本体部310の表面とほぼ面一となるように、反力付与リング410の長さ及び貫通孔411の形成位置が設定されている。
なお、この貫通孔411の内径は、ピン50の外径に対し遊びを有していない。ただし、第1貫通孔33は、上記の実施形態と同様に、ピン50の移動領域(相対的な移動領域)を確保するため、ピン50の移動方向(相対的な移動方向)においてはピン50の径よりも大きく形成されている。
次に、本実施形態の場合の組み付け動作について説明する。
例えば、予め、可動部材30のスプリング保持部35にコイルスプリング40を外挿し、続いて、反力付与リング410も可動部材30に外挿し、その状態で連結孔32aに連結環61を取り付けておく。
そして、可動部材30、コイルスプリング40及び反力付与リング410を配設孔11内に図9の矢印F方向に挿入する。
そして、反力付与リング410の一端部を本体部310の表面と面一に位置決めした状態(図9の状態)で、孔部311の何れか一方の開口端よりピン50を図9の位置まで押し込み、該ピン50により反力付与リング410の貫通孔411を貫通させる。
図9に示すようにピン50が配置された状態では、反力付与リング410を矢印F方向に押圧する力を解除しても、可動部材30、コイルスプリング40及び反力付与リング410が本体部310から脱落しない。これは、ピン50の両端部がそれぞれ孔部311から抗力を受け、更に、ピン50から反力付与リング410が抗力を受け、更に、反力付与リング410からコイルスプリング40が抗力を受け、更に、コイルスプリング40から可動部材30の付勢受部36が抗力を受けるからである。
なお、図9に示す状態で、コイルスプリング40は、付勢受部36と反力付与リング410とに挟持されて、圧縮状態となっている。また、操作部32は本体部10外に露出した状態となっている。
また、係合部31と差込部材20との係合動作及び係合解除動作(解除操作)については、上記の各実施形態の場合と同様である。
更に、本実施形態の場合、部品の交換作業は、孔部311内にピン(図示略)を強く押し込んでピン50を孔部311外に突き出すことによって行うことができる。
以上のような第5の実施形態によれば、上記の第3及び第4の実施形態と同様の効果が得られる。
また、図9に示すように、差込部材20の差し込み方向が図6及び図8の場合と比べて傾斜しており、しかも、連結環16の配置位置も差込部材20の連結環26に対し対称な配置となっているため、例えば、装身具用留め具500にネックレス80を取り付けた場合に、このネックレス80を自然な角度で首にかけることができる。
なお、上記の第5の実施形態の場合にも、本体部310の形状は任意であるし、本体部310に音出し用の孔38を設けても良い。
また、被係合溝21を複数段に構成しても良い。ここで、その具体例(第5の実施形態の変形例)について、図10を参照して説明する。
図10に示す装身具用留め具500において、図9の場合と異なるのは、被係合溝21及び係合部31のみである。すなわち、被係合溝21は複数段(例えば、2段)に構成され、これら被係合溝21の各々に係合部31が係合可能となるように、係合部31も同数(例えば、2つ)設けられている。
なお、被係合溝21の形状は、図5に示す例と比べても、若干異なっている。すなわち、図10に示す例の各被係合溝21は、谷形に形成されている。つまり、谷形形状における最下点(最もくびれた位置)を基準として、先端部22側に向けて拡径するとともに、差込部材20の基端部(先端側とは反対側の部分)側に向けても拡径するように、傾斜が付けられている。また、各係合部31の形状は、各被係合溝21の形状に対応して、山形の形状とされている。このため、差込部材20を矢印I方向に差し込む際は、各係合部31が容易に各被係合溝21に対し係合できるとともに、差込部材20が矢印J方向に強く引っ張られた場合は、係合部31が各被係合溝21から脱落できるようになっている。これは、あまりにも強く係合部31と被係合溝21とが係合していると、何らかの原因でネックレス80により使用者の首が締めつけられてしまうという虞があるためである。つまり、図10に示す例のように、ある程度の力が加わった場合には係合部31と被係合溝21との係合が解除されるような構成とすることにより、このような問題を回避させることが可能となる。
なお、図10に示すような谷形及び山形の被係合部21及び係合部31は、その他の実施形態の場合にも、同様に適用可能である。
〔第6の実施形態〕
次に、図11を参照して、第6の実施形態に係る装身具用留め具600について説明する。
図11に示す装身具用留め具600は、以下に説明する点でのみ上記の第5の実施形態に係る装身具用留め具500と異なり、その他の点では装身具用留め具500と同様に構成されているため、装身具用留め具500におけるのと同様の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。更に、装身具用留め具600において、上記のその他の実施形態におけるのと同様の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
先ず、本体部310は、孔部311に代えて、孔部14,15を備えている。なお、孔部14は、例えば、本体部310の外部へと連通し、孔部15は、取り外し用孔315(後述)を介して差込孔13へと連通している。
また、本実施形態の場合、配設孔11と差込孔13とは、例えば、上記の第3の実施形態と同様に、相互に直交している。従って、可動部材30の係合部31の突出方向も、上記の第3の実施形態と同様である。
また、本体部310には、連結環16が設けられていない。
なお、本体部310は、例えば、外径形状が、直方体形状をなしている。
更に、本実施形態の場合、ピン50として、例えば、バネ棒を用いる。
次に、本実施形態の場合の組み付け動作について説明する。
例えば、予め、可動部材30のスプリング保持部35にコイルスプリング40を外挿し、続いて、反力付与リング410も可動部材30に外挿し、その状態で連結孔32aに連結環81を取り付けておく。
更に、反力付与リング410を係合部31側に付勢することにより、コイルスプリング40を圧縮状態とするとともに、反力付与リング410の貫通孔411と可動部材30の第1貫通孔33とを相互に位置合わせする。
その状態で、第1貫通孔33及び貫通孔411を貫通するように、ピン50を挿入する。
更に、可動部材30,コイルスプリング40、反力付与リング410及びピン50を、可動部材30の係合部31側から、図11の矢印K方向へと配設孔11内に挿入する。
ここで、ピン50の両端の伸縮部52bを押し縮め、該伸縮部52bの先端部を配設孔11の内周壁に沿わせながら、可動部材30を配設孔11に押し込む。
そして、ピン50が配設孔11内に入り込んだ後も、更に、操作部32を矢印K方向に押し込む。
すると、一対の伸縮部52bがそれぞれ孔部14、15に達した時点で該伸縮部52bがピン50内のスプリング53の付勢に従って突出し孔部14,15内にそれぞれ入り込み、可動部材30,コイルスプリング40、反力付与リング410及びピン50は図11に示す状態となる。
なお、係合部31と差込部材20との係合動作及び係合解除動作(解除操作)については、上記の実施形態の場合と同様である。
次に、部品交換動作は、差込部材20を取り外した状態で、以下の要領で行うことができる。
すなわち、図示しないピンを、差込孔13内に差し込み、該ピンを取り外し用孔315を介して孔部15内に差し込み、ピン50の一端側の伸縮部52bを押し縮める。
また、もう一つのピン(図示略)を、本体部310外より孔部14内に差し込み、ピン50の他端側の伸縮部52bを押し縮める。
その状態で、操作部32を本体部310より引き抜くことにより、部品交換を行うことができる。
以上のような第6の実施形態によれば、上記の第3及び第4の実施形態と同様の効果が得られる。
また、本体部310に連結環16を設けないので、例えば、合成樹脂(プラスチック)、木材、セラミックス等の非金属製の本体部310を容易に用いることができる。ここで、連結環16を本体部に設ける場合、極小の金属製の連結環(遊びカン)をロー付き加工で取付け、その後でメッキ処理等を行うため、本体部も金属で成型することが一般的であった。これに対し、本実施形態の場合には、そのような必要が無くなるため、非金属製の本体部310を容易に用いることができるのである。
また、取り外し用孔315を備えるので、部品交換作業を容易に行うことができる。
更に、例えば、何らかの原因によりネックレス80等の装身具が図の矢印G方向及びD方向に引っ張られた場合に、その引っ張り方向と、差込部材20の差し込み方向並びに可動部材30の移動方向(つまり、係合部31の被係合溝21に対する係合方向)と、が相互に交差方向となるため、そのように引っ張られた場合にも、係合部31と被係合溝21との係合状態が解除され難いという利点もある。
また、差込部材20の連結環26と操作部32の連結孔32aとに装身具(例えばネックレス80)の一端ずつを連結することにより、該装身具の一端(操作部32側)を引っ張ることにより、操作部32を引っ張り操作して、係合状態を解除することが可能となる。
なお、上記の第6の実施形態の場合にも、本体部310の形状は任意であるし、被係合溝21を複数段に構成しても良い。
〔第7の実施形態〕
次に、図12を参照して、第7の実施形態に係る装身具用留め具700について説明する。
図12に示す装身具用留め具700は、以下に説明する点でのみ上記の第6の実施形態に係る装身具用留め具600と異なり、その他の点では装身具用留め具600と同様に構成されているため、装身具用留め具600におけるのと同様の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。更に、装身具用留め具700において、上記のその他の実施形態におけるのと同様の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態の場合、本体部310に代えて、本体ケース10を備えている。
この本体ケース10には、差込孔13、配設孔11、孔部14及び孔部15が形成されている。
また、本実施形態の場合、装身具用留め具700は、可動部材30を移動方向にガイドするガイド筒90を備えている。
このガイド筒90は、例えば、一端側が開口した筒状に構成されている。
このガイド筒90には、ピン50が貫通する貫通孔91と、差込部材20が差し込まれる差込孔92と、が形成されている。
更に、ガイド筒90の先端部には、例えば、突起部93が形成され、この突起部93は、本体ケース10内に形成された位置決め用凹部710により位置決めされるようになっている。
次に、本実施形態の場合の組み付け動作について説明する。
例えば、予め、可動部材30のスプリング保持部35にコイルスプリング40を外挿し、続いて、反力付与リング410も可動部材30に外挿し、その状態で連結孔32aに連結環81を取り付けておく。
更に、可動部材30、コイルスプリング40及び反力付与リング410を、ガイド筒60の開口端側より、該ガイド筒60内に挿入する。
その状態で、反力付与リング410を係合部31側に付勢することにより、コイルスプリング40を圧縮状態とするとともに、反力付与リング410の貫通孔411、可動部材30の第1貫通孔33及びガイド筒90の貫通孔91を相互に位置合わせする。
その状態で、貫通孔91、第1貫通孔33及び貫通孔411を貫通するように、ピン50を挿入する。
更に、ガイド筒90、可動部材30,コイルスプリング40、反力付与リング410及びピン50を、ガイド筒90の突出部93側から、図12の矢印K方向へと配設孔11内に挿入する。
ここで、ピン50の両端の伸縮部52bを押し縮め、該伸縮部52bの先端部を配設孔11の内周壁に沿わせながら、可動部材30を配設孔11に押し込む。
そして、ピン50が配設孔11内に入り込んだ後も、更に、操作部32を矢印K方向に押し込む。
そして、突出部93を位置決め用凹部710内に嵌入させる。
また、一対の伸縮部52bがそれぞれ孔部14、15に達した時点で該伸縮部52bがピン50内のスプリング53の付勢に従って突出し孔部14,15内にそれぞれ入り込み、ガイド筒90、可動部材30,コイルスプリング40、反力付与リング410及びピン50は図12に示す状態となる。
なお、係合部31と差込部材20との係合動作及び係合解除動作(解除操作)については、上記の実施形態の場合と同様である。
次に、部品交換動作は、差込部材20を取り外した状態で、以下の要領で行うことができる。
すなわち、図示しないピンを、差込孔13内に差し込み、更に、該ピンを孔部15内に差し込み、ピン50の一端側の伸縮部52bを押し縮める。
また、もう一つのピン(図示略)を、本体部310外より孔部14内に差し込み、ピン50の他端側の伸縮部52bを押し縮める。
その状態で、操作部32を本体部310より引き抜くことにより、部品交換を行うことができる。
以上のような第7の実施形態によれば、上記の第6の実施形態と同様の効果が得られる他に、装身具用留め具700を軽量に構成することができるという利点も得られる。
なお、上記の第7の実施形態の場合にも、本体ケース10の形状は任意であるし、本体ケース10に音出し用の孔38を設けても良い。また、被係合溝21を複数段に構成しても良い。
〔第8の実施形態〕
次に、図13乃至図20を参照して、第8の実施形態について説明する。
上記の各実施形態では、操作部を引っ張り操作することにより解除操作がなされる例を説明したが、第8の実施形態では、操作部をスライドさせることにより解除操作がなされる例について説明する。
図13は第8の実施形態に係る装身具用留め具800を示す背面断面図、図14は図13におけるA−A矢視断面図、図15は装身具用留め具800の上面図、図16は装身具用留め具800の背面図、図17は装身具用留め具800の本体ケース810を示す背面図、図18は装身具用留め具800が備える可動部材830を示す背面図、図19は装身具用留め具800が備える略Y字形状の筒状体860を示す背面図、図20は装身具用留め具800が備えるピン50,850を外すための工具を示す全体図である。
図13に示すように、装身具用留め具800は、本体ケース(本体部)810と、この本体ケース810内に差し込まれる差込部材870と、本体ケース810に差し込まれた差込部材870に係合することによって該差込部材870を本体ケース810内より抜け止めされた状態とする係合部836と、該係合部836と差込部材870との係合状態を解除操作するための操作部832(図14)と、この操作部832及び係合部836を一体的に備えて構成された可動部材830と、可動部材830を付勢するコイルスプリング(可動部材付勢手段)40と、本体ケース810内に配置される略Y字形状の筒状体860(図19)と、本体ケース810に対して装身具や装飾部材(例えば、ネックレス80)を着脱可能に連結する着脱式連結体880と、ピン50,850と、を備えて構成されている。
図14に示すように、係合部836と操作部832とは相互に一体的に構成されている。すなわち、係合部836と操作部832とはそれぞれ可動部材830の一部分ずつを構成している。この可動部材830は、本体ケース810に取付けられて、該本体ケース810に対し可動となるものである。
また、差込部材870は、より具体的には、図13に示すように筒状体860内に差し込まれて抜け止めされる。
筒状体860は、例えば、2つのピン(脱落防止部材)50,850により本体ケース810に対して固定されている。
また、これらの2つのピン50,850のうち、例えばピン850は、筒状体860を本体ケース810に固定する機能の他、可動部材830及びコイルスプリング40が本体ケース810から脱落してしまうことを防止する機能を備えている。
他方、ピン850は、筒状体860を本体ケース810に固定する機能の他、着脱式連結体880を本体ケース810に固定する機能を備えている。
以下、各構成要素について詳しく説明する。
<ピン>
ピン50は、上記の第1の実施形態と同様に構成されている。また、ピン850もピン50と同様に構成されている。このため、ピン850において、ピン50と同様の構成要素には、ピン50におけるのと同一の符号を付している。
<差込部材>
差込部材870は、以下に説明する点の他は、上記の第1の実施形態の場合の差込部材20と同様である。このため、差込部材870の構成要素のうち、差込部材20におけるのと同様の構成要素には、同一の符号を付している。
上記の第1の実施形態の場合の差込部材20は、該差込部材20を例えばネックレス80或いはその他の装身具の一端部と連結するための連結環26を備えているが、本実施形態の場合の差込部材870は、例えば、連結環26を備えておらず、代わりに、当該差込部材870の内部には、中空部871が形成され、該中空部871内に線材を通すことが可能とされていると共に、例えば、その小径部23には、線材を絡めるための梁状部872が形成されている。
すなわち、ネックレス80は、例えば、複数個の珠型の装飾部材の各々内部に芯糸(線材)を順次挿通することにより構成されているため、その芯糸の先端を差込部材870の中空部871を介して導入し、梁状部872に絡めることにより、ネックレス80或いはその他の装身具の一端部を差込部材870に連結することができる。
なお、差込部材870の具体的な構成は、この例に限らず、例えば、本実施形態においても、差込部材870に代えて、上記の第1の実施形態の場合の差込部材20を用いても構わない。
<可動部材>
図18及び図14に示すように、可動部材830は、略円板状の本体部831と、くびれ状部839(図14)を介して本体部831と連結され、本体部831の前方に位置する前部835(図14)と、を備えて構成されている。
本体部831の背面側には、操作部832が傾斜面として形成されている。
前部835は、後述するように筒状体860内に配置される部分である。
この前部835には、上述の係合部836と、該可動部材830の内部にピン850を貫通させるための貫通孔837と、コイルスプリング40を外挿状態で保持するスプリング保持凹室840と、コイルスプリング40からの付勢力を受ける付勢受部838と、が形成されている。
貫通孔837は、ピン850が貫通した状態でも可動部材830が操作方向及びその反対方向である係合部836の係合方向(図13及び図14における上下方向)に移動できるように、その方向においてはピン850の径よりも十分に大きく形成されているが、図14の左右方向においてはピン850の径よりも僅かだけ大きい寸法に設定されている。
<筒状体>
筒状体860は、図19に示すように、例えば、略Y字形状の本体部861を備えている。
この本体部861は、相互に連通した第1の筒状部862,第2の筒状部863及び第3の筒状部864からなる。第1乃至第3の筒状部862〜864の軸方向は、同一平面内に含まれており、例えば、ほぼ120度ずつ異なっている。
第1の筒状部862内には、図13に示すように差込部材870が差し込まれる。なお、第1の筒状部862に差し込まれた差込部材870の先端部22は、図13に示すように、例えば、第2及び第3の筒状部863,864の交差部に形成された開口部866から突き抜けるようになっている。
また、第2の筒状部863内には、着脱式連結体880が差し込まれる。
更に、第2の筒状部863には、該第2の筒状部863の開口端部からピン50を挿入するための一対の切欠部867が形成されている。
筒状体860の第2の筒状部863は、該第2の筒状部863に差し込まれた着脱式連結体880とともに、ピン50によって本体ケース810に対して固定される。
また、第3の筒状部864内には、可動部材830の前部835が配置される。すなわち、第3の筒状部864の背面側の壁部には、可動部材830の前部835を該第3の筒状部864内へと通過させるための開口部865が形成されている。
更に、第3の筒状部864には、ピン850が貫通される貫通孔868が形成されている。
第3の部分864は、貫通孔868を貫通したピン850により本体ケース810に対して固定される。
このピン850は、第3の筒状部864を本体ケース810に対して固定するとともに、可動部材830及びコイルスプリング40を本体ケース810から脱落防止させる。なお、コイルスプリング40は、可動部材830の付勢受部838と本体ケース810の内周面との間に圧縮状態で保持される。
<着脱式連結体>
着脱式連結体880は、図13に示すように、略円筒状に形成され、筒状体860の第2の筒状部863内に挿入される本体部882と、本体部882よりも僅かに大径に形成され、第2の筒状部863の開口端部に配置される鍔状部881と、ネックレス80が備える珠型の装飾部材を受けるための珠受部888と、を備えて構成されている。
このうち、珠受部888にはネックレス80の芯糸を通すための挿通孔884が形成され、本体部882には該本体部882の内部にピン50を貫通させるための貫通孔883が形成されている。
<本体ケース>
図13乃至図17に示すように、本体ケース810は、例えば、円形の半筐体状の本体部811と、この本体部811内に形成された一対の起立壁状部812と、更にもう一対の起立壁状部814と、を備えている。
このうち一対の起立壁状部812は、筒状体860の第3の筒状部864を位置決めするためのものであり、相互の間隔が、第3の筒状部864の外径よりも僅かだけ大きい広さに設定されている。更に、一対の起立壁状部812には、ピン850の伸縮部52bを位置決めするための孔部812Aが、それぞれ形成されている。
同様に、一対の起立壁状部814は、筒状体860の第2の筒状部863を位置決めするためのものであり、相互の間隔が、第2の筒状部863の外径よりも僅かだけ大きい広さに設定され、これら起立壁状部814には、ピン50の伸縮部52bを位置決めするための孔部814Aが、それぞれ形成されている。
また、図13、図15及び図17に示すように、本体部811の外周壁には、本体ケース810内に配置された筒状体860の第2の筒状部863内へと着脱式連結体880の本体部882を導くための孔部815と、本体ケース810内に配置された筒状体860の第1の筒状部862内へと差込部材870を導くための孔部813と、が形成されている。
なお、孔部813は、2段構造となっており、内側の方が大径に形成されている。これは、孔部813の段差部813Aにより筒状体860の第1の筒状部862の開口端部を位置決めするためのである。
また、例えば、本体ケース810の外周面には、連結環816(図13にのみ図示)が形成されている。
<コイルスプリング>
コイルスプリング40は、上記の第1の実施形態と同様に、例えば圧縮型のコイルスプリングである。
<組み付け>
以上のように構成された装身具用留め具800の各構成要素の組み付けは、例えば、以下の要領で行うことができる。
先ず、可動部材830の前部835を、筒状体860の開口部865を介して該筒状体860の第3の筒状部864内に配置する。
続いて、ピン850を、筒状体860の第3の筒状部864に形成された貫通孔868及び可動部材830の前部835に形成された貫通孔837内に差し込む。
また、コイルスプリング40の一部を可動部材830のスプリング保持凹室840に挿入し、該コイルスプリング40の一端部を可動部材830の付勢受部838に突き当てた状態とする。
続いて、ピン850の一対の伸縮部52bを縮めた状態で、該ピン850により一体化されている筒状体860及び可動部材830を本体ケース810に組み付ける。
すなわち、筒状体860の第1の筒状部862の開口端部を孔部813の段差部813Aに突き当て、第2の筒状部863を一対の起立壁状部814間に配置し、第3の筒状部864を一対の起立壁状部812間に配置する(図16の状態)。
この際に、コイルスプリング40は、可動部材830の付勢受部838に突き当てられているのとは反対側の端部を本体ケース810の内周面に押し当てることにより、該内周面と付勢受部838との間で圧縮状態とさせる。
また、このように筒状体860を本体ケース810内に配置する結果、ピン850の一対の伸縮部52bは、それぞれ一対の起立壁状部812に形成された孔部812Aに達して、それぞれこの孔部812A内に入り込む(図13の状態)。
これにより、ピン850によって、筒状体860の第3の筒状部864が本体ケース810に固定されるとともに、可動部材830及びコイルスプリング40が本体ケース810より脱落防止される。なお、この状態で、可動部材830は、コイルスプリング40の付勢に抗して、本体ケース810及び筒状体860に対して相対的に、図13及び図14における下方向に移動可能である。
なお、図13及び図14に示すように、本実施形態の場合、例えば、コイルスプリング40の軸心の延長線上にピン850の中心が位置している。このため、(例えば後述する第9の実施形態と比べて)図14における本体ケース810の左右幅を極力小型化することが可能となっている。
続いて、着脱式連結体880の本体部882に形成された貫通孔883内にピン50を差し込む。
続いて、ネックレス80の芯糸(図示略)を、着脱式連結体880の挿通孔884を介して該着脱式連結体880の本体部882内に導き、該芯糸の先端部を、ピン50に対して連結する。この連結は、例えば、図示しないつぶしカンにより、芯糸の先端部をピン50に対して固定することにより行う。また、この連結は、芯糸の弛みがないように行い、ネックレス80の一端部に位置する珠型の装飾部材が、着脱式連結体880の珠受部888により受けられた状態にする。
続いて、着脱式連結体880の貫通孔883を貫通した状態のピン50の一対の伸縮部52bを縮めた状態で、本体ケース810の孔部815を介して、着脱式連結体880の本体部882及びピン50を、筒状体860の第2の筒状部863内に挿入する。この際に、ピン50は、その両端部を切欠部867によりガイドさせるようにして、第2の筒状部863内に挿入し、一対の伸縮部52bの先端は、それぞれ一対の起立壁状部814の内周面を摺動する。
やがて、ピン50の一対の伸縮部52bがそれぞれ起立壁状部814に形成された孔部814Aに達すると、これら孔部814A内に、それぞれ伸縮部52bが入り込む(図13の状態)。
これにより、ピン50によって、着脱式連結体880が本体ケース810に固定されるとともに、該着脱式連結体880を介して、ネックレス80の一端部が本体ケース810に対して連結された状態となる。
また、ネックレス80の他端部は、芯糸の先端を差込部材870の中空部871を介して導入し、梁状部872に絡めることにより、差込部材870に連結する。
なお、図示は省略するが、例えば、本体ケース810の連結環816にも、装身具を連結する。
<動作>
次に、以上のような構成の装身具用留め具800の動作について説明する。
先ず、係合部836と差込部材870との係合動作について説明する。
係合部836と差込部材870とを係合させるには、差込部材870をその先端部22側から本体ケース810の孔部813内へと差し込む。
また、差込部材870の先端部22が可動部材830の係合部836に達した後、更に奥へと差し込まれると、係合部836は徐々に先端部22に押圧され、コイルスプリング40の付勢力に抗して図13の下方向に移動する。なお、この際に、係合部836とともに、可動部材830の全体が図13の下方向に移動する。また、この際に、可動部材830の前部835は、筒状体860の第3の筒状部864内を図13の下方向に移動する。また、この際に、ピン850は動かないが、可動部材830が図13の下方向に移動するため、ピン850は、貫通孔837内において、可動部材830に対し相対的に、上方向に移動する。
その後、更に、差込部材870が奥へと差し込まれ、該差込部材870の被係合溝21が係合部836に達すると、該係合部836がコイルスプリング40の付勢力に従って図13の上方向に移動して被係合溝21内に入り込み、該被係合溝21と係合する。この際に、係合部836とともに、可動部材830の全体が図13の上方向に移動する。また、この際に、可動部材830の前部835は、筒状体860の第3の筒状部864内を図13の上方向に移動する。また、この際に、ピン850は動かないが、可動部材830が図13の上方向に移動するため、ピン850は、貫通孔837内において、可動部材830に対し相対的に、下方向に移動する。
こうして、図13に示すように、差込部材870に対し係合部836が係合し、該差込部材870が本体ケース810から抜け止めされた状態となる。
次に、係合解除動作について説明する。
係合部836と差込部材870との係合状態を解除させるには、図14に示す操作部832を例えば使用者の指の腹で図14の下方向に押すことにより、該操作部832を、本体ケース810に沿って下方向にスライドさせる。
すなわち、操作部832を含む可動部材830の全体を、コイルスプリング40の付勢に抗して図14の下方向にスライドさせることにより、係合部836と差込部材870との係合状態が解除される。
このようにスライド操作を行った状態では、差込部材870を本体ケース810内から引き抜くことができる。
このように、本実施形態に係る装身具用留め具800においては、操作部832をスライド操作するという斬新且つ意外性のある操作を行うことにより、差込部材870と係合部836との係合状態を解除することができる。
<部品交換動作>
次に、何らかの理由で何れかの部品を交換する場合の動作について説明する。
ここで、何らかの理由とは、例えば、何れかの部品が壊れた場合や、何れかの部品を、異なる装飾性を有する同一部品へと交換したい場合などに生ずる。
このような部品交換動作は、差込部材870を本体ケース810から抜いた状態で、例えば、図20に示すピン890を用いて行う。
図20に示すように、部品交換作業用のピン890は、本体部891と、該本体部891の先端に細く形成された屈曲部892と、を備えて構成されている。
ここで、図16に示すように、例えば、装身具用留め具800の背面側には、可動部材830と本体ケース810との間に複数箇所(例えば3箇所)の隙間部800Aが形成されている。
ピン890は、この隙間部800Aを介して、本体ケース810内に差し込んで用いる。
すなわち、例えば、ピン890を、ピン50の伸縮部52bと連通する隙間部800Aを介して、その先端側より本体ケース810内に差し込み、屈曲部892によりピン50の伸縮部52bを押して縮める。この状態で、着脱式連結体880を本体ケース810から抜き取る。
続いて、ピン890を、ピン850の伸縮部52bと連通する隙間部800Aを介して、その先端側より本体ケース810内に差し込み、屈曲部892によりピン850の伸縮部52bを押して縮める。この状態で、筒状体860及び可動部材830を本体ケース810から取り外す。
こうして、ピン50、850、コイルスプリング40、可動部材830、着脱式連結体880、筒状体860、本体ケース810のうちの何れか1つ或いは2つ以上の部品を交換することができる。
ここで、上記のように、着脱式連結体880と差込部材870とは、ネックレス80を介して相互に連結されている。すなわち、ネックレス80、着脱式連結体880及び差込部材870は相互に一体化されている。
そこで、このような部品交換により、具体的には、例えば、本体ケース810、可動部材830、ピン850及び筒状体860を丸ごと別のものと交換することを好ましい部品交換の一例としている。
従来、装身具用留め具800と一体化された装身具(例えば、ネックレス80)における部品の一部を交換するには、販売店での作業ではなく、製造業者での作業を必要としていたが、本実施形態のように、本体ケース810に対して着脱可能な着脱式連結体880を備えた構成とすることにより、販売店にて容易に部品交換作業を行うことができるようになる。
なお、このように本体ケース810、可動部材830、ピン850及び筒状体860のみ(ネックレス80、着脱式連結体880、差込部材870及びピン50を除く部分)を交換する場合、ピン850は外す必要が無く、ピン50のみ外せばよい。
以上のような第8の実施形態によれば、操作部832をスライド操作することにより差込部材870と係合部836との係合状態を解除することができるので、操作部832の寸法が小さい場合にも、指が痛くなったりすることがない。
しかも、操作部832を引っ張り操作するという斬新且つ意外性のある操作を行うことにより差込部材870と係合部836との係合状態を解除することができるので、機能の面で使用者の興趣を好適に惹きつけることができる。
更に、2つのピン50、850により可動部材830、コイルスプリング40、筒状体860及び着脱式連結体880を本体ケース810に取付けることができるため、部品点数も少なく、しかも、組み付けや部品交換は上記のように簡便に行うことができる。
また、ピン50、850が本体ケース810内に配置されて完全に隠れた状態となり、露出していないため、見栄えがよい。
なお、上記の隙間部800A(図16)は、上記の第1の実施形態における音出し用の孔38と同様の機能を兼ね備え、差込部材870に対し係合部836が係合した際に発せられる係合音を好適に使用者の耳に届かせることができ、係合状態となったか否かを確実に使用者に認識させることができる。
また、装身具用留め具800の各構成部材にメッキや塗装を施す場合、仮に、各構成要素を相互に組み付けた後でメッキや塗装を施すものとすれば、例えば、可動部材830が動かなくなったりして具合が悪いし、また、マーキングして色分けしたりする必要もあり、面倒であるが、本実施形態の場合、各構成部材にメッキや装飾を施した後で、組み付けることができるので、例えば、可動部材830が動かなくなったりすることがないとともに、各構成部品へのメッキや塗装を美しく行うことができ、また、色のコーディネイト(各構成部品の色分け)が容易であるという効果も得られる。
なお、上記の第8の実施形態においては、本体部として丸形の半筐体状の本体ケース810を例示したが、本体ケース810の形状は任意であり、例えば、直方体形状の半筐体状に構成しても良いし、球形の半筐体状に構成しても良し、楕円形の半筐体状に構成しても良い。
また、上記の第8の実施形態で説明した着脱式連結体880及び差込部材870は、以下に説明する第9及び第10の実施形態にも同様に適用可能である。
更に、第8の実施形態で説明した差込部材870は、上記のその他の実施形態にも同様に適用可能である。
〔第9の実施形態〕
次に、図21及び図22を参照して、第9の実施形態に係る装身具用留め具900について説明する。
第9の実施形態に係る装身具用留め具900は、以下に説明する点でのみ上記の第8の実施形態に係る装身具用留め具800と異なり、その他の点では上記の第8の実施形態に係る装身具用留め具800と同様に構成されているため、装身具用留め具900の構成要素のうち、装身具用留め具800におけるのと同様の構成要素には、同一の符号を付し、その説明を省略する。更に、装身具用留め具900において、上記のその他の実施形態におけるのと同様の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
先ず、第9の実施形態に係る装身具用留め具900は、ピン850及びコイルスプリング40の配置が上記の第8の実施形態に係る装身具用留め具800と異なる。
すなわち、上記の第8の実施形態では、コイルスプリング40の軸心の延長線上にピン850の中心が位置していたのに対し、本実施形態の場合、コイルスプリング40の軸心とピン850の軸心とが、図22に示すように、ねじれの位置関係となっており、且つ、コイルスプリング40とピン850とが前後方向(図22の左右方向)において重なるような位置関係となっている。
具体的には、例えば、コイルスプリング40の方がピン850よりも前側(図22における右側)に位置している。
このため、第9の実施形態に係る装身具用留め具900は、可動部材830の構造が、上記の第8の実施形態に係る装身具用留め具800と異なる。
すなわち、本実施形態の場合、可動部材830には、上記の第8の実施形態の場合の貫通孔837に代えて、貫通孔901が形成されている。この貫通孔901は、貫通孔837よりも後側の位置に形成されている。
更に、本実施形態の場合、可動部材830には、上記の第8の実施形態の場合のスプリング保持凹室840に代えて、スプリング保持柱状部903が形成されている。このスプリング保持柱状部903には、図21及び図22に示すように、コイルスプリング40の一部が外挿される。
また、本実施形態の場合、可動部材830には、上記の第8の実施形態の場合の付勢受部838に代えて、付勢受部902が形成されている。この付勢受部902は、スプリング保持柱状部903の基端部に位置している。
他に、本実施形態の場合、例えば、着脱式連結体880の構造が、上記の第8の実施形態の場合と比べて若干異なっている。
すなわち、本実施形態の場合の着脱式連結体880は、例えば、珠受部888及び挿通孔884を備えていない代わりに、連結環889を備え、この連結環889に対してネックレス80の一端部が連結されている。
更に、本実施形態の場合、例えば、差込部材20が、上記の第1の実施形態の場合と同様の構造となっている。
なお、差込部材20や着脱式連結体880の構造は、本実施形態の本質ではなく、任意の構造が選択される。
以上のような第9の実施形態によれば、上記の第8の実施形態と同様の効果が得られる他、コイルスプリング40の軸心とピン850の軸心とがねじれの位置関係となっており、且つ、コイルスプリング40とピン850とが前後方向において重なるような位置関係となっているので、上記のだ8の実施形態の場合と比べて、本体ケース810の上下方向における寸法を小さく設定することができる。
なお、第9の実施形態で説明した着脱式連結体880は、上記の第8の実施形態や以下に説明する第10の実施形態にも同様に適用可能である。
<変形例>
次に、図23を参照して、第9の実施形態の変形例に係る装身具用留め具950について説明する。
装身具用留め具950は、その差込部材870及び着脱式連結体880の構造が上記の第9の実施形態に係る装身具用留め具900と異なる点の他は、上記の第9の実施形態に係る装身具用留め具900と同様に構成されている。
図23に示す例の場合、差込部材870は、上記の第8の実施形態におけるのと類似した構造となっており、内部に中空部871が形成され、梁状部872とは若干形状が異なる絡め部873が形成され、この絡め部873に対して芯糸を絡めることができるようになっている。
更に、図23に示す差込部材870は、中空部871の開口端側に、珠受部874が形成され、該珠受部874により、ネックレス80が備える珠型の装飾部材を好適に受けることができるようになっている。
また、図23に示す例の場合、着脱式連結体880は、上記の第8の実施形態におけるのと類似した構造となっている。ただし、珠受部880が、上記の第8の実施形態の場合よりも、広い範囲に広がっている。
以上のような変形例によっても、上記の第9の実施形態と同様の効果が得られる。
なお、この変形例で説明した着脱式連結体880及び差込部材870は、上記の第8の実施形態や以下に説明する第10の実施形態にも同様に適用可能である。
更に、この変形例で説明した差込部材870は、上記のその他の実施形態にも同様に適用可能である。
〔第10の実施形態〕
次に、図24及び図25を参照して、第10の実施形態に係る装身具用留め具1000ついて説明する。
上記の第8及び第9の実施形態では、操作部をスライドさせることにより解除操作がなされる例について説明したが、第10の実施形態では、スライドさせることにより解除操作を行うための操作部と、引っ張ることにより解除操作を行うための操作部と、を備える例について説明する。
図24は第10の実施形態に係る装身具用留め具1000を示す背面断面図、
図25は装身具用留め具1000の側断面図である。
第10の実施形態に係る装身具用留め具1000は、以下に説明する点でのみ上記の第9の実施形態の変形例に係る装身具用留め具950(図23)と異なり、その他の点では装身具用留め具950(図23)と同様に構成されているため、装身具用留め具1000の構成要素のうち、装身具用留め具950におけるのと同様の構成要素には、同一の符号を付し、その説明を省略する。更に、装身具用留め具1000において、上記のその他の実施形態におけるのと同様の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図25に示すように、本実施形態の場合、可動部材830の下端部は、下方に向けて垂下し、更に、その垂下した部分の下端部より前方(図25の右方向)に向けて延出するように形成された垂下・延出部1003が形成され、この垂下・延出1003の先端部には、該先端部に装身具や装飾部材などを連結するための孔部1004が形成されている。
すなわち、孔部1004には、例えば、装飾部材からなるツマミ60が、連結環61を介して接続されている。
従って、本実施形態の場合、このツマミ60を下方に向けて引っ張り操作することによっても、差込部材870と係合部836との係合状態を解除することができる。
なお、図24に示すように、ネックレス80が備える珠型の各装飾部材には、順次、芯糸1001が通され、該芯糸1001の先端部は、着脱式連結体880の内部において、ピン50に対して、つぶしカン1002により連結されている。この構造は、図示は省略しているが、例えば、上記の第9の実施形態の変形例(図23)、上記の第8の実施形態(図13)においても同様である。
以上のような第10の実施形態によれば、上記の第9の実施形態と同様の効果が得られる他、可動部材830の垂下・延出部1003及びツマミ60が操作部として機能し、該ツマミ60を下方に向けて引っ張り操作することによっても、差込部材870と係合部836との係合状態を解除することができるという効果が得られる。
更に、垂下・延出1003の孔部1004に取り付ける装飾部材を適宜に選択することによりデザインの多様性が向上するという効果も得られる。
なお、上記の第10の実施形態では、上記の第9の実施形態と同様にコイルスプリング40とピン850とが前後方向において重なるような位置関係となっている場合に、操作部832とは別の操作部(垂下・延出部1003及びツマミ60により構成される)を設けた例を説明したが、上記の第8の実施形態のように、コイルスプリング40の軸心の延長線上にピン850が位置する場合にも、このように操作部832とは別の操作部を設けても良い。
<変形例>
次に、図26及び図27を参照して、第10の実施形態の変形例に係る装身具用留め具1050について説明する。
上記の第10の実施形態では、装身具用留め具1000が操作部832を備える例を説明したが、図26及び図27に示す変形例では、装身具用留め具1050が操作部832を備えていない例を説明する。
すなわち、図26及び図27に示す変形例の場合、可動部材830の本体部831の背面が平坦に形成され、傾斜面である操作部832は形成されていない。
従って、図26及び図27に示す変形例では、差込部材870と係合部836との係合状態の解除操作は、ツマミ60(図26では図示略)を下方に向けて引っ張り操作することにより行う。
なお、図27に示すように、図26及び図27に示す変形例の場合、可動部材830の本体部831は、筒状体860の各筒状部862、863、864の背面に位置する部分を完全に覆うような被覆部1051を備えており、これにより、装身具用留め具1050の背面側の見栄えを向上させている。
すなわち、例えば、図16に示すように、筒状体860の各筒状部862、863、864の各々の先端部が、背面側に露出している場合と比べて、見栄えが良い。
このように可動部材830の本体部831が被覆部1051を備える構造は、上記の第8、第9及び第10の実施形態の場合にも同様に適用可能である。
なお、上記の第8乃至第10の実施形態で説明したような着脱式連結体880や筒状体860を備える構造は、上記の第1乃至第7の実施形態にも、同様に適用可能である。
また、上記の第2の実施形態などで説明したような、差込部材20が複数箇所に被係合溝21を備える構造は、その他の各実施形態にも同様に適用可能である。
また、上記の第8乃至第10の実施形態では、図3に示すピン50及びこれと同一構造のピン850により各構成要素を本体ケース810より脱落防止させる例を説明したが、上記の第8乃至第10の実施形態の場合にも、図6に示す構造のピン50により各構成要素を本体ケース810より脱落防止させても良い。