JP4618471B2 - 撮像レンズ - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、主として、民生用のビデオカメラ及び静止画ビデオカメラに用いる小型で高性能な撮像レンズを提供するための技術の関する。
するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、画角が55度を越える広角レンズで、明るさがF2.8程度のビデオカメラ用撮像レンズでは、レトロフォーカスタイプが主流であった。
【0003】
即ち、上記撮像レンズにレトロフォーカスタイプが多く採用されているのは、最も像側のレンズと撮像素子との間に赤外線カットフィルタや光学ローパスフィルタ等を配置しなければならないために長いバックフォーカスが必要なことと、撮像素子には集光効果を高めるためにオンチップレンズと称されるマイクロレンズが画素毎に配置され、このオンチップレンズの効果を適正に発揮させるために射出瞳を適度に長くする必要があるためである。
【0004】
尚、上記従来の撮像レンズとして使用されているレトロフォーカスレンズの例としては、特開平9−113799号公報、特開平9−281387号公報、特開平10−78545号公報、特開平10−301025号公報、特開平8−5908号公報及び特開平11−142730号公報等に記載されているものがある。
【0005】
また、パーソナルコンピュータに組み込まれる画像取り込み用のカメラやレンズ付きフィルム等で使用されている小型で安価なレトロフォーカスタイプの撮像レンズとしては、特開平10−104511号公報、特開2000−231132号公報、特開平11−337820号公報及び特開平9−304695号公報等に記載されたものがある。
【0006】
ところで、上記レトロフォーカスタイプの撮像レンズにあっては、フリント系の凹レンズを後群のレンズ構成に入れることで、色収差を良好に補正することができ、高性能が実現できるようになるという特徴があるが、全長が長くなってしまうという欠点があった。
【0007】
また、プラスチック製レンズによる2枚構成では、単色の収差は良好に補正できても、原理的に色収差は補正できないという欠点があって、10万画素程度の撮像素子には対応できても、高画素タイプの撮像素子、例えば、100万画素以上の撮像素子には対応できないという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑み、プラスチックレンズの2枚構成に匹敵する小型化を達成しながら、射出瞳距離が焦点距離の2倍程度になって撮像素子に対する適合性が良く、色収差を含む諸収差が極めて良好に補正された、民生用のビデオカメラ及び静止画ビデオカメラに適した高画質の撮像レンズを安価に提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明撮像レンズは上記課題を解決するために、物体側より順に、物体側に凸面を向けた凸メニスカスレンズの第1レンズと、像側に凹面を向けた凹メニスカスレンズの第2レンズと、凹レンズの第3レンズと凸レンズの第4レンズとの接合レンズから構成すると共に、第2レンズの少なくとも1面と第4レンズの像側の面を非球面によって構成し、νi(i=1,2,3,4)を第iレンズのアッベ数、riを物体側から数えてi番目の面(第i面)の曲率半径(i=1,2,…)、fをレンズ全系の焦点距離とすると、ν1<ν2、ν3<ν4、0.2<r4/f<0.3及び0.4<|r7/f|<0.5の各条件を満足するようにしたものである。
【0010】
従って、小型で安価な民生用のビデオカメラ及び静止画ビデオカメラに適した撮像レンズを構成することが可能になる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明撮像レンズの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0012】
尚、以下の説明において、「ri」は物体側から数えてレンズi番目のレンズ面(第i面)及びその曲率半径、「di」はレンズ第i面から第i+1面までの面間隔、[ni]は第iレンズLiを構成する材質のd線における屈折率、「νi」は第iレンズLiを構成する材質のアッベ数とする(上記di、ni及びνiにおいてiがFLとなっているものは、それぞれフィルタに関する面間隔、屈折率及びアッベ数である)。
【0013】
また、非球面の定義は、「xi」を非球面の深さ、「H」を光軸からの高さ、「Aj」をj次の非球面係数とすると、
xi=H2/ri{1+(1−H2/ri2)1/2}+ΣAjHj
で表されるものとする。
【0014】
最初に撮像レンズの概要について説明する。
【0015】
撮像レンズ1及び2は、図1及び図3に示すように3群4枚構成のものであり、物体側より順に、物体側に凸面を向けた凸メニスカスレンズの第1レンズL1と、像側に凹面を向けた凹メニスカスレンズの第2レンズL2と、凹レンズの第3レンズL3と凸レンズの第4レンズL4との接合レンズから構成されると共に、第2レンズL2の少なくとも1面と第4レンズL4の像側の面を非球面によって構成されている。尚、第1レンズによって第1レンズ群GR1、第2レンズL2によって第2レンズ群GR2、第3レンズL3及び第4レンズL4によって第3レンズ群GR3が構成される。
【0016】
そして、νi(i=1,2,3,4)を第iレンズのアッベ数とすると、
ν1<ν2(条件式1)、
ν3<ν4(条件式2)
の各条件を満足するようにされている。
【0017】
また、上記第2レンズL2は、両面が非球面のプラスチックレンズによって構成することが望ましい。
【0018】
更に、撮像レンズ1及び2は、iを物体側から数えてi番目の面(第i面)の曲率半径(i=1,2,…)、fをレンズ全系の焦点距離とすると、
0.2<r4/f<0.3(条件式3)
0.4<|r7/f|<0.5(条件式4)
の各条件を満足するようにされている。
【0019】
ところで、小型撮像レンズにおける効果的な収差補正手段は非球面の導入である。非球面の導入は、球面収差、非点収差及び歪曲収差の補正に対しては絶大な効果がある。しかし、非球面によって影響を受けないものとしては、ペッツバール和(ΣP)と色収差とがある。従って、レンズ系の小型化を阻害しないで、如何にペッツバール和と色収差とを補正するかが、小型撮像レンズにおいて、小型化と高性能とを両立させるポイントとなる。
【0020】
本発明は、例えば、特開平10−104511号公報に記載されているように、負レンズと正レンズから成る2枚構成のレンズ系を発展させて、従来の2枚構成では補正できない軸上色収差、倍率色収差を効果的に補正することができる手段を提供するものである。
【0021】
前記従来例の前群に当たる負レンズは、前後の面の曲率半径の違いと適度の厚みの効果で、ペッツバール和を小さくするのに効果を発揮している。しかし、主光線は、後群凸レンズの中で光軸と交差しているため、前群凸レンズを通る主光線の光線高は高くなって、これが倍率色収差の発生原因となっている。
【0022】
従って、ペッツバール和の補正効果はそのままで倍率色収差を補正するために、本発明では、前群の負レンズを凸メニスカスレンズの第1レンズL1と凹メニスカスレンズの第2レンズL2の2枚に分離して構成し、上記条件式1を満足するようにすることで、倍率色収差を効果的に補正するようにしたものである。
【0023】
また、主光線高が高い第1レンズL1と第2レンズL2とは、非点収差の補正に効果を発揮し易いレンズであり、前述のように、その補正手段としては非球面が効果的である。ここで、第1レンズL1と第2レンズL2のどの面を非球面にするかが問題となるが、これには、レンズの製法とコストとを考慮する必要がある。非球面レンズの製造方法としては、ガラスモールド、複合非球面及びプラスチック射出成形の3通りの方法がある。
【0024】
しかし、ガラスモールドは、凹レンズの成形が困難であり、また、成形に適したガラスの種類にも制約が多いという欠点がある。複合非球面は、球面研磨レンズの表面にプラスチック製の非球面の膜を形成するものであるが、有効径に比べて研磨レンズの外形がかなり大きくなってしまうという欠点があって、小型レンズには適していない。プラスチック射出成形は、低コストであり、凹レンズの成形も容易に行えるという利点があるが、屈折率とアッベ数の自由度はほとんど無いという欠点がある。
【0025】
ペッツバール和を小さくするには、第iレンズLiの屈折率をniとして、n1>n2とすると都合がよく、また、倍率色収差の補正には、上記条件式1を満足させる必要があるため、凹レンズの第2レンズL2をプラスチック非球面として、極小曲率や非球面を低いコストで製造し、凸レンズの第1レンズL1を第2レンズL2よりも高屈折率、高分散なガラス製の球面研磨レンズとして、設計の自由度を大きくすると共に、ガラスモールド化によるコストの増加を避けるようにする。このような方法によって、第1レンズL1及び第2レンズL2を構成することによって、前群におけるペッツバール和、倍率色収差、非点収差、歪曲収差を重点的に補正することができるようになる。
【0026】
ペッツバール和の補正について更に詳しく説明すると、撮像レンズ1及び2において、第1面r1乃至第7面r7の中で最も曲率半径が小さくなるのが第4面r4であることから、該第4面r4の曲率半径を規定する必要がある。第4面r4の曲率半径を規定する条件式3において、r4/fの値が上限を越えると、ペッツバール和を十分小さくすることができなくなり、また、下限を越えると、バックフォーカスが長くなって小型化を達成できなくなると共に、第4面r4から発生する歪曲収差、非点収差及びコマ収差の補正が困難になってしまう。
【0027】
後群の構成についてであるが、この後群の構成において、前記条件式1を満足させることは軸上色収差を悪化させる方向であり、この悪化した軸上色収差を後群で十分補正する必要がある。また、色消しのために、条件式2を満足させる必要があり、第3レンズL3と第4レンズL4とは、アッベ数の数値ができるだけ離れた材質で、しかも、第4レンズL4はガラスモールドとしての加工が容易な材質を選ぶ必要がある。
【0028】
このように、第3レンズL3と第4レンズL4との材質が決まると、色収差補正のための接合面の曲率半径が決まってくる。
【0029】
後群の正の屈折力は第7面r7に集中している。従って、|r7/f|の値が条件式4の下限を越えると、レンズ全系の焦点距離を保つために第4レンズL4を薄くしなければならなくなり、必然的に接合面の曲率半径を小さくできなくなって、色収差の補正が不十分となってしまう。また、逆に、|r7/f|の値が上限を超えると、第4面r4から第7面r7迄の距離が離れてしまうために、バックフォーカスが長くなって、小型化に不利となってしまう。
【0030】
次に、本発明撮像レンズを具体的に示す数値実施例1及び2を示す。
【0031】
数値実施例1に係わる撮像レンズ1は、図1に構成を示すように3群4枚構成のものであり、物体側より順に、物体側に凸面を向けた凸メニスカスレンズの第1レンズL1と、像側に凹面を向けた凹メニスカスレンズの第2レンズL2と、凹レンズの第3レンズL3と凸レンズの第4レンズL4との接合レンズから構成される。そして、第2レンズL2の物体側の面r3及び像側の面r4、第4レンズL4の像側の面r7は非球面によって構成されている。尚、第4レンズL4と像面IMGとの間には、赤外線カットフィルタや光学ローパスフィルタ等の適宜なフィルタFLが配置されている。
【0032】
以下の表1に上記撮像レンズ1の各数値を示す。
【0033】
【表1】
【0034】
表2に撮像レンズ1の各光学特性を示す。
【0035】
【表2】
【0036】
表3に非球面によって構成されている面r3、r4及びr7の4次、6次、8次及び10次の非球面係数を示す。尚、表中の「e」は、10を底とする指数表現を表すものであり、例えば、「e−3」は「×10-3」である(後述の表6においても同様)。
【0037】
【表3】
【0038】
図2に撮像レンズ1の球面収差、非点収差及び歪曲収差を示す。尚、球面収差曲線図において、実線はd線、破線はg線、一点鎖線はC線における数値を示すものであり、また、非点収差曲線図において、実線はサジタル像面湾曲、破線はメリディオナル像面湾曲の数値を示すものである(後述の図4においても同様)。
【0039】
数値実施例2に係わる撮像レンズ2は、図3に構成を示すように3群4枚構成のものであり、物体側より順に、物体側に凸面を向けた凸メニスカスレンズの第1レンズL1と、像側に凹面を向けた凹メニスカスレンズの第2レンズL2と、凹レンズの第3レンズL3と凸レンズの第4レンズL4との接合レンズから構成される。そして、第2レンズL2の物体側の面r3、第4レンズL4の像側の面r7は非球面によって構成されている。尚、第4レンズL4と像面IMGとの間には、赤外線カットフィルタや光学ローパスフィルタ等の適宜なフィルタFLが配置されている。
【0040】
以下の表4に上記撮像レンズ2の各数値を示す。
【0041】
【表4】
【0042】
表5に撮像レンズ2の各光学特性を示す。
【0043】
【表5】
【0044】
表6に非球面によって構成されている面r3及びr7の4次、6次、8次及び10次の非球面係数を示す。
【0045】
【表6】
【0046】
図4に撮像レンズ1の球面収差、非点収差及び歪曲収差を示す。
【0047】
以上に説明したように、本発明の3群4枚構成の撮像レンズは、全長が焦点距離の約2.6倍程度となる小型化が可能であると共に、赤外線カットフィルタや光学ローパスフィルタ等を配置するのに十分なバックフォーカスを確保することが可能である。
【0048】
また、本発明撮像レンズは、ペッツバール和を0.25以下にできることから、像面湾曲を良好に補正することが可能となり、更に、前群である第1レンズと第2レンズで倍率色収差を補正することが可能で、後群である第3レンズと第4レンズで軸上色収差を補正することが可能で、非球面の効果によって球面収差及びコマ収差を良好に補正することが可能である。
【0049】
更に、前述した従来のプラスチックレンズによる2枚構成のものでは、10万画素程度の撮像素子にしか適合できないのに対して、本発明撮像レンズは、100万画素以上の撮像素子に対しても必要十分な画質を得ることが可能である。
【0050】
尚、前記実施の形態において示した各部の具体的な形状及び構造は、何れも本発明を実施するに当たっての具体化のほんの一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【0051】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明撮像レンズは、物体側より順に、物体側に凸面を向けた凸メニスカスレンズの第1レンズと、像側に凹面を向けた凹メニスカスレンズの第2レンズと、凹レンズの第3レンズと凸レンズの第4レンズとの接合レンズとによって構成すると共に、第2レンズの少なくとも1面と第4レンズの像側の面を非球面によって構成し、νi(i=1,2,3,4)を第iレンズのアッベ数とすると、ν1<ν2、ν3<ν4の各条件を満足するようにしたので、十分なバックフォーカスが確保できると共に、光学特性が良好なコンパクトな撮像レンズを提供することができる。また、riを物体側から数えてi番目の面(第i面)の曲率半径(i=1,2,…)、fをレンズ全系の焦点距離とすると、0.2<r4/f<0.3、0.4<|r7/f|<0.5の各条件を満足するようしたので、より光学特性を高めることができ、100万画素以上の撮像素子に対応できる高画質の撮像レンズを提供することができる。
【0052】
請求項2に記載した発明にあっては、第2レンズは、両面が非球面によって構成されたプラスチック製レンズであるので、撮像レンズを安価に製造することかできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図2と共に本発明撮像レンズの実施の形態における数値実施例1を示すものであり、本図はレンズ構成を示す概略図である。
【図2】球面収差、非点収差及び歪曲収差を示す図である。
【図3】図4と共に本発明撮像レンズの実施の形態における数値実施例2を示すものであり、本図はレンズ構成を示す概略図である。
【図4】球面収差、非点収差及び歪曲収差を示す図である。
【符号の説明】
1…撮像レンズ、2…撮像レンズ、L1…第1レンズ、L2…第2レンズ、L3…第3レンズ、L4…第4レンズ
Claims (2)
- 物体側より順に、物体側に凸面を向けた凸メニスカスレンズの第1レンズと、像側に凹面を向けた凹メニスカスレンズの第2レンズと、凹レンズの第3レンズと凸レンズの第4レンズとの接合レンズとによって構成されると共に、
上記第2レンズの少なくとも1面と第4レンズの像側の面が非球面によって構成され、
以下の各条件を満足するようにされた
ことを特徴とする撮像レンズ。
ν1<ν2
ν3<ν4
0.2<r4/f<0.3
0.4<|r7/f|<0.5
但し、
νi(i=1,2,3,4):第iレンズのアッベ数
ri:物体側から数えてi番目の面(第i面)の曲率半径(i=1,2,…)
f:レンズ全系の焦点距離 とする。 - 第2レンズは、両面が非球面によって構成されたプラスチック製レンズである
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
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