JP5773664B2 - 画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
記録媒体に対するトナー像転写後の感光体の表面は、残留したトナーがクリーニング装置によって除去・清掃され、次の画像形成工程に備えられる。
トナー像転写後の感光体の表面から転写残トナーを除去するクリーニング方法としては、ポリウレタン等からなる弾性ブレード(クリーニングブレード)によるクリーニングが多く採用されている。
帯電方式はスコロトロンなどのコロナ帯電、ローラー状などの帯電部材を感光体に当接、乃至は近接で配し、放電開始電圧以上の帯電バイアスを印加する、いわゆる接触帯電が多用されている。これらは何れも放電を伴う帯電方式である。
市場に於いては、高画質、長寿命の画像形成装置が求められており、長寿命の観点から、安定した帯電付与のために、帯電手段に交流バイアスを印加するなどの手法が取られている。一方、像担持体である感光体は、表面保護層(OCL)を有する有機感光体(OCL−OPC)などの、耐磨耗性に優れた感光体が使用されている。
しかしながら、放電を伴う帯電方式では、帯電生成物が像担持体に付着し、高湿環境下で画像がぼける、いわゆる画像流れが生じやすい。特に交流バイアスを印加するなどすると、帯電生成物が多量に発生する。
画像流れを抑止し、また像担持体である感光体を長寿命に維持する技術が開示されている。例えば、感光体周面の硬度を上げて磨耗を抑制すると共に、トナーに研磨粒子を配合して感光体の周面に付着させ、該研磨粒子により感光体の周面に付着した放電生成物を除去する技術が開示されている。研磨剤としてモース硬度3.5以上、体積平均粒径0.1〜10μmの炭酸カルシウム粒子を外添する技術が開示されている(特許文献1)。
また、高硬度で0.5〜2.5μmの無機粒子と、シリカヒドロゾル及びシリコーンオイルにより表面処理されたモース硬度が5以下の金属塩化合物である炭酸カルシウムを外添し、無機粒子による感光体研磨を抑制する技術がある(特許文献2)。
一方、球形トナーをクリーニングするために、シロキサン架橋型表面層を有する感光体と、モース硬度が2〜4.5で粒径が70〜300nmの無機粒子を外添したトナーを用いる技術が開示されている(特許文献3)。
また、クリーニングブレードの物性及び当接荷重を規定し、球形トナーに50〜500[nm]でモース硬度が2〜5の非球形炭酸カルシウムを外添して、阻止層を形成してクリーニング性を向上させる技術が開示されている(特許文献4)。
しかしながら、これらの技術では、特に対磨耗性に優れた感光体を使用したり、放電の強度等の条件によっては、逆に画像流れが悪化したり、クリーニング性が低下する場合があった。
即ち、像担持体表面への帯電生成物の影響を抑止し、画像流れを防止すると共に、フィルミングやすりぬけなどのクリーニング不良を抑止し、高画質で長寿命な画像形成方法を提供するものである。
更に、粒径が規定された無機微粒子を併用することで、炭酸カルシウム粒子の入れ替えを円滑にするとともに、劣化した炭酸カルシウムが感光体に付着する、いわゆるフィルミングを抑止できることを見出した。本発明は上記知見によりなされる。
すなわち、本発明は、像担持体を帯電する帯電工程と、前記像担持体上に静電潜像を形成する工程と、前記静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する工程と、前記トナー像を転写材に転写する転写工程と、転写後の前記像担持体表面から残存するトナーを除去するクリーニング工程と、を有する画像形成方法であって、前記帯電工程は、少なくとも放電を伴う工程であり、前記クリーニング工程は、少なくとも弾性部材を、前記像担持体表面に当接させてクリーニングを行う工程であり、前記像担持体と前記弾性部材との当接部の、像担持体の回転方向を基準とした上流側に、個数平均粒径が50nm以上、トナーの重量平均粒径以下で、比表面積が50m2/g以上500m2/g以下である多孔質の炭酸カルシウム粒子を存在させることを特徴とする画像形成方法に関する。
さらに、本発明は、少なくとも像担持体と、放電開始電圧以上の帯電バイアスを印加する帯電バイアス印加手段と帯電部材とからなり前記像担持体を帯電する帯電手段と、トナーを有する現像手段と、転写手段と、弾性部材からなるクリーニング手段と、を備えた画像形成装置であって、前記像担持体と前記弾性部材との当接部の、像担持体の回転方向を基準とした上流側に、個数平均粒径が50nm以上、トナーの重量平均粒径以下で、比表面積が50m 2 /g以上500m 2 /g以下である多孔質の炭酸カルシウム粒子が存在することを特徴とする画像形成装置に関する。
<画像形成方法>
本発明の画像形成方法は、像担持体を帯電する帯電工程と、像担持体上に静電潜像を形成する工程と、静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する工程と、トナー像を転写
材に転写する転写工程と、転写後の像担持体表面から残存するトナーを除去するクリーニング工程と、を有する画像形成方法であって、帯電工程は、少なくとも放電を伴う工程であって、クリーニング工程は、少なくとも弾性部材を、像担持体表面に当接させてクリーニングを行う工程であって、像担持体と弾性部材との当接部の、像担持体の回転方向を基準とした上流側に、個数平均粒径が50nm以上、トナーの重量平均粒径以下で、比表面積が50m2/g以上500m2/g以下である炭酸カルシウム粒子を存在させることを特徴とする。
<画像形成装置>
本発明の画像形成装置は、少なくとも像担持体と、放電開始電圧以上の帯電バイアスを印加する帯電バイアス印加手段と帯電部材とからなり前記像担持体を帯電する帯電手段と、トナーを有する現像手段と、転写手段と、弾性部材からなるクリーニング手段と、を備えた画像形成装置であって、前記像担持体と前記弾性部材との当接部の、像担持体の回転方向を基準とした上流側に、個数平均粒径が50nm以上、トナーの重量平均粒径以下で、比表面積が50m2/g以上500m2/g以下である炭酸カルシウム粒子が存在することを特徴とする。
図1に、本発明に掛る画像形成装置の概略を示すがこれに限定されるわけではない。
像担持体101は、回動可能なドラム型の像担持体である電子写真感光体(以下、感光体と記す)であり、駆動機構(不図示)により、所定の面速度で矢印X方向に回転駆動される。感光体101は、本図ではシリンダ状の導電性基体表面に感光層を塗布して形成されるが、ベルト状など、他の形態であっても良い。
感光体101の周囲に、該像担持体を帯電する帯電手段102、不図示の潜像形成手段により付加される潜像形成信号103、現像手段104、転写手段105、クリーニング手段106が配される。
帯電手段102には、周知の接触帯電方式、近接帯電方式等、周知の方式を使用することができる。また印加するバイアスも周知の放電を伴う方式のバイアスを印加できる。
本図1に於いては、ローラー型帯電部材(帯電ローラーと称する)を接触方式で使用し、交流バイアスに直流バイアスを重畳した振動バイアスを印加(AC方式)し、感光体101表面を、所定の暗部電位VDとなる様にした。また、潜像形成信号103、現像手段104、転写手段105も周知の方式、部材を使用できる。
本図1では、ファーブラシなどからなる炭酸カルシウム供給手段108、及び炭酸カルシウム供給源109を設け、感光体101表面に炭酸カルシウムを供給できるようにした。更に無機微粒子用の供給手段108’、無機微粒子供給源109’を設けた。また必要に応じて、フリッカー110、110’などを設けてもよい。
これらの供給手段108,108’や供給源109,109’などは複数である必要は無く、炭酸カルシウムと無機微粒子を供給するために併用されてもよい。或いは、該炭酸カルシウムや無機微粒子が、現像手段などの他の供給手段で供給されるならば、これらの供給源109や109’を有さなくても良い。
図5は本発明における像担持体である感光体101の層構成模型図である。この感光体101は、支持体101aの上に、感光層として電荷発生層101dと電荷輸送層101eが順に設けてある。また、支持体101aと電荷発生層101dの間に、結着層101b、更には干渉縞防止などを目的とする下引き層101cを設けてもよい。
支持体101a及び、上記101b〜101eの各層は公知のものを使用できる。磨耗速度の調整に際しては、表面層(上記構成では電荷輸送層101e)の結着樹脂のモノマー材料や分子量を適宜選択してやればよい。結着樹脂としては、周知の材料が選択できる。アクリル樹脂、スチレン系樹脂が挙げられる。また、ポリエステル、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート、ポリサルホン、ポリフェニレンオキシド、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂及び不飽和樹脂などから選ばれる樹脂が好ましい。
また、更に磨耗レートの小さい(機械的強度が高い)感光体には最表面に表面保護層101fを設けることもできる。
[クリーニング手段]
クリーニング手段106は周知の弾性ブレード(クリーニング部材)107からなり、必要に応じて後述する炭酸カルシウム粒子や無機微粒子の供給機構などを付与しても良い。
クリーニング部材107近傍での、トナーなどの粒子の挙動に付いて説明する。
図2に示すように、クリーニング部材107と感光体101の当接部(ニップ)に於いては、くさび型の領域が形成される。該くさび形の奥側ほど微小粒子が行き易く(領域a)、上流側に向かって大きい粒子が滞留し(領域b〜c)、更に上流側では主にトナーなどの大きな粒子が堰き止められ、感光体101の表面から離脱していく(領域d)。粒径が50[nm]より小さい微小粒子は領域a、即ちくさび型領域の奥に入り込み、ニップ部にまで潜り込む場合が多かった。
[放電電流]
本発明での評価は、放電電流を制御しながら行う。放電電流について、図3〜4を用いて説明する。
帯電手段及び感光体の当接(或いは近接)部は、図3のような等価回路で示すことができる。Rcは帯電ローラー102の抵抗、Ccは帯電ローラー102の静電容量、Cdは感光体101の静電容量、Cairは帯電ローラー102と感光体101と間の微小エアギャップ(放電ギャップ)の静電容量である。
帯電部材に交流バイアスを印加する。図4に示して説明する。ここではVppの交流バイアスを印加すると、それに応じてAC電流Iacが増加する。放電開始電圧以上のVppが印加されると、IacはVppに対して直線性から外れて多量のIacが流れる。この、直線性から外れた電流値を放電電流と呼ぶ。
放電開始電圧Vth×2(V)未満のピーク間電圧Vppに対して電流Iacの比をαとしたとき、放電による電流以外の、接触部へ流れる電流(以下、ニップ電流)などの交流電流はα・Vppとなる。そして、放電開始電圧Vth×2(V)以上の電圧印加時に測定されるIacと、このα・Vppの差分が放電電流である。
図4で、1800Vppを印加した場合を例にすると、Iacが直線的に伸びたと仮定するとAC電流値はIzとなる。実際に流れている電流値Iacとの差分が放電電流Idisである。
Idis=(Iac−Iz)
放電電流量Idisは、一定電圧又は一定電流での制御下で帯電を行った場合、環境、耐久を進めるにつれ変化する。これは、Vppと放電電流量Idisの関係、交流電流値と放電電流量Idisとの関係が変動しているからである。
AC定電流制御方式では帯電ローラー102から被帯電体である感光体101に流れる総電流Iacで、AC定電圧制御方式では帯電ローラー102に印加するAC電圧(Vpp)で、おのおの制御している。そのため、実際に、放電電流量は制御できていない。たとえば帯電ローラー102の材質の環境変動によって、ニップ電流が多くなれば当然放電電流量は減り、ニップ電流が減れば放電電流量は増える。そのため、上記の制御方式でも完全に放電電流量の増減を抑制することは不可能であった。
本発明者らは、所望の放電電流値Idisを常時得るために、以下の要領で制御を行う。
本発明の画像形成装置はコントローラ(不図示)及び電流検出手段(不図示)を有している。これらと電源(不図示)により、非画像形成時(紙間、或いはプリント前回転時、プリント後回転時)に、未放電領域の交流電圧(Vpp)を1点、放電領域では交流電圧を2点以上印加し、そのときの総電流Iacを測定する。
該コントローラは、未放電領域として交流電圧0の点(Vpp=0ではIacもIdisも0)と、放電領域の複数の交流電圧で、電流Iacを測定し、各電圧と電流値から近似処理を行う。これにより、所望の放電電流Idisに対応する印加電圧Vppを算出し、電源から帯電ローラー102に印加される。電流制御方式の場合には、電流検出手段の替りに電圧検出手段として、未放電領域、及び放電領域のIacを各々印加し、上述の要領で所望のIdisに対応するIacを求めて、印加するようにすればよい。
連続で画像形成を行う場合には、画像形成間で上記の動作を行うことで、安定したIdisを得ることができる。
一般に、粒径が小さい方が比表面積は大きくなるが、表面積自体は小さくなる。この為、この対策としては炭酸カルシウム粒子の入替えを促進することが有効であるが、多量の粒子を必要とする。また粒径が小さいほど、感光体表面等からの除去がし難くなり、劣化しても除去されずに残留する炭酸カルシウムが増加してしまうため、好ましく無い。
本発明者らは、炭酸カルシウム粒子の、比表面積に依存する反応性の作用を見出し、これにより、炭酸カルシウム粒子を大粒径化すると共に、多孔質化することで画像流れとフィルミングのトレードオフを解消した。
具体的には、本発明で使用する炭酸カルシウム粒子は、個数平均粒径が50[nm]以上、トナーの重量平均粒径以下で、比表面積(BET)が50[m2/g]以上500[m2/g]以下であることが好ましい。
炭酸カルシウム粒子を多孔質化するには公知の方法を用いることが可能である。すなわち、多孔質炭酸カルシウム粒子の製造方法として、例えば、炭酸カルシウムを乳酸などのカルボン酸で処理して、カルボン酸のカルシウム塩を形成させた後、熱処理を施す方法などがある。多孔質炭酸カルシウム粒子の別の製造方法として、水酸化カルシウムなどから炭酸カルシウムを製造する際の炭酸化反応を用いて多孔質化する方法もある。
炭酸カルシウム粒子の微細孔の量や径は、上記乳酸などを用いた中和反応中における炭酸カルシウムの投入量、温度、pHの調整、または、乾燥条件などで調整できる。たとえば高温(600℃超)で長時間加熱処理を施すと炭酸カルシウムの熱分解が生じ、空孔径が大きくなるなどの方法を用いることも可能である。
一方、上記炭酸化の段階における水酸化カルシウム水懸濁液の濃度、温度、炭酸ガス吹き込み条件、炭酸化反応の度合いにより、空孔径や比表面積を調整する事も可能である。また、炭酸ガスの気泡の大さを調整する事でも空孔径や比表面積を制御できる。例えば、100μm以下の微小気泡にすると空孔径が小さくなるなどである。
本発明者らの検討の結果、特に耐磨耗性に優れた表面保護層(OCL)を有する感光体を使用する系に於いて、クリーニング部材と感光体の当接部に、炭酸カルシウムを介在させることで、画像流れを改善することができる。更に、炭酸カルシウムの粒径は小粒径なほど、流れの回復に効果が見られた。
更に検討の結果、炭酸カルシウム粒子は感光体表面のNOxなどの帯電生成物に作用し、中和していることが分った。炭酸カルシウムが酸を中和する、塩基として寄与することは、例えば酸性雨を黄砂に含まれる炭酸カルシウムが中和することなどでも知られる。
炭酸カルシウムの中和反応性という観点から鋭意検討の結果、画像流れの改善には、BETで求められる、炭酸カルシウム粒子の比表面積が50[m2/g]以上のとき、非常に良好な回復係数を得られた。一方、BET比表面積が500[m2/g]以上の炭酸カルシウム粒子は、多孔質すぎて割れなどの損耗が生じる場合があった。また、微小粒径の場合もBET比表面積が大きくなるが、前述の如く、好ましい粒径には下限がある。
炭酸カルシウム粒子の個数平均粒径が50[nm]以上のとき、領域b〜cで良好に滞留し、感光体101表面の帯電生成物に作用する。50[nm]未満の小粒径のときは、流れの回復効果が持続しにくく、場合によってはフィルミングなどのクリーニング不良が発生する場合があった。粒径が小さすぎて、くさびの奥側である領域aでパッキングされ、ニップ部に侵入するためと思われる。
逆にトナーと同等以上の大粒径にした場合も、流れの回復効果が低下した。充分に作用しないうちに感光体表面から離脱するためと思われる。
すなわち、炭酸カルシウム粒子の個数平均粒径は、50[nm]以上、トナーの重量平均粒径以下である。このとき、炭酸カルシウム粒子がクリーニングニップに挟み込まれず、滞留しながら感光体表面の帯電生成物と充分に作用できる。
炭酸カルシウム粒子を無作為に100乃至1000個を観測して、電子顕微鏡(SEM)で、最表面の空孔を観測した。SEM観測の際に、空孔毎にステージを傾け、空孔径が極大値になるようにして、その時の空孔の円相当径を求めた。これらの個数平均を求め、炭酸カルシウム粒子の表面空孔径とした。
また、炭酸カルシウム粒子の平均円形度は、0.930以上1.000以下である事が好ましい。炭酸カルシウム粒子の平均円形度が上記範囲であるとき、クリーニングニップ近傍で転がり易く、感光体表面の帯電生成物と有効に作用する事ができる。
炭酸カルシウム粒子や後述の無機微粒子の供給方法は、特に限定されず、上述のブラシ等の様な、供給部材を使用して、像担持体と弾性部材との当接部の、像担持体の回転方向を基準とした上流側に供給しても良い。一方、トナー粒子に炭酸カルシウム粒子及び無機微粒子の少なくとも一方が外添されてなるトナーを介して、像担持体と弾性部材との当接部の、像担持体の回転方向を基準とした上流側に供給されてもよい。
なお、本発明の方法に、トナー粒子に炭酸カルシウム粒子が外添されてなるトナーを用いる場合は、現像手段中で過剰に遊離するのを防止し、クリーニング部近傍で遊離できる粒径が好ましい。外添強度などにも依るが、個数平均粒径が80nm以上1500nm以下が好ましい。
炭酸カルシウム粒子のBET比表面積の測定は、JIS Z8830(2001年)に準じて行なう。具体的な測定方法は、以下の通りである。
測定装置としては、定容法によるガス吸着法を測定方式として採用している「自動比表面積・細孔分布測定装置 TriStar3000(島津製作所社製)」を用いる。測定条件の設定および測定データの解析は、本装置に付属の専用ソフト「TriStar3000 Version4.00」を用いて行い、また装置には真空ポンプ、窒素ガス配管、ヘリウムガス配管が接続される。窒素ガスを吸着ガスとして用い、BET多点法により算出した値を本発明におけるBET比表面積とする。
尚、BET比表面積は以下のようにして算出する。
まず、炭酸カルシウム粒子に窒素ガスを吸着させ、その時の、試料セル内の平衡圧力P(Pa)と炭酸カルシウム粒子の窒素吸着量Va(モル・g−1)を測定する。そして、試料セル内の平衡圧力P(Pa)を窒素の飽和蒸気圧Po(Pa)で除した値である相対圧Prを横軸とし、窒素吸着量Va(モル・g−1)を縦軸とした吸着等温線を得る。次いで、炭酸カルシウム粒子の表面に単分子層を形成するのに必要な吸着量である単分子層吸着量Vm(モル・g−1)を、下記のBET式を適用して求める。
Pr/Va(1−Pr)=1/(Vm×C)+(C−1)×Pr/(Vm×C)
(ここで、CはBETパラメーターであり、測定サンプル種、吸着ガス種、吸着温度により変動する変数である。)
BET式は、X軸をPr、Y軸をPr/Va(1−Pr)とすると、傾きが(C−1)/(Vm×C)、切片が1/(Vm×C)の直線と解釈できる(この直線をBETプロットという)。
直線の傾き=(C−1)/(Vm×C)
直線の切片=1/(Vm×C)
Prの実測値とPr/Va(1−Pr)の実測値をグラフ上にプロットして最小二乗法により直線を引くと、その直線の傾きと切片の値が算出できる。これらの値を用いて上記の傾きと切片の連立方程式を解くと、VmとCが算出できる。
さらに、上記で算出したVmと窒素分子の分子占有断面積(0.162nm2)から、下記の式に基づいて、炭酸カルシウム粒子のBET比表面積S(m2・g−1)を算出す
る。
S=Vm×N×0.162×10−18(ここで、Nはアボガドロ数(モル−1)である。)
本装置を用いた測定は、装置に付属の「TriStar3000 取扱説明書V4.0」に従うが、具体的には、以下の手順で測定する。
充分に洗浄、乾燥した専用のガラス製試料セル(ステム直径3/8インチ、容積約5ml)の風袋を精秤する。そして、ロートを使ってこの試料セルの中に約5.0gの炭酸カルシウム粒子を入れる。
炭酸カルシウム粒子を入れた前記試料セルを真空ポンプと窒素ガス配管を接続した「前処理装置 バキュプレップ061(島津製作所社製)」にセットし、23℃にて真空脱気を約10時間継続する。尚、真空脱気の際には、炭酸カルシウムが真空ポンプに吸引されないよう、バルブを調整しながら徐々に脱気する。セル内の圧力は脱気とともに徐々に下がり、最終的には約0.4Pa(約3ミリトール)となる。真空脱気終了後、窒素ガスを徐々に注入して試料セル内を大気圧に戻し、試料セルを前処理装置から取り外す。そして、この試料セルの質量を精秤して、風袋との差から炭酸カルシウムの正確な質量を算出する。尚、この際に、試料セル内の炭酸カルシウム粒子が大気中の水分等で汚染されないように、秤量中はゴム栓で試料セルに蓋をしておく。
次に、炭酸カルシウム粒子が入った前記の試料セルのステム部に専用の「等温ジャケット」を取り付ける。そして、この試料セル内に専用のフィラーロッドを挿入し、前記装置の分析ポートに試料セルをセットする。尚、等温ジャケットとは、毛細管現象により液体窒素を一定レベルまで吸い上げることが可能な、内面が多孔性材料、外面が不浸透性材料で構成された筒状の部材である。
続いて、接続器具を含む試料セルのフリースペースの測定を行なう。フリースペースは、23℃においてヘリウムガスを用いて試料セルの容積を測定し、続いて液体窒素で試料セルを冷却した後の試料セルの容積を、同様にヘリウムガスを用いて測定して、これらの容積の差から換算して算出する。また、窒素の飽和蒸気圧Po(Pa)は、装置に内蔵されたPoチューブを使用して、別途に自動で測定される。
次に、試料セル内の真空脱気を行った後、真空脱気を継続しながら試料セルを液体窒素で冷却する。その後、窒素ガスを試料セル内に段階的に導入して炭酸カルシウム粒子に窒素分子を吸着させる。この際、平衡圧力P(Pa)を随時計測することにより前記した吸着等温線が得られるので、この吸着等温線をBETプロットに変換する。尚、データを収集する相対圧Prのポイントは、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30の合計6ポイントに設定する。得られた測定データに対して最小二乗法により直線を引き、その直線の傾きと切片からVmを算出する。さらに、このVmの値を用いて、前記したように炭酸カルシウム粒子のBET比表面積を算出する。
本発明において、上記炭酸カルシウム粒子と共に、無機微粒子を併用することが好ましい。具体的には、上記像担持体と弾性部材との当接部の、像担持体の回転方向を基準とした上流側に、個数平均粒径が50nm以上、炭酸カルシウム粒子の個数平均粒径以下の、炭酸カルシウム粒子以外の無機微粒子を更に存在させることが好ましい。該無機微粒子は周知のものを使用できるが、ニップ奥側に炭酸カルシウム粒子が挟み込まれるのを防止するため、上述のように炭酸カルシウム粒子の個数平均粒径よりも個数平均粒径が小さいことが好ましい。しかし、上述の如く50[nm]以上であることが好ましい。
また、無機微粒子の比重の、炭酸カルシウム粒子の比重に対する比[(無機微粒子の比重)/(炭酸カルシウム粒子の比重)]が、3.0以上10.0以下であることが好ましい。
無機微粒子が炭酸カルシウム粒子に比して重い方が、クリーニング部材と感光体とが当接してできるくさびの奥に入りやすく、炭酸カルシウム粒子に対する阻止層になりやすい。一方、無機微粒子の比重が大きすぎると炭酸カルシウム粒子が入ったときに無機微粒子
に埋まったままで出てこられなくなる。これにより、炭酸カルシウム粒子がクリーニング部で挟み込まれるのを抑制すると共に、炭酸カルシウム粒子がクリーニング部で長手方向に移動(横走り)するのを助長し、結果、長手方向において均一に、画像流れの抑制効果を得ることができる。
なお、ここでいう比重は、真比重ではなく、嵩比重(容器に充填して密度を測る)である。見かけ比重で議論するのが正確であると考えられるが、測定の容易性から嵩比重を使用した。なお、炭酸カルシウム粒子と無機微粒子の粒径が50[nm]から数[μm]の範囲で、且つ比重の絶対値ではなく、比重の相対比較した場合は、極端な数値の変化が見られなかった。本発明において、炭酸カルシウム粒子及び無機微粒子の嵩比重は、JIS−K5101−12−2(2004年)に準じて測定した。測定する粒子の粒径や形状などにもよるが、タンピング数が少ないと嵩密度が安定しないため、500回転以上のタンピングが好ましい。本例に於いては、測定試料は1回分200乃至210mlとし、JISに則り1250回転のタンピングを行った。
また、炭酸カルシウム粒子のクリーニング部における長手均一性が向上した。詳細は不明だが、これら個々の無機微粒子がランダムに回転するため、該無機微粒子で形成される阻止層に対して、上記炭酸カルシウム粒子が横走りし易くなった為と考えられる。
なかでも、該無機微粒子の平均円形度を0.900以上0.920以下(この範囲は粒子形状が立方体状及び/又は直方体状である)にすることで、特に優れた摺擦作用を発揮する。これは、粒子形状が立方体状及び/又は直方体状であることで、対象物との接触面積を大きくすることができ、また立方体状又は直方体状の稜線が対象物に当接することで、良好な掻き取り性を得ることができるためだと考えられる。
炭酸カルシウム粒子及び無機微粒子の個数平均粒径及び平均円形度の測定は、下記の様に行った。
電子顕微鏡で30000倍又は60000倍の倍率で対象粒子を観測し、無作為に100個以上、好ましくは1000個以上の対象粒子を抽出して、該粒子の投影面積、及び粒子の周囲長を求める。ここで測定した投影面積と周囲長から、下式により、個々の粒子の粒径、及び円形度が求められる。
粒径=粒子像と同じ面積を持つ円の直径
円形度=粒子像と同じ面積を持つ円周長/粒子像の周囲長
これらの個数平均をとり、各々個数平均粒径、平均円形度とした。
感光体は周知の電子写真用感光体を使用できるが、磨耗速度が小さいと、像担持体表面粗さが変動しないのでクリーニング部材のくさび形状が維持されやすく好ましい。これにより、無機微粒子の存在状態、炭酸カルシウム粒子の存在状態が維持されやすくなる。
放電電流量などにもよるが、A4の画像形成10000枚当りの磨耗速度が0.1μm以下であることが好ましい。
該感光体の表面層が、熱、乃至は光や電子線などの電磁波で架橋させた架橋型保護層を有する場合は、上記の磨耗やキズ等による表面粗さの変動が少なくより好ましい。
本発明のトナーは、像担持体を帯電する帯電工程と、前記像担持体上に静電潜像を形成する工程と、前記静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する工程と、前記トナー像を転写材に転写する転写工程と、転写後の前記像担持体表面から残存するトナーを除去するクリーニング工程と、を有する画像形成方法に使用される現像剤用トナーであって、前
記帯電工程は、少なくとも放電を伴う工程であり、前記クリーニング工程は、少なくとも弾性部材を、前記像担持体表面に当接させてクリーニングを行う工程であり、前記トナーは、トナー粒子と外添剤からなり、前記外添剤は、個数平均粒径が50nm以上、前記トナーの重量平均粒径以下で、比表面積が50m2/g以上500m2/g以下の炭酸カルシウム粒子を含むことを特徴とする。また、前記外添剤は、個数平均粒径が50nm以上、前記炭酸カルシウム粒子の個数平均粒径以下の、前記炭酸カルシウム粒子以外の無機微粒子を更に含有することが好ましい。
ここで、トナー粒子は、周知の物を使用でき、またその製造方法も公知の方法を使用することができる。
また、トナーの平均円形度は0.930以上0.980以下であることが好ましい。トナーの平均円形度が上記範囲の場合は、クリーニング部材直近で、トナーが良好に転がり、炭酸カルシウム粒子を転がし且つ除去することが容易となる。一方、平均円形度が上記範囲を超えて高すぎる場合は、阻止層に損傷を与える場合があり、いわゆるクリーニング性が低下する場合がある。
また、トナーの重量平均粒径(D4)が3.0[μm]以上9.0[μm]以下が好ましい。3.0[μm]未満ではすり抜けがおこり易くクリーニング性が低下する傾向にあり、9.0[μm]超では高解像度の画像を得にくくなる。
トナーの重量平均粒径(D4)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行なう。測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行なう前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
前記専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加す
る。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行なう。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
トナーの平均円形度は、フロー式粒子像測定装置「FPIA−2100」(シスメックス社製)を用いて測定する。詳細は以下の通りである。
先ず、円形度を次式より算出する。
円形度=(粒子投影面積と同じ面積の円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
ここで、「粒子投影面積」とは二値化された粒子像の面積であり、「粒子投影像の周囲長」とは該粒子像のエッジ点を結んで得られる輪郭線の長さである。測定は、512×512の画像処理解像度(0.3μm×0.3μmの画素)で画像処理した時の粒子像の周囲長を用いる。
本発明における円形度は粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、粒子が完全な球形の場合に1.000を示し、表面形状が複雑になる程、円形度は小さな値となる。
また、円形度頻度分布の平均値を意味する平均円形度Cは、粒度分布の分割点iでの円形度をci、測定粒子数をmとすると、下記式(1)から算出される。
周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150型」(日科機バイオス社製)を用いる。尚、超音波分散器の水槽内には、約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加する。その際、該分散液の温度が40℃以上とならない様に適宜冷却する。また、円形度のバラツキを抑えるため、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100の機内温度が26〜27℃になるよう装置の設置環境を23℃±0.5℃にコントロールする。また、一定時間おきに、好ましくは2時間おきに2μmの標準ラテックス粒子(例えば、DukeScientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5200A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。
トナーの円形度測定には、前記フロー式粒子像測定装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用した。前記手順に従い調製した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、測定時のトナー粒子濃度が約5000個/μlとなる様に該分散液濃度を再調整して計測する。計測後、このデータを用いて、円相当径2.00μm以上、40.02μm未満の範囲のトナーの平均円形度を求める。尚、円相当径は、以下のようにして算出される値である。
円相当径=(粒子投影面積/π)1/2×2
本発明で用いている測定装置である「FPIA−2100」は、従来トナーの形状を観察するために用いられていた「FPIA−1000」と比較して、シースフローの薄層化(7μm→4μm)及び処理粒子画像の倍率が向上した装置である。また、取り込んだ画像の処理解像度を向上(256×256→512×512)させた装置であり、トナーの形状測定の精度が向上した装置である。
<炭酸カルシウム粒子の製造例>
[炭酸カルシウム粒子の製造例1]
25℃の乳酸の25質量%水溶液に、個数平均粒径87nmの炭酸カルシウム微粉末を投入し、ミキサーで混合撹拌した。反応中の溶液温度は40〜45℃となるように温度調整をした。撹拌は炭酸ガスの発生が終了するまで行った。これにより、炭酸カルシウムの最表面において炭酸カルシウムと乳酸の中和反応が進行し、脱炭酸しながら乳酸カルシウムが形成された。混合に引き続き、80℃の乾燥器で2時間乾燥を行った。これにより炭酸カルシウム表面に乳酸カルシウムの被覆層が形成された。
その後、220℃で3.5時間の加熱処理を施した。この加熱処理によりカルシウム塩中の有機成分が脱離し、微細孔が形成された。
製造した炭酸カルシウム粒子[TC04]は、個数平均粒径が80[nm]、比表面積が300[m2/g]であった。
[炭酸カルシウム粒子の製造例2]
5質量%、温度15℃に調整した水酸化カルシウム水懸濁液20kgに、濃度30%の炭酸ガスを水酸化カルシウム1kgあたり流速45リットル/分で吹き込み、炭酸化率75%まで反応を進めた。次いで、5質量%、温度15℃に調整した水酸化カルシウム水懸濁液4kgを加え、濃度30%の炭酸ガスを水酸化カルシウム1kgあたり流速35リットル/分で吹き込み炭酸化率87%まで炭酸化を進めた。更に5質量%、温度15℃に調整した水酸化カルシウム水懸濁液2kgを加え、濃度30%の炭酸ガスを水酸化カルシウム1kgあたり流速35リットル/分で吹き込み、最終pHが6.7になるまで炭酸化を行った。得られた炭酸カルシウムを脱水、乾燥、粉砕して炭酸カルシウム[TC15]を得た。炭酸カルシウム[TC15]の個数平均粒径は500[nm]、比表面積は120
[m2/g]であった。
[炭酸カルシウム粒子の他の製造例]
上記の製造例1における、乳酸を用いた中和反応中における炭酸カルシウムの投入量、温度、pHの調整、または、乾燥条件を変更することにより、上記の製造例2における、各炭酸化の段階における水酸化カルシウム水懸濁液の濃度、温度、炭酸ガス吹き込み条件、炭酸化反応の度合いを変更することにより、粒径、空孔径、比表面積が異なる炭酸カルシウム粒子[TC01〜TC33]を得た。各炭酸カルシウム粒子の物性値を表1に示す。
[TC01]は多孔質化処理を施していない炭酸カルシウム粒子である。なお、多孔質化処理を施していない炭酸カルシウム粒子において、個数平均粒径150nmで比表面積が12(10〜14)[m2/g]、個数平均粒径80nmで比表面積が17(15〜19)[m2/g]であった。なお、粒径が大きくなると比表面積が小さくなることは、一般に知られている。
酸化アルミニウム(アルミナ)は、公知の、バイヤー法(湿式アルカリ法)や、気相酸化法や、遷移アルミナまたは熱処理により遷移アルミナとなるアルミナ原料を用いて、所定のガス中で焼成する方法によって得る事ができる。ここでは、気相酸化法でアルミナ微粒子を作成し、該微粒子を電子顕微鏡(SEM)で観測し、上述のように個数平均粒径を測定した。個数平均粒径は400[nm]であった。該粒子を機械式粉砕の条件を変更して、50〜300[nm]の、粒径、及び円形度の異なるアルミナ微粒子を得た。
酸化ケイ素(シリカ)は、周知の方法で65〜100[nm]のシリカ粒子を得た。また、酸化セリウムも、周知の方法で50〜100[nm]の粒子を得た。
チタン酸ストロンチウムは、周知の焼結、解砕の工程を経て、焼結条件や解砕条件を調整する事で、粒径や円形度が異なるチタン酸ストロンチウム粒子を得た。また、四塩化チタン水溶液にアンモニア水を添加することにより加水分解して得られた含水酸化チタンを純水で洗浄し、該含水酸化チタンのスラリーに含水酸化チタンに対するSO3として0.25[%]の硫酸を添加した。次に、該含水酸化チタンのスラリーに塩酸を添加して、pHを0.58に調整してチタニアゾル分散液を得た。該チタニアゾル分散液にNaOHを添加し、分散液のpHを5.0に調整し、上澄み液の電気伝導度が50μS/cmになるまで洗浄を繰り返した。該含水酸化チタンに対し、0.93倍モル量のSr(OH)2・8H2Oを加えてSUS製の反応容器に入れ、窒素ガス置換した。更に、SrTiO3換算で0.6[mol/リットル]になるように蒸留水を加えた。窒素雰囲気中で該スラリーを60℃まで6.0[℃/時間]で昇温し、60[℃]に到達してから12時間反応を行った。反応後室温まで冷却し、上澄み液を除去した後、純水で洗浄を繰り返し、その後、ヌッチェで濾過を行った。得られたケーキを乾燥し、焼結工程を経由していないチタン酸ストロンチウム微粒子を得た。この微粒子を電子顕微鏡(SEM)で観測し、個数平均粒径を測定した。当該微粒子は、立方体状乃至は直方体状の結晶構造を有し、個数平均粒径が300[nm]、円形度0.901であった。上記製造条件の、pH、Sr(OH)2・8H2Oの量、昇温条件等を調整することで異なる粒径や円形度のチタン酸ストロンチウムを得た。得られた無機微粒子の一覧を表2に示す。
[像担持体の製造例1]
ポリカーボネート樹脂を用いて、公知の電荷輸送層101eが表面層である電子写真感光体K1を得た。電荷輸送層101eを18[μm]とした。なお、感光体の膜厚は市販の渦電流式膜厚計を用いて測定した。
[像担持体の製造例2]
下地用感光体として、上記感光体K1における、電荷輸送層101eの膜厚を15[μm]としたものを用意した。一方、下記の表面保護層用塗工液を作製した。
a:結着樹脂である硬化性フェノール樹脂として、下記の化学式(6)で示されるビスフェノールのフェノール性水酸基のオルト位水素原子が全てヒドロキシメチル基で置換されたテトラキスヒドロキシメチル−ビスフェノール化合物 100[部]
b:下記の化学式(7)で表される電荷輸送材料 70[部]
c:テトラフルオロエチレン微粒子 42[部]
d:エタノール 150[部]
を混合し、高圧分散機(マイクロフルイタイザー、Microfluidics社製)にて分散させた溶剤に溶解させたもの。
上記表面保護層用塗工液を、上記の下地用感光体上に浸漬塗布し、145[℃]で1[時間]熱風乾燥し、膜厚が3[μm]の表面保護層101fを設けて、電子写真感光体K2を得た。
下地用感光体として、上記感光体K1における、電荷輸送層101eの膜厚を15[μm]としたものを用意した。一方、下記化学式(5)の正孔輸送性化合物40部をn−プロピルアルコール60[部]に溶解し、更に、テトラフルオロエチレン微粒子を10[部]添加して、高圧分散機(マイクロフルイタイザー、Microfluidics社製)にて分散させた表面保護層用塗料を調整した。
(大塚電子(株)製)を用いて行った。また、得られた感光体は、表面形状調整のためラッピングテープを使用して表面研磨処理を施した。
周知の製造方法で、カラー用非磁性トナー粒子を得た。該非磁性トナー粒子100[部]に対して、個数平均粒径0.02[μm]のシリカ粒子を1.2[部]を外添してトナー(T1)を得た。このトナーT1の重量平均粒径は6.0[μm]、平均円形度0.927であった。さらに、平均円形度が異なるトナーT2〜T6を作成した。
キャリア(C)は、キヤノン製imagePRESS C1用のキャリアを使用し、トナーの、現像剤に対する質量比が8[質量%]となる様に混合して現像剤を得た。
評価用の画像形成装置として、図1の如き画像形成装置を準備した。図1及び図6を用いて、評価装置の説明をする。クリーニング部材107であるクリーニングブレードは、厚さTが2[mm]の板状のものを、クリーニング部材加圧手段(バネ)107Sに接続しているクリーニング部材支持体(基材)107Bに固定した。クリーニングブレードは、図6の如く、感光体101に所定の、及び設定角で当接される。本例においては当接圧=24.5[N/m](25[g/cm])、設定角θ=23[°]である。
また、炭酸カルシウム粒子供給源109を設けた。該供給源109には、不図示の供給機構により、炭酸カルシウム粒子が常時存在するようになっている。
炭酸カルシウム粒子供給手段108は、導電性の繊維を基布に織りこみ、それを直径6[mm]の芯金上に巻き付けて直径16[mm]のロールブラシ状に構成している。導電性繊維として、太さ0.67[Tex](6[デニール])のアクリルの導電糸を用い、繊維密度が10[万本/inch2]となるようにW織りで基布に植え込んだものをシート状に形成し、芯金との導電性を確保するようにして巻き付けている。ブラシの抵抗は6×103[Ω・cm]とした。そして、感光体101に対する侵入量=1[mm]で、当接幅=7[mm]をもって接している。炭酸カルシウム粒子供給手段108には、炭酸カルシウム粒子や転写残トナーなどの過剰な付着による目詰まり抑止のため、フリッカー110を付与した。該フリッカー110の位置は、炭酸カルシウム粒子供給手段108の駆動方向や速度に応じて向きや位置などの設定条件を調整すればよい。
キヤノン製imagePRESS C1(φ84 OCL−OPC。感光体温度制御手段あり。スコロトロン帯電方式のカラー機)を、上記の図1の如く改造した評価機を使用した。なお、感光体の温度制御手段は除去した。
感光体101は、上述の像担持体製造例で作成した電子写真感光体K3を使用し、矢印Xの方向に所定の面速度で回転駆動させた。
現像剤は、本発明に係る炭酸カルシウム粒子又は無機微粒子を含まない上記T1及び上記キャリア(C)[キヤノン製imagePRESS C1用のキャリア]を使用し、トナーの、現像剤に対する質量比が8[質量%]となる様に混合して調製したものを用いた。
帯電手段102にはiRC5185(キヤノン製)用の帯電ローラーを、実効長(帯電可能部位の長さ)を0.34[m]としたものを使用し、潜像形成信号103の付与手段には1200[dpi]のレーザー露光装置を付与した。帯電ローラー102に印加するバイアス、及び潜像形成信号103は、潜像露光非照射時の現像手段104位置での感光体101の表面電位(Vd)の絶対値が600[V]、潜像露光照射部電位(Vl)の絶対値が150[V]になる様に調整した。
更に、現像手段104として非磁性2成分現像手段、転写手段105はベルト状の中間転写体を付与した。転写ベルトや現像器等の駆動条件、バイアス条件を調整した。
まず、30℃、80%RHの高温高湿環境(HH環境と称する)下で、放電電流が10
0[μA]となるように交流バイアスを調整して、図7(a)のごとき横帯で5%dutyの原稿を、20k(ここで、kは1000を意味する)[枚]耐久印刷した。耐久印刷中も、2k[枚]毎に、放電電流の測定及び調整を行い該放電電流値の調整を行った。
耐久印刷の最後に、ラスト画像として、1ドット2スペースの画像を形成した後、画像形成装置の電源を完全オフにして上記HH環境下で4日間放置した。
放置後に、炭酸カルシウム粒子供給源109に個数平均粒径20[nm]の炭酸カルシウム粒子を投入して、評価機の電源をオンして、1ドット2スペースで、連続画像形成を行った。上記のラスト画像、及び放置後の1、5、10、15、20、25枚目の画像をスキャナーで読み取り、画素回復率を求めた。ラスト画像の画素数と1枚目の画素数の差分を100%として、5、10・・・25枚目の画像の画素数をプロットした結果を図8に、またその傾きを回復係数として表3に示す。
同様に、23℃、5%RHの常温低湿環境(NL)下で、上記のHHと同様の耐久印刷、放置、画像評価を行った。NL評価のほうは、画像、及び感光体表面観測を行い、フィルミングの発生の有無で評価した。結果を表3に示す。なお、発生無しは○、有りは×である。これらの評価の結果、画像流れの回復性は、小粒径で良好であった。しかし、実際に20[nm]、50[nm]などの微小な炭酸カルシウム粒子を供給しながら耐久を行うと、下表の如くフィルミングが生じる場合があった。
上記、実験例1に対して、炭酸カルシウム粒子の製造例で製造した炭酸カルシウム粒子を追加して同様の実験を行った。結果は比表面積と回復係数の相関を図9に示す。比表面積によって回復係数が大きく異なり、50[m2/g]以上のときに良好な回復係数であった。
感光体の表面に、炭酸カルシウム粒子、チタン酸ストロンチウム粒子、アルミナ粒子、酸化セリウム粒子を塗布した。また何も塗布していない場所も設けた。該感光体を放電電流300μAで15分間空回転した後、該感光体の各塗布領域にイオン交換水を1.5ml滴下し、感光体を滴り落ちた水のpHを測定した。
結果、炭酸カルシウムを塗布した箇所の水のpHは滴下したイオン交換水の値と同じ。チタン酸ストロンチウム粒子、アルミナ粒子、酸化セリウム粒子を塗布した。また何も塗布していない場所に滴下した水のpHは酸性側に0.6シフトしていた。
炭酸カルシウム粒子が中和作用、乃至は、吸着等の作用により放電に伴うNOxの影響を抑制していることが分る。
これらの実験例1乃至3より、炭酸カルシウム粒子の個数平均粒径が50[nm]以上であり、炭酸カルシウム粒子の比表面積が50[m2/g]であることが好ましい事がわかる。
図1の評価機から供給手段108及び108’、供給源109及び109’、並びに、フリッカー110及び110’を除去した。
炭酸カルシウム粒子はTC04、無機微粒子にはアルミナA03を用いた。
100質量部のトナーT6に対して、0.3質量部のTC04及び0.7質量部のA03を、外添した。これを上述のトナーの製造例に準じてキャリアと混合し、現像剤を得た。
また、感光体101は、上述の像担持体製造例で作成した電子写真感光体K3を使用した。
一方、評価条件を下記に示す。
矢印Xの方向にキヤノン製imagePRESS C1の面速度で回転駆動させた。
帯電ローラー102に印加するバイアス、及び潜像形成信号103は、潜像露光非照射時の現像手段104位置での感光体101の表面電位(Vd)の絶対値が600[V]、潜像露光照射部電位(Vl)の絶対値が150[V]になる様に調整した。
更に、現像手段104として非磁性2成分現像手段、転写手段105はベルト状の中間転写体を付与した。転写ベルトや現像器等の駆動条件、バイアス条件を調整した。
30℃、80%RHの高温高湿環境(HH環境)下で、放電電流Idisを70[μA]に調整して、図7(b)のごとき横帯で5%dutyの原稿をA4用紙の2枚間欠で10k[枚/日]で、100k[枚]の耐刷を行った。
夕方、ラスト画像形成後に電源オフして3日放置後に評価機の電源をオンして、1ドット2スペースで、連続画像形成を行った。
ラスト画像、及び放置後の1枚目の画像から画素低下率を求めた。また放置後の1、5、10、15、20、25枚目の画像をスキャナーで読み取り、画素回復率を求めた。
その後、感光体に潜像露光を照射せずに、現像バイアスを調整してハーフトーン画像にする以外は、通常の画像形成工程を経てハーフトーン画像を形成した。バイアスハーフトーンと称する。バイアスハーフトーンにより帯電ローラーの汚れなどに起因する長手方向の帯電ムラを評価した。
これらの評価の後、更に上記の如く10k[枚]の耐久印刷を行い、3日放置、評価を繰り返した。100k[枚]の耐久印刷後、ハーフトーン画像、上記の耐久用チャート形成を行い、また感光体表面及びクリーニングブレードの顕微鏡観測を行って、フィルミング、クリーニング不良、クリーニング欠け、長手均一性の評価を行った。
次に、23℃、5%RHの常温低湿環境(NL環境)で放電電流を100[μA]にして、同様に100k[枚]の耐久印刷試験、及び評価を行った。
各評価の基準は下記のとおりである。なお、評価結果は、HH環境、NL環境の評価の悪い方を表記した。例えば、画像流れはHH環境の結果を表記している。
<画像流れ>
◎;画素低下率5%以内
○;画素回復係数≧40、且つ画素低下率5〜10%
△;画素回復係数≧40、且つ画素低下率10〜20%
▲;画素回復係数<40、且つ画素低下率10〜20%、
または、画素回復係数≧40、且つ画素低下率20%超
<フィルミング>
◎;画像、感光体表面ともにフィルミング無し。
○;感光体に軽微なフィルミング有り。且つ、画像上はフィルミング無し。
△;感光体に広範囲、または複数箇所でフィルミング有り。画像上は軽微なフィルミング有り。
▲;画像上に広範囲、或いは複数のフィルミングが見られる。
<クリーニング不良>
◎;画像、感光体表面、クリーニングブレード裏の何れも良好。
○;画像、感光体表面に擦り抜けは認められない。クリーニングブレード裏に一部汚れ見られる。
△;画像に擦り抜けは認められない。感光体に一部汚れ見られる。
▲;画像上にクリーニング不良が見られる。
<クリーニング欠け>
◎;欠け、えぐれ無し。
○;小さい欠け、乃至はえぐれあり(一部)。
△;小さい欠け、乃至はえぐれあり(複数箇所)。
▲;大きい欠けが発生。または広域に欠け乃至はえぐれ発生。
<長手均一性>
◎;阻止領域、滞留域の形成が長手で均一。且つ、画像上の流れやフィルミングが長手で均一。
○;阻止領域、滞留域の形成が長手で一部不均一な箇所有り。画像上の流れやフィルミングが長手で均一。
△;阻止領域、滞留域の形成が長手で不均一な箇所有り。画像上の流れ、またはフィルミングが長手で一部不均一。
▲;阻止領域、滞留域の形成が不均一であり、画像上の流れ、またはフィルミングも不均一。
<帯電ローラー汚れ>
◎;目視、帯電ムラともに良好。
○;バイアスハーフトーンではムラ見えるが、通常の画像では見られない。
△;通常の画像形成において、ハイライトで帯電ムラが見える場合有り。
▲;通常の画像形成で、帯電ムラが見える。
実施例1において、炭酸カルシウム粒子、無機微粒子を変更して、実施例1と同様の耐久印刷評価を行った。評価結果を表4に示す。
実施例1において、図1のごとき評価装置を用いて、炭酸カルシウム粒子を部材供給とした。また、炭酸カルシウム粒子、トナー、感光体を表5に示すように変更し、実施例1と同様の耐久印刷評価を行った。評価結果を表5に示す。
個数平均粒径が50[nm]以上、トナーのD4粒径以下で、比表面積が50[m2/g]以上、500[m2/g]以下の多孔質な炭酸カルシウム粒子により、画像流れとフィルミングが両立している。炭酸カルシウム粒子の反応性を高く維持できる一方、粒径を大きくできるので、付着防止に有効な為と考えられる。
粒径、比表面積のいずれか、若しくは両方が上記範囲外である、比較例1〜4では画像流れが生じたり、フィルミングが生じていた。
比較例1〜2は比表面積が50[m2/g]未満のため、反応性が不足していると考えられ、特に比較例1では粒径が小さいことによるフィルミングも生じている。
炭酸カルシウム粒径がトナーのD4粒径より大きい、比較例4では、クリーニング手段などで早々に感光体表面から脱離し、画像流れに対する効果が得られなかったと考えられる。比較例3は初期の画像流れは良かったが、レベルが悪化した。またフィルミングも生じていた。耐久後の観測により、炭酸カルシウム粒子の小破片が観測された。比表面積が650[m2/g]と過剰に多孔質化したため、炭酸カルシウム粒子が脆くなり、破損して小径化したため、上記のような結果になったと考えられる。反応性の観点からも比表面積、50[m2/g]以上500[m2/g]以下が好ましいことがわかる。
実施例6〜9に対して、実施例10〜16では無機微粒子を付与した。供給方法は、炭酸カルシウム粒子と同様に図1の評価機で部材供給とした。また、炭酸カルシウム粒子、無機微粒子、トナー、感光体を表6に示すように選択し、実施例1と同様の耐久印刷評価を行った。評価結果を表6に示す。
一方、実施例16ではフィルミングが更に改善されている。上記の如く、無機微粒子は炭酸カルシウム粒子に対する阻止層となるほか、スペーサーとして寄与していると考えられる。また、該無機微粒子で炭酸カルシウム粒子表面部を摺擦して、炭酸カルシウム粒子内部側の空孔で流れを抑制する一方で、最表面では劣化が抑制され、付着性の増加を防止していると考えられる。上記の、阻止層を形成するため、スペーサー粒子として、表面摺擦粒子として、何れに於いても、該無機微粒子が炭酸カルシウム粒子の凹に埋まらないように、炭酸カルシウム粒子の表面空孔径が、無機微粒子の個数平均粒径より小さいことが好ましい。
実施例10〜16に対して、無機微粒子の平均円形度を調整して評価を行った。評価条件及び評価結果を表7に示す。
結果、画像流れが更に改善されている。無機微粒子は非球形であることが好ましい。非球形とすることで、個々の粒子がランダムに回転するなどして、炭酸カルシウム粒子への潤滑性付与に好ましい。具体的には無機微粒子の円形度が0.920以下で良好な結果が得られた。一方、無機微粒子の平均円形度0.900以上で良好な結果が得られた。パッキングし阻止層形成しやすくなった為と考えられる。無機微粒子の平均円形度が0.900以上0.920以下の場合、阻止層の形成や炭酸カルシウム粒子の流動性、横走りが好適であった。また、この範囲の無機微粒子は六面体状等、概ね適度な稜を有し、炭酸カルシウム粒子を摺擦するのにも好ましい。
<実施例20〜21>
実施例17〜19に対して、感光体を、表面保護層を有するK2、K3に変更した。評価条件、及び評価結果を表7に示す。
さらに、トナーの平均円形度を振って評価した。評価条件、及び評価結果を表8に示す。
さらに、炭酸カルシウム粒子の平均円形度を振って評価した。評価条件、および評価結果を表9に示す。
<実施例29〜31>
実施例26〜28に対して、トナー100質量部に対して炭酸カルシウム粒子を0.3質量部外添して供給した。一方、無機微粒子は部材供給とした。評価条件、及び評価結果を表9に示す。
一方、炭酸カルシウム粒子をトナーに外添した実施例29〜31はクリーニング欠けが更に改善されている。一般に、現像手段においては高画質な現像のため、相対速度差や現像剤の密度等により、現像剤が感光体に対して充分に高い接触機会で接触している。
炭酸カルシウム粒子をトナーに外添することで、現像手段などにより、感光体表面への接触機会は更に密になり長手均一性が向上する。これにより帯電生成物等による感光体表面性の変化を均一に抑制し、結果、クリーニング手段の局所的な負荷が更に抑制され、欠けが改善したと考えられる。なお、無機微粒子の供給方法は本例の如き供給に限らず、トナーに外添して、別の供給手段を有しても良い。
また、実施例1〜5との比較から、炭酸カルシウム粒子は80〜1500nmで外添されると更に好ましい。このとき(実施例1〜5)、帯電部材汚れも更に改善されていた。この粒径範囲であることで、転写工程以降でトナーから好適に遊離しクリーニング部で滞留して帯電生成物に良好に作用する。また現像手段中での遊離や、クリーニング手段などにより感光体表面から早期に離脱してしまわずに作用できる為と考えられる。
Claims (10)
- 像担持体を帯電する帯電工程と、前記像担持体上に静電潜像を形成する工程と、前記静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する工程と、前記トナー像を転写材に転写する転写工程と、転写後の前記像担持体表面から残存するトナーを除去するクリーニング工程と、を有する画像形成方法であって、
前記帯電工程は、少なくとも放電を伴う工程であり、
前記クリーニング工程は、少なくとも弾性部材を、前記像担持体表面に当接させてクリーニングを行う工程であり、
前記像担持体と前記弾性部材との当接部の、像担持体の回転方向を基準とした上流側に、個数平均粒径が50nm以上、トナーの重量平均粒径以下で、比表面積が50m2/g以上500m2/g以下である多孔質の炭酸カルシウム粒子を存在させることを特徴とする画像形成方法。 - 前記像担持体と前記弾性部材との当接部の、像担持体の回転方向を基準とした上流側に、個数平均粒径が50nm以上、前記炭酸カルシウム粒子の個数平均粒径以下の、前記炭酸カルシウム粒子以外の無機微粒子を更に存在させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
- 前記無機微粒子の比重の、前記炭酸カルシウム粒子の比重に対する比が、3.0以上10.0以下であることを特徴とする、請求項2に記載の画像形成方法。
- 前記炭酸カルシウム粒子の表面空孔径が、前記無機微粒子の個数平均粒径より小さいことを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成方法。
- 前記無機微粒子の平均円形度が、0.900以上0.920以下であることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 前記像担持体の、画像形成10000枚当りの磨耗速度が0.1μm以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 前記トナーの平均円形度が、0.930以上0.980以下であることを特徴とする請
求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成方法。 - 前記炭酸カルシウム粒子の平均円形度が、0.930以上1.000以下であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 前記炭酸カルシウム粒子の個数平均粒径が80nm以上1500nm以下であり、前記トナーに外添されたものであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 少なくとも像担持体と、放電開始電圧以上の帯電バイアスを印加する帯電バイアス印加手段と帯電部材とからなり前記像担持体を帯電する帯電手段と、トナーを有する現像手段と、転写手段と、弾性部材からなるクリーニング手段と、を備えた画像形成装置であって、
前記像担持体と前記弾性部材との当接部の、像担持体の回転方向を基準とした上流側に、個数平均粒径が50nm以上、トナーの重量平均粒径以下で、比表面積が50m2/g以上500m2/g以下である多孔質の炭酸カルシウム粒子が存在することを特徴とする画像形成装置。
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