JP4616867B2 - エンジン用空気案内通路が形成された自動車 - Google Patents

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Description

本発明は、ボンネットにより覆われるエンジンルーム内にエンジンが配置された自動車に関し、詳細には、エンジンルーム内に流入した空気をエンジンの吸気装置に案内するエンジン用空気案内通路を形成する通路形成部品(例えば、空気ダクト)がボンネットに一体に設けられた自動車に関する。
自動車が、ボンネットにより覆われるエンジンルーム内に配置されたエンジンと、ボンネットの内面に一体に取り付けられた空気ダクトとを備え、該空気ダクトがエンジンルーム内に流入した空気をエンジンの吸気装置に案内する空気案内通路を形成するものは知られている(特許文献1参照)。
特開平11−294279号公報
エンジンルーム内の空気を吸気装置に案内する空気案内通路が、エンジンを覆うフード部材であるボンネットに取り付けられた空気ダクト単体で形成される場合、該空気案内通路とボンネットとの間には、空気ダクトの、ボンネット寄りのダクト壁が介在することになり、ときには該ダクト壁とボンネットとの間に利用されない空間が形成される事があって、ボンネットと一体の空気ダクトをエンジンルーム内でコンパクトに配置する観点からは、改善の余地がある。また、吸気装置の吸気脈動による空気流の変動によるダクトの振動を低減するための剛性確保の必要性から、空気ダクトの軽量化にも限度があった。
また、ボンネットには、その所要の剛性を確保するために、その内面は、隆起した部分に複数の凹部が設けられた凹凸構造を有する。しかしながら、空気案内通路が空気ダクト単体で形成されると、前記凹部により形成される空間は空気案内通路には関与しないので、該空間が活用されておらず、このことが、空気ダクトのコンパクトな配置の妨げとなるばかりか、所要の通路面積を有する空気案内通路を形成するために、空気ダクトの大型化を招来していた。
そして、エンジンルームの小容積化を図る場合には、この空気ダクトの小型・軽量化およびエンジンルーム内での配置のコンパクト化の要請は一層強いものとなる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、請求項1〜5記載の発明は、エンジンルーム内に流入した空気をエンジンの吸気装置に案内するエンジン用の空気案内通路を形成する通路形成部品がボンネットの内面に一体に設けられた自動車において、通路形成部品の小型・軽量化およびエンジンルーム内での該通路形成部品の配置のコンパクト化を図ること、および、空気案内通路に増速部を設けることにより、吸気装置への空気の案内の効率を向上させることを目的とする。そして、請求項2記載の発明は、さらに、ボンネットに設けられた凹部を利用することにより、通路形成部品の小型・軽量化およびそ配置のコンパクト化を図ることを目的とし、請求項3記載の発明は、さらに、空気案内通路内の空気の流れ方向の設定を容易にしながらボンネットの凹部と協働して空気案内通路を形成する空気ダクトの配置の自由度が大きくすると共に、通路形成部品である空気ダクトの小型・軽量化およびその配置のコンパクト化を図ることを目的とし、請求項4は、さらに、ボンネットを利用して、通路形成部品または空気ダクトの振動を抑制すると共にその軽量化を図ることを目的とする。
請求項1記載の発明は、ボンネットにより覆われるエンジンルーム内に配置されたエンジンと、前記ボンネットの内面に一体に設けられた通路形成部品とを備え、前記通路形成部品は、前記エンジンルーム内に流入した空気を前記エンジンの吸気装置に案内するエンジン用の空気案内通路を形成し、前記吸気装置の空気取入口は前記通路形成部品と離間した位置に設けられた自動車において、前記通路形成部品は、前記ボンネットの一部であるボンネット部分を前記空気案内通路の通路壁として、前記ボンネット部分との間に前記空気案内通路を形成するとともに、下流に向かうにつれて前記吸気装置の前記空気取入口に近づく方向に湾曲した湾曲部を有し、前記ボンネット部分は、前記湾曲部に向かって隆起する隆起部を有し、前記空気案内通路は、前記湾曲部と前記隆起部とにより挟まれて形成される増速部を有し、前記増速部では、前記空気案内通路の面積が減少することにより、前記隆起部により偏向されて前記湾曲部に沿って流れている空気の流速が増加する自動車である。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の自動車において、前記ボンネット部分は、前記ボンネットの前記内面に設けられて前記ボンネットの外面に向かって凹んだ凹部を有するものである。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の自動車において、前記通路形成部品は、前記ボンネットに取り付けられると共に前記ボンネット部分と当接する縁部が前記空気案内通路に沿った開放口を形成する空気ダクトであり、前記空気ダクトは、前記凹部内に配置されるものである。
請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項記載の自動車において、前記通路形成部品は、前記空気案内通路を挟んで前記ボンネット部分と対向する位置に前記空気案内通路の出口を形成し、前記ボンネット部分は、前記空気案内通路内の空気の流れを前記出口に向けて偏向させるものである
請求項1記載の発明によれば、ボンネットが、通路形成部品と共に空気案内通路を形成する通路壁を構成するので、空気案内通路が通路形成部品およびボンネットの協働により形成される。この結果、空気案内通路が通路形成部品単体で形成される場合に比べて、空気案内通路の通路壁の一部がボンネットにより構成される分、通路形成部品が小型・軽量化され、さらに該通路形成部品をボンネットにより近接させて配置することができるので、ボンネットに一体に設けられる通路形成部品をエンジンルーム内でコンパクトに配置することができる。
また、空気案内通路において、湾曲部と隆起部とにより形成される増速部では、湾曲部に向かって隆起する隆起部により、吸気装置の空気取入口に近づく方向に湾曲する湾曲部に沿って空気の流速が増加するので、吸気装置の空気取入口が通路形成部品と離間した位置に設けられていても、空気案内通路による吸気装置への空気の案内効率が向上する。
請求項2記載の事項によれば、ボンネットの内面に設けられた凹部により形成される空間が空気案内通路になるので、その分、通路形成部品を小型化しながら、空気案内通路の所要の通路面積を確保することができる。この結果、ボンネットに設けられた凹部を利用することにより、通路形成部品が小型・軽量化され、その配置がコンパクト化される。
請求項3記載の事項によれば、空気案内通路を形成するためのダクトとして、空気案内通路に沿った開放口を有する、いわゆる開断面を有する空気ダクトが使用されるので、空気案内通路内の空気の流れ方向の設定が容易になって、ボンネットの凹部と協働して空気案内通路を形成する空気ダクトの配置の自由度が大きくなる。しかも、該空気ダクトが凹部に配置されるので、ボンネットに一体に取り付けられる空気ダクトの小型・軽量化およびエンジンルーム内での空気ダクトの配置のコンパクト化が可能になる。
請求項4記載の事項によれば、空気案内通路内で空気を出口に向けて偏向させるために空気が衝突する部分が、剛性が高いボンネットの一部であるボンネット部分であるので、空気ダクトの剛性を高めることなく、吸気装置の吸気脈動に起因する空気案内通路内の空気圧の変動により発生する振動を低減できる。この結果、ボンネットを利用して空気の流れを偏向させる偏向部が構成されるので、通路形成部品または空気ダクトの振動を抑制することができると共に空気ダクトを軽量化できる
以下、本発明の実施形態を図1〜図6を参照して説明する。
図1〜図3を参照すると、本発明が適用された自動車は、そのボディの前部であるフロントボディ1により形成されるエンジンルーム2内に配置されたエンジンとしての内燃機関20と、フロントボディ1に開閉可能に設けられてエンジンルーム2を上方から覆うフード部材としてのボンネット10と、フロントグリル3からエンジンルーム2内に流入した空気を内燃機関20の吸気装置20iに案内する空気通路を形成する通路形成部品である空気ダクト40とを備える。
エンジンルーム2内には、エンジン本体21に結合されて内燃機関20が発生する動力を駆動輪としての前輪に伝達する動力伝達装置の一部を構成する変速機6が、エンジン本体21の左方に配置される。
フロントボディ1は、内燃機関20および変速機6を支持するフレーム構造(図示されず)と、エンジンルーム2内への外気の導入部であるフロントグリル3と、ヘッドランプ4とを備える。
ボンネット10は、その左端部および右端部のそれぞれの後端部とフロントボディ1とを連結するヒンジ(図示されず)を中心に上下方向に回動可能にフロントボディ1に取り付けられる。
なお、この実施形態において、上下方向は鉛直方向であり、前後および左右は、それぞれ自動車の前後および左右に一致する。また、左右方向は車幅方向でもあり、右方および左方の一方を左右方向での一方向とするとき、右方および左方の他方は左右方向での他方向である。また、上流および下流は、空気案内通路60内での空気の流れに関してのものである。
内燃機関20は、多気筒4ストローク内燃機関であり、燃焼室内で混合気が燃焼して発生する燃焼ガスの圧力により駆動されるピストンが嵌合するシリンダを有するシリンダブロックおよび該シリンダブロックに結合されて前記燃焼室に連通する吸気ポートおよび排気ポートが設けられるシリンダヘッドなどから構成されるエンジン本体21と、内燃機関20に吸入された空気を前記燃焼室に導く吸気装置20iと、該燃焼室から排出された燃焼ガスを排気ガスとして内燃機関20の外部に導く排気装置20eとを備える。前記ピストンは、エンジン本体21に回転可能に支持されて回転中心線が左右方向を指向するクランク軸に連結され、前記シリンダ内の燃焼ガスにより駆動されて往復運動する該ピストンが該クランク軸を回転駆動し、その回転が変速機6により変速されて前輪に伝達される。
吸気装置20iは、エンジンルーム2内の空気を取り入れる空気取入口22bを形成する空気取入ダクト22aを有するエアクリーナ22と、エアクリーナ22を通過して浄化された空気の流量を制御するスロットル弁を備えるスロットル弁装置23と、スロットル弁装置23を通過した空気を分岐して前記各燃焼室に対応する前記吸気ポートに導く吸気マニホルド24とを備える。吸気管装置である吸気マニホルド24は、エンジン本体21の前側に配置されて前記シリンダヘッドに取り付けられる。
排気装置20eは、前記燃焼室から前記排気ポートを通って排出された排気ガスを集合する排気マニホルド25と、排気マニホルド25を通過した排気ガスを内燃機関20の外部に導く排気管26と、そして排気浄化装置および排気消音器(いずれも図示されず)とを備える。排気マニホルド25はエンジン本体21の後側に配置されて前記シリンダヘッドに取り付けられる。
ボンネット10は、該ボンネット10の外面10oを形成するアウタパネル11と、アウタパネル11の内側(すなわちエンジンルーム2側)に設けられてアウタパネル11に結合されるインナパネル12とを備える。金属製のインナパネル12は、その周縁部12aを結合するヘミング加工などの塑性変形加工および該周縁部12a以外の部分に点在する部分を結合する接着剤などの結合手段により、金属製のアウタパネル11と結合される。
ボンネット10の内面10i(すなわち、ボンネット10においてエンジンルーム2に面する部分である。)はインナパネル12およびアウタパネル11により形成され、該内面10iは、ボンネット10に剛性を付与するための凹凸構造を有する。アウタパネル11と、折曲加工により形成された隆起部13を有するインナパネル12との協働により形成される該凹凸構造は、インナパネル12により形成されて周縁部12aから隆起してアウタパネル11との間に空間を形成する隆起部13と、隆起部13から外面10oに向かって凹んだ複数の凹部とから構成される。図1には、該複数の凹部のうちの2つの凹部14,15が示されている。
各凹部14,15は、アウタパネル11の形状に沿う底部14a,15aと、底部14a,15aの全周から隆起部13の頂面13aに向かって延出していると共にアウタパネル11から分離している周囲部14b,15bとにより構成される。周囲部14b,15bにより囲まれる底部14a,15aは、インナパネル12に設けられた貫通孔16を通じてエンジンルーム2に露出するアウタパネル11の露出部11eと、インナパネル12において貫通孔16を規定する周縁部12eとから構成される。周縁部12eは、アウタパネル11に当接している部分または結合されている部分である。また、各周囲部14b,15bは、底部14a,15aから頂面13aに向かって傾斜しているか、または頂面13aに対して底部14a,15a寄りに位置する部分である。
なお、凹部14,15は、貫通孔16が形成されない場合には、インナパネル12のみにより形成されてもよい。
図1〜図6を参照すると、ボンネット10の内面10iに一体に設けられた空気ダクト40は、ボンネット10の一部であるフード部分としてのボンネット部分30を空気案内通路60の通路壁として、該ボンネット部分30との間に空気案内通路60を形成する。ボンネット部分30は、1以上の前記凹部を有しており、この実施形態では、両凹部14,15および隆起部13から構成される。
それゆえ、空気案内通路60の通路壁は、ボンネット部分30および空気ダクト40により構成される。
また、空気ダクト40は、ゴム状弾性を有する材料であるエラストマ、例えば軟質の合成樹脂により、一体成形されて形成される。そして、アウタパネル11およびインナパネル12は、空気ダクト40の形成材料よりも弾性係数が大きいまたは強度が大きい材料から形成される。また、空気ダクト40を形成する材料には、空気案内通路60内での空気の温度上昇を抑制するために、断熱性に優れたものが使用される。
固定手段としてのクリップ(図示されず)により、ボンネット10に着脱可能に取り付けられる空気ダクト40は、空気案内通路60を形成する通路部41と、隆起部13に空気ダクト40を取り付けるための1以上の取付部、ここでは4つの取付部40a〜40dとを有する。各取付部40a〜40dには、前記クリップが挿通される孔が設けられる。
ほぼ一定の肉厚を有する通路部41は、ボンネット部分30と協働して空気案内通路60の入口61を形成する入口縁部42と、空気案内通路60の出口62を形成する出口縁部43と、ボンネット部分30と当接する当接面を有する縁部44とを有する。
図1〜図3に示されるように、空気ダクト40は、エンジンルーム2内で、通路部41が左右方向でエンジン本体21から左方に離れた位置で、かつ変速機6の上方に位置するように、配置される。そして、平面視で、エアクリーナ22の一部および通路部41の一部が変速機6と重なる。
空気案内通路60(または通路部41)の前端部に位置する入口61は、左右方向でフロントグリル3の一部と同じ位置にあり、空気案内通路60(または通路部41)の後端部に位置する出口62は、左右方向で空気取入口22bと同じ位置にあると共に、前後方向で、ボンネット10の、左右方向での中央部の後端部10aとほぼ同じ位置にある。このため、空気取入口22bは、左右方向で出口62の、左右方向での形成範囲内にある。
また、通路部41は、左右方向でエアクリーナ22の左部と同じ位置にあり、前後方向でエアクリーナ22の前部と同じ位置にある。さらに、通路部41の全体、さらには空気ダクト40の全体は、前後方向でのヘッドランプ4の範囲内に配置される。
図1〜図6を参照すると、縁部44は空気案内通路60に沿った開放口45を形成する。該開放口45は、空気ダクト40がインナパネル12に取り付けられた状態(以下、「取付状態」という。)で、ボンネット部分30により上方から覆われる。それゆえ、空気ダクト40は、入口縁部42および縁部44が形成される範囲で、横断面(すなわち通路断面である。)が入口61および開放口45で開いた開断面を有する部品である。
通路部41は、開断面を有する開断面部41aと、横断面が開いていない閉断面を有する閉断面部41bとから構成される。そして、空気案内通路60は、開断面部41aとボンネット部分30により形成される上流側通路60aと、閉断面部41bのみにより形成される下流側通路60bとから構成される。
開断面部41aは、上下方向で空気案内通路60を挟んでボンネット部分30と対向する底壁46と、底壁46から立ち上がる1対の側壁47,48とを有する。このため、開断面部41aの横断面はコ字状を呈する。1対の側壁47,48は、左右方向で空気案内通路60を挟んで対向する。
各側壁47,48および後述する流出部49の上端である縁部44は、フランジ状であり、前記取付状態で、空気ダクト40とボンネット部分30との間から空気案内通路60を流れる空気の漏れが少なくなるように、好ましくは空気ダクト40とボンネット部分30との間がほぼ気密になるように、弾性変形してボンネット部分30に当接する。それゆえ、縁部44は空気ダクト40のシール部でもある。
入口縁部42は、前方に向かうにつれて下方に滑らかに湾曲するファンネル形状であり、底部14aおよび周囲部14b,15bを含むボンネット部分30との間に入口61を形成する(図2参照)。
両側壁47,48は、入口61から上流側通路60aに流入した空気の流れを、左右方向において、出口62および空気取入口22bに向けて左方に偏向させる。
出口縁部43を有する閉断面部41bは、上流側通路60aからの空気を、空気取入口22bに指向するように、下方に向けて排出する流出部49を構成する。閉断面を有することにより空気ダクト40において開断面部41aよりも剛性が大きい部分である流出部49は、ほぼ四角形状の出口62および下流側通路60bを形成する。出口62は、上下方向で空気案内通路60を挟んでボンネット部分30の一部分である隆起部13と対向する位置にある(図2参照)。
そして、下流に向かって出口62に近づくにつれて通路面積が小さくなる先細形状の流出部49の4つの角部49a〜49dのうちで3つの角部49a〜49cには、空気ダクト40に前方から空気ダクト40を大きく変形させる大荷重が作用したときに、流出部49が前後方向に潰れる変形を容易にするスリット49eが形成される。このように、複数の角部49a〜49dのうちで一部の角部49dにはスリット49eが形成されないことにより、空気ダクト40の軽量化を図りながら閉断面部41b(または流出部49)の剛性の確保が容易になって、空気取入口22bから伝達される吸気脈動に起因する空気案内通路60内での空気圧の変動による閉断面部41bの振動が抑制されて、該振動に基づいて発生する騒音が抑制される。
入口縁部42から前方に突出する1対の取付部40a,40bにより、入口縁部42の剛性が高められて、フロントボディ1を通じて伝達される振動および空気案内通路60内での空気圧の変動による入口縁部42、さらには開断面部41aの振動が抑制されて、騒音が抑制される。
前後方向で1対の取付部40a,40bよりも流出部49に近い位置にある1対の取付部40c,40dは、それぞれ1対の側壁47,48から右方および左方に突出する。底壁46の外面には、補強リブ55がそれぞれ前後方向および左右方向に延びて格子状に設けられ、各側壁47,48の外面には、該補強リブ55が上下方向に延びて設けられる。
空気ダクト40は、その一部である開断面部41aが部分的に凹部14,15内に配置される。各側壁47,48の高さは凹部14,15の深さに比例している。このため、側壁47または側壁48において、底部14aまたは底壁15aに当接する縁部44を有する部分は、周囲部14bまたは周囲部15bに当接する縁部44を有する部分よりも高い。それゆえ、ボンネット部分30の凹部14,15が上流側通路60aの通路壁を構成することから、空気案内通路60の一部は凹部14,15により形成される空間であり、したがって該空間を利用して空気案内通路60が形成される。
また、開断面部41aの底壁46は、流出部49寄りの部分に位置すると共に下流に向かって出口62に近づくにつれて、空気取入口22bに近づく方向に下方に湾曲した湾曲部51と、入口縁部42から湾曲部51までのほぼ平面状の平坦部50とを有する。湾曲部51の下流部は、流出部49の湾曲部49fに滑らかに連なる。
一方、ボンネット部分30を構成する周囲部14bにおいて、底部15aよりも下流であって出口62寄りに位置する部分は、上流側通路60a内の空気の流れを、出口62および空気取入口22bに向けて下方に偏向させる偏向部31を構成する。偏向部31は、下流に向かうにつれて、上下方向で、湾曲部51を含む底壁46に向かって徐々に近づくように滑らかに隆起する隆起部である。
そして、上流側通路60aは、偏向部31と底壁46とにより挟まれて形成される増速部63(図1,図2参照)を有する。入口61と出口62との間に位置する増速部63は、上流側通路60aを左右方向に横切って、上流側通路60aの、左右方向での幅全体に渡って、または両側壁47,48の、左右方向での間の全体に渡って延びている。そして、増速部63では、その面積が下流に向かって徐々に減少し、これによって空気の流速が増加する。特に、増速部63において偏向部31と湾曲部51とにより形成される部分63a(図2参照)では、偏向部31により偏向されて、湾曲部51に沿って出口62および空気取入口22b寄りに向けられて流れている空気の流速が増加するので、出口62から流出する空気を効率よく空気取入口22bに導くことができる。そして、該部分63aは、増速部63において最も出口62に近い位置にある最下流端部であることにより、該部分63aで増速された空気を一層効率よく空気取入口22bに導くことができる。
そして、内燃機関20が運転されると、エンジンルーム2内の空気が空気取入口22bから内燃機関20に吸入されて、エンジンルーム2内の空気圧が低下するため、エンジンルーム2外の空気である外気がフロントグリル3およびボンネット10とフロントボディ1との間からエンジンルーム2内に流入する。
エンジンルーム2内に流入した空気は、入口61から空気案内通路60に流入し、空気案内通路60を流通して出口62から空気取入口22bに向かって流出する。このとき、走行中は、フロントグリル3からエンジンルーム2内に流入する走行風が、入口61から空気案内通路60に流入する。
空気案内通路60内の空気は、増速部63および先細形状の流出部49により、出口62での流速が速められる。そして、空気取入口22bへの指向性が高い空気が空気取入口22bに向かって出口62から流出し、該空気が吸気装置20iを通じて前記燃焼室に吸入される。
次に、前述のように構成された実施形態の作用および効果について説明する。
エンジンルーム2内に流入した空気を吸気装置20iに案内するエンジン用の空気案内通路60を形成する空気ダクト40がボンネット10の内面10iに一体に取り付けられた自動車において、空気ダクト40は、ボンネット10の一部であるボンネット部分30を空気案内通路60の通路壁として、ボンネット部分30との間に空気案内通路60を形成する。これにより、ボンネット10が、空気ダクト40と共に空気案内通路60を形成する通路壁を構成するので、空気案内通路60が空気ダクト40およびボンネット10の協働により形成される。この結果、空気案内通路60が空気ダクト単体で形成される場合に比べて、空気案内通路60の通路壁の一部がボンネット10により構成される分、空気ダクト40が小型・軽量化され、さらに該空気ダクト40をボンネット10により近接させて配置することができるので、ボンネット10に一体に設けられる空気ダクト40をエンジンルーム2内でコンパクトに配置することができる。
ボンネット部分30は、ボンネット10の内面10iに設けられてボンネット10の外面10oに向かって凹んだ凹部14,15を有することにより、ボンネット10の剛性を高めるためにボンネット10の内面10iに設けられた凹凸構造の凹部14,15により形成される空間が空気案内通路60になるので、その分、空気ダクト40を小型化しながら、空気案内通路60の所要の通路面積を確保することができる。この結果、ボンネット10に設けられた凹部14,15を利用することにより、空気ダクト40が小型・軽量化され、その配置がコンパクト化される。
空気ダクト40は、ボンネット10に取り付けられると共にボンネット部分30と当接する縁部44が空気案内通路60に沿った開放口45を形成し、該空気ダクト40の一部が凹部14,15内に配置されることにより、空気案内通路60を形成するためのダクトとして、空気案内通路60に沿った開放口45を有する、いわゆる開断面を有する空気ダクト40が使用されるので、空気案内通路60内の空気を空気取入口22bに近づけるようにするための空気の流れ方向の設定が容易になって、ボンネット10の凹部14,15と協働して空気案内通路60を形成する空気ダクト40の配置の自由度が大きくなる。しかも、該空気ダクト40が凹部14,15に配置されるので、ボンネット10に一体に取り付けられる空気ダクト40の小型・軽量化およびエンジンルーム2内での空気ダクト40の配置のコンパクト化が可能になる。
空気ダクト40は、空気案内通路60を挟んでボンネット部分30と対向する位置に空気案内通路60の出口62を形成し、ボンネット部分30は、空気案内通路60内の空気の流れを出口62に向けて偏向させる偏向部31を有することにより、空気案内通路60内で空気を出口62に向けて偏向させるために空気が衝突する部分である偏向部31が、剛性が高いボンネット10の一部分であるボンネット部分30であるので、空気ダクト40の剛性を高めることなく、吸気装置20iの吸気脈動に起因する空気案内通路60内の空気圧の変動により発生する振動を低減できる。この結果、ボンネット10を利用して空気の流れを偏向させる偏向部31が構成されるので、空気ダクト40の振動を抑制することができると共に空気ダクト40を軽量化できる。
空気ダクト40は、下流に向かうにつれて吸気装置20iの空気取入口22bに近づく方向に湾曲した湾曲部51を有し、ボンネット部分30は、下流に向かうにつれて湾曲部51に向かって隆起する隆起部である偏向部31を有し、空気案内通路60は、湾曲部51と偏向部31とにより挟まれて形成される増速部63を有し、増速部63では、空気案内通路60の面積が下流に向かって減少することにより、偏向部31により偏向されて湾曲部51に沿って流れている空気の流速が増加する。これにより、空気案内通路60において、湾曲部51と偏向部31とにより形成される増速部63の部分63aでは、下流に向かうにつれて湾曲部51に向かって隆起する偏向部31によって、吸気装置20iの空気取入口22bに近づく方向に湾曲する湾曲部51に沿って空気の流速が増加するので、空気案内通路60による吸気装置20iへの空気の案内効率が向上する。
エラストマ製の空気ダクト40の縁部44は、該空気ダクト40とボンネット部分30との間のシールを兼ねることにより、空気案内通路60からの空気の漏洩を減少させるために、空気ダクト40およびボンネット部分30とは別個のシール部材を設ける必要がないので、コストの削減に寄与する。
以下、前述した実施形態の一部の構成を変更した形態について、変更した構成に関して説明する。
通路形成部品は、コ字状以外の横断面を有するダクトであってもよく、また平板状の部材であってもよい。
通路形成部品は、ボンネット10またはインナパネル12に一体成形されて、ボンネット10に一体に設けられてもよい。
フード部材は、前記実施形態ではボンネット10であったが、エンジンを上方以外の方向から覆うフード部材であってもよい。
ボンネット部分30と空気ダクト40との間に、両者とは別個のシール部材が配置されてもよく、その場合に該シール部材は、ボンネット部分30の一部または空気ダクト40の縁部44の一部であるとする。
本発明が適用された自動車のフロントボディ付近の要部平面図であり、エンジンルーム内で右寄りに配置される内燃機関がエアクリーナを除いて模式的に示されている。 図1のII−II線での要部断面図である。 図1のIII−III線での要部断面図である。 図1の自動車に備えられる空気ダクトの斜視図である。 図2のV矢視での空気ダクトの図である。 図5のVI矢視図である。
符号の説明
2…エンジンルーム、10…ボンネット、14,15…凹部、20…内燃機関、20i…吸気装置、22…エアクリーナ、22b…空気取入口、30…ボンネット部、31…偏向部、40…空気ダクト、60…空気案内通路、61…入口、62…出口、63…増速部。

Claims (4)

  1. ボンネットにより覆われるエンジンルーム内に配置されたエンジンと、前記ボンネットの内面に一体に設けられた通路形成部品とを備え、前記通路形成部品は、前記エンジンルーム内に流入した空気を前記エンジンの吸気装置に案内するエンジン用の空気案内通路を形成し、前記吸気装置の空気取入口は前記通路形成部品と離間した位置に設けられた自動車において、
    前記通路形成部品は、前記ボンネットの一部であるボンネット部分を前記空気案内通路の通路壁として、前記ボンネット部分との間に前記空気案内通路を形成するとともに、下流に向かうにつれて前記吸気装置の前記空気取入口に近づく方向に湾曲した湾曲部を有し、
    前記ボンネット部分は、前記湾曲部に向かって隆起する隆起部を有し、
    前記空気案内通路は、前記湾曲部と前記隆起部とにより挟まれて形成される増速部を有し、
    前記増速部では、前記空気案内通路の面積が減少することにより、前記隆起部により偏向されて前記湾曲部に沿って流れている空気の流速が増加することを特徴とする自動車。
  2. 前記ボンネット部分は、前記ボンネットの前記内面に設けられて前記ボンネットの外面に向かって凹んだ凹部を有することを特徴とする請求項1記載の自動車。
  3. 前記通路形成部品は、前記ボンネットに取り付けられると共に前記ボンネット部分と当接する縁部が前記空気案内通路に沿った開放口を形成する空気ダクトであり、
    前記空気ダクトは、前記凹部内に配置されることを特徴とする請求項2記載の自動車。
  4. 前記通路形成部品は、前記空気案内通路を挟んで前記ボンネット部分と対向する位置に前記空気案内通路の出口を形成し、前記ボンネット部分は、前記空気案内通路内の空気の流れを前記出口に向けて偏向させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の自動車
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