JP4609263B2 - 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、および画像形成方法 - Google Patents
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Description
上記問題を解決するためのトナーの製造方法としては、懸濁重合法等の重合によりトナー粒子を作製するような、湿式製法が挙げられる(例えば、特許文献3参照)。懸濁重合法等の湿式製法を用いた場合、混練粉砕が難しいトナー粒子を容易に製造することができる上、トナー粒子の形状制御が可能で、球形化したトナー粒子を容易に作製することができる。また、トナー粒子の粒度分布の制御も可能となる。従って、上述の混練粉砕法等によって得られたトナー粒子の均一化を図る目的で必須とされていた分級工程を設ける必要もない。
例えば、トナー中に摩擦減少物質と研磨材の両者を添加することが試されている(例えば、特許文献4参照)。この方法は、静電潜像担持体へのトナー固着現象を有効に回避しうる方法ではあるが、トナー固着現象を回避しうる程度に摩擦減少物質を添加すると、繰り返しの使用によって静電潜像担持体表面に生成もしくは付着する紙粉、オゾン付加物等の低電気抵抗物質の除去が行われにくくなり、特に高温高湿の環境下においては、感光体上の潜像が低電気抵抗物によって著しく損なわれるという欠点がある。また、摩擦減少物質と研磨材のそれぞれの添加量が微妙であり、また感光体への付着物を安定して除去することができるように十分量の研磨物質を添加すると、感光体を傷つけたり、クリーニングブレードを傷つけてクリーニング不良を引き起こすという現象が起こる。また、研磨材として、コロイド状シリカ、表面変成した親油性シリカ、珪酸アルミニウム、表面処理した珪酸アルミニウム、二酸化チタン、アルミナ、炭酸カルシウム、三酸化アンチモン、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、珪酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムなど(例えば、特許文献5参照)が、同じく、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化亜鉛、酸化クロム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウムなど(例えば、特許文献6参照)が記載されている。さらに、焼結法によって生成された窒素吸着法によるBET比表面積が0.2〜30m2/gの無機微粉体を含有する現像剤を用いて画像を形成する方法(例えば、特許文献7参照)が、酸化物系セラミック微粉体と非酸化物系セラミック微粉体を含有する現像剤を用いて画像を形成する方法が開示されている(たとえば、特許文献8参照)。しかし、これら従来提案されている方法においては、例えば静電潜像担持体としてアモルファスシリコンのような感光体を用いる場合、十分なクリーニング効果が得られないとか、感光体へのトナーの固着現象を回避し、十分なクリーニング効果を得るためには現像剤中に多量の無機微粉体を含有させる必要があるとか、あるいは繰り返しの使用において感光体に傷がつくとかなどの問題点を有するものであった。
したがって、トナーの保存安定性の観点では、上記のような過酷なストレスにも絶えうるような材料設計が必要となってくる。
すなわち、本発明は、
<1> トナー母粒子表面に、外添剤として体積平均径80nm、BET比表面積60m2/gの多孔質窒化珪素微粉末を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナーである。
本発明の静電荷像現像用トナー(以下、「トナー」と略す場合がある)は、トナー母粒子表面に、外添剤として体積平均径80nm、BET比表面積60m2/gの多孔質窒化珪素微粉末を含有することを特徴とする。
ここで、前記体積平均径の測定は、レーザー回析式粒度分布測定装置(LA−700:堀場製作所製)を用いて測定した。測定法としては、界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)の5%水溶液50ml中に測定試料を2g加え、超音波分散機(1,000Hz)にて2分間分散して、試料を作製し、分散液となっている状態の試料を固形分で約2gになるように調整し、これにイオン交換水を添加して、約40mlにする。これをセルに適当な濃度になるまで投入し、約2分待って、セル内の濃度がほぼ安定になったところで測定する。得られたチャンネルごとの体積平均径を、体積平均径の小さい方から累積し、累積50%になったところを体積平均径とした。
また、前記BET比表面積は、以下の方法により測定した。
測定装置:BET比表面積計 SA3100(ベックマンコールター社製)を用い、測定試料である多孔質窒化ケイ素微粉末を約0.1g精秤し、サンプルチュウブに入れた後、脱ガス処理し、多点法の自動測定により得られた数値を用いた試料のBET比表面積とする。
が特に好ましい。
0.5nm以上であることにより、窒化ケイ素微粉末の比重が小さくなるため、トナーに外添された場合、現像機内ストレスによるトナー表面への埋まり込みを低減できるという利点があり、一方20nm以下であることにより併用される他の外添剤がその孔内に埋まり込んでしまうことなく、独立に外添剤の効果を発揮することができるという利点がある。
また、前記平均孔径は、以下の方法により測定した。
多孔質窒化珪素微粉末を100万倍の倍率で撮影したSEM(走査電子顕微鏡S4700:日立製作所製)像を画像解析装置LUZEX FT(ニコレ株式会社製)で二値化し、孔径を1000個カウントし、その平均径を該微粉末の平均孔径とした。
キシ基から選ばれる末端基を表すか、R1、R2またはR3と結合して部分的に環を形成するか、あるいは、XとYとが結合して全体として環を形成する。また、nは7〜50の間の整数である。)
好ましい、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基等が挙げられ、これらの中でも、メチル基、エチル基がより好ましい。
好ましい、アルキルシリル基としては、メチルシリル基、エチルシリル基、プロピルシリル基、イソプロピルシリル基、ブチルシリル基、t−ブチルシリル基、ペンチルシリル基、ヘキシルシリル基等が挙げられ、これらの中でも、メチルシリル基、エチルシリル基、t−ブチルシリル基、がより好ましい。
好ましい、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。
−結着樹脂:(結晶性)ポリエステル樹脂−
本発明のトナーに用いられる結晶性ポリエステル樹脂を含むポリエステル樹脂や、その他すべてのポリエステル樹脂は多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とから合成される。なお、本発明においては、前記ポリエステル樹脂として市販品を使用してもよいし、適宜合成したものを使用してもよい。
本発明のトナーに用いられる着色剤としては、公知の着色剤であれば特に限定されないが、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック、ベンガラ、紺青、酸化チタン等の無機顔料、ファストイエロー、ジスアゾイエロー、ピラゾロンレッド、キレートレッド、ブリリアントカーミン、パラブラウン等のアゾ顔料、銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン顔料、フラバントロンイエロー、ジブロモアントロンオレンジ、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、ジオキサジンバイオレット等の縮合多環系顔料があげられる。
本発明のトナーに用いられる離型剤としては、公知の離型剤であれば特に限定されないが、例えば、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、サゾールワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、モンタンワックス等の合成或いは鉱物・石油系ワックス、脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックスなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。また、これらの離型剤は、1種単独で用いても良く、2種以上併用しても良い。
前記体積平均粒子径および個数平均粒子径の測定は、例えば、コールターカウンター[TA−II]型(コールター社製)を用いて、50μmのアパーチャー径で測定することにより得ることができる。この時、測定はトナーを電解質水溶液(アイソトン水溶液)に分散させ、超音波により30秒以上分散させた後に行う。
本発明のトナーには、上記したような成分以外にも、更に必要に応じて内添剤、帯電制御剤、無機粉体(無機微粒子)、有機微粒子等の種々の成分を添加することができる。
内添剤としては、例えば、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、またはこれら金属を含む化合物などの磁性体等が挙げられる。
また、無機粉体は主にトナーの粘弾性調整を目的として添加され、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、燐酸カルシウム、酸化セリウム等の下記に詳細に列挙するような通常、トナー表面の外添剤として使用されるすべての無機微粒子が挙げられる。
無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、塩化セリウム、ベンガラ、酸化クロム、酸化セリウム、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられる。中でも、シリカ微粒子や酸化チタン微粒子が好ましく、疎水化処理された微粒子が特に好ましい。
有機微粒子は、一般にクリーニング性や転写性を向上させる目的で使用され、具体的には例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂粉末、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等が挙げられる。
本発明の電子写真用トナーの製造方法は湿式造粒法により作製されることが好ましい。前記湿式造粒法としては、公知の溶融懸濁法、乳化凝集法、溶解懸濁法等の方法が挙げられるが、本発明においては、これらの中でも乳化凝集法が好適に用いられる。
以下、各工程について詳細に説明する。
本発明のトナーの製造方法において、原料分散液として、結着樹脂や着色剤はそれぞれの乳化粒子として混合されるため、該乳化工程は、上記原料の乳化分散液を作製する工程である。したがってまず、結着樹脂は原料分散液中にあらかじめ樹脂粒子として分散させておく必要がある。
前記着色剤の分散方法としては、任意の方法、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的な分散方法を使用することができ、なんら制限されるものではない。必要に応じて、界面活性剤を使用してこれら着色剤の水分散液を調製したり、分散剤を使用してこれら着色剤の有機溶剤分散液を調製したりすることもできる。以下、かかる着色剤の分散液のことを、「着色粒子分散液」という場合がある。分散に用いる界面活性剤や分散剤としては、前記結着樹脂を分散させる際に用い得る分散剤と同様のものを用いることができる。
また、これらの着色剤は、その他の微粒子成分と共に混合溶媒中に一度に添加してもよいし、分割して多段回で添加してもよい。
離型剤は、自己水分散性をもたないポリエステル樹脂を乳化分散する場合と同様、水中にイオン性界面活性剤等と共に分散し、融点以上に加熱し、強い剪断力を印加可能なホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて、1μm以下の分散微粒子径に調整にされる。離型剤分散液における分散媒としては、結着樹脂の分散媒と同様のものを用いることができる。
なお、本発明における帯電制御剤としては、凝集工程や融合工程の安定性に影響するイオン強度の制御と廃水汚染減少の点で、水に溶解しにくい素材のものが好ましい。
凝集工程においては、乳化工程で得られた樹脂粒子、及び着色剤、離型剤等の分散液を混合し(以下この混合液を「原料分散液」という)、前記離型剤、或いは可塑剤の融点以下の温度に加熱してそれぞれの分散粒子を凝集させた凝集粒子を形成する。
融合工程においては、凝集工程と同様の攪拌下で、凝集粒子(または被覆凝集粒子)の懸濁液のpHを7.5〜9.5の範囲にすることにより、凝集の進行を止めた後、結着樹脂の融点以上の温度で加熱を行うことにより凝集粒子(または被覆凝集粒子)を融合させる。なお、凝集粒子を含む分散液の液性にもよるが、凝集を停止するpHが適性でないと、融合させる為の昇温過程で、凝集粒子がばらけてしまい収率が悪くなったり、逆に凝集が停止出来ず、さらに粒度成長が進み、大粒径になってしまう恐れがある。
重合開始剤は、乳化工程前にあらかじめポリマーに混合しておいてもよいし、凝集工程で凝集塊に取り込ませてもよい。さらには、融合工程、或いは融合工程の後に導入してもよい。凝集工程、被覆工程、融合工程、あるいは融合工程の後に導入する場合は、重合開始剤を溶解、または乳化した液を、粒子分散液(樹脂粒子分散液等)に加える。これらの重合開始剤には、重合度を制御する目的で、公知の架橋剤、連鎖移動剤、重合禁止剤等を添加してもよい。
本発明の静電荷像現像用トナーは、そのまま一成分現像剤として、あるいは二成分現像剤として用いられる。二成分現像剤として用いる場合にはキャリアと混合して使用される。
二成分現像剤に使用し得るキャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアを用いることができる。例えば酸化鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物や、これら芯材表面に樹脂被覆層を有する樹脂コートキャリア、磁性分散型キャリア等を挙げることができる。またマトリックス樹脂に導電材料などが分散された樹脂分散型キャリアであってもよい。
キャリアの芯材の体積平均径としては、一般的には10〜500μmであり、好ましくは30〜100μmである。
本発明の画像形成方法は、潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、前記潜像保持体表面に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程と、前記被転写体表面に転写されたトナー像を熱定着する定着工程と、を含む画像形成方法において、前記トナーとして、本発明の静電荷像現像用トナーを用いることを特徴とする。
電子写真感光体の場合、現在では有機感光体が主流であるが、感光体汚染性改善の観点から、とりわけアモルファスシリコーン感光体が好ましい。アモルファスシリコーン感光体は有機感光体よりも表面が硬い為、本発明の多孔質窒化珪素微粉末と組み合わせる事によって、感光体汚染を防ぐ観点からより好ましい。
尚、前記定着機による熱定着の際には、オフセット等を防止するため、通常、前記定着機における定着部材に離型剤が供給される。
このヘキサン中に含まれる離型剤の量を、原子吸光分析装置にて定量することで、普通紙に付着した離型剤の量を定量できる。この量を離型剤の定着部材への供給量と定義する。
定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、前記被転写体の表面もできるだけ平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等を好適に使用することができる。
−窒化珪素微粉末(1)の合成−
攪拌羽、ガス導入管、ジュワーコンデンサー、滴下漏斗を具備した500ml四つ口フラスコ内を減圧操作により、容器内の空気を減圧し、窒素ガスで置換して不活性雰囲気とした後、脱気した乾燥ピリジンを240mlを入れ、これを氷冷した。ついで、不活性雰囲気下、ジクロロシラン26gを加えると白色固体状の反応混合物となった。反応混合物を氷冷し、攪拌しながら水酸化ナトリウム管及び活性炭管を通して精製したアンモニアガス25.5gを30分掛けて吹き込んだ後、100℃で加熱を行った。
窒化珪素微粉末(1)の合成で得られた、多孔質窒化珪素微粉末50gをフローコーターに入れ、表面処理剤としてジメチルジクロロシランを乾式噴霧し、水で洗浄後、300℃で後硬化させることによって、シラン処理された窒化珪素微粉末(2)を得た。
単体珪素を粉砕し、NH3中で、1000〜1500℃に加熱窒化し、得られた窒化珪素を平均粒径500〜700nm程度に粉砕し窒化珪素粉体を得た。こうして得られた窒化珪素粉体を水に投入し、窒化珪素粉体の湿式処理を行った後、酸素存在下で1000℃で加熱することによって、表面に酸化膜を有する窒化珪素粉体を得た。上記加熱処理で一部窒化珪素が融着してしまうため、再度窒化珪素粉体を解砕し、平均粒径が300nm、BET比表面積が5m2/gを有する窒化珪素微粉体(3)を得た。
窒化珪素微粉末(1)の合成において、途中で調製されるポリシラザン溶液をフローコーターを用いて窒化珪素を造粒する際、フローコーターを減圧しないまま、ポリシラザン溶液を噴霧し、同時に250℃で加熱すると、窒化珪素プレセラミクス粉末が得られた。これを解砕し、1000℃で焼成して平均粒径30nm、BET比表面積が80m2/gを有する窒化珪素微粉体(4)を得た。
窒化珪素微粉末(1)の合成において、フローコーターヘポリシランザン溶液を噴霧するノズル口径の大きさを窒化珪素微粉末(1)の合成の場合にくらべて、半分にしたこと以外は、窒化珪素微粉末(1)と同様の工程を経て発砲セラミクス前駆体を作製し、さらに同様の条件で焼成を行い、粒径25nm,BET比表面積130m2/g、平均孔径3nmを有する多孔質窒化珪素微粉末(5)を得た。
・ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物 84.6部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 217部
・トリメリット酸 21部
・フマル酸 46.4部
・テレフタル酸 83部
・Ti(OBu)4 0.05部
加熱乾燥した三口フラスコに、上記原料を入れた後、減圧操作により容器内の空気を減圧し、さらに窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械攪拌にて180℃で5時間還流を行った。その後、減圧蒸留を行い、230℃まで徐々に昇温を行い2時間攪拌し、粘稠な状態となったところでGPCにて分子量を確認し、重量平均分子量14200になったところで、減圧蒸留を停止しポリエステル樹脂(1)を得た。
・ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物 70.5部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 232.5部
・ドデセニルコハク酸 40.8部
・テレフタル酸 83部
・イソフタル酸 58.1部
・Ti(OBu)4 0.06部
加熱乾燥した三口フラスコに、上記原料を入れた後、減圧操作により容器内の空気を減圧し、さらに窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械攪拌にて180℃で5時間還流を行った。その後、減圧蒸留を行い、230℃まで徐々に昇温を行い2時間攪拌し、粘稠な状態となったところでGPCにて分子量を確認し、重量平均分子量16700になったところで、減圧蒸留を停止しポリエステル樹脂(2)を得た。
・エステルワックスWEP5(日本油脂(株)製):500部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK):50部
・イオン交換水:2000部
以上を110℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴ−リン社)で分散処理し、平均粒径が0.24μmである離型剤を分散させてなる離型剤分散液(1)(離型剤濃度:20%)を調製した。
・カルナバワックス(昭和化学(株)製):500部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK):50部
・イオン交換水:2000部
以上を120℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴ−リン社)で分散処理し、平均粒径が0.27nmである離型剤を分散させてなる離型剤分散液(2)(離型剤濃度:20%)を調製した。
・シアン顔料(大日精化(株)製、Pigment Blue 15:3(銅フタロシアニン)):100部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンR):15部
・イオン交換水:900部
以上を混合し、溶解し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン製、HJP30006)を用いて約1時間分散して着色剤(シアン顔料)を分散させてなる着色剤分散液を調製した。着色剤分散液における着色剤(シアン顔料)の平均粒径は、0.14μm、着色剤粒子濃度は25%であった。
加熱乾燥した三口フラスコに、セバシン酸ジメチル98mol%、およびイソフタル酸ジメチル−5−スルホン酸ナトリウム2mol%の酸成分と、1,6ヘキサンジオール(酸成分に対し2mol倍量)と、触媒としてTi(OBu)4(酸成分に対し、0.014%)と、を入れた後、減圧操作により容器内の空気を減圧し、さらに窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械攪拌にて180℃で5時間還流を行った。その後、減圧蒸留にて過剰なエチレングリコールを除去し、230℃まで徐々に昇温を行い2時間攪拌し、粘稠な状態となったところでGPCにて分子量を確認し、重量平均分子量13000になったところで、減圧蒸留を停止、空冷し結晶性ポリエステル(1)を得た。
ついで、これを溶融状態のまま、キャビトロンCD1010(株式会社ユーロテック製)に毎分100gの速度で移送した。別途準備した水性媒体タンクには試薬アンモニア水をイオン交換水で希釈した0.37%濃度の希アンモニア水を入れ、熱交換器で120℃に加熱しながら毎分0.1リットルの速度で、上記ポリエステル樹脂熔融体と同時に上記キャビトロン(株式会社ユーロテック製)に移送した。この状態で、回転子の回転速度が60Hz、圧力が5Kg/cm2の条件でキャビトロンを運転し、平均粒径0.22μmの結晶性ポリエステルからなる結晶性ポリエステル樹脂分散液(樹脂粒子濃度:20%)を得た。
・ポリエステル樹脂分散液(1):637.5部
・着色剤分散液:36.0部
・アニオン性界面活性剤(dowfax2A1 20%水溶液):12.75部
・離型剤分散液:67.5部
・イオン交換水:496.3部
上記原料のうち、phメーター、攪拌羽、温度計を具備した重合釜に、ポリエステル樹脂分散液、イオン交換水及びアニオン性界面活性剤を入れ、200rpmで15分間攪拌しながら、界面活性剤をポリエステル分散液になじませた。続いて、これに着色剤分散液(1)および離型剤分散液(1)を加え混合した後、この原料混合物に0.3Mの硝酸水溶液を加えて、phを3.0に調製した。ついで、Ultraturraxにより1000rpmでせん断力を加えながら、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムの10%硝酸水溶液24部滴下する。この凝集剤滴下の途中で、原料混合物の粘度が急激に増大するので、粘度上昇した時点で、滴下速度を緩め、凝集剤が一箇所に偏らないようする。凝集剤の滴下が終了したら、さらに回転数6000rpmに上げて5分間攪拌し、凝集剤と原料混合物を充分混合する。
85℃で30分経過すると、凝集粒子が次第に融合し、1時間を過ぎるころになると、凝集粒子が球形化し融合した。顕微鏡でこの融合状態を確認した後、加熱を止め、1℃/minで室温まで降温させた。
トナー母粒子(1)の製造において、原料として離型剤分散液を用いないこと以外は、トナー母粒子(1)の製造と同様の条件で、造粒を行い、洗浄、乾燥を経て、体積平均粒子径5.4μmトナー母粒子(2)を得た。
・ポリエステル樹脂分散液(2):487.5部
・結晶性ポリエステル樹脂分散液:150部
・着色剤分散液:36.0部
・アニオン性界面活性剤(dowfax2A1 20%水溶液):12.75部
・離型剤分散液(2):67.5部
・イオン交換水:496.3部
上記原料のうち、phメーター、攪拌羽、温度計を具備した重合釜に、ポリエステル樹脂分散液(2)、結晶性ポリエステル樹脂分散液、イオン交換水およびアニオン性界面活性剤を入れ、200rpmで15分間攪拌しながら、界面活性剤をポリエステル分散液になじませた。続いて、これに着色剤分散液および離型剤分散液(2)を加え混合した後、この原料混合物に0.3Mの硝酸水溶液を加えて、phを3.0に調製した。ついで、Ultraturraxにより1000rpmでせん断力を加えながら、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムの10%硝酸水溶液24部滴下する。この凝集剤滴下の途中で、原料混合物の粘度が急激に増大するので、粘度上昇した時点で、滴下速度を緩め、凝集剤が一箇所に偏らないようする。凝集剤の滴下が終了したら、さらに回転数6000rpmに上げて5分間攪拌し、凝集剤と原料混合物を充分混合する。
トナー母粒子(1)〜(3)それぞれ100部に対して、表1に示す量の窒化珪素微粉末及び外添剤としてチタニア微粉末、シリカ微粉末を添加し、ヘンシェルミキサーで混合して静電荷像現像用トナー(1)〜(10)を得た。
(定着性及びドキュメント保存性の評価)
静電荷現像用トナー(1)〜(10)をそれぞれ5部と樹脂被覆されたフェライト粒子(平均粒子径35μm)100部を混合して二成分現像剤を調製し、これを市販の電子写真複写機(富士ゼロックス社製 Docucentre color a450)を用いて画像出しを行い、未定着画像を得た。
G2:画像同士が接着していた為、画像部のところどころに画像欠損の白抜けが発生している。
G3:重ねた2枚の画像を離す際、互いの定着表面に画像のあれやグロス低下は発生するが、画像としては画像欠損は殆どなく許容できるレベル。非画像部に若干の移行が見られる。
G4:重ねた2枚の画像を離す時に、パリッと音がし、非画像部にもわずかに画像移行が見られるが、画像欠損はなく、全く問題無いレベル
G5:画像部、非画像ともに全く画像欠損や画像移行が見られない。
静電荷像現像用トナー(1)〜(10)各1.5部と樹脂被覆されたフェライト粒子(平均粒子径35μm)30部とをフタ付きのガラス瓶に秤量し、高温高湿下(温度28℃、湿度85%)、及び、低温低湿下(温度10℃、湿度15%)で24時間シーズニングした後、ターブラミキサーで5分間攪拌震盪した。この両環境下のトナーの帯電量(μc)をブローオフ帯電量測定装置で測定した。
静電荷像現像用トナー(1)〜(10)各100gを秤量し、60℃湿度80%のチャンバーに24時間放置した後、45μmの篩の上にトナーを置き、篩を振動させて、篩上に残った量を秤量し、残ったトナーの割合を百分率で凝集度を評価した。
静電荷現像用トナー(1)〜(10)をそれぞれ8部と樹脂被覆されたフェライト粒子(平均粒子径35μm)100部を混合して二成分現像剤を調製し、これを市販の電子写真複写機(富士ゼロックス社製 Docucentre color a450)を用い3万枚の複写テストを行ない、コピー画像の画質を評価すると同時に、3万枚後の感光体の汚染性を評価した。
感光体の汚染性に関しては、感光体表面を目視で観察し汚染度合いを以下の観点でグレード付けを行なった。
G1:感光体表面に著しい付着物が数多く観察され、表面全体にトナー筋のような模様で残っていることが確認される。
G2:所々感光体表面に付着物が観察された。
G3:感光体表面にわずかに付着物はあるものの、画質上問題ないレヘ゛ルである。
G4:マイクロスコープで見れば、いくつか付着物は確認できるものの、目視では確認し難く、汚染性はきわめて小さい。
表2に示す結果から、実施例1〜4は、本発明の特徴である、多孔質の窒化珪素微粉末を外添剤として含有しているため、低温定着性とホットオフセット性を両立し、ドキュメント保存性、帯電性、トナー保存性において優れた特性を示した。また、多孔質窒化珪素が感光体への付着物を適度に掻きとるため、他特性を阻害することなく画質、感光体汚染性に関しても、優れた改善効果を示した。一方、比較例1〜3では、窒化珪素を含有していない為、定着性や帯電性には問題ないものの、トナー保存性、画質、感光体汚染性が著しく悪化していた。また、比較例4においては、多孔質窒化珪素を用いているものの、粒径が小さく、BET比表面積が大きい為、本来狙いとする窒化珪素微粉末の機能を果たさず、トナー中に埋まりこみ、感光体汚染を発生させ、画質に悪影響を与えてしまった。さらに、比較例5、6においては、窒化珪素を添加しているものの多孔質構造ではなく、比較例5では、粒径が大きい為、感光体への固着物を掻きとる効果はあるものの、顕著な傷を発生させてしまい、比較例6では、粒径が小さいために、トナー表面に埋まりこんでしまい、期待される固着物を掻きとる効果は発揮されず、画質悪化や白抜け発生を招いてしまった。
実施例3及び実施例4で画質評価に用いた現像剤と同様、静電荷現像用トナー(3)、(4)を再び樹脂被覆されたフェライト粒子(平均粒子径35μm)と混合して二成分現像剤を調製し、電子写真複写機(富士ゼロックス社製 Docucentre color a450)を用い、5万枚の複写テストを行ない、感光体磨耗、傷の評価を行った。
トナー母粒子(3)、(4)それぞれ100部に対して、多孔質窒化珪素微粉末1.2部及びチタニア微粉末0.5部をヘンシェルミキサーで混合し、静電荷像現像用トナー(11)、(12)を得た。上記静電荷像現像用トナー(11)、(12)各1.5部とシリコーン樹脂被覆された平均粒径35μmのフェライトキャリア30部を混合して現像剤を調製し、アモルファスシリコン感光体を具備した複写機を用いて、上記と同様、5万枚の複写テストを行ない、感光体磨耗、傷の評価を行った。
Claims (4)
- トナー母粒子表面に、外添剤として体積平均径80nm、BET比表面積60m2/gの多孔質窒化珪素微粉末を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。
- 前記多孔質窒化珪素微粉末がオルガノシラン処理されてなることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
- 請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナーを含むことを特徴とする静電荷像現像剤。
- 潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、前記潜像保持体表面に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程と、前記被転写体表面に転写されたトナー像を定着する定着工程と、を含む画像形成方法であって、
前記現像剤として、請求項3に記載の静電荷像現像剤を用いることを特徴とする画像形成方法。
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