JP4615131B2 - タイヤ回転数検出装置及びタイヤ製造方法及びタイヤ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、タイヤの回転数を磁気的に検出するタイヤ回転数検出装置の改良、及び、このタイヤ回転数検出装置におけるタイヤ、及び、このタイヤの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
かかるタイヤ回転数検出装置は、例えば、カーナビゲーションシステムにおいて用いられており、タイヤの回転数を検出することにより自動車等の車の移動速度や移動距離を計測するものである。このタイヤ回転数検出装置の従来技術として、磁気的にタイヤの回転数を検出する技術が知られている。
【0003】
特開平10−339737号公報(従来技術1)に開示される車速検出装置は、タイヤの外周又は外周近傍に磁性体粉を含有する薄膜フィルムを接着し、このタイヤの回転によって生じる磁場の変化を磁場検出手段により検出するものである。
【0004】
特開平10−151918号公報(従来技術2)に開示されるタイヤの磁界検出方法は、タイヤの外周部に内包するスチールベルトをタイヤの周方向に沿って着磁させ、タイヤの回転に伴う磁場の変化を磁気検出素子により検出するものである。
【0005】
特開2000−121654号公報(従来技術3)に開示される車輪状態検出装置は、タイヤが強磁性体のコードを用いたカーカスを備えており、回転するタイヤのカーカスをサイドウォール部に対向して配置された磁気センサーにより検出するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術1は、タイヤの外周に磁性体粉を含有する薄膜フィルムを貼り付けるため、磁力そのものを強くすることが難しく、また摩擦熱により磁力が劣化しやすいという課題がある。
また、従来技術2及び3においてもタイヤ側に設けられたスチールベルトやカーカスを磁化する構成であり、やはり熱により劣化しやすくなるだけでなく、また着磁サイズが大きいことにより着磁が困難であるという課題もある。さらに、タイヤが強磁性体により磁化されているため、道路の釘などを拾いやすくなりパンクの原因となるという課題もあった。
【0007】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、タイヤの回転数を磁気的に検出するにあたり、磁力の劣化やタイヤのパンクなどを引き起こさないようなタイヤ回転数検出装置、タイヤ、タイヤ製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明に係るタイヤ回転数検出装置は、タイヤのサイドウォール部及び/又はショルダー部の周上の少なくとも1箇所に設けられた軟磁性粉末を含む領域と、前記領域の回転軌跡に対向した車体側の位置に設けられた永久磁石と、前記領域の回転軌跡と前記永久磁石との間に設けられた磁気センサーとを備え、前記磁気センサーにより、前記タイヤの回転に伴う磁束密度の変化を検出するように構成し、
前記領域が前記サイドウォール部及び/又は前記ショルダー部の径方向に沿って複数設けられ、それぞれの前記領域の前記回転軌跡に対向して前記永久磁石及び前記磁気センサーを設けたことを特徴とするものである。
【0009】
この構成によるタイヤ回転数検出装置の作用・効果は次の通りである。
まず、タイヤのサイドウォール部又はショルダー部の周上の少なくとも一箇所に軟磁性粉末を含む領域を設けている。タイヤに軟磁性粉末を含む領域を設けた状態でタイヤが回転すると、領域は所定の回転軌跡を描く。この回転軌跡に対向した(向かい合った)車体側の位置に永久磁石を設け、さらに、回転軌跡と永久磁石の間に磁気センサーを設ける。タイヤが回転して領域が永久磁石と対向すると(近づくと)、その間に配置されている磁気センサーを通過する磁束密度が増加し、領域が永久磁石から遠ざかると磁束密度が減少する。このような磁束密度の変化を磁気センサーにより検出することによりタイヤの回転数を検出することができる。
また、領域を径方向に沿って複数設けることにより、タイヤの回転数以外に、タイヤの横変位や周方向の変位を知ることもできる。つまり、一方の磁気センサーからの検出信号と、もう一方の磁気センサーからの検出信号との差から変位状態を知ることができる。
【0010】
以上のような構成によれば、永久磁石は車体側に設けられている。したがって、タイヤの摩擦熱による永久磁石の磁力の劣化という問題は改善される。また、タイヤ側の軟磁性粉末は永久磁石と違い、タイヤが釘などを吸い付けると言うことがないので、磁力の劣化やタイヤのパンクなどを引き起こさないようなタイヤ回転数検出装置を提供することができる。
【0011】
本発明の好適な実施形態として、前記領域には、軟磁性粉末を混合したフィルムが取り付けられているものがあげられ、軟磁性粉末としてセンダスト系合金があげられる。
【0012】
軟磁性粉末を混合したフィルムを取り付ける(貼り付け等)ことにより、軟磁性粉末を含む領域を簡単に構成することができる。
【0013】
本発明の別の好適な実施形態として、前記永久磁石がマンガンアルミ磁石により形成されるものがあげられる。マンガンアルミ磁石は機械的強度が高いという利点を有しているからである。
【0016】
上記課題を解決するため本発明に係るタイヤの製造方法は、上記のタイヤ回転数検出装置に用いられるフィルムを、タイヤの加硫工程前の成形工程において、前記タイヤのサイドウォール部及び/又はショルダー部に、前記径方向に沿って複数貼り付けることを特徴とするものである。
【0017】
フィルムをタイヤの成形工程において貼り付けることにより、タイヤの成形後に貼り付ける場合に比べて工程を簡素化することができ、コストダウンに寄与することができる。また、成形時に貼り付けることにより貼り付け強度を強固にすることができ、後で剥がれてしまうという心配もない。
【0018】
また、かかる製造方法により製造されたタイヤは、フィルムを貼り付けてはいるが磁化はされていないので、タイヤが釘などを吸い付けると言うことがない。したがって、パンクを引き起こすことがない。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明に係るタイヤ回転数検出装置の好適な実施形態を図面を用いて説明する。
図1は、タイヤの構造を示す断面図である。タイヤTは、トレッド部1と、ショルダー部2と、サイドウォール部3と、ビード部8とを有している。各部分の表面はゴム層にて覆われている。トレッド部1は、路面と接触する部分である。サイドウォール部3は、側面部に位置する部分をいう。トレッド部1とサイドウォール部3の中間の部分をショルダー部2と称している。
【0020】
<第1実施形態>
図2は、タイヤ回転数検出装置の構成(第1実施形態)を示す原理図である。タイヤTのサイドウォール部3又はショルダー部2の表面(周上の領域に相当する。)にフィルム4が貼り付け等の方法により取り付けられている。車体側には永久磁石5と磁気センサー6とが設けられている。
【0021】
フィルム4は、軟磁性粉末を混合して形成されるものであり、軟磁性粉末としては、センダスト系合金が磁化されやすいので好ましい。永久磁石5は機械的強度の点で優れているマンガンアルミ磁石が好ましい。また、フィルム4のベース部材には、サイドウォール部3又はショルダー部2と同質のゴムを用いることが好ましい。
【0022】
フィルム4は、サイドウォール部3又はショルダー部2の周上に少なくとも1つ設けておればよい。図2では、8つのフィルム4が周方向に沿って等間隔に配置されている。タイヤTが回転している状態では、各フィルム4は回転軌跡rに沿って回転することになる。周方向に沿った配列個数については、任意に設定することができる。
【0023】
車体側の永久磁石5は、上記回転軌跡rに対向した(向かい合った)位置に設けられている。永久磁石5とフィルム4とが向かい合っている状態では、永久磁石5からの磁束がより回転軌跡の方向に向かうようになるので、磁気センサー6を通過する磁束密度が増加することになる。また、永久磁石5とフィルム4とが向かい合っていない状態では、磁気センサー6を通過する磁束密度が減少することになる。この磁束密度の変化により磁気センサー6により検出される信号が変化する。
【0024】
磁気センサー6としては、ホール素子(ホールIC)やMR素子(磁気抵抗効果素子)などの公知のセンサーを用いることができる。磁気センサー6の信号は回転数算出部7に入力されて回転数が求められる。
【0025】
このような回転数を検出することにより、車体の移動速度や移動距離を知ることができる。また、車軸等の別の場所に設けた車速センサーとの組み合わせにより、タイヤのスリップ率を求めることができる。
【0026】
また、図2に示すように左右のタイヤの回転数を検出し、左右のタイヤの回転数差を求めることにより、タイヤの内圧を予測することも可能である。図2の構成によれば、永久磁石5は車体側に設けられており、タイヤTは磁化されていない。したがって、タイヤTが路面に落ちている釘などの磁性体を引き付けることがないので、磁性体の引き付けによるパンクが発生することがない。
【0027】
<第2実施形態>
図3は、第2実施形態に係るタイヤ回転数検出装置の構成を示す原理図である。図2と異なるのは、径方向に沿って複数のフィルム4a,4bが取り付け(貼り付け)られている点である。内側の回転軌跡r1 に沿って、8つのフィルム4aが取り付けられ、外側の回転軌跡r2 に沿って、同じく8つのフィルム4bが取り付けられている。なお、取り付けられるフィルム4a,4bの数は、それぞれの回転軌跡r1 ,r2 について少なくとも1つであればよい。
【0028】
なお、フィルム4a,4bを貼り付ける位置であるが、内外の回転軌跡r1 ,r2 が両方ともショルダー部2にあるようにしてもよいし、両方ともサイドウォール部3にあるようにしても良い。また、外側の回転軌跡r2 がショルダー部2にあるようにし、内側の回転軌跡r1 がサイドウォール部3にあるようにしてもよい。
【0029】
内側の回転軌跡r1 に対向する車体側に第1永久磁石5aと第1磁気センサー6aを設け、外側の回転軌跡r2 に対向する車体側に第2永久磁石5bと第2磁気センサー6bを設けている。第1,第2磁気センサー6a,6bにより検出される信号は、回転数算出部7に送信される。このように、径方向に沿って2つ(3つ以上でも良い)のフィルム4a,4bを取り付けることにより、タイヤの横変位や周方向の変位を検出することが可能になる。
【0030】
第1,第2実施形態ともに、タイヤにフィルム4a,4bを貼り付ける方法としては、タイヤの成形後に貼り付け工程を設けて貼り付ける方法もあるが、タイヤ加硫前の成形時において貼り付けるようにすれば、タイヤ製造工程を簡素化できる。また、フィルム4a,4bの取り付け強度も増し、容易にはがれてしまうということがない。
【0031】
【発明の効果】
タイヤのサイドウォール部3又はショルダー部2の周上の少なくとも一箇所に軟磁性粉末を含むフィルム4を貼り付けている。タイヤにフィルム4を貼り付けた状態でタイヤが回転すると、フィルム4は所定の回転軌跡rを描く。この回転軌跡rに対向した(向かい合った)車体側の位置に永久磁石5を設け、さらに、回転軌跡rと永久磁石5の間に磁気センサー6を設ける。タイヤが回転してフィルム4が永久磁石5と対向すると(近づくと)、その間に配置されている磁気センサー6を通過する磁束密度が増加し、フィルム4が永久磁石5から遠ざかると磁束密度が減少する。このような磁束密度の変化を磁気センサー6により検出することによりタイヤの回転数を検出することができる。
【0032】
以上のような構成によれば、永久磁石5は車体側に設けられている。したがって、タイヤの摩擦熱による永久磁石5の磁力の劣化という問題は改善される。また、タイヤ側の軟磁性粉末は永久磁石と違い、タイヤが釘などを吸い付けると言うことがないので、磁力の劣化やタイヤのパンクなどを引き起こさないようなタイヤ回転数検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】タイヤの構造を示す断面図
【図2】第1実施形態に係るタイヤ回転数検出装置の構成を示す原理図
【図3】第2実施形態に係るタイヤ回転数検出装置の構成を示す原理図
【符号の説明】
2 ショルダー部
3 サイドウォール部
4,4a,4b フィルム
5,5a,5b 永久磁石
6,6a,6b 磁気センサー
r,r1 ,r2 回転軌跡
T タイヤ
Claims (4)
- タイヤのサイドウォール部及び/又はショルダー部の周上の少なくとも1箇所に設けられた軟磁性粉末を含む領域と、
前記領域の回転軌跡に対向した車体側の位置に設けられた永久磁石と、
前記領域の回転軌跡と前記永久磁石との間に設けられた磁気センサーとを備え、前記磁気センサーにより、前記タイヤの回転に伴う磁束密度の変化を検出するように構成し、
前記領域が前記サイドウォール部及び/又は前記ショルダー部の径方向に沿って複数設けられ、それぞれの前記領域の前記回転軌跡に対向して前記永久磁石及び前記磁気センサーを設けたことを特徴とするタイヤ回転数検出装置。 - 前記領域には、軟磁性粉末を混合したフィルムが取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ回転数検出装置。
- 請求項2に記載のタイヤ回転数検出装置に用いられるフィルムを、タイヤの加硫工程前の成形工程において、前記タイヤのサイドウォール部及び/又はショルダー部に、前記径方向に沿って複数貼り付けることを特徴とするタイヤの製造方法。
- 請求項2に記載のタイヤ回転数検出装置に用いられるフィルムが、請求項3に記載のタイヤ製造方法によりサイドウォール部及び/又はショルダー部の前記径方向に沿って複数貼り付けられたタイヤ。
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