JP2022098314A - ピン留め具及びこれを用いた装身具 - Google Patents

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Abstract

【課題】ピン留め装飾体の装着時におけるピンに対する保持性を良好に保ちつつ、ピンに対する着脱操作を容易にし、かつ、デザインの多様性を実現し易くする。【解決手段】ピン留め具1は、外周覆い2と、外周覆い2の底部2c中央に設けられるピン受け筒体3と、外周覆い2の空間部2bに摺動可能に収容される中空筒体4aの一端側にピン挿入孔4b、他端側にピン受け筒体3が挿入される通孔4cを有する内筒体4と、ピン受け筒体3の端部周縁に外周に張り出して設けられるストッパ壁5と、ピン受け筒体3の周囲に巻装され、内筒体4を外周覆い2の底部2c側に付勢する付勢要素6と、内筒体4の内部のうちストッパ壁5よりもピン挿入孔4b側に設けられ、ピン留め装飾体10のピン11がピン挿入孔4bからピン受け筒体3に挿入されるとき傾斜面7cに沿って摺動する複数の球体7aでピン11を挟持するピン挟持要素7と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、ピアスやネクタイ留め等のピン留め装飾体のピンを着脱するピン留め具及びこれを用いた装身具に関する。
従来この種のピン留め具としては、例えば特許文献1~6に記載のものが既に知られている。
特許文献1には、ケース内にピンキャッチが長手方向に移動可能に嵌まる程度の収納部を設け、この収納部の上端にピンキャッチの中空体の径より小径となるように係止縁を設け、上記収納部内にピンキャッチの中空体を移動可能に収納し、中空体の端部と撮み部との間に係止縁が位置するように組み付けて一体とした装身具の係止装置が開示されている。
特許文献2には、ピン挿入のための開口を下部中央部に有するハウジング内に、内側壁面にテーパー部が形成されている案内筒を設けると共に、該案内筒の内側空間に、3個以上の球体と、該球体に対して下面が接触する鍔部材を有し、弾性体により常にピン挿入のための開口方向に付勢されている球体押圧部材を配置し、外径の異なるピンを保持可能とした装身具の止め具が開示されている。
特許文献3には、装飾体が備えるピンを出入させるためのピン通孔を有する一側ケース部と、該ピン通孔との正対位置に設けられた開口部を有する他側ケース部とからなるハウジングに、小径部及び大径部を有する截頭円錐形状のガイドと、ピン通孔に対面するピン導入孔を通してピンを導入するピン導入路及びガイドの内周面に接する外周面が小径部及び大径部を有する截頭円錐形状の小球保持体部を有する円筒状一側部材の外側に、該一側部材に固定される円筒状支柱部及び該支柱部に連続する摘み片部を有する他側部材を固定した可動操作体と、該可動操作体をピン通孔方向に押圧付勢するコイルスプリングと、を収容し、ガイドの截頭円錐形状内周面と小球保持体部の截頭円錐形状外周面とは、該ガイドの中心軸および該小球保持体部の中心軸に対し、いずれも10~20度の範囲内にある同一のテーパー角度を有して接触した装飾体のための止め具が開示されている。
特許文献4には、ピンが挿入される内筒体と、その外周に設けた負荷状態のコイルバネと、コイルバネの外周を包囲する外周覆いを備え、コイルバネの付勢力に抗する内筒体と外周覆いの相対移動によりピン留め部材をピン留め位置とピン留め解除位置との間で移動・変位させるピン留め具において、内筒体と外周覆いには互いに隣接するフランジを設け、両フランジの境界部の外周には弾性変形可能な軟質材料からなる環状の圧入部材を設けたピン留め具が開示されている。
特許文献5には、ピンが挿入される筒体と、この筒体の外周に巻回されたコイルバネと、筒体及びコイルバネの外周を包囲する外周覆いからなり、筒体には斜めにカーブ又は、多角にした溝状又は窓状の切り込みを設けて、これにコイルバネの直線状の留め部を嵌合させることにより、この留め部と筒体の対向壁部との間にピン留め用の狭窄部を形成したことにより、太さの違うピンでも、ロックされる力が均一になり、細いピンは抜け落ちることもなく、太いピンはロックの解除が楽になって、安全な、快適なピン留め金具が開示されている。
特許文献6には、留め針付き装身具の具備する留め針を内蔵する複数の係止球により挟持する留め針付き装身具用留め具につき、小型化を図ることができるとともに、使用者が簡便に留め針への着脱を行うことができ、かつ、故障も少ない留め針付き装身具用留め具を提供するという課題を解決する手段として、一側ケースと他側ケースとからなるハウジングと、ガイドと、係止球保持部と支柱部とから形成される一側部材と他側部材とからなる可動操作体と、コイルスプリングと、係止球とから構成される装身具用留め具が開示されている。
実用新案登録第2576220号公報(実施例、図1、図2) 特許第4167703号公報(発明を実施するための最良の形態、図1、図2) 特許第4560588号公報(発明を実施するための最良の形態、図2、図4) 特開2013-048682号公報(発明を実施するための形態、図5) 特許第6303171号公報(発明の詳細な説明、図2) 特許第4999214号公報(発明を実施するための形態、図1)
この種のピン留め具にあっては、ピン留め装飾体のピンに対する保持性が弱いと、ピン留め具からピン留め装飾体が容易に外れ易いことから、ユーザにとってお気に入りのピン留め装飾体を知らずに紛失するという懸念がある。
そこで、ピン留め装飾体の装着時において、ピン留め装飾体がピン留め具から簡単に外れないように設計することが要請されている。
また、ピン留め具は同時に装身具の一部であることから、機能性、操作性の他、外観デザイン性も重視されるべきところ、デザイン性については小型化、軽量化が主として追求される傾向にあった。
しかしながら、従前のピン留め具にあっては、小型化、軽量化を追求する傾向から、外観デザイン性としては目立たない傾向が強く、外観デザイン性がおざなりになっていることが危惧される。
また、ピン留め装飾体の装着時において、ピン留め具でのピンに対する保持性を高め過ぎると、ピンに対する着脱操作性、特に、ピン留め具からピン留め装飾体を外す操作が困難になり易いという傾向がある。
特許文献1乃至6に記載のピン留め具にあっては、いずれも、装着時におけるピン留め装飾体のピンに対する保持性と、ピンに対する着脱操作性とを両立させるという観点ではまだ不十分な点が見られる。
本発明が解決しようとする技術的課題は、ピン留め装飾体のピンを着脱するに当たって、装着時におけるピンに対する保持性を良好に保ちつつ、ピンに対する着脱操作を容易にし、かつ、デザインの多様性を実現し易くすることにある。
本発明の第1の技術的特徴は、ピン留め装飾体のピンが着脱可能に装着されるピン留め具であって、一端側が開口した有底の断面円形状の空間部を有する外周覆いと、前記外周覆いの底部中央に対し前記外周覆いの空間部の中心線に沿って延びるように設けられ、前記ピンが挿入可能なピン受け筒体と、前記外周覆いの開口から当該外周覆いの空間部に前記空間部の中心線に沿って摺動可能に収容される中空筒体からなり、当該中空筒体の一端側に前記ピンが挿入されるピン挿入孔が形成されると共に、前記中空筒体の他端側には前記ピン受け筒体が摺動可能に挿入される通孔を有する内筒体と、前記内筒体の内部において、前記ピン受け筒体の端部周縁に外方に張り出して設けられるストッパ壁と、前記内筒体の内部において、前記内筒体の前記通孔側の端部と前記ストッパ壁との間で前記ピン受け筒体の周囲に巻装され、前記ピン受け筒体に対して前記内筒体を前記外周覆いの前記底部側に付勢する付勢要素と、前記内筒体の内部のうち前記ストッパ壁よりも前記ピン挿入孔側に設けられ、前記内筒体の内壁面を前記ピン挿入孔側に向かって縮径するように形成する傾斜面と、前記傾斜面に沿って摺動可能に収容される複数の球体とを有し、前記ピンが前記ピン挿入孔から前記ピン受け筒体に挿入されるとき前記傾斜面に沿って摺動する複数の球体で前記ピンを挟持するピン挟持要素と、を備えたことを特徴とするピン留め具である。
本発明の第2の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えたピン留め具において、前記ピン受け筒体は前記外周覆いの外表面に対して突出しない構成であることを特徴とするピン留め具である。
本発明の第3の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えたピン留め具において、前記ピン挟持要素は、前記内筒体の内部において摺動可能に設けられ、前記内筒体の内部において前記複数の球体を前記外周覆いの中心線に沿う中央部では非接触を保ち、かつ、前記外周覆いの前記中心線方向に対する移動を規制すると共に前記外周覆いの径方向及び周方向のうち少なくとも径方向に対しては移動可能とする球体ホルダを備えていることを特徴とするピン留め具である。
本発明の第4の技術的特徴は、第3の技術的特徴を備えたピン留め具において、前記球体ホルダは、前記内筒体の前記傾斜面の形状に沿う逆円錐台状に形成され、前記ピン受け筒体と分離して配置されることを特徴とするピン留め具である。
本発明の第5の技術的特徴は、第3の技術的特徴を備えたピン留め具において、前記球体ホルダは、前記内筒体の前記傾斜面の形状に沿う逆円錐台状に形成されるホルダ本体と、前記ホルダ本体から前記ピン受け筒体側に突出し且つ前記ピン受け筒体内に摺動可能に案内されるホルダ案内部と、を有することを特徴とするピン留め具である。
本発明の第6の技術的特徴は、第5の技術的特徴を備えたピン留め具において、前記球体ホルダは、前記ホルダ案内部の外周の一部に外方に突出する案内突起を有し、前記ピン受け筒体の中心線方向に沿って延びる案内溝に沿って前記案内突起を摺動可能に係合させたことを特徴とするピン留め具である。
本発明の第7の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えたピン留め具において、前記内筒体は、前記外周覆いの空間部内に全て収容可能な大きさを有することを特徴とするピン留め具である。
本発明の第8の技術的特徴は、第5の技術的特徴を備えたピン留め具において、前記内筒体の前記外周覆いの空間部からの突出可能寸法は、前記ホルダ案内部の前記ピン受け筒体に対する摺動可能寸法よりも大きく選定されていることを特徴とするピン留め具である。
本発明の第9の技術的特徴は、第3の技術的特徴を備えたピン留め具において、前記内筒体は、前記ピン挿入孔を有する側の端部を、前記球体ホルダのせき止め壁として構成することを特徴とするピン留め具である。
本発明の第10の技術的特徴は、第9の技術的特徴を備えたピン留め具において、前記内筒体は、前記通孔を有する側の端部を、着脱可能な通孔付きの蓋部材で構成されていることを特徴とするピン留め具である。
本発明の第11の技術的特徴は、第3の技術的特徴を備えたピン留め具において、前記内筒体は、前記ピン挟持要素の前記傾斜面と、前記ピン挿入孔を有する側の端部との間に前記ピン挿入孔よりも大径で且つ前記傾斜面の小径部よりも小径な補助収容室を有し、当該補助収容室には前記付勢要素よりも弱い付勢力で前記球体ホルダを前記付勢要素の付勢方向と同方向に付勢する補助付勢要素を収容したことを特徴とするピン留め具である。
本発明の第12の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えたピン留め具において、前記外周覆いは、外周部が装飾カバー体で覆われていることを特徴とするピン留め具である。
本発明の第13の技術的特徴は、第12の技術的特徴を備えたピン留め具において、前記外周覆いは、前記空間部を有する円筒状の覆い本体と、前記覆い本体が組み込まれる凹部を有し、当該覆い本体の外周を覆う前記装飾カバー体とを備えたことを特徴とするピン留め具である。
本発明の第14の技術的特徴は、ピン留め装飾体と、前記ピン留め装飾体のピンに対して着脱可能に保持され、被装着部のピン孔に前記ピンが挿入された前記ピン留め装飾体を前記被装着部に留める第1乃至第13の技術的特徴のいずれかを備えたピン留め具と、を備えたことを特徴とする装身具である。
本発明の第15の技術的特徴は、ピン留め装飾体としてのピン受け装飾体と、前記ピン受け装飾体に少なくとも一部が開口するように設けられた空洞部に内蔵される第1乃至第13の技術的特徴のいずれかに記載のピン留め具と、前記ピン留め具に着脱可能に挿入されるピン部品と、を備えたことを特徴とする装身具である。
本発明の第1の技術的特徴によれば、ピン留め装飾体のピンを着脱するに当たって、装着時におけるピンに対する保持性を良好に保ちつつ、ピンに対する着脱操作を容易にし、かつ、デザインの多様性を実現し易くすることができる。
本発明の第2の技術的特徴によれば、ピン受け筒体が外周覆いの外表面から突出する態様に比べて、外部突起の少ない形状のピン留め具を提供することができる。
本発明の第3の技術的特徴によれば、ピン留め装飾体のピンを挟持するに当たり、ピン挟持要素である複数の球体が内筒体の内部で不動になる事態を回避し、ピンに対する挟持動作を円滑に行うことができる。
本発明の第4の技術的特徴によれば、内筒体の内部において、外周覆いの中心線方向に沿って球体ホルダを安定的に移動させることができる。
本発明の第5の技術的特徴によれば、内筒体の内部において、外周覆いの中心線方向に沿って球体ホルダを安定的な姿勢を保ちつつ移動させることができる。
本発明の第6の技術的特徴によれば、内筒体の内部において、外周覆いの中心線方向に沿って球体ホルダを回り止めした状態で安定的な姿勢を保ちつつ移動させることができる。
本発明の第7の技術的特徴によれば、ピン留め具を使用するに際し、外周覆いを把持するときに内筒体を押さえることを有効に回避することができる。
本発明の第8の技術的特徴によれば、本構成を有しない態様に比べて、ピン留め具からのピンの引き抜き動作を簡易に行うことができる。
本発明の第9の技術的特徴によれば、内筒体に球体ホルダを組み込む態様において、ピン留め装飾体を取り外すときに、内筒体から球体ホルダが離脱する事態を回避することができる。
本発明の第10の技術的特徴によれば、内筒体内に球体ホルダを簡単に組み込むことができる。
本発明の第11の技術的特徴によれば、補助付勢要素を備えない態様に比べて、ピン留め具からピン留め装飾体を引き抜くときに、球体ホルダ内の球体にピンが再度保持される事態を有効に回避することができる。
本発明の第12の技術的特徴によれば、ピン留め具を装飾体の一部としても使用することができる。
本発明の第13の技術的特徴によれば、装飾体の一部として使用可能なピン留め具を簡単に構築することができる。
本発明の第14の技術的特徴によれば、ピン留め装飾体のピンを着脱するに当たって、装着時におけるピンに対する保持性を良好に保ちつつ、ピンに対する着脱操作を容易にし、かつ、デザインの多様性を実現し易くすることが可能なピン留め具を含む装身具を提供することができる。
本発明の第15の技術的特徴によれば、ピン留め装飾体としてのピン受け装飾体にピン留め具を内蔵させ、装着時におけるピンに対する保持性を良好に保ちつつ、ピンに対する着脱操作を容易にし、かつ、デザインの多様性を実現し易くする装身具を提供することができる。
(a)は本発明が適用されたピン留め具の実施の形態の概要のうち、ピン留め装飾体装着前の状態のピン留め具を示す説明図、(b)は同ピン留め具の実施の形態の概要のうち、ピン留め装飾体を取り外すときの状態のピン留め具を示す説明図である。 (a)は実施の形態1に係るピン留め具のピン付き装飾体装着前の状態を示す斜視説明図、(b)はその断面説明図である。 (a)~(d)は実施の形態1のピン留め具の構成部品を示し、(a)は外周覆い及びピン受け筒体を示す断面説明図、(b)は内筒体を示す断面説明図、(c)は付勢バネを示す説明図、(d)はピン付き装飾体のピンを保持する複数の球体を示す説明図である。 (a)は内筒体の内周面に形成された球体の収容部構成を示す説明図、(b)は(a)中B-B線で切断した断面説明図、(c)はピン付き装飾体のピンをピン留め具に挿入し始めた直後の状態を示す(b)と同様な断面説明図、(d)はピン付き装飾体のピンをピン留め具に挿入した後、当該ピンが複数の球体で挟持された状態を示す(b)と同様な断面説明図である。 (a)~(e)は実施の形態1に係るピン留め具に対するピン付き装飾体の着脱操作過程(I)を示す説明図である。 (a)~(e)は実施の形態1に係るピン留め具に対するピン付き装飾体の着脱操作過程(II)を示す説明図である。 (a)はピン付き装飾体のピンの構成例を示す説明図、(b)はピン留め具に装着されたピン付き装飾体の取外し開始直後におけるピン留め具の球体とピンとの相対関係を示す説明図、(c)はピン留め具からピン付き装飾体を取り外す過程で、ピン留め具の球体がピンの溝部に到達した状態を示す説明図、(d)は複数の球体で囲まれる通路部分の隙間を示す説明図、(e)は複数の球体の隙間にピンが挿入されたときに球体による傾斜面への押圧状態を模式的に示す説明図である。 (a)は実施の形態2に係るピン留め具のピン付き装飾体装着前の状態を示す断面説明図、(b)は同ピン留め具のピン付き装飾体を取り外すときの状態を示す断面説明図である。 (a)は実施の形態2に係るピン留め具の構成部品である外周覆い及びピン受け筒体を示す断面説明図、(b)は(a)に示す外周覆いの斜視説明図、(c)は(a)に示すピン受け筒体の斜視説明図である。 (a)は実施の形態2に係るピン留め具の構成部品である内筒体及び球体ホルダを示す説明図、(b)は(a)に示す内筒体の筒本体を示す説明図、(b)は同内筒体の蓋部材を示す説明図である。 (a)は図10(a)の球体ホルダ及び当該球体ホルダに保持される球体を示す説明図、(b)は(a)に示す球体ホルダから球体を取り外した状態を示す説明図、(c)は(a)中C方向から見た矢視図、(d)は(a)に示す球体ホルダの斜視説明図である。 (a)は実施の形態2に係るピン留め具の変形の形態に係るピン留め具ピン付き装飾体装着前の状態を示す断面説明図、(b)は同ピン留め具のピン付き装飾体を取り外すときの状態を示す断面説明図である。 (a)は実施の形態3に係るピン留め具のピン付き装飾体装着前の状態を示す断面説明図、(b)は同ピン留め具のピン付き装飾体を取り外すときの状態を示す断面説明図である。 (a)は実施の形態4に係るピン留め具のピン付き装飾体装着前の状態を示す断面説明図、(b)は同ピン留め具の構成部品であるピン受け筒体及び球体ホルダの斜視説明図である。 (a)は実施の形態4に係るピン留め具のピン付き装飾体を取り外すときの途中までの状態を示す断面説明図、(b)は同ピン留め具のピン付き装飾体を取り外すときの(a)以降の状態を示す断面説明図である。 (a)は実施の形態5に係るピン留め具のピン付き装飾体装着前の状態を示す説明図、(b)は同ピン留め具のピン付き装飾体を装着するときの状態を示す説明図である。 実施の形態5に係るピン留め具の構成部品を示す説明図である。 (a)は実施の形態5に係るピン留め具の構成部品である外周覆い及びピン受け筒体を示す説明図、(b)は(a)中B方向から見た矢視図である。 (a)はピン留め具の構成部品である内筒体を示す説明図、(b)は(a)中B方向から見た矢視図である。 (a)~(f)は実施の形態5に係るピン留め具に対するピン付き装飾体の取外し操作過程を示す説明図である。 (a)は実施の形態6に係るピン留め具の要部を示す説明図、(b)は同ピン留め具とピン付き装飾体との関係を示す説明図、(c)は(b)中C方向から見た矢視図である。 (a)は実施の形態6で用いられるピン留め具の一例を示す説明図、(b)は同ピン留め具の別の例を示す説明図である。 (a)は実施の形態7に係る装身具としてピン受け装飾体にピン留め具を内蔵した例を示す説明図、(b)は(a)で用いられるピン留め具の一例を示す説明図、(c)は実施の形態7に係る装身具として宝飾交換型の指輪に適用した例を示す説明図である。
◎実施の形態の概要
一般に、ピアスやネクタイ留め等の装身具は、例えば図1(a)に示すように、ピン留め装飾体10と、当該ピン留め装飾体10のピン11を着脱可能に装着するピン留め具1と、を備えている。ここでいうピン留め装飾体10はピン留めされる装飾体を意味し、ピン付き装飾体は勿論、ピン受け装飾体をも広く含む。また、ピン11は先端部が曲面状の形状のものに限られず、針状の鋭利な形状のものも含む。
図1(a)に示すピン留め具1は、本発明が適用された実施の形態の概要を模式的に表記したものであって、ピン留め装飾体10のピン11が装着される前の状態を示す。
本例において、ピン留め具1は、一端側が開口した有底の断面円形状の空間部2bを有する外周覆い2と、外周覆い2の底部2c中央に対し外周覆い2の空間部2bの中心線に沿って延びるように設けられ、ピン留め装飾体10のピン11が挿入可能なピン受け筒体3と、外周覆い2の開口2aから当該外周覆い2の空間部2bに空間部2bの中心線に沿って摺動可能に収容される中空筒体4aからなり、当該中空筒体4aの一端側に装飾体10のピン11が挿入されるピン挿入孔4bが形成されると共に、中空筒体4aの他端側にはピン受け筒体3が摺動可能に挿入される通孔4cを有する内筒体4と、内筒体4の内部において、ピン受け筒体3の端部周縁に外周に張り出して設けられるストッパ壁5と、内筒体4の内部において、内筒体4の通孔4c側の端部とストッパ壁5との間でピン受け筒体3の周囲に巻装され、ピン受け筒体3に対して内筒体4を外周覆い2の底部2c側に付勢する付勢要素6と、内筒体4の内部のうちストッパ壁5よりもピン挿入孔4b側に設けられ、内筒体4の内壁面をピン挿入孔4側に向かって縮径するように形成する傾斜面7cと、傾斜面7cに沿って摺動可能に収容される複数の球体7aとを有し、ピン留め装飾体10のピン11がピン挿入孔4bからピン受け筒体3に挿入されるとき傾斜面7cに沿って摺動する複数の球体7aでピン11を挟持するピン挟持要素7と、を備えたものである。
このような技術的手段において、外周覆い2、ピン受け筒体3、内筒体4の成形素材としては任意であるが、例えばSUS等の金属が用いられる。
ここで、外周覆い2は断面円形状の空間部2bを有していればよく、外周形状はユーザが把持操作可能であれば任意に選定して差し支えなく、円筒状であるほか、球状や星形状など任意の形状を含み、外観デザインに多様性を与えることが可能である。
また、ピン受け筒体3は外周覆い2の底部中央に対して設けられていればよく、外周覆い2の底部中央を貫通して外部に突出してもよいし、貫通するが外部には突出しない、あるいは、貫通しない態様も含む。尚、ピン受け筒体3の外周覆い2の底部中央への固定手法については、ねじ式、ロー付け等適宜選定して差し支えない。
更に、内筒体4は、外周覆い2の断面円形状の空間部2bに当該空間部2bの中心線に沿って摺動可能に収容される態様を有していればよく、代表的には外周形状が円筒状の中空筒体4aであればよい。このとき、中空筒体4aは全てが同一の外径の円筒状であってもよいし、空間部2bの底部2c側に向かって外径が段階的に小径に変化する形状であってもよい。また、中空筒体4aの中空部の断面形状は、外周覆い2に設けられたピン受け筒体3及びピン受け筒体3に設けられるストッパ壁5を収容可能な空間を有し、かつ、空間部2b内での中空筒体4aの摺動可能な範囲でピン受け筒体3及びストッパ壁5と干渉しないようになっていればよい。また、内筒体4は、外周覆い2の空間部2b内に完全に収容されていてもよいし、内筒体4の一部が空間部2bから突出した状態で配置されていてもよい。但し、後者の態様では、ユーザがピン留め具1の外周覆い2を把持するときに、内筒体4の突出部分を同時に把持しないように、外周覆い2の開口2a端部の周縁より外側方に食み出さないように選定することが好ましい。
また、ストッパ壁5はピン受け筒体3の端部周縁に外方に張り出して設けられていればよく、端部周縁全域に鍔状に設けるようにしてもよいし、端部周縁に部分的に張り出して設けるようにしてもよい。本例において、ストッパ壁5は付勢要素6の一端をせき止める機能を備えていればよく、その形状等は適宜選定して差し支えない。更に、ストッパ壁5はピン受け筒体3と一体的に成形されてもよいし、別体のものを固着するようにしてもよい。
更に、付勢要素6は、内筒体4の内部において、内筒体4の通孔4c側の端部とストッパ壁5との間でピン受け筒体3の周囲に巻装され、ピン受け筒体3に対して内筒体4を外周覆い2の底部2c側に付勢するものであり、内筒体4が外周覆い2の空間部2bから引き出し方向に引っ張られたときに、付勢要素6が圧縮変形し、内筒体4を空間部2bの底部2c側に付勢する。
また、ピン挟持要素7は、内筒体4の内部のうちストッパ壁5よりもピン挿入孔4b側に設けられる。ここで、ピン挟持要素7としては、内筒体4の内壁面をピン挿入孔4側に向かって縮径するように形成する傾斜面7cと、傾斜面7cに沿って摺動可能に収容される複数の球体7aとを有していればよい。そして、傾斜面7cの傾斜度合については適宜選定して差し支えないが、外周覆い2の空間部2bの中心線方向を基準とした傾斜面7cの傾斜角度をθとすると、10°~20°程度に選定することが好ましい。θを10°未満に選定すると、ピン11を挿入したときに、ピン11によって押しのけられた複数の球体7aと傾斜面7cとの間の摺動抵抗が極端に大きくなり易く、ピン留め装飾体10を取り外す際にピン11が抜き難くなる懸念があり、一方、θを20°を超えて選定すると、ピン11によって押しのけられた複数の球体7aと傾斜面7cとの間の摺動抵抗が小さくなり易く、ピン挟持要素7によるピン11の挟持力が弱く、ピン留め装飾体10が外れ易いという懸念がある。
また、本例に係るピン留め具1の使用方法としては以下の通りである。
先ず、ピン留め具1にピン留め装飾体10を装着する場合について説明すると、図1(a)に示すように、内筒体4のピン挿入孔4bにピン留め装飾体10のピン11を挿入すればよい。このとき、ピン11はピン挿入孔4bから内筒体4内に挿入され、内筒体4に内蔵されている複数の球体7aで囲まれた通路部分を進行していく。すると、複数の球体7aはピン11によって外側方に押しのけられ、内筒体4の傾斜面7cに沿って摺動する。そして、ピン11が複数の球体7aで囲まれた通路部分を通過してピン受け筒体3に受け止められ、複数の球体7aが傾斜面7cの所定の位置に押し付けられた時点でピン11を挟持する。これにより、ピン留め装飾体10のピン11がピン留め具1内において拘束状態に保持される。
逆に、ピン留め具1からピン留め装飾体10を取り外す場合には、図1(b)に示すように、ピン留め装飾体10のピン11を矢印方向に引き抜くようにすればよい。このとき、ピン挟持要素7がピン11を挟持していることから、ピン11を引き抜き方向に引き抜くと、内筒体4が付勢要素6の付勢力に抗して外周覆い1から引き出され、これに伴って、内筒体4の傾斜面7cが引出方向に変位し、複数の球体7aと傾斜面7cとの間の摺動抵抗が低減する。このため、複数の球体7aによるピン11の挟持力が弱くなり、ピン挟持要素7からピン11が引き抜かれる。尚、ピン留め装飾体10を取り外すときに、ピン留め具1のピン挟持要素7に引き抜こうとするピン11が引っ掛かっている状況が生じた場合には、ピン11を回転させながら一旦押し込んで再度引き抜く動作を行うようにすればよい。
次に、本実施の形態の代表的態様又は好ましい態様について説明する。
先ず、ピン受け筒体3の好ましい態様としては、外周覆い2の外表面に対して突出しない構成が挙げられる。本例は、ピン受け筒体3が外周覆い2から突出する外部突起にならない態様であり、ユーザが外周覆い1を把持するむに当たって、ピン受け筒体3が邪魔にならないという利点がある。
また、ピン挟持要素7の好ましい態様としては、図1(a)に示すように、内筒体4の内部において摺動可能に設けられ、内筒体4の内部において複数の球体7aを外周覆い2の中心線に沿う中央部では非接触を保ち、かつ、外周覆い2の中心線方向に対する移動を規制すると共に外周覆い2の径方向及び周方向のうち少なくとも径方向に対しては移動可能とする球体ホルダ7bを備えている態様が挙げられる。本例は、球体ホルダ7bを用い、複数の球体7aが内筒体4の内部で不動になる事態を回避する上で有効な態様である。
更に、球体ホルダ7bの代表的態様としては、内筒体4の傾斜面7c形状に沿う逆円錐台状に形成され、ピン受け筒体3と分離して配置される態様が挙げられる。本例はピン受け筒体3と分離した球体ホルダ7bであり、内筒体4の内部のうち、ピン受け筒体3のストッパ壁5よりもピン挿入孔2a側に位置する傾斜面7cで囲まれた中空部内に独立の部品として配置される。
また、球体ホルダ7bの別の代表的態様としては、内筒体4の傾斜面7c形状に沿う逆円錐台状に形成されるホルダ本体と、ホルダ本体からピン受け筒体3側に突出し且つピン受け筒体3内に摺動可能に案内されるホルダ案内部と、を有する態様が挙げられる。本例は、ピン受け筒体3に沿って球体ホルダ7bを案内移動させる態様であり、ホルダ案内部としてはピン受け筒体3に摺動可能に嵌合する筒状のものに限られず、複数の案内脚で構成するようにしてもよい。
ここで、後者の球体ホルダ7bの好ましい態様としては、ホルダ案内部の外周の一部に外方に突出する案内突起を有し、ピン受け筒体3の中心線方向に沿って延びる案内溝に沿って案内突起を摺動可能に係合させた態様が挙げられる。本例は、ピン受け筒体3に沿って球体ホルダ7bを案内移動させる上で好ましい態様であり、球体ホルダ7bを回り止めした状態で摺動させ、球体ホルダ7bの摺動動作を円滑に行うことが可能である。ここで、案内突起は複数箇所に設けてもよいが、一箇所に設けても差し支えない。また、案内溝には有底溝に限らず、スリットをも含む。
本例においては、ピン11を引き抜く方向に力が加わっている間、球体ホルダ7b内の球体7aはピン11を圧迫保持し続けることになり、そのまま引き抜くには傾斜面7cの傾斜角度θに比例した力を加える必要である。このとき、傾斜面7cの傾斜角度θはピン11と一緒に球体ホルダ7bの移動を可能にし、かつ、さらに力を加えれば無理なくピン11のみを引く抜く上で重要なパラメータである。つまり、ピン11を引き抜くときに球体ホルダ7bを移動させるには傾斜面7cの傾斜角度θは広すぎても、狭すぎても好ましくなく、前述したように、外周覆い2の中心線方向を基準とする傾斜角度θは10°~20°が好ましい。
また、内筒体4の代表的態様としては、外周覆い2の空間部2b内に全て収容可能な大きさを有する態様が挙げられる。本例は、内筒体4が外周覆い2から突出する外部突起にならない態様である。
ここで、内筒体4の好ましい態様としては、球体ホルダ7bがホルダ案内部を有する態様において、内筒体4の外周覆い2の空間部2bからの突出可能寸法が、ホルダ案内部のピン受け筒体3に対する摺動可能寸法よりも大きく選定されている態様が挙げられる。
本例は、ピン留め具1からピン留め装飾体10を引き抜くとき、ピン11と共に球体ホルダ7bもピン引き抜き方向に移動するが、球体ホルダ7bの移動が停止した後に、内筒体4のみが所定量の遊びをもってピン引き抜き方向に移動する態様である。
本例においては、内筒体4の外周覆い2からの引出可能寸法に、球体ホルダ7bの摺動可能寸法より大きい遊びを持たせることで、ピンの引き抜き動作時にピン挟持要素7(球体ホルダ7bに保持されている球体7a)とピン11との間の加圧保持状態を事前に解消するようにしたものである。
本例において、仮に、前述した遊びがない態様では、ピン留め具2からピン11を引き抜く場合に、ピン11を少し回しながら一旦押し込んでから、再度引き抜くことにより、ピン挟持要素7とピン11との間の加圧保持状態を解消することが必要になる。
また、内筒体4の別の代表的態様としては、内筒体4のピン挿入孔4bを有する側の端部を、球体ホルダ7bのせき止め壁として構成する態様が挙げられる。本例は、内筒体4の内部に収容される球体ホルダ7bをせき止め壁でせき止める態様であり、ピン留め具2内の一部品(球体ホルダ7b)を離脱させないという上で必要な構造である。ここで、せき止め壁は内筒体4に予め設けてもよいし、後付けしてもよい。
ここで、但し、予め設ける場合には、内筒体4の通孔4cを有する側の端部を、着脱可能な通孔付きの蓋部材で構成する態様が好ましい。この場合、内筒体4内に球体ホルダ7bを組み込むために、せき止め壁と反対側に位置する内筒体4の端部開口から球体ホルダ7bを組込んだ後、当該端部開口を通孔付きの蓋部材で塞ぐようにすればよい。
更に、内筒体4の別の代表的態様としては、ピン挟持要素7の傾斜面7cと、ピン挿入孔4bを有する側の端部との間にピン挿入孔4bよりも大径で且つ傾斜面7cの小径部よりも小径な補助収容室(図示せず)を有し、当該補助収容室には付勢要素6よりも弱い付勢力で球体ホルダ7bを付勢要素6の付勢方向と同方向に付勢する補助付勢要素(図示せず)を収容した態様が挙げられる。本例は、内筒体4を付勢する付勢要素6に加えて球体ホルダ7bを付勢する補助付勢要素を追加した態様である。本例においては、ピン11を引く抜く方向に力を加えると、球体ホルダ7b内の球体7aがピン11と傾斜面7cの素材に食い込み、ピン11と球体ホルダ7bを保持するが、補助付勢要素がないと引き抜く力が解除されても食い込みからは解除されず、保持し続けることが起こり得る。また、引き抜く力が解除され、ピン11が球体ホルダ7b内の球体7aから解除されて引き抜ける状態になったとしても、重力等自然の力によって球体ホルダ7bがピン挿入孔4bの方向に寄ってしまうと一旦球体ホルダ7b内の球体7aから解除されたピン11が再び球体ホルダ7b内の球体7aに保持されてしまい、ピン11が引き抜けなくなる。補助付勢要素は、ピン11が解除された球体ホルダ7bをピン挿入孔4bから遠ざけた位置に維持し、再びピン11を球体ホルダ7b内の球体7aに保持させないために追加したものである。
また、外周覆い2の好ましい態様としては、外周部が装飾カバー体(図示せず)で覆われている態様が挙げられる。本例はピン留め具2を装飾体の一部としても使用可能な態様であり、見方を変えれば、真珠等の装飾体を装飾カバー体として利用し、装飾ピン留め具に変更する上で有効な技術としても捉えられる。本態様では、装飾カバー体は、外周覆い2の全部でもよいし、一部でもよい。
本例において、外周覆い2の代表的態様としては、空間部2bを有する円筒状の覆い本体と、覆い本体が組み込まれる凹部を有し、当該覆い本体の外周を覆う装飾カバー体とを備えた態様が挙げられる。本例は、装飾カバー体に円筒状の覆い本体を組み込んだ態様である。
ここで、ピン留め装飾体10がピン付き装飾体である場合には、ピン留め具1はピン留め装飾体10と共に装飾体として用いられ、また、ピン留め装飾体10がピン受け装飾体である場合には、ピン留め具1はピン留め装飾体10そのものとして用いられる。
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいて本発明をより詳細に説明する。
◎実施の形態1
図2(a)は実施の形態1に係るピン留め具のピン留め装飾体装着前の状態を示す斜視説明図、(b)はその断面説明図である。
本例においては、ピン留め装飾体としてはピン付き装飾体100が例示されている。そして、この種のピン付き装飾体100は、固定用のピン110を着脱可能に装着するピン留め具20と組み合わせて使用することで装身具として用いられる。
-ピン留め具の全体構成-
本例において、ピン留め具20は、図2(a)(b)に示すように、一端側が開口した有底の外周覆いとしての円筒状の外カバー30と、外カバー30の底部を貫通し、外カバー30の中心線に沿って延びるように設けられるピン受け筒体としてのピン受け筒40と、外カバー30内に摺動可能に収容され、ピン付き装飾体100のピン110が挿入されるピン挿入孔52及びピン受け筒40が通過可能な通孔53(図3(b)参照)を有する内筒体としての円筒状の内ケース50と、内ケース50の内部においてピン受け筒40の端部周縁に張り出して設けられるストッパ壁60と、内ケース50の内部において内ケース50の底部とストッパ壁60との間に位置するピン受け筒40の外周に巻装され、内ケース50を外カバー30の底部側に付勢する付勢要素としてのコイルスプリング70と、内ケース50の内部のうちストッパ壁60よりもピン挿入孔52側に設けられ、ピン付き装飾体100のピン110がピン挿入孔52からピン受け筒40に挿入されるとき当該ピン110を挟持するピン挟持機構80と、を備えている。
-各構成部品の説明-
<外カバー>
本例において、外カバー30は、図3(a)に示すように、例えばSUS等の鋼材を用いて一体成形される円筒状のカバー本体31を有している。このカバー本体31は内部に断面円形状の空間部33を有し、カバー本体31の一端部に空間部33に連通する開口32が形成されると共に、他端部には底部34が形成され、この底部の中央にはピン受け筒40が挿通可能な挿通孔35が開設されている。
本例において、空間部33は、カバー本体31の底部34寄りに予め決められた第1の内径を有する第1の空間部33aと、第1の内径よりも僅かに大きい第2の内径を有する第2の空間部33bとに領域が分けられている。
<ピン受け筒>
本例において、ピン受け筒40は、ピン付き装飾体100のピン110の外径よりも大きい内径を有する例えばSUS等の鋼材を用いて一体成形された円筒管41からなり、カバー本体31の底部34に形成された挿通孔35に円筒管41を貫通した状態で挿通させ、円筒管41の先端部を、カバー本体31の第1の空間部33aと第2の空間部33bとの境界部付近に配置するようにしたものである。
<ストッパ壁>
更に、ストッパ壁60はピン受け筒40の円筒管41の先端に形成された鍔部で構成されており、本例では、カバー本体31の第2の空間部33b側に面して配置されている。
<内ケース>
本例において、内ケース50は、例えばSUS等の鋼材を使用して一体成形され、図3(b)に示すように、外カバー30の空間部33の中心線に沿って摺動可能に収容される円筒状の中空筒体51からなる。本例の中空筒体51は、内部に中空状の収容室54を有しており、一端側壁部にピン付き装飾体100のピン110が挿入されるピン挿入孔52が形成されると共に、他端側壁部にはピン受け筒40が摺動可能に挿入される通孔53が形成されている。
特に、本例では、内ケース50である中空筒体51内にはコイルスプリング70やピン挟持機構80の構成要素などを組み込む必要があるため、例えば中空筒体51の通孔53が開設された一端側壁部を着脱可能な蓋部材51bで構成する手法が採用されている。
そして、本例において、収容室54は、ピン受け筒40及びストッパ壁60が非接触で収容可能な内径の空間を有する第1の収容室54aと、第1の収容室54aよりも僅かに大きな内径を有し、ピン挿入孔52側に向かって内径が次第に縮径される空間を有する第2の収容室54bとに領域が分けられている。
また、内ケース50である中空筒体51の外周部は二箇所の段付部55(本例では55a,55b)が設けられ、ピン挿入孔52側から通孔53側にかけて中空筒体51の外周部の外径が段階的に少しずつ小さくなる段付き構成になっている。本例では、中空筒体51は、二段目の段付部55bを境に、小径部分が外カバー30の第1の空間部33aに収容され、大径部分が外カバー30の第2の空間部33bに収容されるようになっている。
<コイルスプリング>
本例において、コイルスプリング70は、図2(b)及び図3(c)に示すように、内ケース50である中空筒体51の通孔53が開設された一端側壁部とピン受け筒40の先端部に設けられたストッパ壁60との間に両端部が引っ掛けられてピン受け筒40に巻装されるものである。
<ピン挟持機構>
本例において、ピン挟持機構80は、図4(a)及び図3(d)に示すように、内ケース50である中空筒体51の第2の収容室54b内に複数(本例では三個)の球体81を収容し、第2の収容室54bの構造を利用することで、内ケース50のピン挿入孔52に挿入されたピン付き装飾体100のピン110を所定位置で挟持するようにするものである。
本例において、第2の収容室54bは、図4(b)~(d)に示すように、第1の収容室54aから離れるにつれて内径が縮径する構成を有しているが、その横断面形状としてはルーロの三角形状のものが選定され、ルーロの三角形状の頂点部付近に複数の球体81を安定的に収容する略U字状の案内凹溝54mが形成されている。そして、第2の収容室54bを取り囲む周壁(案内凹溝54mを含む全ての周壁)にはピン挿入孔52側に向かって縮径する方向に傾斜する傾斜面82が形成されており、第2の収容室54b内では、ピン挿入孔52から挿入されたピン110が複数の球体81で取り囲まれる通路部分に進入してくると、ピン110の進入に伴って、複数の球体81が外側方に押しのけられ、案内凹溝54mの傾斜面82に沿って摺動可能に移動し、所定位置において、ピン110が三個の球体81に加圧した状態で挟持されるようになっている。
尚、中空筒体51の中心線方向に対する傾斜面82の傾斜角度θは適宜選定して差し支えないが、球体81と傾斜面82との間の摺動抵抗を踏まえ、10°~20°の範囲で適宜選定されている。
-ピン留め具の製造方法-
図3(a)~(d)に示すように、ピン留め具20の各構成部品を用いてピン留め具20を製造するには、以下のような手順で行うようにすればよい。
先ず、内ケース50としての中空筒体51のうち、通孔53が開設された蓋部材51bを一旦取外し、中空筒体51の第2の収容室54bに複数の球体81を収容し、しかる後、ピン受け筒40に付設されたストッパ壁60にコイルスプリング70の一端部を載せ、中空筒体51の蓋部材51bを取り除いた開口からピン受け筒40及びコイルスプリング70を中空筒体51の第1の収容室54a及び第2の収容室54bに収容した後、中空筒体51の開口を蓋部材51bで塞ぐ。このとき、蓋部材51bの通孔53にはピン受け筒40が挿通され、コイルスプリング70の他端部が蓋部材51bによって押し込まれる。次いで、各パーツが組み込まれた内ケース50を、外カバー30の開口32側から空間部33内に挿入し、内ケース50から突出するピン受け筒40を外カバー30の底部34に開設された挿通孔35に挿通させ、外カバー30の外部に突出して配置する。この状態において、ピン受け筒40の突出寸法が予め決められた値になるようにピン受け筒40を挿通孔35縁に固着し、外カバー30の空間部33内に内ケース50を収容するようにすればよい。
-ピン留め具の使用方法-
<ピン付き装飾体の装着操作>
ピン留め具20にピン付き装飾体100を装着する場合には、図2(b)及び図5(a)に示すように、ピン留め具20のピン挿入孔52にピン付き装飾体100のピン110を挿入すればよい。
このとき、ピン110はピン挿入孔52から内ケース50内に挿入され、内ケース50に内蔵されている複数の球体81で囲まれた通路部分を進行していく。すると、複数の球体81はピン110の押し込みに伴って外側方に押しのけられ、図5(b)に示すように、第2の収容室54bの周囲を取り囲む傾斜面82に沿ってピン110の挿入方向に向かって摺動する。この状態において、複数の球体81が傾斜面82に対し外側方に向かって押圧されることから、内ケース50は外カバー30の空間部33から引き出される方向に若干突出した状態にある。そして、ピン110が複数の球体81で囲まれた通路部分を通過してピン受け筒40に受け止められ、複数の球体81が傾斜面82の所定の位置に押し付けられた時点でピン11を加圧した状態で挟持する。これにより、ピン付き装飾体100のピン11がピン留め具1内において拘束状態に保持される。
尚、本例においては、ピン110の太さが異なったとしても、ピン110の太さに応じて複数の球体81の外側方への移動量が変化し、これに伴って、内ケース50の引出量が変化し、複数の球体81がピン110を加圧した状態で挟持する。
<ピン付き装飾体の取外し操作>
逆に、ピン留め具1からピン付き装飾体100を取り外す場合には、図2(b)及び図5(c)に示すように、ピン付き装飾体100のピン110を矢印方向に引き抜くようにすればよい。このとき、ピン挟持機構80の複数の球体81がピン110を加圧挟持していることから、ピン110を引き抜き方向に引き抜こうとしても、ピン110の引き抜き方向への移動に伴って複数の球体81が傾斜面82に沿って縮径する方向に摺動し、複数の球体81によるピン110の加圧挟持力が更に高まる。このため、図5(d)に示すように、ピン110の引き抜き方向の力を更に強くすると、複数の球体81によるピン110による拘束状態が維持され、内ケース50がコイルスプリング70の付勢力に抗してピン110によって引き出され、内ケース50の一部が外カバー30の空間部33から突出して配置される。この状態において、複数の球体81によるピン110の加圧挟持力は依然として強いため、このままピン110を引き抜こうとしても、引き抜くことは困難である。
そこで、本例では、図5(e)に示すように、ピン110を回転させながら、図6(a)に示すように、ピン110を一旦押し込むようにすると、ピン110の回転動作に伴ってピン110と複数の球体81との間の摺動抵抗が低減し、更に、ピン110の押し込み動作に伴って複数の球体81が傾斜面82に沿って拡径する方向に摺動することから、複数の球体81によるピン110の加圧挟持力が一時的に弱まる。この状態において、図6(b)に示すように、再度ピン110を矢印方向に引き抜くと、図6(c)に示すように、ピン110は複数の球体81で取り囲まれている通路部分から引き抜かれた後、内ケース50のピン挿入孔52から引き抜かれる。この後、ピン110がピン留め具20から完全に引き抜かれると、図6(d)に示すように、ピン110の回転動作に伴って、ルーロの三角形の頂点付近に位置する複数の球体81が回転方向に移動し、これによって、内ケース50がコイルスプリング70を捻れ変形させながら回転することから、ピン110の引き抜きに伴ってピン110による複数の球体81の拘束状態が解除され、コイルスプリング70の捻れ変形の戻り作用により、内ケース50が少し回転した後、図6(e)に示すように、内ケース50はコイルスプリング70の付勢力により外カバー30の空間部33内に復帰して初期位置に戻る。
-ピン付き装飾体の工夫点-
ピン付き装飾体100の工夫点としては、図7(a)に示すように、ピン留め具20からピン110が簡単に外れないように、ピン110の一部に小径の窪み部からなるくびれ111を設ける態様が挙げられる。この場合、ピン留め具20にピン110を挿入したときに、図7(b)に示すように、ピン110には複数の球体81から加圧挟持力Pが作用することになるが、仮に、ピン110に引き抜き方向の外力が不意に作用し、ピン110が引き抜き方向に移動したとしても、図7(c)に示すように、複数の球体81がピン110のくびれ111に係合すると、ピン110の引き抜き方向の移動は有効に抑制され、ピン110が簡単に外れ易いという事態は回避される。
このようなピン付き装飾体100を使用した場合には、ピン留め具20に対するピン付き装飾体100の着脱操作については、図5及び図6に示すように実施すればよく、くびれ111のないピン付き装飾体を使用する場合に比べて、ピン付き装飾体100の着脱操作性は良好に保たれる。
本例において、内ケース50はピン挿入孔52へのピン110の挿入によって外カバー30から若干引き出される挙動をするが、内ケース50の引出量は、複数の球体81で囲まれている通路部分の隙間の大きさに略比例するものと推測される。
つまり、図7(d)(e)に示すように、内ケース50へのピン110の挿入によって複数の球体81の隙間が押し広げられ、複数の球体81が傾斜面82を擦り、傾斜面82に対して鉛直方向に押圧力Qが作用し、押圧力Qの引出方向成分Q1によって、内ケース50を引出方向に摺動させるものと推測される。
ここで、図7(d)に示すように、複数の球体81の通路部分の隙間の内接円の直径をh(例えば0.4ψ(mmに相当))とすると、ピン110のくびれ111のサイズに略合わせるようにすればよい。本例の場合、h以下のピン110ではピン留め具20にピン110は保持されない。そして、hより大きい直径のピン110(但し、1.0ψ未満)では、複数の球体81がピン110のくびれ111に嵌まっている状態では、内ケース50は、外カバー30から一度引き出されても外カバー30の開口32に面した元のフラット若しくはフラットに近い状態に戻るという挙動を示す。
このように、本例では、ピン110の太さとくびれ111のギャップが大きい程、つまり、くびれ111の径が小さい程、ピン留め具20からピン110が外れ難くなる。言い換えれば、ピン付き装飾体100を外すときに要するピン110を引き抜く力が大きくなる。逆に、くびれ111が浅くなる、あるいは、くびれがないピン110を使用する場合には、ピン留め具20からピン110が引き抜き易くなるため、傾斜面82の傾斜角度θを小さく設定する等の調整が必要である。
◎実施の形態2
図8(a)は実施の形態2に係るピン留め具のピン付き装飾体装着前の状態を示す断面説明図、(b)は同ピン留め具からピン付き装飾体を取り外すときの状態を示す断面説明図である。
-ピン留め具の全体構成-
図8(a)において、ピン留め具20の基本的構成は、実施の形態1と略同様に、外カバー30、ピン受け筒40、内ケース50、ストッパ壁60、コイルスプリング70及びピン挟持機構80を備えている。
本例において、ストッパ壁60及びコイルスプリング70は実施の形態1と略同様な構成部品が用いられているが、外カバー30、ピン受け筒40、内ケース50及びピン挟持機構80は実施の形態1と異なる構成になっている。
-ピン留め具の各構成部品-
<外カバー>
本例において、外カバー30は、図9(a)(b)に示すように、実施の形態1と略同様に、例えばSUS等の鋼材を用いて一体成形される円筒状のカバー本体31を有している。このカバー本体31は内部に断面円形状の空間部33を有し、カバー本体31の一端部に空間部33に連通する開口32が形成されると共に、他端部には底部34が形成され、この底部の中央にはピン受け筒40が挿通可能な挿通孔35が開設されている。
ここで、カバー本体31は、実施の形態1と異なり、開口32周縁に外側方に張り出す鍔部31aを有すると共に、底部34の周縁には面取り部31bを有している。また、挿通孔35の内周縁には環状係合突起35aが形成されている。更に、空間部33は、実施の形態1と異なり、同一内径の断面円形状の空間を有するものになっている。
<ピン受け筒>
本例において、ピン受け筒40は、図9(c)に示すように、実施の形態1と略同様に、円筒管41からなるが、実施の形態1と異なり、カバー本体31の底部34に形成された挿通孔35に円筒管41の一端部を連結し、円筒管41を空間部33内に配置するようにしたものである。そして、円筒管41の一端部周縁には、挿通孔35の内周縁に形成された環状係合突起35aと係合可能な環状係合溝42が形成されている。尚、円筒管41の他端部には外側方に張り出す鍔状のストッパ壁60が設けられている。
<内ケース>
本例において、内ケース50は、実施の形態1と略同様な中空筒体51を有し、中空筒体51内に第1の収容室54a及び第2の収容室54bを確保するものである。
ここで、本例の中空筒体51は、実施の形態1と異なり、図10(a)~(c)に示すように、外径が同径の円筒管51aを有し、この円筒管51aの一端側壁部にはピン付き装飾体100のピン110が挿入されるピン挿入孔52が形成されると共に、ピン挿入孔52の周囲を取り囲む壁部は後述する球体ホルダ90をせき止めるせき止め壁56として機能するようになっている。
また、本例では、円筒管51aの他端側壁部は円筒管51aに対して着脱可能な円板状の蓋部材51bで構成されており、円筒管51aの他端内周縁には環状係合溝51cが形成されると共に、蓋部材51bの外周縁には環状係合突起51dが形成され、環状係合溝51cに環状係合突起51dを係合させることで円筒管51aの他端部が蓋部材51bで塞がれるようになっている。そして、蓋部材51bの中央にはピン受け筒40が挿通する通孔53が開設されている。尚、円筒管51aに対して蓋部材51bを着脱可能にするには、円筒管51aの周壁を弾性変形可能に構成することが好ましい。ここで、周壁を弾性変形可能に構成するには、周壁に複数の切り込みスリットを入れたり、あるいは、円筒管51aのうち蓋部材51bに対応する部分を薄肉にする等適宜選定して差し支えない。
<ピン挟持機構>
本例において、ピン挟持機構80は、実施の形態1と同様に、複数(本例では三個)の球体81と、第2の収容室54bを取り囲む周壁にはピン挿入孔52側に向かって縮径する方向に傾斜する傾斜面82とを備えているが、実施の形態1と異なり、複数の球体81を移動可能に保持する球体ホルダ90を備えている。
本例において、球体ホルダ90は、図11(a)~(d)に示すように、内ケース50である中空筒体51内の第2の収容室54bの傾斜面形状に沿う逆円錐台形状のホルダ本体91を有している。ここで、ホルダ本体91は、ピン受け筒40とは分離して設けられており、円板状の頂部91a及び頂部91aよりも小径の円板状の底部91bとの間を胴体部91cで連結したもので、頂部91a、胴体部91c及び底部91bの中央にはピン付き装飾体100のピン110が通過する貫通孔92を形成すると共に、胴体部91cには貫通孔92の中心線に対して径方向に略等角度間隔で球体保持孔93を複数(本例では三つ)開設するようにしたものである。
本例において、球体ホルダ90は、第2の収容室54bにおいて摺動可能に設けられ、球体保持孔93に夫々保持した複数の球体81を、貫通孔92の中心線に沿う中央部では非接触に保ち、かつ、貫通孔92の中心線方向及び周方向に対する移動を規制すると共に、貫通孔92の径方向に対しては移動可能とするものである。本例では、球体ホルダ90は、貫通孔92の周方向に対する複数の球体81の移動を規制する態様が採用されているため、球体ホルダ90に対する複数の球体81の組込作業が楽に行われる点で好ましい。また、球体ホルダ90は、複数の球体81の周方向への移動を規制しているものの、第2の収容室54bに対して貫通孔92の中心線方向を中心に回転可能であるため、複数の球体81は球体ホルダ90の回転に伴って周方向に対して移動可能になっている。尚、球体ホルダ90の構造としては、複数の球体81の周方向への移動を規制しないようにしてもよいし、また、第2の収容室54bに対して球体ホルダ90が回転しないように配置されていてもよい。
-ピン留め具の製造方法-
図9~図11に示すように、ピン留め具20の各構成部品を用いてピン留め具20を製造するには、以下のような手順で行うようにすればよい。
先ず、内ケース50としての中空筒体51のうち、通孔53が開設された蓋部材51bを一旦取外し、中空筒体51の第2の収容室54bに三つの球体81が保持された球体ホルダ90を収容し、しかる後、ピン受け筒40に付設されたストッパ壁60にコイルスプリング70の一端部を載せ、中空筒体51の蓋部材51bを取り除いた開口からピン受け筒40及びコイルスプリング70を中空筒体51の第1の収容室54a及び第2の収容室54bに収容した後、中空筒体51の円筒管51aの開口を蓋部材51bで塞ぐ。このとき、蓋部材51bの通孔53にはピン受け筒40が挿通され、コイルスプリング70の他端部が蓋部材51bによって押し込まれる。次いで、各パーツが組み込まれた内ケース50を、外カバー30の開口32側から空間部33内に挿入し、内ケース50から突出するピン受け筒40を外カバー30の底部34に開設された挿通孔35に連結させる。この状態において、外カバー30の空間部33内に内ケース50を収容するようにすればよい。
-ピン留め具の使用方法-
<ピン付き装飾体の装着操作>
ピン留め具20にピン付き装飾体100を装着する場合には、図8(a)に示すように、ピン留め具20のピン挿入孔52にピン付き装飾体100のピン110を挿入すればよい。
このとき、ピン110はピン挿入孔52から内ケース50内に挿入され、内ケース50に内蔵されている球体ホルダ90の貫通孔92を進行していく。すると、球体ホルダ90に保持されている複数の球体81はピン110の押し込みに伴って外側方(貫通孔92の径方向に相当)に押しのけられ、第2の収容室54bの周囲を取り囲む傾斜面82に沿ってピン110の挿入方向に向かって摺動する。この状態において、複数の球体81が傾斜面82に対し外側方に向かって押圧されることから、内ケース50は外カバー30の空間部33から引き出される方向に若干突出した状態にある。そして、ピン110が球体ホルダ90の貫通孔92を通過してピン受け筒40に受け止められ、複数の球体81が傾斜面82の所定の位置に押し付けられた時点でピン11を加圧した状態で挟持する。これにより、ピン付き装飾体10のピン11がピン留め具1内において拘束状態に保持される。
<ピン付き装飾体の取外し操作>
逆に、ピン留め具1からピン付き装飾体10を取り外す場合には、図8(b)に示すように、ピン付き装飾体100のピン110を矢印方向に引き抜くようにすればよい。このとき、ピン挟持機構80の球体ホルダ90に保持されている複数の球体81がピン110を加圧挟持していることから、ピン110を引き抜き方向に引き抜こうとしても、ピン110の引き抜き方向への移動に伴って複数の球体81が傾斜面82に沿って縮径する方向に摺動し、複数の球体81によるピン110の加圧挟持力が更に高まる。このため、ピン110の引き抜き方向の力を更に強くすると、球体ホルダ90に保持されている複数の球体81によるピン110による拘束状態が維持され、内ケース50がコイルスプリング70の付勢力に抗してピン110によって引き出され、内ケース50の一部が外カバー30の空間部33から寸法mだけ突出して配置される。この状態において、複数の球体81によるピン110の加圧挟持力は依然として強いため、このままピン110を引き抜こうとしても、引き抜くことは困難である。
しかしながら、内ケース50の一部が外カバー30の空間部33からmだけ突出したとき、球体ホルダ90の頂部91aがピン受け筒40の端部に突き当たると、内ケース50の空間部33内での球体ホルダ90の相対移動が規制されることから、球体ホルダ90に保持されている複数の球体81の貫通孔92の中心線方向への移動が規制される。このため、球体ホルダ90の相対移動が規制された後に、内ケース50が更に外カバー30の空間部33から突出する場合には、球体ホルダ90に保持されている複数の球体81が傾斜面82に対して拡径する方向に相対移動することになり、複数の球体81によるピン110の加圧挟持力が一時的に弱まる。この状態において、ピン110を更に引き抜くと、ピン110は球体ホルダ90の貫通孔92から引き抜かれた後、内ケース50のピン挿入孔52から引き抜かれる。
この後、ピン110がピン留め具20から完全に引き抜かれると、内ケース50はコイルスプリング70の付勢力により外カバー30の空間部33内に復帰して初期位置に戻る。
◎変形の形態2-1
実施の形態2では、内ケース50は、外カバー30の空間部33に完全に収容される構造になっているが、これに限られるものではなく、例えば図12(a)(b)に示すように、例えば内ケース50である中空筒体51のせき止め壁56の外側に外カバー30の空間部33から突出する突出部57を形成し、更に、この突出部57にはカバー本体31の鍔部31aに対応する鍔部57aを形成するようにしてもよい。
ここで、突出部57のカバー本体31の端部からの突出寸法については適宜選定して差し支えないが、突出部57の突出寸法が大きすぎると、ユーザが外カバー30を把持するときに、内ケース50の突出部57をも合わせて把持してしまう可能性があり、この場合には、ピン110を引き抜くときに内ケース50が一時的に引き出される動作が損なわれてしまうため、好ましくない。また、突出部57の鍔部57aとしても、外カバー30のカバー本体31の鍔部57aよりも外側方に張り出さないようにすることが好ましい。このようにすれば、ユーザが外カバー30を把持するときに、内ケース50の突出部57の鍔部57aを合わせて把持する懸念を抑えることが可能である。
◎実施の形態3
図13(a)は実施の形態3に係るピン留め具のピン付き装飾体装着前の状態を示す断面説明図、(b)は同ピン留め具からピン付き装飾体を取り外すときの状態を示す断面説明図である。
-ピン留め具の全体構成-
図13(a)において、ピン留め具20の基本的構成は、実施の形態2と略同様であるが、球体ホルダ90が実施の形態2と異なる構成を有している。尚、実施の形態2と同様な構成要素について実施の形態2と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本例において、球体ホルダ90は、実施の形態2と同様に、ホルダ本体91(頂部91a、底部91b及び胴体部91cを具備)の中央に貫通孔92を形成すると共に、胴体部91cには貫通孔92から径方向に延びる複数の球体保持孔93を有しているが、実施の形態2と異なり、ホルダ本体91の頂部91aの貫通孔92の周囲には、円筒状のホルダ案内部94が設けられている。このホルダ案内部94はピン受け筒40側に向かって突出し、かつ、ピン受け筒40の円筒管41内に摺動可能に案内されるようになっている。尚、本例では、ホルダ案内部94は、円筒状部材で構成されているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、複数のホルダ案内脚を円筒管41内に摺動可能に案内されるように配置してもよい。
本例によれば、実施の形態2と略同様に、ピン留め具20を使用することが可能であるが、更に、ホルダ案内部94はピン受け筒40の中心線方向に沿って摺動可能に移動するため、内ケース50の収容室54において、内ケース50の中心線方向に沿って球体ホルダ90は安定的な姿勢の保ちつつ移動する。このため、ピン付き装飾体100のピン110に対する複数の球体81による加圧挟持力をバランスよく作用させることが可能である。
◎実施の形態4
図14(a)は実施の形態4に係るピン留め具のピン付き装飾体装着前の状態を示す断面説明図、(b)は同ピン留め具の構成部品であるピン受け筒及び球体ホルダを示す斜視説明図である。
-ピン留め具の全体構成-
図14(a)において、ピン留め具20の基本的構成は、実施の形態3と略同様であるが、球体ホルダ90が実施の形態3と異なる構成を有している。尚、実施の形態3と同様な構成要素について実施の形態2と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本例において、球体ホルダ90は、実施の形態3と略同様に、ホルダ本体91、貫通孔92、ホルダ保持孔93及びホルダ案内部94を備えているが、ホルダ案内部94及びピン受け筒40が実施の形態3と異なる構成を備えている。
本例において、ホルダ案内部94は、図14(b)に示すように、ホルダ本体91の頂部91aのうち貫通孔92の周囲に一対のホルダ案内脚94aを相対向して配置し、各ホルダ案内脚94aの先端部には相対向する方向とは反対側に向けて折曲された係止爪94bを形成したものである。
また、ピン受け筒40は、円筒管41の先端部に周壁に環状係合溝42を形成し、更に、円筒管41にはストッパ壁60とは反対側に位置する端部から切り込まれた一対の短冊状の案内スリット43を形成すると共に、各案内スリット43の底部を係止壁44として機能させるものである。
本例では、ホルダ案内部94の一対のホルダ案内脚94aはピン受け筒40の円筒管41内を摺動可能に案内され、係止爪94bが円筒管41の案内スリット43に沿って摺動し、係止壁44に係止されて移動を停止するようになっている。
本例によれば、ピン留め具20にピン付き装飾体100のピン110を装着する場合には、実施の形態3と略同様に作用するが、ピン留め具20からピン付き装飾体100を取り外す場合には、実施の形態3とは若干異なる作用を奏する。
つまり、ピン留め具20からピン付き装飾体100を取り外す場合には、図15(a)に示すように、ピン付き装飾体100のピン110を矢印方向に引き抜くようにすればよい。このとき、ピン挟持機構80の球体ホルダ90に保持されている複数の球体81がピン110を加圧挟持していることから、ピン110を引き抜き方向に引き抜こうとしても、ピン110の引き抜き方向への移動に伴って複数の球体81が傾斜面82に沿って縮径する方向に摺動すると、複数の球体81によるピン110の加圧挟持力が更に高まる。
ここで、ピン110の引き抜きに伴って球体ホルダ90が引き抜き方向へ移動すると、球体ホルダ90はせき止め壁56に突き当たり、その後は、ホルダ案内部94のホルダ案内脚94aの係止爪94bがピン受け筒40の案内スリット43を摺動して係止壁44に突き当たるまで、内ケース50が外カバー30の空間部33からm1だけ突出して配置される。この間、内ケース50が引き出されるものの、内ケース50内において、球体ホルダ90も同様に引き出されることから、複数の球体81によるピン110の加圧挟持力は変化せず、このままピン110を引き抜こうとしても、引き抜くことは困難である。
しかしながら、球体ホルダ90の位置が停止したまま、更に、ピン110を引き抜き方向に引き抜くと、図15(b)に示すように、コイルスプリング70の付勢力に抗して内ケース50が外カバー30の空間部33から更にm2(m2>m1)だけ突出した位置に引き出されるものとする。
この状態において、球体ホルダ90の相対移動が規制された後に、内ケース50が更に外カバー30の空間部33から突出する場合には、球体ホルダ90に保持されている複数の球体81が傾斜面82に対して拡径する方向に相対移動することになり、複数の球体81によるピン110の加圧挟持力が一時的に弱まる。この状態において、ピン110を更に引き抜くと、ピン110は球体ホルダ90の貫通孔92から引き抜かれた後、内ケース50のピン挿入孔52から引き抜かれる。
この後、ピン110がピン留め具20から完全に引き抜かれると、内ケース50はコイルスプリング70の付勢力により外カバー30の空間部33内に復帰して初期位置に戻る。
◎実施の形態5
図16(a)は実施の形態5に係るピン留め具のピン付き装飾体装着前の状態を示す断面説明図、(b)は同ピン留め具にピン付き装飾体が装着された過程を示す断面説明図である。
本例において、ピン留め具20の基本的構成は、実施の形態2と同様な構成部品、外カバー30、ピン受け筒40、内ケース50、ストッパ壁60、コイルスプリング70、ピン挟持機構80を備えている。尚、実施の形態2と同様な構成要素については実施の形態2と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本例において、図16乃至図19に示すように、外カバー30は、実施の形態2と略同様なカバー本体31を有しているが、実施の形態2と異なり、カバー本体31の開口32側内周縁には例えば一対の位置決め溝31cが形成されている。
また、ピン受け筒40は、円筒管41からなり、カバー本体31の底部34に形成された挿通孔35に円筒管41を貫通した状態で挿通させ、円筒管41の先端部を、カバー本体31の空間部33内に配置するようにしたものである。本例では、円筒管41は外カバー30の底部34の外表面に固定具45にて固定されている。
更に、内ケース50は、実施の形態2と同様に、中空筒体51からなり、中空筒体51の一端側壁部にはピン挿入孔52が形成され、他端側壁部には通孔53が形成されており、中空筒体51内には収容室54が確保されている。本例において、収容室54は、ピン受け筒40及びストッパ壁60が非接触で収容可能な内径の空間を有する第1の収容室54aと、第1の収容室54aに隣接して設けられ、ピン挿入孔52側に向かって内径が次第に縮径される空間を有する第2の収容室54bと、ピン挿入孔52よりも大径で第2の収容室54bの小径部よりも小径な補助収容室54cとに領域が分けられている。
また、中空筒体51のピン挿入孔52寄りの周壁には外カバー30のカバー本体31の位置決め溝31cに係合する位置決め突起57が形成されている。
尚、ストッパ壁60、コイルスプリング70及びピン挟持機構80については実施の形態2と略同様である。
更に、本例では、補助収容室54cには、コイルスプリング70よりも弱い付勢力で球体ホルダ90をコイルスプリング70の付勢方向と同方向に付勢する補助コイルスプリング71が収容されている。
-ピン留め具の製造方法-
図16乃至図19に示すように、ピン留め具20の各構成部品を用いてピン留め具20を製造するには、以下のような手順で行うようにすればよい。
先ず、内ケース50としての中空筒体51のうち、通孔53が開設された蓋部材51bを一旦取外し、中空筒体51の補助収容室54cに補助コイルスプリング71収容し、中空筒体51の第2の収容室54bに三つの球体81が保持された球体ホルダ90を収容し、しかる後、ピン受け筒40に付設されたストッパ壁60にコイルスプリング70の一端部を載せ、中空筒体51の蓋部材51bを取り除いた開口からピン受け筒40及びコイルスプリング70を中空筒体51の第1の収容室54aに収容した後、中空筒体51の円筒管51aの開口を蓋部材51bで塞ぐ。このとき、蓋部材51bの通孔53にはピン受け筒40が挿通され、コイルスプリング70の他端部が蓋部材51bによって押し込まれる。次いで、各パーツが組み込まれた内ケース50を、外カバー30の開口32側から空間部33内に挿入し、内ケース50から突出するピン受け筒40を外カバー30の底部34に開設された挿通孔35に挿通させ、固定具45を用いて外カバー30にピン受け筒40を固定する。この状態において、外カバー30の空間部33内に内ケース50を収容するようにすればよい。
-ピン留め具の使用方法-
<ピン付き装飾体の装着操作>
ピン留め具20にピン付き装飾体100を装着する場合には、図16(a)(b)に示すように、ピン留め具20のピン挿入孔52にピン付き装飾体100のピン110を挿入すればよい。
このとき、ピン110はピン挿入孔52から内ケース50内に挿入され、内ケース50に内蔵されている補助コイルスプリング71の空洞部分、球体ホルダ90の貫通孔92を通過し、ピン受け筒40へと進行していく。そして、ピン110が球体ホルダ90の貫通孔92を通過するときには、ピン110の押し込みに伴って複数の球体81が外側方に押しのけられ、第2の収容室54bの周囲を取り囲む傾斜面82に沿ってピン110の挿入方向に向かって摺動する。この後、ピン110がピン受け筒40に受け止められ、複数の球体81が傾斜面82の所定の位置に押し付けられた時点でピン110を加圧した状態で挟持する。これにより、ピン付き装飾体100のピン110がピン留め具20内において拘束状態に保持される。
<ピン付き装飾体の取外し操作>
逆に、ピン留め具1からピン付き装飾体100を取り外す場合には、図20(a)~(f)に示すように、ピン付き装飾体100のピン110を矢印方向に引き抜くようにすればよい。このとき、ピン挟持機構80の複数の球体81がピン110を加圧挟持していることから、ピン110を引き抜き方向に引き抜こうとしても、ピン110の引き抜き方向への移動に伴って複数の球体81が傾斜面82に沿って縮径する方向に摺動し、複数の球体81によるピン110の加圧挟持力が更に高まると共に、球体ホルダ90が第2の収容室54bの底部へと突き当たる。
この状態において、図20(b)に示すように、ピン110の引き抜き方向の力を更に強くすると、複数の球体81によるピン110の拘束状態が維持され、内ケース50がコイルスプリング70の付勢力に抗してピン110によって引き出され、内ケース50の一部が外カバー30の空間部33から突出して配置される。
この後、ピン110を引く抜く方向に力を加えると、球体ホルダ90内の球体81がピン110と傾斜面82との素材に食い込み、ピン110と球体ホルダ90を保持するが、補助コイルスプリング71がないと、ピン110の引き抜く力が解除されても、球体81の食い込みからは解除されず、ピン110と球体ホルダ90とを保持し続けることが起こり得る。また、引き抜く力が解除され、ピン110が球体ホルダ90内の球体81による拘束状態から解除されて引き抜ける状態になったとしても、重力等自然の力によって球体ホルダ90がピン挿入孔52の方向に寄ってしまうと一旦球体ホルダ90内の球体81から拘束状態が解除されたピン110が再び球体ホルダ90内の球体81に保持されてしまい、ピン110が引き抜けなくなる。補助コイルスプリング71は、ピン110による拘束状態が解除された球体ホルダ90をピン挿入孔52から遠ざけた位置に維持し、再びピン110を球体ホルダ90内の球体81で保持させないために追加したものである。
◎実施の形態6
図21(a)~(c)は実施の形態6に係るピン留め具の要部を示す。
同図において、ピン留め具20は、実施の形態1~5とは異なる外カバー30を備えている。
本例において、外カバー30は、外周部が装飾カバー体37で覆われている態様である。ここで、装飾カバー体37は、外カバー30の全部でよいし、一部でもよい。
より具体的には、外カバー30は、空間部33を有する円筒状のカバー本体31と、このカバー本体31が組み込まれる凹部37aを有し、カバー本体31の外周を覆う装飾カバー体37と、を備えたものである。
本例においては、ピン留め具本体21は、例えば図22(a)に示すように、実施の形態3に示すピン留め具20を利用することが可能である。つまり、本例のピン留め具本体21は、実施の形態3の外カバー30として用いられた部品をカバー本体31とし、カバー本体31内にストッパ壁60が設けられたピン受け筒40を組み込むと共に、カバー本体31の空間部33に内ケース50を収容し、更に、内ケース50の内部においてピン受け筒40のストッパ壁60と内ケース50との間にコイルスプリング70を介在させ、内ケース50内にピン挟持機構80を収容するようにしたものである。
そして、この種のピン留め具本体21は、図21(b)(c)に示すように、装飾カバー体37の凹部37aに収容固定され、装飾体としても利用可能なピン留め具20が簡単に提供される。
本例において、装飾カバー体37の凹部37aはピン留め具本体21が収容可能な凹所を有していればよいが、例えばピン受け筒40に受け止められたピン110がカバー本体31から外方に突出するような場合には、図22(a)に仮想線で示すように、装飾カバー体37の凹部37aにはピン110の突出部分を収容するための孔部37bを確保するようにすればよい。
また、本例にあっては、ピン留め具本体21のピン挿入孔52側端部は平面として構成されているが、これに限られるものではなく、凹凸面であってもよいし、あるいは、装飾カバー体37の外表面に連なる面(例えば曲面)であってもよい。
また、本例において、ピン留め具本体21としては、図22(a)に示す態様に限られるものではなく、例えば実施の形態3以外の別の態様のものを採用することも可能である。
図22(b)は、ピン留め具本体21の別の具体的態様として、実施の形態5に示すピン留め具20を利用したものである。
同図において、ピン留め具本体21は、実施の形態5の外カバー30として用いられた部品をカバー本体31とし、カバー本体31内にストッパ壁60が設けられたピン受け筒40を組み込むと共に、カバー本体31の空間部33に内ケース50(収容室54として、第1の収容室54a、第2の収容室54bに加えて補助収容室54cを具備)を収容し、更に、内ケース50の第1の収容室54aにはコイルスプリング70を配置すると共に、補助収容室54cには補助コイルスプリング71を配置し、第2の収容室54bにはピン挟持機構80を配置するようにしたものである。
また、本例においては、装飾カバー体37の凹部37aはカバー本体31及びピン受け筒40の固定具45が収容可能な凹所を有し、この凹部37aの底にはピン受け筒40のうちカバー本体31から外方に突出した部分が収容可能な断面円形の孔部として装飾カバー体37の表面まで貫通する貫通孔37cが形成されている。このように、本例では、装飾カバー体37はピン留め具本体21を収容する凹所として凹部37aと貫通孔37cとの組合せ領域を採用したものである。
以上のように、本態様はピン留め具20を装飾体の一部として使用可能な態様である。
見方を変えれば、真珠等の装飾体を装飾カバー体37として利用し、装飾ピン留め具に変更する上で有効な技術である。
本例によれば、ピン付き装飾体100のみならず、ピン留め具20を装飾体としてデザイン化することが可能になる。
◎実施の形態7
図23(a)は実施の形態7に係るピン留め具の要部を示す。
本例は、ピン留め装飾体のうちピン受け装飾体120をピン部品130でピン留めするためのピン留め具20である。
同図において、ピン受け装飾体120は例えば真珠、バッジ、ブローチ等の宝飾品であり、少なくとも一部が開口し且つピン留め具20を内蔵するための空洞部121を有し、当該空洞部121にピン留め具20を収容保持するようにしたものである。そして、このピン受け装飾体120は、内蔵したピン留め具20のピン挿入孔52にピン部品130(固定部品として使用)のピン131を差し込んで被装着部に固定保持するものである。尚、本例のピン131については先端部が曲面状であってもよいし、あるいは、鋭利な針状のものであってもよい。また、ピン131の途中に抜けにくくするくびれ(小径の窪み部に相当)132を有したものでもよい。
このように、本例では、ピン受け装飾体120は、内蔵したピン留め具20及びピン部品130によって装身具を構成するようになっている。
本例において、ピン留め具20としては、例えば実施の形態1~5に示すいずれのものも使用可能であり、ここでは、図23(b)に示すように、実施の形態3に係るピン留め具20(外カバー30、ピン受け筒40、内ケース50、ストッパ壁60、コイルスプリング70、ピン挟持機構80)が用いられている。尚、図23(b)では、ピン受け装飾体120の空洞部121はピン留め具20の外カバー30が収容可能な有底の凹部形状になっているが、これに限られるものではなく、ピン131が外カバー30の外方に突出する態様や、ピン受け筒40が外カバー30の外方に突出する態様を採用する場合には、凹部の底にピン131やピン受け筒40の突出部分を収容するための孔部(図示せず)を確保するようにすればよい。
また、図23(b)ではピン部品130を固定部品として用いた態様が示されているが、これに限られるものではなく、図23(c)に示すように、例えば指輪として宝飾品を交換可能な態様とする場合に、真珠等の宝飾品としてのピン受け装飾体120に空洞部121を確保し、当該空洞部121にピン留め具20を内蔵させる一方、ピン部品140としては指輪のリング141に固定用のピン142(本例では小径の窪み部からなるくびれ143付き)を一体的に具備させ、ピン留め具20にピン142を着脱可能に装着することにより、宝飾品交換型の指輪を提供することも可能である。
本発明は、ピン留め具として、ピン留め装飾体のピンとの着脱機能部を内筒体の内部に収容し、当該内筒体を外周覆いで覆うと共に、ピンの引出操作時に外周覆いから内筒体を一部引き出し可能とし、ピン挟持要素によるピンの挟持動作を解除し易くしたので、ピン留め装飾体の装着時におけるピンに対する保持性を良好に保ちつつ、ピンに対する着脱操作性を容易に実現することが可能なピン留め具を提供するに至った。
また、外周覆いとして外周部に装飾カバー体を備えたものを使用するようにすれば、装飾体を兼用したピン留め具を容易に構築することも可能である。また、ピン留め装飾体のうちピン受け装飾体内にピン留め具を内蔵するようにすることも可能である。
1…ピン留め具,2…外周覆い,2a…開口,2b…空間部,2c…底部,3…ピン受け筒体,4…内筒体,4a…中空筒体,4b…ピン挿入孔,4c…通孔,5…ストッパ壁,6…付勢要素,7…ピン挟持要素,7a…球体,7b…球体ホルダ,7c…傾斜面,10…ピン留め装飾体,11…ピン

Claims (15)

  1. ピン留め装飾体のピンが着脱可能に装着されるピン留め具であって、
    一端側が開口した有底の断面円形状の空間部を有する外周覆いと、
    前記外周覆いの底部中央に対し前記外周覆いの空間部の中心線に沿って延びるように設けられ、前記ピンが挿入可能なピン受け筒体と、
    前記外周覆いの開口から当該外周覆いの空間部に前記空間部の中心線に沿って摺動可能に収容される中空筒体からなり、当該中空筒体の一端側に前記ピンが挿入されるピン挿入孔が形成されると共に、前記中空筒体の他端側には前記ピン受け筒体が摺動可能に挿入される通孔を有する内筒体と、
    前記内筒体の内部において、前記ピン受け筒体の端部周縁に外方に張り出して設けられるストッパ壁と、
    前記内筒体の内部において、前記内筒体の前記通孔側の端部と前記ストッパ壁との間で前記ピン受け筒体の周囲に巻装され、前記ピン受け筒体に対して前記内筒体を前記外周覆いの底部側に付勢する付勢要素と、
    前記内筒体の内部のうち前記ストッパ壁よりも前記ピン挿入孔側に設けられ、前記内筒体の内壁面を前記ピン挿入孔側に向かって縮径するように形成する傾斜面と、前記傾斜面に沿って摺動可能に収容される複数の球体とを有し、前記ピンが前記ピン挿入孔から前記ピン受け筒体に挿入されるとき前記傾斜面に沿って摺動する複数の球体で前記ピンを挟持するピン挟持要素と、
    を備えたことを特徴とするピン留め具。
  2. 請求項1に記載のピン留め具において、
    前記ピン受け筒体は前記外周覆いの外表面に対して突出しない構成であることを特徴とするピン留め具。
  3. 請求項1に記載のピン留め具において、
    前記ピン挟持要素は、前記内筒体の内部において摺動可能に設けられ、前記内筒体の内部において前記複数の球体を前記外周覆いの中心線に沿う中央部では非接触を保ち、かつ、前記外周覆いの前記中心線方向に対する移動を規制すると共に前記外周覆いの径方向及び周方向のうち少なくとも径方向に対しては移動可能とする球体ホルダを備えていることを特徴とするピン留め具。
  4. 請求項3に記載のピン留め具において、
    前記球体ホルダは、前記内筒体の前記傾斜面の形状に沿う逆円錐台状に形成され、前記ピン受け筒体と分離して配置されることを特徴とするピン留め具。
  5. 請求項3に記載のピン留め具において、
    前記球体ホルダは、前記内筒体の前記傾斜面の形状に沿う逆円錐台状に形成されるホルダ本体と、前記ホルダ本体から前記ピン受け筒体側に突出し且つ前記ピン受け筒体内に摺動可能に案内されるホルダ案内部と、を有することを特徴とするピン留め具。
  6. 請求項5に記載のピン留め具において、
    前記球体ホルダは、前記ホルダ案内部の外周の一部に外方に突出する案内突起を有し、前記ピン受け筒体の中心線方向に沿って延びる案内溝に沿って前記案内突起を摺動可能に係合させたことを特徴とするピン留め具。
  7. 請求項1に記載のピン留め具において、
    前記内筒体は、前記外周覆いの空間部内に全て収容可能な大きさを有することを特徴とするピン留め具。
  8. 請求項5に記載のピン留め具において、
    前記内筒体の前記外周覆いの空間部からの突出可能寸法は、前記ホルダ案内部の前記ピン受け筒体に対する摺動可能寸法よりも大きく選定されていることを特徴とするピン留め具。
  9. 請求項3に記載のピン留め具において、
    前記内筒体は、前記ピン挿入孔を有する側の端部を、前記球体ホルダのせき止め壁として構成することを特徴とするピン留め具。
  10. 請求項9に記載のピン留め具において、
    前記内筒体は、前記通孔を有する側の端部を、着脱可能な通孔付きの蓋部材で構成されていることを特徴とするピン留め具。
  11. 請求項3に記載のピン留め具において、
    前記内筒体は、前記ピン挟持要素の前記傾斜面と、前記ピン挿入孔を有する側の端部との間に前記ピン挿入孔よりも大径で且つ前記傾斜面の小径部よりも小径な補助収容室を有し、当該補助収容室には前記付勢要素よりも弱い付勢力で前記球体ホルダを前記付勢要素の付勢方向と同方向に付勢する補助付勢要素を収容したことを特徴とするピン留め具。
  12. 請求項1に記載のピン留め具において、
    前記外周覆いは、外周部が装飾カバー体で覆われていることを特徴とするピン留め具。
  13. 請求項12に記載のピン留め具において、
    前記外周覆いは、前記空間部を有する円筒状の覆い本体と、前記覆い本体が組み込まれる凹部を有し、当該覆い本体の外周を覆う前記装飾カバー体とを備えたことを特徴とするピン留め具。
  14. ピン留め装飾体と、
    前記ピン留め装飾体のピンに対して着脱可能に保持され、被装着部のピン孔に前記ピンが挿入された前記ピン留め装飾体を前記被装着部に留める請求項1乃至13のいずれかに記載のピン留め具と、
    を備えたことを特徴とする装身具。
  15. ピン留め装飾体としてのピン受け装飾体と、
    前記ピン受け装飾体に少なくとも一部が開口するように設けられた空洞部に内蔵される請求項1乃至13のいずれかに記載のピン留め具と、
    前記ピン留め具に着脱可能に挿入されるピン部品と、
    を備えたことを特徴とする装身具。
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