JP4604291B2 - 積層熱可塑性フィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、接着性に優れた熱可塑性フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミドなどの熱可塑性樹脂よりなるフィルム、特に配向されたポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミドなどのフィルムは、優れた力学的性質や耐熱性、透明性などの特質を有するため、幅広く使用されている。特に二軸延伸ポリエステルフィルムは、機械的強度、耐熱性、耐薬品性、寸法安定性が優れているので、磁気テープ用ベースフィルム、絶縁テープ、写真フィルム、トレーシングフィルム、食品包装用フィルムなどの多方面で使用されている。
【0003】
一般に、ポリエステルフィルムは、接着性が低いため、磁性体、感光剤、マット剤を積層する場合には、フィルム表面にコロナ放電処理をしたり、アンカーコート剤層を設けている。アンカーコート剤としては数多くの材料が提案されているが、中でもポリエステルを中心とした比較的極性が高いフィルムに対しては、水溶性あるいは水分散性のポリエステル系樹脂、またはアクリル系樹脂を用いることが提案されている(特開昭54−43017号公報、特公昭49−10243号公報、特開昭52−19786号公報、特開昭52−19787号公報など)。
【0004】
しかし、アンカーコート剤として上記ポリエステル系樹脂を使用すると、フィルムを巻いてロールとしたときに、ブロッキングを起こしやすいという問題がある。また、アンカーコート剤として上記アクリル系樹脂を使用すると、フィルム及びプライマー層に被覆される層との接着性に劣るという問題がある。
【0005】
このような問題を解決するために、特開昭58−124651号公報では、上記ポリエステル系樹脂と上記アクリル系樹脂とを混合してアンカーコート剤とするものが示されている。しかし、上記の問題を十分に解決してはいない。
【0006】
さらに、グラフト変性を中心とした種々の変性ポリエステルを使用することも提案されている。例えば、特開平2−3307号公報、特開平2−171243号公報、特開平2−310048号公報では、水溶性あるいは水分散できる親水性基含有ポリエステル樹脂に不飽和結合含有化合物をグラフト化させた樹脂が、ポリエステルフィルムのプライマーとして好適であることが開示されている。これらの発明では、親水性基含有ポリエステル樹脂を使用することでグラフト変性体の水溶性あるいは水分散性は向上するが、ポリエステル樹脂中にあらかじめ共重合などで含有させた親水性基のために、プライマー自体の接着性、耐水性などの性能が低下するという問題がある。そのため、これらの発明では、性能低下を補完する目的で架橋剤または有機溶剤の使用を必須としている。
【0007】
また、特開平3−273015号公報、特公平3−67626号でも、ポリエステルのグラフト変性樹脂がポリエステルフィルムのプライマーとして有用であることが開示されている。
しかし、これらのグラフト変性樹脂も、凝集力に乏しいため、乾燥状態での接着性は向上するが、湿潤下での接着性に劣るという問題がある。特に2次加工、3次加工と多加工になるにつれて、膜の剥がれ、キズつきなどの問題があるのが現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点を解決し、ラミネート時の接着剤、金属、無機物またはこれらの酸化物薄膜の接着などに使用可能な、優れた接着性を有すると共に耐ブロッキング性に優れ、かつ優れた耐水性、耐溶剤性、透明性を有する積層熱可塑性フィルムを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねてきたところ、下記の発明を完成した。
(1)熱可塑性フィルム基材の少なくとも片面に、二重結合を有する酸無水物を少なくとも1種含む重合性不飽和単量体が親水性基含有ポリエステル系樹脂にグラフトされたポリエステル系グラフト共重合体を主な構成成分とする被覆層を有し、前記被覆層は架橋剤を含まず、前記親水性基含有ポリエステル樹脂の親水性基がイオン性基であって、前記親水性基含有ポリエステル樹脂の親水性基含有量が35〜520eq/10gであり、前記重合性不飽和単量体が少なくともマレイン酸の無水物とスチレンを含有することを特徴とする積層熱可塑性フィルム
(2)親水性基含有ポリエステル系樹脂が、炭素−炭素二重結合を分子中に含有することを特徴とする(1)記載の積層熱可塑性フィルム。
)前記被覆層が、ポリエステル系グラフト共重合体を含む塗布液を、未延伸フィルムまたは一軸延伸フィルムに塗布、乾燥後、該フィルムを更に、一軸またはそれ以上延伸後、熱固定することによって形成された(1)又は(2)に記載の積層熱可塑性フィルム
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明明細書において、ポリエステル系グラフト共重合体の「グラフト」とは、幹ポリマー主鎖に、主鎖とは異なる重合体からなる枝ポリマーを導入することをいう。
【0011】
本発明におけるグラフト共重合体の製法は特に制限されないが、一般に、親水性基含有ポリエステル樹脂を有機溶剤中に溶解させた状態で、重合開始剤、重合性不飽和単量体混合物を反応させることで得られる。グラフト反応終了後の反応生成物は、所望の親水性基共重合ポリエステル−重合性不飽和単量体のグラフト重合体の他に、グラフト化を受けなかった親水性基含有ポリエステルおよび親水性基含有ポリエステルにグラフトしなかった重合性不飽和単量体の重合体をも含有している。本発明におけるグラフト共重合体とは、これらの全てを含むものを総称する。
【0012】
このようにして得られた親水性基含有ポリエステル樹脂に重合性不飽和単量体をグラフト重合させた反応生成物の酸価は、600〜2450eq/106 gであることが好ましい。より好ましい反応生成物の酸価は、1200〜1960eq/106 gである。反応生成物の酸価が600eq/106 g未満である場合は、本発明の目的であるプライマー処理剤に被覆される層との接着性が十分に得られない。
【0013】
本発明の目的に適合するポリエステル系グラフト共重合体を得るための親水性基含有ポリエステル樹脂と重合性不飽和単量体混合物との混合比は、重量比で、親水性基含有ポリエステル樹脂/重合性不飽和単量体混合物=40/60〜95/5、好ましくは55/45〜93/7、更に好ましくは60/40〜90/10である。
親水性基含有ポリエステル樹脂の重量比が40未満であれば、熱可塑性フィルム基材に優れた接着改良効果を付与できない。一方、親水性基含有ポリエステル樹脂の重量比が95を越えると、親水性基含有ポリエステル樹脂の欠点であるブロッキングが起こりやすくなる。
【0014】
グラフト重合反応物は、有機溶媒の溶液または分散液、あるいは水系溶媒の溶液または分散液の形態で得られる。特に、水系溶媒中の分散液、すなわち水分散樹脂の形態とすることが、作業環境、塗布性の点で好ましい。このような水分散樹脂を得るには、通常、有機溶媒中で、前記親水性基含有ポリエステル樹脂に重合性不飽和単量体をグラフト重合して、次いで水を添加し、有機溶媒を留去すればよい。
このようにして得られた水分散樹脂は、レーザー光散乱法により測定されるその平均粒子径が500nm以下であり、半透明ないし乳白色の外観を呈する。重合方法の調整により、多様な粒子径の水分散樹脂が得られるが、この粒子径は、10〜500nmが適当であり、分散安定性の点で、400nm以下が好ましく、より好ましくは300nm以下である。水分散樹脂の平均粒子径が500nmを越えると被覆膜表面の光沢の低下がみられ、被覆物の透明性が低下し、10nm未満では、本発明の目的である耐水性が低下するため、好ましくない。
【0015】
このような水分散樹脂の重合に使用する重合性不飽和単量体は、親水性基を有するか、または後で親水性基に変化し得る基を有する。親水性基を有する重合性不飽和単量体としては、例えばカルボキシル基、水酸基、リン酸基、亜リン酸基、スルホン酸基、アミド基、第4級アンモニウム塩基などを含む重合性単量体を挙げることができる。後で親水性基に変化し得る基を有する重合性不飽和単量体としては、例えば酸無水物基、グリシジル基、クロル基などを含む重合性不飽和単量体を挙げることができる。これらの親水性基を有するか、または後で親水性基に変化し得る基を有する重合性不飽和単量体の中で、好ましいのは、水分散性に優れる点、および酸価を上げることができる点で、カルボキシル基を含む不飽和単量体、またはカルボキシル基を発生する基を有する不飽和単量体である。
【0016】
〈親水性基含有ポリエステル樹脂〉
本明細書中で、「親水性基含有ポリエステル樹脂」とは、それ自身で水に分散または溶解するポリエステル樹脂をいう。
【0017】
親水性基含有ポリエステル樹脂を構成するジカルボン酸の組成は、特に制限されないが、重合性不飽和単量体グラフト反応を容易にするために、ラジカルを生じやすい基、例えば炭素−炭素二重結合あるいは第3級炭素に結合する水素などを分子中に有していることが好ましい。特に親水性基含有ポリエステル樹脂のジカルボン酸成分として重合性不飽和二重結合を含有するジカルボン酸を使用することが好ましい。この親水性基含有ポリエステル樹脂のジカルボン酸成分の組成は、芳香族ジカルボン酸60〜99.5モル%、脂肪族ジカルボン酸および/または脂環式ジカルボン酸0〜39.5モル%、重合性不飽和二重結合を含有するジカルボン酸0.5〜10モル%であることが好ましい。芳香族ジカルボン酸が、60モル%未満である場合や脂肪族ジカルボン酸および/または脂環式ジカルボン酸が39.5モル%を越える場合は、接着強度が低下する。また、重合性不飽和二重結合を含有するジカルボン酸が0.5モル%未満である場合は、ポリエステル樹脂に対する重合性不飽和単量体の効率的なグラフト化が行われにくくなり、逆に、10モル%を越える場合は、グラフト化反応の後期に余りにも粘度が上昇し、反応の均一な進行を妨げるので好ましくない。より好ましくは、芳香族ジカルボン酸70〜98モル%、脂肪族ジカルボン酸および/または脂環式ジカルボン酸0〜28モル%、重合性不飽和二重結合を含有するジカルボン酸2〜7モル%である。
【0018】
芳香族ジカルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸などを挙げることができる。
【0019】
脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸などを挙げることができ、脂環式ジカルボン酸としては、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸とその酸無水物などを挙げることができる。
【0020】
重合性不飽和二重結合を含有するジカルボン酸としては、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸などのα,β−不飽和ジカルボン酸が、2,5−ノルボルネンジカルボン酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸などの重合性不飽和二重結合を含有する脂環式ジカルボン酸が挙げられる。好ましい重合性不飽和二重結合を含有するジカルボン酸は、重合性に優れるフマル酸、マレイン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸無水物などである。
【0021】
一方、グリコール成分としては、例えば炭素数2〜10の脂肪族グリコール、炭素数6〜12の脂環族グリコール、エーテル結合含有グリコールをそれぞれ単独で、あるいは二種以上を併用することができる。
【0022】
炭素数2〜10の脂肪族グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオールなどが挙げられる。
炭素数6〜12の脂環族グリコールとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。
【0023】
エーテル結合含有グリコールとしては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、さらにビスフェノール類の二つのフェノール性水酸基に、エチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドを付加して得られるグリコール類、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンなどが挙げられる。また、必要に応じて、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどを使用してもよい。
【0024】
親水性基含有ポリエステル樹脂は、分子中に親水性基あるいは親水性成分を含んでいる必要がある。親水性基または親水性成分は、特に制限されないが、例えば、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、シアノ基、アミノ基、メチルカルボニル基、ポリエチレングリコール、カルボン酸塩、リン酸エステル塩、第4級アンモニウム塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩などを挙げることができ、これらの少なくとも1種を分子中に導入した親水性基含有ポリエステル樹脂が本発明において使用される。代表的な親水性基含有ポリエステル樹脂として、芳香族ジカルボン酸および/または非芳香族ジカルボン酸およびエステル形成性スルホン酸アルカリ金属塩化合物とグリコールの重縮合物が挙げられる。
エステル形成性スルホン酸アルカリ金属塩化合物としては、例えばスルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸、スルホ−p−キシレングリコール、2−スルホ−1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼンなどのアルカリ金属塩およびこれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。
【0025】
本発明で使用される親水性基含有ポリエステル樹脂中には、全酸成分あるいは全グリコール成分の5モル%以下、好ましくは3モル%以下の3官能基以上のポリカルボン酸および/またはポリオールを共重合してもよい。3官能基以上のポリカルボン酸および/またはポリオールが5モル%を越えると、重合時にゲル化が起こりやすく、好ましくない。
【0026】
3官能基以上のポリカルボン酸の具体例としては、トリメリト酸、その無水物、ピロメリト酸、その無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、その無水物、トリメシン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)などが挙げられる。
3官能基以上のポリオールの具体例としては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。
【0027】
本発明で使用される親水性基含有ポリエステル樹脂の分子量は、重量平均で、5000〜50000の範囲であればよい。分子量が5000未満の場合は接着強度が低下し、分子量が50000を越えると、重合時にゲル化が起こる場合があるので好ましくない。
【0028】
本発明で使用される親水性基含有ポリエステル樹脂の親水性基含有量は、親水性基がイオン性基の場合、好ましくは35〜520eq/106 g、さらに好ましくは35〜380eq/106 gである。親水性基含有ポリエステル樹脂中の親水性基含有量が35eq/106 g未満である場合は、グラフト重合体の水分散性または分散安定性が十分でなく、積層フィルムの透明性が低下するという問題がある。また、親水性基含有ポリエステル樹脂中の親水性基含有量が520eq/106 gを越える場合は、被覆層の耐水性が低下するという問題がある。
【0029】
〈重合性不飽和単量体〉
本発明で使用される重合性不飽和単量体を例示する。
フマル酸、フマル酸モノエチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチルなどのフマル酸のモノエステルまたはジエステル、マレイン酸、またはその無水物、マレイン酸モノエチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチルなどのマレイン酸のモノエステルまたはジエステル、イタコン酸とその無水物、イタコン酸のモノエステル、ジエステル、フェニルマレイミドなどのマレイミドなど、またスチレン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロロメチルスチレンなどのスチレン誘導体、ビニルトルエン、ジビニルベンゼンなどである。
【0030】
また、アクリル重合性単量体は、例えばアルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、フェニルエチル基など):2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのヒドロキシ含有アクリル重合性単量体:アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−フェニルアクリルアミドなどのアミド基含有アクリル重合性単量体:N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレートなどのアミノ基含有アクリル重合性単量体:グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどのエポキシ基含有アクリル重合性単量体:アクリル酸、メタクリル酸およびそれらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩)などのカルボキシル基またはその塩を含有するアクリル単量体が挙げられる。
【0031】
上記の重合性不飽和単量体は、1種若しくは2種以上を選択して使用できるが、これら単量体中には、二重結合を有する酸無水物を含有することが必要である。好ましい二重結合を有する酸無水物としては、マレイン酸の無水物またはイタコン酸の無水物が挙げられる。重合性不飽和単量体の最も好ましい選択は、無水マレイン酸とスチレンの組み合わせである。
【0032】
グラフト重合は、一般に、親水性基含有ポリエステル樹脂を有機溶媒中に溶解させた状態で、重合開始剤と重合性不飽和単量体とを反応させることで達成される。グラフト化反応終了後の反応生成物は、所望の親水性基含有ポリエステル−重合性不飽和単量体のグラフト重合体の他に、グラフト化されなかった親水性基含有ポリエステルおよび親水性基含有ポリエステルに結合しなかった重合性不飽和単量体のホモ重合体をも含有しているが、本願明細書中でのグラフト重合生成物は、このような混合物を意味する。
【0033】
〈重合開始剤およびその他の添加物〉
グラフト化反応に使用できるラジカル開始剤としては、通常のラジカル反応に使用される有機過酸化物類や有機アゾ化合物類が使用できる。有機過酸化物類としては、例えばベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレートなどが挙げられる。有機アゾ化合物類としては、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルパレロニトリル)などを挙げることができる。これらのラジカル開始剤は、単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。
重合開始剤の使用量は、重合性不飽和単量体全量に対して、少なくとも0.2重量%以上、好ましくは0.5重量%以上である。
【0034】
重合開始剤の他に、連鎖移動剤を添加してもよい。連鎖移動剤を添加することで、枝ポリマーの鎖長を調整できる。連鎖移動剤としては、例えばオクチルメルカプタン、メルカプトエタノール、3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソールなどが挙げられ、これらを必要に応じて使用する。連鎖移動剤の使用量は、重合性不飽和単量体全量に対して、0〜5重量%であればよい。
【0035】
〈反応溶媒〉
グラフト化反応に使用される反応溶媒としては、特に制限されないが、好ましくは沸点が50〜250℃の水と混和しうる有機溶媒(以下、「水溶性有機溶媒」という)である。本明細書中で、水溶性有機溶媒というときは、20℃における水に対する溶解性が少なくとも10g/L以上、好ましくは20g/L以上のものをいう。反応溶媒の沸点が250℃を越えると、蒸発速度が遅いため、塗膜の高温焼付けによっても十分に取り除くことができないので適切でない。また、反応溶媒の沸点が50℃未満であれば、グラフト化反応に使用する場合、50℃未満の温度で、ラジカルに開裂するラジカル開始剤を使用する必要があり、取り扱いが容易でないという問題がある。
【0036】
上記の条件を満たす水溶性有機溶媒には、親水性基含有ポリエステル樹脂を良く溶解し、かつ酸無水物を含む重合性単量体を含む重合性不飽和単量体混合物およびその重合体を比較的良く溶解する第一群の水溶性有機溶媒と、親水性基含有ポリエステル樹脂をほとんど溶解しないが、酸無水物を含む重合性単量体を含む重合性不飽和単量体混合物およびその重合体を比較的良く溶解する第二群の水溶性有機溶媒とがある。
【0037】
第一群の水溶性有機溶媒としては、例えば酢酸エチルなどのエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,3−ジオキソランなどの環状エーテル類、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテルなどのグリコールエーテル類、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトールなどのカルビトール類、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテートなどのグリコール類若しくはグリコールエーテルの低級エステル類、ダイアセトンアルコールなどのケトンアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどが挙げられる。
【0038】
第二群の水溶性有機溶媒としては、例えば水、炭素数1〜6の低級アルコール類、炭素数1〜6の低級カルボン酸類、炭素数1〜4の低級アミン類などが挙げられる。好ましい第二群の水溶性有機溶媒としては、炭素数1〜4の低級アルコール類、グリコール類などが挙げられる。
【0039】
グラフト化反応を単一溶媒で行う場合は、第一群の水溶性有機溶媒から一種を選べばよい。グラフト化反応を混合溶媒で行う場合には、第一群の水溶性有機溶媒からのみ二種以上の溶媒を選択して混合する場合と、第一群の水溶性有機溶媒から少なくとも一種の溶媒を選択し、かつ第二群の水溶性有機溶媒から少なくとも一種の溶媒を選択して混合する場合とがある。
【0040】
上記の単一溶媒または混合溶媒のいずれであっても、グラフト化反応を行うことができる。しかし、グラフト化反応の進行挙動、グラフト化反応生成物、およびこれから導かれる水分散体の外観、性状などを考慮すると、第一群の水溶性有機溶媒から一種の溶媒を選択し、かつ第二群の水溶性有機溶媒から一種の溶媒を選択して混合する混合溶媒を使用するのが好ましい。
【0041】
第一群の溶媒中では、親水性基含有ポリエステル分子鎖は、広がりの大きい鎖の伸びた状態にあり、一方、第一群の水溶性有機溶媒と第二群の水溶性有機溶媒の混合溶媒中では、広がりの小さい糸まり状に絡まった状態にあることがこれら溶液中の親水性基含有ポリエステルの粘度測定により確認される。親水性基含有ポリエステルの溶解状態を調節し分子間架橋を起こりにくくすることが、ゲル化防止に有効である。すなわち、効率の高いグラフト化とゲル化の抑制は、第一群の水溶性有機溶媒と第二群の水溶性有機溶媒の混合溶媒を使用することで達成できる。
【0042】
第一群の水溶性有機溶媒と第二群の水溶性有機溶媒の混合比は、特に制限されないが、好ましくは重量比で95/5〜10/90、さらに好ましくは90/10〜20/80、最も好ましくは85/15〜30/70である。最適の混合比は、使用する親水性基含有ポリエステルの溶解性などに応じて適宜選択される。
【0043】
〈水分散化〉
本発明にかかるグラフト化反応生成物は、塩基性化合物で中和することが好ましく、中和することによって、容易に水分散化することができる。塩基性化合物としては、塗膜形成時あるいは硬化剤配合による焼付硬化時に揮散する化合物が望ましく、アンモニア、有機アミン類などが好適である。望ましい化合物の例としては、トリエチルアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、アミノエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどを挙げることができる。
【0044】
これらの塩基性化合物は、グラフト化反応生成物中に含まれるカルボキシル基含有量に応じて、少なくとも部分中和、若しくは完全中和によって、水分散体のpHが5.0〜9.0の範囲になるように使用すればよい。沸点が100℃以下の塩基性物質を使用した場合であれば、乾燥後の塗膜中の残留塩基性物質が少なくなり、金属や無機蒸着膜の接着性に優れ、他の材料と積層した場合に耐水性や耐熱水接着性に優れる。また、沸点が100℃より高い塩基性物質を使用した場合や前記沸点が100℃以下の塩基性物質を使用した場合に乾燥条件を制御することで、乾燥後の塗膜中に塩基性物質を500ppm以上残留させることにより、印刷インクの転移性を向上できる。
【0045】
グラフト化反応生成物では、重合性不飽和単量体の重合物の重量平均分子量は500〜50000であるのが好ましい。重合性不飽和単量体の重合物の重量平均分子量を500未満にコントロールすることは、一般に困難であり、グラフト効率が低下し、共重合ポリエステルへの水分散性の付与が十分に行われない傾向がある。また、重合性不飽和単量体のグラフト重合物は、分散粒子の水和層を形成するが、十分な厚みの水和層をもたせ、安定な分散体を得るためには、重合性不飽和単量体のグラフト重合物の重量平均分子量は500以上であることが望ましい。また、重合性不飽和単量体のグラフト重合物の重量平均分子量の上限は、溶液重合における重合性の点で、50000以下であることが好ましい。この範囲内での分子量のコントロールは、開始剤量、モノマー滴下時間、重合時間、反応溶媒、モノマー組成、あるいは必要に応じて連鎖移動剤や重合禁止剤を適宜組み合わせることにより行うことができる。
【0046】
親水性基含有ポリエステル樹脂に重合性不飽和単量体をグラフト重合させた反応生成物は、自己架橋性を有する。該グラフト重合反応生成物は、常温では架橋しないが、乾燥時の熱で、熱ラジカルによる水素引き抜き反応などの分子間反応を行い、架橋剤なしで架橋する(以下、「自己架橋性グラフト重合反応生成物」ということもある)。架橋により、本発明の目的である接着性、耐水性を発揮する。
【0047】
塗膜の架橋性については、種々の方法で評価できるが、一般に親水性基含有ポリエステル樹脂および重合性不飽和単量体の重合体の両方を溶解するクロロホルム溶媒での不溶分率で調べることができる。80℃以下で乾燥し、120℃で5分間熱処理して得られる塗膜の不溶分率が、50%以上であることが好ましく、70%以上であればさらに好ましい。塗膜の不溶分率が50%未満であれば、接着性、耐水性が不十分であり、ブロッキングが生じるおそれがある。
【0048】
親水性基含有ポリエステル樹脂に重合性不飽和単量体をグラフト重合させた反応生成物は、さらに、架橋結合剤を使用することができる。架橋結合剤を添加することで、この反応生成物に、より高度な接着性、耐水性、耐溶剤性を付与することができる。
【0049】
このような架橋結合剤としては、前記重合性不飽和単量体がグラフトされた自己架橋性グラフト重合反応生成物に存在する官能基などと熱や光で架橋反応をし、最終的に3次元網目構造を形成できるものであれば、特に制限されない。架橋結合剤としては、例えばクレゾール類を含むフェノール類とホルムアルデヒドとの縮合物であるフェノールホルムアルデヒド樹脂、尿素、メラミン、ベンゾグアナミンなどとホルムアルデヒドとの付加物と炭素数1〜6のアルコールとからなるアルキルエーテル化したアミノ樹脂、多官能性エポキシ化合物、多官能性イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、多官能性アジリジン化合物、オキサゾリン化合物などが挙げられる。
【0050】
フェノールホルムアルデヒド樹脂としては、例えば、o,m,p−アルキル化(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルまたはブチル)フェノール、p−tert−アミルフェノール、4,4’−sec−ブチリデンフェノール、p−tert−ブチルフェノール、o,m,p−クレゾール、p−シクロヘキシルフェノール、4,4’−イソプロピリデンフェノール、p−ノニルフェノール、p−オクチルフェノール、3−ペンタデシルフェノール、フェノール、フェニル−o−クレゾール、p−フェニルフェノール、キシレノールなどのフェノール類とホルムアルデヒドとの縮合物が挙げられる。
【0051】
アミノ樹脂としては、例えばメトキシ化メチロール尿素、メトキシ化メチロール−N,N−エチレン尿素、メトキシ化メチロールジシアンジアミド、メトキシ化メチロールメラミン、メトキシ化メチロールベンゾグアナミン、ブトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールベンゾグアナミン、メチロール化ベンゾグアナミンなどが挙げられる。好ましくは、反応性および架橋後の物性の点から、メトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールメラミン、メチロール化ベンゾグアナミンなどである。
【0052】
多官能性エポキシ化合物としては、例えばビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびそのオリゴマー、水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびそのオリゴマー、オルトフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、p−オキシ安息香酸ジグリシジルエステル、テトラハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、トリメリット酸トリグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、1,4−ジグリシジルオキシベンゼン、ジグリシジルプロピレン尿素、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテル、グリセロールアルキレンオキサイド付加物のトリグリシジルエーテルなどが挙げられる。
【0053】
多官能性イソシアネート化合物としては、低分子または高分子の脂肪族炭化水素または芳香族炭化水素のジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネートなどが使用できる。ジイソシアネートとしては、例えばテトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。ポリイソシアネートとしては、これらのジイソシアネートの3量体などが挙げられる。
さらに、過剰量のこれらのイソシアネート化合物と、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの低分子活性水素化合物、またはポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類などの高分子活性水素化合物とを反応させて得られる末端イソシアネート基含有化合物などが挙げられる。
【0054】
ブロック化イソシアネート化合物は、上記イソシアネート化合物とイソシアネート基ブロック化剤とを、従来公知の方法で付加反応させて調製できる。イソシアネートブロック化剤としては、例えばフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノールなどのフェノール類、チオフェノール、メチルチオフェノールなどのチオフェノール類、アセトキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムなどのオキシム類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、エチレンクロルヒドリン、1,3−ジクロロ−2−プロパノールなどのハロゲン置換アルコール類、t−ブタノール、t−ペンタノールなどの第3級アルコール類、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、ν−ブチロラクタム、β−プロピルラクタムなどのラクタム類、芳香族アミン類、イミド類、アセチルアセトン、アセト酢酸エステル、マロン酸エチルエステルなどの活性メチレン化合物、メルカプタン類、イミン類、尿素類、ジアリール化合物類、重亜硫酸ソーダなどが挙げられる。
【0055】
これらの架橋結合剤は、単独でも、または二種以上組み合わせて使用することができる。架橋結合剤の配合量は、目的に応じて適宜決定できるが、好ましくは自己架橋性グラフト重合反応生成物100重量部に対して、1〜40重量部である。
架橋結合剤の配合方法は、特に制限されないが、例えば(1)架橋結合剤が水溶性の場合、直接自己架橋性グラフト重合反応生成物の水溶性溶液または分散液中に溶解または分散させる方法、(2)架橋結合剤が油溶性の場合、グラフト化反応終了後に反応液に添加する方法などがある。これらの方法は、架橋結合剤の種類、性状により適宜選択できる。さらに架橋結合剤に加え、硬化剤あるいは促進剤を併用できる。
【0056】
上記自己架橋性グラフト重合反応生成物は、単独で、被覆層を形成し、接着改良効果を付与することができるが、他の目的からさらに他の樹脂、例えば汎用のポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル樹脂、これらの共重合体、各種水溶性樹脂などや、抗菌性樹脂、紫外線吸収性樹脂、ガスバリアー性樹脂などの各種機能性樹脂を混合して、被覆層を形成してもよい。
【0057】
被覆層には、さらに本発明の効果を損なわない範囲で、各種界面活性剤、無機滑剤、有機滑剤、抗菌剤、光酸化触媒、紫外線吸収剤などの添加物を添加してもよい。
【0058】
塗布液としては、被覆層を構成する自己架橋性グラフト重合反応生成物の有機溶媒溶液または分散液、あるいは水系溶媒溶液または水系溶媒分散液を用いることができる。好ましくは、環境に対して問題となりにくい水系溶媒溶液または水系溶媒分散液である。
有機溶媒あるいは水系溶媒中の自己架橋性グラフト重合反応生成物および架橋結合剤の固形分含有量は、通常、1〜50重量%、好ましくは3〜30重量%である。
【0059】
塗布後の自己架橋性グラフト重合反応生成物の乾燥条件は、特に制限されないが、この自己架橋性グラフト重合反応生成物のもつ自己架橋性を発現させるためには、熱可塑性フィルム基材およびこの自己架橋性ポリエステル系グラフト共重合体に熱劣化が起こらない範囲内で、熱量を多くすればよい。具体的には、80〜250℃、より好ましくは150〜220℃である。ただし、乾燥時間を長くすれば、比較的低い温度でも、十分な自己架橋性を発現するため、上記の温度条件に限らない。
【0060】
被覆層を形成するために、自己架橋性グラフト重合反応生成物を含む塗布液を熱可塑性フィルム基材に塗布する方法としては、特に制限はなく、グラビア方式、リバース方式、ダイ方式、バー方式、ディップ方式などの公知の塗布方式を使用できる。
【0061】
塗布液の塗布量は、本発明の効果を達成できる範囲で適宜選択できるが、固形分として0.005〜5g/m2 、好ましくは0.02〜0.5g/m2 である。塗布量が0.005g/m2 未満になると、被覆層とフィルム基材との十分な接着強度が得られない。一方、塗布量が5g/m2 を越えると、ブロッキングが発生し、実用上問題がある。
【0062】
被覆層は、二軸延伸後の熱可塑性フィルム基材に上記塗布液を塗布してもよいし、未延伸あるいは一軸延伸後の熱可塑性フィルム基材に上記塗布液を塗布した後、乾燥し、必要に応じて、さらに一軸延伸あるいは二軸延伸後熱固定を行ってもよい。
【0063】
未延伸あるいは一軸延伸後の熱可塑性フィルム基材に上記塗布液を塗布した後、乾燥、延伸する場合、塗布後の乾燥温度は、その後の延伸に影響しない範囲の条件で乾燥する必要がある。例えば、ポリアミド基材の場合、水分率を2%以下にして延伸し、その後200℃以上で熱固定を行うと、塗膜が強固になり、被覆層とポリアミドフィルム基材との接着性が飛躍的に向上する。一方、水分率が2%を越えると、乾燥温度にもよるが、結晶化が起こりやすくなり、平面性の悪化や延伸性が損なわれる場合がある。
【0064】
二軸延伸熱可塑性フィルム基材に塗布する場合、熱可塑性フィルム基材と被覆層との接着性をさらに向上させるため、熱可塑性フィルム基材にコロナ処理、火炎処理、電子線照射などによる表面処理をしてもよい。
【0065】
本発明の積層熱可塑性フィルム基材の被覆層は、各種材料と良好な接着性を呈するが、さらに接着性を向上させるため、この被覆層に上記熱可塑性フィルム基材と同様にコロナ処理、火炎処理、電子線照射などによる表面処理をしてもよい。
【0066】
本発明にかかる積層熱可塑性フィルム基材の被覆層は、広範囲の用途に使用することができ、良好な接着性を呈する。具体的には、印刷インキ、UVインキなどのインキやドライラミネート、押し出しラミネートなどのラミネート層改良層、金属または無機物あるいはそれらの酸化物の真空蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、化学蒸着(CVD)、プラズマ重合などで得られる薄膜層、酸素吸着剤層、有機バリアー層、インクジェット受像層などの基材として使用でき、熱可塑性フィルム基材と上記各種材料との接着性向上に寄与することができる。
【0067】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明し、試験例によって本発明の効果を明らかにするが、これらは単なる例示であり、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
なお、実施例中、単に「部」とあるのは、重量部を意味し、「%」とあるのは、重量%を意味する。
各測定項目は、以下の方法に従った。
【0068】
評価方法
1)透明性(ヘイズ)測定
各実施例、比較例で得られた積層熱可塑性フィルムから8×5cmの試料片10個を作製し、この試料片をヘイズメーター(東京電飾(株)製、TC−H3DP)で測定し、平均値を求めた。
【0069】
2)接着性評価
(積層体の作製)
各実施例、比較例で得られた積層熱可塑性フィルムの被覆層、またはコロナ処理表面上にグラビアインキ(東洋インキ(株)製、ラミエース61白二液タイプ)をグラビア印刷して印刷インキ層を形成し、次いで接着剤(東洋モートン(株)製、AD585/CAT10)を2g/cm2 塗布した後、常法に従って、厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡績(株)製、P1120)をドライラミネート法にて貼り合わせ、シーラント層を設け、熱可塑性フィルム積層体を得た。
この熱可塑性フィルム積層体の常態保存(乾燥時および湿潤時)と90℃熱水中における剥離強度を測定した。測定は、引張速度100mm/分での90°剥離試験によった。
【0070】
製造例
(親水性基含有ポリエステルの調製)
攪拌機、温度計、および部分還流式冷却器を具備したステンレススチール製オートクレーブに、ジメチルテレフタレート324部、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸ナトリウム32部、1,4−ブタンジオール211部、エチレングリコール270部、およびテトラ−n−ブチルチタネート0.5部を仕込み、温度160℃から220℃まで、4時間かけてエステル交換反応を行った。次いで、フマル酸14部およびセバシン酸160部を加え、200℃から220℃まで1時間かけて昇温し、エステル化反応を行った。次に、255℃まで昇温した後、0.22mmHgの減圧下で1時間反応させ、親水性基含有共重合ポリエステルを得た。得られた共重合ポリエステルは、重量平均分子量8000で、色は淡黄色透明であった。
【0071】
(親水性基含有共重合ポリエステル−グラフト水分散体)
攪拌機、温度計、還流式冷却器と定量滴下装置を備えた反応器に、上記共重合ポリエステル80部、メチルエチルケトン60部およびイソプロピルアルコール20部を入れ、65℃で加熱、攪拌し、樹脂を溶解した。樹脂が完全に溶解した後、無水マレイン酸12部を共重合ポリエステル溶液に添加した。次に、スチレン8部、およびアゾビスジメチルバレロニトリル1.2部を10部のメチルエチルケトンに溶解した溶液を0.1mm/minで共重合ポリエステル溶液中に滴下し、さらに2時間攪拌した。これにメタノール5部を添加し、次に、水300部とトリエチルアミン12部を反応溶液に加え、1時間攪拌した。その後、反応器内の温度を100℃に上げ、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、過剰のトリエチルアミンを蒸留により留去し、親水性基含有共重合ポリエステル−グラフト水分散体(以下、水分散グラフト樹脂という。)を得た。この水分散グラフト樹脂の色は、淡黄色透明であった。
【0072】
実施例1
上記水分散グラフト樹脂を固形分濃度10%となるように、水:イソプロピルアルコール=9:1(重量比)で希釈して塗布液を調製した。
ナイロン6レジンを280℃で溶融押出しし、15℃の冷却ロールで冷却して厚さ185μmの未延伸フィルムを得て、この未延伸フィルムを周速の異なる85℃の一対のロール間で縦方向に3.5倍延伸した。次に上記塗布液をロールコーター方式で塗布し、70℃の熱風で乾燥し、次いでテンター温度100℃で横方向に3.5倍延伸した。さらに、これを200〜220℃で熱固定し、厚さ15μmの二軸延伸積層ポリアミドフィルムを得た。最終的なコート剤塗布量は0.07g/m2 であった。
【0073】
実施例2
ポリエチレンテレフタレートを280℃で溶融押出しし、15℃の冷却ロールで冷却して厚さ100μmの未延伸フィルムを得て、この未延伸フィルムを周速の異なる85℃の一対のロール間で縦方向に3.5倍延伸した。次に、実施例1の塗布液をロールコーター方式で塗布し、70℃の熱風で乾燥し、次いでテンター温度98℃で横方向に3.5倍延伸した。さらに、これを200〜210℃で熱固定し、厚さ12μmの二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。最終的なコート剤塗布量は0.08g/m2 であった。
【0074】
比較例1
(疎水性含有共重合ポリエステルの調製)
攪拌機、温度計、および部分還流式冷却器を具備したステンレススチール製オートクレーブに、ジメチルテレフタレート345部、1,4−ブタンジオール211部、エチレングリコール270部、およびテトラ−n−ブチルチタネート0.5部を仕込み、温度160℃から220℃まで、4時間かけてエステル交換反応を行った。次いで、フマル酸14部およびセバシン酸160部を加え、200℃から220℃まで1時間かけて昇温し、エステル化反応を行った。次に、255℃まで昇温した後、0.22mmHgの減圧下で1時間反応させ、疎水性基含有共重合ポリエステルを得た。得られた共重合ポリエステルは、重量平均分子量10000で、色は淡黄色透明であった。
【0075】
(疎水性含有共重合ポリエステル−グラフト水分散体)
攪拌機、温度計、還流式冷却器と定量滴下装置を備えた反応器に、上記共重合ポリエステル80部、メチルエチルケトン60部およびイソプロピルアルコール20部を入れ、65℃で加熱、攪拌し、樹脂を溶解した。樹脂が完全に溶解した後、無水マレイン酸12部を共重合ポリエステル溶液に添加した。次に、スチレン8部、およびアゾビスジメチルバレロニトリル1.2部を10部のメチルエチルケトンに溶解した溶液を0.1mm/minで共重合ポリエステル溶液中に滴下し、さらに2時間攪拌した。これにメタノール5部を添加し、次に、水300部とトリエチルアミン12部を反応溶液に加え、1時間攪拌した。その後、反応器内の温度を100℃に上げ、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、過剰のトリエチルアミンを蒸留により留去し、疎水性基含有共重合ポリエステル−グラフト水分散体(以下、水分散グラフト樹脂という。)を得た。この水分散グラフト樹脂の色は、淡黄色透明であった。
【0076】
この疎水性共重合ポリエステル−グラフト水分散体を固形分濃度10%になるように水:イソプロピルアルコール=9:1(重量比)で希釈して塗布液を調製した。それ以外は実施例1と同様に実施して厚さ15μmの二軸延伸コーティングポリアミドフィルムを得た。最終的なコート剤塗布量は0.07g/m2 であった。
【0077】
比較例2
前記実施例2の塗布液を比較例1の塗布液とした以外は、実施例2と同様に実施して、厚さ12μmの二軸延伸コーティングポリエステルフィルムを得た。最終的なコート剤塗布量は0.08g/m2 であった。
【0078】
比較例3
東洋紡績株式会社製の厚さ15μmの二軸延伸ポリアミドフィルムを使用した。
【0079】
比較例4
東洋紡績株式会社製の厚さ12μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを使用した。
【0080】
上記実施例1、2、比較例1〜4のヘイズと剥離強度を測定した。結果を表1に示す。
【0081】
【表1】
Figure 0004604291
【0082】
表1からわかるように、本発明の積層熱可塑性フィルムは、比較例1、2に比べて透明性に優れ、被覆層を設けない二軸延伸フィルム(比較例3,4)と同様の透明性を示した。一方、本発明の積層熱可塑性フィルムは、被覆層を設けない二軸延伸フィルム(比較例3,4)に比べて剥離強度に優れ、比較例1、2と同様の剥離強度を示した。
【0083】
【発明の効果】
本発明の積層熱可塑性フィルムは、親水性基含有ポリエステル系樹脂中に、二重結合を有する酸無水物を含有するモノマーを少なくとも1種含む重合性不飽和単量体が、グラフトされた自己架橋性ポリエステル系グラフト共重合体を主な構成成分とする被覆層を有しているので、接着性が良好であり、特にドライラミネートや押出ラミネートで積層されるシーラント材との接着性や金属または無機物あるいはこれらの酸化物の薄膜の接着など、広範囲に使用可能であり、接着性、耐水性、耐溶剤性、透明性に優れた積層熱可塑性フィルムが提供できる。

Claims (3)

  1. 熱可塑性フィルム基材の少なくとも片面に、二重結合を有する酸無水物を少なくとも1種含む重合性不飽和単量体が親水性基含有ポリエステル系樹脂にグラフトされたポリエステル系グラフト共重合体を主な構成成分とする被覆層を有し、前記被覆層は架橋剤を含まず、
    前記親水性基含有ポリエステル樹脂の親水性基がイオン性基であって、前記親水性基含有ポリエステル樹脂の親水性基含有量が35〜520eq/10gであり、
    前記重合性不飽和単量体が少なくともマレイン酸の無水物とスチレンを含有す
    ことを特徴とする積層熱可塑性フィルム。
  2. 親水性基含有ポリエステル系樹脂が、炭素−炭素二重結合を分子中に含有することを特徴とする請求項1記載の積層熱可塑性フィルム。
  3. 前記被覆層が、ポリエステル系グラフト共重合体を含む塗布液を、未延伸フィルムまたは一軸延伸フィルムに塗布、乾燥後、該フィルムを更に、一軸またはそれ以上延伸後、熱固定することによって形成された請求項1又は2に記載の積層熱可塑性フィルム。
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