JP4605088B2 - 内燃機関制御装置 - Google Patents
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Description
請求項1に記載の内燃機関制御装置は、内燃機関のアイドル運転時に吸気量を制御する内燃機関制御装置であって、アイドル運転における運転安定度を検出するアイドル運転安定度検出手段と、前記アイドル運転安定度検出手段にて検出された運転安定度が安定範囲内か否かを判定する安定度判定手段と、前記安定度判定手段にて前記運転安定度が安定範囲内にあると判定されている期間に実際の吸気量と目標吸気量との差を求め、該差に応じて安定時吸気補正量を算出する安定時吸気補正量算出手段と、前記アイドル運転安定度検出手段にて検出された運転安定度が、前記安定範囲よりも広い範囲に設定された準安定範囲内か否かを判定する準安定度判定手段と、前記準安定度判定手段にて前記運転安定度が前記準安定範囲内にあると判定されている期間に実際の吸気量と目標吸気量との差を求め、該差に応じた準安定時吸気補正量を、前記安定時吸気補正量の場合よりも抑制して算出する準安定時吸気補正量算出手段と、前記安定時吸気補正量と前記準安定時吸気補正量との内で算出が完了した吸気補正量により吸気量調節機構での調節量を補正する吸気調節量補正手段とを備え、内燃機関の点火時期を調節することにより内燃機関回転数を目標回転数に制御し、前記準安定時吸気補正量算出手段は、前記点火時期の調節量が大きいほど、前記準安定時吸気補正量に対する抑制を弱めることを特徴とする。
尚、上記構成によれば、吸気量制御時において、点火時期の調節により内燃機関回転数を目標回転数に制御することで、更に安定した内燃機関運転を実現することができる。
また、上記構成のように、内燃機関の回転数が点火時期の調節により行われている状況では、吸気量調節機構による調節量とは別個に、吸気量の増減が生じる。したがって点火時期の調節による吸気量に対する影響がある場合などを考慮して、点火時期の調節量が大きいほど、準安定時吸気補正量に対する抑制を弱めた方が、より適正な吸気補正となる。上記構成によれば、このことにより更に内燃機関の運転安定性を確保しやすくなる。
図1は、車両に搭載された内燃機関(本実施の形態ではガソリンエンジン)2、及び内燃機関制御装置としての電子制御ユニット(以下、「ECU」と称す)4の概略構成図を示している。内燃機関2は、ここでは4気筒内燃機関であるが、図1では1気筒のみ縦断面図にて示している。尚、気筒数は他の気筒数、例えば3気筒、6気筒、あるいは8気筒などでも良い。又、図では各気筒には吸気バルブ2aと排気バルブ2bとはそれぞれ1つ示されているが、4バルブ内燃機関でも5バルブ内燃機関でも良い。
一方、冷間時であれば(S100でyes)、吸気補正量ΔGA=0か否かが判定される(S101)。これはスロットル開度TA(実際には目標スロットル開度TAt)に対して吸気補正量ΔGAによる補正がなされていないことあるいはその補正が終了したことを判定するものである。最初は吸気補正量ΔGA=0であることから(S101でyes)、次に式1に示すごとく今回の実行周期時に求められている内燃機関回転数NEから、前回の実行周期時に求められている内燃機関回転数前回値NEoldを減算して内燃機関回転数変動値ΔNEを求める(S102)。
次に式2に示すごとく、今回の実行周期時に前述したごとく求められている目標吸気量GISCから、前回の実行周期時に求められている目標吸気量前回値GISColdを減算して目標吸気量変動値ΔGISCを求める(S104)。
次に内燃機関回転数変動値ΔNEの絶対値|ΔNE|が安定範囲(ここでは安定範囲上限値X1(rpm)以下の範囲が該当)内で、かつ目標吸気量変動値ΔGISCの絶対値|ΔGISC|が安定範囲(ここでは安定範囲上限値Y1(g/s)以下の範囲が該当)内か否かが判定される(S106)。この両方の安定範囲が満足された状態は、通常、内燃機関2のアイドル運転状態が安定状態にある場合である。
次に式4に示すごとく第2目標吸気量積算値ΣGAT2に、今回の実行周期時に算出されている目標吸気量GISCを積算する(S134)。
次に第2積算カウンタCGAS2をインクリメントする(S136)。
そしてこの第2積算カウンタCGAS2が規定積算回数値n2未満か否かを判定する(S138)。ここでは規定積算回数値n2=3とされている。規定積算回数値n2の値は「1」あるいは「2」でも良く、「4」以上でも良い。
次に式6に示すごとく第2目標吸気量積算値ΣGAT2を規定積算回数値n2にて除算して、準安定範囲内における目標吸気量GISCの平均値(目標吸気量平均値GAT)を算出する(S142)。
次に吸気量平均値GASと目標吸気量平均値GATとの差に基づいて、式7に示すごとく、準安定時吸気補正量に該当する吸気補正量ΔGAを算出する(S144)。尚、後述するごとく吸気補正量ΔGAは安定時吸気補正量として算出される場合もある。
ここで抑制演算子Dec()は、()内の値の絶対値を小さくする演算子である。
本実施の形態では、抑制値αを用いた、Dec(X)=X±αの関数が適用される。ここで、X>0ではDec(X)=X−α、X<0ではDec(X)=X+α、X=0ではDec(X)=X、すなわちα=0である。尚、抑制値αがXの値を超えた場合はDec(X)=0とされる。そしてこの抑制値αは、図4のマップに示すごとく設定され、内燃機関回転数変動値の絶対値|ΔNE|が大きいほど大きい値が設定される。尚、内燃機関回転数変動値の絶対値|ΔNE|の代わりに目標吸気量変動値の絶対値|ΔGISC|をパラメータとして用いても良い。
そして式8のごとく吸気補正量ΔGAから、後述するスロットル開度制御処理(図5)にて算出されている目標吸気量補正量dGISCを減算して、新たに吸気補正量ΔGAとして設定する(S146)。この目標吸気量補正量dGISCは、前記式7にて求められた吸気補正量ΔGAの内で既に実際には補正に使用された分を表している。
このようにして吸気補正量ΔGAが算出されると、前述したステップS122〜S128の処理が実行されて、今回の制御周期を終了する。
次に式10に示すごとく第1目標吸気量積算値ΣGAT1に、今回の実行周期時に算出されている目標吸気量GISCを積算する(S110)。
次に第1積算カウンタCGAS1をインクリメントする(S112)。
そして次に第1積算カウンタCGAS1が規定積算回数値n1未満か否かを判定する(S114)。ここでは規定積算回数値n1=3とされている。規定積算回数値n1の値は「1」あるいは「2」でも良く、「4」以上でも良い。又、前述した規定積算回数値n2と同一値である必要はない。
次に式12に示すごとく第1目標吸気量積算値ΣGAT1を規定積算回数値n1にて除算して、安定範囲内における目標吸気量GISCの平均値である目標吸気量平均値GATを算出する(S118)。
次に式13に示すごとく吸気量平均値GASと目標吸気量平均値GATとの差そのものを安定時吸気補正量として算出して、吸気補正量ΔGAに設定する(S120)。
ここで準安定範囲内にて実行された前記ステップS144で用いたDec()は使用されていない。このように安定時の吸気補正量ΔGAには「GAS−GAT」の値がそのまま設定され、準安定時のような抑制はなされていない。
このようにして吸気補正量ΔGAが算出されると、前述したステップS122〜S128の処理が実行されて、今回の制御周期を終了する。そしてこの吸気補正量ΔGAはスロットル開度制御処理(図5)において、目標吸気量GISCの補正に用いられることになる。
本処理が開始されると、まず内燃機関運転負荷状態に基づいて目標吸気量GISCが算出される(S200)。前記冷間時アイドル運転制御処理(図2,3)ではこの目標吸気量GISCの変動(S104)を判定(S106,S130)している。
そしてこの目標スロットル開度TAtとなるようにスロットルバルブ用モータ24を駆動して、スロットルバルブ26の開度が調節される(S220)。
次に式17のごとく吸気補正量ΔGAから補正実行量dxを減算する(S216)。
[式17] ΔGA ← ΔGA − dx
今回の場合は、直前のステップS212にて補正実行量dxには吸気補正量ΔGAの値を設定しているので、前記式17によりΔGA=0となる。
(イ).内燃機関2の運転状態が安定範囲(ステップS106でyesと判定される範囲)内でなくても、内燃機関2の運転状態が準安定範囲(ステップS130でyesと判定される範囲)内であれば、準安定時吸気補正量として吸気補正量ΔGAを算出する。そしてこの吸気補正量ΔGAを用いて目標スロットル開度TAtを補正することで目標吸気量と実際の吸気量との差を小さくしている。
(ハ).図4に示したごとく、準安定範囲内において用いる抑制値αは、内燃機関回転数変動値の絶対値|ΔNE|(又は目標吸気量変動値の絶対値|ΔGISC|)が大きいほど、すなわち運転安定度が低いほど大きくして、吸気補正量ΔGAに対する抑制を強めている。すなわち運転安定度が低いほど吸気補正量ΔGAに現れる誤差も大きくなることに鑑み、吸気補正量ΔGAに対する抑制を強めている。このことにより、更に内燃機関の運転安定性を維持しやすくなる。
[実施の形態2]
本実施の形態では、前記冷間時アイドル運転制御処理(図2,3)のステップS144にて抑制演算子Dec()に用いられる抑制値αが図7のごとく設定される。ここで、抑制値αが内燃機関回転数変動値の絶対値|ΔNE|(又は目標吸気量変動値の絶対値|ΔGISC|)が大きいほど大きい値が設定される点については図4の場合と同じである。ただし点火時期で制御される内燃機関回転数NEと目標回転数NTとの差の絶対値|NE−NT|が小さいほど|ΔNE|(又は|ΔGISC|)の増減に対する抑制値αの増減を大きくし、|NE−NT|が大きいほど|ΔNE|(又は|ΔGISC|)の増減に対する抑制値αの増減を小さくしている。他の構成については前記実施の形態1と同じである。
(イ).前記実施の形態1の効果に加えて、次の効果を生じる。すなわち図7に示したごとく抑制値αが設定されることにより、実際の内燃機関回転数NEと目標回転数NTとが離れているほど吸気補正量ΔGAを抑制しないようにしている。
本実施の形態では、前記実施の形態1又は前記実施の形態2において、前記冷間時アイドル運転制御処理(図2,3)のステップS144にて用いられる抑制値α(図4,7から算出)に対して、次の(1)〜(3)に示すごとく吸気量に対する点火時期の進角値θの影響に応じて減少処理がなされる。
上述のごとく求められた戻し値βにより式18に示すごとく抑制値αの減算がなされる。ただし戻し値βが抑制値αを越えた場合は、抑制値α=0とされる。
この式18にて求められた抑制値αが前記式7にて説明したごとく用いられる。
以上説明した本実施の形態3によれば、以下の効果が得られる。
内燃機関回転数制御が点火時期の調節により行われている状況では、スロットルバルブ26による調節とは別個に回転数の調節による吸気量GAの増減が生じる。このように点火時期の調節によって吸気量GAに対する影響がある場合には、その分、準安定時吸気補正量として求められる吸気補正量ΔGAに対する抑制値αによる抑制を弱めた方が、より適正な吸気補正となる。したがって該当する内燃機関運転状態では、戻し値βにより抑制値αを上述のごとく減少させることにより、適切な抑制ができ、更に内燃機関2の運転安定性を確保しやすくなる。
(a).前記各実施の形態において、抑制演算子Dec()での抑制処理は抑制値αの加減算でなく、(GAS−GAT)の値に対する抑制係数ka(0<ka<1)の乗算によっても良い。戻し値βについても、抑制値αに対する戻し係数kb(0<kb<1)の乗算を行っても良い。
Claims (3)
- 内燃機関のアイドル運転時に吸気量を制御する内燃機関制御装置であって、
アイドル運転における運転安定度を検出するアイドル運転安定度検出手段と、
前記アイドル運転安定度検出手段にて検出された運転安定度が安定範囲内か否かを判定する安定度判定手段と、
前記安定度判定手段にて前記運転安定度が安定範囲内にあると判定されている期間に実際の吸気量と目標吸気量との差を求め、該差に応じて安定時吸気補正量を算出する安定時吸気補正量算出手段と、
前記アイドル運転安定度検出手段にて検出された運転安定度が、前記安定範囲よりも広い範囲に設定された準安定範囲内か否かを判定する準安定度判定手段と、
前記準安定度判定手段にて前記運転安定度が前記準安定範囲内にあると判定されている期間に実際の吸気量と目標吸気量との差を求め、該差に応じた準安定時吸気補正量を、前記安定時吸気補正量の場合よりも抑制して算出する準安定時吸気補正量算出手段と、
前記安定時吸気補正量と前記準安定時吸気補正量との内で算出が完了した吸気補正量により吸気量調節機構での調節量を補正する吸気調節量補正手段とを備え、
内燃機関の点火時期を調節することにより内燃機関回転数を目標回転数に制御し、
前記準安定時吸気補正量算出手段は、前記点火時期の調節量が大きいほど、前記準安定時吸気補正量に対する抑制を弱める
ことを特徴とする内燃機関制御装置。 - 請求項1において、前記準安定時吸気補正量算出手段は、実際の内燃機関回転数と前記目標回転数との差の絶対値が大きいほど、前記準安定時吸気補正量に対する抑制を弱めることを特徴とする内燃機関制御装置。
- 請求項1又は2において、前記準安定範囲の広さが異なる複数の前記準安定度判定手段と前記準安定時吸気補正量算出手段との組み合わせが設けられていることを特徴とする内燃機関制御装置。
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