JP3800379B2 - 易滑性、易接着性積層ポリアミドフィルム - Google Patents
易滑性、易接着性積層ポリアミドフィルム Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生鮮食品、加工食品、医薬品、医療機器、電子部品等の包装用フィルムにおいて重要な特性とされる接着性、透明性さらには滑り性を兼ね備えた易滑性、易接着性ポリアミドフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ポリアミド系樹脂フィルムは靭性や耐屈曲性等を含めた機械的特性、光学特性、熱的特性、ガスバリアー性等に優れているため、包装用途を始めとして様々な用途に広く用いられている。そのうち例えばポリアミドフィルムを包装袋として使用する際には、一般的には二軸延伸ポリアミドフィルムの少なくとも片面に必要に応じて印刷や有機バリアー層、無機あるいは金属蒸着層を施し、さらに接着剤を設けた上へ、ドライラミネート法によってシーラント層を設けるか、あるいは押出ラミネート法によりシーラント層を設けるなどしてポリアミドフィルムの積層体とし、該積層体を用いて袋を作成し内容物を充填後開口部をヒートシールして、たとえば味噌や醤油などの調味料、スープやレトルト食品等の水分含有食品あるいは薬品など包装して一般消費者に提供している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが上記従来のポリアミドフィルムには、ポリアミド系樹脂自体の特性に由来する吸湿性が高いという難点があるため、高湿度環境下で使用すると吸湿して接触面積が増大することにより滑り性が低下し、加工時の取扱い作業性を著しく害するという問題点がある。さらには吸湿による積層体各層への水分の浸入により、層間の接着力が著しく低下し、包装袋として使用した場合、破袋の原因となる。例えばレトルト食品を沸水処理あるいは、レトルト処理する際は一層破袋しやすくなる。
【0004】
コート剤として、数多くの材料が提案されており、中でも、ポリエステルを中心とした比較的極性が高いフィルムに対しては、水溶性あるいは水分散性のポリエステル系樹脂あるいはアクリル系樹脂を用いることが提案されている。(特開昭54-43017号、特公昭49-10243号、特開昭52-19786号、特開昭52-19787号等)
しかし、これらをポリアミドフィルムに応用した場合、上記ポリエステル系樹脂はフィルムを巻いてロールとしたとき、ブロッキングを起こしやすいという欠点があり、また上記アクリル系樹脂はフィルム及びプライマー層に被覆される層との接着性に劣るという欠点がある。そこで、これらの欠点を改善する目的で、上記ポリエステル系樹脂と上記アクリル系樹脂を混合して用いることが提案されている(特開昭58-124651 号)が、欠点の改善は十分とは言い難い。
更に、グラフト変性を中心とした種々の変性ポリエステルを使用することも提案されている。例えば、特開平2-3307号、特開平2-171243号、特開平2-310048号では、水溶性あるいは水分散できる親水基含有ポリエステル樹脂に不飽和結合含有化合物をグラフト化させた樹脂が、ポリエステルフィルムのプライマーとして好適であることが開示されている。しかし、この様に、ポリエステル樹脂中にあらかじめ共重合等で親水基を含有させた樹脂のグラフト変性では、高度の接着性、耐水性がない。
また、特開平3-273015号、特公平3-67626 号でも、ポリエステルのグラフト変性樹脂がポリエステルフィルムのプライマーとして有用であることが開示されている。しかし、これらの樹脂についても、ポリアミドフィルムで使用した場合、凝集力に乏しいため、乾燥状態での接着性は向上するものの湿潤下での接着性は乏しく、特に2次加工、3次加工と多加工になるにつれ、膜のはがれ、キズがつくなどの問題があるのが現状である。
そこで本発明においては上記問題点を解決することを目的とし、ポリアミドフィルム積層体における各層間の接着性が良好であると同時にフィルム層間剥離の生じにくい、さらには湿潤時においても滑り性、及び接着性に優れる積層ポリアミドフィルムについて検討した。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために本発明のポリアミド系樹脂積層フィルムは、ナイロン中にメタキシリレンジアミン成分を含んだポリアミド(A)を60〜99重量%と脂肪族ポリアミド(B)を40−1重量%の混合物から成る表面層(X)とメタキシリレンジアミン成分を含んだポリアミド(A)を0−15重量%と脂肪族ポリアミド(C)を100〜85重量%の混合物から成る中間層(Y)より形成されたX/Y/Xの構造を有することを特徴とし、上記積層体の少なくとも片面に、疎水性ポリエステル系樹脂に少なくとも1種以上の重合性不飽和単量体がグラフトされた自己架橋性ポリエステル系グラフト共重合体を構成成分とし、かつ前記重合性不飽和単量体が二重結合を有する酸無水物を含有するモノマーを少なくとも1種含むことを特徴とする接着改質層を積層した易滑性、易接着性積層ポリアミドフィルムである。 本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記重合性不飽和単量体が少なくともマレイン酸の無水物とスチレンの組み合わせを含有することである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明の積層フィルムは、上記のようにメタキシリレンジアミン成分を含んだポリアミド(A)を60〜99重量%と脂肪族ポリアミド(B)を40〜1重量%の組成の表面層(X)とメタキシリレンジアミン成分を含んだポリアミド(A)を0〜15重量%と脂肪族ポリアミド(B)を100〜85重量%を含む中間層(Y)から成りX/Y/Xの3層構造の積層フィルムである。本発明で使用される脂肪族ポリアミドとしては、ナイロン4、ナイロン6、ナイロン7、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン46およびこれらの共重合体、ブレンド物等が挙げられるが、ナイロン6およびナイロン66が好ましい。また、メタキシリレンジアミン成分を含んだポリアミド(A)は、メタキシリレンジアミンとアジピン酸との重縮合反応で生成する構造単位を70モル%以上含有したメタキシリレンアジパミド(MXD6)であることが好ましく、ポリエーテル等の他の成分を10重量%以下含有する共重合体を含んでも良い。表面層(X)のメタキシリレンジアミン成分を含んだポリアミド(A)が60重量%未満であれば吸湿性が高く高湿下での十分な滑り性が得られず、99%超だと耐ピンホール性が低下する。また、中間層(Y)のメタキシリレンジアミン成分を含んだポリアミド(A)が、15重量%を超えると耐ピンホール性が悪くなる。
また、X/Y/Xの対称な構造とすると、熱水で処理した場合の寸法安定性および耐カール性が改良される。
【0007】
本発明のポリアミド系積層フィルムは公知の製造方法により製造することができる。すなわち、各層を構成する重合体を別々の押出し機を用いて溶融し、共押出しにより製造する方法、各層を構成する重合体をラミネートにより積層する方法、およびこれらを組み合わせた方法などをとることができる。更に、本発明のポリアミド系積層フィルムは、未延伸フィルムと延伸フィルムのどちらでも使用することができるが、フィルムの加工適性を向上させる為に一軸又は二軸方向に延伸して使用することが望ましい。延伸方法としては、テンター式逐次二軸延伸方法、テンター式同時二軸延伸方法、チューブラー法などの公知の方法を用いることができる。また、本発明の積層ポリアミドフィルムの目的、性能を損なわない限り各種添加剤、例えば、酸化防止剤、耐候剤、ゲル化防止剤、ブロッキング防止剤、顔料、帯電防止剤などを適宜配合しても良い。
【0008】
(グラフト重合体)
本発明のグラフト重合は、一般には、疎水性共重合ポリエステル樹脂を有機溶剤中に溶解させた状態において、ラジカル開始剤およびラジカル重合性単量体混合物を反応せしめることにより実施される。グラフト化反応終了後の反応生成物は、所望の疎水性共重合ポリエステル−ラジカル重合性単量体混合物間のグラフト重合体の他に、グラフト化を受けなかった疎水性共重合ポリエステル及び疎水性共重合ポリエステルにグラフト化しなかったラジカル重合体をも含有しているが、本発明におけるグラフト重合体とは、これらすべてが含まれる。
本発明において、疎水性共重合ポリエステル樹脂にラジカル重合性単量体をグラフト重合させた反応物の酸価は600eq/106 g以上であることが好ましい。より好ましくは、反応物の酸価は1200eq/106 g以上である。反応物の酸価が600eq/106 g未満である場合は、本発明の目的であるプライマー処理材に被覆される層との接着性が十分とはいえない。
【0009】
また、本発明の目的に適合する望ましい疎水性共重合ポリエステル樹脂とラジカル重合性単量体の重量比率は、ポリエステル/ラジカル重合性単量体=40/60〜95/5の範囲が望ましく、更に望ましくは55/45〜93/7、最も望ましくは60/40〜90/10の範囲である。
【0010】
疎水性共重合ポリエステル樹脂の重量比率が40重量%未満であるとき、ポリエステル樹脂の優れた接着性を発揮することができない。一方、疎水性共重合ポリエステル樹脂の重量比率が95重量%より大きいときは、ポリエステル樹脂の欠点であるブロッキングが起こりやすくなる。
【0011】
本発明のグラフト重合反応物は、有機溶媒の溶液または分散液、あるいは、水系溶媒の溶液または分散液の形態になる。特に、水系溶媒の分散液つまり、水分散樹脂の形態が、作業環境、塗布性の点で好ましい。この様な水分散樹脂を得るには、通常、有機溶媒中で、前記疎水性共重合ポリエステル樹脂に、親水性ラジカル重合性単量体を含むラジカル重合性単量体をグラフト重合し、次いで、水添加、有機溶媒留去により達成される。
【0012】
本発明での水分散樹脂は、レーザー光散乱法により測定される平均粒子系は500nm以下であり、半透明ないし乳白色の外観を呈する。重合方法の調整により、多様な粒子径の水分散樹脂が得られるが、この粒子径は10〜500nmが適当であり、分散安定性の点で、400nm以下が好ましく、より好ましくは300nm以下である。500nmを越えると被覆膜表面の光沢の低下がみられ、被覆物の透明性が低下し、10nm未満では、本発明の目的である耐水性が低下するため、好ましくない。
【0013】
本発明における水分散樹脂の重合に使用する親水性ラジカル重合性単量体とは、親水基を有するか、後で親水基に変化できる基を指す。親水基を有するラジカル重合性単量体として、カルボキシル基、水酸基、リン酸基、亜リン酸基、スルホン酸基、アミド基、第4級アンモニウム塩基等を含むラジカル重合性単量体を挙げることができる。一方、親水基に変化できるラジカル重合性単量体として、酸無水物基、グリシジル基、クロル基などを挙げることができる。これらの中で、水分散性の点から、カルボキシル基が好ましく、カルボキシル基を有するか、カルボキシル基を発生する基を有するラジカル重合性単量体が好ましい。
本発明の酸価を上げる点で、カルボキシル基を含有しているか、カルボキシル基を発生するラジカル重合性単量体が含まれているほうが好ましい。
【0014】
(ポリエステル)
本発明において、疎水性共重合ポリエステル樹脂とは、本来それ自身で水に分散または溶解しない本質的に水不溶性である必要がある。水に分散するまたは溶解するポリエステル樹脂を、グラフト重合に使用すると、本発明の目的である接着性、耐水性が悪くなる。
【0015】
この疎水性共重合ポリエステル樹脂のジカルボン酸成分の組成は、芳香族ジカルボン酸60〜99.5モル%、脂肪族ジカルボン酸および/または脂環族ジカルボン酸0〜40モル%、重合性不飽和二重結合を含有するジカルボン酸0.5〜10モル%であることが好ましい。芳香族ジカルボン酸が60モル%未満である場合や脂肪族ジカルボン酸および/または脂環族ジカルボン酸が40モル%を越えた場合は、接着強度が低下する。
【0016】
また、重合性不飽和二重結合を含有するジカルボン酸が0.5モル%未満の場合、ポリエステル樹脂に対するラジカル重合性単量体の効率的なグラフト化が行われにくくなり、逆に10モル%を越える場合は、グラフト化反応の後期に余りにも粘度が上昇し、反応の均一な進行を妨げるので好ましくない。より好ましくは、芳香族ジカルボン酸は70〜98モル%、脂肪族ジカルボン酸および/または脂環族ジカルボン酸0〜30モル%、重合性不飽和二重結合を含有するジカルボン酸2〜7モル%である。
【0017】
芳香族ジカルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸等を挙げることができる。5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の親水基含有ジカルボン酸は、本発明の目的である耐水性が低下する点で、用いない方が好ましい。脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸等を挙げることができ、脂環族ジカルボン酸としては、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸とその酸無水物等を挙げることができる。
重合性不飽和二重結合を含有するジカルボン酸の例としては、α、β−不飽和ジカルボン酸として、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、不飽和二重結合を含有する脂環族ジカルボン酸として、2,5−ノルボルネンジカルボン酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸等を挙げることができる。このうち好ましいのは、重合性の点から、フマル酸、マレイン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸である。
一方、グリコール成分は、炭素数2〜10の脂肪族グリコールおよび/または炭素数6〜12の脂環族グリコールおよび/またはエーテル結合含有グリコールよりなるが、炭素数2〜10の脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール等を挙げることができ、炭素数6〜12の脂環族グリコールとしては、1,4−シクロヘキサンジメタノール等を挙げることができる。
【0018】
エーテル結合含有グリコールとしては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、さらにビスフェノール類の二つのフェノール性水酸基に、エチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドを付加して得られるグリコール類、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンなどを挙げることができる。ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールも必要により使用しうる。
本発明で使用される共重合ポリエステル樹脂中に、0〜5モル%の3官能以上のポリカルボン酸および/またはポリオールを共重合することができるが、3官能以上のポリカルボン酸としては、(無水)トリメリット酸、(無水)ピロメリット酸、(無水)ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメシン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)等が使用される。一方、3官能以上のポリオールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が使用される。3官能以上のポリカルボン酸および/またはポリオールは、全酸成分あるいは全グリコール成分に対し0〜5モル%、望ましくは0〜3モル%の範囲で共重合されるが、5モル%を越えると重合時のゲル化が起こりやすく、好ましくない。
【0019】
また、疎水性共重合ポリエステル樹脂の分子量は、重量平均で5000〜50000 の範囲が好ましい。分子量が5000未満の場合は接着強度の低下があり、逆に50000 を越えると重合時のゲル化等の問題が起きてしまう。
【0020】
(重合性不飽和単量体含有ポリマー)
また、本発明の重合性不飽和単量体は例示すると、フマル酸、フマル酸モノエチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチルなどのフマル酸のモノエステルまたはジエステルマレイン酸とその無水物、マレイン酸モノエチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチルなどのマレイン酸のモノエステルまたはジエステル、イタコン酸とその無水物、イタコン酸のモノエステルまたはジエステル、フェニルマレイミド等のマレイミド等また、スチレン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロロメチルスチレンなどのスチレン誘導体、ビニルトルエン、ジビニルベンゼンなどである。またアクリル重合性単量体は、例えば、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、フェニルエチル基等):2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートのヒドロキシ含有アクリル単量体:アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−フェニルアクリルアミドのアミド基含有アクリル単量体:N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレートのアミノ基含有アクリル単量体:グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートのエポキシ基含有アクリル単量体:アクリル酸、メタクリル酸及びそれらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩)等のカルボキシル基またはその塩を含有するアクリル単量体が挙げられる。好ましくは、マレイン酸無水物とそのエステルである。上記モノマーは1種もしくは2種以上を用いて共重合させることが出来る。
【0021】
本発明のグラフト重合は、一般には、疎水性共重合ポリエステル樹脂を有機溶剤中に溶解させた状態において、ラジカル開始剤およびラジカル重合性単量体混合物を反応せしめることにより実施される。グラフト化反応終了後の反応生成物は、所望の疎水性共重合ポリエステル−ラジカル重合性単量体混合物間のグラフト重合体の他に、グラフト化を受けなかった疎水性共重合ポリエステル及び疎水性共重合ポリエステルにグラフト化しなかったラジカル重合体をも含有しているが、本発明におけるグラフト重合体とは、これらすべてが含まれる。
【0022】
(重合開始剤およびその他添加剤)
本発明で用い得るグラフト重合開始剤としては、当業者には公知の有機過酸化物類や有機アゾ化合物類を用い得る。
有機過酸化物として、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、有機アゾ化合物として、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルパレロニトリル)などを挙げることが出来る。
【0023】
グラフト重合を行うための重合開始剤の使用量は、重合性モノマーに対して、少なくとも0.2重量%以上、好ましくは0.5重量%以上である。
重合開始剤の他に、枝ポリマーの鎖長を調節するための連鎖移動剤、例えばオクチルメルカプタン、メルカプトエタノール、3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソールなどを必要に応じて用い得る。この場合、重合性モノマーに対して0〜5重量%の範囲で添加されるのが望ましい。
【0024】
(反応溶媒)
本発明の実施のためのグラフト化反応溶媒は沸点が50〜250℃の水性有機溶媒から構成されることが好ましい。ここで水性有機溶媒とは20℃における水に対する溶解性が少なくとも10g/L以上、望ましくは20g/L以上であるものをいう。沸点が250℃を越えるものは、余りに蒸発速度がおそく、塗膜の高温焼付によっても充分に取り除くことが出来ないので不適当である。また沸点が50℃以下では、それを溶媒としてグラフト化反応を実施する場合、50℃以下の温度でラジカルに解裂する開始剤を用いねばならないので取扱上の危険が増大し、好ましくない。共重合ポリエステル樹脂をよく溶解しかつカルボキシル基含有重合性単量体を含む重合性単量体混合物およびその重合体を比較的良く溶解する第一群の水性有機溶媒としては、エステル類例えば酢酸エチル、ケトン類例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、環状エ−テル類例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、1,3-ジオキソラン、グリコ−ルエ−テル類例えばエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコ−ルメチルエ−テル、プロピレングリコ−ルプロピルエ−テル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコ−ルブチルエ−テル、カルビトール類例えばメチルカルビト−ル、エチルカルビト−ル、ブチルカルビト−ル、グリコ−ル類若しくはグリコ−ルエ−テルの低級エステル類例えばエチレングリコ−ルジアセテ−ト、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ケトンアルコール類例えばダイアセトンアルコール、更にはN−置換アミド類例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等を例示する事が出来る。
【0025】
これに対し、共重合ポリエステル樹脂をほとんど溶解しないがカルボキシル基含有重合性単量体を含む重合性単量体混合物およびその重合体を比較的よく溶解する第二群の水性有機溶媒として、水、低級アルコール類、低級カルボン酸類、低級アミン類などを挙げることが出来るが、本発明の実施に特に好ましいものとしては炭素数1〜4のアルコール類およびグリコール類である。
【0026】
グラフト化反応を単一溶媒で行なう場合は、第一群の水性有機溶媒からただ一種を選んで行なうことが出来る。混合溶媒で行なう場合は第一群の水性有機溶媒からのみ複数種選ぶ場合と、第一群の水性有機溶媒から少なくとも一種を選びそれに第二群の水性有機溶媒から少なくとも一種を加える場合がある。
【0027】
グラフト重合反応溶媒を第一群の水性有機溶媒からの単一溶媒とした場合と、第一群および第二群の水性有機溶媒のそれぞれ一種からなる混合溶媒とした場合のいずれにおいてもグラフト重合反応を行なうことができる。しかし、グラフト化反応の進行挙動、グラフト化反応生成物およびそれから導かれる水分散体の外観、性状などに差異がみられ、第一群および第二群の水性有機溶媒のそれぞれ一種からなる混合溶媒を使用する方が好ましい。
【0028】
第一群の溶媒中では共重合ポリエステル分子鎖は広がりの大きい鎖ののびた状態にあり、一方第一群/第二群の混合溶媒中では広がりの小さい糸まり状に絡まった状態にあることがこれら溶液中の共重合ポリエステルの粘度測定により確認された。共重合ポリエステルの溶解状態を調節し分子間架橋を起こりにくくすることがゲル化防止に有効である。効率の高いグラフト化とゲル化抑制の両立は後者の混合溶媒系において達成される。第1群/第2群の混合溶媒の重量比率はより望ましくは95/5〜10/90さらに望ましくは90/10〜20/80、最も望ましくは85/15〜30/70の範囲である。最適の混合比率は使用するポリエステルの溶解性などに応じて決定される。
【0029】
(水分散化)
本発明にかかわるグラフト化反応生成物は塩基性化合物で中和することが好ましく、中和することによって容易に水分散化することが出来る。塩基性化合物としては塗膜形成時、或は硬化剤配合による焼付硬化時に揮散する化合物が望ましく、アンモニア、有機アミン類などが好適である。望ましい化合物の例としては、トリエチルアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノ−ルアミン、アミノエタノールアミン、N-メチル-N,N-ジエタノールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3-エトキシプロピルアミン、3ージエチルアミノプロピルアミン、sec-ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、3ーメトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどを挙げることが出来る。塩基性化合物は、グラフト化反応生成物中に含まれるカルボキシル基含有量に応じて、少くとも部分中和、若しくは、完全中和によって水分散体のPH値が5.0−9.0の範囲であるように使用するのが望ましい。沸点が100℃以下の塩基性化合物を使用した場合であれば、乾燥後の塗膜中の残留塩基性化合物も少なく、金属や無機蒸着膜との接着性や該積層体の耐水性や耐熱水接着性が優れる。
【0030】
本発明により生成される水系分散体では、ラジカル重合性単量体の重合物の重量平均分子量は500-50000 であるのが好ましい。ラジカル重合性単量体の重合物の重量平均分子量を 500以下にコントロールすることは一般に困難であり、グラフト効率が低下し、共重合ポリエステルへの親水性基の付与が十分に行なわれない傾向がある。また、ラジカル重合性単量体のグラフト重合物は分散粒子の水和層を形成するが、十分な厚みの水和層をもたせ、安定な分散体を得るためにはラジカル重合性単量体のグラフト重合物の重量平均分子量は 500以上であることが望ましい。またラジカル重合性単量体のグラフト重合物の重量平均分子量の上限は溶液重合における重合性の点で50000 が好ましい。この範囲内での分子量のコントロールは開始剤量、モノマー滴下時間、重合時間、反応溶媒、モノマー組成あるいは必要に応じて連鎖移動剤や重合禁止剤を適宜組み合わせることにより行なうことが出来る。
【0031】
本発明において、疎水性共重合ポリエステル樹脂にラジカル重合性単量体をグラフト重合させた反応物は、自己架橋性を有する。常温では架橋しないが、乾燥時の熱で、1)反応物中に存在するシラノール基の脱水反応 2)熱ラジカルによる水素引き抜き反応等の分子間反応を行い、架橋剤なしで架橋する。これにより初めて、本発明の目的である接着性、耐水性を発現できる。塗膜の架橋性については、様々の方法で評価できるが、疎水性共重合ポリエステル樹脂およびラジカル重合体の両方を溶解するクロロホルム溶媒での不溶分率で調べることができる。80℃以下で乾燥し、120℃で5分間熱処理して得られる塗膜の不溶分率が、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上である。塗膜の不溶分率が50%未満の場合は、接着性、耐水性が十分でないばかりでなく、ブロッキングも起こしてしまう。
【0032】
上記グラフト共重合体は、そのままで本発明に用い得る接着改質層を形成し得るが、さらに架橋剤(硬化用樹脂)を配合して硬化を行うことにより、接着改質層に高度の耐水性を付与し得る。
【0033】
架橋剤としては、アルキル化フェノール類、クレゾール類などのホルムアルデヒドとの縮合物のフェノールホルムアルデヒド樹脂;尿素、メラミン、ベンゾグアナミンなどとホルムアルデヒドとの付加物、この付加物と炭素原子数が1〜6のアルコールからなるアルキルエーテル化合物などのアミノ樹脂;多官能性エポキシ化合物;多官能性イソシアネート化合物;ブロックイソシアネート化合物;多官能性アジリジン化合物;オキサゾリン化合物などを用い得る。
【0034】
フェノールホルムアルデヒド樹脂としては、例えば、アルキル化(メチル、エチル、プロピル、イソプロピルまたはブチル)フェノール、p−tert−アミルフェノール、4,4’−sec−ブチリデンフェノール、p−tert−ブチルフェノール、o−、m−、p−クレゾール、p−シクロヘキシルフェノール、4,4’−イソプロピリデンフェノール、p−ノニルフェノール、p−オクチルフェノール、3−ペンタデシルフェノール、フェノール、フェニルo−クレゾール、p−フェニルフェノール、キシレノールなどのフェノール類とホルムアルデヒドとの縮合物を挙げることができる。
【0035】
アミノ樹脂としては、例えば、メトキシ化メチロール尿素、メトキシ化メチロールN,N−エチレン尿素、メトキシ化メチロールジシアンジアミド、メトキシ化メチロールメラミン、メトキシ化メチロールベンゾグアナミン、ブトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールベンゾグアナミンなどが挙げられるが好ましくはメトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールメラミン、およびメチロール化ベンゾグアナミンなどを挙げることができる。
【0036】
多官能性エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびそのオリゴマー、水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびそのオリゴマー、オルソフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、p−オキシ安息香酸ジグリシジルエステル、テトラハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルおよびポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル類、トリメリット酸トリグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、1,4−ジグリシジルオキシベンゼン、ジグリシジルプロピレン尿素、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテル、グリセロールアルキレンオキサイド付加物のトリグリシジルエーテルなどを挙げることができる。
【0037】
多官能性イソシアネート化合物としては、低分子または高分子の芳香族、脂肪族のジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネートを用い得る。ポリイソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、およびこれらのイソシアネート化合物の3量体がある。さらに、これらのイソシアネート化合物の過剰量と、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの低分子活性水素化合物、またはポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類などの高分子活性水素化合物とを反応させて得られる末端イソシアネート基含有化合物を挙げることができる。
【0038】
ブロック化イソシアネートは上記イソシアネート化合物とブロック化剤とを従来公知の適宜の方法より付加反応させて調製し得る。イソシアネートブロック化剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノールなどのフェノール類;チオフェノール、メチルチオフェノールなどのチオフェノール類;アセトキシム、メチルエチケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムなどのオキシム類;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類;エチレンクロルヒドリン、1,3−ジクロロ−2−プロパノールなどのハロゲン置換アルコール類;t−ブタノール、t−ペンタノールなどの第3級アルコール類;ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、ν−ブチロラクタム、β−プロピルラクタムなどのラクタム類;芳香族アミン類;イミド類;アセチルアセトン、アセト酢酸エステル、マロン酸エチルエステルなどの活性メチレン化合物;メルカプタン類;イミン類;尿素類;ジアリール化合物類;重亜硫酸ソーダなどを挙げることができる。
【0039】
これらの架橋剤は、それぞれ単独または2種以上混合して用い得る。架橋剤の配合量としては、グラフト化共重合体100重量部に対して、5重量部〜40重量部が好ましい。
架橋剤の配合方法としては、(1)架橋剤が水溶性である場合、直接グラフト共重合体の水系溶媒溶液または分散液中に溶解または分散させる方法、または(2)架橋剤が油溶性である場合、グラフト化反応終了後、反応液に添加する方法がある。これらの方法は、架橋剤の種類、性状により適宜選択し得る。さらに架橋剤には、硬化剤あるいは促進剤を併用し得る。
【0040】
上記グラフト共重合体は、そのままで本発明に用い得る接着改質層を形成し得るが、他の目的から汎用のポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル樹脂、それらの共重合体、各種水溶性樹脂等や各種機能性樹脂、例えばポリアニリンやポリピロール等の導電性樹脂や抗菌性樹脂、紫外線吸収性樹脂、ガスバリアー性樹脂を混合して接着改質層を形成してももかまわない。
【0041】
接着改質層に、さらに本発明の効果を損なわない範囲で、各種界面活性剤、帯電防止剤、無機滑剤、有機滑剤、紫外線吸剤、等の添加剤を含有させることができる。
【0042】
【実施例】
次に本発明を実施例により具体的に説明する。
なお、実施例に用いた評価方法は次の通り。
1)フィルム高湿度条件下での滑り性
フィルムの非表面活性処理面同士の動摩擦係数をASTM−D−1894法に準じて、70%RHの湿度雰囲気下で測定した。動摩擦係数1.2以下を良好と判断した。
【0043】
2)接着性評価
ラミネートしたものを東洋測器社製「テンシロンUTM2」を用いて水付け90度剥離し、接着改質層と基材層間のS−Sカーブを測定して求めた。
【実施例1】
撹拌機、温度計、還流装置と定量滴下装置を備えた反応器に表1に示す共重合組成で作製した共重合ポリエステル樹脂(A−1)75部、メチルエチルケトン56部およびイソプロピルアルコール19部を入れ、65℃で加熱、撹拌し、樹脂を溶解した。樹脂が完溶した後、無水マレイン酸15部をポリエステル溶液に添加した。次いで、スチレン10部、およびアゾビスジメチルバレロニトリル1.5部を12部のメチルエチルケトンに溶解した溶液を0.1ml/minでポリエステル溶液中に滴下し、さらに2時間撹拌を続けた。反応溶液から分析用のサンプリングを行った後、メタノール5部を添加した。次いで、水300部とトリエチルアミン15部を反応溶液に加え、1時間撹拌した。その後、反応器内温を100℃に上げ、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、過剰のアンモニアを蒸留により留去し、水分散グラフト重合樹脂(B−1)を得た。該水分散グラフト樹脂(B−1)は淡黄色透明であった。
【0044】
【表1】
該水分散グラフト樹脂(B−1)を、固形分濃度10%になるように水:イソプロピルアルコール=9:1(重量比)で希釈して塗布液を調整した。
相対粘度2.2のメタキシリレンアジパミドを80重量%とナイロン6を20重量%の混合物から成る層(X)と相対粘度2.2のメタキシリレンアジパミドを10重量%とナイロン6を90重量%の混合物から成る層(Y)が、X/Y/Xの順で共押出しTダイ内で積層され、その後ロール延伸機で50℃で縦方向に3.0倍延伸した。次いで、前記の塗布液をダイコーター方式で塗布し、70℃の熱風で乾燥し、次いで、テンター延伸機で横方向に90℃で4.0倍に延伸しさらに220℃8秒間熱処理を行い、表面層(X)の厚さが2.5μm、中間層(Y)の厚さが10μmで総厚みが15μmの積層ポリアミドフィルムを得た。最終的なコート剤塗布量は0.1g/m2 であった。得られた該ポリアミドフィルムの評価結果を表2に示した。
【0045】
【表2】
【0046】
【実施例2】
表面層(X)のメタキシリレンアジパミドの含量が60重量%、ナイロン6の含量が40重量%であること以外は、実施例1と全く同様に積層ポリアミドフィルムを得た。得られた該ポリアミドフィルムの評価結果を表2に示す。
【0047】
【実施例3】
中間層(Y)のメタキシリレンアジパミドの含量が15重量%、ナイロン6の含量が85重量%であること以外は、実施例1と全く同様に積層ポリアミドフィルムを得た。得られた該ポリアミドフィルムの評価結果を表2に示す。
【0048】
【比較例1】
撹拌機、温度計、還流装置と定量滴下装置を備えた反応器に共重合ポリエステル樹脂(A−1)75部、メチルエチルケトン56部およびイソプロピルアルコール19部を入れ、65℃で加熱、撹拌し、樹脂を溶解した。樹脂が完溶した後、メタクリル酸17.5部とアクリル酸エチル7.5部の混合物、およびアゾビスジメチルバレロニトリル1.2部を25部のメチルエチルケトンに溶解した溶液を0.2ml/minでポリエステル溶液中に滴下し、さらに2時間撹拌を続けた。反応溶液から分析用のサンプリングを行った後、水300部とトリエチルアミン25部を反応溶液に加え、1時間撹拌した。その後、反応器内温を100℃に上げ、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、過剰のトリエチルアミンを蒸留により留去し、水分散グラフト樹脂(B−2)を得た。得られた樹脂(B−2)は淡黄色透明であった。上記水分散グラフト樹脂を実施例1と同様な方法で積層した積層ポリアミドフィルムを得た。得られた該ポリアミドフィルムの評価結果を表2に示した。
【0049】
【比較例2】
(X)及び(Y)層をいずれもナイロン6とする以外は実施例1と全く同様に積層ポリアミドフィルムを得た。得られた該ポリアミドフィルムの評価結果を表2に示した。
【0050】
【発明の効果】
本発明は所定のポリエステル系グラフト共重合体を所定のポリアミドフィルム上に設けることにより更に積層されるシーラント層との接着性に優れ、更には高湿度下においても滑り性の良好な易接着性、易滑性積層ポリアミドフィルムが得られる。
Claims (3)
- キシリレンジアミン成分と炭素数4〜12の脂肪族ジカルボン酸成分とから成るポリアミド(A)を60〜99重量%と脂肪族ポリアミド(B)を40〜1%の組成より成る表面層(X)と上記キシリレンジアミン成分を含んだポリアミド(A)を0〜15%と脂肪族ポリアミド(C)を100〜85%の組成より成る中間層(Y)より形成された、X/Y/Xの3層構成の積層ポリアミドフィルムの少なくとも片面に、疎水性ポリエステル系樹脂に少なくとも1種以上の重合性不飽和単量体がグラフトされた自己架橋性ポリエステル系グラフト共重合体を構成成分とし、かつ前記重合性不飽和単量体が二重結合を有する酸無水物を含有するモノマーを少なくとも1種含むことを特徴とする接着改質層を積層した易滑性、易接着性積層ポリアミドフィルム。
- 自己架橋性ポリエステル系グラフト共重合体を構成成分とする層が、自己架橋性ポリエステル系グラフト共重合体を含む塗布液を、未延伸または一軸延伸フィルムに塗布、乾燥後、該フィルムを更に、一軸またはそれ以上延伸後、熱固定することによって形成された請求項1記載の易滑性、易接着性ポリアミドフィルム。
- 重合性不飽和単量体が少なくともマレイン酸の無水物とスチレンを含有することを特徴とする請求項1または2記載の易滑性、易接着性ポリアミドフィルム。
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