JP4613803B2 - 動力出力装置およびその制御方法並びに車両 - Google Patents

動力出力装置およびその制御方法並びに車両 Download PDF

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Description

本発明は、動力出力装置およびその制御方法並びに車両に関し、詳しくは、駆動軸に動力を出力する動力出力装置およびその制御方法並びに車両に関する。
従来、この種の動力出力装置としては、登坂路でずり下がっているときには所定車速でずり下がるトルクとクリープトルクとのうち大きい方のトルクをモータから出力する車載用のものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、所定車速でずり下がるトルクを路面勾配に基づいて設定している。
特開2004−36489号公報
上述の動力出力装置では、モータ損失と電力収支との関係については考慮されていないため、モータをより適正に制御することができず、電力収支として許容されない領域でモータを運転しようとする場合も生じる。
本発明の動力出力装置およびその制御方法並びに車両は、電動機をより適正に駆動することを目的の一つとする。また、本発明の動力出力装置およびその制御方法並びに車両は、二次電池などの蓄電装置の入出力制限の範囲内で電動機を駆動することを目的の一つとする。
本発明の動力出力装置およびその制御方法並びに車両は、上述の目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
本発明の動力出力装置は、
駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、
前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、
前記電動機と電力をやりとり可能な蓄電手段と、
前記駆動軸の回転方向を設定する回転方向設定手段と、
前記電動機の回転数を検出する回転数検出手段と、
前記検出された回転数と前記電動機の損失と前記蓄電手段の入出力制限とにより許容される前記電動機を駆動可能な駆動ポイントと前記設定された回転方向とに基づいて前記電動機を制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の動力出力装置では、電動機の回転数と電動機の損失と蓄電手段の入出力制限とにより許容される電動機を駆動可能な駆動ポイントと駆動軸の回転方向として設定された回転方向とに基づいて電動機を制御する。このため、蓄電手段の入出力制限により許容される範囲内でより適正に電動機を駆動することができる。
こうした本発明の動力出力装置において、前記制御手段は、前記電動機を駆動可能な駆動ポイントが異なる複数の特性の領域となるときには、前記設定された回転方向にトルクが作用する駆動ポイントによって前記電動機が駆動されるよう制御する手段であるものとすることもできる。この場合、前記制御手段は、前記回転方向設定手段により回転方向が正回転方向に設定されたときに前記検出された回転数に基づいて前記電動機の回転方向が負回転方向のときには、前記電動機を駆動可能な駆動ポイントのうち正回転方向に正のトルクが作用する駆動ポイントで前記電動機が駆動されるよう制御する手段であるものとすることもできる。こうすれば、駆動軸が正回転方向とは逆回転しているときでも正回転方向に作用するトルクを出力することができる。また、前記制御手段は、前記回転方向設定手段により回転方向が負回転方向に設定されたときに前記検出された回転数に基づいて前記電動機の回転方向が正回転方向のときには、前記電動機を駆動可能な駆動ポイントのうち負回転方向に正のトルクが作用する駆動ポイントで前記電動機が駆動されるよう制御する手段であるものとすることもできる。こうすれば、駆動軸が逆回転方向とは逆回転しているときでも逆回転方向に作用するトルクを出力することができる。
また、本発明の動力出力装置において、内燃機関と、該内燃機関の出力軸と前記駆動軸とに接続されて電力と動力の入出力を伴って前記出力軸および前記駆動軸に動力を入出力する電力動力入出力手段と、を備え、前記蓄電手段は前記電力動力入出力手段と電力のやりとりが可能な手段であるものとすることもできる。この場合、前記電力動力入出力手段は、前記内燃機関の出力軸と前記駆動軸と回転軸との3軸に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、前記回転軸に動力を入出力する発電機とを備える手段であるものとすることもできる。
本発明の車両は、上述のいずれかの態様の本発明の動力出力装置、即ち、基本的には、駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記電動機と電力をやりとり可能な蓄電手段と、前記駆動軸の回転方向を設定する回転方向設定手段と、前記電動機の回転数を検出する回転数検出手段と、前記検出された回転数と前記電動機の損失と前記蓄電手段の入出力制限とにより許容される前記電動機を駆動可能な駆動ポイントと前記設定された回転方向とに基づいて前記電動機を制御する制御手段と、を備える動力出力装置を搭載し、車軸が前記駆動軸に連結されてなることを要旨とする。
この本発明の車両では、上述のいずれかの態様の本発明の動力出力装置を搭載するから、本発明の動力出力装置が奏する効果、例えば、蓄電手段の入出力制限により許容される範囲内でより適正に電動機を駆動することができる効果などと同様な効果を奏することができる。なお、こうした本発明の車両において、前記回転方向設定手段として車両が前進方向か後進方向かを設定するシフト設定手段を備えるものとすることもできる。
本発明の動力出力装置の制御方法は、
駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記電動機と電力をやりとり可能な蓄電手段とを備える動力出力装置の制御方法であって、
前記電動機の回転数と前記電動機の損失と前記蓄電手段の入出力制限とにより許容される前記電動機を駆動可能な駆動ポイントが一つの特性の領域となるときには該駆動ポイントによって前記電動機が駆動されるよう制御し、前記電動機を駆動可能な駆動ポイントが異なる複数の特性の領域となるときには前記駆動軸を回転させるべき回転方向にトルクが作用する駆動ポイントによって前記電動機が駆動されるよう制御する
ことを特徴とする。
この本発明の動力出力装置の制御方法では、電動機の回転数と電動機の損失と前記蓄電手段の入出力制限とにより許容される電動機を駆動可能な駆動ポイントが一つの特性の領域となるときにはその駆動ポイントによって電動機が駆動されるよう制御し、電動機を駆動可能な駆動ポイントが異なる複数の特性の領域となるときには駆動軸を回転させるべき回転方向にトルクが作用する駆動ポイントによって電動機が駆動されるよう制御する。これにより、蓄電手段の入出力制限の範囲内で駆動軸を回転させるべき回転方向にトルクを出力することができ、より適正に電動機を駆動することができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例である動力出力装置を搭載したハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、動力分配統合機構30に接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに取り付けられた減速ギヤ35と、この減速ギヤ35に接続されたモータMG2と、動力出力装置全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
エンジン22は、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関であり、エンジン22の運転状態を検出する各種センサから信号を入力するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により燃料噴射制御や点火制御,吸入空気量調節制御などの運転制御を受けている。エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。動力分配統合機構30は、キャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32にはリングギヤ軸32aを介して減速ギヤ35がそれぞれ連結されており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、リングギヤ軸32aからギヤ機構60およびデファレンシャルギヤ62を介して、最終的には車両の駆動輪63a,63bに出力される。
モータMG1およびモータMG2は、いずれも発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介してバッテリ50と電力のやりとりを行なう。インバータ41,42とバッテリ50とを接続する電力ライン54は、各インバータ41,42が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2のいずれかで発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。したがって、バッテリ50は、モータMG1,MG2のいずれかから生じた電力や不足する電力により充放電されることになる。なお、モータMG1,MG2により電力収支のバランスをとるものとすれば、バッテリ50は充放電されない。モータMG1,MG2は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧,バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51からの電池温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、バッテリECU52では、バッテリ50を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量(SOC)も演算している。
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。なお、シフトポジションSPとしては、駐車ポジション(Pポジション)やニュートラルポジション(Nポジション)、前進走行用のドライブポジション(Dポジション)、後進走行用のリバースポジション(Rポジション)などがある。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特にモータ運転モードにより発進する際の動作について説明する。図2は、ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される発進時制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば数msec毎)に繰り返し実行される。
発進時制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや車速センサ88からの車速V,モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,シフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,バッテリ50の入出力制限Win,Woutなど制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS100)。ここで、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、回転位置検出センサ43,44により検出されるモータMG1,MG2の回転子の回転位置に基づいて計算されたものをモータECU40から通信により入力するものとした。また、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、温度センサ51により検出されたバッテリ50の電池温度Tbとバッテリ50の残容量(SOC)とに基づいて設定されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。
こうしてデータを入力すると、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいて車両に要求されるトルクとして駆動輪63a,63bに連結された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*を設定する(ステップS110)。要求トルクTr*は、実施例では、アクセル開度Accと車速Vと要求トルクTr*との関係を予め定めて要求トルク設定用マップとしてROM74に記憶しておき、アクセル開度Accと車速Vとが与えられると記憶したマップから対応する要求トルクTr*を導出して設定するものとした。図3に要求トルク設定用マップの一例を示す。
次に、バッテリ50の入出力制限Win,WoutとモータMG2の回転数Nm2とモータMG2の損失とに基づいてモータMG2から出力してもよいトルクの上下限としてのトルク制限Tmin,Tmaxを計算する(ステップS120)。モータから出力するトルクと回転数との関係は、モータ損失を考慮しなければ、その積が一定(等パワー)となるが、モータ損失を考慮すると、その積は一定にならない。モータ損失を考慮してモータMG2から等パワーを出力する際のトルクと回転数との関係の一例を図4に示す。図4の例では、バッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内となる領域には斜線を付して示した。いま、実施例のハイブリッド自動車20が登坂路をずり下がっているときを考えると、モータMG2の回転数Nm2は負の値となる(図4中では破線の回転数)。したがって、バッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内でモータMG2の回転数Nm2で出力可能な最大トルクや最小トルク、即ちトルク制限Tmin,Tmaxを考えると、二組存在することになる。一方、モータMG2の回転数Nm2が大きいときや負の値で大きいときには一組となる。ステップS120の処理は、この二組となる場合も含めてトルク制限Tmin,Tmaxを計算するのである。トルク制限Tmin,Tmaxは、次式(1)および式(2)をTm2について解いて置き換えればよい。ここで、式(1)および式(2)の右辺第2項はモータ損失である。
Win=Tm2・Nm2+f1(Tm2,Nm2) (1)
Wout=Tm2・Nm2+f2(Tm2,Nm2) (2)
続いて、計算したトルク制限Tmin,Tmaxが二組あるか否かを判定し(ステップS130)、二組あるときには、シフトポジションSPが前進走行用のポジション(Dポジション)のときには、二組のトルク制限Tmin,Tmaxのうち大きい方のトルク制限Tmin,Tmaxを選択し(ステップS140,S150)、シフトポジションSPが後進走行用のポジション(Rポジション)のときには、二組のトルク制限Tmin,Tmaxのうち小さい方のトルク制限Tmin,Tmaxを選択する(ステップS140,S160)。なお、計算したトルク制限Tmin,Tmaxが一組しかないときには、シフトポジションSPに拘わらず、そのトルク制限Tmin,Tmaxを選択する。
そして、要求トルクTr*を減速ギヤ35のギヤ比Grで除した値として仮モータトルクTm2tmpを計算すると共に(ステップS170)、計算した仮モータトルクTm2tmpを選択したトルク制限Tmin,Tmaxで制限してモータMG2のトルク指令Tm2*を設定し(ステップS180)、設定したトルク指令Tm2*をモータECU40に送信して(ステップS190)、本ルーチンを終了する。トルク指令Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm2*でモータMG2が駆動されるようインバータ42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。実施例のハイブリッド自動車20が登坂路をずり下がっているときの動力分配統合機構30の回転要素を力学的に説明するための共線図の一例を図5に示す。なお、発進時であるため、通常はエンジン22は運転停止した状態とされ、モータMG1のトルク指令Tm1*には値0が設定されている。
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、モータMG2の損失とバッテリ50の入出力制限Win,WoutとモータMG2の回転数Nm2とに基づいてモータMG2から出力してもよいトルクの上下限であるトルク制限Tmin,Tmaxを計算して用いるから、バッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内でモータMG2をより適正に駆動することができる。特に、トルク制限Tmin,Tmaxが二組あるときには、シフトポジションSPが前進走行用のポジション(Dポジション)のときには二組のトルク制限Tmin,Tmaxのうち大きい方のトルク制限Tmin,Tmaxを選択してモータMG2を駆動し、シフトポジションSPが後進走行用のポジション(Rポジション)のときには二組のトルク制限Tmin,Tmaxのうち小さい方のトルク制限Tmin,Tmaxを選択して駆動するから、モータMG2をより適正に駆動することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2の動力を減速ギヤ35により変速してリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図6の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2の動力をリングギヤ軸32aが接続された車軸(駆動輪63a,63bが接続された車軸)とは異なる車軸(図6における車輪64a,64bに接続された車軸)に接続するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の動力を動力分配統合機構30を介して駆動輪63a,63bに接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図7の変形例のハイブリッド自動車220に例示するように、エンジン22のクランクシャフト26に接続されたインナーロータ232と駆動輪63a,63bに動力を出力する駆動軸に接続されたアウターロータ234とを有し、エンジン22の動力の一部を駆動軸に伝達すると共に残余の動力を電力に変換する対ロータ電動機230を備えるものとしてもよい。
また、実施例やその変形例のように内燃機関と電動機とを備えるハイブリッド自動車の形態としたが、内燃機関を備えず、電動機からの動力だけで走行する電気自動車の形態としてもよい。さらに、ハイブリッド自動車や電気自動車に適用するものに限定されるものではなく、自動車以外の車両や船舶,航空機などの移動体に搭載される動力出力装置の形態や建設設備などの移動しない設備に組み込まれた動力出力装置の形態としても構わない。さらに、こうした動力出力装置の制御方法の形態としてもよい。
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、動力出力装置やこれを搭載する車両の製造産業などに利用可能である。
本発明の一実施例である動力出力装置を搭載したハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。 ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される発進時制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 要求トルク設定用マップの一例を示す説明図である。 モータ損失を考慮してモータMG2から等パワーを出力する際のトルクと回転数との関係の一例を示す説明図である。 登坂路をずり下がっているときの動力分配統合機構30の回転要素を力学的に説明するための共線図の一例を示す説明図である。 変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す説明図である。 変形例のハイブリッド自動車220の構成の概略を示す説明図である。
符号の説明
20,120,220 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、35 減速ギヤ、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、51 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、60 ギヤ機構、62 デファレンシャルギヤ、63a,63b 駆動輪、64a,64b 車輪、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、230 対ロータ電動機、232 インナーロータ 234 アウターロータ、MG1,MG2 モータ。

Claims (2)

  1. 走行用の動力を入出力する電動機と、前記電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、を備える自動車であって、
    アクセル開度を検出するアクセル開度検出手段と、
    シフトポジションを検出するシフトポジション検出手段と、
    前記検出したアクセル開度に基づいて走行用に要求される要求トルクを設定する要求トルク設定手段と、
    前記電動機の回転数と前記電動機の損失と前記蓄電手段の入出力制限とにより前記電動機から出力してもよいトルクの上下限値を計算する上下限値計算手段と、
    前記上下限値計算手段により1組の上下限値が計算されたときには該計算された上下限値を用いて前記設定された要求トルクを制限した値として前記電動機のトルク指令を設定し、前記上下限値計算手段により2組の上下限値が計算されたときには該計算された2組の上下限値のうち前記検出されたシフトポジションに対応する上下限値を用いて前記設定された要求トルクを制限した値として前記電動機のトルク指令を設定するトルク指令設定手段と、
    前記設定されたトルク指令に基づいて前記電動機を制御する制御手段と、
    を備える自動車。
  2. 請求項1記載の自動車であって、
    前記トルク指令設定手段は、前記検出されたシフトポジションが前進走行用のポジションのときには前記2組の上下限値のうち大きい方の上下限値を用いて前記設定された要求トルクを制限した値として前記電動機のトルク指令を設定し、前記検出されたシフトポジションが後進走行用のポジションのときには前記2組の上下限値のうち小さい方の上下限値を用いて前記設定された要求トルクを制限した値として前記電動機のトルク指令を設定する手段である、
    自動車。

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