JP4608838B2 - 田植機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、原動機の動力を変速装置を介して走行装置へ伝動すると共に、前記原動機の駆動速度及び前記変速装置の伝動比を連動して共に変更する変速操作具を設けた走行車輌の技術分野に属し、田植機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、田植機の走行車輌において、原動機となるエンジンの動力をベルト式無段変速装置を介して走行装置となる前輪及び後輪へ伝動すると共に、前記エンジンの駆動速度となるエンジン回転数及び前記ベルト式無段変速装置の伝動比を連動して共に変更する変速操作具となるアクセル操作部材を設けた構成が知られている。この走行車輌は、変速操作具の操作で原動機の駆動速度と変速装置の伝動比とを連動して共に変更するので、変速操作が簡単になり操作性の向上を図ることができる(特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001ー128517号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来技術の走行車輌においては、変速操作具の操作で原動機の駆動速度と変速装置の伝動比とを連動して共に変更するので、該変速操作具の操作による走行速度の変更範囲が大きくなり、操作が行い易いように変速操作具の操作ストロ−クを設定すると、変速操作具により走行速度の微調節がし難くなり、増速側への操作でオペレ−タの意図に反して急激に増速されるおそれがある。特に、変速操作具の操作により走行停止状態に設定できる構成としたとき、走行車輌が急発進し、搭乗するオペレ−タの居住性が悪くなったり、場合によってはオペレ−タが機体から放り出されたりするおそれもある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決しようとするものである。
また、例えば圃場の耕盤深さや硬軟の圃場条件等に対応するべく原動機の回転数と変速装置の変速比とをそれぞれ別個に設定することができるようにし、玄人のオペレ−タにとって使い勝手の良い変速操作形態を得ることができるようにしようとするものである。更には、機体全体の軽量化を図ると共に、苗植付部3への伝動構造を簡単に構成しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記課題を解決するべく次の技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1に係る発明は、原動機(4)の動力を変速装置(11)を介して左右の前輪(16)及び左右の後輪(20)へ伝動する走行車輌(2)を備え、モニターパネル(100)の近傍にはスロットル連動入切スイッチ(108)を設け、該スロットル連動入切スイッチ(108)を入状態に設定しているときは、変速レバー(105)の操作に基づいて前記原動機(4)の駆動速度及び前記変速装置(11)の伝動比を連動して共に変更し、スロットル連動入切スイッチ(108)を切状態に設定しているときは、アクセルペダル(103)の操作に基づいて原動機(4)の駆動速度を変更すると共に変速レバー(105)の操作に基づいて変速装置(11)の伝動比を変更する構成とし、スロットル連動入切スイッチ(108)を入状態に設定しているとき、前記変速レバー(105)の増速操作開始時に、変速装置(11)の伝動比が所定値に保持される構成とすると共に、後進時には、変速レバー(105)の操作位置に対する原動機(4)の設定回転が前進時の原動機(4)の設定回転よりも低く、且つ変速レバー(105)の操作に伴う原動機(4)の設定回転数の変化が前進時の原動機(4)の設定回転数の変化よりも小さく設定され、変速レバー(105)の操作位置に対応する原動機(4)の設定回転数よりもアクセルペダル(103)の操作位置に対応する原動機(4)の設定回転数が高い場合は、アクセルペダル(103)の操作位置に対応する原動機(4)の設定回転数に設定し、停止操作具(105,106)を停止操作すると、原動機(4)の回転数をアクセルペダル(103)の操作位置に対応する回転数に変更設定し、停止操作具(105,106)の停止操作を解除してから所定時間後に変速レバー(105)の操作位置に対応する原動機(4)の回転数に復帰させる構成とした田植機とした。
【0007】
従って、請求項1に記載の走行車輌は、変速レバー105の操作により原動機4の駆動速度及び変速装置11の伝動比が連動して共に変更されることにより、左右の前輪16及び左右の後輪20の作動速度を変更して走行速度を変更する。また、変速レバー105の操作により、左右の前輪16及び左右の後輪20の作動を停止させて走行停止状態にすることができる。そして、変速レバー105を増速操作すると、原動機4の駆動速度及び変速装置11の伝動比の何れか一方が所定値に保持され、他方が増速側に変更されることで走行速度が増速され、走行速度を緩やかに増速させることができる。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、変速装置として、前輪(16)を駆動する前輪用油圧モータ(110)と、後輪(20)を駆動する後輪用油圧モータ(111)とを設け、該前輪用油圧モータ(110)及び該後輪用油圧モータ(111)を駆動する油圧ポンプ(9)を設け、該油圧ポンプ(9)を原動機(4)の動力により駆動する構成とし、前輪用油圧モータ(110)を左右の前輪(16)の間に配置し、後輪用油圧モータ(111)を左右の後輪(20)の間に配置し、後輪用油圧モータ(111)の出力で駆動する植付伝動軸(40)により、後側の苗植付部(3)へ伝動する構成とした請求項1に記載の田植機とした。
【0009】
【発明の効果】
よって、請求項1に記載の田植機は、変速レバー105の操作で原動機4の駆動速度と変速装置11の伝動比とを連動して共に変更すると共に、変速レバー105の操作により走行停止状態にすることができるので、走行停止状態も含めた走行速度の変速操作を変速レバー105で簡単に行えて操作性の向上を図ることができる。そして、変速レバー105を操作して走行速度を増速させるときは緩やかに増速するので、オペレ−タの意図に反して急激に増速されて急発進するのを防止し、搭乗するオペレ−タの安全性の向上を図ることができる。また、後進時は変速レバー105を同じ操作位置に操作しても前進時と比較して遅い速度で走行でき、しかも変速レバー105の増速操作に伴う変速量が前進時と比較して小さくなるために後進時に変速レバー105の操作で急激に加速されるようなことを防止し、後進時の安全性を向上することができる。また、スロットル連動入切スイッチ108を入状態に設定しているとき、アクセルペダル103の操作位置に対応する原動機4の設定回転数に設定することもできる。更に、停止操作具105、106により停止操作すると、原動機4の回転数をアクセルペダル103の操作位置に対応する回転数に変更設定して低速側に変更設定できるので、走行停止時に無闇にエンジン回転数が高速側へ設定されず、走行停止時の騒音を抑えることができる。そして、停止操作具105、106の停止操作を解除して走行させるとき、該停止操作が解除されてから所定時間後に原動機4の回転数を変速レバー105の操作位置に対応する回転数に復帰させるので、走行開始時にはエンジン回転が低速側に保持されているため、機体を発進させるときは走行速度が緩やかに増速し、オペレ−タの意図に反して急激に増速されて急発進するのを防止し、搭乗するオペレ−タが機外に振り落されたりすることを防止し、安全性の向上を図ることができる。しかも、スロットル連動入切スイッチ108を切状態に設定しているときは、足でアクセルペダル103を操作して原動機4の回転数を設定しながら手で変速レバ−105を操作して変速装置11の変速比を同時に設定することができるので、それぞれの設定をオペレ−タの好みに応じてあるいは必要に応じて逐次変更しながら行うことができ、例えば圃場の耕盤深さや硬軟の圃場条件等に対応するべく原動機4の回転数と変速装置11の変速比とをそれぞれ別個に設定することができ、玄人のオペレ−タにとって使い勝手の良い変速操作形態を得ることができ、操作性が向上する。
【0010】
また、請求項2に記載の田植機は、請求項1に記載の発明の効果に加えて、前輪用油圧モ−タ110を左右の前輪16の間に配置し、後輪用油圧モ−タ111を左右の後輪20の間に配置しているので、それぞれの油圧モ−タ110,111から前輪16あるいは後輪20へ伝動する前輪伝動ケ−ス112及び後輪伝動ケ−ス113をコンパクトに構成でき、ひいては機体全体の軽量化を図ることができる。また、植付伝動軸40を苗植付部3から近い後輪用油圧モ−タ111の出力で駆動する構成としているので、植付伝動軸40を短くできると共に、苗植付部3への伝動構造を簡単に構成できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。
図1及び図2は、乗用型の田植機1を示すものであり、この乗用型の田植機1は、走行車輌2と6条植えの苗植付部3とを備えて構成される。
【0012】
走行車輌2の前後左右略中央には原動機となるエンジン4を備えており、このエンジン4の左側に設けたエンジン出力プ−リ5から伝動ベルト6を介して中継プ−リ7と一体回転する中継軸8が駆動される。この中継軸8の駆動が油圧ポンプ9へ入力される構成となっており、従って、この油圧ポンプ9はエンジン4の駆動に伴って駆動されるようになっている。また、前記中継軸8の動力は、変速用伝動ベルト10を備える副変速装置11に伝動され、該副変速装置11からの伝動を断つことができる主クラッチ(図示せず)を備える主ミッションケ−ス12内へ伝動される。尚、前記副変速装置11は、前記変速用伝動ベルト10が巻きかけられた駆動プ−リ13及び従動プ−リ14のプ−リ径を変更することにより変速する構成となっている。そして、前記主ミッションケ−ス12からの動力により、該主ミッションケ−ス12の左右両端部に突出した前輪駆動軸15の駆動で左右一対の前輪16がそれぞれ駆動回転されると共に、主ミッションケ−ス12から左右それぞれの後輪伝動軸17を介して左右の後輪伝動ケ−ス18内に伝動され該後輪伝動ケ−ス18に設けられた後輪駆動軸19の駆動で左右一対の後輪20がそれぞれ駆動されるようになっている。尚、後輪20は、前記主ミッションケ−ス12の後端部に固着した主フレ−ム21に対して前後方向の回動軸22回りに回動自在の後輪ロ−リングフレ−ム23の左右両端に左右それぞれの後輪伝動ケ−ス18を固着して支持され、主フレ−ム21に対して左右方向にロ−リング自在に設けられ、圃場の耕盤の凹凸に追従するようになっている。従って、この走行車輌2は、走行装置である前輪16及び後輪20が駆動されて走行する構成となっている。
【0013】
前記副変速装置11は、前記中継軸8と一体回転する駆動プ−リ13と主ミッションケ−ス12への入力軸24と一体回転する従動プ−リ14と前記駆動プ−リ13及び前記従動プ−リ14に巻きかけられた変速用伝動ベルト10とを備えて構成される。前記駆動プ−リ13及び前記従動プ−リ14は、前記変速用伝動ベルト10が接触する左右のプ−リ部13a,13b,14a,14bが別個に構成された割りプ−リであり、前記左右のプ−リ部13a,13b,14a,14bの間隔を変更することにより変速用伝動ベルト10が巻きかけられる有効径が変更可能に構成されている。
【0014】
前記駆動プ−リ13について説明すると、駆動プ−リ13の左側プ−リ部13aは中継軸8に固定され、右側プ−リ部13bは中継軸8の軸方向すなわち左右方向に摺動可能に構成されていて、該右側プ−リ部13bは軸受25を介して回転する駆動側変速操作カム26によって左右位置が規制される。駆動側変速操作カム26の駆動プ−リ13とは反対側(主ミッションケ−ス12側)の端面には円周方向に沿って傾斜状に形成された突条26aを設け、該突条26aに主ミッションケ−ス12に取り付けた駆動側ロ−ラ27が当接している。そして、前記駆動側変速操作カム26の第一ア−ム部26bに変速ロッド28を連結しており、該変速ロッド28の前後移動により駆動側変速操作カム26が回転すると、該駆動側変速操作カム26の突条26aの前記駆動側ロ−ラ27との接点が円周方向に沿って変化し、駆動側変速操作カム26の主要部が左右方向へ移動して右側プ−リ部13bが左右に移動し、左右のプ−リ部13a,13bの間隔を変更して駆動プ−リ13の有効径を変更するようになっている。
【0015】
次に、従動プ−リ14について説明すると、従動プ−リ14の右側プ−リ部14bは主ミッションケ−ス12への入力軸24に固定され、左側プ−リ部14aは前記入力軸24の軸方向すなわち左右方向に摺動可能に構成されていて、該左側プ−リ部14aは軸受29を介して回転する従動側変速操作カム30によって左右位置が規制される。従動側変速操作カム30の従動プ−リ14とは反対側(左側)の端面には円周方向に沿って傾斜状に形成された突条30aを設け、該突条30aに機体に固着された支持プレ−ト31に取り付けた従動側ロ−ラ32が当接している。そして、前記従動側変速操作カム30のア−ム部30bに駆動側変速操作カム26の第二ア−ム部26cと連結する連結ロッド33を連結しており、駆動側変速操作カム26の回転に伴う前記連結ロッド33の前後移動により従動側変速操作カム30が回転すると、該従動側変速操作カム30の突条の前記従動側ロ−ラ32との接点が円周方向に沿って変化し、従動側変速操作カム30の主要部が左右方向へ移動して左側プ−リ部14aが左右に移動し、駆動プ−リ13の左右のプ−リ部13a,13bの間隔の変更とは相反する方向に従動プ−リ14の左右のプ−リ部14a,14bの間隔を変更し、従動プ−リ14の有効径を変更するようになっている。従って、高速で伝動するときには、駆動プ−リ13の左右幅を狭くして該駆動プ−リ13の有効径を大きくすると共に従動プ−リ14の左右幅を広くして該従動プ−リ14の有効径を小さくする。逆に、低速で伝動するときには、駆動プ−リ13の左右幅を広くして該駆動プ−リ13の有効径を小さくすると共に従動プ−リ14の左右幅を狭くして該従動プ−リ14の有効径を大きくする。これにより、駆動プ−リ13及び従動プ−リ14の左右幅を共に変更するので、この副変速装置11において、広範囲に変速できるようになっている。
【0016】
エンジン4の上方には操縦席35を設け、該操縦席35の前側にはステアリングハンドル36を設けている。この走行車輌2の後部には昇降リンク機構37を設け、該昇降リンク機構37を介して前記苗植付部3を装着し、油圧ポンプ9からの油圧により油圧切替バルブ38を介して作動する油圧昇降シリンダ39の伸縮により前記苗植付部3が昇降するように構成している。また、該苗植付部3は、前記主ミッションケ−ス12内からの動力がエンジン4の右側方を通過するように設けられた植付伝動軸40により伝動されて作動する構成となっている。尚、前記植付伝動軸40の中途部には植付クラッチケ−ス41を設けており、該植付クラッチケ−ス41に設けた植付クラッチ電磁ソレノイド93の作動により苗植付部3の駆動の入切を行えるようになっている。
【0017】
苗植付部3は、苗載置台42、植付伝動部43及び各条の苗植付装置44を備えて構成され、前記植付伝動軸40の動力が入力される前記植付伝動部43を介して伝動され作動する構成となっている。苗植付部3の下部には中央部にセンタ−フロ−ト46及び両側部にサイドフロ−ト47を設けており、これらのフロ−ト46,47が圃場面を滑走するようになっている。前記フロ−ト46,47は、それぞれ左右方向の枢支軸48回りに回動自在に取り付けられ、圃場面の凹凸により該フロ−ト46,47の上下方向の傾斜角度が変更されるようになっている。また、前記センタ−フロ−ト46の前部上方にはフロ−ト迎い角検出センサ46aを設けており、このフロ−ト迎い角検出センサ46aにより前記センタ−フロ−ト46の上下方向の傾斜角度が検出されるようになっている。そして、前記フロ−ト迎い角検出センサ46aの検出値に基づいて油圧切替バルブ38を作動させ、苗植付部3を下降させた状態で前記センタ−フロ−ト46の迎い角が所定値となるように苗植付部3を昇降制御し、苗植付部3が圃場面から所定の高さに維持されるようにしている。
【0018】
前記苗載置台42は、上部を苗載置台支持ロ−ラ54、下部を左右移動ガイド板55により左右移動可能に支持されている。そして、苗植付部3は、苗植付装置44の作動に伴って、苗載置台42が固着された苗載置台左右移動棒56を左右移動させて苗載置台42を左右移動させ、マット状の苗を苗植付装置44により一株づつ掻き取る構成となっている。尚、前記左右移動ガイド板55には、苗植付装置44の苗掻き取り口55aを設けている。従って、苗載置台42は、左右移動により苗植付装置44が苗を取り出す苗取出位置55aに一株分づつ苗を供給する苗供給装置となっている。尚、苗植付装置44が苗を取り出すときに苗載置台42の左右移動速度が遅くなるように植付伝動部43に備える苗供給変速部(図示せず)により苗載置台左右移動棒56を不等速に左右移動させる構成となっており、苗植付装置44の苗取出周期と同周期で苗載置台42の左右移動速度が不等速に変速されるようになっている。
【0019】
苗載置台42には、各条に苗送りベルト57を設けている。各条の前記苗送りベルト57は、下側の駆動ロ−ラ58と上側の従動ロ−ラ59とに巻回されている。苗載置台42の左右移動終端において、植付伝動部43からの動力により、前記駆動ロ−ラ58が所定量回転して苗送りベルト57がマット状の苗を苗植付装置44側に所定量づつ順次移送する構成となっている。
【0020】
苗植付装置44は、植付伝動部43の植付伝動フレ−ム43aの後端部から出力され機体の走行速度に比例して一定速度で回動する苗植付装置駆動軸60の駆動により回転駆動する回転ケ−ス61と該回転ケ−ス61の両端部にそれぞれ装着された苗植付具62とを備えて構成され、該苗植付具62が前記苗掻き取り口55a上の苗を掻き取り、掻き取った苗を圃場に植え付けていくようになっている。
【0021】
また、苗植付部3の左右両端部には、それぞれ隣接する後作業行程の走行路の中央となる圃場内の地面に線引きをする線引きマ−カ90を設けている。この線引きマ−カ90は、線引きマ−カモータ91を駆動して該マ−カ90を先端部に取り付けたマーカアーム92を回動させることにより、地面に接地する線引き状態と地面から浮上した非線引き状態とに切り替えられる。
【0022】
ところで、走行車輌2の操縦席35前側のステップ部75bには有段操作される株間変速レバ−63を設けており、この株間変速レバ−63により走行車輌2の走行速度に対する苗植付部3の作動速度を変速できるようになっている。この株間変速レバ−63により、植付作業者が圃場に移植する苗の植付株間を設定できるようになっている。従って、前記株間変速レバ−63を操作しない限り、走行速度に比例した速度で前記苗植付部3が作動するようになっている。尚、主ミッションケース12内にはギヤの噛み合いを変更して変速する株間変速部12aを設けており、前記株間変速レバー63を操作することにより前記株間変速部12aの変速操作を行う構成となっている。
【0023】
また、走行車輌2において、ステアリングハンドル36の左側には有段変速可能な主変速レバ−64を設けており、該レバ−64の操作により主ミッションケ−ス12内のギヤの噛み合いを変更して前進で高速となる「路上走行速」位置、通常植付作業時に使用する前進で低速となる「植付作業速」位置、走行車輌2を後進させる「後進」位置及び前輪16、後輪20並びに苗植付部3への伝動を断つ「中立」位置に切り替えるようになっている。
【0024】
図5及び図6に基づいて副変速電動シリンダ65から副変速装置11への操作連繋構成について説明すると、副変速電動シリンダ65の作動により、副変速電動シリンダ65に連結した操作ロッド68及び該操作ロッド68の他端側に連結された変速操作ア−ム69を介して左右方向に延びる変速軸70が回動する。変速軸70が回動すると該軸70と一体で回動する変速作動ア−ム71が回動し、該変速作動ア−ム71と駆動プ−リ13の駆動側変速操作カム26の第一ア−ム部26bとを連結する変速ロッド28が前後移動し、駆動プ−リ13及び従動プ−リ14の左右幅を変更して変速する構成となっている。尚、前記変速ロッド28はロックナット28aを弛めて回動させることによりロッド長が変更されるタ−ンバックル式に構成され、前記変速ロッド28のロッド長を変更調節することにより副変速電動シリンダ65の操作位置と副変速装置11の変速比との対応関係を調節するようになっている。また、前記変速軸70の左端には該変速軸70と一体で回動する変速位置決めプレ−ト72を設け、該変速位置決めプレ−ト72の外周に連設される複数の位置決め溝72aにそれぞれ係合する位置決めロ−ラ73を設けており、副変速装置11の変速において複数段に有段変速する構成としている。尚、前記位置決めロ−ラ73は、位置決めロ−ラア−ム73aの回動先端部に設けられると共に前記位置決めロ−ラア−ム73aに設けた引張スプリング73bにより変速位置決めプレ−ト72側に付勢されている。これらの変速位置決めプレ−ト72、位置決めロ−ラ73及び引張スプリング73b等により、副変速装置11の伝動における負荷による低速側への自動戻りを防止している。
【0025】
エンジン4の回転数は該エンジン4のガバナ101により調節されるが、このガバナ101はスロットル用電動シリンダ102の作動により操作され、スロットル用電動シリンダ102の作動によりエンジン4の回転数が変更される構成となっている。
【0026】
主ミッションケ−ス12内には主クラッチ(図示せず)を設けており、この主クラッチは、主クラッチ電動シリンダ77の作動により操作され、走行車輪16,20及び苗植付部3への動力を断つことができる。
ステアリングハンドル36の右側にはエンジン4の回転数を調節できるスロットルレバ−76を設け、該レバ−76を前後方向に操作してエンジン4の設定回転数を調節して所望の位置で保持できるようになっている。尚、ステアリングハンドル36の下方の右側にはアクセルペダル103を設けており、該アクセルペダル103の踏み込み操作によりその踏み込み量が大きくなるほどエンジン4の設定回転数が増大する構成となっている。アクセルペダル103は、オペレ−タが踏み込み操作していないときはスロットルレバ−76の操作位置に対応する位置に連動して操作されており、それ以上に踏み込み操作したときだけエンジン4の設定回転数を一時的に増大できる構成となっている。ステアリングハンドル36の下方の右側には、左右の後輪20をそれぞれ制動するためのブレ−キペダル78を設けている。尚、ステアリングハンドル36の下方近傍には、モニタ−パネル100を設けている。
【0027】
操縦席35の右側には、油圧切替バルブ38の油路を切り替えて苗植付部3の昇降操作と植付クラッチ電磁ソレノイド93を作動させて苗植付部3の駆動の入切操作とが行える植付昇降レバ−104を設けている。該植付昇降レバ−104の更に右側には、副変速電動シリンダ65を作動させて副変速装置11を変速操作する副変速レバ−105を設けている。該副変速レバ−105は、停止位置から最高速位置まで変速操作できる構成となっている。
【0028】
ステアリングハンドル36の下方の左側には主クラッチペダル106を設けており、この主クラッチペダル106の踏み込み操作により主クラッチ電動シリンダ77を作動させて主クラッチにより動力を断ち機体の走行を停止操作する構成となっている。尚、前記副変速レバ−105を停止位置に操作しても、主クラッチ電動シリンダ77を作動させて主クラッチにより動力を断つ構成となっている。
【0029】
アクセルペダル103、主変速レバ−64及び副変速レバ−105には、それぞれのペダル又はレバ−の操作位置を検出するアクセルペダルセンサ103a、主変速レバ−センサ64a及び副変速レバ−センサ105aを設けている。また、主クラッチペダル106の踏み込み操作を検出する主クラッチペダルセンサ106aを設けている。副変速電動シリンダ65、スロットル用電動シリンダ102及び主クラッチ電動シリンダ77には、それぞれのシリンダの作動位置を検出する副変速電動シリンダセンサ65a、スロットル用電動シリンダセンサ102a及び主クラッチ電動シリンダセンサ77aを設けている。そして、これらのセンサ65a,102a,77aの検出値が制御部107へ入力され、該制御部107から副変速電動シリンダ65、スロットル用電動シリンダ102及び主クラッチ電動シリンダ77へ出力信号を発する構成となっている。
【0030】
ところで、モニタ−パネル100の近傍にはスロットル連動入切スイッチ108を設けており、このスロットル連動入切スイッチ108からの信号が制御部107へ入力される構成となっている。該スロットル連動入切スイッチ108が「切」状態のときは、スロットルレバ−76又はアクセルペダル103の操作位置を検出するアクセルペダルセンサ103aの検出値に対応してスロットル用電動シリンダセンサ102aが所望の検出値となるようにスロットル用電動シリンダ102を作動させ、スロットルレバ−76又はアクセルペダル103の操作位置に対応する回転数にエンジン4のガバナ101を設定する。また、副変速レバ−センサ105aの検出値に対応して副変速電動シリンダセンサ65aが所望の検出値となるように副変速電動シリンダ65を作動させ、副変速レバ−105の操作位置に対応する変速比に副変速装置11を設定する。尚、副変速レバ−105を停止位置に操作したときは、副変速装置11を最低速に設定すると共に、主クラッチ電動シリンダセンサ77aの検出に基づいて主クラッチ電動シリンダ77を作動させ、主クラッチにより動力を断つ。また、主クラッチペダルセンサ106aにより主クラッチペダル106が踏み込み操作されていることを検出すると、主クラッチ電動シリンダセンサ77aの検出に基づいて主クラッチ電動シリンダ77を作動させ、主クラッチにより動力を断つ。
【0031】
一方、スロットル連動入切スイッチ108が「入」状態のときは、副変速レバ−センサ105aの検出値に対応して、副変速電動シリンダ65を作動させると共にスロットル用電動シリンダ102を作動させ、副変速レバ−105の操作によりエンジン4の回転数及び副変速装置11の変速比を連動して共に設定変更する状態となる。このとき、副変速レバ−センサ105aの検出値に対応するエンジン4の設定回転数よりアクセルペダルセンサ103aの検出値に対応するエンジン4の設定回転数が高いときは、アクセルペダルセンサ103aの検出値に対応してスロットル用電動シリンダ102を作動させ、スロットルレバ−76又はアクセルペダル103の操作位置に対応するエンジン回転数に設定する。尚、副変速レバ−105を停止位置に操作したときは、エンジン回転数をアイドリング回転(最低速)(スロットルレバ−76あるいはアクセルペダル103がアイドリング回転(最低速)以外の操作位置に操作されているときは、該レバ−76あるいはペダル103の操作位置に対応するエンジン回転数)に設定し、副変速装置11を最低速に設定すると共に、主クラッチ電動シリンダ77を作動させ、主クラッチにより動力を断つ。また、主クラッチペダルセンサ106aにより主クラッチペダル106が踏み込み操作されていることを検出すると、主クラッチ電動シリンダ77を作動させて主クラッチにより動力を断つと共に、エンジン回転数をアイドリング回転(又は、上述と同様にスロットルレバ−76あるいはアクセルペダル103の操作位置に対応するエンジン回転数)に設定し、その後主クラッチペダルセンサ106aにより主クラッチペダル106の踏み込みが解除されたことを検出すると、主クラッチ電動シリンダ77を作動させて主クラッチを伝動状態にすると共に、主クラッチペダル106の踏み込みが解除されてから所定時間後(2秒程度)にエンジン回転数を上述の副変速レバ−センサ105aの検出値に対応する回転数に復帰させる。
【0032】
スロットル連動入切スイッチ108が「入」状態のとき、副変速レバ−センサ105aの検出値と副変速装置11の変速比との関係は、図8に示すように、副変速レバ−105の停止位置近傍では該レバ−105を操作しても副変速装置11の変速比は一定に維持されており、副変速レバ−105を所定位置より高速側に操作するにつれて副変速装置11の変速比が増大するようになっている。尚、副変速レバ−センサ105aの検出値とエンジン4の設定回転数との関係は、図9に示すように、副変速レバ−105を停止位置から高速側に操作するにつれて比例的にエンジン4の設定回転数が高速側に設定されるようになっている。また、副変速レバ−センサ105aの検出値が増速側に変化したときは、エンジン4の設定回転数は即座に副変速レバ−センサ105aの検出値に対応する回転数に設定されるが、副変速レバ−センサ105aの検出値が変化してから所定時間後(2秒程度)に副変速装置11が遅れて副変速レバ−センサ105aの検出値に対応する変速比に設定される。また、図9に示すように、主変速レバ−センサ64aにより主変速レバ−64が「後進」位置にあることを検出すると、機体を前進させる「路上走行速」位置及び「植付作業速」位置に主変速レバ−64が位置しているときと比較して、副変速レバ−105の操作位置に対するエンジン4の設定回転数が低く設定され、副変速レバ−105の高速側への操作に伴うエンジン4の設定回転数の変化割合が小さく設定されている。
【0033】
以上により、この乗用型の田植機1の走行車輌2は、原動機であるエンジン4の動力を副変速装置11を介して走行装置である前輪16及び後輪20へ伝動すると共に、前記エンジン4の駆動速度すなわち回転数及び前記副変速装置11の伝動比を連動して共に変更する副変速レバ−105を設け、前記副変速レバ−105の操作により走行停止状態に設定できる構成とすると共に、スロットル連動入切スイッチ108が「入」状態のとき、走行停止状態から機体を発進させる副変速レバ−105の停止位置近傍の発進操作域における増速操作時、副変速装置11の伝動比のみが操作前の所定値に保持される構成としている。
【0034】
従って、この走行車輌2は、副変速レバ−105の操作によりエンジン4の回転数及び副変速装置11の伝動比が連動して共に変更されることにより、前輪16及び後輪20の回転速度を変更して走行速度を変更する。また、副変速レバ−105の操作により、前輪16及び後輪20の回転を停止させて走行停止状態にすることができる。そして、停止位置から機体を発進させるべく副変速レバ−105を増速操作すると、副変速装置11の伝動比のみが所定値に保持され、エンジン4の回転数が増速側に変更されることで走行速度が増速され、走行速度を緩やかに増速させることができる。
【0035】
よって、この走行車輌2は、副変速レバ−105の操作でエンジン4の回転数と副変速装置11の伝動比とを連動して共に変更すると共に、副変速レバ−105の操作により走行停止状態にすることができるので、走行停止状態も含めた走行速度の変速操作を副変速レバ−1本だけで簡単に行えて操作性の向上を図ることができる。そして、副変速レバ−105を操作して走行停止状態から機体を発進させるときは走行速度が緩やかに増速するので、オペレ−タの意図に反して急激に増速されて急発進するのを防止し、搭乗するオペレ−タが機外に振り落されたりすることを防止し、安全性の向上を図ることができる。
【0036】
また、この走行車輌2は、副変速レバ−105の増速操作開始時、副変速装置11の伝動比のみが所定時間後(2秒程度)に遅れて副変速レバ−105位置に対応する伝動比に設定変更され、この設定変更されるまでは副変速装置11の伝動比のみが所定値に保持される構成となっている。従って、この走行車輌2は、副変速レバ−105を増速操作すると、副変速装置11の伝動比が所定値に保持されたままでエンジン4の回転数が増速側に変更されることで走行速度が増速され、走行速度を緩やかに増速させることができる。よって、この走行車輌2は、副変速レバ−105を操作して走行速度を増速させるときは緩やかに増速するので、オペレ−タの意図に反して急激に増速されるのを防止し、搭乗するオペレ−タが機外に振り落されたりすることを防止し、安全性の向上を図ることができる。
【0037】
このように、変速レバ−105の操作によりエンジン4の回転数及び変速装置11の伝動比が連動して共に変更されるものにおいて、機体発進時も含めて変速レバ−105を増速操作に伴って変速装置11の伝動比を所定値に保持したままで原動機であるエンジン4の回転数を増速側に変更することにより、走行停止状態も含めた幅広い変速域の走行速度の変速操作を変速レバ−1本だけで簡単に行えて操作性の向上を図ることができると共に、エンジン4の回転数を先に増速側に変更して該エンジン4の出力を上昇させることで走行負荷に対して動力(駆動トルク)が不足してエンジン4が停止するようなことを防止でき、円滑に増速させることができる。仮に、エンジンの回転数を所定値に保持したままで変速装置の伝動比を増速側に変更する構成とすると、先に変速装置の伝動比を増速側に変更することで機体の走行における駆動力(駆動トルク)が低下し、エンジンの出力不足によりエンジンが停止するおそれがある。また、エンジンの回転数に拘らずベルト式変速装置の駆動プ−リ13及び従動プ−リ14の左右幅を強制的に変更することになるので、エンジンの回転数が低いとき等に変速装置の変速操作抵抗が過大になるおそれがあり、メカロックを生じて副変速電動シリンダ65あるいはその周辺の変速操作機構が破損するおそれがある。
【0038】
また、スロットル連動入切スイッチ108が「入」状態のとき、走行装置である前輪16及び後輪20の回転を停止する停止操作具となる主クラッチペダル106又は変速レバ−105により停止操作すると、エンジン回転数を低速側のアイドリング回転(又は、スロットルレバ−76あるいはアクセルペダル103の操作位置に対応するエンジン回転数)に変更設定するので、田植機1あるいは苗植付部3への苗補給作業時等の走行停止時に無闇にエンジン回転数が高速側へ設定されず、走行停止時の騒音を抑えることができる。そして、停止操作具となる主クラッチペダル106の踏み込みを解除して走行させるとき、主クラッチ電動シリンダ77を作動させて主クラッチを伝動状態にすると共に、主クラッチペダル106の踏み込みが解除されてから所定時間後(2秒程度)にエンジン回転数を変速レバ−105の操作位置に対応する回転数に復帰させるので、走行開始時にはエンジン回転が低速側に保持されているため、機体を発進させるときは走行速度が緩やかに増速し、オペレ−タの意図に反して急激に増速されて急発進するのを防止し、搭乗するオペレ−タが機外に振り落されたりすることを防止し、安全性の向上を図ることができる。仮に、停止操作具となる主クラッチペダルの停止操作により変速装置の伝動比を低速側に変更し、該主クラッチペダルの踏み込みの解除により変速装置の伝動比を高速側に復帰させる構成とすると、エンジンの回転数に拘らずベルト式変速装置の駆動プ−リ13及び従動プ−リ14の左右幅を強制的に変更することになるので、エンジンの回転数が低いとき等に変速装置の変速操作抵抗が過大になるおそれがあり、メカロックを生じて副変速電動シリンダ65あるいはその周辺の変速操作機構が破損するおそれがある。
【0039】
また、スロットル連動入切スイッチ108を「切」状態にすると、スロットルレバ−76あるいはアクセルペダル103の操作によりエンジン回転数を設定し、変速レバ−105の操作により変速装置11の変速比を変更できるので、例えば圃場の耕盤深さや硬軟の圃場条件等に対応するべくエンジン回転数と変速装置11の変速比とをそれぞれ別個に設定することができ、玄人のオペレ−タにとって使い勝手の良い変速操作形態を得ることができる。このとき、右足でアクセルペダル103を操作してエンジン回転数を設定しながら右手で変速レバ−105を操作して変速装置11の変速比を同時に設定することができるので、それぞれの設定をオペレ−タの好みに応じてあるいは必要に応じて逐次変更しながら行うことができ、操作性が向上する。
【0040】
また、スロットル連動入切スイッチ108が「入」状態のときにも、スロットルレバ−76あるいはアクセルペダル103の操作によりエンジン回転数を変速レバ−105位置に対応する回転数より高速側に増速することができるので、単一の変速レバ−105によりエンジン回転数と変速装置11の変速比とを連動させて変更できる構成でありながら、走行駆動力(駆動トルク)が不足するときには必要に応じてエンジン回転数を増速でき、エンジン4の出力不足ひいてはエンジン4の停止を防止することができる。
【0041】
また、主変速レバ−64が「後進」位置に操作される後進時には、前進時と比較して、副変速レバ−105の操作位置に対するエンジン4の設定回転数が低く、且つ副変速レバ−105の高速側への操作に伴うエンジン4の設定回転数の変化割合が小さく設定されているので、副変速レバ−105を同じ操作位置に操作しても前進時と比較して遅い速度で走行でき、しかも副変速レバ−105の増速操作に伴う変速量が前進時と比較して小さくなるために後進時に副変速レバ−105の操作で急激に加速されるようなことを防止し、後進時の安全性を向上することができる。無論、上記の構成に代えて、後進時には、副変速レバ−105の操作位置に拘らず、副変速装置11の変速比が低速側で一定となるようにしてもよい。あるいは、後進時には、前進時と比較して、副変速レバ−105の操作位置に対する副変速装置11の変速比が低速側で、且つ副変速レバ−105の高速側への操作に伴う副変速装置11の変速比の変化割合が小さく設定されたものとしてもよい。また、後進時は、エンジン4の設定回転数と副変速装置11の変速比とが共に前進時とは異なる構成としてもよい。
【0042】
尚、上記の副変速装置11はベルト式の変速装置について詳述したが、副変速装置11として前後進無段変速可能な油圧式の無段変速装置を使用してもよい。この油圧式の無段変速装置を使用するとき、副変速レバ−105のレバ−操作パタ−ンは、図10に示すようにクランク状の操作経路となり、操作経路における前後方向中途部のクランク部が油圧式の無段変速装置がその出力軸を停止させる停止位置となり、該停止位置から前側へ操作するほど高速となる「前進」位置と「中立」位置から後側へ操作するほど高速となる「後進」位置とを備えている。従って、このときは、主変速レバ−64の「後進」位置が不要となり、上述の主変速レバ−センサ64aの代わりに副変速レバ−105を「後進」位置へ操作したことを検出するにあたり、副変速レバ−センサ105aにて検出するか格別に後進位置センサ(図示せず)を設けるとよい。そして、後進時には、前進時と比較して、例えば、副変速レバ−105の停止位置からの操作位置に対するエンジン4の設定回転数を低く設定し、副変速レバ−105の高速側への操作量に対するエンジン4の設定回転数の変化割合が小さく設定すればよい。
【0043】
尚、図11に示す走行車輌2は、変速装置として前輪16を駆動する前輪用油圧モ−タ110と後輪20を駆動する後輪用油圧モ−タ111とを設け、これらの油圧モ−タ110,111がエンジン4の動力により駆動する油圧ポンプ9からの油圧により駆動する構成としている。そして、後輪用油圧モ−タ111の出力で植付伝動軸40を駆動し後側の苗植付部3へ伝動する構成となっている。このときも、副変速レバ−105の操作により両油圧モ−タ110,111の出力回転を変更して前後進無段変速する構成とすればよい。尚、前輪用油圧モ−タ110を左右一対の前輪16の間に配置し、後輪用油圧モ−タ111を左右一対の後輪20の間に配置しているので、それぞれの油圧モ−タ110,111から前輪16あるいは後輪20へ伝動する前輪伝動ケ−ス112及び後輪伝動ケ−ス113をコンパクトに構成でき、ひいては機体全体の軽量化を図ることができる。また、植付伝動軸40を苗植付部3から近い後輪用油圧モ−タ111の出力で駆動する構成としているので、植付伝動軸40を短くできると共に、苗植付部3への伝動構造を簡単に構成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】乗用型の田植機の側面図
【図2】乗用型の田植機の平面図
【図3】走行車輌の一部を示す平面図
【図4】副変速装置を示す一部展開した平面部分断面図
【図5】副変速装置への操作連繋構成を示す側面図
【図6】副変速装置への操作連繋構成を示す平面図
【図7】ブロック図
【図8】副変速レバ−位置と副変速装置の変速比との関係を示す図
【図9】副変速レバ−位置とエンジン回転数との関係を示す図
【図10】前後進無段変速可能な副変速レバ−を示す図
【図11】異なる走行車輌の一部を示す平面図
【符号の説明】
1…田植機、2…走行車輌、3…苗植付部、4…エンジン、9…油圧ポンプ、11…副変速装置、16…前輪、20…後輪、40…植付伝動軸、100…モニターパネル、103…アクセルペダル、105…副変速レバー、108…スロットル連動入切スイッチ、110…前輪用油圧モータ、111…後輪用油圧モータ
Claims (2)
- 原動機(4)の動力を変速装置(11)を介して左右の前輪(16)及び左右の後輪(20)へ伝動する走行車輌(2)を備え、モニターパネル(100)の近傍にはスロットル連動入切スイッチ(108)を設け、
該スロットル連動入切スイッチ(108)を入状態に設定しているときは、変速レバー(105)の操作に基づいて前記原動機(4)の駆動速度及び前記変速装置(11)の伝動比を連動して共に変更し、スロットル連動入切スイッチ(108)を切状態に設定しているときは、アクセルペダル(103)の操作に基づいて原動機(4)の駆動速度を変更すると共に変速レバー(105)の操作に基づいて変速装置(11)の伝動比を変更する構成とし、
スロットル連動入切スイッチ(108)を入状態に設定しているとき、前記変速レバー(105)の増速操作開始時に、変速装置(11)の伝動比が所定値に保持される構成とすると共に、後進時には、変速レバー(105)の操作位置に対する原動機(4)の設定回転が前進時の原動機(4)の設定回転よりも低く、且つ変速レバー(105)の操作に伴う原動機(4)の設定回転数の変化が前進時の原動機(4)の設定回転数の変化よりも小さく設定され、変速レバー(105)の操作位置に対応する原動機(4)の設定回転数よりもアクセルペダル(103)の操作位置に対応する原動機(4)の設定回転数が高い場合は、アクセルペダル(103)の操作位置に対応する原動機(4)の設定回転数に設定し、停止操作具(105,106)を停止操作すると、原動機(4)の回転数をアクセルペダル(103)の操作位置に対応する回転数に変更設定し、停止操作具(105,106)の停止操作を解除してから所定時間後に変速レバー(105)の操作位置に対応する原動機(4)の回転数に復帰させる構成とした田植機。 - 変速装置として、前輪(16)を駆動する前輪用油圧モータ(110)と、後輪(20)を駆動する後輪用油圧モータ(111)とを設け、該前輪用油圧モータ(110)及び該後輪用油圧モータ(111)を駆動する油圧ポンプ(9)を設け、該油圧ポンプ(9)を原動機(4)の動力により駆動する構成とし、前輪用油圧モータ(110)を左右の前輪(16)の間に配置し、後輪用油圧モータ(111)を左右の後輪(20)の間に配置し、後輪用油圧モータ(111)の出力で駆動する植付伝動軸(40)により、後側の苗植付部(3)へ伝動する構成とした請求項1に記載の田植機。
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