JP4606578B2 - 軒樋伸縮継手 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、温度差による軒樋の伸縮を吸収できる軒樋伸縮継手に関し、特に、雨の止んだ後に雨水が滴下しないように改良した軒樋伸縮継手に関する。
【0002】
【従来の技術】
軒樋伸縮継手には種々のタイプのものがあるが、その一つとして、本出願人は図12に示す構造の軒樋伸縮継手を既に出願した(特願平11-340997号)。
【0003】
この軒樋伸縮継手は、横断面略U字状の外カバー1の内側に、軒樋6を接続する二個の継手部材2,3を摺動可能に嵌装して、双方の継手部材2,3を横断面略U字状の伸縮自在な水密性の蛇腹状の伸縮体4で連結し、伸縮体被覆用の横断面略U字状の内カバー5をいずれか一方の継手部材2又は3(図例では継手部材3)に取付けたものである。
【0004】
かかる軒樋伸縮継手は、温度変化により軒樋6,6が伸縮すると、それに追従して双方の継手部材2,3が外カバー1の内側で摺動するため、軒樋6,6の伸縮を吸収することができ、しかも、水密性の伸縮体4で双方の継手部材2,3を連結しているため、軒樋6,6を流れる雨水が双方の継手部材2,3の間から漏れ出すのを防止できるといった利点を有する。しかしながら、この軒樋伸縮継手には、まだ次のような解決すべき課題が残されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
即ち、上記の軒樋伸縮継手は、伸縮体4の上端と外カバー1との隙間から雨水が伸縮体4の裏側の内部空間8(双方の継手部材2,3の対向する端面と外カバー1の内底面と伸縮体4とで囲まれる内部空間8)に侵入しやすく、特に、大雨のときや風雨の強いときには、かなりの量の雨水が侵入する。けれども、双方の継手部材2,3の外底面(双方の継手部材の底壁部2c,3cの下面)と外カバー1の内底面(外カバーの底壁部1aの上面)との間の隙間が小さく、実質的に面接触に近い状態であるため、内部空間8に侵入した雨水は上記隙間を通ってスムーズに排出されることなく内部空間8に貯溜され、この貯溜された雨水が、雨の止んだ後に上記隙間を通って外カバー1の両端から滴下したり、外カバー1の外底面に回り込んで滴下するという問題があった。
【0006】
このように、雨の止んだ後に軒樋伸縮継手から滴下する雨水が頭や顔にかかると不快であり、また、雨水が外カバー1の外底面に回り込んで滴下する場合は、雨水の回り込んだ痕跡が残って汚らしく見えるので、上記の問題を解決することは重要である。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであって、雨の止んだ後に雨水が滴下したり、外カバーの外底面に回り込んだりすることのない軒樋伸縮継手を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に係る軒樋伸縮継手は、外カバーの内側に、軒樋を接続する二個の継手部材を摺動可能に嵌装して、双方の継手部材を伸縮自在な水密性の伸縮体で連結し、伸縮体被覆用の内カバーをいずれか一方の継手部材に取付けた軒樋伸縮継手において、双方の継手部材の外底面と外カバーの内底面との間に、双方の継手部材の対向する端面と外カバーの内面と伸縮体とで囲まれる内部空間に侵入した雨水を排出させる排水間隙を、外カバーの内底面又は双方の継手部材の外底面に長手方向に延びる凸条又は突起を設けることによって形成したことを特徴とするものである。
【0009】
このような軒樋伸縮継手は、内部空間に侵入した雨水を、継手部材の外底面と外カバーの内底面との間に、外カバーの内底面又は双方の継手部材の外底面に長手方向に延びる凸条又は突起を設けることによって形成した排水間隙を通じてスムーズに排出させることができるので、内部空間に雨水が溜まることはなく、従って、雨の止んだ後に雨水が外カバーの両端から滴下することはない。
【0011】
また、本発明の請求項2に係る軒樋伸縮継手は、上記請求項1の継手において、双方の継手部材の対向する端面に、内部空間に侵入した雨水の排出口となる切欠部を形成したことを特徴とするものである。
【0012】
このような軒樋伸縮継手は、内部空間に侵入した雨水が切欠部から排水間隙へスムーズに流出するため、排水効率が一層向上し、内部空間に雨水が溜まるのをより確実に防止することができる。
【0013】
更に、本発明の請求項3に係る軒樋伸縮継手は、上記請求項1又は2の継手において、外カバーの長手方向両端の外底面に、下方に突き出す水切り凸部を形成したことを特徴とするものである。
【0014】
このような軒樋伸縮継手は、外カバーの長手方向両端から排出される雨水が水切り凸部から落下して外カバーの外底面へ回り込まないため、雨水の回り込む痕跡によって外カバーの外底面が汚れるのを防止することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳述する。
【0016】
図1は本発明の一実施形態に係る軒樋伸縮継手の斜視図、図2は同軒樋伸縮継手の縦断面図、図3は双方の継手部材の間隔が最大となった状態の同軒樋伸縮継手の縦断面図、図4は図3のA−A線横断面図、図5は同軒樋伸縮継手の外カバーと位置決め具の斜視図、図6は同軒樋伸縮継手の一方の継手部材の斜視図、図7は同軒樋伸縮継手の他方の継手部材の斜視図、図8は同軒樋伸縮継手の伸縮体の斜視図、図9は同軒樋伸縮継手の内カバーの斜視図、図10は同軒樋伸縮継手の内カバーを分離し外カバーを透して双方の継手部材と伸縮体を斜めから見た透視図、図11は位置決め具の取付け状態を示す側面図である。
【0017】
この軒樋伸縮継手は、図1〜図3に示すように、外カバー1の内側に二個の継手部材2,3を摺動可能に嵌装して、双方の継手部材2,3を伸縮自在な水密性の伸縮体4で連結し、伸縮体被覆用の内カバー5を一方の継手部材3に取付けたものであって、軒樋6,6を双方の継手部材2,3に差込み接続して使用する前は、図1、図2に示すように、外カバー1に取付けた位置決め具7によって双方の継手部材2,3が外カバー1内の適正な位置に位置決めされている。
【0018】
外カバー1は、塩化ビニル樹脂、AAS(アクリロニトリル−アクリロニトリルゴム−スチレン)樹脂、AS(アクリル−スチレン)樹脂、PC(ポリカーボネート)樹脂などの熱可塑性樹脂にて成形されたものであって、図4に示すように、底壁部1aから立上がる前壁部1bの上端と後壁部1cの上端には、継手部材2,3の耳押え部を押さえる略L字形の押え部1dと略コ字形の押え部1eが形成されている。そして、継手部材2,3の形状に対応するように、前壁部1bが少し後側へ彎曲傾斜して後壁部1cより高く形成され、前壁部1bの途中には段部1fが形成されている。
【0019】
この外カバー1の内底面、つまり底壁部1aの上面には、長手方向に延びる複数(4つ)の凸条1kが間隔をおいて平行に形成されており、この凸条1kのうち外カバー1の前側と後側の2つの凸条1kは長手方向全長に亘って形成されている。また、外カバー1の内底面には突起1g,1hが長手方向に対向して2つずつ形成されており、これらの突起1gと突起1hの間の内底面には凸条1kが形成されていない。この凸条1kは、後述するように、外カバー1の内底面と継手部材2,3の外底面との間に排水間隙を形成するスペーサの役目を果たすものであり、また、突起1g,1hは、後述するように双方の継手部材2,3が一定の間隔以上に離反して外カバー1から抜け出すのを防止するストッパの役目を果たすものである。
【0020】
この外カバー1の長手方向両端の外底面、つまり長手方向両端の底壁部1aの下面には、下方に突き出す水切り凸部1mが形成されている。この水切り凸部1mは、後述するように、外カバー1の内底面と継手部材2,3の外底面との間の排水間隙から排出される雨水を落下させて外カバー1の外底面に回り込まないようにするものである。
【0021】
この外カバー1の前壁部1b上端の押え部1dには、位置決め具7を継手部材2,3の摺動方向に移動しないように係合させる一対の凸部1i,1iが形成されており、後述するように、位置決め具7が凸部1i,1iの間に嵌まり込んだ状態で移動不能に係合して脱着自在に取付けられるようになっている。そして、これらの凸部1i,1iの内側には、位置決め具7の係合片7a,7bの略直角屈曲部がそれぞれ嵌まり込む凹部1j,1jが形成されている。
【0022】
この外カバー1に摺動可能に嵌装される継手部材2,3は、外カバー1と同様の熱可塑性樹脂にて成形されたものであって、片方の継手部材2は、図6に示すように軒樋接続部2aに長い略U字状の溝型部2bが一体形成されており、もう一方の継手部材3は、図7に示すように軒樋接続部3aに短い略U字状の溝型部3bが一体形成されている。
【0023】
継手部材2の軒樋接続部2aは、軒樋6の形状に対応するように、底壁部2cから立上がる前壁部2dを少し後側へ彎曲傾斜させて後壁部2fよりも高く形成し、その途中に段部2eを設けると共に、前壁部2dの上端と後壁部2fの上端に、軒樋6の耳部6a,6bを押さえる略L字形の耳押え部2gと略コ字形の耳押え部2hを形成したものであって、この軒樋接続部2aの内側には軒樋6の内面を押さえる押え板2iが設けられている。従って、図2、図3、図6に一点鎖線で示すように、軒樋6の端部が軒樋接続部2aと内側の押え板2iとの隙間部分に差込まれ、軒樋6の前後の耳部6a,6bが耳押え部2g,2hに押えられて、軒樋6が継手部材2に接続されるようになっている。この軒樋接続部2aの耳押え部2g,2hは、端部側の略半分が切り欠かれているため、軒樋6の差込み作業がし易くなっている。
【0024】
継手部材2の略U字状溝型部2bの先端内面には、伸縮体4の端部の2条の凸リブを嵌着するための2条の細溝2j,2jが形成されており、この略U字状溝型部2bの先端外面には、軒樋接続部2aの端部の輪郭と同じ輪郭を有する鍔部2mが形成されている。そして、継手部材2を外カバー1の内側へ嵌装した状態では、この鍔部2mと軒樋接続部2aが外カバー1の内底面の凸条1kに支持されて、継手部材2の外底面と外カバー1の内底面との間に排水間隙9が形成されるようになっている。また、軒樋接続部2aと略U字状溝型部2bとの間には、位置決め具7の一方の係合片7aを係合させる中間板2pが設けられ、この中間板2pの下部中央には水抜き用の凹欠部2qが形成されて、略U字状溝型部2bに雨水が溜まらないようになっている。
【0025】
もう一方の継手部材3の軒樋接続部3aは、上記継手部材2の軒樋接続部3aと左右対称の構造であって、底壁部3cから立上がる前壁部3dが少し後側へ彎曲傾斜して後壁部3fよりも高く形成される共に、その途中に段部3eが設けられており、この前壁部3dの上端と後壁部3fの上端に、軒樋6の耳部6a,6bを押さえる略L字形の耳押え部3gと略コ字形の耳押え部3hが略半分切り欠かれて形成されている。そして、この軒樋接続部3aの内側には、軒樋6の内面を押さえる押え板3iが設けられている。
【0026】
また、この軒樋接続部3aに一体形成された短い略U字状溝型部3bの内面には、伸縮体4の端部の二条の凸リブを嵌着するための二条の細溝3j,3jと、内カバー5の取付用フランジ部5bを嵌合するための嵌合溝3pが設けられている。そして、この略U字状溝型部3bの先端外面には、軒樋接続部3aの端部の輪郭と同じ輪郭を有する鍔部3mが形成されており、継手部材3を外カバー1の内側へ嵌装した状態では、この鍔部3mと軒樋接続部3aが外カバー1の内底面の凸条1kに支持されて、継手部材3の外底面と外カバー1の内底面との間に排水間隙9が形成されるようになっている。
【0027】
双方の継手部材2,3の対向する端面、つまり略U字状溝型部2b,3bの先端の鍔部2m,3mには、排水口となる複数(3つ)の切欠部2s,3sが形成されている。この切欠部2s,3sは、図4に示すように、外カバー1内底面の凸条1kと凸条1kの間を跨ぐように形成されている。
【0028】
図2,図3に示すように、双方の継手部材2,3が外カバー1に嵌装された状態では、外カバー1内底面の一方の突起1gが一方の継手部材2の鍔部2mと軒樋接続部2aの下端との間に位置しており、他方の突起1hは他方の継手部材3の鍔部3mと軒樋接続部3aの下端との間に位置している。従って、双方の継手部材2,3は、その鍔部2m,3mが突起1g,1hにそれぞれ係合するまで互いに離反する方向に摺動可能であり、且つ、その軒樋接続部2a,3aの下端が突起1g,1hにそれぞれ係合するまで互いに接近する方向に摺動可能である。
【0029】
継手部材2,3を連結する伸縮体4は、図8に示すように全体がU字状に形成された合成ゴム等から成る伸縮自在な水密性の蛇腹体であって、この伸縮体4の両端部外面には二条の凸リブ4a,4aがそれぞれ形成されている。そして、この伸縮体4は、図2,図3、図10に示すように、両端部外面の凸リブ4a,4aを双方の継手部材2,3の前記細溝2j,3jに嵌着することによって継手部材2,3に取付けられ、この伸縮体4を介して双方の継手部材2,3が水密的に連結されている。
【0030】
伸縮体4としては、最初からU字状に形成された蛇腹体の他に、平坦な蛇腹シートを用いて、これを組立時に継手部材2,3の細溝2j,3jに嵌着することでU字状となして水密的に連結してもよく、また、蛇腹体ではない伸縮自在な他の柔軟なシートを伸縮体4として用いて、同様に双方の継手部材2,3を水密的に連結してもよい。
【0031】
伸縮体4を被覆保護する内カバー5は、前記の外カバー1と同様の熱可塑性樹脂を用いて、図9に示すように前壁部が後壁部よりも高い略U字状に成形されたものであって、この内カバー5の一端外面には取付用フランジ部5bが形成されており、他端外面にもフランジ部5cが形成されている。そして、前壁部の他端寄りの内面上部には2本のリブ5e,5eが設けられ、位置決め具7の一方の係合片7aを係合させる溝部5dが該リブ5e,5eの間に形成されている。
【0032】
この内カバー5は、図2,図3に示すように、一端の取付用フランジ部5bを一方の継手部材3の嵌合溝3pに嵌合して取付けられており、他端のフランジ部5cは、もう一方の継手部材2の略U字状溝型部2bの内底面に近接して、ゴミ等が伸縮体4の方へ入り込まないようになっている。
【0033】
位置決め具7は、前述した外カバー1と同様の熱可塑性樹脂で射出成形されたものであって、図5に示すように、略直角に屈曲した形状の2つの係合片7a,7bと、これらの係合片7a,7bの後面に形成された係止爪7d,7dと、挟持片7cとを備えており、図5,図11に示すように、一方の係合片7aは、前記内カバー5の溝部5dに係合させたとき、その下端部が溝部5dの底面に沿うように斜め前方へ「く」字状に屈曲されている。そして、挟持片7cの下端部も斜め後方へ「く」字状に屈曲され、この位置決め具7を取り外すときに指が該屈曲下端部に引掛かりやすいようになっている。
【0034】
この位置決め具7は、図1,図2,図11に示すように、挟持片7cと双方の係合片7a,7bとで外カバー1の前壁部1bの上端部を弾性的に挟み込み、双方の係合片7a,7bの係止爪7d,7dを外カバー1上端の押え部1dに上方から係止させることによって取付けられており、該押え部1dに形成した凸部1i,1iの間に位置決め具7が嵌まり込んだ状態で継手部材2,3の摺動方向に移動できないように係合されている。そして、一方の係合片7aの屈曲下端部が、一方の継手部材3に取付けられた内カバー5の溝部5dに係合され、他方の係合片7bが他方の継手部材2の中間板2pに係合されている。
【0035】
以上のような構成の軒樋伸縮継手は、位置決め具7の一方の係合片7aが一方の継手部材3に取付けられた内カバー5の溝部5dに係合して位置決め具7と一方の継手部材3が固定関係にあり、また、位置決め具7の他方の係合片7bが他方の継手部材2の中間板2pに係合して位置決め具7と他方の継手部材2が固定関係にあり、更に、位置決め具7が外カバー1上端の凸部1i,1iと係合して位置決め具7と外カバー1が固定関係にあるため、結果的に位置決め具7を介して双方の継手部材2,3と外カバー1が互いに固定され、双方の継手部材2,3が外カバー1内側の適正な位置に位置決めされている。従って、この軒樋伸縮継手は、双方の継手部材2,3を適正な位置に位置決めしたまま軒樋6,6の接続作業を行うことができるので、接続作業が容易である。
【0036】
そして、軒樋接続後、図11に示すように位置決め具7の挟持片7cの屈曲下端部を矢印の方向に指で回すと、位置決め具7を簡単に取り除くことができ、このように位置決め具7を取り除けば、軒樋6,6の伸縮に追従して双方の継手部材2,3が外カバー1内を摺動し、その伸縮を吸収することができる。その場合、双方の継手部材2,3は、既述したように外カバー1の内底面の突起1g,1hによって摺動範囲が規制されるので、軒樋6,6の伸縮によって継手部材2,3のいずれか一方又は双方が外カバー1から外れ落ちたり、伸縮体4が引き裂かれたりする心配はない。
【0037】
また、大雨のときや風雨の強いときに、伸縮体4の上端と外カバー1との隙間から、或は、外カバー1の内底面と継手部材2,3の外底面との間の排水間隙9から、かなりの量の雨水が、双方の継手部材2,3の対向する端面(鍔部2m,3m)と外カバー1の内底面と伸縮体4とで囲まれる内部空間8に侵入しても、侵入した雨水は内部空間8に溜まることなく、双方の継手部材2,3の鍔部2m,3mに形成された排出口となる切欠部2s,3sから、外カバー1の内底面と双方の継手部材2,3の外底面との間の排水間隙9を通じてスムーズに排出され、外カバー1両端の水切り凸部1mから落下する。このように、内部空間8に侵入する雨水は降雨中にスムーズに排出されて内部空間8に溜まることがないので、雨の止んだ後に雨水が外カバー1の両端から頭や顔に滴下して不快感を与えることはなく、また、水切り凸部1mによって雨水が外カバー1の外底面に回り込むのを阻止できるため、雨水の回り込む痕跡によって外カバー1の外底面が汚れるのを防止することができる。
【0038】
内部空間8からの雨水の排出効率を高めるには、外カバー1の内底面の凸条1kの高さを0.4mm以上とし、雨水の表面張力が実質的に作用しない程度の大きいクリアランスを有する排水間隙9を形成することが大切である。排水間隙9の好ましいクリアランスは0.4〜2.0mmであり、更に好ましいクリアランスは0.5〜1.5mmである。
【0039】
尚、上記実施形態の軒樋伸縮継手では、外カバー1の内底面に凸条1kを設けて排水間隙9を形成しているが、これとは逆に、双方の継手部材2,3の外底面に凸条を設けて、外カバー1の内底面と継手部材2,3の外底面との間に排水間隙9を形成するようにしてもよい。更に、凸条1kの他に突起を外カバー1の内底面又は継手部材2,3の外底面に設けてもよい。
【0040】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の軒樋伸縮継手は、双方の継手部材の対向する端面と外カバーの内底面と伸縮体とで囲まれる内部空間に侵入した雨水を、外カバーの内底面と双方の継手部材の外底面との間に形成された排水間隙を通じてスムーズに排出させることができるので、雨水が内部空間に溜まらなくなり、そのため雨の止んだ後に雨水が軒樋伸縮継手から滴下する不都合を解消できるといった効果を奏する。そして、外カバーの長手方向両端に水切り凸部を形成したものは、雨水が外カバーの外底面に回り込むのを阻止できるため、雨水の回り込む痕跡によって外カバーの外底面が汚れるのを防止できるといった効果を併せて奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る軒樋伸縮継手の斜視図である。
【図2】同軒樋伸縮継手の縦断面図である。
【図3】双方の継手部材の間隔が最大となった状態の同軒樋伸縮継手の縦断面図である。
【図4】図3のA−A線横断面図である。
【図5】同軒樋伸縮継手の外カバーと位置決め具の斜視図である。
【図6】同軒樋伸縮継手の一方の継手部材の斜視図である。
【図7】同軒樋伸縮継手の他方の継手部材の斜視図である。
【図8】同軒樋伸縮継手の伸縮体の斜視図である。
【図9】同軒樋伸縮継手の内カバーの斜視図である。
【図10】同軒樋伸縮継手の内カバーを分離し外カバーを通して双方の継手部材と伸縮体を斜めから見た透視図である。
【図11】位置決め具の取付け状態を示す側面図である。
【図12】従来の軒樋伸縮継手の縦断面図である。
【符号の説明】
1 外カバー
1k 凸条
1m 水切り凸部
2,3 継手部材
2m,3m 対向する端面となる鍔部
2s,3s 排出口となる切欠部
4 伸縮体
5 内カバー
8 内部空間
9 排水間隙
Claims (3)
- 外カバーの内側に、軒樋を接続する二個の継手部材を摺動可能に嵌装して、双方の継手部材を伸縮自在な水密性の伸縮体で連結し、伸縮体被覆用の内カバーをいずれか一方の継手部材に取付けた軒樋伸縮継手において、
双方の継手部材の外底面と外カバーの内底面との間に、双方の継手部材の対向する端面と外カバーの内面と伸縮体とで囲まれる内部空間に侵入した雨水を排出させる排水間隙を、外カバーの内底面又は双方の継手部材の外底面に長手方向に延びる凸条又は突起を設けることによって形成したことを特徴とする軒樋伸縮継手。 - 双方の継手部材の対向する端面に、内部空間に侵入した雨水の排出口となる切欠部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の軒樋伸縮継手。
- 外カバーの長手方向両端の外底面に、下方に突き出す水切り凸部を形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の軒樋伸縮継手。
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