JP4609870B2 - ロール状シートの穿孔装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロール状シート(フレキシブル基板等の軟質シートであっても、紙・布シートであっても、金属シートであってもよい)を繰り出しながらその平坦部(広げられた部分)に所望の穿孔パターンで穿孔を施すためのロール状シートの穿孔装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ロール状シートの穿孔装置は、ロール状シートを繰り出しながらその平坦部に穿孔を施すものであるため、ロール状シートを前もって所定の平板形状に裁断し、それをワークホルダーにて挟持して穿孔を施すものに比して生産性を大幅に向上させることができるといった利点があり、従来、ロール状シートをX軸線方向に繰り出す繰り出し機構及びロール状に巻き取る巻き取り機構と、前記繰り出し機構と前記巻き取り機構との間に配設されX軸線方向及びY軸線方向に駆動可能で前記ロール状シートに穿孔を施す穿孔機構と、この穿孔機構と前記巻き取り機構間に配設され前記ロール状シートをローラにて挟んで前記巻き取り機構に向けて送る送り機構とを備えている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記した繰り出し機構と巻き取り機構は、送り機構と同期させて駆動させてはいるものの、種々な要因によって繰り出し機構と送り機構との間にて広げられたシートが弛むことがあり、穿孔機構に対してシートが的確に広げられなくて、穿孔機構にてシートに正確に穿孔を施すことができないことがある。なお、繰り出し機構に巻き戻し機能(公知の技術)を付加して、広げたシートに穿孔機構にて穿孔を施す際に巻き戻し機能が作動するようにすれば、広げられたシートのX軸線方向の弛みを矯正することはできても、Y軸線方向の弛みを矯正することはできない。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記した課題に対処すべく、ロール状シートの穿孔装置を、ロール状シートをX軸線方向に繰り出す繰り出し機構及びロール状に巻き取る巻き取り機構と、前記繰り出し機構と前記巻き取り機構との間に配設されX軸線方向及びY軸線方向に駆動可能で前記ロール状シートに穿孔を施す穿孔機構と、この穿孔機構と前記巻き取り機構間に配設され前記ロール状シートをローラにて挟んで前記巻き取り機構に向けて送る送り機構と、前記穿孔機構と前記繰り出し機構間に配設され前記ロール状シートのY軸線方向端部をそれぞれ解除可能に把持しY軸線方向に移動して前記ロール状シートに所定のテンションを付与する一対のテンション機構とを備え、前記各テンション機構が前記ロール状シートを表裏から各々接近把持、離間可能なハンド部を備えていて、前記ハンド部の前記ロール状シートと接触する先端部がZ軸線回りに回転可能であることに特徴がある。
【0006】
【発明の作用・効果】
本発明によるロール状シートの穿孔装置(請求項1に係る発明)においては、一対のテンション機構による把持を解除した状態にて繰り出し機構と巻き取り機構及び送り機構を同期させて駆動させれば、ロール状シートが広げられてその穿孔対象部位が穿孔機構の配設位置に送られる。この状態にて、一対のテンション機構をテンション付与作動させれば、送り機構のローラと一対のテンション機構によってシートを広げた状態で支持することができる。
【0007】
ところで、穿孔対象部位を含むシートには、一対のテンション機構によってY軸線方向に所定のテンションを付与することができるとともに、繰り出し機構に付加されている巻き戻し機能によってX軸線方向に所定のテンションを付与することができて、繰り出し機構と送り機構との間にて広げられたシートの弛みを的確に矯正することができる。したがって、穿孔機構に対してシートを的確に広げることができて、穿孔機構にてシートに正確に穿孔を施すことができる。
【0010】
また、本発明では、各テンション機構がロール状シートを表裏から各々接近把持、離間可能なハンド部を備えているため、各ハンド部とロール状シートが接触することなく繰り出し動作が可能となり、ロール状シートへの損傷を防ぐことができる。
【0011】
また、本発明では、各テンション機構におけるハンド部のロール状シートと接触する先端部がZ軸線回りに回転可能であるため、広げられたロール状シートをハンド部にて把持してテンションを付与する際に、ロール状シートに無理な力が加わらず、ロール状シートを無理なく平坦に広げることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1及び図2に示した本発明によるロール状シートの穿孔装置は、繰り出し機構A、巻き取り機構B、穿孔機構C、送り機構Dおよび一対のテンション機構E1,E2を備えていて、これら各機構の作動は制御装置(図示省略)によって予め設定したプログラムに従ってそれぞれ制御されるようになっている。
【0013】
繰り出し機構Aは、機台100の図1左方に組み付けられていて、円柱状の繰り出しローラ11と3個の円柱状ガイドローラ13、15、17を備えており、繰り出しローラ11が図1の時計方向に回転駆動されることにより、ロール状シートSがX軸線方向(図1の右方向)に繰り出されるように、また巻き戻し機能によって繰り出しローラ11が図1の反時計方向に所定のトルクにて回転付勢されることにより、ロール状シートSが図1の左方向に巻き戻されるようになっている。巻き取り機構Bは、機台100の図1右方に組み付けられていて、円柱状の巻き取りローラ19を備えており、巻き取りローラ19が図1の時計方向に回転駆動されることにより、ロール状シートSがロール状に巻き取られるようになっている。
【0014】
穿孔機構Cは、ロール状シートSに所望の穿孔パターンで穿孔を施すものであり、繰り出し機構Aと巻き取り機構Bとの間、すなわち機台100の図1中央左側に配設されていて、各ねじ送り機構21,23によってX軸線方向及びY軸線方向に駆動可能な側面視コ型状のコラム25(図3参照)と、このコラム25に組み付けた8組(この数に限られるものではない)の穿孔ユニット27を備えている。各穿孔ユニット27は、交換可能なパンチ27aとダイ27bによって構成されていて、パンチ27aがダイ27bに向けて駆動されることにより、ロール状シートSに穿孔が施されるようになっている。なお、各ダイ27bの上面は、ガイドローラ17の上面と略同一レベルとされている。
【0015】
送り機構Dは、穿孔機構Cと巻き取り機構B間、すなわち機台100の図1右端に配設されていて、ロール状シートSを表裏から挟む円柱状の駆動ローラ31と円柱状の従動ローラ33を備えていて、駆動ローラ31が回転駆動されて従動ローラ33が連れ回りすることにより、ロール状シートSが両ローラ31,33にて挟まれた状態にて巻き取り機構Bに向けて送られるようになっている。なお、駆動ローラ31の上面は、ガイドローラ17の上面と略同一レベルとされている。
【0016】
一対のテンション機構E1,E2は、穿孔機構Cと繰り出し機構A間、すなわち機台100の図1左端に配設されていて、各ハンド部E1a,E2aにてロール状シートSのY軸線方向端部(エッジ部)をそれぞれ解除可能に把持した状態でY軸線方向およびX軸線方向に移動してロール状シートSに所定のテンションを付与するようになっている。
【0017】
ところで、本実施形態においては、図4および図5にて詳細に示したように、各テンション機構E1,E2のハンド部E1a,E2aが、支持ブラケット41,51と、上下一対のクランプ用エアーシリンダ42・43,52・53と、これら各クランプ用エアーシリンダ42・43,52・53のロッド先端(基部)にベアリング42b・43b,52b・53b(図6参照)を介して組み付けられてロッド軸を中心としてZ軸線回りに回転自在でロール状シートSに接触可能な押圧子(先端部)42a・43a,52a・53aとによって構成されていて、ロール状シートSを表裏から各々接近把持、離間可能とされている。なお、押圧子42a・43a,52a・53aは、中心に貫通孔を有してキャップ状に形成され、ベアリング42b・43b,52b・53bのアウターレースに抜け止め固定されている。
【0018】
各支持ブラケット41,51は、後述する移動台46,56に固着したX軸ガイド48,58にそれぞれX軸線方向へ移動可能に組み付けられている。各クランプ用エアーシリンダ42・43,52・53は、支持ブラケット41,51に組み付けられていて、Z軸線方向(上下方向)にて同軸的に配置されており、エアー供給源(図示省略)からエアーが供給されることにより押圧子42a・43a,52a・53aが各々接近し、エアーが排出されることにより押圧子42a・43a,52a・53aが各々離間するようになっている。なお、下方のエアーシリンダ43,53は、上方のエアーシリンダ42、52より受圧面積が大きくて、ストロークストッパ43c,53cを備えており、ロール状シートSの配設位置まで上昇して停止するようになっている。
【0019】
また、各ハンド部E1a,E2aは、ロール状シートSにテンションを付与するためのX動用エアーシリンダ44,54によってX軸線方向に移動されるとともに、ロール状シートSにテンションを付与するとともにロール状シートSから所定量退避移動するためのY動用エアーシリンダ45,55によってY軸線方向に移動されるように構成されている。
【0020】
各X動用エアーシリンダ44,54は、移動台46,56に組み付けられていて、ロッド先端にて支持ブラケット41,51に連結されており、エアーの給排によって伸長・短縮動作して、支持ブラケット41,51をX軸線方向に移動可能としている。各Y動用エアーシリンダ45,55は、ベース台47,57に組み付けられていて、ロッド先端にて移動台46,56に連結されており、エアーの給排によって短縮・伸長動作して、移動台46,56をY軸線方向に移動可能としている。なお、各エアーシリンダ44,54・45,55のロッドは、ロール状シートSと略同一レベルに配置されている。
【0021】
各移動台46,56および各ベース台47,57は、機台100に固着したガイドレール101,102にそれぞれY軸線方向へ移動可能に組み付けられている。また、各ベース台47,57は、機台100に固着したガイドロックプレート103,104に対してクランプレバー49,59により固定・解除可能とされていて、ロール状シートSの幅に合わせてY軸線方向の初期位置を調整可能となっている。なお、初期位置の調整時には、各ベース台47,57の移動に伴って、支持ブラケット41,51、上下一対のクランプ用エアーシリンダ42・43,52・53、X動用エアーシリンダ44,54、Y動用エアーシリンダ45,55、移動台46,56、X軸ガイド48,58等も図示状態で一体的に移動する。
【0022】
上記のように構成した本実施形態においては、ロール状シートSが図1の仮想線に示したようにセットされた状態にて、繰り出し機構A、巻き取り機構Bおよび送り機構Dが同期作動してロール状シートSをX軸線方向へ所定量移動させる送り工程と、繰り出し機構Aが巻き戻し機能で作動する状態にて一対のテンション機構E1,E2が同期作動してロール状シートSにX軸線方向およびY軸線方向のテンションを付与するテンション付与工程と、穿孔機構Cが作動してテンションを付与されているロール状シートSの穿孔対象部位に所望の穿孔パターンで穿孔を施す穿孔工程と、一対のテンション機構E1,E2が同期作動してロール状シートSからテンションを解除するテンション解除工程からなる一連の作動が得られる。
【0023】
ところで、テンション付与工程では、各クランプ用エアーシリンダ42・43,52・53にエアーが供給されて、各クランプ用エアーシリンダ42・43,52・53が伸長動作した後に、各X動用エアーシリンダ44,54と各Y動用エアーシリンダ45,55にエアーが供給されて、各X動用エアーシリンダ44,54が伸長動作しかつ各Y動用エアーシリンダ45,55が短縮動作し、停止している送り機構Dのローラ31,33と一対のテンション機構E1,E2によってロール状シートSを広げた状態で支持することができる。
【0024】
このため、ロール状シートSには、一対のテンション機構E1,E2によってX軸線方向およびY軸線方向に所定のテンション(各X動用エアーシリンダ44,54と各Y動用エアーシリンダ45,55に供給されるエアー圧の設定によって適宜に設定可能である)を付与することができるとともに、繰り出し機構Aに付加されている巻き戻し機能によってX軸線方向に所定のテンションを付与することができて、繰り出し機構Aと送り機構Dとの間にて広げられたロール状シートSの弛みを的確に矯正することができる。したがって、穿孔機構Cに対してロール状シートSを的確に広げることができて、穿孔機構Cにてロール状シートSに正確に穿孔を施すことができる。
【0025】
また、上記のように構成した本実施形態においては、ロール状シートSの交換に際して、ロール状シートSが図1の仮想線に示したようにセットされるとき、あるいはロール状シートSが当該装置から外されるとき、それに先だって一対のテンション機構E1,E2の各ハンド部E1a,E2aを各Y動用エアーシリンダ45,55の短縮動作によりY軸線方向に所定量退避移動させることができて、ロール状シートSの交換作業を各テンション機構E1,E2の各ハンド部E1a,E2aによって邪魔されることなく容易に行うことができる。
【0026】
また、上記のように構成した本実施形態においては、各テンション機構E1,E2がロール状シートSを表裏から各々接近把持、離間可能なハンド部E1a,E2aを備えているため、各ハンド部E1a,E2aがロール状シートSから離間した状態では、各ハンド部E1a,E2aとロール状シートSが接触することなく繰り出し動作が可能であり、ロール状シートSへの損傷を防ぐことができるとともに、広げられたロール状シートSを各ハンド部E1a,E2aにて把持する際には、ロール状シートSに表裏からZ軸線方向に無理な力が加わらず、ロール状シートSを定位置にて平坦に広げることができる。また、各ハンド部E1a,E2aのロール状シートSと接触する押圧子42a・43a,52a・53aがZ軸線回りに回転可能であるため、広げられたロール状シートSをハンド部E1a,E2aにて把持してテンションを付与する際に、ロール状シートSに無理な力が加わらず、ロール状シートSを無理なく平坦に広げることができる。
【0027】
上記実施形態においては、一対のテンション機構E1,E2によってX軸線方向およびY軸線方向に所定のテンションを付与することができるように実施したが、上記実施形態のように繰り出し機構Aに巻き戻し機能が付加されている場合には、一対のテンション機構E1,E2によってY軸線方向にのみ所定のテンションを付与することができるようにして実施することも可能である。
【0028】
また、上記実施形態においては、一対のテンション機構E1,E2の各ハンド部E1a,E2aをY動用エアーシリンダ45,55(Y軸線方向にテンションを付与する機能も有している)によりそれぞれY軸線方向に所定量退避移動させて開くようにしたが、一対のテンション機構E1,E2全体を退避専用のエアーシリンダ(Y軸線方向にテンションを付与するエアーシリンダとは別のエアーシリンダ)によりそれぞれY軸線方向に所定量退避移動させるようにして実施することも可能である。
【0029】
また、上記実施形態においては、各穿孔ユニット27をパンチ27aとダイ27bによって構成したが、各穿孔ユニットは他の構成、例えば、雄型と雌型によって構成してもよく、またドリルで構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による穿孔装置の一実施形態を示す側面図である。
【図2】 図1に示した穿孔装置の平面図である。
【図3】 図1の矢印3方向からみた穿孔機構の拡大図である。
【図4】 図1の矢印4方向からみた拡大平面図である。
【図5】 図1の矢印5方向からみた一対のテンション機構の拡大図である。
【図6】 テンション機構における押圧子の構成を示す図である。
【符号の説明】
A…繰り出し機構、B…巻き取り機構、C…穿孔機構、D…送り機構、31,33…円柱状のローラ、E1,E2…テンション機構、E1a,E2a…ハンド部、S…ロール状シート、42・43,52・53…クランプ用エアーシリンダ、42b・43b,52b・53b…ベアリング、42a・43a,52a・53a…押圧子(先端部)、44,54…X動用エアーシリンダ、45,55…Y動用エアーシリンダ。

Claims (1)

  1. ロール状シートをX軸線方向に繰り出す繰り出し機構及びロール状に巻き取る巻き取り機構と、前記繰り出し機構と前記巻き取り機構との間に配設されX軸線方向及びY軸線方向に駆動可能で前記ロール状シートに穿孔を施す穿孔機構と、この穿孔機構と前記巻き取り機構間に配設され前記ロール状シートをローラにて挟んで前記巻き取り機構に向けて送る送り機構と、前記穿孔機構と前記繰り出し機構間に配設され前記ロール状シートのY軸線方向端部をそれぞれ解除可能に把持しY軸線方向に移動して前記ロール状シートに所定のテンションを付与する一対のテンション機構とを備え、前記各テンション機構が前記ロール状シートを表裏から各々接近把持、離間可能なハンド部を備えていて、前記ハンド部の前記ロール状シートと接触する先端部がZ軸線回りに回転可能であることを特徴とするロール状シートの穿孔装置。
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