JPH11334009A - 積層熱可塑性フィルム - Google Patents

積層熱可塑性フィルム

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JPH11334009A
JPH11334009A JP10141083A JP14108398A JPH11334009A JP H11334009 A JPH11334009 A JP H11334009A JP 10141083 A JP10141083 A JP 10141083A JP 14108398 A JP14108398 A JP 14108398A JP H11334009 A JPH11334009 A JP H11334009A
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JP
Japan
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polyester
film
acid
group
resin
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Application number
JP10141083A
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English (en)
Inventor
Chikao Morishige
地加男 森重
Masayoshi Sato
昌由 佐藤
Masaya Higashiura
真哉 東浦
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた接着性、耐水性、耐溶剤性を有する積
層熱可塑性フィルムを提供する。 【解決手段】 熱可塑性フィルム基材の少なくとも片面
に、疎水性ポリエステル系樹脂に二重結合を有する酸無
水物を含有するモノマーを少なくとも1種含むことを特
徴とする重合性不飽和単量体がグラフトされた自己架橋
性ポリエステル系グラフト共重合体および架橋結合剤と
を構成成分とする層を有することを特徴とする積層熱可
塑性フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、接着性の改良され
た熱可塑性フィルムに関し、その目的とするところは、
印刷やラミネート時の接着、金属あるいは無機やそれら
の酸化物薄膜など広範囲の用途に使用可能で高度な接着
性、耐水性、耐溶剤性を有する熱可塑性フィルムを提供
することにある。
【0002】
【従来の技術】従来よりポリオレフィン、ポリスチレ
ン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポ
リアミドなどの熱可塑性樹脂よりなるフィルム、特に配
向されたポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド等
のフィルムは、優れた力学的性質や、耐熱性、透明性な
どを有し幅広く使用されている。特に二軸延伸ポリエス
テルフィルムは、機械的強度、耐熱性、耐薬品性、寸法
安定性が優れているので、磁気テープ用ベースフィル
ム、絶縁テープ、写真フィルム、トレーシングフィル
ム、食品包装用フィルムなどの多方面で使用さえてい
る。しかしながら一般にポリエステルフィルムは接着性
が低いため、磁性体、感光剤、マット剤などを積層する
場合には、フィルム表面にコロナ放電処理をしたり、ア
ンカーコート剤を設けることが一般的である。アンカー
コート剤として、数多くの材料が提案されており、中で
も、ポリエステルを中心とした比較的極性が高いフィル
ムに対しては、水溶性あるいは水分散性のポリエステル
系樹脂あるいはアクリル系樹脂を用いることが提案され
ている。(特開昭54-43017号、特公昭49-10243号、特開
昭52-19786号、特開昭52-19787号等)
【0003】しかし、上記ポリエステル系樹脂はフィル
ムを巻いてロールとしたとき、ブロッキングを起こしや
すいという欠点があり、また上記アクリル系樹脂はフィ
ルム及びプライマー層に被覆される層との接着性に劣る
という欠点がある。そこで、これらの欠点を改善する目
的で、上記ポリエステル系樹脂と上記アクリル系樹脂を
混合して用いることが提案されている(特開昭58-12465
1 号)が、欠点の改善は十分とは言い難い。
【0004】更に、グラフト変性を中心とした種々の変
性ポリエステルを使用することも提案されている。例え
ば、特開平2-3307号、特開平2-171243号、特開平2-3100
48号では、水溶性あるいは水分散できる親水基含有ポリ
エステル樹脂に不飽和結合含有化合物をグラフト化させ
た樹脂が、ポリエステルフィルムのプライマーとして好
適であることが開示されている。しかし、この様に、ポ
リエステル樹脂中にあらかじめ共重合等で親水基を含有
させた樹脂のグラフト変性では、高度の接着性、耐水性
がない。
【0005】また、特開平3-273015号、特公平3-67626
号でも、ポリエステルのグラフト変性樹脂がポリエステ
ルフィルムのプライマーとして有用であることが開示さ
れている。しかし、これらの樹脂についても、凝集力に
乏しいため、乾燥状態での接着性は向上するものの湿潤
下での接着性は乏しく、特に2次加工、3次加工と多加
工になるにつれ、膜のはがれ、キズがつくなどの問題が
あるのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を解決する事を目的とし、優れた接着性、耐水性、耐溶
剤性を有する積層熱可塑性フィルムを提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、熱可塑性基材
フィルムの少なくとも片面に、疎水性ポリエステル系樹
脂に二重結合を有する酸無水物を含有するモノマーを少
なくとも1種含むことを特徴とする重合性不飽和単量体
がグラフトされたポリエステル系グラフト共重合体およ
び架橋結合剤を主な構成成分とする層を有することを特
徴とする積層熱可塑性フィルムにより上記目的が達成出
来る。本発明の好ましい実施態様においては、前記の層
がポリエステル系グラフト共重合体および架橋結合剤を
含む塗布液を未延伸または一軸延伸フィルムに塗布、乾
燥後、該塗布フィルムを更に、一軸またはそれ以上延伸
後、熱固定することによって形成された積層熱可塑性フ
ィルムである。本発明のさらに好ましい実施態様におい
ては、前記重合性不飽和単量体が少なくともマレイン酸
の無水物とスチレンの組み合わせを含有することであ
る。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明における自己架橋性ポリエ
ステル系グラフト共重合体の「グラフト化」とは、幹ポ
リマー主鎖に、主鎖とは異なる重合体からなる枝ポリマ
ーを導入することにある。
【0009】(グラフト重合体)本発明のグラフト重合
は、一般には、疎水性共重合ポリエステル樹脂を有機溶
剤中に溶解させた状態において、ラジカル開始剤および
ラジカル重合性単量体混合物を反応せしめることにより
実施される。グラフト化反応終了後の反応生成物は、所
望の疎水性共重合ポリエステル−ラジカル重合性単量体
混合物間のグラフト重合体の他に、グラフト化を受けな
かった疎水性共重合ポリエステル及び疎水性共重合ポリ
エステルにグラフト化しなかったラジカル重合体をも含
有しているが、本発明におけるグラフト重合体とは、こ
れらすべてが含まれる。
【0010】本発明において、疎水性共重合ポリエステ
ル樹脂にラジカル重合性単量体をグラフト重合させた反
応物の酸価は600eq/106 g以上であることが好
ましい。より好ましくは、反応物の酸価は1200eq
/106 g以上である。反応物の酸価が600eq/1
6 g未満である場合は、本発明の目的であるプライマ
ー処理材に被覆される層との接着性が十分とはいえな
い。
【0011】また、本発明の目的に適合する望ましい疎
水性共重合ポリエステル樹脂とラジカル重合性単量体の
重量比率は、ポリエステル/ラジカル重合性単量体=4
0/60〜95/5の範囲が望ましく、更に望ましくは
55/45〜93/7、最も望ましくは60/40〜9
0/10の範囲である。疎水性共重合ポリエステル樹脂
の重量比率が40重量%未満であるとき、ポリエステル
樹脂の優れた接着性を発揮することができない。一方、
疎水性共重合ポリエステル樹脂の重量比率が95重量%
より大きいときは、ポリエステル樹脂の欠点であるブロ
ッキングが起こりやすくなる。
【0012】本発明のグラフト重合反応物は、有機溶媒
の溶液または分散液、あるいは、水系溶媒の溶液または
分散液の形態になる。特に、水系溶媒の分散液つまり、
水分散樹脂の形態が、作業環境、塗布性の点で好まし
い。この様な水分散樹脂を得るには、通常、有機溶媒中
で、前記疎水性共重合ポリエステル樹脂に、親水性ラジ
カル重合性単量体を含むラジカル重合性単量体をグラフ
ト重合し、次いで、水添加、有機溶媒留去により達成さ
れる。本発明での水分散樹脂は、レーザー光散乱法によ
り測定される平均粒子系は500nm以下であり、半透
明ないし乳白色の外観を呈する。重合方法の調整によ
り、多様な粒子径の水分散樹脂が得られるが、この粒子
径は10〜500nmが適当であり、分散安定性の点
で、400nm以下が好ましく、より好ましくは300
nm以下である。500nmを越えると被覆膜表面の光
沢の低下がみられ、被覆物の透明性が低下し、10nm
未満では、本発明の目的である耐水性が低下するため、
好ましくない。
【0013】本発明における水分散樹脂の重合に使用す
る親水性ラジカル重合性単量体とは、親水基を有する
か、後で親水基に変化できる基を指す。親水基を有する
ラジカル重合性単量体として、カルボキシル基、水酸
基、リン酸基、亜リン酸基、スルホン酸基、アミド基、
第4級アンモニウム塩基等を含むラジカル重合性単量体
を挙げることができる。一方、親水基に変化できるラジ
カル重合性単量体として、酸無水物基、グリシジル基、
クロル基などを挙げることができる。これらの中で、水
分散性の点から、カルボキシル基が好ましく、カルボキ
シル基を有するか、カルボキシル基を発生する基を有す
るラジカル重合性単量体が好ましい。本発明の酸価を上
げる点で、カルボキシル基を含有しているか、カルボキ
シル基を発生するラジカル重合性単量体が含まれている
ほうが好ましい。
【0014】グラフト共重合体のガラス転移温度は、特
に規制は無いが好ましくは30℃以下である。ガラス転
移温度が30℃以下のグラフト共重合体を接着改質層に
用いることにより、特に接着性に優れた積層ポリエステ
ルフィルムが得られる。
【0015】(ポリエステル)本発明において、共重合
ポリエステルは疎水性であるのが好ましく、共重合ポリ
エステル樹脂とは、本来それ自身で水に分散または溶解
しない本質的に水不溶性である必要がある。水に分散す
るまたは溶解するポリエステル樹脂を、グラフト重合に
使用すると、本発明の目的である接着性、耐水性が悪く
なる。
【0016】この疎水性共重合ポリエステル樹脂のジカ
ルボン酸成分の組成は、芳香族ジカルボン酸60〜9
9.5モル%、脂肪族ジカルボン酸および/または脂環
族ジカルボン酸0〜40モル%、重合性不飽和二重結合
を含有するジカルボン酸0.5〜10モル%であること
が好ましい。芳香族ジカルボン酸が60モル%未満であ
る場合や脂肪族ジカルボン酸および/または脂環族ジカ
ルボン酸が40モル%を越えた場合は、接着強度が低下
する。
【0017】また、重合性不飽和二重結合を含有するジ
カルボン酸が0.5モル%未満の場合、ポリエステル樹
脂に対するラジカル重合性単量体の効率的なグラフト化
が行われにくくなり、逆に10モル%を越える場合は、
グラフト化反応の後期に余りにも粘度が上昇し、反応の
均一な進行を妨げるので好ましくない。より好ましく
は、芳香族ジカルボン酸は70〜98モル%、脂肪族ジ
カルボン酸および/または脂環族ジカルボン酸0〜30
モル%、重合性不飽和二重結合を含有するジカルボン酸
2〜7モル%である。
【0018】芳香族ジカルボン酸の例としては、テレフ
タル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジ
カルボン酸、ビフェニルジカルボン酸等を挙げることが
できる。5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の親水基
含有ジカルボン酸は、本発明の目的である耐水性が低下
する点で、用いない方が好ましい。脂肪族ジカルボン酸
としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバ
シン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸等を挙げること
ができ、脂環族ジカルボン酸としては、1,4−シクロ
ヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカル
ボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸とその酸
無水物等を挙げることができる。
【0019】重合性不飽和二重結合を含有するジカルボ
ン酸の例としては、α、β−不飽和ジカルボン酸とし
て、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン
酸、シトラコン酸、不飽和二重結合を含有する脂環族ジ
カルボン酸として、2,5−ノルボルネンジカルボン酸
無水物、テトラヒドロ無水フタル酸等を挙げることがで
きる。このうち好ましいのは、重合性の点から、フマル
酸、マレイン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸で
ある。
【0020】一方、グリコール成分は、炭素数2〜10
の脂肪族グリコールおよび/または炭素数6〜12の脂
環族グリコールおよび/またはエーテル結合含有グリコ
ールよりなるが、炭素数2〜10の脂肪族グリコールと
しては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリ
コール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジ
オール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリ
コール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,
5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−
エチル−2−ブチルプロパンジオール等を挙げることが
でき、炭素数6〜12の脂環族グリコールとしては、
1,4−シクロヘキサンジメタノール等を挙げることが
できる。
【0021】エーテル結合含有グリコールとしては、ジ
エチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロ
ピレングリコール、さらにビスフェノール類の二つのフ
ェノール性水酸基に、エチレンオキサイドまたはプロピ
レンオキサイドを付加して得られるグリコール類、例え
ば2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プ
ロパンなどを挙げることができる。ポリエチレングリコ
ール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレン
グリコールも必要により使用しうる。
【0022】本発明で使用される共重合ポリエステル樹
脂中に、0〜5モル%の3官能以上のポリカルボン酸お
よび/またはポリオールを共重合することができるが、
3官能以上のポリカルボン酸としては、(無水)トリメ
リット酸、(無水)ピロメリット酸、(無水)ベンゾフ
ェノンテトラカルボン酸、トリメシン酸、エチレングリ
コールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロー
ルトリス(アンヒドロトリメリテート)等が使用され
る。一方、3官能以上のポリオールとしては、グリセリ
ン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、
ペンタエリスリトール等が使用される。3官能以上のポ
リカルボン酸および/またはポリオールは、全酸成分あ
るいは全グリコール成分に対し0〜5モル%、望ましく
は0〜3モル%の範囲で共重合されるが、5モル%を越
えると重合時のゲル化が起こりやすく、好ましくない。
【0023】また、疎水性共重合ポリエステル樹脂の分
子量は、重量平均で5000〜50000 の範囲が好ましい。分
子量が5000未満の場合は接着強度の低下があり、逆に50
000を越えると重合時のゲル化等の問題が起きてしま
う。
【0024】(重合性不飽和単量体含有ポリマー)本発
明の重合性不飽和単量体を例示するフマル酸、フマル酸
モノエチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチルなど
のフマル酸のモノエステルまたはジエステルマレイン酸
とその無水物、マレイン酸モノエチル、マレイン酸ジエ
チル、マレイン酸ジブチルなどのマレイン酸のモノエス
テルまたはジエステル、イタコン酸とその無水物、イタ
コン酸のモノエステルまたはジエステル、フェニルマレ
イミド等のマレイミド等また、スチレン、α−メチルス
チレン、t−ブチルスチレン、クロロメチルスチレンな
どのスチレン誘導体、ビニルトルエン、ジビニルベンゼ
ンなどである。
【0025】またアクリル重合性単量体は、例えば、ア
ルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキ
ル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イ
ソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチ
ル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、フェ
ニル基、ベンジル基、フェニルエチル基等):2−ヒド
ロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタ
クリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2
−ヒドロキシプロピルメタクリレートのヒドロキシ含有
アクリル単量体:アクリルアミド、メタクリルアミド、
N−メチルメタクリルアミド、N−メチルアクリルアミ
ド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメ
タクリルアミド、N,N−ジメチロールアクリルアミ
ド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシ
メチルメタクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド
のアミド基含有アクリル単量体:N,N−ジエチルアミ
ノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル
メタクリレートのアミノ基含有アクリル単量体:グリシ
ジルアクリレート、グリシジルメタクリレートのエポキ
シ基含有アクリル単量体:アクリル酸、メタクリル酸及
びそれらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウ
ム塩)等のカルボキシル基またはその塩を含有するアク
リル単量体が挙げられる。好ましくは、マレイン酸無水
物とそのエステルである。上記モノマーは1種もしくは
2種以上を用いて共重合させることが出来る。
【0026】本発明のグラフト重合は、一般には、疎水
性共重合ポリエステル樹脂を有機溶剤中に溶解させた状
態において、ラジカル開始剤およびラジカル重合性単量
体混合物を反応せしめることにより実施される。グラフ
ト化反応終了後の反応生成物は、所望の疎水性共重合ポ
リエステル−ラジカル重合性単量体混合物間のグラフト
重合体の他に、グラフト化を受けなかった疎水性共重合
ポリエステル及び疎水性共重合ポリエステルにグラフト
化しなかったラジカル重合体をも含有しているが、本発
明におけるグラフト重合体とは、これらすべてが含まれ
る。
【0027】(重合開始剤およびその他添加剤)本発明
で用い得るグラフト重合開始剤としては、当業者には公
知の有機過酸化物類や有機アゾ化合物類を用い得る。有
機過酸化物として、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブ
チルパーオキシピバレート、有機アゾ化合物として、
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−ア
ゾビス(2,4−ジメチルパレロニトリル)などを挙げ
ることが出来る。
【0028】グラフト重合を行うための重合開始剤の使
用量は、重合性モノマーに対して、少なくとも0.2重
量%以上、好ましくは0.5重量%以上である。重合開
始剤の他に、枝ポリマーの鎖長を調節するための連鎖移
動剤、例えばオクチルメルカプタン、メルカプトエタノ
ール、3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソールなど
を必要に応じて用い得る。この場合、重合性モノマーに
対して0〜5重量%の範囲で添加されるのが望ましい。
【0029】(反応溶媒)本発明の実施のためのグラフ
ト化反応溶媒は沸点が50〜250℃の水性有機溶媒か
ら構成されることが好ましい。ここで水性有機溶媒とは
20℃における水に対する溶解性が少なくとも10g/
L以上、望ましくは20g/L以上であるものをいう。
沸点が250℃を越えるものは、余りに蒸発速度がおそ
く、塗膜の高温焼付によっても充分に取り除くことが出
来ないので不適当である。また沸点が50℃以下では、
それを溶媒としてグラフト化反応を実施する場合、50
℃以下の温度でラジカルに解裂する開始剤を用いねばな
らないので取扱上の危険が増大し、好ましくない。
【0030】共重合ポリエステル樹脂をよく溶解しかつ
カルボキシル基含有重合性単量体を含む重合性単量体混
合物およびその重合体を比較的良く溶解する第一群の水
性有機溶媒としては、エステル類例えば酢酸エチル、ケ
トン類例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケ
トン、シクロヘキサノン、環状エ−テル類例えばテトラ
ヒドロフラン、ジオキサン、1,3-ジオキソラン、グリコ
−ルエ−テル類例えばエチレングリコールジメチルエー
テル、プロピレングリコ−ルメチルエ−テル、プロピレ
ングリコ−ルプロピルエ−テル、エチレングリコールエ
チルエーテル、エチレングリコ−ルブチルエ−テル、カ
ルビトール類例えばメチルカルビト−ル、エチルカルビ
ト−ル、ブチルカルビト−ル、グリコ−ル類若しくはグ
リコ−ルエ−テルの低級エステル類例えばエチレングリ
コ−ルジアセテ−ト、エチレングリコールエチルエーテ
ルアセテート、ケトンアルコール類例えばダイアセトン
アルコール、更にはN−置換アミド類例えばジメチルホ
ルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリ
ドン等を例示する事が出来る。
【0031】これに対し、共重合ポリエステル樹脂をほ
とんど溶解しないがカルボキシル基含有重合性単量体を
含む重合性単量体混合物およびその重合体を比較的よく
溶解する第二群の水性有機溶媒として、水、低級アルコ
ール類、低級カルボン酸類、低級アミン類などを挙げる
ことが出来るが、本発明の実施に特に好ましいものとし
ては炭素数1〜4のアルコール類およびグリコール類で
ある。
【0032】グラフト化反応を単一溶媒で行なう場合
は、第一群の水性有機溶媒からただ一種を選んで行なう
ことが出来る。混合溶媒で行なう場合は第一群の水性有
機溶媒からのみ複数種選ぶ場合と、第一群の水性有機溶
媒から少なくとも一種を選びそれに第二群の水性有機溶
媒から少なくとも一種を加える場合がある。
【0033】グラフト重合反応溶媒を第一群の水性有機
溶媒からの単一溶媒とした場合と、第一群および第二群
の水性有機溶媒のそれぞれ一種からなる混合溶媒とした
場合のいずれにおいてもグラフト重合反応を行なうこと
ができる。しかし、グラフト化反応の進行挙動、グラフ
ト化反応生成物およびそれから導かれる水分散体の外
観、性状などに差異がみられ、第一群および第二群の水
性有機溶媒のそれぞれ一種からなる混合溶媒を使用する
方が好ましい。
【0034】第一群の溶媒中では共重合ポリエステル分
子鎖は広がりの大きい鎖ののびた状態にあり、一方第一
群/第二群の混合溶媒中では広がりの小さい糸まり状に
絡まった状態にあることがこれら溶液中の共重合ポリエ
ステルの粘度測定により確認された。共重合ポリエステ
ルの溶解状態を調節し分子間架橋を起こりにくくするこ
とがゲル化防止に有効である。効率の高いグラフト化と
ゲル化抑制の両立は後者の混合溶媒系において達成され
る。第1群/第2群の混合溶媒の重量比率はより望まし
くは95/5〜10/90さらに望ましくは90/10
〜20/80、最も望ましくは85/15〜30/70
の範囲である。最適の混合比率は使用するポリエステル
の溶解性などに応じて決定される。
【0035】(水分散化)本発明にかかわるグラフト化
反応生成物は塩基性化合物で中和することが好ましく、
中和することによって容易に水分散化することが出来
る。塩基性化合物としては塗膜形成時、或は硬化剤配合
による焼付硬化時に揮散する化合物が望ましく、アンモ
ニア、有機アミン類などが好適である。望ましい化合物
の例としては、トリエチルアミン、N,N-ジエチルエタノ
ールアミン、N,N-ジメチルエタノ−ルアミン、アミノエ
タノールアミン、N-メチル-N,N- ジエタノールアミン、
イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、エチ
ルアミン、ジエチルアミン、3-エトキシプロピルアミ
ン、3-ジエチルアミノプロピルアミン、sec-ブチルアミ
ン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、ジ
メチルアミノプロピルアミン、メチルイミノビスプロピ
ルアミン、3-メトキシプロピルアミン、モノエタノール
アミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンな
どを挙げることが出来る。
【0036】塩基性化合物は、グラフト化反応生成物中
に含まれるカルボキシル基含有量に応じて、少くとも部
分中和、若しくは、完全中和によって水分散体のPH値
が5.0−9.0の範囲であるように使用するのが望ま
しい。沸点が100℃以下の塩基性化合物を使用した場
合であれば、乾燥後の塗膜中の残留塩基性化合物も少な
く、金属や無機蒸着膜の接着性や他材料と積層した時の
耐水性や耐熱水接着性が優れる。また100℃以上の塩
基性化合物使用した場合や乾燥条件を制御し、乾燥後の
塗膜中に塩基化合物を500ppm以上残留させること
により、印刷インクの転移性が向上する。
【0037】本発明により生成される水系分散体では、
ラジカル重合性単量体の重合物の重量平均分子量は500-
50000 であるのが好ましい。ラジカル重合性単量体の重
合物の重量平均分子量を500 以下にコントロールするこ
とは一般に困難であり、グラフト効率が低下し、共重合
ポリエステルへの親水性基の付与が十分に行なわれない
傾向がある。また、ラジカル重合性単量体のグラフト重
合物は分散粒子の水和層を形成するが、十分な厚みの水
和層をもたせ、安定な分散体を得るためにはラジカル重
合性単量体のグラフト重合物の重量平均分子量は500 以
上であることが望ましい。またラジカル重合性単量体の
グラフト重合物の重量平均分子量の上限は溶液重合にお
ける重合性の点で50000 が好ましい。この範囲内での分
子量のコントロールは開始剤量、モノマー滴下時間、重
合時間、反応溶媒、モノマー組成あるいは必要に応じて
連鎖移動剤や重合禁止剤を適宜組み合わせることにより
行なうことが出来る。
【0038】本発明において、疎水性共重合ポリエステ
ル樹脂にラジカル重合性単量体をグラフト重合させた反
応物は、自己架橋性を有する。常温では架橋しないが、
乾燥時の熱で、熱ラジカルによる水素引き抜き反応等の
分子間反応を行い、架橋剤なしで架橋する。これにより
初めて、本発明の目的である接着性、耐水性を発現でき
る。塗膜の架橋性については、様々の方法で評価できる
が、疎水性共重合ポリエステル樹脂およびラジカル重合
体の両方を溶解するクロロホルム溶媒での不溶分率で調
べることができる。80℃以下で乾燥し、120℃で5
分間熱処理して得られる塗膜の不溶分率が、好ましくは
50%以上、より好ましくは70%以上である。塗膜の
不溶分率が50%未満の場合は、接着性、耐水性が十分
でないばかりでなく、ブロッキングも起こしてしまう。
【0039】本発明は上記自己架橋性ポリエステル系グ
ラフト共重合体にさらに架橋結合剤を添加することによ
り高度な接着性、耐水性、耐溶剤性を付与する物であ
る。架橋結合剤としては、前記重合性不飽和単量体がグ
ラフトされた自己架橋性ポリエステル系グラフト共重合
体に存在する官能基などと熱や光で架橋反応をし、最終
的には3次元網目構造を形成しうる物であり特に限定さ
れない。
【0040】架橋結合剤としては、アルキル化フェノー
ル類、クレゾール類などのホルムアルデヒドとの縮合物
のフェノールホルムアルデヒド樹脂;尿素、メラミン、
ベンゾグアナミンなどとホルムアルデヒドとの付加物、
この付加物と炭素原子数が1〜6のアルコールからなる
アルキルエーテル化合物などのアミノ樹脂;多官能性エ
ポキシ化合物;多官能性イソシアネート化合物;ブロッ
クイソシアネート化合物;多官能性アジリジン化合物;
オキサゾリン化合物などを用い得る。
【0041】フェノールホルムアルデヒド樹脂として
は、例えば、アルキル化(メチル、エチル、プロピル、
イソプロピルまたはブチル)フェノール、p−tert
−アミルフェノール、4,4’−sec−ブチリデンフ
ェノール、p−tert−ブチルフェノール、o−、m
−、p−クレゾール、p−シクロヘキシルフェノール、
4,4’−イソプロピリデンフェノール、p−ノニルフ
ェノール、p−オクチルフェノール、3−ペンタデシル
フェノール、フェノール、フェニルo−クレゾール、p
−フェニルフェノール、キシレノールなどのフェノール
類とホルムアルデヒドとの縮合物を挙げることができ
る。
【0042】アミノ樹脂としては、例えば、メトキシ化
メチロール尿素、メトキシ化メチロールN,N−エチレ
ン尿素、メトキシ化メチロールジシアンジアミド、メト
キシ化メチロールメラミン、メトキシ化メチロールベン
ゾグアナミン、ブトキシ化メチロールメラミン、ブトキ
シ化メチロールベンゾグアナミンなどが挙げられるが好
ましくはメトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メ
チロールメラミン、およびメチロール化ベンゾグアナミ
ンなどを挙げることができる。
【0043】多官能性エポキシ化合物としては、例え
ば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびそ
のオリゴマー、水素化ビスフェノールAのジグリシジル
エーテルおよびそのオリゴマー、オルソフタル酸ジグリ
シジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、
テレフタル酸ジグリシジルエステル、p−オキシ安息香
酸ジグリシジルエステル、テトラハイドロフタル酸ジグ
リシジルエステル、ヘキサハイドロフタル酸ジグリシジ
ルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、アジピン
酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエス
テル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロ
ピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタ
ンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジ
オールジグリシジルエーテルおよびポリアルキレングリ
コールジグリシジルエーテル類、トリメリット酸トリグ
リシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、
1,4−ジグリシジルオキシベンゼン、ジグリシジルプ
ロピレン尿素、グリセロールトリグリシジルエーテル、
トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペン
タエリスリトールトリグリシジルエーテル、グリセロー
ルアルキレンオキサイド付加物のトリグリシジルエーテ
ルなどを挙げることができる。
【0044】多官能性イソシアネート化合物としては、
低分子または高分子の芳香族、脂肪族のジイソシアネー
ト、3価以上のポリイソシアネートを用い得る。ポリイ
ソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネー
ト、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソ
シアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素
化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイ
ソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イ
ソホロンジイソシアネート、およびこれらのイソシアネ
ート化合物の3量体がある。さらに、これらのイソシア
ネート化合物の過剰量と、エチレングリコール、プロピ
レングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリ
ン、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノール
アミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンな
どの低分子活性水素化合物、またはポリエステルポリオ
ール類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類など
の高分子活性水素化合物とを反応させて得られる末端イ
ソシアネート基含有化合物を挙げることができる。
【0045】ブロック化イソシアネートは上記イソシア
ネート化合物とブロック化剤とを従来公知の適宜の方法
より付加反応させて調製し得る。イソシアネートブロッ
ク化剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、キ
シレノール、レゾルシノール、ニトロフェノール、クロ
ロフェノールなどのフェノール類;チオフェノール、メ
チルチオフェノールなどのチオフェノール類;アセトキ
シム、メチルエチケトオキシム、シクロヘキサノンオキ
シムなどのオキシム類;メタノール、エタノール、プロ
パノール、ブタノールなどのアルコール類;エチレンク
ロルヒドリン、1,3−ジクロロ−2−プロパノールな
どのハロゲン置換アルコール類;t−ブタノール、t−
ペンタノールなどの第3級アルコール類;ε−カプロラ
クタム、δ−バレロラクタム、ν−ブチロラクタム、β
−プロピルラクタムなどのラクタム類;芳香族アミン
類;イミド類;アセチルアセトン、アセト酢酸エステ
ル、マロン酸エチルエステルなどの活性メチレン化合
物;メルカプタン類;イミン類;尿素類;ジアリール化
合物類;重亜硫酸ソーダなどを挙げることができる。
【0046】これら架橋剤結合は、それぞれ単独または
2種以上混合して用い得る。架橋結合剤の配合量は、グ
ラフト化共重合体100重量部に対して、1重量部〜4
0重量部が好ましい。架橋結合剤の配合方法としては、
(1)架橋剤が水溶性である場合、直接グラフト共重合
体の水系溶媒溶液または分散液中に溶解または分散させ
る方法、または(2)架橋剤が油溶性である場合、グラ
フト化反応終了後、反応液に添加する方法がある。これ
らの方法は、架橋剤の種類、性状により適宜選択し得
る。さらに架橋結合剤には、硬化剤あるいは促進剤を併
用し得る。
【0047】上記自己架橋性ポリエステル系グラフト共
重合体および架橋結合剤の組み合わせは、そのままで本
発明に用い接着改質層を形成し得るが、他の目的から汎
用のポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル樹
脂、それらの共重合体、各種水溶性樹脂、等や各種機能
性樹脂、例えばポリアニリンやポリピロール等の導電性
樹脂や抗菌性樹脂、紫外線吸収性樹脂、ガスバリアー性
樹脂を混合して接着改質層を形成してももかまわない。
【0048】接着改質層に、さらに本発明の効果を損な
わない範囲で、各種界面活性剤、帯電防止剤、無機滑
剤、有機滑剤、抗菌剤、光酸化触媒、紫外線吸収剤、等
の添加剤を含有させることができる。
【0049】塗布液としては、接着改質層を構成する自
己架橋性ポリエステル系グラフト共重合体および架橋結
合剤の有機溶媒溶液または分散液、あるいは、水系溶媒
溶液または水系溶媒分散液を用い得る。特に、水溶液ま
たは分散液が、環境に対して問題となる有機溶媒を用い
ない点で好ましい。有機溶媒あるいは水系溶媒中の自己
架橋性ポリエステル系グラフト共重合体および架橋結合
剤の固形分含有量は、通常、1重量%〜50重量%、好
ましくは3重量%〜30重量%である。
【0050】塗布後のグラフト共重合体の乾燥条件は特
に規制は無いが、該グラフト共重合体のもつ自己架橋性
を発現するためには、基材フィルム及び該グラフト共重
合体に熱劣化が起こらない範囲内で、熱量を多くする条
件が好ましい。具体的には80℃〜250℃、さらに好
ましくは150℃〜220℃である。ただし乾燥時間を
長くすることにより、比較的低い温度でも、十分な自己
架橋性を発現するため、上記の条件に限らない。
【0051】接着改質層を形成するために、自己架橋性
ポリエステル系グラフト共重合体および架橋結合剤を含
む塗布液を熱可塑性フィルム基材に塗布する方法として
は、グラビア方式、リバース方式、ダイ方式、バー方
式、ディップ方式などの公知の塗布方式を用い得る。
【0052】塗布液の塗布量は、固形分として0.00
5〜5g/m2 、好ましくは、0.02〜0.5g/m
2 である。塗布量が0.005g/m2 以下になると、
接着改質層との十分な接着強度が得られない。5g/m
2 以上になるとブロッキングが発生し、実用上問題があ
る。
【0053】接着改質層は、二軸延伸後の熱可塑性フィ
ルム基材に上記塗布液を塗布しても良いし、未延伸ある
は一軸延伸後の熱可塑性フィルム基材に上記塗布液を塗
布した後、乾燥し、必要に応じて、さらに一軸延伸ある
いは二軸延伸後熱固定を行っても良い。
【0054】未延伸あるは一軸延伸後のポリアミドフィ
ルム基材に上記塗布液を塗布した後、乾燥、延伸する場
合、塗布後の乾燥温度はその後の延伸に影響しない範囲
の条件で乾燥する必要があり、ポリアミド基材の場合、
水分率を2%以下にして延伸し、その後200℃以上で
熱固定を行うことにより塗膜が強固になり、接着改質層
とポリエステルフィルム基材との接着性が飛躍的に向上
する。水分率が2%以上になると乾燥温度にもよるが、
結晶化が起こり安くなり、平面性の悪化や延伸性が損な
われる場合がある。
【0055】二軸延伸熱可塑性フィルム基材に塗布する
場合、熱可塑性フィルム基材と接着改質層との接着性を
さらに良くする為、熱可塑性フィルム基材にコロナ処
理、火炎処理、電子線照射等による表面処理をしてもよ
い。下記塗布後延伸する場合でも同様の処理により効果
が得られる。
【0056】本発明の積層熱可塑性フィルム基材の接着
改質層は各種材料と良好な接着性を有するが、さらに接
着性や印刷性をよくするために、該接着改質層にさらに
コロナ処理、火炎処理、電子線照射等による表面処理を
しても良い。
【0057】本発明で得られた積層熱可塑性フィルム基
材の接着改質層は広範囲の用途で良好な接着強度が得ら
れる。具体的には、印刷インキやUVインキ、ドライラ
ミネートや押し出しラミネート等の接着剤、金属あるい
は無機物またはそれらの酸化物の真空蒸着、電子ビーム
蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CV
D、プラズマ重合等で得られる薄膜層や酸素吸湿剤層、
有機バリアー層、インクジェット受像層等があげられ
る。
【0058】実施例 以下、本発明を実施例を用いて説明する。実施例中、単
に部とあるのは重量部を表し、%とあるのは重量%を示
す。各測定項目は以下の方法に従った。
【0059】1)接着性評価 (積層体の作成)各実施例、比較例で得られた積層熱可
塑性フィルムの接着改質層、またはコロナ処理面上にグ
ラビアインキ(ラミエース61白二液タイプ、東洋イン
キ社製)をグラビア印刷して印刷インキ層を形成し、次
いで接着剤AD585/CAT−10(東洋モートン社
製)を2g/m2 塗布した後、常法に従って未延伸ポリ
プロピレンフィルム、60μm(P1120、東洋紡績
製)をドライラミネート法にて貼り合わせシーラント層
を設け、熱可塑性フィルム積層体を得た。常態保存(乾
燥時および湿潤時)と90℃熱水中における剥離強度を
測定した。測定条件は、引張速度100mm/分での9
0°剥離試験結果である。
【0060】(共重合ポリエステルの調製)撹拌機、温
度計、および部分還流式冷却器を具備したステンレスス
チール製オートクレーブに、ジメチルテレフタレート3
45部、1,4ブタンジオール211部、エチレングリ
コール270部、およびテトラ−n−ブチルチタネート
0.5部を仕込み、160℃から220℃まで、4時間
かけてエステル交換反応を行った。次いで、フマル酸1
4部およびセバシン酸160部を加え、200℃から2
20℃まで1時間かけて昇温し、エステル化反応を行っ
た。次いで255℃まで昇温し、反応系を徐々に減圧し
た後、0.22mmHgの減圧下で1時間30分反応さ
せ、共重合ポリエステルを得た。得られたポリエステル
は、重量平均分子量20000、淡黄色透明であった。
【0061】(自己架橋性ポリエステル系グラフト共重
合体)撹拌機、温度計、還流装置と定量滴下装置を備え
た反応器に、上記共重合ポリエステル樹脂75部、メチ
ルエチルケトン56部およびイソプロピルアルコール1
9部を入れ、65℃で加熱、撹拌し、樹脂を溶解した。
樹脂が完溶した後、無水マレイン酸15部をポリエステ
ル溶液に添加した。次いで、スチレン10部、およびア
ゾビスジメチルバレロニトリル1.5部を12部のメチ
ルエチルケトンに溶解した溶液を0.1ml/minで
ポリエステル溶液中に滴下し、さらに2時間撹拌を続け
た。反応溶液から分析用のサンプリングを行った後、メ
タノール5部を添加した。次いで、水300部とトリエ
チルアミン15部を反応溶液に加え、1時間撹拌した。
その後、反応器内温を100℃に上げ、メチルエチルケ
トン、イソプロピルアルコール、過剰のトリエチルアミ
ンを蒸留により留去し、水分散グラフト重合樹脂を得
た。該水分散グラフト樹脂は淡黄色透明で、ガラス転移
温度−10℃であった。
【0062】(実施例1)該水分散グラフト樹脂と架橋
結合剤としてオキサゾリン基含有水溶性ポリマーである
「エポクロスWS−500」(日本触媒社製)とを重量
比で95:5、固形分濃度10%になるように水:イソ
プロピルアルコール=9:1(重量比)で希釈して塗布
液を調整した。ナイロン6レジンを280℃で溶融押出
しし、15℃の冷却ロールで冷却して厚さ185μmの
未延伸フィルムを得、この未延伸フィルムを周速の異な
る85℃の一対のロール間で縦方向に3.5倍延伸し
た。次いで前記塗布液をロールコーター方式で塗布し、
70℃の熱風で乾燥し、次いでテンター温度100℃で
横方向に3.5倍延伸し、さらに200〜220℃で熱
固定し厚さ15μmの二軸延伸積層ポリアミドフィルム
を得た。最終的なコート剤塗布量は0.07g/m 2
あった。
【0063】(実施例2)ポリエチレンテレフタレート
を280℃で溶融押出しし、15℃の冷却ロールで冷却
して厚さ100μmの未延伸フィルムを得、この未延伸
フィルムを周速の異なる85℃の一対のロール間で縦方
向に3.5倍延伸した。次いで実施例1の塗布液をロー
ルコーター方式で塗布し、70℃の熱風で乾燥し、次い
でテンターで98℃横方向に3.5倍延伸し、さらに2
00〜210℃熱固定し厚さ12μmの二軸延伸積層ポ
リエステルフィルムを得た。最終的なコート剤塗布量は
0.08g/m2 であった。
【0064】(実施例3)撹拌機、温度計、還流装置と
定量滴下装置を備えた反応器に上記共重合ポリエステル
樹脂75部、メチルエチルケトン56部およびイソプロ
ピルアルコール19部を入れ、65℃で加熱、撹拌し、
樹脂を溶解した。樹脂が完溶した後、無水マレイン酸1
5部をポリエステル溶液に添加した。次いで、スチレン
10部、およびアゾビスジメチルバレロニトリル1.5
部を12部のメチルエチルケトンに溶解した溶液を0.
1ml/minでポリエステル溶液中に滴下した。滴下
後さらに2時間撹拌を続け、溶剤型グラフト重合樹脂を
得た。得られた溶剤型グラフト重合樹脂のガラス転移温
度は−10℃であった。この溶剤型グラフト共重合樹脂
と架橋結合剤としてイソシアネート化合物である「コロ
ーネートHL」(日本ポリウレタン工業社製)を重量比
で95:5、固形分濃度5%になるようにメチルエチル
ケトンで希釈してプライマー塗布液を調製した。次いで
東洋紡績株式会社製の厚さ12μmの二軸延伸ポリエス
テルフィルム上にロールコーターで塗布し、次いで15
0℃で乾燥し積層ポリエステルフィルムを得た。最終的
なコート剤塗布量は0.15g/m2 であった。
【0065】(比較例1)前記実施例1の塗布液を水分
散グラフト樹脂のみを固形分濃度10%になるように
水:イソプロピルアルコール=9:1(重量比)で希釈
した塗布液とし、それ以外は実施例1と同様に実施して
厚さ15μmの二軸延伸コーティングポリアミドフィル
ムを得た。最終的なコート剤塗布量は0.07g/m2
であった。
【0066】(比較例2)前記実施例2の塗布液を比較
例1の塗布液とし、それ以外は実施例2と同様に実施し
て厚さ12μmの二軸延伸コーティングポリエステルフ
ィルムを得た。最終的なコート剤塗布量は0.08g/
2 であった。
【0067】(比較例3)東洋紡績株式会社製の厚さ1
5μmの二軸延伸ポリアミドフィルムを使用した。
【0068】(比較例4)東洋紡績株式会社製の厚さ1
2μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを使用した。
【0069】
【発明の効果】本発明は自己架橋性ポリエステル系グラ
フト共重合体および架橋結合剤とを構成成分とする層を
熱可塑性フィルム上に設けたることにより優れた接着
性、耐水性、耐溶剤性を有する積層熱可塑性フィルムが
得られる。
【0070】
【表1】

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性フィルム基材の少なくとも片面
    に、ポリエステル系樹脂に二重結合を有する酸無水物を
    含有するモノマーを少なくとも1種含む重合性不飽和単
    量体がグラフトされたポリエステル系グラフト共重合体
    および架橋結合剤を含有する層を積層したことを特徴と
    する積層熱可塑性フィルム。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の層が、ポリエステル系グ
    ラフト共重合体および架橋結合剤を含む塗布液を、未延
    伸または一軸延伸フィルムに塗布、乾燥後、該フィルム
    を更に、一軸またはそれ以上延伸後、熱固定することに
    よって形成されたことを特徴とする積層熱可塑性フィル
    ム。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の前記重合性不飽和単量体
    が少なくともマレイン酸の無水物とスチレンを含有する
    ことを特徴とする積層ポリアミドフィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002200720A (ja) * 2000-12-28 2002-07-16 Toyobo Co Ltd レンズシート用フィルムおよび該フィルムを用いたレンズシート

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