以下、本発明に係る加熱調理器の実施の形態について、家庭用のガステーブル1を例示して説明する。図1は、ガステーブル1の外観図である。図2は、ガステーブル1の概略構成図である。図3は、操作パネル30の拡大図である。
まず、ガステーブル1の全体構成について説明する。図1に示すように、ガステーブル1は、調理物の加熱手段として、上面に左コンロ2と右コンロ3を備え、内部にグリル4を備えている。そして、ガステーブル1の内部に設けられたコントローラ80(図2参照)によって、左コンロ2,右コンロ3,グリル4の加熱動作が制御され、左コンロ2,右コンロ3,グリル4は並行して加熱動作が可能である。さらに、本実施の形態では、右コンロ3とグリル4とについては、ユーザにより指定された任意の加熱時間だけ各々を加熱動作させるタイマ調理機能を有している。なお、グリル4への調理物の出し入れは、ガステーブル1の正面に設けられ、調理物が載置されるグリルパン(図示しない)と一体となった開閉扉6を引き出して行われる。また、グリル4で発生する煙は、排気口7から外部に排出される。
そして、ガステーブル1の正面には、左コンロ2の点火消火ボタン8と火力調節レバー9、右コンロ3の点火消火ボタン10と火力調節レバー11、及びグリル4の点火消火ボタン12と火力調節レバー13が、それぞれ設けられている。なお、点火消火ボタン8,10,12は、いずれもハートカムによるプッシュ・プッシュ機構により作動する。さらに、ガステーブル1の正面には、右コンロ3及びグリル4に対してタイマ調理機能に基づく加熱動作の設定や指示を行うための操作パネル30が設けられている。
次に、ガステーブル1の内部構成について説明する。図2に示すように、ガステーブル1の内部では、左コンロ2にはコンロバーナ51が配設されており、このコンロバーナ51へのガス管には、上流側から、コックスイッチ52、セーフティバルブ53、キープソレノイドバルブ54が夫々設けられている。また、コンロバーナ51の中央には、鍋底温度を検出するサーミスタ55が、コンロバーナ51の近傍には、熱電対56及び点火電極57が並設されている。一方、右コンロ3に配されるコンロバーナ61のガス管にも、上流側から、コックスイッチ62、セーフティバルブ63が夫々設けられるとともに、コンロバーナ61の近傍に、熱電対66及び点火電極67が並設されている。さらに、グリル4に配されるグリルバーナ71へのガス管には、上流側から、コックスイッチ72、セーフティバルブ73が夫々設けられ、グリルバーナ71の近傍には、熱電対76及び点火電極77が夫々並設されている。
なお、コントローラ80は、ガステーブル1の動作を制御するコントローラであり、周知のCPU81,ROM82,RAM83などにより構成されており、電源23から常時通電されて電源供給されている。このコントローラ80には、上記の構成(コックスイッチ,セーフティバルブ,熱電対,点火電極など)が各々接続されており、コントローラ80によって各々の動作が制御されるようになっている。また、ガステーブル1のユーザに対して音による報知を行うためのブザー41や、右コンロ3又はグリル4の加熱時間の残時間をカウントするためのタイマ40や、先述の操作パネル30が、コントローラ80に接続されている。さらに、図示しないが、セーフティバルブ53,63,73ごとに設けられるセーフティバルブ駆動回路、キープソレノイドバルブ駆動回路、サーミスタ55の温度検出回路、熱電対56,66,76ごとに設けられる炎検知回路等も、コントローラ80に接続されている。
そして、本実施の形態では、コントローラ80において、ユーザが操作パネル30から設定した加熱時間を記憶する加熱時間記憶部83aと、後述するタイマ差分が記憶されるタイマ差分記憶部83bと、タイマ40により加熱時間の残時間がカウントされるカウント部83cとが、RAM83の所定記憶エリアに各々設けられている。このような構成により、ガステーブル1では、タイマ40とRAM83の各種記憶エリアとを用いて、右コンロ3とグリル4との一方又は両方の加熱時間のタイマ制御が実行されるが、詳細は後述する。
ここで、操作パネル30について説明する。図3に示すように、操作パネル30は、タイマ調理機能を設定するためのボタンやスイッチが設けられている。詳細には、操作パネル30の中央に、2桁の7セグメントLEDで構成された表示部31が設けられており、この表示部31に分単位で右コンロ3又はグリル4の加熱時間(又はその残時間)が表示される。そして、表示部31に表れる数字を分単位で増加させるプラスボタン32a又は減少させるマイナスボタン32bと、表示部31に表れている数字がグリル4の加熱時間(又はその残時間)を表示していることを示す発光ダイオードである第1タイマLED33a又は右コンロ3の加熱時間(又はその残時間)を表示していることを示す発光ダイオードである第2タイマLED33bと、表示部31における表示をグリル4の加熱時間(又はその残時間)と右コンロ3の加熱時間(又はその残時間と)の間で切り替えるためのタイマ切替えボタン34と、表示部31に示された加熱時間に基づいて加熱動作を開始又は停止させる開始停止ボタン35とを備えている。
具体的には、ユーザがタイマ調理機能を用いてグリル4を加熱動作させる場合、第1タイマLED33aが点灯している状態で、表示部31を参照しながらプラスボタン32a又はマイナスボタン32bを押して任意の加熱時間をセットする。なお、第2タイマLED33bが点灯している場合は、タイマ切替えボタン34を押して第1タイマLED33aを点灯させてから加熱時間のセットを行う。そして、開始停止ボタン35を押すと、当該加熱時間に基づいてグリル4による加熱動作が開始されて、表示部31では当該加熱時間がカウントダウンしていき、その残時間が表示される。そして、グリル4の加熱時間の残時間が「0」になると、その加熱動作が終了する。また、第1タイマLED33aが点灯している状態で、グリル4の加熱動作中に開始停止ボタン35を押すと、加熱時間のカウントとその加熱動作が停止され、再度開始停止ボタン35を押すと、加熱時間のカウントとその加熱動作が再開される。
一方、ユーザがタイマ調理機能を用いて右コンロ3を加熱動作させる場合、第2タイマLED33bが点灯している状態で、表示部31を参照しながらプラスボタン32a又はマイナスボタン32bを押して任意の加熱時間をセットする。なお、第1タイマLED33aが点灯している場合は、タイマ切替えボタン34を押して第2タイマLED33bを点灯させてから加熱時間のセットを行う。そして、開始停止ボタン35を押すと、当該加熱時間に基づいて右コンロ3による加熱動作が開始されて、表示部31では当該加熱時間がカウントダウンしていき、その残時間が表示される。そして、右コンロ3の加熱時間の残時間が「0」になると、その加熱動作が終了する。また、第2タイマLED33bが点灯している状態で、右コンロ3の加熱動作中に開始停止ボタン35を押すと、加熱時間のカウントとその加熱動作が停止され、再度開始停止ボタン35を押すと、加熱時間のカウントとその加熱動作が再開される。
このように、操作パネル30では、タイマ切替えボタン34を押下することで、1つの表示部31において、右コンロ3の加熱時間(又はその残時間)とグリル4の加熱時間(又はその残時間)との表示を切り替えることができる。また、第1タイマLED33a及び第2タイマLED33bを参照することで、表示部31に表示された内容が右コンロ3及びグリル4のいずれに関するものかを、ユーザは容易に識別することができる。すなわち、この操作パネル30では、ボタンやスイッチが少ないシンプルな構成ながらも、右コンロ3及びグリル4のタイマ調理機能に関する各種操作を、ユーザが確実かつ容易に行うことができる。
以下では、ガステーブル1における、タイマ調理機能に基づく加熱動作制御について説明する。図4及び図5は、タイマ調理機能に基づく加熱動作制御のメインフローチャートである。図6は、グリル制御処理(S21)の詳細を示すフローチャートである。図7は、コンロ制御処理(S71)の詳細を示すフローチャートである。なお、図4〜図7に示す処理は、コントローラ80のROM82に記憶された制御プログラムに基づいて、CPU81により実行される。また、後述の各種フラグGINT,KINTは、RAM83の所定記憶エリアに記憶されている。
最初に、ガステーブル1における、タイマ調理機能に基づく加熱動作制御のメイン処理について説明する。図4及び図5に示すように、メイン処理では、まず第1タイマLED33aが点灯されて(S1)、グリル動作中フラグGINTが「1」であるか否かが判定される(S3)。グリル動作中フラグGINTは、グリル4が加熱動作中か否かを示すフラグであり、「1」がONを示し、「0」がOFFを示す。グリル動作中フラグGINTが「1」である場合(S3:YES)、グリル4が加熱動作中であるから、後述のグリル制御処理(図6)のS109又はS127に基づいて、表示部31にグリル4の加熱時間の残時間が表示される(S23)。
一方、グリル動作中フラグGINTが「0」である場合(S3:NO)、グリル4は加熱動作を行っていないから、以下のように、ユーザによるグリル4の加熱時間のセットが可能となる。まず、表示部31には、グリル4の加熱時間をセットするための変数である第1タイマ加熱時間tm1が表示される(S5)。なお、第1タイマ加熱時間tm1は、RAM83の加熱時間記憶部83aに記憶されており、ここではその初期値として「0」が表示される。
そして、プラスボタン32a(+SW)が押された場合は(S7:YES)、第1タイマ加熱時間tm1が「10」でなければ(S9:NO)、第1タイマ加熱時間tm1に「1」加算される(S11)。なお、第1タイマ加熱時間tm1が「10」であれば(S9:YES)、第1タイマ加熱時間tm1は加算されないため、ユーザは第1タイマ加熱時間tm1として「10」より大きい値をセットすることはできない。一方、マイナスボタン32b(−SW)が押された場合は(S7:NO,S13:YES)、第1タイマ加熱時間tm1が「0」でなければ(S15:NO)、第1タイマ加熱時間tm1が「1」減算される(S17)。なお、第1タイマ加熱時間tm1が「0」であれば(S15:YES)、第1タイマ加熱時間tm1は減算されないため、ユーザは第1タイマ加熱時間tm1として「0」より小さい値をセットすることはできない。なお、加算又は減算後の第1タイマ加熱時間tm1は、表示部31に表示される(S5)。これらの処理が繰り返されることで、ユーザは表示部31を参照しながら第1タイマ加熱時間tm1に任意の加熱時間をセットすることができる。
そして、グリル4の点火を指示するために、開始停止ボタン35が押されると(S19:YES)、第1タイマ加熱時間tm1に基づいてグリル4の加熱動作を制御するグリル制御処理が実行されるが(S21)、その詳細は後述する。また、タイマ切替えボタン34が押されると(S25:YES)、表示部31での表示をグリル4のものから右コンロ3のものに切り替えるために、以下の処理が実行される。すなわち、グリル動作中フラグGINTが「0」であれば(S27:NO)、第1タイマLED33aが消滅される(S29)。一方、グリル動作中フラグGINTが「1」であれば(S27:YES)、第1タイマLED33aが点滅される(S31)。S31で第1タイマLED33aが点滅制御されるのは、表示部31に右コンロ3の加熱時間(又はその残時間)が表示されても、グリル4が加熱動作中であることをユーザに報知するためである。なお、開始停止ボタン35及びタイマ切替えボタン34のいずれも押されなければ(S19:NO,S25:NO)、S1に戻る。
次に、第1タイマLED33aが消滅又は点滅されると(S29,S31)、第2タイマLED33bが点灯されて(S51)、コンロ動作中フラグKINTが「1」であるか否かが判定される(S53)。コンロ動作中フラグKINTは、右コンロ3が加熱動作中か否かを示すフラグであり、「1」がONを示し、「0」がOFFを示す。コンロ動作中フラグKINTが「1」である場合(S53:YES)、右コンロ3が加熱動作中であるから、後述のコンロ制御処理(図7)のS209又はS227に基づいて、表示部31に右コンロ3の加熱時間の残時間が表示される(S73)。
一方、コンロ動作中フラグKINTが「0」である場合(S53:NO)、右コンロ3は加熱動作を行っていないから、以下のように、ユーザによる右コンロ3の加熱時間のセットが可能となる。まず、表示部31には、右コンロ3の加熱時間をセットするための変数である第2タイマ加熱時間tm2が表示される(S55)。なお、第2タイマ加熱時間tm2は、RAM83の加熱時間記憶部83aに記憶されており、ここではその初期値として「0」が表示される。
そして、プラスボタン32a(+SW)が押された場合は(S57:YES)、第2タイマ加熱時間tm2が「10」でなければ(S59:NO)、第2タイマ加熱時間tm2に「1」加算される(S61)。なお、第1タイマ加熱時間tm1が「10」であれば(S59:YES)、第2タイマ加熱時間tm2は加算されないため、ユーザは第2タイマ加熱時間tm2として「10」より大きい値をセットすることはできない。一方、マイナスボタン32b(−SW)が押された場合は(S57:NO,S63:YES)、第2タイマ加熱時間tm2が「0」でなければ(S65:NO)、第2タイマ加熱時間tm2が「1」減算される(S67)。なお、第2タイマ加熱時間tm2が「0」であれば(S65:YES)、第2タイマ加熱時間tm2は減算されないため、ユーザは第2タイマ加熱時間tm2として「0」より小さい値をセットすることはできない。なお、加算又は減算後の第2タイマ加熱時間tm2は、表示部31に表示される(S55)。これらの処理が繰り返されることで、ユーザは表示部31を参照しながら第2タイマ加熱時間tm2に任意の加熱時間をセットすることができる。
そして、右コンロ3の点火を指示するために、開始停止ボタン35が押されると(S69:YES)、第2タイマ加熱時間tm2に基づいて右コンロ3の加熱動作を制御するコンロ制御処理が実行されるが(S71)、その詳細は後述する。また、タイマ切替えボタン34が押されると(S75:YES)、表示部31での表示を右コンロ3のものからグリル4のものに切り替えるために、以下の処理が実行される。すなわち、コンロ動作中フラグKINTが「0」であれば(S77:NO)、第2タイマLED33bが消滅される一方(S79)、コンロ動作中フラグKINTが「1」であれば(S77:YES)、第2タイマLED33bが点滅される(S81)。S81で第2タイマLED33bが点滅制御されるのは、表示部31にグリル4の加熱時間(又はその残時間)が表示されても、右コンロ3が加熱動作中であることをユーザに報知するためである。なお、開始停止ボタン35及びタイマ切替えボタン34のいずれも押されなければ(S69:NO,S75:NO)、S51に戻る。また、第2タイマLED33bが消滅又は点滅されると(S79,S81)、S1に戻り、上記の処理が繰り返し実行される。
このように、メイン処理(図4)では、グリル4の加熱時間(又はその残時間)と右コンロ3の加熱時間(又はその残時間)とが、タイマ切替えボタン34の操作に応じて表示部31で切り替わるように表示制御され、ユーザはこの表示部31を参照しながら、任意の加熱時間をセットしたり、加熱動作の実行開始を指示したりすることができる。
次に、グリル制御処理(S21)について説明する。図6に示すように、グリル制御処理(S21)では、まずコンロ動作中フラグKINTが「1」であるか否かが判定される(S101)。コンロ動作中フラグKINTが「0」である場合(S101:NO)、右コンロ3は加熱動作を行っていないから、タイマ値TMに第1タイマ加熱時間tm1の値がセットされる(S103)。タイマ値TMは、RAM83のカウント部83cに記憶される変数であり、後述のコンロ制御処理(図7)でも共通に使用される。以下の処理では、このタイマ値TMがタイマ40のカウントに応じて減算されて、グリル4の加熱時間が経過したか否かが判定される。
そして、グリル4が点火されて加熱動作が実行されると、グリル動作中フラグGINTに「1」がセットされ(S105)、カウント部83cに記憶されたタイマ値TMが「1」減算されて(S107)、減算後のタイマ値TMが、グリル4の加熱時間の残時間として表示部31に表示される(S109)。ここで、タイマ値TMが「0」である場合は(S111:YES)、グリル4の加熱時間(第1タイマ加熱時間tm1)が経過したことを示す。よって、ブザー41からの所定の報知音などによりグリル4の消火が報知されて(S113)、グリル4が消火されて加熱動作が終了されると、グリル動作中フラグGINTに「0」がセットされ(S115)、メイン処理(図4)に戻る。なお、タイマ値TMが「0」でない場合(S111:NO)、グリル4の加熱時間(第1タイマ加熱時間tm1)が経過していないから、タイマ値TMが「0」となるまでタイマ値TMのカウントダウン(S107)とタイマ値TMの表示(S109)が繰り返し実行される。
一方、コンロ動作中フラグKINTが「1」である場合(S101:YES)、右コンロ3は加熱動作を行っているため、後述のコンロ制御処理(図7)で既にタイマ値TMのカウントダウンが行われている。そこで、まず現在のタイマ値TMがタイマ差分difにセットされる(S121)。タイマ差分difは、RAM83のタイマ差分記憶部83bに記憶される変数であり、後述のコンロ制御処理(図7)でも共通に使用される。以下の処理では、このタイマ差分difに基づいてグリル4の加熱時間が経過したか否かが判定される。
そして、グリル4が点火されて加熱動作が実行されると、グリル動作中フラグGINTに「1」がセットされ(S123)、カウント部83cに記憶されたタイマ値TMが「1」減算されて(S125)、タイマ差分difからタイマ値TMを減算した値を、さらに第1タイマ加熱時間tm1から減算した値(tm1−(dif−TM))が、グリル4の加熱時間の残時間として表示部31に表示される(S127)。ここで、S127で求められた値(tm1−(dif−TM))が「0」である場合は(S129:YES)、グリル4の加熱時間(第1タイマ加熱時間tm1)が経過したことを示す。よって、先述と同様に、ブザー41による消火報知(S113)とグリル4の消火処理(S115)が実行される。
一方、S127で求められた値(tm1−(dif−TM))が「0」でなく(S129:NO)、かつ、タイマ値TMが「0」である場合は(S133:YES)、グリル4の加熱時間(第1タイマ加熱時間tm1)が経過する前に、右コンロ3の加熱時間(第2タイマ加熱時間tm2)が経過したことを示す。そこで、第1タイマ加熱時間tm1からタイマ差分difを減算した値(tm1−dif)がタイマ値TMにセットされ(S137)、このリセットされたタイマ値TMについて、先述と同様に、タイマ値TMのカウントダウンとタイマ値TMの表示が実行され、タイマ値TMが「0」となればグリル4の消火報知と消火処理が実行される(S107〜S115)。
なお、タイマ値TMが「0」でない場合は(S133:NO)、グリル4の加熱時間(第1タイマ加熱時間tm1)及び右コンロ3の加熱時間(第2タイマ加熱時間tm2)のいずれも経過していないから、S127で求められた値(tm1−(dif−TM))が「0」となるか、又はタイマ値TMが「0」となるまで、タイマ値TMのカウントダウン(S125)と残時間(tm1−(dif−TM))の表示(S127)が繰り返し実行される。
このように、グリル制御処理(図6)では、ユーザにより設定されたグリル4の加熱時間(第1タイマ加熱時間tm1)に基づいて、グリル4の加熱動作をタイマ制御することができ、特に、右コンロ3の加熱動作と並行してグリル4の加熱動作を行う場合であっても、タイマ40が1つしか設けられていなくても、タイマ差分difを用いて適切にグリル4の加熱動作をタイマ制御することができる。
次に、コンロ制御処理(S71)について説明する。図7に示すように、コンロ制御処理(S71)では、まずグリル動作中フラグGINTが「1」であるか否かが判定される(S201)。グリル動作中フラグGINTが「0」である場合(S201:NO)、グリル4は加熱動作を行っていないから、タイマ値TMに第2タイマ加熱時間tm2の値がセットされる(S203)。以下の処理では、このタイマ値TMがタイマ40のカウントに応じて減算されて、右コンロ3の加熱時間が経過したか否かが判定される。
そして、右コンロ3が点火されて加熱動作が実行されると、コンロ動作中フラグKINTに「1」がセットされ(S205)、カウント部83cに記憶されたタイマ値TMが「1」減算されて(S207)、減算後のタイマ値TMが、右コンロ3の加熱時間の残時間として表示部31に表示される(S209)。ここで、タイマ値TMが「0」である場合は(S211:YES)、右コンロ3の加熱時間(第2タイマ加熱時間tm2)が経過したことを示す。よって、ブザー41からの所定の報知音などにより右コンロ3の消火が報知されて(S213)、右コンロ3が消火されて加熱動作が終了されると、コンロ動作中フラグKINTに「0」がセットされ(S215)、メイン処理(図5)に戻る。なお、タイマ値TMが「0」でない場合(S211:NO)、右コンロ3の加熱時間(第2タイマ加熱時間tm2)が経過していないから、タイマ値TMが「0」となるまでタイマ値TMのカウントダウン(S207)とタイマ値TMの表示(S209)が繰り返し実行される。
一方、グリル動作中フラグGINTが「1」である場合(S201:YES)、グリル4は加熱動作を行っているため、先述のグリル制御処理(図6)で既にタイマ値TMのカウントダウンが行われている。そこで、まず現在のタイマ値TMがタイマ差分difにセットされる(S221)。以下の処理では、このタイマ差分difに基づいて右コンロ3の加熱時間が経過したか否かが判定される。
そして、右コンロ3が点火されて加熱動作が実行されると、コンロ動作中フラグKINTに「1」がセットされ(S223)、カウント部83cに記憶されたタイマ値TMが「1」減算されて(S225)、タイマ差分difからタイマ値TMを減算した値を、さらに第2タイマ加熱時間tm2から減算した値(tm2−(dif−TM))が、右コンロ3の加熱時間の残時間として表示部31に表示される(S227)。ここで、S227で求められた値(tm2−(dif−TM))が「0」である場合は(S229:YES)、右コンロ3の加熱時間(第2タイマ加熱時間tm2)が経過したことを示す。よって、先述と同様に、ブザー41による消火報知(S213)と右コンロ3の消火処理(S215)が実行される。
一方、S227で求められた値(tm2−(dif−TM))が「0」でなく(S229:NO)、かつ、タイマ値TMが「0」である場合は(S233:YES)、右コンロ3の加熱時間(第2タイマ加熱時間tm2)が経過する前に、グリル4の加熱時間(第1タイマ加熱時間tm1)が経過したことを示す。そこで、第2タイマ加熱時間tm2からタイマ差分difを減算した値(tm2−dif)がタイマ値TMにセットされ(S237)、このリセットされたタイマ値TMについて、先述と同様に、タイマ値TMのカウントダウンとタイマ値TMの表示が実行され、タイマ値TMが「0」となれば右コンロ3の消火報知と消火処理が実行される(S207〜S215)。
なお、タイマ値TMが「0」でない場合は(S233:NO)、右コンロ3の加熱時間(第2タイマ加熱時間tm2)及びグリル4の加熱時間(第1タイマ加熱時間tm1)のいずれも経過していないから、S227で求められた値(tm2−(dif−TM))が「0」となるか、又はタイマ値TMが「0」となるまで、タイマ値TMのカウントダウン(S225)と残時間(tm2−(dif−TM))の表示(S227)が繰り返し実行される。
このように、コンロ制御処理(図7)では、ユーザにより設定された右コンロ3の加熱時間(第2タイマ加熱時間tm2)に基づいて、右コンロ3の加熱動作をタイマ制御することができ、特に、グリル4の加熱動作と並行して右コンロ3の加熱動作を行う場合であっても、タイマ40が1つしか設けられていなくても、タイマ差分difを用いて適切に右コンロ3の加熱動作をタイマ制御することができる。
ここで、上記のガステーブル1におけるタイマ調理機能に基づく加熱動作制御を、具体的に例示して説明する。図8及び図9は、RAM83の各記憶エリアにおける、時間の経過に応じた状態遷移図である。
まず、図8に示す具体例は、グリル4の加熱動作と右コンロ3の加熱動作が並行して実行される場合であって、グリル4が右コンロ3よりも先に加熱動作を開始し、かつ、グリル4が右コンロ3よりも後に加熱動作を終了する場合を例示する。
まず、ユーザが操作パネル30を操作して、グリル4の加熱時間として「10分」を設定すると、加熱時間記憶部83aの第1タイマ加熱時間tm1に「10」がセットされ(図4のS5〜S17)、ユーザがグリル4の点火を指示すると、グリル制御処理が開始される(図4のS19〜S21)。そして、カウント部83cのタイマ値TMに第1タイマ加熱時間tm1である「10」がセットされて、グリル4の点火とタイマ値TMのカウントダウンが実行される(図6のS101:NO〜S111)。なお、ユーザの選択に応じて、表示部31にはグリル4の加熱時間の残時間としてタイマ値TMの値が表示される(図4のS23,図6のS109)。
そして、グリル4の加熱動作開始から3分後に、ユーザが操作パネル30を操作して、右コンロ3の加熱時間として「5分」を設定すると、加熱時間記憶部83aの第2タイマ加熱時間tm2に「5」がセットされ(図5のS55〜S67)、ユーザが右コンロ3の点火を指示すると、コンロ制御処理が開始される(図5のS69〜S71)。そして、カウント部83cのタイマ差分difに現在のタイマ値TMである「7」がセットされて、右コンロ3の点火とタイマ値TMのカウントダウンが実行される(図7のS201:YES〜S233)。なお、ユーザの選択に応じて、表示部31には右コンロ3の加熱時間の残時間として(tm2−(dif−TM))の値が表示される(図5のS73,図7のS227)。
ところで、グリル制御処理でのタイマカウント(図6のS107)と、コンロ制御処理でのタイマカウント(図7のS225)とは、タイマ40のカウントに応じてカウント部83cにセットされたタイマ値TMが減算される共通の処理である。すなわち、グリル制御処理(図6)でのタイマ制御と、コンロ制御処理(図7)でのタイマ制御とは、1つのタイマ40に基づいて実行されている。
そして、グリル4の加熱動作開始から8分後に、右コンロ3の加熱動作の残時間(tm2−(dif−TM))が「(5−(7−2))=0」となるため(図7のS229:YES)、ブザー41による消火報知と右コンロ3の消火処理が実行される(図7の213〜S215)。
さらに、グリル4の加熱動作開始から10分後に、グリル4の加熱動作の残時間(タイマ値TM)が「0」となるため(図6のS111:YES)、ブザー41による消火報知とグリル4の消火処理が実行される(図6の113〜S115)。
次に、図9に示す具体例は、グリル4の加熱動作と右コンロ3の加熱動作が並行して実行される場合であって、右コンロ3がグリル4よりも先に加熱動作を開始し、かつ、右コンロ3がグリル4よりも先に加熱動作を終了する場合を例示する。
まず、ユーザが操作パネル30を操作して、右コンロ3の加熱時間として「5分」を設定すると、加熱時間記憶部83aの第2タイマ加熱時間tm2に「5」がセットされ(図5のS55〜S67)、ユーザが右コンロ3の点火を指示すると、コンロ制御処理が開始される(図5のS69〜S71)。そして、カウント部83cのタイマ値TMに第2タイマ加熱時間tm2に「5」がセットされて、右コンロ3の点火とタイマ値TMのカウントダウンが実行される(図7のS201:NO〜S211)。なお、ユーザの選択に応じて、表示部31には右コンロ3の加熱時間の残時間としてタイマ値TMの値が表示される(図5のS73,図7のS209)。
そして、右コンロ3の加熱動作開始から3分後に、ユーザが操作パネル30を操作して、グリル4の加熱時間として「10分」を設定すると、加熱時間記憶部83aの第1タイマ加熱時間tm1に「10」がセットされ(図4のS5〜S17)、ユーザがグリル4の点火を指示すると、グリル制御処理が開始される(図4のS19〜S21)。そして、タイマ差分記憶部83bのタイマ差分difに現在のタイマ値TMである「2」がセットされて、グリル4の点火とタイマ値TMのカウントダウンが実行される(図6のS101:YES〜S133)。なお、ユーザの選択に応じて、表示部31にはグリル4の加熱時間の残時間として(tm1−(dif−TM))の値が表示される(図4のS23,図6のS127)。
ところで、グリル制御処理でのタイマカウント(図6のS125)と、コンロ制御処理でのタイマカウント(図7のS207)とは、タイマ40のカウントに応じてカウント部83cにセットされたタイマ値TMが減算される共通の処理である。すなわち、グリル制御処理(図6)でのタイマ制御と、コンロ制御処理(図7)でのタイマ制御とは、1つのタイマ40に基づいて実行されている。
そして、右コンロ3の加熱動作開始から5分後に、右コンロ3の加熱動作の残時間(タイマ値TM)が「0」となるため(図7のS211:YES)、ブザー41による消火報知と右コンロ3の消火処理が実行される(図7の213〜S215)。そして、タイマ値TMに(tm1−dif)の値として「10−2=8」がセットされ(図6のS133:YES〜S137)、このリセットされたタイマ値TM「8」について、先述と同様に、タイマ値TMのカウントダウンとタイマ値TMの表示が実行される(図6のS107〜S111)。
そして、右コンロ3の加熱動作開始から13分後に、グリル4の加熱動作の残時間(タイマ値TM)が「0」となるため(図6のS111:YES)、ブザー41による消火報知とグリル4の消火処理が実行される(図6の113〜S115)。
このように、本実施の形態に係るガステーブル1では、グリル4の加熱動作のタイマ制御と、右コンロ3の加熱動作のタイマ制御とが、その加熱動作の開始時期の前後や終了時期の前後を問わず、1つのタイマ40に基づいて適切に実行できることを例示した。なお、図8及び図9において、右コンロ3とグリル4とを置き換えても同様に処理できることは言うまでもない。
以上、本実施の形態に係るガステーブル1によれば、グリル4の加熱動作と右コンロ3の加熱動作とが重複して実行された場合に、一方の加熱時間の残時間は、タイマ40によりカウントされる値(タイマ値TM)により求められる一方、他方の加熱時間の残時間は、タイマ値TMとタイマ差分difとに基づく値(第1タイマ加熱時間tm1−(タイマ差分dif−タイマ値TM)又は第2タイマ加熱時間tm2−(タイマ差分dif−タイマ値TM))により求められる。すなわち、グリル4と右コンロ3のうちで、一方の加熱時間の残時間のみが、タイマ40のカウントにより求められ、他方の加熱時間の残時間は、タイマ差分difに基づいて求められるようにした。よって、グリル4の加熱時間と右コンロ3の加熱時間とを一のタイマ40で制御することができ、その製造コストを低減することができる。
また、グリル4の加熱時間(又はその残時間)と右コンロ3の加熱時間(又はその残時間)のうち、タイマ切替えボタン34により選択されたものが表示部31に表示されるので、ユーザはタイマ切替えボタン34を操作することで表示部31の表示内容を任意に切り替えることができる。
また、グリル4の加熱時間(又はその残時間)と右コンロ3の加熱時間(又はその残時間)のうち、いずれが表示部31に表示されているかを示す第1タイマLED33a及び第2タイマLED33bを備えたので、この第1タイマLED33a及び第2タイマLED33bを参照することで、ユーザは表示部31の表示内容がグリル4と右コンロ3のいずれに関するものかを容易に把握することができる。
ところで、上記実施の形態において、グリル4及び右コンロ3が本発明の「複数の加熱手段」に相当し、第1タイマ加熱時間tm1及び第2タイマ加熱時間tm2が本発明の「複数の加熱時間」に相当し、タイマ40が本発明の「一のタイマ手段」に相当する。また、操作パネル30において、プラスボタン32a及びマイナスボタン32bが本発明の「加熱時間設定手段」に相当し、表示部31が本発明の「タイマ表示手段」に相当し、タイマ切替えボタン34が本発明の「タイマ選択手段」に相当し、第1タイマLED33a及び第2タイマLED33bが本発明の「タイマ種別表示手段」に相当する。また、RAM83において、加熱時間記憶部83aが本発明の「タイマ記憶手段」に相当し、タイマ差分記憶部83bが本発明の「タイマ差分記憶手段」に相当する。
なお、本発明は、以上詳述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の変形が可能なことはいうまでもない。
例えば、上記実施の形態では、「複数の加熱手段」としてグリル4及び右コンロ3の2つの加熱手段を例示して、各々の加熱動作を「一のタイマ手段」で制御できることを説明した。しかし、「複数の加熱手段」として3つ以上の加熱手段を用いて(例えば、左コンロ2,右コンロ3,グリル4)、各々の加熱動作を「一のタイマ手段」で制御するようにしてもよい。この場合であっても、その基本的な処理は上記のもの(図4〜図7)と同様であるが、「タイマ差分」を複数設ける必要がある。
具体的には、グリル4の加熱動作が最初に実行され、その実行中に左コンロ2及び右コンロ3の加熱動作がそれぞれ実行されるような場合、左コンロ2についてのタイマ差分dif1と、右コンロ3についてのタイマ差分dif2との両方に、グリル4の加熱時間の残時間(タイマ値TM)をそれぞれセットする。そして、上記実施形態と同様に、グリル4の加熱時間の残時間が、タイマ値TMによって求められる一方、左コンロ2の加熱時間の残時間が、タイマ値TMとタイマ差分dif1とに基づく値(第1タイマ加熱時間tm1−(タイマ差分dif1−タイマ値TM))により求められ、右コンロ3の加熱時間の残時間が、タイマ値TMとタイマ差分dif2とに基づく値(第1タイマ加熱時間tm1−(タイマ差分dif2−タイマ値TM))により求められるようにすればよい。
また、上記実施の形態では、タイマ差分difとして、グリル4及び右コンロ3の加熱動作開始の時間差を設定し、グリル4及び右コンロ3の一方の加熱時間の残時間をタイマ40のカウントにより求める一方、他方の加熱時間の残時間はタイマ差分difに基づいて求める場合を例示した。しかし、「複数の加熱手段の加熱時間」を、「一のタイマ手段」と「タイマ差分」とによって制御することができれば、その処理(図4〜図7)の詳細やタイマ差分difのデータ内容は、上記実施の形態のものに限定されない。例えば、グリル4及び右コンロ3の各加熱時間が終了する時間差をタイマ差分difにセットし、一方の加熱時間の残時間をタイマ40のカウントにより求める一方、他方の加熱時間の残時間はタイマ差分difに基づいて求めるようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、家庭用に用いられるガステーブル1を例示したが、業務用に用いられる場合も同様に用いることができる。また、「複数の加熱手段」として、グリルやコンロ以外の加熱手段を用いることができるのは言うまでもない。