JP4612047B2 - 静電塗装装置 - Google Patents

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Description

本発明は、高電圧を印加した状態で塗料を噴霧するようにした静電塗装装置に関する。
一般に、静電塗装装置として、例えばエアモータと回転霧化頭とからなる噴霧器と、該噴霧器のエアモータを保持するハウジング部材と、噴霧器の回転霧化頭から噴霧された塗料粒子をマイナスの高電圧に帯電させる高電圧発生器とを備えたものが知られている(例えば、特開平10−57848号公報、実開平3−75856号公報参照)。
このような従来技術による静電塗装装置では、マイナスの高電圧が印加された回転霧化頭と被塗物との間には、電気力線による静電界域が形成される。この状態で、高速回転する回転霧化頭を用いて塗料を噴霧すると、回転霧化頭から噴霧された塗料粒子は、マイナスの高電圧に帯電された帯電塗料粒子となる。これにより、帯電塗料粒子は、アースに接続された被塗物に向けて飛行し、該被塗物の表面に塗着する。
また、従来技術では、ハウジング部材の外周側には、帯電塗料粒子と同極性の高電圧を印加した反発電極を設けている。これにより、反発電極と帯電塗料粒子との間に反発力を作用させて、帯電塗料粒子を被塗物に向けて指向させて、塗料粒子がハウジング部材に付着するのを防止している。
ところで、特開平10−57848号公報、実開平3−75856号公報による静電塗装装置では、ハウジング部材の外周側に反発電極を設ける構成としているものの、反発電極は帯電塗料粒子に対して反発力を作用させるに過ぎない。このため、反発電極は、例えば帯電量が減衰してハウジング部材の周囲を漂う塗料粒子に対しては十分な反発力を作用させることができなかった。
また、特開平10−57848号公報、実開平3−75856号公報による静電塗装装置では、反発電極とアース体との間の火花放電を防止するために、反発電極は電界の集中が生じない滑らかなリング状またはボール状に形成している。このため、ハウジング部材の外表面に十分な量の放電イオンを供給することができず、ハウジング部材の外表面の高電圧電位を維持できなかった。
この結果、静電塗装を継続するに従って、ハウジング部材の外表面には徐々に塗料粒子が付着して付着塗料となる。このため、この付着塗料によって、ハウジング部材の外表面の絶縁度が低下するという問題がある。
一方、ハウジング部材の高電圧電位を維持するためには、例えば反発電極を外径の大きな電極を用いて形成し、高電圧の放電面積を広げればよい。しかし、反発電極には常に高電圧が印加されているから、被塗物や他のアース物体との間で火花放電が生じないように、反発電極と被塗物等との間に十分な距離を確保する必要がある。
このため、外径の大きな反発電極を用いた場合には、噴霧器の可動範囲が狭くなると共に、操作性が悪くなるという問題がある。特に、自動車車体の内部のように狭い空間で塗装を行うときには、反発電極と自動車車体等のアース体との間の距離を確保することができず、塗装作業が困難となる。
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、電極を小型化しつつ高電圧の放電面積を広げることができる静電塗装装置を提供することにある。
(1).上述した課題を解決するために、本発明は、供給された塗料を被塗物に噴霧する塗料噴霧手段と、絶縁材料によって形成され前側に該塗料噴霧手段を保持するハウジング部材と、前記塗料噴霧手段から噴霧された塗料粒子を高電圧に帯電させ帯電塗料粒子を被塗物に塗着させる高電圧印加手段と、前記ハウジング部材を取囲む環状体として形成され該高電圧印加手段から高電圧が印加されることによりコロナ放電を発生するコロナリングとからなる静電塗装装置に適用される。
そして、本発明が採用する構成の特徴は、前記コロナリングは、前記ハウジング部材の前,後方向および内径,外径方向のうち少なくともいずれか一方向に延び、その先端が全周に亘って薄刃状に尖ったエッジ部となったブレードリングからなり、該ブレードリングのエッジ部の全体で高電圧の放電を継続的に行う構成としたことにある。
これにより、コロナリングを先端が薄刃状に尖ったエッジ部となったブレードリングによって形成したから、ブレードリングのエッジ部に電界を集中させることができ、ブレードリングの全周でコロナ放電を発生させることができる。このため、ハウジング部材に十分な量の放電イオンを供給でき、ハウジング部材の外表面の高電圧電位を安定して維持することができる。
また、ブレードリングのエッジ部によるコロナ放電によって、帯電量が減衰した塗料粒子に対して再度帯電させることができる。この結果、再帯電した塗料粒子とブレードリングまたはハウジング部材との間で反発力を作用させることができ、ハウジング部材に塗料粒子が付着するのを確実に防止することができる。
さらに、ブレードリングのエッジ部を用いてハウジング部材を取囲む環状のブレードリングの全体でコロナ放電を生じさせることができる。このため、ブレードリングのうち部分的にコロナ放電させた場合に比べて、ブレードリングを小型化することができ、ブレードリングと被塗物との間に十分な距離を確保することができる。この結果、ブレードリングと被塗物との間の火花放電を防止できると共に、狭い空間で塗装を行うときでも、噴霧器の可動範囲を広げて、操作性を高めることができる。
(2).この場合、本発明では、前記ブレードリングのエッジ部には、前記ブレードリングの全周のうち複数箇所に切欠きを設ける構成としてもよい。
このように構成したことにより、ブレードリングのエッジ部のうち切欠きの周方向両端部位に電界を集中させることができる。これにより、切欠きの周方向両端部位で放電を起こし易くすることができ、ブレードリングのコロナ放電を促進することができる。
(3).本発明が採用する構成の特徴は、前記コロナリングは、前記ハウジング部材に接近、離間を交互に繰返すように複数箇所で屈曲させたワイヤをリング状に形成した星型リングからなり、該星型リングの全体で高電圧の放電を継続的に行う構成としたことにある。
このように構成したことにより、コロナリングは複数箇所で屈曲してなるワイヤをリング状に形成した星型リングによって構成したから、星型リングの屈曲部位で電界集中をさらに高めることができる。これにより、星型リングの屈曲部位で放電を起こし易くすることができ、屈曲部位のコロナ放電を促進することができる。
また、ワイヤの直径を小さくすることによって、星型リングの全体で電界集中を高め、コロナ放電を継続的に行うことができる。このため、ハウジング部材に十分な量の放電イオンを供給でき、ハウジング部材の外表面の高電圧電位を安定して維持することができる。
また、星型リングによるコロナ放電によって、帯電量が減衰した塗料粒子に対して再度帯電させることができる。この結果、再帯電した塗料粒子と星型リングまたはハウジング部材との間で反発力を作用させることができ、ハウジング部材に塗料粒子が付着するのを確実に防止することができる。
さらに、星型リングの全体でコロナ放電を生じさせるから、星型リングのうち部分的にコロナ放電させた場合に比べて、星型リングを小型化することができ、星型リングと被塗物との間に十分な距離を確保することができる。この結果、星型リングと被塗物との間の火花放電を防止できると共に、狭い空間で塗装を行うときでも、噴霧器の可動範囲を広げて、操作性を高めることができる。
(4).本発明が採用する構成の特徴は、前記コロナリングは、螺旋状に巻回したワイヤをリング状に形成した螺旋リングからなり、該螺旋リングの全体で高電圧の放電を継続的に行う構成したことにある。
これにより、コロナリングを螺旋状に巻回してなるワイヤをリング状に形成した螺旋リングによって構成したから、螺旋リングの外形を小さくしつつ、ワイヤの全長を長くすることができる。また、ワイヤの直径を小さくすることによって、螺旋リングの全体で電界集中を高め、コロナ放電を継続的に行うことができる。このため、全長の長い螺旋リングの全体でコロナ放電を生じさせることができるから、放電イオンの量を増加させてハウジング部材に十分な量の放電イオンを供給でき、ハウジング部材の外表面の高電圧電位を安定して維持することができる。
また、螺旋リングによるコロナ放電によって、帯電量が減衰した塗料粒子に対して再度帯電させることができる。この結果、再帯電した塗料粒子と螺旋リングまたはハウジング部材との間で反発力を作用させることができ、ハウジング部材に塗料粒子が付着するのを確実に防止することができる。
さらに、螺旋リング全体でコロナ放電を生じさせるから、螺旋リングのうち部分的にコロナ放電させた場合に比べて、螺旋リングを小型化することができ、螺旋リングと被塗物との間に十分な距離を確保することができる。この結果、螺旋リングと被塗物との間の火花放電を防止できると共に、狭い空間で塗装を行うときでも、噴霧器の可動範囲を広げて、操作性を高めることができる。
(5).この場合、本発明では、前記ワイヤは、その直径が0.3mm以上で5mm以下の値に設定してもよい。
これにより、ワイヤ周囲の電界を高めることができ、コロナリングの全体で継続的にコロナ放電を発生させることができる。このため、ハウジング部材に十分な量の放電イオンを供給できると共に、塗料粒子の再帯電を行うことができる。
図1は、第1の実施の形態による回転霧化頭型塗装装置を示す縦断面図である。
図2は、図1中の噴霧器の周囲を拡大して示す縦断面図である。
図3は、高電圧放電電極を図1中の矢示III−III方向からみた右側面図である。
図4は、図1中の高電圧放電電極を単体で示す斜視図である。
図5は、第2の実施の形態による回転霧化頭型塗装装置を示す正面図である。
図6は、図5中の塗装機をカバー部材を破断した状態で拡大して示す正面図である。
図7は、図5中の塗装機を示す縦断面図である。
図8は、第2の実施の形態による塗装機を示す図6の左側面図である。
図9は、図8中の矢示IX−IX方向からみた高電圧放電電極を単体で示す縦断面図である。
図10は、図8中の高電圧放電電極を単体で示す斜視図である。
図11は、第3の実施の形態による回転霧化頭型塗装装置を示す図8と同様な左側面図である。
図12は、図11中の矢示XII−XII方向からみた高電圧放電電極を単体で示す縦断面図である。
図13は、図11中の高電圧放電電極を単体で示す斜視図である。
図14は、第4の実施の形態による回転霧化頭型塗装装置をカバー部材を破断した状態で示す図6と同様の正面図である。
図15は、第4の実施の形態による回転霧化頭型塗装装置を示す図8と同様な左側面図である。
図16は、図15中の高電圧放電電極を単体で示す斜視図である。
図17は、星型リングのワイヤと被塗物との配置関係を示す説明図である。
図18は、第5の実施の形態による回転霧化頭型塗装装置を示す図8と同様な左側面図である。
図19は、図18中の高電圧放電電極を単体で示す斜視図である。
図20は、図18中の螺旋リングを矢示XX−XX方向から拡大してみた拡大縦断面図である。
以下、本発明の実施の形態による静電塗装装置として回転霧化頭型塗装装置を例に挙げて添付図面に従って詳細に説明する。
まず、図1ないし図4は第1の実施の形態を示している。図において、1はアース電位にある被塗物(図示せず)に向けて塗料を噴霧する塗料噴霧手段としての噴霧器で、該噴霧器1は、後述するエアモータ2、回転霧化頭3等によって構成されている。
2は導電性金属材料からなるエアモータで、該エアモータ2は、モータハウジング2Aと、該モータハウジング2A内に静圧エア軸受2Bを介して回転可能に支持された中空の回転軸2Cと、該回転軸2Cの基端側に固定されたエアタービン2Dとによって構成されている。そして、エアモータ2は、エアタービン2Dに駆動エアを供給することにより、回転軸2Cと回転霧化頭3を、例えば3000〜100000rpmで高速回転させるものである。
3はエアモータ2の回転軸2C先端側に取付けられた回転霧化頭で、該回転霧化頭3は、例えば金属材料または導電性の樹脂材料によって形成されている。そして、回転霧化頭3は、エアモータ2によって高速回転された状態で後述のフィードチューブ4を通じて塗料を供給することにより、その塗料を遠心力によって先端側の放出端縁3Aから噴霧する。また、回転霧化頭3は、エアモータ2等を介して後述の高電圧発生器7に接続されている。これにより、静電塗装を行う場合に、回転霧化頭3全体に高電圧を印加することができ、これらの表面を流れる塗料を直接的に高電圧に帯電させることができる。
4は回転軸2C内に挿通して設けられたフィードチューブで、該フィードチューブ4の先端側は、回転軸2Cの先端から突出して回転霧化頭3内に延在している。また、フィードチューブ4内には塗料通路5が設けられると共に、該塗料通路5は色替弁装置等を介して塗料供給源および洗浄シンナ供給源(いずれも図示せず)に接続されている。また、フィードチューブの中間部位は後述する弁体6Aが離着座する弁座4Aが形成されている。これにより、フィードチューブ4は、塗装時には塗料通路5を通じて回転霧化頭3に向けて塗料供給源からの塗料を供給すると共に、洗浄時、色替時等には洗浄シンナ供給源からの洗浄流体(シンナ、空気等)を供給する。
なお、フィードチューブ4は、本実施の形態に限らず、例えば内筒に塗料通路が形成され、外筒に洗浄シンナ通路が配置された二重筒状に形成してもよい。また、塗料通路5は、本実施の形態のようにフィードチューブ4内を通るものに限らず、噴霧器1の種類に応じて種々の通路形態が採用可能である。
6は塗料通路5の途中に設けられた例えば常閉型の塗料供給弁である。この塗料供給弁6は、塗料通路5内を延び先端が弁座4Aに離着座する弁体6Aと、該弁体6Aの基端側に位置してシリンダ6B内に設けられたピストン6Cと、シリンダ6B内に設けられ弁体6Aを閉弁方向に付勢する弁ばね6Dと、シリンダ6B内で弁ばね6Dと反対側に設けられた受圧室6Eとから構成されている。そして、塗料供給弁6は、受圧室6Eに供給弁駆動エア(パイロットエア)が供給されることによって、弁ばね6Dに抗して弁体6Aが開弁し、塗料通路5内の塗料の流通を許可する。
7はエアモータ2に接続された高電圧印加手段としての高電圧発生器で、該高電圧発生器7は、複数のコンデンサ、ダイオード(いずれも図示せず)からなる多段式整流回路(所謂、コッククロフト回路)によって構成されている。また、高電圧発生器7は、高電圧制御装置8から供給される直流の電源電圧を昇圧して、例えば−30〜−150kVの高電圧を発生する。このとき、高電圧発生器7は、高電圧制御装置8による電源電圧に応じて発生する高電圧が設定されるから、高電圧制御装置8によって出力電圧(高電圧)が制御されている。そして、高電圧発生器7は、高電圧ケーブル7Aを介してエアモータ2および回転霧化頭3に接続され、該回転霧化頭3によって塗料を直接的に高電圧に帯電させている。
9はエアモータ2と高電圧発生器7とが取付けられたハウジング部材である。このハウジング部材9は、例えばPOM(ポリオキシメチレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PP(ポリプロピレン)、HP−PE(高圧ポリエチレン)、HP−PVC(高圧塩化ピニル)、PEI(ポリエーテルイミド)、PES(ポリエーテルサルホン)、ポリメチルペンテン等の絶縁性樹脂材料によって略円柱状に形成されている。
そして、ハウジング部材9は、円筒状の外表面9Aを有すると共に、その後端9Bは大径な鍔状に形成されている。また、ハウジング部材9の前側にはエアモータ2を収容するエアモータ収容穴9Cが形成されると共に、ハウジング部材9の後側には高電圧発生器7を収容する高電圧発生器収容穴9Dが形成されている。
10はハウジング部材9の外表面9Aと隙間をもって設けられた筒状のカバー部材である。そして、カバー部材10は、高絶縁性、非吸水性をもつ絶縁性樹脂材料として、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、POM(ポリオキシメチレン)または表面撥水処理を施したPET(ポリエチレンテレフタレート)等を用いて形成されている。また、カバー部材10は、機械的強度を保持するために、例えば0.1〜5mm程度の厚さ寸法をもって筒状に形成されている。さらに、カバー部材10の前端側には、内周側に向けて環状に突出し、ハウジング部材9の前端側を閉塞する前閉塞部材11が設けられている。
ここで、カバー部材10は、後端側がハウジング部材9の大径な後端9Bに取付けられ、前端側が前閉塞部材11に取付けられている。しかし、カバー部材10とハウジング部材9とが互いに径方向で対面する部位(カバー部材10の軸方向中間部位)は、略全面に亘ってハウジング部材9と離間している。この結果、カバー部材10とハウジング部材9との間には横断面が環状の環状空間12が形成されている。これにより、環状空間12は、エアモータ2および高電圧発生器7の外周側を略全面に亘って取囲んでいる。そして、環状空間12は、カバー部材10からハウジング部材9に向うリーク電流を防止するために、カバー部材10とハウジング部材9との間に例えば5mm以上の間隔寸法をもって形成されている。
13はシェーピングエアを噴出するシェーピングエアリングで、該シェーピングエアリング13は、回転霧化頭3の外周側を覆うようにカバー部材10の先端側(前端側)に前閉塞部材11を介して設けられている。そして、シェーピングエアリング13は、カバー部材10とほぼ同様の材料として、例えばPTFE、POMまたは表面撥水処理を施したPET等を用いて筒状に形成されている。また、シェーピングエアリング13には複数個のエア吐出孔13Aが穿設され、該エア吐出孔13Aはハウジング部材9内に設けられたシェーピングエア通路14に連通している。そして、エア吐出孔13Aにはシェーピングエア通路14を通じてシェーピングエアが供給され、エア吐出孔13Aは、該シェーピングエアを回転霧化頭3から噴霧される塗料に向けて噴出する。これにより、シェーピングエアは、回転霧化頭3から噴霧された塗料粒子の噴霧パターンを整形する。
15はシェーピングエアリング13の外周側に設けられた高電圧放電電極で、該高電圧放電電極15は、後述する支持腕部16、ブレードリング17等によって構成されている。
16はシェーピングエアリング13から径方向外側に向けて延びる支持腕部で、該支持腕部16は、シェーピングエアリング13の周囲に等間隔に例えば4本設けられ、ブレードリング17を支持している。また、支持腕部16は、導電性材料を用いて形成されると共に、接続線路16Aを介してエアモータ2に電気的に接続されている。
17は支持腕部16の先端に設けられたブレードリングで、該ブレードリング17は、例えば金属等の導電性材料を用いて略円筒状に形成されている。また、ブレードリング17は、前側に位置する円環状のリング部18と、該リング部18から後方に向けて突出したエッジ部19とによって構成されている。そして、ブレードリング17は、エアモータ2の周囲に位置してシェーピングエアリング13を取囲んでいる。
ここで、ブレードリング17は、その内径寸法がシェーピングエアリング13の外径寸法よりも例えば150〜250%程度大きな円形に形成されている。そして、ブレードリング17の周方向の長さ寸法は、例えば300〜900mm程度に設定されている。また、ブレードリング17は、エアモータ2の回転軸2Cと同軸の略同心円状に配置されている。これにより、ブレードリング17は、その全周に亘ってシェーピングエアリング13との距離が略一定になっている。
そして、ブレードリング17は、接続線路16A、支持腕部16を介してエアモータ2に接続されている。これにより、ブレードリング17およびエッジ部19には高電圧発生器7による高電圧が印加されている。
18はブレードリング17の前側に設けられたリング部で、該リング部18は、支持腕部16の先端に取付けられて、シェーピングエアリング13を取囲んでいる。そして、リング部18は、前側が滑らかな円弧面となり、後側が薄刃状に突出している。
19はリング部18の後方に突出して設けられたエッジ部で、該エッジ部19は、ブレードリング17のうち厚さ寸法が薄く形成された後端部に配置され、先端が薄刃状に尖っている。そして、エッジ部19は、ブレードリング17の全周に亘って電界を高めている。これにより、エッジ部19は、例えば90kVの高電圧を印加したときに、20μA〜100μA程度の放電電流が流れて、安定したコロナ放電を生じさせるものである。
第1の実施の形態による回転霧化頭型塗装装置は上述のような構成を有するもので、次に、該塗装装置を用いた塗装動作について説明する。
噴霧器1は、エアモータ2によって回転霧化頭3を高速回転させ、この状態でフィードチューブ4を通じて回転霧化頭3に塗料を供給する。これにより、噴霧器1は、回転霧化頭3が回転するときの遠心力によって塗料を微粒化し、塗料粒子として噴霧する。また、シェーピングエアリング13からシェーピングエアが供給され、このシェーピングエアによって塗料粒子からなる噴霧パターンが制御される。
また、回転霧化頭3にはエアモータ2を介して高電圧発生器7による高電圧が印加されている。これにより、回転霧化頭3に供給された塗料は、回転霧化頭3を通じて直接的に高電圧に帯電すると共に、帯電塗料粒子となって回転霧化頭3と被塗物との間に形成された静電界に沿って飛行し、被塗物に塗着する。
然るに、第1の実施の形態では、シェーピングエアリング13の外周側には高電圧放電電極15を設ける構成としている。このため、高電圧発生器7からの高電圧は、エアモータ2等を介してブレードリング17に印加され、エッジ部19から放電される。
これにより、高電圧放電電極15は、帯電塗料粒子と同極性にある高電圧が印加されることによって、コロナ放電を生じ、カバー部材10に対して当該同極性の電荷を積極的に帯電させることができる。また、高電圧放電電極15は、カバー部材10の外周側に高電圧の静電界を形成する。このため、高電圧放電電極15の静電界によって、帯電塗料粒子がカバー部材10に近付くのを防止できると共に、高電圧に帯電したカバー部材10によって帯電塗料粒子が付着するのを防止することができる。
一方、被塗物から離れる方向に延びたエッジ部19によってブレードリング17の全周に亘ってコロナ放電を発生するから、カバー部材10の後側まで高電圧の電荷で積極的に帯電させることができる。これにより、カバー部材10の広い範囲で高電圧電位を保持することができ、帯電塗料粒子が付着するのを防止することができる。
特に、本実施の形態では、ブレードリング17には薄刃状に尖ったエッジ部19を形成している。このため、エッジ部19は、例えば3〜5kV/m程度の放電開始電界よりも高い電界を形成することができる。この結果、エッジ部19によって連続的に高い電界を得ることができるから、安定して多量の電荷を得ることができる。
また、エッジ部19はブレードリング17の全周に亘って形成したから、ハウジング部材9を取囲む環状のブレードリング17の全体でコロナ放電を生じさせることができる。これにより、ハウジング部材9の外表面側に位置するカバー部材10には十分な量の放電イオンを供給することができ、カバー部材10の高電圧電位を安定して維持することができる。
また、エッジ部19によるコロナ放電によって、帯電量が減衰した塗料粒子に対して再度帯電させることができる。この結果、再帯電した塗料粒子と高電圧放電電極15またはカバー部材10との間で反発力を作用させることができ、カバー部材10に塗料粒子が付着するのを確実に防止することができる。
さらに、エッジ部19を用いてカバー部材10を取囲む環状のブレードリング17の全体でコロナ放電を生じさせることができるから、例えば環状のコロナリングの表面に針状電極を部分的に配置してコロナ放電させた場合に比べて、ブレードリング17を小型化することができる。この結果、高電圧放電電極15と被塗物との間で火花放電を防止するために十分な距離を確保することができるから、狭い空間で塗装を行うときでも、噴霧器1の可動範囲を広げて、操作性を高めることができる。
また、第1の実施の形態では、ハウジング部材9の外表面をカバー部材10を用いて覆うと共に、ハウジング部材9とカバー部材10との間には環状空間12を設ける構成としている。このため、空気に比べて電気抵抗の低いハウジング部材9がカバー部材10に接触する部位を減らすことができる。これにより、高電圧に帯電したカバー部材10の外表面の電荷がハウジング部材9を介して漏洩するのを減らすことができるから、カバー部材10の帯電状態を保持し、帯電塗料粒子の付着を防止することができる。
なお、第1の実施の形態では、シェーピングエアリング13は、絶縁樹脂材料を用いて形成するものとした。しかし、本発明はこれに限らず、例えばシェーピングエアリングを導電性金属材料を用いて形成してもよい。この場合、金属材料からなるシェーピングエアリングには、エアモータを介して塗料と同電位の高電圧が印加される。これにより、シェーピングエアリングは反発電極として機能するから、シェーピングエアリングに帯電塗料粒子が付着するのを防止することができる。
次に、図5ないし図10は第2の実施の形態による回転霧化頭型塗装装置を示している。第2の実施の形態の特徴は、ハウジング部材を、前,後方向に延伸して前側に塗料噴霧手段を保持する胴部と、該胴部から分岐したネック部とによって構成し、カバー部材を、ハウジング部材の胴部を覆う胴部側カバーと、前記ハウジング部材のネック部を覆うネック部側カバーとによって構成したことにある。
図において、21は自動塗装作業を行うためのロボット装置で、該ロボット装置21は、後述する塗装機31を用いた塗装作業を実行するものである。そして、ロボット装置21は、基台22と、該基台22上に回転可能かつ揺動可能に設けられ複数の関節をもったロボットアーム23(アーム)とによって大略構成されている。そして、ロボット装置21は、塗装機31を被塗物Aに対して移動させると共に、アースに接続されている。
31はロボット装置21に取付けられたカートリッジ式の塗装機で、該塗装機31は、後述の噴霧器32、ハウジング部材35、カートリッジ42等によって大略構成されている。
32はアース電位にある被塗物Aに向けて塗料を噴霧する塗料噴霧手段としての噴霧器で、該噴霧器32は、後述するエアモータ33、回転霧化頭34等によって構成されている。
33は導電性金属材料からなるエアモータで、該エアモータ33は、モータハウジング33Aと、該モータハウジング33A内に静圧エア軸受33Bを介して回転可能に支持された中空の回転軸33Cと、該回転軸33Cの基端側に固定されたエアタービン33Dとによって構成されている。そして、エアモータ33は、後述のエア通路39を通じて駆動エアをエアタービン33Dに供給することにより、回転軸33Cと回転霧化頭34を、例えば3000〜100000rpmで高速回転させるものである。
34はエアモータ33の回転軸33C先端側に取付けられた回転霧化頭で、該回転霧化頭34は、例えば金属材料または導電性の樹脂材料によって形成されている。そして、回転霧化頭34は、エアモータ33によって高速回転された状態で後述のフィードチューブ44を通じて塗料を供給することにより、その塗料を遠心力によって先端側の放出端縁34Aから噴霧する。また、回転霧化頭34にはエアモータ33等を介して後述の高電圧発生器45が接続されている。これにより、静電塗装を行う場合に、回転霧化頭34全体に高電圧を印加することができ、これらの表面を流れる塗料を直接的に高電圧に帯電させることができる。
35はエアモータ33等を保持するハウジング部材で、該ハウジング部材35は、第1の実施の形態によるハウジング部材9と同様に、例えばPOM(ポリオキシメチレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PP(ポリプロピレン)、HP−PE(高圧ポリエチレン)、HP−PVC(高圧塩化ピニル)、PEI(ポリエーテルイミド)、PES(ポリエーテルサルホン)、ポリメチルペンテン等の絶縁性樹脂材料によって形成されている。
また、ハウジング部材35は、軸方向(前,後方向)に延伸した円柱状の胴部36と、該胴部36の軸方向の途中位置から外周側に向けて斜めに分岐したネック部37とによって構成されている。
そして、胴部36の前側には、エアモータ33を収容するエアモータ収容穴36Aが形成されると共に、胴部36の後側には、後述するカートリッジ42のボンベ43を取付けるためのボンベ取付部36Bが形成されている。また、胴部36内には、エアモータ収容穴36Aとボンベ取付部36Bの中心位置を通るフィードチューブ挿通孔36Cが軸方向に延びて形成されている。
一方、ネック部37内には、後述の高電圧発生器45を収容する高電圧発生器収容穴37Aが形成されている。そして、ネック部37の先端は、絶縁性樹脂材料からなる筒状のコネクタ部材38を用いてロボット装置21のロボットアーム23の先端に取付けられている。さらに、ハウジング部材35内には、エアモータ33に駆動エアを供給するエア通路39が形成されると共に、後述するカートリッジ42に塗料流量制御用の押出し液体を供給する押出し液体通路40が形成されている。
41は回転霧化頭34を囲繞するようにハウジング部材35の胴部36の前端側に設けられたシェーピングエアリングで、該シェーピングエアリング41は、例えば導電性金属材料を用いて形成され、エアモータ33に電気的に接続されている。また、シェーピングエアリング41には複数個のエア吐出孔41Aが穿設され、該エア吐出孔41Aは回転霧化頭34から噴霧される塗料に向けてシェーピングエアを噴出する。
42は塗料を回転霧化頭34に向けて供給する塗装用のカートリッジで、該カートリッジ42は、軸方向(前,後方向)に延びる円筒体(シリンダ)として形成されたボンベ43と、該ボンベ43から軸方向に延びるフィードチューブ44と、前記ボンベ43内を塗料収容室と押出し液体収容室とに画成するピストン(いずれも図示せず)等とにより大略構成されている。
また、カートリッジ42は、フィードチューブ44をフィードチューブ挿通孔36Cに挿通した状態でハウジング部材35のボンベ取付部36Bに取付けられる。そして、塗装時には、ハウジング部材35の押出し液体通路40を通じて押出し液体収容室に押出し液体を供給することによってピストンを摺動変位させ、ボンベ43内の塗料を、フィードチューブ44を通じて回転霧化頭34に向けて吐出する。また、塗料の充填時には、カートリッジ42をボンベ取付部36Bから取外して塗料充填装置(図示せず)に取付け、フィードチューブ44を通じてボンベ43の塗料収容室内に塗料を充填する。
45はハウジング部材35のネック部37に内蔵された高電圧印加手段としての高電圧発生器で、該高電圧発生器45は、入力側がロボット装置21を介して外部の高電圧制御装置46に接続され、出力側がエアモータ33に接続されている。そして、高電圧発生器45は、例えば複数のコンデンサ、ダイオード(いずれも図示せず)からなる多段式整流回路(所謂、コッククロフト回路)によって構成されている。
また、高電圧発生器45は、高電圧制御装置46から供給される直流の電源電圧を昇圧して、例えば−30〜−150kVの高電圧を発生する。このとき、高電圧発生器45は、高電圧制御装置46による電源電圧に応じて発生する高電圧が設定されるから、高電圧制御装置46によって出力電圧(高電圧)が制御されている。そして、高電圧発生器45は、高電圧ケーブル45Aを介してエアモータ33および回転霧化頭34を通じて塗料を直接的に高電圧に帯電させている。
47はハウジング部材35の外表面を覆って設けられたカバー部材で、該カバー部材47は、高絶縁性、非吸水性をもつフッ素系の絶縁樹脂として、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(エチレンとテトラフルオロエチレンの共重合体)等からなるフッ素系樹脂フィルム部材を用いて形成されている。また、カバー部材47は、胴部36の外表面36Dを取囲む胴部側カバー48と、ネック部37の外表面37Bを取囲むネック部側カバー49とによって構成されている。そして、各カバー48,49は、例えば0.1〜5mm程度の厚さ寸法をもった樹脂フィルム部材を丸めることによってそれぞれ筒状に形成されている。
ここで、胴部側カバー48は、胴部36の周囲から後方に向けて延伸している。これにより、胴部側カバー48は、胴部36の外表面36Dを覆うと共に、カートリッジ42のボンベ43の外表面も覆っている。また、胴部側カバー48は、胴部36の前,後方向の両端側に設けられた円環状の鍔部50に取付けられている。一方、ネック部側カバー49は、ネック部37の長さ方向の途中位置に設けられた円環状の鍔部51とネック部37の先端位置に設けられたコネクタ部材38に取付けられている。
そして、胴部側カバー48のうち胴部36の外表面36Dと互いに対面する部位は、鍔部50と接触する僅かな部位を除いて略全面に亘って胴部36と離間している。また、カバー部材47のネック部側カバー49のうちネック部37の外表面37Bと互いに対面する部位は、鍔部51、コネクタ部材38と接触する僅かな部位を除いて略全面に亘ってネック部37と離間している。
これにより、胴部36と胴部側カバー48との間には、横断面が環状の環状空間52が形成されると共に、ネック部37とネック部側カバー49との間にも、横断面が環状の環状空間52が形成されている。このため、カバー部材47とハウジング部材35との間には、略全面に亘って環状空間52が形成されている。この結果、環状空間52は、エアモータ33および高電圧発生器45の外周側を略全面に亘って取囲んでいる。そして、環状空間52は、カバー部材47からハウジング部材35に向うリーク電流を防止するために、カバー部材47とハウジング部材35との間に例えば5mm以上の間隔寸法をもって形成されている。
53はシェーピングエアリング41の外周側に設けられた高電圧放電電極で、該高電圧放電電極53は、後述する支持腕部54、ブレードリング55、エッジ部56,57,58によって構成されている。
54はシェーピングエアリング41の周囲に放射状に設けられた支持腕部で、該支持腕部54は、ハウジング部材35側から胴部側カバー48の外周側に向けて径方向に沿って延伸している。そして、支持腕部54は、シェーピングエアリング41の周囲に等間隔に例えば3本設けられ、ブレードリング55を支持している。
55は支持腕部54の先端に設けられたブレードリングで、該ブレードリング55は、例えば金属等の導電性材料を用いて略円筒状に形成されている。また、ブレードリング55は、前,後両方向にそれぞれ突出した前側突出部55Aと後側突出部55Bとを有すると共に、外径方向に突出した円環状の鍔部55Cを備えている。さらに、ブレードリング55は、エアモータ33の周囲に位置して胴部側カバー48の前側を取り囲んでいる。
ここで、ブレードリング55は、その外径寸法が胴部側カバー48の外径寸法よりも例えば150〜250%程度大きな円形に形成されている。そして、ブレードリング55の周方向の長さ寸法は、例えば300〜900mm程度に設定されている。また、ブレードリング55は、エアモータ33の回転軸33Cと同軸の略同心円状に配置されている。これにより、ブレードリング55は、その全周に亘って胴部側カバー48との距離が略一定になっている。
そして、ブレードリング55は、支持腕部54、シェーピングエアリング41を介してエアモータ33に接続されている。これにより、ブレードリング55には高電圧発生器45による高電圧が印加されている。
56,57,58はブレードリング55の前側突出部55A、後側突出部55Bおよび鍔部55Cの先端にそれぞれ設けられたエッジ部である。ここで、前側エッジ部56は、前側突出部55Aの厚さ寸法を前方に向けて漸次薄くすることによって、薄刃状に尖って形成されている。また、後側エッジ部57は、後側突出部55Bの厚さ寸法を後方に向けて漸次薄くすることによって、薄刃状に尖って形成されている。さらに、鍔状エッジ部58は、鍔部55Cの厚さ寸法を外径方向に向けて漸次薄くすることによって、薄刃状に尖って形成されている。
そして、エッジ部56,57,58は、ブレードリング55の全周に亘って電界を高めている。これにより、エッジ部56,57,58は、例えば90kVの高電圧を印加したときに、20μA〜100μA程度の放電電流が流れて、安定したコロナ放電を生じさせるものである。
第2の実施の形態による回転霧化頭型塗装装置は上述のような構成を有するもので、次に、塗装装置としての作動について説明する。
コンベア装置等を用いて被塗物Aがロボット装置21の近傍に配置されると、ロボット装置21は、予め記憶されたティーチング動作に基いてプレイバック動作し、被塗物Aの近くに塗装機31を移動させる。
このとき、塗装機31は、エアモータ33によって回転霧化頭34を高速回転させ、この状態でボンベ43内の塗料をフィードチューブ44を通じて回転霧化頭34に向けて供給する。これにより、塗装機31は、回転霧化頭34が回転するときの遠心力によって塗料を微粒化し、塗料粒子として噴霧する。また、シェーピングエアリング41からシェーピングエアが供給され、このシェーピングエアによって塗料粒子からなる噴霧パターンが制御される。
また、回転霧化頭34にはエアモータ33を介して高電圧発生器45による高電圧が印加されている。これにより、回転霧化頭34に供給された塗料は、回転霧化頭34を通じて直接的に高電圧に帯電すると共に、帯電塗料粒子となって回転霧化頭34と被塗物Aとの間に形成された静電界に沿って飛行し、アース電位となった被塗物Aに塗着する。
かくして、第2の実施の形態では、胴部側カバー48の外周側には高電圧放電電極53を設ける構成としたから、高電圧発生器45からの高電圧は、エアモータ33、シェーピングエアリング41等を介してブレードリング55に印加され、前側エッジ部56、後側エッジ部57、鍔状エッジ部58から放電される。このため、高電圧放電電極53を用いて帯電塗料粒子と同極性のイオンを放電し、カバー部材47に対して積極的に当該同極性の電荷を帯電させることができる。
また、ブレードリング55によってカバー部材47の外周側に高電圧の静電界を形成することができる。このため、ブレードリング55の静電界によって帯電塗料粒子がカバー部材47に近付くのを防止できると共に、高電圧に帯電したカバー部材47によって帯電塗料粒子が付着するのを防止することができる。
さらに、ブレードリング55は胴部側カバー48を取囲むから、高電圧放電電極53を省いた場合に比べて、ブレードリング55の全周からの高電圧の放電によってカバー部材47を広い範囲で高電圧の電荷で帯電させることができる。これにより、カバー部材47の広い範囲で帯電塗料粒子が付着するのを防止することができる。
ここで、仮にエッジ部を持っていない放電用のリングを用いる場合には、該リングのうち接地間距離が最も短い部分で常に放電が強く起きる。この場合、この強い放電による電子雲の影響で、他の部分は弱い放電となる可能性がある。
これに対し、第2の実施の形態では、ブレードリング55は薄刃状に尖ったエッジ部56〜58を一体的に形成している。このため、エッジ部56〜58では、例えば3〜5kV/m程度の放電開始電界よりも極めて高い電界を確保することができる。これにより、ブレードリング55の一部分が被塗物(接地物)に接近する場合でも、部分的な強い放電を抑制し、エッジ部56〜58によってブレードリング55の全周に亘って安定した放電を行うことができる。
また、エッジ部56〜58はブレードリング55の全周に亘って形成したから、カバー部材47を取囲む環状のブレードリング55の全体でコロナ放電を生じさせることができる。これにより、カバー部材47には十分な量の放電イオンを供給することができ、カバー部材47の高電圧電位を安定して維持することができる。
また、エッジ部56〜58によるコロナ放電によって、帯電量が減衰した塗料粒子に対して再度帯電させることができる。この結果、再帯電した塗料粒子とブレードリング55またはカバー部材47との間で反発力を作用させることができ、カバー部材47に塗料粒子が付着するのを確実に防止することができる。
さらに、エッジ部56〜58を用いてカバー部材47を取囲む環状のブレードリング55の全体でコロナ放電を生じさせることができるから、ブレードリング55のうち部分的にコロナ放電させた場合に比べて、ブレードリング55を小型化することができる。この結果、ブレードリング55と被塗物Aとの間で火花放電を防止するために十分な距離を確保することができるから、狭い空間で塗装を行うときでも、噴霧器32の可動範囲を広げて、操作性を高めることができる。
また、ブレードリング55には前,後方向の突出部55A,55Bに加えて径方向外側に延びる鍔部55Cを設け、これらの突出部55A,55Bおよび鍔部55Cに薄刃状のエッジ部56,57,58をそれぞれ形成している。このため、ブレードリング55の前,後方向の突出部55A,55Bに設けたエッジ部56,57に加えて、鍔部55Cのエッジ部58にも電界を集中させてコロナ放電を発生させることができる。これにより、カバー部材47に十分な量の放電イオンを供給できると共に、塗料粒子の再帯電を促進することができる。
さらに、第2の実施の形態では、ハウジング部材35をカバー部材47を用いて覆うと共に、ハウジング部材35とカバー部材47との間には環状空間52を設ける構成としている。従って、環状空間52によってハウジング部材35がカバー部材47に接触する部位を減らすことができる。このため、高電圧に帯電したカバー部材47の外表面の電荷がハウジング部材35を介して漏洩するのを減らすことができるから、カバー部材47の帯電状態を保持し、帯電塗料粒子の付着を防止することができる。
次に、図11ないし図13は第3の実施の形態による回転霧化頭型塗装装置を示し、第3の実施の形態の特徴は、ブレードリングのエッジ部には、ブレードリングの全周のうち複数箇所に切欠きを設けたことにある。なお、第3の実施の形態では第2の実施の形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
61はシェーピングエアリング41の外周側に設けられた高電圧放電電極で、該高電圧放電電極61は、後述する支持腕部62、ブレードリング63、エッジ部64〜66、切欠き67〜69等によって構成されている。
62はシェーピングエアリング41の周囲に放射状に設けられた支持腕部で、該支持腕部62は、ハウジング部材35側から胴部側カバー48の外周側に向けて径方向に沿って延伸している。そして、支持腕部62は、シェーピングエアリング41の周囲に等間隔に例えば3本設けられ、ブレードリング63を支持している。
63は支持腕部62の先端に設けられたブレードリングで、該ブレードリング63は、第2の実施の形態によるブレードリング55とほぼ同様に、例えば金属等の導電性材料を用いて略円筒状に形成されている。また、ブレードリング63は、前,後両方向にそれぞれ突出した前側突出部63Aと後側突出部63Bとを有すると共に、径方向外側に突出した円環状の鍔部63Cを備えている。さらに、ブレードリング63は、胴部側カバー48の前側を取囲んでいる。そして、ブレードリング63は、支持腕部54、シェーピングエアリング41等を介して高電圧発生器45に接続されている。これにより、ブレードリング63には高電圧発生器45による高電圧が印加されている。
64,65,66はブレードリング63の前側突出部63A、後側突出部63Bおよび鍔部63Cの先端にそれぞれ設けられたエッジ部である。
ここで、前側エッジ部64は、前側突出部63Aの厚さ寸法を前方に向けて漸次薄くすることによって、薄刃状に尖って形成されている。しかも、前側エッジ部64は、隣合う切欠き67を挟んで、複数個(第3の実施の形態の場合は10個)形成されている。
また、後側エッジ部65は、後側突出部63Bの厚さ寸法を後方に向けて漸次薄くすることによって、薄刃状に尖って10個形成されている。さらに、鍔状エッジ部66は、鍔部63Cの厚さ寸法を外径方向に向けて漸次薄くすることによって、薄刃状に尖って10個形成されている。
そして、エッジ部64,65,66は、ブレードリング63の全周に亘って電界を高めている。これにより、エッジ部64,65,66は、例えば90kVの高電圧を印加したときに、20μA〜100μA程度の放電電流が流れて、安定したコロナ放電を生じさせるものである。
67,68,69はエッジ部64,65,66のうちブレードリング63の周方向に沿って複数箇所に設けられた切欠きで、該切欠き67〜69は、例えばブレードリング63の周方向に対して等間隔に10個設けられている。
このとき、各切欠き67は、円弧形状をなしてエッジ部64の周方向に沿って延びている。しかも、切欠き67は、隣合う2つのエッジ部64に挟まれて複数個(第3の実施の形態の場合は10個)形成されている。これにより、切欠き67は、エッジ部64のうちその周方向の両側の端部64Aにさらに電界を集中し、放電を促進させるものである。
同様に、切欠き68も、隣合う2つのエッジ部65に挟まれて10個形成され、その周方向の両側の端部65Aにさらに電界を集中させている。さらに、切欠き69も、隣合う2つのエッジ部66に挟まれて10個形成され、その周方向の両側の端部66Aにさらに電界を集中させている。
また、切欠きの周方向の長さ寸法Lが短い場合には、放電によるイオン雲が擬似電極として作用するから、電界緩和作用が発生し、放電が逆に抑制されることになる。このため、本実施の形態では、切欠き67〜69は、コロナ雲の間隔に比べて十分に大きな値として例えば20mm以上の長さ寸法Lを有している。
かくして、第3の実施の形態でも第2の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。特に、第3の実施の形態では、エッジ部64〜66には周方向の複数箇所に切欠き67〜69を設けたから、切欠き67〜69の周方向両側に位置する端部64A〜66Aで電界集中をさらに高めることができる。これにより、端部64A〜66Aで放電を起こし易くすることができ、エッジ部64〜66のコロナ放電を促進することができる。
次に、図14ないし図17は第4の実施の形態による回転霧化頭型塗装装置を示している。第4の実施の形態の特徴は、ハウジング部材に接近、離間を交互に繰返すようにワイヤを複数箇所で屈曲させた星型リングを使用したことにある。なお、第4の実施の形態では第2の実施の形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
71はシェーピングエアリング41の外周側に設けられた高電圧放電電極で、該高電圧放電電極71は、後述する支持腕部72、星型リング73等によって構成されている。
72はシェーピングエアリング41の周囲に放射状に設けられた支持腕部で、該支持腕部72は、ハウジング部材35側から胴部側カバー48の外周側に向けて径方向に沿って延伸している。そして、支持腕部72は、シェーピングエアリング41の周囲に等間隔に例えば3本設けられ、星型リング73を支持している。
73は支持腕部72の先端に設けられた星型リングで、該星型リング73は、例えば金属等の導電性材料のワイヤを用いて星形状に形成されている。このとき、星型リング73は、例えば作業者等に接触したときに変形可能とし、かつ形状が復元可能となるように、例えばばね鋼からなるワイヤを用いて形成するのが好ましい。また、星型リング73に用いるワイヤの直径は、放電開始電界が得られ、かつ形状維持ができるように、例えば0.3〜5mm程度の値に設定されている。
そして、星型リング73は、カバー部材47に接近、離間を交互に繰返すようにワイヤを複数箇所で屈曲させると共に、該ワイヤを用いてリング状に形成されている。これにより、星型リング73には、カバー部材47に接近した第1の屈曲部73Aとカバー部材47から離間した第2の屈曲部73Bとが形成されている。また、屈曲部73A,73Bは、周方向に向けて等間隔に例えば15個配置されている。
このとき、互いに隣合う第1の屈曲部73Aは、コロナ雲の間隔に比べて十分に大きな値として例えば20mm以上の間隔寸法Lだけ離れている。同様に、互いに隣合う第2の屈曲部73Bも、例えば20mm以上の間隔寸法だけ離れている。これにより、屈曲部73A,73Bには、さらに電界を集中している。
ここで、星型リング73のワイヤの直径と放電開始電界との関係について検討する。
まず、図17に示すように、ワイヤを無限長の円柱と仮定し、半径rの円柱を空間絶縁距離dだけアース電位の平板(被塗物A)と離間した位置に配置する。このとき、円柱(ワイヤ)の周囲に生じる電界Eは、以下の(1)式に示す電界集中係数ηを平均電界E0に乗じた値(E=η×E0)となる。
ここで、星型リング73に印加する電圧を60kVとし、星型リング73と被塗物Aとの距離dを300mmとする。このとき、星型リング73と被塗物Aとの間の平均電界E0は0.2kV/mmとなる。一方、標準大気中でコロナ放電が開始する放電開始電界は、3kV/mm程度である。そこで、被塗物Aとの距離dや星型リング73に印加する電圧等が変動したときでも、安定してコロナ放電を継続する余裕を持たせるために、星型リング73の周囲の電界は、例えば放電開始電界の約3倍以上の値(9kV/mm以上)に設定するのが好ましい。
そこで、星型リング73の周囲の電界を放電開始電界の約3倍の値にするためには、電界集中係数ηを45以上に設定する必要がある。このとき、(1)式のワイヤの半径rは1.05mm以下に設定する必要があるから、ワイヤの直径は2.1mm以下に設定する必要がある。
なお、星型リング73に用いるワイヤの直径は、小さい方が電界を高めることができるものの、機械的な強度は低下する。また、星型リング73に印加する高電圧の値が高くなれば、ワイヤの直径を大きくしても、星型リング73の周囲の電界を放電開始電界の約3倍の値にすることができる。以上の点を考慮して、本実施の形態では、星型リング73に用いるワイヤの直径は、0.3〜5mm程度の値に設定している。
かくして、第4の実施の形態でも第2の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。特に、第4の実施の形態では、カバー部材47に接近、離間を交互に繰返して複数箇所で屈曲した星型リング73を形成したから、星型リング73の屈曲部73A,73Bで電界集中をさらに高めることができる。これにより、星型リング73の屈曲部73A,73Bで放電を起こし易くすることができ、屈曲部73A,73Bのコロナ放電を促進することができる。
また、星型リング73には直径が0.3mm以上で5mm以下のワイヤを使用したから、星型リング73の全体の電界を放電開始電界以上の値に高めることができ、星型リング73の全体を高電界部とすることができる。このため、星型リング73の全体でコロナ放電を生じさせることができ、カバー部材47に十分な量の放電イオンを供給できると共に、塗料粒子の再帯電を行うことができる。
次に、図18ないし図20は第5の実施の形態による回転霧化頭型塗装装置を示している。第5の実施の形態の特徴は、ハウジング部材を取囲む周方向に向けてワイヤを旋回された螺旋リングを使用したことにある。なお、第5の実施の形態では第2の実施の形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
81はシェーピングエアリング41の外周側に設けられた高電圧放電電極で、該高電圧放電電極81は、後述する支持腕部82、螺旋リング83等によって構成されている。
82はシェーピングエアリング41の周囲に放射状に設けられた支持腕部で、該支持腕部82は、ハウジング部材35側から胴部側カバー48の外周側に向けて径方向に沿って延伸している。そして、支持腕部82は、シェーピングエアリング41の周囲に等間隔に例えば3本設けられ、螺旋リング83を支持している。
83は支持腕部82の先端に設けられた螺旋リングで、該螺旋リング83は、例えば金属等の導電性材料のワイヤを螺旋状(コイル状)に例えば18回巻回すると共に、該ワイヤを用いてリング状に形成されている。また、螺旋リング83に用いるワイヤの直径は、第4の実施の形態による星型リング73とほぼ同様に、放電開始電界が得られ、かつ形状維持ができるように、例えば0.3〜5mm程度の値に設定されている。そして、互いに隣合う螺旋リング83の各ターン間のピッチ(間隔寸法L)は、コロナ雲の間隔に比べて十分に大きな値として例えば20mm以上の間隔寸法だけ離れている。
かくして、第5の実施の形態でも第2,第4の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。特に、第5の実施の形態では、胴部側カバー48を取囲む周方向に向けてワイヤを旋回させた螺旋リング83を使用している。このため、高電圧放電電極81の外形を小さくしつつ、螺旋リング83のワイヤの全長を延ばすことができる。これにより、全長の長いワイヤ全体でコロナ放電を生じさせることができるから、高電圧放電電極81を小型化しつつ放電イオンの量を増加させることができる。
なお、第2〜第5の実施の形態では、導電性のシェーピングエアリング41を用いる構成としたが、第1の実施の形態と同様に、絶縁性のシェーピングエアリングを取付ける構成としてもよい。
また、第2〜第5の実施の形態では、ハウジング部材35を胴部36とネック部37とによって構成し、該ハウジング部材35を備えた回転霧化頭型塗装装置に高電圧放電電極53,61,71,81を適用する構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、第1の実施の形態のように、ネック部を省いたハウジング部材9を備えた回転霧化頭型塗装装置に対して、第2〜第5の実施の形態による高電圧放電電極53,61,71,81を適用する構成としてもよい。また、第2の実施の形態による回転霧化頭型塗装装置に対して、第1の実施の形態による高電圧放電電極15を適用する構成としてもよい。
また、第2,第3の実施の形態では、高電圧放電電極53,61のブレードリング55,63の外周側には鍔部55C,63Cを設ける構成としたが、鍔部55C,63Cを省く構成としてもよい。また、第2,第3の実施の形態で、ブレードリング55,63の前側突出部55A,63A、後側突出部55B,63Bの両方を省く構成としてもよく、いずれか一方のみ省く構成としてもよい。
さらに、前記各実施の形態では、ハウジング部材9,35の周囲にはカバー部材10,47を設ける構成としたが、カバー部材10,47を省く構成としてもよい。この場合、カバー部材10,47を帯電させる代りに、高電圧放電電極15,53,61,71,81のコロナ放電によって、ハウジング部材9,35の外表面を帯電させるものである。
また、前記各実施の形態では静電塗装装置として回転霧化頭3,34を用いて塗料を噴霧する回転霧化頭型塗装装置(回転霧化式静電塗装装置)に適用する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば空気霧化式静電塗装装置、液圧霧化式静電塗装装置等の回転霧化以外の霧化方式を用いた静電塗装装置に適用してもよい。

Claims (5)

  1. 供給された塗料を被塗物に噴霧する塗料噴霧手段と、絶縁材料によって形成され前側に該塗料噴霧手段を保持するハウジング部材と、前記塗料噴霧手段から噴霧された塗料粒子を高電圧に帯電させ帯電塗料粒子を被塗物に塗着させる高電圧印加手段と、前記ハウジング部材を取囲む環状体として形成され該高電圧印加手段から高電圧が印加されることによりコロナ放電を発生するコロナリングとからなる静電塗装装置において、
    前記コロナリングは、前記ハウジング部材の前,後方向および内径,外径方向のうち少なくともいずれか一方向に延び、その先端が全周に亘って薄刃状に尖ったエッジ部となったブレードリングからなり、
    該ブレードリングのエッジ部の全体で高電圧の放電を継続的に行う構成としたことを特徴とする静電塗装装置。
  2. 前記ブレードリングのエッジ部には、前記ブレードリングの全周のうち複数箇所に切欠きを設けてなる請求項1に記載の静電塗装装置。
  3. 供給された塗料を被塗物に噴霧する塗料噴霧手段と、絶縁材料によって形成され前側に該塗料噴霧手段を保持するハウジング部材と、前記塗料噴霧手段から噴霧された塗料粒子を高電圧に帯電させ帯電塗料粒子を被塗物に塗着させる高電圧印加手段と、前記ハウジング部材を取囲む環状体として形成され該高電圧印加手段から高電圧が印加されることによりコロナ放電を発生するコロナリングとからなる静電塗装装置において、
    前記コロナリングは、前記ハウジング部材に接近、離間を交互に繰返すように複数箇所で屈曲してなるワイヤをリング状に形成した星型リングからなり、
    該星型リングの全体で高電圧の放電を継続的に行う構成としたことを特徴とする静電塗装装置。
  4. 供給された塗料を被塗物に噴霧する塗料噴霧手段と、絶縁材料によって形成され前側に該塗料噴霧手段を保持するハウジング部材と、前記塗料噴霧手段から噴霧された塗料粒子を高電圧に帯電させ帯電塗料粒子を被塗物に塗着させる高電圧印加手段と、前記ハウジング部材を取囲む環状体として形成され該高電圧印加手段から高電圧が印加されることによりコロナ放電を発生するコロナリングとからなる静電塗装装置において、
    前記コロナリングは、螺旋状に巻回してなるワイヤをリング状に形成した螺旋リングからなり、
    該螺旋リングの全体で高電圧の放電を継続的に行う構成としたことを特徴とする静電塗装装置。
  5. 前記ワイヤは、その直径が0.3mm以上で5mm以下の値に設定してなる請求項3または4に記載の静電塗装装置。
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