JP4799607B2 - 船外機 - Google Patents

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本発明は、吸気装置を備える内燃機関と、内燃機関が収容されるエンジンルームを形成するエンジンカバーと、エンジンルーム内の換気を行う換気装置とを備える動力装置を搭載する船外機に関する
船外機に搭載される動力装置が、燃焼用空気を燃焼室に導く吸気通路を形成する吸気装置を備える内燃機関と、内燃機関が収容されるエンジンルームを形成するエンジンカバーと、エンジンルーム内の空気をエンジンルームの外部に排出する排出通路を形成する換気装置とを備え、吸気通路の吸気入口がエンジンルームの外部に開口するものは知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
特開平5−286490号公報 特開2007−38989号公報(図3)
吸気装置において吸気通路を形成する吸気通路部品がエンジンルーム内に配置されて吸気入口がエンジンルームの外部に開口する内燃機関では、燃焼用空気としてエンジンルームの外部の空気(以下、「外気」という。)が吸気通路に直ちに吸入されることから、外気がエンジンルーム内に流入して内燃機関からの放熱により加熱された後に吸入されるものに比べて、空気はその温度が低い状態で吸気通路に流入するので、内燃機関の充填効率が高められる。
ところで、エンジンルーム内の換気を行う換気装置が備えられる場合、エンジンルーム内の空気をエンジンルームの外部に導く排出通路を流れる空気は比較的高温であるので、充填効率の低下を防止するためには、排出通路内の空気による燃焼用空気の加熱を回避することが望ましい。
しかしながら、エンジンルーム内に開口する流入口とエンジンルームの外部に開口する換気出口とを有する排出通路を形成する排出通路部品が、エンジンルームの外部において燃焼用空気が流れる空間に配置されると、排出通路内の空気が排出通路部品を通じて燃焼用空気を加熱して、充填効率の低下を招来することがある。
また、エンジンルーム内に吸気通路部品が配置される動力装置において、充填効率の向上のためには、エンジンルーム内の空気のうちでも比較的高温の空気を優先して排出することにより、吸気通路部品がエンジンルーム内の高温の空気に曝されるのを極力抑制することが望ましい一方で、換気装置には、エンジンルームの外部から流入した換気用空気により内燃機関の構成部品である機関本体や該機関本体に取り付けられる機関部品(例えば発電機)を冷却することも要請される。さらに、換気装置の排出通路が吸気装置の吸気通路と共にエンジンルーム内に配置される場合にも、排出通路内の空気による吸気通路内の空気の加熱を抑制することが望ましい。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、請求項1〜3記載の発明は、吸気通路を形成する吸気通路部品および排出通路を形成する排出通路部品を互いに別個の部品とすると共にエンジンルーム内に配置することにより、燃焼用空気と排出通路内の空気との間の熱の授受の抑制による充填効率の向上と、吸気効率および換気効率の向上とを図ることを目的とする。そして、請求項2記載の発明は、さらに、換気用空気による内燃機関の冷却性を向上させながら換気効率の向上を図ることを目的とし、請求項3記載の発明は、さらに、船外機において、動弁装置のカム軸を回転駆動する伝動機構を覆う伝動カバーが吸気通路部品および排出通路部品により構成される場合に、該伝動機構を覆うための該伝動カバーの取付を容易にすることを目的とする。
請求項1記載の発明は、燃焼空間を形成するシリンダヘッド(2)と、クランク室(5)に配置される上下方向のクランク軸(8)と、燃焼用空気を前記燃焼空間に導く吸気通路を形成する吸気装置(30)とを備える内燃機関(E)と、該内燃機関(E)が収容されるエンジンルーム(R)を形成するエンジンカバー(15)と、前記エンジンルーム(R)内の空気を前記エンジンルーム(R)の外部に導く排出通路(91)を形成する換気装置と、を備える船外機において、前記吸気装置(30)は、前記エンジンルーム(R)の外部に開口する吸気入口(61i)を有するとともに前記吸気通路を形成する吸気通路部品(60)を備え、前記吸気通路部品(60)は、前記エンジンルーム(R)内で前記エンジンカバー(15)の天井壁(15b)の真下に配置されたケース(60a,60b)により構成され、前記換気装置は、前記エンジンルーム(R)の外部に開口する換気出口(91o)を有する前記排出通路(91)を形成する排出通路部品(90)を備え、前記排出通路部品(90)は、前記エンジンルーム(R)内で前記エンジンカバー(15)の天井壁(15b)の下方付近に形成されて、上ケース(92b)および下ケース(92a)からなるケース(92)により構成され、該ケース(92)には、前記エンジンルーム(R)内に開口する空気流入口(91i)が設けられるとともに、該ケース(92)内に、前記空気流入口(91i)から前記換気出口(91o)へ向かって空気を圧送するファン(93)を備え、前記吸気通路部品(60)を構成するケース(60a,60b)と前記排出通路部品(90)を構成するケース(92)とは、互いに別個の部品であると共に前記エンジンカバー(15)とも別個の部品であり、前記両ケース(60a,60b;92)は、前記エンジンルーム(R)内で互いに離間した状態で前記内燃機関(E)の上端部に取り付けられることを特徴とする船外機である。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の船外機において、前記エンジンルーム(R)の外部に開口する前記換気入口(Ri)が前記エンジンカバー(15)に設けられ、前記クランク軸(8)の回転中心線(Le)の方向から見たとき、前記換気入口(Ri)および前記換気出口(91o)の配列方向において、前記換気入口(Ri)は前記回転中心線(Le)に対して前記シリンダヘッド(2)寄りに配置され、かつ前記排出通路部品(90)は前記吸気通路部品(60)に対して前記換気入口(Ri)とは反対側で前記回転中心線(Le)寄りに配置されるものである。
請求項3記載の発明は、請求項1または2項記載の船外機において、前記内燃機関の動弁装置(23)は、伝動機構(24)を介して伝達される前記クランク軸(8)の動力により回転駆動されるカム軸(23a)を備え、前記吸気通路部品(60)を構成するケース(60a,60b)および前記排出通路部品(90)を構成するケース(92)は、前後方向に並んで配置されると共に前記伝動機構(24)を上方から覆うことにより、前後方向に二分割された伝動カバーを構成し、前記ファン(93)は前記クランク軸(8)に連結されるものである。
請求項1記載の発明によれば、吸気通路部品および排出通路部品は、別個の独立した部品であると共にエンジンカバーとも別個の部品であるので、吸気通路内の燃焼用空気と排出通路内の空気との間での熱の授受が抑制されて充填効率が向上するうえ、エンジンルーム内での吸気通路部品および排出通路部品の配置に対する互いの制約が少なくなって両通路部品の配置の自由度が大きくなることから、両通路部品のそれぞれの機能をなすための最適な形状に形成することができるので、吸気効率および換気効率の向上に寄与する。
請求項2記載の事項によれば、シリンダヘッド寄りに配置された換気入口からエンジンルーム内に流入した換気用空気は、内燃機関の機関本体において燃焼空間を形成するために比較的高温の部位であるシリンダヘッドを冷却した後にクランク軸の回転中心線寄りに配置される排出通路部品により形成される排出通路に流入するので、エンジンルーム内の比較的高温の空気を効率よくエンジンルームの外部に排出することができて、換気用空気による内燃機関の冷却性を向上させながら換気効率を向上させることができる。
請求項3記載の事項によれば、動弁装置のカム軸を回転駆動する伝動機構を覆う伝動カバーが、前後方向に分割された吸気通路部品および排出通路部品により構成されるので、前後方向で互いに反対方向から、両部品を着脱することが可能になり、伝動カバーが吸気通路部品および排出通路部品により構成される場合に、該伝動機構を覆うための伝動カバーの取付が容易になる。
以下、本発明の実施形態を図1〜図16を参照して説明する。
図1〜図3を参照すると、本発明が適用された船舶推進機としての船外機Sは、動力装置Pと、該動力装置Pにより駆動される推力発生部材としてのプロペラ20と、動力装置Pを船体Tに取り付けるための取付装置21とを備える。動力装置Pは、エンジンとしての内燃機関Eと、該内燃機関Eが発生する動力をプロペラ20に伝達する動力伝達装置と、内燃機関Eが収容されるエンジンルームRを形成するエンジンカバー15等のカバー類と、内燃機関Eの燃焼用空気を取り入れる空気吸入部品としての吸気消音器50と、内燃機関Eが収容されるエンジンルームR内の換気を行う換気装置とを備える。
内燃機関Eは、複数のシリンダ1aを備える水冷式多気筒4ストローク内燃機関、この実施形態ではV型6気筒内燃機関であり、しかも回転中心線Leが上下方向に指向するクランク軸8を備えるバーチカル機関である。内燃機関Eは、それぞれにピストン6が往復動可能に嵌合する6つのシリンダ1aが平面視で後方に向かって開いたV字形の1対のバンクを形成するように配列されたシリンダブロック1と、シリンダブロック1の各バンクの後端部に結合される1対のシリンダヘッド2と、各シリンダヘッド2の後端部に結合される1対のヘッドカバー3と、シリンダブロック1の前端部に結合されるクランクケース部4とから構成される機関本体(以下、「機関本体」という。)を備える。
そして、シリンダヘッド2およびヘッドカバー3は、機関本体の後端部材であり、クランクケース部4は、機関本体の、回転中心線Leよりも前方に位置する部分である前端部材である。
各シリンダ1aのシリンダ孔1bに嵌合するピストン6はコンロッド7を介してクランク軸8に連結される。クランク軸8は、シリンダブロック1においてクランク軸8寄りの部分である前部1cとクランクケース部4とから構成されるクランクケースにより形成されるクランク室5内に配置されて、該クランクケースに主軸受9を介して回転可能に支持される。
なお、明細書および特許請求の範囲において、上下方向、前後方向および左右方向は、それぞれ船体Tにおける上下方向、前後方向および左右方向であり、図1に示されるように、クランク軸8の回転中心線Leの方向(以下、「回転中心線方向」という。)が上下方向に一致しているときのものであるとし、また上下方向に直交する方向である水平方向は前後方向および左右方向を含む。そして、上方および下方の一方を回転中心線方向での一方向とするとき、上方および下方の他方は、回転中心線方向での他方向であり、前方および後方の一方を前後方向での一方向とするとき、前方および後方の他方は、前後方向での他方向である。また、平面視とは上下方向または回転中心線方向から見ることを意味し、周方向とは、特に断らない限り回転中心線Leを中心とする周方向である。
機関本体はマウントケース10の上端部に結合され、マウントケース10の下端部にオイルパン11および該オイルパン11を囲むエクステンションケース12が結合され、エクステンションケース12の下端部にギヤケース13が結合される。内燃機関Eの下部、マウントケース10およびエクステンションケース12の上部は、エクステンションケース12に結合される下カバー14により覆われ、下カバー14の上端部に内燃機関Eの上部を含む大部分を覆うエンジンカバー15が結合される。エンジンカバー15と該エンジンカバー15とは別個の部材である下カバー14とは、内燃機関Eが配置されるエンジンルームRを形成する。エンジンカバー15は、回転中心線Leを中心とする周方向に延びて配置されて内燃機関Eを水平方向で囲む周壁15aと、上方から内燃機関Eを覆う天井壁15bとを有する。また、エンジンルームR内には、内燃機関Eに備えられる補機としての交流発電機である発電機Gが配置される。
内燃機関Eの出力軸としてのクランク軸8の下端部にはフライホイール16および駆動軸17が結合される。クランク軸8により回転駆動される駆動軸17は、マウントケース10内およびエクステンションケース12内を下方に延び、さらにギヤケース13内に達するように配置され、ギヤケース13内で駆動軸17から伝達される回転を制御する前後進切換装置18を介して推進軸19に結合される。それゆえ、内燃機関Eの動力は、クランク軸8から駆動軸17、前後進切換装置18および推進軸19を経て、推進軸19に結合されるプロペラ20に伝達され、プロペラ20が回転駆動される。駆動軸17の回転中心線は、この実施形態では回転中心線Leに一致するが、回転中心線Leに平行であってもよい。
ここで、エンジンカバー15,下カバー14、マウントケース10、エクステンションケース12およびギヤケース13は、前記カバー類を構成し、駆動軸17、前後進切換装置18および推進軸19は、内燃機関Eが発生する動力をプロペラ20に伝達する前記動力伝達装置を構成する。
取付装置21(図1参照)は、マウントケース10およびエクステンションケース12にそれぞれマウントゴム21aを介して固定されるスイベル軸21bを回動可能に支持するスイベルケース21cと、スイベルケース21cを回動可能に支持するチルト軸21dを保持すると共に船体Tの船尾に固定されるブラケット21eとを備える。取付装置21により、プロペラ20が取り付けられた動力装置Pは、船体Tに対してチルト軸21dを中心に上下方向に揺動可能であり、スイベル軸21bを中心に左右方向に揺動可能である。
図2を参照すると、シリンダヘッド2には、シリンダ1a毎に、シリンダ軸線方向でピストン6に対向する燃焼室22と、燃焼室22に開口する吸気ポートおよび排気ポートと、燃焼室22に臨む点火栓とが設けられる。シリンダ軸線方向でピストン6と燃焼室22との間のシリンダ孔1bは、シリンダヘッド2により形成される燃焼室22と共に混合気が燃焼する燃焼空間を構成する。シリンダヘッド2に設けられる吸気弁および排気弁は、シリンダヘッド2とヘッドカバー3とにより形成される動弁室に収容される頭上カム軸型の動弁装置23により駆動され、クランク軸8の回転に同期して前記吸気ポートおよび前記排気ポートをそれぞれ開閉する。
動弁装置23は、動弁用伝動機構24介して伝達されるクランク軸8の動力により回転駆動されるカム軸23aと、カム軸23aに設けられた吸気カム23bおよび排気カム23cと、1対のロッカアーム軸23dに揺動可能にそれぞれ支持される吸気ロッカアーム23eおよび排気ロッカアーム(図示されず)とを備える。そして、吸気カム23bおよび排気カム23cが、吸気ロッカアーム23eおよび前記排気ロッカアームを介して前記吸気弁および前記排気弁を開閉駆動する。
図3を併せて参照すると、クランク軸8の上端部には、動弁用駆動プーリ24aおよび補機用駆動プーリ25aが上方に向かって順次設けられる。駆動プーリ24aとカム軸23aに設けられたカムプーリ24bと両プーリ24a,24bに掛け渡されたベルト24cとを有する動弁用伝動機構24と、駆動プーリ25aと発電機Gの回転軸101 に設けられた被動プーリ25bと両プーリ25a,25bに掛け渡されたベルト25cとを有する補機用伝動機構25とは、機関本体の上端部に結合される伝動カバーとしてのベルトカバーにより上方から覆われて、いずれもエンジンルームR内に配置される。前記ベルトカバーは、各シリンダヘッド2および最上部のシリンダ1aの真上に配置されてカムプーリ24bおよびベルト24cの大部分を覆う吸気通路部品としての吸気消音器60と、前記クランクケースまたはクランク室5の真上に配置されて両駆動プーリ24a,25a、被動プーリ25b、ベルト24cの一部およびベルト25cの全体を覆う排出通路部品90とから構成される。なお、ベルト24cは、テンショナ24dおよび2つのアイドルプーリ24e,24fにも掛け渡されている。
そして、いずれもエンジンルームR内に配置される吸気消音器60および排出通路部品90は、互いに別個の部品であると共にエンジンカバー15とも別個の部品であり、前後方向に並んで配置されて、両伝動機構24,25を上方から覆う前後方向に二分割された前記ベルトカバーを構成する。
内燃機関Eは、エンジンルームR内に配置される吸気装置30を備える。該吸気装置30により形成される吸気通路を流れる燃焼用空気は、燃料噴射弁から供給される燃料と混合して混合気を形成し、該混合気が燃焼室22において前記点火栓により点火されて燃焼する。発生した燃焼ガスの圧力により駆動されて往復運動するピストン6は、コンロッド7を介してクランク軸8を回転駆動する。図1を併せて参照すると、燃焼ガスは、排気ガスとして、燃焼室22から前記排気ポートおよびシリンダヘッド2に設けられた排気マニホルドを順次通って排気管26(図1参照)に流入し、該排気管26からエクステンションケース12内、ギヤケース13内およびプロペラ20のボス内に渡って設けられた排気通路(図示されず)を通って船外機Sの外部に排出される。
図1〜3を参照すると、動力装置Pは、エンジンルームR外(すなわちエンジンルームRの外部)に配置されると共にエンジンルームR(またはエンジンカバー15の天井壁15b)の真上に配置される空気通路装置を備える。該空気通路装置は、船外機Sの外部の空気である外気を燃焼用空気として吸気装置30に導く吸気消音器50と、外気を換気用空気としてエンジンルームR内に導入する一方でエンジンルームR内の換気用空気をエンジンルームR外(または船外機Sの外部)に排出する換気通路部品とから構成される。
併せて図4〜図6を参照すると、前記空気通路装置は天井壁15bに着脱可能に取り付けられる外装カバーを備える。エンジンカバー15と共に船外機Sの外観を形成する前記外装カバーは、船外機Sの最上部を構成するトップカバー27と、トップカバー27と天井壁15bまたはエンジンルームRとの間に配置されてトップカバー27により上方から覆われる中間カバー28とから構成される。
エンジンカバー15、トップカバー27および中間カバー28は、いずれも、合成樹脂を形成材料として、成形型により成形された単一の部材である。
中間部材である中間カバー28は、トップカバー27とエンジンカバー15の天井壁15bとの間に上下方向での間隔をおいて配置され、トップカバー27は中間カバー28を介して天井壁15bに取り付けられる。したがって、エンジンカバー15とトップカバー27とは、中間カバー28を介して結合される。天井壁15bは、そのほぼ全体またはその過半で、中間カバー28により上方から覆われ、中間カバー28は、その過半で、トップカバー27により上方から覆われる。そして、前後方向においては、中間カバー28のほぼ全体または過半がトップカバー27により覆われる。
吸気消音器50と、導入部品70および導出部品80から構成される前記換気通路部品とは、いずれもトップカバー27および中間カバー28により構成される。そして、該両カバー27,28により、燃焼用空気を吸気装置30の前記吸気通路に導く空気吸入通路51と、外気を換気用空気としてエンジンルームR内に導く導入通路71と、エンジンルームR内から排出された空気を、エンジンルームR外に導き、さらに両カバー27,28の外部、すなわち船外機Sの外部に導く導出通路81とが形成される。
一方、天井壁15bと中間カバー28との間に形成される上下方向での空隙は、外気を燃焼用空気として空気吸入通路51に導く空気取入空間40を構成する。
これにより、中間カバー28を境にして、中間カバー28の下方に空気取入空間40により構成される下部空間が形成され、中間カバー28の上方に空気吸入通路51と導入通路71と導出通路81とにより構成される上部空間が形成される。そして、空気取入空間40と導出通路81との間では、天井壁15bと中間カバー28とが当接することにより空気の漏れが防止または抑制される。
図2〜図5,図7,図9を参照すると、天井壁15bと中間カバー28とは、両者またはいずれか一方に設けられて結合手段としてのネジN1が挿通またはねじ込まれる柱状または台状の結合部15e,28eにおいて結合される。天井壁15bと中間カバー28との間隔は、結合部15e,28e同士が上下方向で当接することにより規定される。
空気取入空間40は、エンジンカバー15および中間カバー28に沿って全周に渡って周方向に延びている開放口41を有する。開放口41の開口幅W(図2,図12参照)は、周壁15aと天井壁15bとの境界部および中間カバー28の下端部により規定される。開放口41の一部である前端部41a(図1も参照)は、トップカバー27の一部である前端部から構成される遮蔽部27aにより覆われて閉塞される。そして、開放口41のうちで前端部41a以外の部分は、外気を燃焼用空気として空気取入空間40に取り入れる外気取入口42を構成する。吸気消音器50よりも前方に配置される遮蔽部27aは、前後方向で導出空間81の主室81aを前部空間および後部空間にほぼ二等分したとき、前後方向で、前記前部空間とほぼ同じ位置にある。遮蔽部27aにより、前方からの水が外気取入口42に侵入することが抑制される。
また、トップカバー27と中間カバー28とは、両者または両者のいずれか一方に設けられて結合手段としてのネジN2が挿通またはねじ込まれる柱状または台状の結合部27f,28fにおいて結合される。トップカバー27と中間カバー28との上下方向での間隔は、結合部27f,28f同士が上下方向で当接することにより規定される。
そして、エンジンカバー15は、互いに結合されて一体化された両カバー27,28がエンジンカバー15に結合された後に、下カバー14に結合される。それゆえ、エンジンカバー15とトップカバー27とは中間カバー28を介して結合される。
1以上、この実施形態では複数の第1結合部は、いずれも上下方向でエンジンカバー15と中間カバー28との間の空気取入空間40に分散されて配置される。前記各第1結合部はネジN1が挿通される結合部15eおよびネジN1がねじ込まれる結合部28eから構成される。結合部15eは、上下方向で結合部28eと対向する位置で、天井壁15bに一体成形されて設けられ、中間カバー28に向かって上方に突出するボスから構成される。結合部28eは、中間カバー28に一体成形されて設けられ、天井壁15bに向かって下方に突出するボスから構成される。
そして、吸気消音器50および導入部品70は、エンジンカバー15との間に、吸気消音器50を天井壁15bに支持するための局部的な部分である支持部としての前記第1結合部を除いて、空気取入空間40が形成されるように天井壁15bから離隔している。
また、1以上、この実施形態では複数の第2結合部は、上下方向でトップカバー27と中間カバー28との間で、後述する導入通路71および膨張室51aに分散されて配置される。前記各第2結合部はネジN2が挿通される結合部28fおよびネジN2がねじ込まれる結合部27fから構成される。結合部28fは、上下方向で結合部27fと対向する位置で、中間カバー28に一体成形されて設けられ、トップカバー27に向かって上方に突出するボスから構成される。結合部27fは、トップカバー27に一体成形されて設けられ、中間カバー28に向かって下方に突出するボスから構成される。
結合部28eは、該結合部28eの周方向に間隔をおいて一体成形され、かつ径方向で外方に突出する複数のリブ28e1により、剛性が高められている。また、他の結合部15e,28e,27fに比べて高い(すなわち突出量が大きい)結合部28fは、図4,図5によく示されるように、後述する側壁54と一体成形されることにより該側壁54により補強されて、その剛性が高められている。
図1〜図4,図7,図8を参照すると、エンジンルームR外に配置されて空気吸入通路51を形成する上流側の吸気消音器50は、トップカバー27の一部により構成される頂壁52と、中間カバー28により構成される底壁53と、頂壁52と底壁53との間で中間カバー28により構成されて上方に向かって突出する周壁54と、中間カバー28により構成される導入ダクト55および導出ダクト56とを有する。底壁53は、上下方向で空気取入空間40を挟んで天井壁15bと対向する。周壁54は、前壁54a、後壁54b、左壁54cおよび右壁54dから構成される。導入ダクト55は、天井壁15bから上方に離隔している。
図7に示されるように、頂壁52には、トップカバー27および中間カバー28と一緒にエンジンカバー15を移動させる際、例えばトップカバー27および中間カバー28と一体に結合された状態でエンジンカバー15を下カバー14に対して着脱する際に、トップカバー27を掴むためのグリップ部130 が設けられる。トップカバー27とは別個の部材であるグリップ部130 は、頂壁52に形成された凹部131 に収容された状態で、中間カバー28に一体成形されて設けられたボスからなる1対の取付部132 に、凹部131 の底壁131aに設けられた挿通孔133 に挿通されるボルト134 および該ボルト134 に螺合するナット135 により結合される。底壁131aに設けられた突出部136 は、膨張室51aを上下方向に貫通して空気取入空間40に達するように延出する。該突出部136 には、凹部131 に侵入した水を排出するために、空気取入空間40に開口する水抜孔137 が設けられる。
図7,図8を参照すると、底壁53は、平面視で吸気消音器60と重なる上側高壁部53aと、平面視で吸気消音器60と重なることなく高壁部53aよりも下方に位置する上側低壁部53bとを有する段形状の壁である。低壁部53bよりも後方に位置する高壁部53aは、導出ダクト56および空気導出口51oが配置される第1高壁部53a1と、第1高壁部53a1よりも上方に、かつ後方に位置する第2高壁部53a2とを有する。
図2,図7,図8を参照すると、内燃機関Eに吸入される空気が流通する空気吸入通路51は、頂壁52と底壁53と側壁54とから構成される室壁57により形成される拡大室である吸気消音室としての膨張室51aと、導入ダクト55により形成されて空気取入空間40の空気が膨張室51a内に流入する空気導入口51iと、導出ダクト56により形成されて膨張室51a内の空気が吸気入口61iに流出する空気導出口51oとを有する。外気取入口42からの燃焼用空気が流入する膨張室51aの通路面積は、空気導入口51iおよび空気導出口51oのそれぞれの通路面積よりも大きい。
空気導入口51iは、空気取入空間40に下方に向かって開口する上流端口51i1と、膨張室51aに開口する下流端口51i2とを有する。空気導出口51oは、膨張室51aに開口する上流端口51o1と、吸気入口61iに向けて開口する下流端口51o2とを有する。空気導出口51oは、天井壁15bに設けられた流通口15cに開口することにより、該流通口15cおよび環状のシール部材140を介して吸気入口61iにも開口する。
空気導出口51oおよび吸気入口61iは、上下方向に平行な一直線状の通路であり、空気導出口51oおよび吸気入口61iは、上下方向で正対して配置される。
空気導入口51iの上流端口51i1は空気取入空間40に開口する。また、空気導入口51iの全体および空気導出口51o全体は、前後方向で互いに離隔していて回転中心線Leに対して前後に振り分けられて配置される。そして、空気導出口51oの下流端口51o2は、空気導入口51iの上流端口51i1よりも後方に配置される。
図2,図7,図10を参照すると、シール部材140 が、エンジンカバー15の一部として天井壁15bに一体成形されて設けられて流通口15cを形成する通路形成部15mと、吸気消音器60の一部として上ケース60bに一体成形されて設けられる入口ダクト62との間に配置される。シール部材140 は、取出口51oの直下流の流通口15cと吸気入口61iとを連通させる連通口141 を形成する。このため、通路形成部15mおよび入口ダクト62は、トップカバー27および中間カバー28と一体に結合されたエンジンカバー15が、マウントケース10(図1参照)に取り付けられた内燃機関Eの上方から被せられて下カバー14(図1参照)に結合されることにより、シール部材140 を介して突き合わされて接続される。
そして、通路形成部15mおよび入口ダクト62は、突合せ方向K1で対向するシール面としての突合せ面J1,J2をそれぞれ有し、シール部材140 は、両突合せ面J1,J2にそれぞれ密接して、通路形成部15mと入口ダクト62との間を密封する。各突合せ面J1,J2は、突合せ方向K1、または取出口51oから流通口15cおよび連通口141 を経て吸気入口61iを流れる空気の主流にほぼ直交する平面である。
ゴム状弾性を有する弾性材料(すなわちエラストマ)としてのゴムからなるシール部材140 は、第1通路部品としての通路形成部15m および第2通路部品として入口ダクト62の一方の通路部品である通路形成部15m の突合せ面J1と密接するシール部としてのリップ142 と、通路形成部15mおよび入口ダクト62の他方の通路部品である入口ダクト62の突合せ面J2に焼き付け等の固着手段により固着されるシール部としての固着部143 と、通路形成部15mおよび入口ダクト62がシール部材140 を介して設定された間隔で接続された状態(図10(b)に示される状態であり、以下、「接続状態」という。)で、すなわちエンジンカバー15と中間カバー28とが結合された状態で、リップ142 が突合せ面J1により押圧されたときに屈曲形状(この形状には、湾曲形状も含まれる。)に弾性変形する可撓部144 と、連通口141 に露出して連通口141 を流通する気体としての燃焼用空気の圧力が作用する作用面145 とを有する。
そして、シール部材140 には、可撓部144 の屈曲を可能とする程度の所定圧力の充填気体としての空気が充填された中空部146 が設けられる。
突合せ面J1に接離可能で可撓性を有するリップ142 は、リップ142 が突合せ面J1と接触する前の状態(図10(a)参照)で、連通口141 とは反対側の空気取入空間40に向かって傾斜して鍔状に突出し、可撓部144 の屈曲後は、シール部材140 を挟んで連通口141 とは反対側の空気取入空間40側に屈曲する。
また、可撓部144 は、シール部材140 に中空部146 が設けられることにより形成される薄肉部144aを有し、この薄肉部144aにおいて屈曲が生じる。
作用面145 は、前記接続状態の通路形成部15mおよび入口ダクト62によりシール部材140 が押圧されて、リップ142 が突合せ面J1に密接していると共に作用面145 に圧力が作用する前の状態(図8(b)参照)で、流通口15cと吸気入口61iとを連通させる連通口141 内の燃焼用空気の圧力である吸気負圧の作用方向で突合せ面J1と対向する対向面145aを有する。このとき、対向面145aでの吸気負圧の作用方向で突合せ面J1と対向面145aとの間に、連通口141 の一部である空間141aが形成される。
ここで、空気取入空間40と、流通口15c、吸気入口61iおよび連通口141 との間を密封状態にするシール部材140 は、連通口141 に面する内面である作用面145 と、連通口141 の外側空間である空気取入空間40に面する外面を有する。また、対向面145aの一部は可撓部144 の面でもある。
そして、吸気負圧が対向面145aに直交する方向に作用することで、リップ142 を突合せ面J1に押し付ける付勢力が発生する。このため、シール部材140自体の弾性力に基づくリップ142でのシール圧に加えて、該付勢力の分、リップ142 でのシール圧が増大する。
図2〜図4、図8,図9を参照すると、中間カバー28の一部である底壁53に一体成形されて設けられる導入ダクト55および導出ダクト56は、底壁53から下方に向かって突出することなく、底壁53から膨張室51a内で上方に向かって突出している空気ダクトであり、導入ダクト55により膨張室51aへの水の侵入が抑制され、導出ダクト56により吸気入口61iひいては吸気通路への水の侵入が抑制される。導入ダクト55は、空気導出口51oに向かって後方に湾曲するダクトにより構成され、下方から空気導入口51iに流入して上方に向かって流れる空気を空気導出口51oに向けて後方に偏向させる。これにより、空気導入口51iから流入した空気の流れの円滑性が高められて、空気吸入通路51での通気抵抗が減少する。底壁53から膨張室51a内で上方に向かって突出している空気導出口51oは、膨張室51a内において、該空気導出口51oに対して空気導入口51iが配置される方向である前方とは反対方向である後方を向いて開口している。これにより、空気導入口51iから膨張室51a水が空気導出口51oに侵入することが抑制される。
天井壁15bには、前後方向で外気取入口42と上流端口51i1との間に、かつ左右方向で上流端口51i1と同じ位置に、空気取入空間40内で上方に突出する隆起部15pが設けられる。
図11を併せて参照すると、外気取入口42は、吸気消音器50の全体または膨張室51aの全体および上流端口51i1よりも下方に位置すると共に、平面視で、吸気消音器50の全体または膨張室51aの全体を左右方向および後方からU字状に囲んでいる。したがって、外気取入口42は、空気取入空間40の後端部において後方に開口する。
そして、外気取入口42の左右の両前端42b,42cは、前後方向で、空気導出口51o、回転中心線Le、空気導入口51iおよび吸気消音器50または膨張室51aよりも前方まで延びている。このため、外気取入口42は、左右方向での上流端口51i1と空気導出口51oの下流端口51oとに対する側方で、前後方向での上流端口51i1および下流端口51o2の配置範囲Yを超えて前後方向に延びている。このように、外気取入口42は、左右方向で上流端口51i1に対して両側に、かつ、前後方向で機関本体のシリンダヘッド2およびヘッドカバー3からクランク軸8の回転中心線Leよりも前方までの前後範囲に渡って形成されている。
このため、空気取入空間40の周縁である外気取入口42の周方向の長さである周長を長くできるので、燃焼用空気の所要量の取入れを確保したうえで、外気取入口42の開口幅Wを小さくすることができる。
図1,図2,図5,図12を参照すると、エンジンカバー15の天井壁15bは、開放口41または外気取入口42の付近から上方に隆起した形状であり、左右方向において外気取入口42と対向する左右1対の側壁15s,15t(図5には側壁15s,15tが二点鎖線のハッチングで示されている。)を有する。空気取入空間40は、中間カバー28と各側壁15s,15tとにより形成されて外気取入口42から上方に延びている左右1対の立上がり空間40s,40tを有する。立上がり空間40s,40tは、前後方向で外気取入口42と空気導入口51iとの間に位置し、立上がり空間40s,40tの上部で、空気取入空間40の、上下方向で空気導入口51iが開口する空間部分40iに連通する。
図1〜図4、図6,図8を参照すると、前後方向で空気吸入通路51の膨張室51aに隣接してその後方に配置される導入通路71を形成する導入部品70は、トップカバー27の一部により形成される頂壁72と、中間カバー28により形成される底壁73と、頂壁72と底壁73との間でトップカバー27または中間カバー28により形成される形成される側壁74とを有する。側壁74は、底壁73から上方に向かって突出する前壁74a、底壁73から上方に向かって突出する左壁74cおよび右壁74dと、頂壁72から下方に向かって突出する後壁74bとから構成される。
導入通路71は、主室71aと、後壁74bに設けられて後方に向かって開放して外気を主室71a内に取り入れる流入口71iと、流出ダクト76により形成されて主室71a内の空気を換気入口Riに流出させる流出口71oとを有する。流出口71oは、天井壁15bに設けられてエンジンルームR内に開口する換気入口Riに開口することにより、エンジンルームR内に開口している。換言すれば、換気入口Riは、エンジンルームRの外部である流出口71oに開口している。主室71aの通路面積は、流入口71iおよび流出口71oのそれぞれの通路面積よりも大きい。
中間カバー28の一部である底壁73に一体成形されて設けられる流出ダクト76は、主室71a内で上方に向かって突出すると共に換気入口Ri内にも突出している空気ダクトであり、換気入口Ri、ひいてはエンジンルームRへの水の侵入を抑制する。主室71a内には、中間カバー28に一体成形された垂下壁からなる遮蔽壁75が設けられる。該遮蔽壁75には流入口71oから空気と一緒に主室71a内に侵入した水が衝突する位置に配置され、遮蔽壁75により、該水が流出口71o、さらにはエンジンルームR内に侵入することを抑制する。
そして、導入通路71は、エンジンルームRの外部とエンジンルームR内とに渡って連続して延びている換気用空気の空気通路としての連通路を構成する。
図1〜図4,図8を参照すると、前後方向で膨張室51aに隣接してその前方に配置される導出通路81を形成する導出部品80は、トップカバー27により形成される頂壁82と、中間カバー28により形成される底壁83と、頂壁82と底壁83との間でトップカバー27および中間カバー28により形成される側壁84とを有する。導出部品80の全体、したがって排出口81oを含めて導出通路81の全体は、前後方向でクランク軸8の回転中心線Leに対してシリンダヘッド2とは反対側に配置され、ここで回転中心線Leよりも前方に配置される。側壁84は、トップカバー27により形成されて頂壁82から下方に向かって突出する前壁84a、左壁84cおよび右壁84dと、中間カバー28により形成される後壁84bとから構成される。
導出通路81は、主室81aと、流入ダクト85により形成されて換気出口91oから流出した空気を主室81a内に流入させる流入口81iと、排出ダクト86により形成されて主室81a内の空気を船外機Sの外部に後方に向かって流出させる排出口81oとを有する。流入口81iは、天井壁15bに設けられた流通口15d内に開口することにより、該流通口15d(図8も参照)および環状のシール部材29を介して換気出口91oにも開口する。主室81aの通路面積は、流入口81iおよび排出口81oのそれぞれの通路面積よりも大きい。
ゴム材からなるスポンジ状のシール部材29(図14も参照)は、エンジンカバー15の一部として天井壁15bに一体成形されて設けられて流通口15dを形成する通路形成部15n と、排出通路部品90の一部として上ケース92bに一体成形されて設けられて換気出口91oを形成する出口形成部としての出口ダクト97との間に配置される。シール部材29は、流入口81iの直上流の流通口15dと換気出口91oとを連通させる連通口98を形成する。このため、第1通路部品としての通路形成部15nおよび第2通路部品としての出口ダクト97は、トップカバー27および中間カバー28と一体に結合されたエンジンカバー15が内燃機関Eの上方から被せられて下カバー14(図1参照)に結合されることにより、シール部材29を介して突き合わされて接続される。
通路形成部15nおよび出口ダクト97は、突合せ方向K2で対向するシール面としての突合せ面J3,J4をそれぞれ有し、シール部材29は、両突合せ面J3,J4にそれぞれ密接して、通路形成部15nと出口ダクト97との間を密封する。各突合せ面J3,J4は、突合せ方向K2、または排気出口91oから連通口98および流通口15dを経て流入口81iを流れる空気の主流にほぼ直交する平面である。
中間カバー28の一部である底壁83に一体成形されて設けられる流入ダクト85は、主室81a内で上方に向かって突出すると共に流通口15d内にも突出している空気ダクトであり、換気出口91o、ひいては排出通路91への水の侵入を抑制する。排出ダクト86は、左壁84cと中間カバー28の前部の左壁28cとにより形成されるダクト86c、および右壁84dと中間カバー28の前部の右壁28dとにより形成されるダクト86dにより構成される。排出口81oは、各ダクト86c,86dにより形成されて後方に向かって外気に開口する(図5も参照)。
図2,図4,図8を参照すると、中間カバー28は、山形状に屈曲した縦断面を有する二重壁構造の突出壁Aにより形成される枠構造を有する。該枠構造は、前後方向に延びている1対の突出壁Ac,Adと、左右方向に延びていると共に両突出壁Ac,Adに交差する1対の突出壁Aa,Abとにより構成され、中間カバー28の剛性を高めている。
そして、空気取入通路51、導入通路71および導出通路81の側壁54,74,84が突出壁Aにより構成される。具体的には、前壁54aおよび後壁84aはそれぞれ突出壁Aaの1対の壁により構成され、同様に後壁54bおよび前壁74aはそれぞれ突出壁Abの1対の壁により構成される。また、左壁54c,74cは突出壁Acにより構成され、右壁54d,74dは突出壁Adにより構成される。突出壁Aの二重壁の間の空間は空気取入空間40の一部となっている。
さらに、突出壁Aの頂面に一体成形されて設けられた環状の突出部により形成される凸状の嵌合部B1および遮蔽壁75と、トップカバー27の下面に設けられた1対の環状の突出部により形成される凹状の嵌合部B2とが嵌合することで、空気取入通路51、導入通路71および導出通路81の気密性が高められる。
図1〜図3,図9を参照すると、エンジンルームR内に配置されると共に、空気取入通路51内の燃焼用空気を前記吸気ポートを経て燃焼室22に導く前記吸気通路を形成する吸気装置30は、機関本体の上方に配置される下流側の吸気消音器60と、吸気消音器60に接続されて空気量を制御するスロットル弁31aを備えると共に機関本体の上方に配置されるスロットル弁装置31と、スロットル弁装置31に接続される吸気管としての吸気マニホルド32とを備える。吸気消音器50と吸気消音器60とは上下方向に重ねられて配置され、吸気消音器50は、下側吸気消音器としての吸気消音器60の上方に配置される上側吸気消音器である。
吸気入口61iから前記吸気ポートに達するまでエンジンルームR内で途切れない連続した通路である前記吸気通路は、吸気消音器60により形成される上流側吸気通路61と、スロットル弁装置31が備えるスロットルボディにより形成されてスロットル弁31aが配置されるスロットル通路33と、吸気マニホルド32により形成されてスロットル通路33を介して上流側吸気通路61に連通する下流側吸気通路34とから構成される。下流側吸気通路34の空気は、前記吸気通路の出口から前記吸気ポートに流出し、該吸気ポートから燃焼室22に吸入される。スロットル通路33は、平面視で前後方向または直線La(図11参照)に沿って延びている。直線Laは、この実施形態では、平面視で、回転中心線Leをとおり、前後方向に平行である。
そして、空気取入空間40と、取出口51oを有する空気取入通路51と、流通口15cと、連通口141 と、吸気入口61iを有する吸気通路とは、エンジンルームRの外部とエンジンルームR内とに渡って連続して延びている燃焼用空気の空気通路としての連通路を構成する。
図2,図3,図8を参照すると、吸気消音器60は、伝動機構24を上方から覆う第1ケースとしての下ケース60aと、下ケース60aにネジにより気密に結合される第2ケースとしての上ケース60bとから構成される。そして、排出通路部品90が機関本体に取り付けられた後に、前後方向で後方から取付位置にセットされて、下ケース60aに設けられる複数の取付部において、シリンダブロック1、シリンダヘッド2およびヘッドカバー3のそれぞれの上端部に着脱可能に取り付けられる。
吸気消音器60は、膨張室61aを形成する室壁66と、吸気入口61iを形成する入口ダクト62と、吸気出口61oを形成する出口ダクト63とを有する。室壁66、入口ダクト62および出口ダクト63は、上流側吸気通路61の通路壁を構成する。室壁66は、入口ダクト62が一体成形されて接続される上室壁66aと、上室壁66aの下端部に結合されると共に出口ダクト63が一体成形されて接続される下室壁66bとから構成される。
入口ダクト62および吸気入口61iは、上下方向に平行に延びていて、出口ダクト63および吸気出口61oは前後方向に平行に延びている。
上室壁66aの頂壁67は、平面視で上側膨張室51aの底壁53の第2高壁部53a2と重なる下側高壁部67aと、平面視で底壁53の第1高壁部53a1と重なると共に高壁部67aよりも下方に位置する下側低壁部67bを有する段形状の壁である。入口ダクト62および吸気入口61iは、低壁部67bに配置され、出口ダクト63および吸気出口61oは、平面視で高壁部67aよりも下方であって該高壁部67aと重なる位置に配置される。
吸気消音器50および吸気消音器60は、天井壁15bを挟んで、吸気消音器50が天井壁15bの真上に、吸気消音器60が天井壁15bの真下に配置される。隆起部15pは、平面視で、底壁53の第2高壁部53a2および第1高壁部53a1、そして頂壁67の高壁部67aおよび低壁部67bと重なる位置に、第2高壁部53a2、第1高壁部53a1、高壁部67aおよび低壁部67bに沿う形状で上方に隆起する。上下方向で高壁部53aおよび頂壁67の間に配置される隆起部15pは、空気導入口51iよりも後方に位置する。
上流側吸気通路61は、拡大室としての吸気消音室である膨張室61aと、入口ダクト62により形成されて空気取入空間40内の空気を上流側吸気通路61の膨張室61aに流入させる吸気入口61iと、出口ダクト63により形成されて膨張室61a内の空気をスロットル通路33に流出させる吸気出口61oとを有する。吸気消音器50,60からの燃焼用空気が吸気入口61iを通じて流入する下流側膨張室61aの通路面積は、吸気入口61iおよび流出口61oのそれぞれの通路面積よりも大きい。吸気入口61iは、エンジンルームR内に連通することなく、エンジンルームRの外部である空気取入通路51に直接連通している。膨張室61a内で吸気出口61oの上流には、逆火が発生したときに消炎機能を果たす金網からなるフレームトラップ64が配置される。
図1〜3を参照すると、前記換気装置は、外気をエンジンルームR内に導く導入部品70と、内燃機関Eなどからの放熱により加熱されて昇温したエンジンルームR内の空気をエンジンルームR内からエンジンルームR外に排出する排出通路91を形成する排出通路部品90と、排出通路部品90から流出した空気を船外機Sの外部に導く導出部品80とから構成される。
エンジンルームR外に配置される導入通路71においてその流出口71oに開口する換気入口RiからエンジンルームR内に流入した換気用空気は、吸気消音器60の上ケース60bに一体成形されて設けられた案内部材である案内板65に沿って吸気マニホルド32、ヘッドカバー3およびシリンダヘッド2の後方に案内され、その後に、吸気装置30、ヘッドカバー3、シリンダヘッド2、シリンダブロック1およびクランクケース部4などを冷却した後、その一部が、機関本体の前端部を構成するクランクケース部4にブラケット4a(図2参照)を介して取り付けられた発電機Gに、その冷却用空気として吸入される。換気入口Riから流入した換気用空気は、機関本体の後方から機関本体の前方に向かって流れる過程で、前記燃焼空間を形成するシリンダヘッド2およびシリンダブロック1をより低温の状態で冷却するので、冷却空気として効率よく利用される。また、案内板65は吸気消音器60に一体成形されるので、部品点数が削減される。
図1〜図3,図9,図13〜図15を参照すると、伝動機構25を上方から覆う排出通路部品90は、第1ケースとしての下ケース92aと該下ケース92aにネジにより気密に結合される第2ケースとしての上ケース92bとから構成されるケース92と、下ケース92aおよび上ケース92bにより形成される排出通路91に配置されて空気を導出通路81に向けて圧送する送風手段としての遠心式ファンからなる換気ファン93とを備える。排出通路部品90は、前後方向で前方から取付位置にセットされて、ケース92および後述するカバー111 に設けられる複数の取付部Fにおいて、シリンダブロック1およびクランクケース部4の各上端部に着脱可能に取り付けられる。
エンジンルームR内に配置される排出通路91は、エンジンルームRの上端空間Raに配置されて上方に向かって開口する流入口91iと、導出通路81の流入口81iに開口する換気出口91oと、流入口91iから流入した後にファン93により圧送された空気を換気出口91oに導く流出路91cとを有する。上端空間Raは、エンジンルームRにおいて天井壁15bの下方付近で該天井壁15bに沿って形成されている空間部分であり、クランク軸8の上端部、発電機Gおよび伝動機構24,25よりも上方に位置する。多数の羽根93aを有するファン93は、駆動プーリ25aと一体に回転するようにその上部にボルト(図示されず)により結合され、したがってクランク軸8の上端部に設けられる。平面視で、ファン93は、前後方向での換気出口91o寄りの一部において、空気導入口51iと重なる位置に配置される。
流入口91iおよび換気出口91oは上ケース92bに設けられる。天井壁15bに上下方向での空隙を形成して対向する流入口91iは、シリンダヘッド2およびシリンダブロック1を冷却した後に高温となった換気用空気が集まり易い前記クランクケースの上方に配置される。流入口91iには、エンジンルームR内の比較的高温の空気、すなわち、機関本体を冷却した後の空気および発電機Gを冷却した後の空気が流入する。
排出通路91の流出路91cと導出通路81とは、前後方向で発電機Gと同じ位置に配置され、平面視で、流出路91cおよび導出通路81は、発電機Gと重なる位置に配置される。
そして、換気出口91oを有する排出通路91と、連通口98と、流通口15dと、流入口81iを有する導出通路81は、エンジンルームR内の空気を船外機Sの外部に排出するための通路であって、エンジンルームR外とエンジンルームR内とに渡って連続して延びている換気用空気の空気通路としての連通路を構成する。
図2〜図5,図11を参照すると、前後方向で、吸気出口61oは、空気導出口51oおよび吸気入口61iに対して空気導入口51iとは反対側に配置される。空気導出口51o、吸気入口61iおよび吸気出口61oは、平面視で、空気導入口51iとスロットル通路33とに交わる1つの直線Laと交わるように配置される。
平面視で、流入口71iと、流出口71oおよび換気入口Riと、取出口51oおよび吸気入口61iと、吸気出口61o、空気導入口51iと、換気出口91oおよび流入口81iとは、後方からこの順に、前後方向に平行な配列方向に一直線上に配列される。取入口51iは取出口51oおよび吸気入口61iよりも前方に配置される。そして、前記配列方向において、流入口71i、流出口71o、換気入口Ri、空気導出口51o、吸気入口61iは、回転中心線Leに対してシリンダヘッド2寄りである後方に配置され、空気導入口51iおよび換気出口91oおよび流入口81iおよび排出口81oは、回転中心線Leに対してクランク室5寄りである前方に配置される。そして、トップカバー27により、流出口71o、空気導出口51o、空気導入口51iおよび流入口81iが上方から覆われる。
また、平面視で、排出通路部品90は、吸気消音器60に対して流入口71i、流出口71oおよび換気入口Riとは反対側で回転中心線Le寄りに配置される。排出通路部品90の大部分は、取出口51oおよび吸気入口61iよりも前方または回転中心線Le寄りに配置される。このため、前後方向で、吸気消音器60は、シリンダヘッド2側、または船外機Sもしくは機関本体の後部に配置され、排出通路部品90は、クランク室5側(すなわち前記クランクケース側)、または船外機Sもしくは機関本体の前部に配置される。
そして、吸気消音器60および排出通路部品90が互いに別個の部材であり、かつエンジンカバー15とも別個の部材であることにより、その形状に対する互いの制約が少なくなる。例えば、吸気消音器60については、吸気入口61iと吸気出口61oとの間の距離を短くすることができて、吸気効率を向上させることができる。また、エンジンルームR内で比較的低温の空気が存在する領域に配置される吸気消音器60に対して、エンジンルームR内でシリンダヘッド2およびシリンダブロック1を冷却した後の比較的高温の空気が存在する領域に排出通路部品90を配置することができ、しかも流入口91iと換気出口91oとの間の距離を短くできるので、換気効率を向上させることができる。
図1〜図3,図8を参照すると、発電機Gは、伝動機構25を介して伝達されるクランク軸8の動力により回転駆動される回転軸101 (図3,図13参照)と、該回転軸101 と一体に回転するロータを収容するハウジング102 とを備える。前記ロータには空気をハウジング102 内に吸入する冷却ファン(図示されず)が設けられ、ハウジング102 には、該冷却ファンにより吸引されて発電機Gの内部を冷却する空気が吸入されて流入する流入口103 と冷却後の空気が排風として流出する流出口104 とが設けられる。
図1〜図3,図13〜図15を参照すると、エンジンルームR内で、発電機Gの周囲には、発電機Gに流入する空気および発電機Gを冷却した後の空気である排風を流入口91iに案内する導風部品Dが配置される。導風部品Dと排出通路部品90とは、互いに一体化されて、1つの部品である排風部品を構成する。
導風部品Dは、流入口103 および流出口104 の周囲に配置されてハウジング102 を囲む導風カバー111 と、導風カバー111 とハウジング102 とにより形成される導風空間113 (図2参照)から流出口104 を通じて流出した排風を排出通路91の流入口91iに案内する案内部品としての案内壁121 とを備える。そして、導風カバー111 および案内壁121 は、一体成形されており、かつ下ケース92aに一体成形されて設けられる。
導風カバー111 は、発電機Gの回転軸101 の回転中心線Lgに平行な発電機軸線方向および回転中心線Lgを中心とする発電機周方向に延びていてハウジング102 を前方および左右方向から囲む周囲部111aと、周囲部111aの上端部に連なる天井部111bと、周囲部111aの下端部に連なる底部111cとを有する。
周囲部111aの上部にはエンジンルームR内の空気をカバー111 内の導風空間113 に流入させる多数のスリットから構成される空気入口112 が設けられる。天井部111bは、流出路91cを形成する通路壁により構成される。
底部111cは、カバー111 の下端部にネジにより結合されて設けられる板状の部材により構成される。
流出口104 から流出した排風は、天井部111bにより導風空間113 から上方に流出することが抑制され、底部111c により導風空間113 から下方に流出することが抑制されて、後述する排風口114 に導かれる。さらに、天井部111bには、図9,図11,図13に示されるように、空気入口112 から導風空間113 に流入した冷却用の空気が、導風空間113 からファン93に吸入されることを防止し、かつ、流出口104 からの排風が排風口114 を経ることなく、導風空間113 からファン93に直接吸入されることを防止するための1対の遮蔽壁95,96が設けられる。したがって、天井部111b、底部111c、遮蔽壁95,96により、導風空間113 内の排風を排風口114 から効率よく流出させることができる。
図16を併せて参照すると、前後方向で発電機Gの後部と同じ位置であって、カバー111 の周囲部の下部で側方に、発電機Gの回転軸101 の回転方向(図3において時計方向)での接線が後方を向く成分を有する部分には、導風空間113 内の排風を、エンジンルームR内であって、案内壁121 とエンジンカバー15との協働により形成される案内通路129 に、流入口91iに近づく方向で、この実施形態では、発電機Gよりも後方に配置される流入口91iに近づく方向である後方に向けて流出させる排風口114 が設けられる。
案内壁121 は、排風口114 からの排風を、排風口114 よりも上方に配置された流入口91iに向かって偏向させるために斜め上方に傾斜する傾斜壁122 と、案内通路129 の排風を流入口91iおよびファン93の回転中心線である回転中心線Leに向けて偏向させる偏向壁123 とを有する。偏向壁123 で偏向された排風は、上ケース92bに一体成形されて上方に向かって突出して設けられた偏向壁94に案内されて流入口91iに流入する。また、天井壁15bには、上下方向で両偏向壁123 ,94と対向するように垂下する偏向壁15h(図3,図9,図13参照。図13では、分かり易さのために、偏向壁15hが偏向壁123 ,94からずらされている。)と、流入口91iを上方から覆う覆い壁15kとが一体成形されて設けられる。この偏向壁15hにより、排風口114 からの排風が効率よく流入口91iに案内されると共に、エンジンルームR内における該排風以外の空気が流入口91iに向かうことが、該排風により妨げられることが防止される。また、天井壁15bにおいて上方に突出している部分である覆い壁15kは、流入口91iの案内通路129 寄りの部分を、平面視で流入口91iの開口面積の半分以下の範囲で覆い(図4,図13参照)、かつ、案内通路129 において流入口91i寄りの部分を上方から覆う。
次に、前述のように構成された実施形態の作用および効果について説明する。
動力装置Pが搭載された船外機Sにおいて、吸気装置30は、エンジンルームRの外部に開口する吸気入口61iを有する上流側吸気通路61を形成する吸気消音器60を備え、前記換気装置は、エンジンルームRの外部に開口する換気出口91oを有する排出通路91を形成する排出通路部品90を備え、吸気通路部品60と排出通路部品90とは、互いに別個の部品であると共にエンジンカバー15とも別個の部品であり、かつエンジンルームR内に配置されることにより、吸気消音器60および排出通路部品90は、別個の独立した部品であると共にエンジンカバー15とも別個の部品であるので、上流側吸気通路61を含む前記吸気通路内の燃焼用空気と排出通路91内の空気との間での熱の授受が抑制されて充填効率が向上するうえ、エンジンルームR内での吸気消音器60および排出通路部品90の配置に対する互いの制約が少なくなって両通路部品60,90の配置の自由度が大きくなることから、両通路部品60,90のそれぞれの機能をなすための最適な形状に形成することができるので、吸気効率および換気効率の向上に寄与する。
エンジンルームRの外部に開口する換気入口Riがエンジンカバー15に設けられ、クランク軸8の回転中心線Leの方向から見たとき、換気入口Riおよび換気出口91oの前記配列方向(または前後方向)において、換気入口Riは回転中心線Leに対してシリンダヘッド2寄りに配置され、かつ排出通路部品90は吸気消音器60に対して換気入口Riとは反対側で回転中心線Le寄りに配置されることにより、シリンダヘッド2寄りに配置された換気入口RiからエンジンルームR内に流入した換気用空気は、内燃機関Eの機関本体において燃焼空間を形成するために比較的高温の部位であるシリンダヘッド2およびシリンダブロック1を冷却した後にクランク軸8の回転中心線Le寄りに配置される排出通路部品90により形成される排出通路91に流入するので、エンジンルームR内の比較的高温の空気を効率よくエンジンルームRの外部に排出することができて、換気用空気による内燃機関Eの冷却性を向上させながら換気効率を向上させることができる。
内燃機関Eの動弁装置23は、伝動機構24を介して伝達されるクランク軸8の動力により回転駆動されるカム軸23aを備え、吸気消音器60および排出通路部品90は、前後方向に並んで配置されると共に伝動機構24を上方から覆うことにより、前後方向に二分割された前記ベルトカバーを構成する。これにより、該ベルトカバーが、前後方向に分割された吸気消音器60および排出通路部品90により構成されるので、前後方向で互いに反対方向から、具体的には後方から吸気消音器60を、そして前方から排出通路部品90を、それぞれ着脱することが可能になり、前記ベルトカバーが吸気消音器60および排出通路部品90により構成される場合に、該伝動機構24を覆うための前記ベルトカバーの取付が容易になる。
船外機Sは、上下方向でエンジンカバー15とトップカバー27との間に配置される中間カバー28を備え、エンジンカバー15と中間カバー28とを結合する第1結合部15e,28eが、エンジンカバー15と中間カバー28との間に配置され、中間カバー28とトップカバー27とを結合する第2結合部27f,28fが、トップカバー27と中間カバー28との間に配置されることにより、エンジンカバー15および中間カバー28の間の空間に配置される結合部15e,28eにより両者が結合され、トップカバー27および中間カバー28の間の空間に配置される結合部27f,28fにより両者が結合されるので、エンジンカバー15とトップカバー27とが中間カバー28を介して結合される。そして、中間カバー28は、上下方向でエンジンカバー15とトップカバー27との間に配置されることから、エンジンカバー15とトップカバー27との間隔または空間が中間カバー28により分けられて、エンジンカバー15と中間カバー28との間隔およびトップカバー27と中間カバー28との間隔がエンジンカバー15とトップカバー27との間隔よりも小さくなるので、結合部15e,28eおよび結合部27f,28fの高さが小さくなる。この結果、結合部15e,28eおよび結合部27f,28fの所要の剛性を確保することが容易になる。しかも、エンジンカバー15とトップカバー27との間隔による制約が小さくなって結合部15e,28eおよび結合部27f,28fの配置の自由度が大きくなるので、大型のトップカバー27が備えられる場合、エンジンカバー15とトップカバー27との間に空気取入空間40、空気取入通路51、導入通路71、導出通路81が形成される場合、エンジンカバー15およびトップカバー27の剛性を高める場合、およびグリップ部130 が把持される際にトップカバー27を通じてエンジンカバー15に作用する荷重を分散する場合などの各場合において、最適な位置に結合部15e,28eおよび結合部27f,28fを配置することができる。
また、エンジンカバー15とトップカバー27とを結合する結合部の剛性確保のためにエンジンカバー15を上下方向で大型化する必要がないので、エンジンカバー15を製造する成形型の大型化が回避されて、エンジンカバー15の製造コストが削減される。
中間カバー28は、エンジンルームRの外部とエンジンルームR内とに渡って延びている空気通路の一部である取入口51i、取出口51o、流出口71oおよび流入口81iをそれぞれ形成する空気ダクトであるダクト55,56,76,85を有し、ダクト55,56は空気取入通路51内で、ダクト76は導入通路71内で、ダクト85は導出通路81内で、それぞれ上方に向かって突出していることにより、各通路51,71,81内で上方に突出することで水の侵入を抑制可能なダクト55,56,76,85が中間カバー28に設けられるので、エンジンカバー15にそのような空気ダクトが設けられる場合に比べて、エンジンカバー15の形状が簡単化されて、エンジンカバー15の製造コストが削減される。
空気取入通路51は内燃機関Eに吸入される燃焼用空気が流通する吸気消音室51aを有し、中間カバー28とトップカバー27とが吸気消音室51aを形成することにより、吸気消音室51aがエンジンカバー15により形成される場合に比べて、エンジンカバー15の形状が簡単化されて、エンジンカバー15の製造コストが削減される。しかも、吸気消音室51aが、エンジンカバー15と中間カバー28との間隔または空気取入空間40の分だけ、内燃機関Eにより加熱された空気が存在するエンジンルームRから離隔しているので、吸気消音室内の燃焼用空気がエンジンカバー15からの熱により加熱されることが抑制されて、内燃機関Eの充填効率が向上する。
導入通路71は、エンジンカバー15内を換気するための換気用空気をエンジンルームR内に導入する通路であり、中間カバー28とトップカバー27とが導入通路71を形成することにより、エンジンカバー15と中間カバー28との間隔または空気取入空間40の分だけ、内燃機関Eにより加熱された空気が存在するエンジンルームRから離隔しているので、換気用空気がエンジンカバー15からの熱により加熱されることが抑制されて、換気用空気によるエンジンの冷却効果が向上する。
エンジンルームRの外部とエンジンルームR内とに渡って延びている連通路の一部である流通口15cおよび吸気入口61iを形成すべく互いに接続される通路形成部15mおよび入口ダクト62の間に配置されるシール部材140 は、通路形成部15mの突合せ面J1と密接するリップ142 と、リップ142 が突合せ面J1により押圧されたときに屈曲形状に弾性変形する可撓部144 と、連通口141 に露出して連通口141 を流通する気体としての燃焼用空気の圧力である吸気負圧が作用する作用面145 とを有し、作用面145 は、リップ142 が突合せ面J1に密接していると共に作用面145 に吸気負圧が作用する前の状態で、吸気負圧の作用方向で突合せ面J1と対向する対向面145aを有し、対向面145aへの吸気負圧の作用によりリップ142 を突合せ面J1に押し付ける付勢力が生じる。これにより、リップ142 が突合せ面J1により押圧されたときに、可撓部144 が屈曲形状に弾性変形するので、シール部材140 を介しての通路形成部15mおよび入口ダクト62の接続が、しかも中間カバー28の一部である通路形成部15m および吸気消音器60の一部である入口ダクト62の接続が容易になって、その接続作業の作業性が向上する。しかも、吸気負圧が対向面145aに作用することで発生する付勢力がリップ142 を突合せ面J1に押し付けるので、連通口141 を流通する空気の吸気負圧を利用することによりリップ142 によるシール圧を増大することができて、シール性が向上する。
内燃機関Eに吸入される燃焼用空気の吸気負圧が作用面145 に作用する前の状態で、対向面145aでの吸気負圧の作用方向で突合せ面J1と対向面145aとの間に、連通口141 の一部である空間141aが形成されることにより、吸気負圧が対向面145aに作用することで発生する付勢力が、リップ142 を突合せ面J1に押し付けるので、連通口141 を流通する燃焼用空気の吸気負圧を利用することによりリップ142 によるシール圧を増大することができて、シール性が向上する。しかも、シール部材140 の可撓部144 が屈曲することで形成される空間141aを利用して、面積がより大きい対向面145aを形成することができる。
シール部材140 には中空部146 が設けられ、リップ142 が可撓性を有し、可撓部144 は、中空部146 が設けられたことにより形成される薄肉部144aを有することにより、突合せ面J1と密接するシール部が可撓性のリップ142 により構成されるので、該シール部での変形が容易になって、接続作業の作業性の向上に寄与する。しかも、シール部材140 に中空部146 を設けることで形成される薄肉部144aにより可撓部144 が形成されるので、可撓部144 の形成が容易になる。さらに、可撓部144 が屈曲する前記接続状態で、中空部146 の容積が可撓部144 の屈曲前に比べて減少するので、中空部146 に充填された充填気体の圧力により、リップ142 が突合せ面J1に押し付けられて、シール部材140 のシール性が向上する。
燃焼用空気を機関本体に形成された燃焼室22に導く吸気装置30を備える内燃機関Eが収容されるエンジンルームRを形成するエンジンカバー15と、該エンジンカバー15を上方から覆うトップカバー27および中間カバー28と、外気取入口42から取り入れた外気を燃焼用空気として、エンジンルームR内に配置された吸気装置30に導く吸気消音器50とを備える船外機Sにおいて、吸気消音器50は、エンジンルームR外に配置されると共に、エンジンカバー15との間に、外気取入口42を有する空気取入空間40が形成されるようにエンジンカバー15から離隔しており、吸気消音器50は、空気取入空間40内の燃焼用空気が流入する空気導入口51iを形成すると共にエンジンカバー15から離隔している導入ダクト55と、空気導入口51iからの燃焼用空気が流入する膨張室51aを形成する室壁57と、膨張室51aからの燃焼用空気が吸気装置30へ流出する空気導出口51oを形成する導出ダクト56とを有し、空気導入口51iの上流端口51i1は、空気取入空間40に開口し、外気取入口42は、上流端口51i1よりも下方に位置すると共に、平面視で、吸気消音器50または膨張室51aを左右方向および後方から囲んでいる。
この構造により、エンジンルームR内の吸気装置30からの吸気脈動は、エンジンルームR外に配置された吸気消音器50により減衰するうえ、該吸気消音器50はエンジンカバー15から空気取入空間40を挟んで離隔しているので、吸気装置30から空気取入空間40に伝達される吸気脈動が抑制されて、該空気取入空間40を形成するエンジンカバー15の振動に起因する騒音が低減する。
また、外気取入口42は、平面視で吸気消音器50または膨張室51aを後方および左右方向で囲んでいることから、その周長を長くすることができて、燃焼用空気としての外気の所要量の取入れを確保しながら、外気取入口42の開口幅Wを小さくすることができるので、外気取入口42からの水および異物の侵入抑制効果が高められる。
さらに、外気取入口42は、上流端口51i1よりも下方に位置し、かつ導入ダクト55はエンジンカバー15から離隔しているので、エンジンカバー15から導入ダクト55が上方に突出している場合とは異なり、空気取入空間40からの良好な排水性を確保するために、エンジンカバー15の、空気取入空間40を形成する形成壁である天井壁15bの形状に対する導入ダクト55の制約が少なくなり、天井壁15bの形状の設計の自由度が大きくなる。
空気導出口51oの下流端口51o2は、空気導入口51iの上流端口51i1よりも後方に配置されることにより、空気取入空間40において、上流端口51i1が下流端口51o2よりも前方に位置するので、後方から空気取入空間40に侵入した水が上流端口51i1に侵入しにくくなって、吸気消音器50への水の侵入が抑制される。
室壁57は、上下方向で空気取入空間40を挟んでエンジンカバー15と対向する底壁53を有し、導入ダクト55は、底壁53から下方に突出することなく、膨張室51aにおいて底壁53から上方に突出していることにより、導入ダクト55が膨張室51a内で上方に向かって突出していることで、空気導入口51iからの水の侵入が抑制されるので、吸気消音器50への水の侵入が抑制され、しかも導入ダクトは膨張室内で上方に突出するので、吸気消音器50をエンジンカバー15に上下方向で近接させることができて、船外機Sを上下方向で小型化できる。
また、導入ダクト55は底壁53から下方に突出していないことにより、その分、空気導入口51i付近において、上下方向で底壁53をエンジンカバー15に近づけることができるので、エンジンカバー15に対して吸気消音器50の位置を高くすることなく、膨張室51aの容積を増大できる。この結果、上下方向で船外機Sを小型化しながら、膨張室51aの容積増大により吸気騒音の低減効果を向上できる。
エンジンカバー15は、左右方向で外気取入口42と対向する側壁15s,15tを有し、空気取入空間40は、中間カバー28と側壁15s,15tとにより形成されて外気取入口42から上方に延びている立上がり空間40s,40tを有し、立上がり空間40s,40tは、左右方向で外気取入口42と空気導入口51iとの間に位置し、立上がり空間40s,40tは、その上部で、空気取入空間40の、上下方向で空気導入口51iが開口する空間部分4iに連通することにより、左右方向において、外気取入口42から空気取入空間40に侵入した水は、側壁15s,15tに当たって側壁15s,15tに付着することから、立上がり空間40s,40tを上方に移動する水の量が減少するので、吸気消音器50への水の侵入が抑制される。
外気取入口42は、空気導入口51iの上流端口51i1と空気導出口51oの下流端口51o2とに対する左右方向で、前後方向での上流端口51i1および下流端口51o2の配置範囲Yを超えて前後方向に延びていることにより、前後方向での外気取入口42の長さを長くできるので、外気取入口42の開口幅Wを小さくできて、水や異物の侵入を抑制できる。
空気導入口51iの上流端口51i1および空気導出口51oの下流端口51o2は、前後方向で互いに離隔し、かつクランク軸8の回転中心線Leに対して前後に振り分けられて配置されることにより、外気取入口42の前後方向での長さを長くできるので、外気取入口42の開口幅を小さくできて、水や異物の侵入を抑制できる。
燃焼用空気を機関本体に形成された燃焼室22に導く吸気装置30を備える内燃機関Eが収容されるエンジンルームRを形成するエンジンカバー15と、エンジンカバー15を上方から覆うトップカバー27および中間カバー28とを備える船外機Sにおいて、エンジンカバー15およびトップカバー27および中間カバー28は、外気を燃焼用空気として取り入れる外気取入口42を有する空気取入空間40を形成し、空気取入空間40には、空気取入空間40内の燃焼用空気が流入する上流端口51i1,61i1と、上流端口51i1,61i1から流入した燃焼用空気がエンジンルームR内に配置された吸気装置30に流出する下流端口51i2,61i2とが設けられ空気吸入部品としての吸気消音器50が配置され、外気取入口42は、上流端口51i1に対して左右方向での両側に、かつ、前後方向でシリンダヘッド2およびヘッドカバー3からクランク軸8の回転中心線Leよりも前方までの前後範囲に渡って形成されている。
この構造により、エンジンルームR内の吸気装置30と空気取入空間40との間に吸気消音器50が介在しているので、吸気装置30から空気取入空間40に伝達される吸気脈動が抑制されて、該空気取入空間40を形成するエンジンカバー15の振動に起因する騒音が低減する。
また、外気取入口42は、上流端口51i1に対して左右方向での両側で、かつ、前後方向でシリンダヘッド2およびヘッドカバー3から回転中心線Leよりも前方までの前後範囲に渡って形成されていることから、前後方向での外気取入口42の長さを長くできるので、燃焼用空気としての外気の所要量の取入れを確保しながら、外気取入口42の開口幅を小さくすることができて、水および異物の侵入抑制効果が高められ、上流端口51i1を通じての吸気消音器50への、したがって燃焼用空気への水の侵入を効果的に抑制できる。
外気取入口42は、空気取入空間40の後部において後方に開口し、下流端口51i2,61i2は上流端口51i1,61i1よりも後方に配置されることにより、空気取入空間40において、吸気消音器50の上流端口51i1,61i1が下流端口51i2,61i2よりも前方に位置するので、後方から空気取入空間40に侵入した水が上流端口51i1,61i1に侵入しにくくなって、吸気消音器50への水の侵入が抑制される。
また、空気取入空間40に侵入した水は空気取入空間40から左右方向に排水されるので、空気導入口51iを通じての吸気消音器50,60への、したがって燃焼用空気への水の侵入を効果的に抑制できる。
エンジンカバー15には、前後方向で外気取入口42と上流端口51i1との間に、かつ左右方向で上流端口51i1と同じ位置に、空気取入空間40内で上方に突出する隆起部15pが設けられることにより、後方から外気取入口42を通じて後方から侵入した水が、上流端口51i1に達することが隆起部15pにより妨げられるので、吸気消音器50への水の侵入が抑制される。
上流端口51i1および下流端口51o2は、前後方向で互いに離隔し、かつクランク軸8の回転中心線Leに対して前後に振り分けられて配置され、前記前後範囲は、前後方向での上流端口51i1および下流端口51o2の配置範囲Yを越えて前後方向に延びていることにより、外気取入口42は、回転中心線Leに対して前後に振り分けられて配置される上流端口51i1および下流端口51o2の配置範囲Yを超えて前後方向に延びているため、前後方向での外気取入口42の長さを長くできるので、外気取入口42の開口幅Wを小さくできて、水や異物の侵入を抑制できる。
燃焼用空気を機関本体に形成された燃焼室22に導く吸気装置30を備える内燃機関Eと、内燃機関Eが収容されるエンジンルームRを形成するエンジンカバー15と、エンジンカバー15を上方から覆うトップカバー27および中間カバー28とを備える船外機Sにおいて、エンジンカバー15およびトップカバー27および中間カバー28により、外気を燃焼用空気として取り入れる外気取入口42を有する空気取入空間40が形成され、船外機SはエンジンルームR外に配置されると共に、空気取入空間40内の燃焼用空気をエンジンルームR内に配置された吸気装置30に導く上流側吸気消音器50を備え、吸気装置30は、吸気消音器50からの燃焼用空気が導かれる下流側吸気消音器60と、吸気消音器60からの燃焼用空気が導かれるスロットル弁装置31とを備え、吸気消音器50には、空気取入空間40に開口すると共に空気取入空間40内の燃焼用空気が流入する空気導入口51iと、吸気消音器50内の燃焼用空気が吸気消音器60に流出する空気導出口51oとが設けられ、吸気消音器60には、空気導出口51oに接続される吸気入口61iと、吸気消音器60内の燃焼用空気がスロットル弁装置31のスロットル通路33に流出する吸気出口61oとが設けられ、空気導入口51iは、空気導出口51oよりも前方に配置され、前後方向で、吸気出口61oは、空気導出口51oおよび吸気入口61iに対して空気導入口51iとは反対側に配置される。
この構造により、エンジンルームR内に配置された吸気装置30が吸気消音器60を備え、エンジンルームR外には、吸気消音器60に燃焼用空気を導く吸気消音器50が設けられるので、吸気装置30からの吸気脈動が上流側消音器50により減衰して、吸気騒音が低減する。
また、吸気消音器50において、エンジンルームR外に形成される空気取入空間40に開口する空気導入口51iは空気導出口51oよりも前方に配置されることにより、外気取入口42が空気取入空間40の後端部で後方に開口する場合に、該外気取入口42から空気導入口51iまでの前後方向での距離を大きくできるので、空気取入空間40に侵入した水が吸気消音器50に侵入することが抑制される。この結果、空気導入口51iを通じての吸気消音器50への、したがって燃焼用空気への水の侵入を効果的に抑制できる。
さらに、前後方向で、吸気出口61oは、空気導出口51oおよび吸気入口61iに対して空気導入口51iとは反対側に配置されることにより、空気導入口51iから空気導出口51oおよび吸気入口61iを経て吸気出口61oに至る燃焼用空気の流れが前後方向で円滑化されて吸気抵抗が減少するので、体積効率が向上し、機関出力性能が向上する。
平面視で、空気導出口51o、吸気入口61iおよび吸気出口61oが、空気導入口51iとスロットル通路33とに交わる1つの直線Laと交わるように配置されることにより、平面視で、空気導入口51i、空気導出口51o、吸気入口61i、吸気出口61oおよびスロットル通路33が一直線上に配置されることから、空気導入口51iから空気導出口51oおよび吸気入口61iを経て吸気出口61oに至る燃焼用空気の流れ、すなわち両吸気消音器50,60での燃焼用空気の流れが、左右方向に屈曲することが抑制されて左右方向で円滑化されるので、吸気抵抗が減少して、体積効率が向上する。
スロットル通路33は、平面視で前後方向または直線Laに沿って延びていることにより、両吸気消音器50,60からスロットル弁装置31に至る通路での吸気抵抗が減少して、体積効率が向上する。
吸気消音器50は、エンジンカバー15との間に、空気取入空間40が形成されるようにエンジンカバー15から離隔していることにより、吸気消音器50はエンジンカバー15から空気取入空間40を挟んで離隔しているので、吸気装置30から空気取入空間40に伝達される吸気脈動が抑制されて、該空気取入空間40を形成するエンジンカバー15の振動に起因する騒音が低減する。
燃焼室22が形成された内燃機関Eを備える船外機Sにおいて、燃焼用空気が流入する上側吸気消音器50と、吸気消音器50からの燃焼用空気を燃焼室22に導く下側吸気消音器60とが、上下に重ねられて配置され、吸気消音器60の上方に配置された吸気消音器50には、空気導入口51iと、膨張室51aと、空気導出口51oとが設けられ、吸気消音器60には、空気導出口51oに接続される吸気入口61iと、膨張室61aと、吸気出口61oとが設けられ、膨張室51aの底壁53は、平面視で吸気消音器60と重なる高壁部53aと、平面視で吸気消音器60と重なることなく高壁部53aよりも下方に位置する上側低壁部53bとを有する段形状の壁であり、空気導出口51oは、高壁部53aに配置される。
この構造により、吸気消音器50において段形状に形成された底壁53の低壁部53bは、吸気消音器60と重ならないことにより、低壁部53bを下方に配置できるので、膨張室51aの容積を増大させることができて、吸気消音器50による吸気騒音の低減効果を高めることができる。
また、吸気消音器60の吸気入口61iに接続される空気導出口51oが設けられる高壁部53aは、吸気消音器60の真上に配置されることで、高壁部53aによりその下方に形成されるスペースに吸気消音器60が配置される。この結果、高壁部53aおよび低壁部53bを有する底壁53において平面視で吸気消音器60と重なる部分である高壁部53aを利用することで、空気導出口51oおよび吸気入口61iを接続しながら、両吸気消音器50,60を上下方向で近接させて配置できるので、両吸気消音器50,60を上下方向にコンパクトに配置することができて、船外機Sを上下方向で小型化できる。
吸気消音器60の頂壁67は、高壁部67aと、平面視で膨張室51aの底壁53と重なると共に高壁部67aよりも下方に位置する低壁部67bとを有する段形状の壁であり、吸気入口61iは低壁部67bに配置されることにより、吸気消音器60において段形状に形成された頂壁67の高壁部67aは、低壁部67bよりも上方に配置されるので、膨張室61aの容積を増大させることができて、吸気消音器60による吸気騒音の低減効果を高めることができる。
また、吸気消音器50の空気導出口51oに接続される吸気入口61iが設けられる低壁部67bは、吸気消音器50の真下に配置されることで、低壁部67bによりその上方に形成されるスペースに吸気消音器50が配置される。この結果、高壁部67aおよび低壁部67bを有する頂壁67において平面視で吸気消音器50と重なる部分である低壁部67bを利用することで、空気導出口51oおよび吸気入口61iを接続しながら、両吸気消音器50,60を上下方向で近接させて配置できるので、両吸気消音器50,60を上下方向にコンパクトに配置することができて、船外機Sを上下方向で小型化できる。
吸気入口61iは、吸気消音器60の頂壁67の低壁部67bに配置されることにより、吸気消音器50の底壁53および吸気消音器60の頂壁67が相補的な形状の段形状に形成されているので、吸気消音器50の底壁53における低壁部53bは、平面視で吸気消音器60と重ならないこと、および、吸気消音器60における頂壁67の高壁部67aは、低壁部67bよりも上方に配置されることにより、両膨張室51a,61aの容積をそれぞれ増大させることができて、両吸気消音器50,60による吸気騒音の低減効果を高めることができる。
また、吸気入口61iが設けられる低壁部67bは、空気導出口51oが設けられる第1高壁部53a1の真下に配置されることで、第1高壁部53a1によりその下方に形成されるスペースに高壁部67aよりも下方に位置する低壁部67bが配置される。この結果、両吸気消音器50,60において平面視で互いに重なる第1高壁部53a1および低壁部67bを利用することで、空気導出口51oおよび吸気入口61iを接続しながら、両吸気消音器50,60を上下方向で近接させて配置できるので、両吸気消音器50,60を上下方向にコンパクトに配置することができて、船外機Sを上下方向で小型化できる。
吸気消音器50および吸気消音器60は、エンジンカバー15の天井壁15bを挟んで配置され、吸気消音器50が、エンジンルームR外に、かつ、エンジンカバー15と該エンジンカバー15を上方から覆うトップカバー27とにより形成される空気取入空間40内に配置され、吸気消音器60がエンジンルームR内に配置されることにより、吸気消音器50および吸気消音器60が、エンジンルームR外およびエンジンルームR内に分けられて配置され、吸気消音器50は空気取入空間40を利用して配置されるので、エンジンカバー15および船外機Sを小型化できる。しかも、エンジンカバー15が小型化されることで、両吸気消音器50,60により減衰した吸気脈動によるエンジンカバー15の振動が一層抑制されるので、吸気脈動によるエンジンカバー15の振動に起因する騒音が低減する。
エンジンルームR内の空気をエンジンルームR外に導く導出通路81を形成する前記換気装置は、エンジンルームR内に配置されたケース92と、ケース92により形成されると共に導出通路81に連なる排出通路91に配置されてエンジンルームR内の空気を導出通路81に圧送するファン93とを備え、排出通路91は、エンジンルームRの上端空間Raに配置されて上方に向かって開口する流入口91iを有することにより、船外機SのエンジンルームR内の空気をファン93により導出通路81を通じてエンジンルームR外に排出するために、該ファン93が配置される排出通路91の流入口91iが、エンジンルームRの上端空間Raに配置され、しかも上方に向かって開口するので、エンジンを冷却した後の高温の空気が集まるエンジンルームRの上端空間Raから、高温の空気をファン93により効率よく吸入し、エンジンルームR外、ひいては船外機SSの外部に効率よく排出することができる。この結果、エンジンルームR内の換気効率が向上して、換気用空気による、内燃機関EEの冷却効果およびエンジンルームR内の昇温抑制効果が向上する。
エンジンルームR内には発電機Gが配置され、発電機Gを冷却した後の空気を流入口91iに案内する案内通路129 を形成する導風部品Dが、エンジンルームR内に配置されることにより、エンジンルームR内で発電機Gを冷却した後に高温となった空気である排風は、導風部品Dにより形成される案内通路129 により、ファン93が配置された排出通路91の流入口91iに案内されるので、前記排風がエンジンルームR内で拡散することが抑制されて、該排風をファン93に効率よく吸入させることができて、エンジンの冷却効果およびエンジンルームR内の昇温抑制効果が向上する。
エンジンルームR内に配置される排出通路91と、エンジンルームR外に配置される導出通路81とが、前後方向で発電機Gと同じ位置に配置されることにより、エンジンルームR内に配置される排出通路91と、エンジンルームR外に配置される導出通路81を前後方向で発電機G付近に集中して配置することができるので、エンジンルームR内に配置される排出通路91の配置範囲Yを小さくすることができて、エンジンカバー15の小型化、ひいては船外機Sの小型化できる。
エンジンルームR内の空気をエンジンルームR外に導く導出通路81を形成する前記換気装置は、導出通路81に連なる排出通路91に配置されてエンジンルームR内の空気を導出通路81に圧送するファン93を備え、エンジンルームR内に配置される発電機Gの周囲には、発電機Gを冷却した後の空気である排風を、排出通路91の流入口91iに案内する導風部品Dが配置されることにより、船外機SのエンジンルームR内の空気を導出通路81を通じてエンジンルームR外に排出するファン93が、該導出通路81の上流側で連なる排出通路91に配置され、エンジンルームR内に配置された発電機Gを冷却した後の高温の空気である排風を、前記ファン93が配置された排出通路91の流入口91iに案内する導風部品Dが発電機Gの周囲に配置されるので、前記排風がエンジンルームR内で拡散することが抑制されて、該排風をファン93に効率よく吸入させることができて、換気用空気による発電機Gの冷却効果およびエンジンルームR内の昇温抑制効果が向上する。
導風部品Dは、発電機Gのハウジング102 を囲む導風カバー111 と、導風カバー111 とハウジングとにより形成される導風空間113 から排風を流入口91iに案内する案内通路129 を形成する案内壁とを有し、案内通路129 は、案内壁121 とエンジンカバー1515との協働により形成されることにより、導風部品Dの導風カバー111 により形成される導風空間113 に流出した排風を排出通路91の流入口91iに案内する案内通路129 が、導風部品Dの案内壁121 とエンジンカバー15との協働により形成されるので、排風をファン93に案内するための案内通路129 がエンジンカバー15を利用して形成されるために、その分、案内通路129 を形成する案内壁121 を有する導風部品Dを小型・軽量化することができ、しかもエンジンカバー15の小型化、ひいては船外機Sの小型化が可能になる。
流入口91iは、エンジンルームRの上端空間Raに配置されると共に上方に向かって開口することにより、流入口91iは、エンジンルームRの上端空間Raに配置されると共に上方に向かって開口することにより、内燃機関EEを冷却した後の高温の空気が集まる上端空間Raの高温の空気をファン93により効率よく吸入し、エンジンルームR外、ひいては船外機Sの外部に効率よく排出することができるので、エンジンルームR内の換気効率が向上して、換気用空気による、内燃機関Eの冷却効果およびエンジンルームR内の昇温抑制効果が向上する。
導風空間113 は、導風カバー111 に設けられると共に、導風空間113 内の排風を流入口91iに近づく方向でエンジンルームR内に流出させる排風口114 を有し、流入口91iは、排風口114 よりも上方に配置され、案内壁121 は、排風口114 から排出された排風を斜め上方に向けて偏向させる傾斜壁122 を有することにより、発電機Gからの排風は、導風カバー111 の排風口114 からファン93が配置された排出通路91の流入口91iに近づく方向に流出し、しかも傾斜壁122 により、排風口114 よりも上方に位置する流入口91iに向けて偏向されるので、エンジンカバー15と案内壁121 の協働により形成される案内通路129 を流れる排風により、エンジンルームR内で加熱されて上昇する空気が流入口91iに向かう方向に誘引されて、排風と共に流入口91iに向かう。この結果、排風およびエンジンルームR内の空気をファン93に効率よく吸入させることができて、換気用空気による発電機Gの冷却効果およびエンジンルームR内の昇温抑制効果が向上する。
ファン93は、エンジンのクランク軸8に設けられ、導出通路81の、外気に開口する排出口81oは、クランク軸8の回転中心線Leよりも前方に配置されることにより、排出通路91に配置されたファン93によりエンジンルームR内から排出されて導風通路81に導かれた空気を外気に放出する排出口81oが、回転中心線Leよりも前方に配置されるので、該排出口81oが後方からの波により塞がれることが防止されて、エンジンルームR内の空気を効率よく船外機Sの外部に排出できる。
前記換気装置は、ファン93と、排出通路91を形成するケース92とを備える排出通路部品90を備え、導風部品Dは、排出通路部品90と一体化されていることにより、ファン93と、排出通路91を形成するケース92とを備える排出通路部品90と、発電機Gからの排風を排出通路91の流入口91iに案内する導風部品Dとが一体化されていることにより、発電機G、ファン93および流入口91iを互いに近接して配置することができるので、排風がエンジンルームR内で拡散することを効率よく防止でき、しかも排風をファン93に案内するための導風部品Dおよび排出通路部品90を小型・軽量化できる。
以下、前述した実施形態の一部の構成を変更した形態について、変更した構成に関して説明する。
吸気消音器50は、その一部がトップカバー27により構成されたが、トップカバー27とは別個の部材により構成されてもよい。
外気取入口42は、左右方向で上流端口51i1,61i1に対して少なくとも一方側に形成されていてもよい。また、空気取入空間40の後端部は、外気取入口42を形成することなく、閉塞されていてもよく、この場合には、取入口および取出口の左右方向での両側または一側方で、前後方向に延びている外気取入口42から燃焼用空気が取り入れられる。
内燃機関は、6気筒以外のV型内燃機関、複数のシリンダが直列に配列される多気筒内燃機関または単気筒内燃機関であってもよい。
動力装置は、船舶推進機以外の機械、例えば、駆動対象として発電機または圧縮機などを備える作業機または駆動対象として車輪を備える車両に備えられてもよい。
本発明が適用された船外機の要部右側面図である。 図3の主にIIa−IIa線断面図であり、一部がシリンダ軸線に沿うIIb線断面図である。 図1の船外機のトップカバーおよび中間カバーを外したときの要部上平面図である。 図1の船外機の中間カバーの要部上平面図であり、トップカバーが二点鎖線で示されている。 図1の船外機のエンジンカバー、中間カバーおよびトップカバーの平面図である。 図1の船外機の要部斜視図である。 図2の、グリップ部付近の要部拡大図である。 図2の吸気消音器付近の要部拡大図である。 図2の、排出通路部品付近の要部拡大図であり、導風部品の一部が外観で示されている。 図2の、入口ダクトでのシール部材付近の要部拡大図を二分した図であり、左側の(a)は、通路形成部と入口ダクトとが接続される前の状態を示し、右側の(b)は、通路形成部と入口ダクトとが接続された状態を示す。 図1の船外機の概略の上平面図である。 図11のXII−線での要部断面図である。 図1の船外機の排出通路部品および導風部品の要部上平面図である。 図1の船外機の排出通路部品および導風部品の上方からの斜視図である。 図14の排出通路部品および導風部品の下方からの斜視図である。 図9のXVI−XVI線での要部断面図である。
符号の説明
2…シリンダヘッド、8…クランク軸、15…エンジンカバー、15e…結合部、15m…通路形成部、24,25…伝動機構、27…トップカバー、27f…結合部、28…中間カバー、28e,28f…結合部、40…空気取入空間、42…外気取入口、50…吸気消音器、51…空気吸入通路、51i…空気導入口、51o…空気導出口、55…導入ダクト、60…吸気消音器、61…上流側吸気通路、61i…吸気入口、61o…吸気出口、67…頂壁、70…導入部品、71…導入通路、71i…流入口、71o…流出口、80…導出部品、81…導出通路、81i…流入口、81o…排出口、90…排出通路部品、91…排出通路、91o…換気出口、93…ファン、94…偏向壁、97…出口ダクト、103 …流入口、104 …流出口、111 …導風カバー、114 …排風口、121 …案内壁、122 …傾斜壁、123 …偏向壁、129 …案内通路、130 …グリップ部、140 ,150 ,149 ,159 …シール部材、
S…船外機、P…動力装置、E…内燃機関、R…エンジンルーム、J1〜J4…突合せ面、Ri…換気入口、G…発電機、A…突出壁、D…導風部品。

Claims (3)

  1. 燃焼空間を形成するシリンダヘッド(2)と、クランク室(5)に配置される上下方向のクランク軸(8)と、燃焼用空気を前記燃焼空間に導く吸気通路を形成する吸気装置(30)とを備える内燃機関(E)と、該内燃機関(E)が収容されるエンジンルーム(R)を形成するエンジンカバー(15)と、前記エンジンルーム(R)内の空気を前記エンジンルーム(R)の外部に導く排出通路(91)を形成する換気装置と、を備える船外機において、
    前記吸気装置(30)は、前記エンジンルーム(R)の外部に開口する吸気入口(61i)を有するとともに前記吸気通路を形成する吸気通路部品(60)を備え、
    前記吸気通路部品(60)は、前記エンジンルーム(R)内で前記エンジンカバー(15)の天井壁(15b)の真下に配置されたケース(60a,60b)により構成され、
    前記換気装置は、前記エンジンルーム(R)の外部に開口する換気出口(91o)を有する前記排出通路(91)を形成する排出通路部品(90)を備え、
    前記排出通路部品(90)は、前記エンジンルーム(R)内で前記エンジンカバー(15)の天井壁(15b)の下方付近に形成されて、上ケース(92b)および下ケース(92a)からなるケース(92)により構成され、該ケース(92)には、前記エンジンルーム(R)内に開口する空気流入口(91i)が設けられるとともに、該ケース(92)内に、前記空気流入口(91i)から前記換気出口(91o)へ向かって空気を圧送するファン(93)を備え、
    前記吸気通路部品(60)を構成するケース(60a,60b)と前記排出通路部品(90)を構成するケース(92)とは、互いに別個の部品であると共に前記エンジンカバー(15)とも別個の部品であり、前記両ケース(60a,60b;92)は、前記エンジンルーム(R)内で互いに離間した状態で前記内燃機関(E)の上端部に取り付けられることを特徴とする船外機
  2. 請求項1記載の船外機において、
    前記エンジンルーム(R)の外部に開口する前記換気入口(Ri)が前記エンジンカバー(15)に設けられ、前記クランク軸(8)の回転中心線(Le)の方向から見たとき、前記換気入口(Ri)および前記換気出口(91o)の配列方向において、前記換気入口(Ri)は前記回転中心線(Le)に対して前記シリンダヘッド(2)寄りに配置され、かつ前記排出通路部品(90)は前記吸気通路部品(60)に対して前記換気入口(Ri)とは反対側で前記回転中心線(Le)寄りに配置されることを特徴とする船外機
  3. 請求項1または2項記載の船外機において、
    前記内燃機関の動弁装置(23)は、伝動機構(24)を介して伝達される前記クランク軸(8)の動力により回転駆動されるカム軸(23a)を備え、
    前記吸気通路部品(60)を構成するケース(60a,60b)および前記排出通路部品(90)を構成するケース(92)は、前後方向に並んで配置されると共に前記伝動機構(24)を上方から覆うことにより、前後方向に二分割された伝動カバーを構成し、前記ファン(93)は前記クランク軸(8)に連結されることを特徴とする船外機。
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