JP4799607B2 - 船外機 - Google Patents
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Description
ところで、エンジンルーム内の換気を行う換気装置が備えられる場合、エンジンルーム内の空気をエンジンルームの外部に導く排出通路を流れる空気は比較的高温であるので、充填効率の低下を防止するためには、排出通路内の空気による燃焼用空気の加熱を回避することが望ましい。
しかしながら、エンジンルーム内に開口する流入口とエンジンルームの外部に開口する換気出口とを有する排出通路を形成する排出通路部品が、エンジンルームの外部において燃焼用空気が流れる空間に配置されると、排出通路内の空気が排出通路部品を通じて燃焼用空気を加熱して、充填効率の低下を招来することがある。
また、エンジンルーム内に吸気通路部品が配置される動力装置において、充填効率の向上のためには、エンジンルーム内の空気のうちでも比較的高温の空気を優先して排出することにより、吸気通路部品がエンジンルーム内の高温の空気に曝されるのを極力抑制することが望ましい一方で、換気装置には、エンジンルームの外部から流入した換気用空気により内燃機関の構成部品である機関本体や該機関本体に取り付けられる機関部品(例えば発電機)を冷却することも要請される。さらに、換気装置の排出通路が吸気装置の吸気通路と共にエンジンルーム内に配置される場合にも、排出通路内の空気による吸気通路内の空気の加熱を抑制することが望ましい。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の船外機において、前記エンジンルーム(R)の外部に開口する前記換気入口(Ri)が前記エンジンカバー(15)に設けられ、前記クランク軸(8)の回転中心線(Le)の方向から見たとき、前記換気入口(Ri)および前記換気出口(91o)の配列方向において、前記換気入口(Ri)は前記回転中心線(Le)に対して前記シリンダヘッド(2)寄りに配置され、かつ前記排出通路部品(90)は前記吸気通路部品(60)に対して前記換気入口(Ri)とは反対側で前記回転中心線(Le)寄りに配置されるものである。
請求項3記載の発明は、請求項1または2項記載の船外機において、前記内燃機関の動弁装置(23)は、伝動機構(24)を介して伝達される前記クランク軸(8)の動力により回転駆動されるカム軸(23a)を備え、前記吸気通路部品(60)を構成するケース(60a,60b)および前記排出通路部品(90)を構成するケース(92)は、前後方向に並んで配置されると共に前記伝動機構(24)を上方から覆うことにより、前後方向に二分割された伝動カバーを構成し、前記ファン(93)は前記クランク軸(8)に連結されるものである。
請求項2記載の事項によれば、シリンダヘッド寄りに配置された換気入口からエンジンルーム内に流入した換気用空気は、内燃機関の機関本体において燃焼空間を形成するために比較的高温の部位であるシリンダヘッドを冷却した後にクランク軸の回転中心線寄りに配置される排出通路部品により形成される排出通路に流入するので、エンジンルーム内の比較的高温の空気を効率よくエンジンルームの外部に排出することができて、換気用空気による内燃機関の冷却性を向上させながら換気効率を向上させることができる。
請求項3記載の事項によれば、動弁装置のカム軸を回転駆動する伝動機構を覆う伝動カバーが、前後方向に分割された吸気通路部品および排出通路部品により構成されるので、前後方向で互いに反対方向から、両部品を着脱することが可能になり、伝動カバーが吸気通路部品および排出通路部品により構成される場合に、該伝動機構を覆うための伝動カバーの取付が容易になる。
図1〜図3を参照すると、本発明が適用された船舶推進機としての船外機Sは、動力装置Pと、該動力装置Pにより駆動される推力発生部材としてのプロペラ20と、動力装置Pを船体Tに取り付けるための取付装置21とを備える。動力装置Pは、エンジンとしての内燃機関Eと、該内燃機関Eが発生する動力をプロペラ20に伝達する動力伝達装置と、内燃機関Eが収容されるエンジンルームRを形成するエンジンカバー15等のカバー類と、内燃機関Eの燃焼用空気を取り入れる空気吸入部品としての吸気消音器50と、内燃機関Eが収容されるエンジンルームR内の換気を行う換気装置とを備える。
そして、シリンダヘッド2およびヘッドカバー3は、機関本体の後端部材であり、クランクケース部4は、機関本体の、回転中心線Leよりも前方に位置する部分である前端部材である。
各シリンダ1aのシリンダ孔1bに嵌合するピストン6はコンロッド7を介してクランク軸8に連結される。クランク軸8は、シリンダブロック1においてクランク軸8寄りの部分である前部1cとクランクケース部4とから構成されるクランクケースにより形成されるクランク室5内に配置されて、該クランクケースに主軸受9を介して回転可能に支持される。
ここで、エンジンカバー15,下カバー14、マウントケース10、エクステンションケース12およびギヤケース13は、前記カバー類を構成し、駆動軸17、前後進切換装置18および推進軸19は、内燃機関Eが発生する動力をプロペラ20に伝達する前記動力伝達装置を構成する。
動弁装置23は、動弁用伝動機構24介して伝達されるクランク軸8の動力により回転駆動されるカム軸23aと、カム軸23aに設けられた吸気カム23bおよび排気カム23cと、1対のロッカアーム軸23dに揺動可能にそれぞれ支持される吸気ロッカアーム23eおよび排気ロッカアーム(図示されず)とを備える。そして、吸気カム23bおよび排気カム23cが、吸気ロッカアーム23eおよび前記排気ロッカアームを介して前記吸気弁および前記排気弁を開閉駆動する。
そして、いずれもエンジンルームR内に配置される吸気消音器60および排出通路部品90は、互いに別個の部品であると共にエンジンカバー15とも別個の部品であり、前後方向に並んで配置されて、両伝動機構24,25を上方から覆う前後方向に二分割された前記ベルトカバーを構成する。
エンジンカバー15、トップカバー27および中間カバー28は、いずれも、合成樹脂を形成材料として、成形型により成形された単一の部材である。
中間部材である中間カバー28は、トップカバー27とエンジンカバー15の天井壁15bとの間に上下方向での間隔をおいて配置され、トップカバー27は中間カバー28を介して天井壁15bに取り付けられる。したがって、エンジンカバー15とトップカバー27とは、中間カバー28を介して結合される。天井壁15bは、そのほぼ全体またはその過半で、中間カバー28により上方から覆われ、中間カバー28は、その過半で、トップカバー27により上方から覆われる。そして、前後方向においては、中間カバー28のほぼ全体または過半がトップカバー27により覆われる。
これにより、中間カバー28を境にして、中間カバー28の下方に空気取入空間40により構成される下部空間が形成され、中間カバー28の上方に空気吸入通路51と導入通路71と導出通路81とにより構成される上部空間が形成される。そして、空気取入空間40と導出通路81との間では、天井壁15bと中間カバー28とが当接することにより空気の漏れが防止または抑制される。
空気取入空間40は、エンジンカバー15および中間カバー28に沿って全周に渡って周方向に延びている開放口41を有する。開放口41の開口幅W(図2,図12参照)は、周壁15aと天井壁15bとの境界部および中間カバー28の下端部により規定される。開放口41の一部である前端部41a(図1も参照)は、トップカバー27の一部である前端部から構成される遮蔽部27aにより覆われて閉塞される。そして、開放口41のうちで前端部41a以外の部分は、外気を燃焼用空気として空気取入空間40に取り入れる外気取入口42を構成する。吸気消音器50よりも前方に配置される遮蔽部27aは、前後方向で導出空間81の主室81aを前部空間および後部空間にほぼ二等分したとき、前後方向で、前記前部空間とほぼ同じ位置にある。遮蔽部27aにより、前方からの水が外気取入口42に侵入することが抑制される。
そして、エンジンカバー15は、互いに結合されて一体化された両カバー27,28がエンジンカバー15に結合された後に、下カバー14に結合される。それゆえ、エンジンカバー15とトップカバー27とは中間カバー28を介して結合される。
1以上、この実施形態では複数の第1結合部は、いずれも上下方向でエンジンカバー15と中間カバー28との間の空気取入空間40に分散されて配置される。前記各第1結合部はネジN1が挿通される結合部15eおよびネジN1がねじ込まれる結合部28eから構成される。結合部15eは、上下方向で結合部28eと対向する位置で、天井壁15bに一体成形されて設けられ、中間カバー28に向かって上方に突出するボスから構成される。結合部28eは、中間カバー28に一体成形されて設けられ、天井壁15bに向かって下方に突出するボスから構成される。
そして、吸気消音器50および導入部品70は、エンジンカバー15との間に、吸気消音器50を天井壁15bに支持するための局部的な部分である支持部としての前記第1結合部を除いて、空気取入空間40が形成されるように天井壁15bから離隔している。
図7に示されるように、頂壁52には、トップカバー27および中間カバー28と一緒にエンジンカバー15を移動させる際、例えばトップカバー27および中間カバー28と一体に結合された状態でエンジンカバー15を下カバー14に対して着脱する際に、トップカバー27を掴むためのグリップ部130 が設けられる。トップカバー27とは別個の部材であるグリップ部130 は、頂壁52に形成された凹部131 に収容された状態で、中間カバー28に一体成形されて設けられたボスからなる1対の取付部132 に、凹部131 の底壁131aに設けられた挿通孔133 に挿通されるボルト134 および該ボルト134 に螺合するナット135 により結合される。底壁131aに設けられた突出部136 は、膨張室51aを上下方向に貫通して空気取入空間40に達するように延出する。該突出部136 には、凹部131 に侵入した水を排出するために、空気取入空間40に開口する水抜孔137 が設けられる。
空気導入口51iの上流端口51i1は空気取入空間40に開口する。また、空気導入口51iの全体および空気導出口51o全体は、前後方向で互いに離隔していて回転中心線Leに対して前後に振り分けられて配置される。そして、空気導出口51oの下流端口51o2は、空気導入口51iの上流端口51i1よりも後方に配置される。
そして、通路形成部15mおよび入口ダクト62は、突合せ方向K1で対向するシール面としての突合せ面J1,J2をそれぞれ有し、シール部材140 は、両突合せ面J1,J2にそれぞれ密接して、通路形成部15mと入口ダクト62との間を密封する。各突合せ面J1,J2は、突合せ方向K1、または取出口51oから流通口15cおよび連通口141 を経て吸気入口61iを流れる空気の主流にほぼ直交する平面である。
そして、シール部材140 には、可撓部144 の屈曲を可能とする程度の所定圧力の充填気体としての空気が充填された中空部146 が設けられる。
また、可撓部144 は、シール部材140 に中空部146 が設けられることにより形成される薄肉部144aを有し、この薄肉部144aにおいて屈曲が生じる。
作用面145 は、前記接続状態の通路形成部15mおよび入口ダクト62によりシール部材140 が押圧されて、リップ142 が突合せ面J1に密接していると共に作用面145 に圧力が作用する前の状態(図8(b)参照)で、流通口15cと吸気入口61iとを連通させる連通口141 内の燃焼用空気の圧力である吸気負圧の作用方向で突合せ面J1と対向する対向面145aを有する。このとき、対向面145aでの吸気負圧の作用方向で突合せ面J1と対向面145aとの間に、連通口141 の一部である空間141aが形成される。
ここで、空気取入空間40と、流通口15c、吸気入口61iおよび連通口141 との間を密封状態にするシール部材140 は、連通口141 に面する内面である作用面145 と、連通口141 の外側空間である空気取入空間40に面する外面を有する。また、対向面145aの一部は可撓部144 の面でもある。
そして、吸気負圧が対向面145aに直交する方向に作用することで、リップ142 を突合せ面J1に押し付ける付勢力が発生する。このため、シール部材140自体の弾性力に基づくリップ142でのシール圧に加えて、該付勢力の分、リップ142 でのシール圧が増大する。
天井壁15bには、前後方向で外気取入口42と上流端口51i1との間に、かつ左右方向で上流端口51i1と同じ位置に、空気取入空間40内で上方に突出する隆起部15pが設けられる。
そして、外気取入口42の左右の両前端42b,42cは、前後方向で、空気導出口51o、回転中心線Le、空気導入口51iおよび吸気消音器50または膨張室51aよりも前方まで延びている。このため、外気取入口42は、左右方向での上流端口51i1と空気導出口51oの下流端口51oとに対する側方で、前後方向での上流端口51i1および下流端口51o2の配置範囲Yを超えて前後方向に延びている。このように、外気取入口42は、左右方向で上流端口51i1に対して両側に、かつ、前後方向で機関本体のシリンダヘッド2およびヘッドカバー3からクランク軸8の回転中心線Leよりも前方までの前後範囲に渡って形成されている。
このため、空気取入空間40の周縁である外気取入口42の周方向の長さである周長を長くできるので、燃焼用空気の所要量の取入れを確保したうえで、外気取入口42の開口幅Wを小さくすることができる。
中間カバー28の一部である底壁73に一体成形されて設けられる流出ダクト76は、主室71a内で上方に向かって突出すると共に換気入口Ri内にも突出している空気ダクトであり、換気入口Ri、ひいてはエンジンルームRへの水の侵入を抑制する。主室71a内には、中間カバー28に一体成形された垂下壁からなる遮蔽壁75が設けられる。該遮蔽壁75には流入口71oから空気と一緒に主室71a内に侵入した水が衝突する位置に配置され、遮蔽壁75により、該水が流出口71o、さらにはエンジンルームR内に侵入することを抑制する。
そして、導入通路71は、エンジンルームRの外部とエンジンルームR内とに渡って連続して延びている換気用空気の空気通路としての連通路を構成する。
通路形成部15nおよび出口ダクト97は、突合せ方向K2で対向するシール面としての突合せ面J3,J4をそれぞれ有し、シール部材29は、両突合せ面J3,J4にそれぞれ密接して、通路形成部15nと出口ダクト97との間を密封する。各突合せ面J3,J4は、突合せ方向K2、または排気出口91oから連通口98および流通口15dを経て流入口81iを流れる空気の主流にほぼ直交する平面である。
そして、空気取入通路51、導入通路71および導出通路81の側壁54,74,84が突出壁Aにより構成される。具体的には、前壁54aおよび後壁84aはそれぞれ突出壁Aaの1対の壁により構成され、同様に後壁54bおよび前壁74aはそれぞれ突出壁Abの1対の壁により構成される。また、左壁54c,74cは突出壁Acにより構成され、右壁54d,74dは突出壁Adにより構成される。突出壁Aの二重壁の間の空間は空気取入空間40の一部となっている。
さらに、突出壁Aの頂面に一体成形されて設けられた環状の突出部により形成される凸状の嵌合部B1および遮蔽壁75と、トップカバー27の下面に設けられた1対の環状の突出部により形成される凹状の嵌合部B2とが嵌合することで、空気取入通路51、導入通路71および導出通路81の気密性が高められる。
そして、空気取入空間40と、取出口51oを有する空気取入通路51と、流通口15cと、連通口141 と、吸気入口61iを有する吸気通路とは、エンジンルームRの外部とエンジンルームR内とに渡って連続して延びている燃焼用空気の空気通路としての連通路を構成する。
入口ダクト62および吸気入口61iは、上下方向に平行に延びていて、出口ダクト63および吸気出口61oは前後方向に平行に延びている。
吸気消音器50および吸気消音器60は、天井壁15bを挟んで、吸気消音器50が天井壁15bの真上に、吸気消音器60が天井壁15bの真下に配置される。隆起部15pは、平面視で、底壁53の第2高壁部53a2および第1高壁部53a1、そして頂壁67の高壁部67aおよび低壁部67bと重なる位置に、第2高壁部53a2、第1高壁部53a1、高壁部67aおよび低壁部67bに沿う形状で上方に隆起する。上下方向で高壁部53aおよび頂壁67の間に配置される隆起部15pは、空気導入口51iよりも後方に位置する。
流入口91iおよび換気出口91oは上ケース92bに設けられる。天井壁15bに上下方向での空隙を形成して対向する流入口91iは、シリンダヘッド2およびシリンダブロック1を冷却した後に高温となった換気用空気が集まり易い前記クランクケースの上方に配置される。流入口91iには、エンジンルームR内の比較的高温の空気、すなわち、機関本体を冷却した後の空気および発電機Gを冷却した後の空気が流入する。
排出通路91の流出路91cと導出通路81とは、前後方向で発電機Gと同じ位置に配置され、平面視で、流出路91cおよび導出通路81は、発電機Gと重なる位置に配置される。
そして、換気出口91oを有する排出通路91と、連通口98と、流通口15dと、流入口81iを有する導出通路81は、エンジンルームR内の空気を船外機Sの外部に排出するための通路であって、エンジンルームR外とエンジンルームR内とに渡って連続して延びている換気用空気の空気通路としての連通路を構成する。
平面視で、流入口71iと、流出口71oおよび換気入口Riと、取出口51oおよび吸気入口61iと、吸気出口61o、空気導入口51iと、換気出口91oおよび流入口81iとは、後方からこの順に、前後方向に平行な配列方向に一直線上に配列される。取入口51iは取出口51oおよび吸気入口61iよりも前方に配置される。そして、前記配列方向において、流入口71i、流出口71o、換気入口Ri、空気導出口51o、吸気入口61iは、回転中心線Leに対してシリンダヘッド2寄りである後方に配置され、空気導入口51iおよび換気出口91oおよび流入口81iおよび排出口81oは、回転中心線Leに対してクランク室5寄りである前方に配置される。そして、トップカバー27により、流出口71o、空気導出口51o、空気導入口51iおよび流入口81iが上方から覆われる。
導風部品Dは、流入口103 および流出口104 の周囲に配置されてハウジング102 を囲む導風カバー111 と、導風カバー111 とハウジング102 とにより形成される導風空間113 (図2参照)から流出口104 を通じて流出した排風を排出通路91の流入口91iに案内する案内部品としての案内壁121 とを備える。そして、導風カバー111 および案内壁121 は、一体成形されており、かつ下ケース92aに一体成形されて設けられる。
導風カバー111 は、発電機Gの回転軸101 の回転中心線Lgに平行な発電機軸線方向および回転中心線Lgを中心とする発電機周方向に延びていてハウジング102 を前方および左右方向から囲む周囲部111aと、周囲部111aの上端部に連なる天井部111bと、周囲部111aの下端部に連なる底部111cとを有する。
周囲部111aの上部にはエンジンルームR内の空気をカバー111 内の導風空間113 に流入させる多数のスリットから構成される空気入口112 が設けられる。天井部111bは、流出路91cを形成する通路壁により構成される。
底部111cは、カバー111 の下端部にネジにより結合されて設けられる板状の部材により構成される。
流出口104 から流出した排風は、天井部111bにより導風空間113 から上方に流出することが抑制され、底部111c により導風空間113 から下方に流出することが抑制されて、後述する排風口114 に導かれる。さらに、天井部111bには、図9,図11,図13に示されるように、空気入口112 から導風空間113 に流入した冷却用の空気が、導風空間113 からファン93に吸入されることを防止し、かつ、流出口104 からの排風が排風口114 を経ることなく、導風空間113 からファン93に直接吸入されることを防止するための1対の遮蔽壁95,96が設けられる。したがって、天井部111b、底部111c、遮蔽壁95,96により、導風空間113 内の排風を排風口114 から効率よく流出させることができる。
動力装置Pが搭載された船外機Sにおいて、吸気装置30は、エンジンルームRの外部に開口する吸気入口61iを有する上流側吸気通路61を形成する吸気消音器60を備え、前記換気装置は、エンジンルームRの外部に開口する換気出口91oを有する排出通路91を形成する排出通路部品90を備え、吸気通路部品60と排出通路部品90とは、互いに別個の部品であると共にエンジンカバー15とも別個の部品であり、かつエンジンルームR内に配置されることにより、吸気消音器60および排出通路部品90は、別個の独立した部品であると共にエンジンカバー15とも別個の部品であるので、上流側吸気通路61を含む前記吸気通路内の燃焼用空気と排出通路91内の空気との間での熱の授受が抑制されて充填効率が向上するうえ、エンジンルームR内での吸気消音器60および排出通路部品90の配置に対する互いの制約が少なくなって両通路部品60,90の配置の自由度が大きくなることから、両通路部品60,90のそれぞれの機能をなすための最適な形状に形成することができるので、吸気効率および換気効率の向上に寄与する。
また、エンジンカバー15とトップカバー27とを結合する結合部の剛性確保のためにエンジンカバー15を上下方向で大型化する必要がないので、エンジンカバー15を製造する成形型の大型化が回避されて、エンジンカバー15の製造コストが削減される。
この構造により、エンジンルームR内の吸気装置30からの吸気脈動は、エンジンルームR外に配置された吸気消音器50により減衰するうえ、該吸気消音器50はエンジンカバー15から空気取入空間40を挟んで離隔しているので、吸気装置30から空気取入空間40に伝達される吸気脈動が抑制されて、該空気取入空間40を形成するエンジンカバー15の振動に起因する騒音が低減する。
また、外気取入口42は、平面視で吸気消音器50または膨張室51aを後方および左右方向で囲んでいることから、その周長を長くすることができて、燃焼用空気としての外気の所要量の取入れを確保しながら、外気取入口42の開口幅Wを小さくすることができるので、外気取入口42からの水および異物の侵入抑制効果が高められる。
さらに、外気取入口42は、上流端口51i1よりも下方に位置し、かつ導入ダクト55はエンジンカバー15から離隔しているので、エンジンカバー15から導入ダクト55が上方に突出している場合とは異なり、空気取入空間40からの良好な排水性を確保するために、エンジンカバー15の、空気取入空間40を形成する形成壁である天井壁15bの形状に対する導入ダクト55の制約が少なくなり、天井壁15bの形状の設計の自由度が大きくなる。
また、導入ダクト55は底壁53から下方に突出していないことにより、その分、空気導入口51i付近において、上下方向で底壁53をエンジンカバー15に近づけることができるので、エンジンカバー15に対して吸気消音器50の位置を高くすることなく、膨張室51aの容積を増大できる。この結果、上下方向で船外機Sを小型化しながら、膨張室51aの容積増大により吸気騒音の低減効果を向上できる。
この構造により、エンジンルームR内の吸気装置30と空気取入空間40との間に吸気消音器50が介在しているので、吸気装置30から空気取入空間40に伝達される吸気脈動が抑制されて、該空気取入空間40を形成するエンジンカバー15の振動に起因する騒音が低減する。
また、外気取入口42は、上流端口51i1に対して左右方向での両側で、かつ、前後方向でシリンダヘッド2およびヘッドカバー3から回転中心線Leよりも前方までの前後範囲に渡って形成されていることから、前後方向での外気取入口42の長さを長くできるので、燃焼用空気としての外気の所要量の取入れを確保しながら、外気取入口42の開口幅を小さくすることができて、水および異物の侵入抑制効果が高められ、上流端口51i1を通じての吸気消音器50への、したがって燃焼用空気への水の侵入を効果的に抑制できる。
また、空気取入空間40に侵入した水は空気取入空間40から左右方向に排水されるので、空気導入口51iを通じての吸気消音器50,60への、したがって燃焼用空気への水の侵入を効果的に抑制できる。
この構造により、エンジンルームR内に配置された吸気装置30が吸気消音器60を備え、エンジンルームR外には、吸気消音器60に燃焼用空気を導く吸気消音器50が設けられるので、吸気装置30からの吸気脈動が上流側消音器50により減衰して、吸気騒音が低減する。
また、吸気消音器50において、エンジンルームR外に形成される空気取入空間40に開口する空気導入口51iは空気導出口51oよりも前方に配置されることにより、外気取入口42が空気取入空間40の後端部で後方に開口する場合に、該外気取入口42から空気導入口51iまでの前後方向での距離を大きくできるので、空気取入空間40に侵入した水が吸気消音器50に侵入することが抑制される。この結果、空気導入口51iを通じての吸気消音器50への、したがって燃焼用空気への水の侵入を効果的に抑制できる。
さらに、前後方向で、吸気出口61oは、空気導出口51oおよび吸気入口61iに対して空気導入口51iとは反対側に配置されることにより、空気導入口51iから空気導出口51oおよび吸気入口61iを経て吸気出口61oに至る燃焼用空気の流れが前後方向で円滑化されて吸気抵抗が減少するので、体積効率が向上し、機関出力性能が向上する。
スロットル通路33は、平面視で前後方向または直線Laに沿って延びていることにより、両吸気消音器50,60からスロットル弁装置31に至る通路での吸気抵抗が減少して、体積効率が向上する。
この構造により、吸気消音器50において段形状に形成された底壁53の低壁部53bは、吸気消音器60と重ならないことにより、低壁部53bを下方に配置できるので、膨張室51aの容積を増大させることができて、吸気消音器50による吸気騒音の低減効果を高めることができる。
また、吸気消音器60の吸気入口61iに接続される空気導出口51oが設けられる高壁部53aは、吸気消音器60の真上に配置されることで、高壁部53aによりその下方に形成されるスペースに吸気消音器60が配置される。この結果、高壁部53aおよび低壁部53bを有する底壁53において平面視で吸気消音器60と重なる部分である高壁部53aを利用することで、空気導出口51oおよび吸気入口61iを接続しながら、両吸気消音器50,60を上下方向で近接させて配置できるので、両吸気消音器50,60を上下方向にコンパクトに配置することができて、船外機Sを上下方向で小型化できる。
また、吸気消音器50の空気導出口51oに接続される吸気入口61iが設けられる低壁部67bは、吸気消音器50の真下に配置されることで、低壁部67bによりその上方に形成されるスペースに吸気消音器50が配置される。この結果、高壁部67aおよび低壁部67bを有する頂壁67において平面視で吸気消音器50と重なる部分である低壁部67bを利用することで、空気導出口51oおよび吸気入口61iを接続しながら、両吸気消音器50,60を上下方向で近接させて配置できるので、両吸気消音器50,60を上下方向にコンパクトに配置することができて、船外機Sを上下方向で小型化できる。
また、吸気入口61iが設けられる低壁部67bは、空気導出口51oが設けられる第1高壁部53a1の真下に配置されることで、第1高壁部53a1によりその下方に形成されるスペースに高壁部67aよりも下方に位置する低壁部67bが配置される。この結果、両吸気消音器50,60において平面視で互いに重なる第1高壁部53a1および低壁部67bを利用することで、空気導出口51oおよび吸気入口61iを接続しながら、両吸気消音器50,60を上下方向で近接させて配置できるので、両吸気消音器50,60を上下方向にコンパクトに配置することができて、船外機Sを上下方向で小型化できる。
吸気消音器50は、その一部がトップカバー27により構成されたが、トップカバー27とは別個の部材により構成されてもよい。
外気取入口42は、左右方向で上流端口51i1,61i1に対して少なくとも一方側に形成されていてもよい。また、空気取入空間40の後端部は、外気取入口42を形成することなく、閉塞されていてもよく、この場合には、取入口および取出口の左右方向での両側または一側方で、前後方向に延びている外気取入口42から燃焼用空気が取り入れられる。
内燃機関は、6気筒以外のV型内燃機関、複数のシリンダが直列に配列される多気筒内燃機関または単気筒内燃機関であってもよい。
動力装置は、船舶推進機以外の機械、例えば、駆動対象として発電機または圧縮機などを備える作業機または駆動対象として車輪を備える車両に備えられてもよい。
S…船外機、P…動力装置、E…内燃機関、R…エンジンルーム、J1〜J4…突合せ面、Ri…換気入口、G…発電機、A…突出壁、D…導風部品。
Claims (3)
- 燃焼空間を形成するシリンダヘッド(2)と、クランク室(5)に配置される上下方向のクランク軸(8)と、燃焼用空気を前記燃焼空間に導く吸気通路を形成する吸気装置(30)とを備える内燃機関(E)と、該内燃機関(E)が収容されるエンジンルーム(R)を形成するエンジンカバー(15)と、前記エンジンルーム(R)内の空気を前記エンジンルーム(R)の外部に導く排出通路(91)を形成する換気装置と、を備える船外機において、
前記吸気装置(30)は、前記エンジンルーム(R)の外部に開口する吸気入口(61i)を有するとともに前記吸気通路を形成する吸気通路部品(60)を備え、
前記吸気通路部品(60)は、前記エンジンルーム(R)内で前記エンジンカバー(15)の天井壁(15b)の真下に配置されたケース(60a,60b)により構成され、
前記換気装置は、前記エンジンルーム(R)の外部に開口する換気出口(91o)を有する前記排出通路(91)を形成する排出通路部品(90)を備え、
前記排出通路部品(90)は、前記エンジンルーム(R)内で前記エンジンカバー(15)の天井壁(15b)の下方付近に形成されて、上ケース(92b)および下ケース(92a)からなるケース(92)により構成され、該ケース(92)には、前記エンジンルーム(R)内に開口する空気流入口(91i)が設けられるとともに、該ケース(92)内に、前記空気流入口(91i)から前記換気出口(91o)へ向かって空気を圧送するファン(93)を備え、
前記吸気通路部品(60)を構成するケース(60a,60b)と前記排出通路部品(90)を構成するケース(92)とは、互いに別個の部品であると共に前記エンジンカバー(15)とも別個の部品であり、前記両ケース(60a,60b;92)は、前記エンジンルーム(R)内で互いに離間した状態で前記内燃機関(E)の上端部に取り付けられることを特徴とする船外機。 - 請求項1記載の船外機において、
前記エンジンルーム(R)の外部に開口する前記換気入口(Ri)が前記エンジンカバー(15)に設けられ、前記クランク軸(8)の回転中心線(Le)の方向から見たとき、前記換気入口(Ri)および前記換気出口(91o)の配列方向において、前記換気入口(Ri)は前記回転中心線(Le)に対して前記シリンダヘッド(2)寄りに配置され、かつ前記排出通路部品(90)は前記吸気通路部品(60)に対して前記換気入口(Ri)とは反対側で前記回転中心線(Le)寄りに配置されることを特徴とする船外機。 - 請求項1または2項記載の船外機において、
前記内燃機関の動弁装置(23)は、伝動機構(24)を介して伝達される前記クランク軸(8)の動力により回転駆動されるカム軸(23a)を備え、
前記吸気通路部品(60)を構成するケース(60a,60b)および前記排出通路部品(90)を構成するケース(92)は、前後方向に並んで配置されると共に前記伝動機構(24)を上方から覆うことにより、前後方向に二分割された伝動カバーを構成し、前記ファン(93)は前記クランク軸(8)に連結されることを特徴とする船外機。
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