JP4172825B2 - 積層ポリアミドフィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、接着性の改良されたポリアミドフィルムに関し、特にドライラミネート、押出ラミネートなどを用いて該フィルム上に形成される、ヒートシール用のシーラント材との接着性にすぐれた積層ポリアミドフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
二軸延伸ポリアミドフィルムは強靱性、耐ピンホール性、耐屈曲性および耐熱性に優れているため、各種用途に汎用されている。例えば、ヒートシール機能を有する包装用フィルムとして使用される。この場合には、一般的に、二軸延伸されたポリアミドフィルム表面に接着剤層を形成し、その上にドライラミネート法または押出ラミネート法によってシーラント層を設けることにより得られるヒートシール性のポリアミドフィルム積層体が用いられる。このフィルム積層体に必要に応じて印刷を施した上で、これを例えば袋状に成形し、そして内容物、たとえば味噌や醤油などの調味料、スープやレトルト食品などの水分含有食品あるいは薬品などを充填後、開ロ部をヒートシールすることによって、一般消費者に提供される包装品となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、上記のようなシーラント層を有するポリアミドフィルム積層体を形成する各層間に水分が侵入すると、層間の接着力が著しく低下するという問題点がある。これは、包装袋として使用すると破損の原因となる。例えば、シーラント層を有するポリアミドフィルム積層体を用いたレトルト食品袋を沸水処理あるいはレトルト処理する場合、この問題点は顕著に現れ、袋はいっそう破損しやすくなる。
【0004】
また包装製品の高級化につれて全面多色刷り印刷が普及し、印刷インキ層の存在に基づく層間接着力の低下といった問題も生じてくる。
【0005】
さらに、二軸延伸ポリアミドフィルム層とシーラント層との間に接着剤層が介在する場合、接着剤の種類によっては湿度によってその接着力に影響を受けやすく、特に湿度硬化型の接着剤を用いた場合はその影響が顕著に現れ、季節によって接着力が大きく変化するという問題点がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、シーラント層を有するポリアミドフィルム積層体におけるポリアミドフィルム層とシーラント層との接着性が良好であるとともに、湿潤時においても高い接着性が保たれるポリアミドフィルム積層体を得ることを目的として鋭意検討を行った。その結果、特定のポリエステル分散体が塗布されたポリアミドフィルムを、印刷インキ層、接着剤層およびシーラント層を有するポリアミドフィルム積層体に用いると、このポリアミドフィルム積層体から形成された包装袋は、レトルト処理または沸水処理による破損が著しく低減され得ることを見出し本発明に至った。
【0007】
本発明は、ポリアミドフィルム基材の少なくとも片面に共重合ポリエステル水系分散体を含む塗布剤が塗布された積層ポリアミドフィルムであって、該共重合ポリエステル分散体は、グラフト化ポリエステルの粒子と水系溶媒とを含み、該グラフト化ポリエステルは、ポリエステル主鎖と、親水性基を有するラジカル重合性単量体を含むラジカル重合性単量体により形成されるグラフト部分とを有し、該グラフト化ポリエステル粒子の平均粒子径が500nm以下であり、そして該グラフト化ポリエステル粒子のポリエステル主鎖に由来するカルボニル炭素の13C−NMRシグナルの半値幅が300Hz以上であり、そのことにより上記目的が達成される。
【0008】
本発明の好ましい実施態様においては、上記積層ポリアミドフィルムは、未延伸のポリアミドフィルム基材に上記塗布剤が塗布された後、二軸延伸され、次いで熱固定されることにより調製される。
【0009】
本発明の好ましい実施態様においては、上記積層ポリアミドフィルムは、一軸延伸ポリアミドフィルム基材に上記塗布剤が塗布された後、一軸延伸され、次いで熱固定されることにより調製される。
【0010】
本発明の好ましい実施態様においては、上記グラフト化ポリエステルのガラス転移温度は30℃以下である。
【0011】
【発明の実施の態様】
本明細書において「分散体」とは、エマルジョン、分散液または懸濁液のことをいう。
【0012】
本明細書において「グラフト化」とは、重合体主鎖に、主鎖とは異なる重合体からなるグラフト部分を導入することをいう。
【0013】
本明細書において「グラフト化ポリエステル」とは、ポリエステル主鎖に対してポリエステルとは異なる重合体からなるグラフト部分を有するポリエステルのことをいう。
【0014】
本明細書において「水系溶媒」とは、主として水からなり、必要に応じて水性有機溶媒を含む溶媒をいう。
【0015】
(共重合ポリエステル水系分散体)
本発明に用いられ得る共重合ポリエステル分散体は、グラフト化ポリエステルの粒子と、水、水系溶媒、または有機溶媒とを含み、半透明から乳白色の外観を呈する。このグラフト化ポリエステルは、ポリエステル主鎖と、親水性基を有するラジカル重合性単量体を含むラジカル重合性単量体により形成されるグラフト部分とを有する。
【0016】
共重合ポリエステル水系分散体中のグラフト化ポリエステル粒子のレーザー光散乱法により測定される平均粒子径は、500nm以下、好ましくは10nm〜500nm、さらに好ましくは10nm〜300nmである。平均粒子径が500nmを越えると、塗布後の塗膜強度が低下する。
【0017】
共重合ポリエステル水系分散体中のグラフト化ポリエステル粒子の含有量は、通常、1重量%〜50重量%、好ましくは3重量%〜30重量%である。
【0018】
本発明に用いられ得る共重合ポリエステル水系分散体の13C−NMR(測定条件:125MHz、25℃、測定溶媒;重水、DSSのシグナルの半値幅が5Hz以下)を測定した場合、重み付け関数をかけずにフーリエ変換して得られたスペクトルにおいて、ポリエステル主鎖に由来するカルボニル炭素のシグナルの半値幅は300Hz以上、グラフト部分に由来するカルボニル炭素のシグナルの半値幅は150Hz以下であることが好ましい。
【0019】
一般に、13C−NMRにおいてケミカルシフト、半値幅および緩和時間は、被観測炭素原子の置かれている周囲の環境を反映して変わり得ることが知られている。例えば、重水中に溶解している重合体のカルボニル炭素のシグナルは、170〜200ppmの範囲に観測され、その半値幅はおよそ300Hz以下である。他方、重水に不溶である重合体のカルボニル炭素のシグナルは、170〜200ppmの範囲に観測され、その半値幅はおよそ300Hz以上である。
【0020】
グラフト化ポリエステル粒子中のポリエステル主鎖およびグラフト部分が上記のような半値幅を有することにより、本発明に用いられ得る共重合ポリエステル水系分散体中の粒子は、水性分散媒体中においてポリエステル主鎖をコアとするコア−シェル構造をとり得る。
【0021】
ここでいうコア−シェル構造とは、当該技術分野で公知のように、分散媒体に不溶で凝集状態にある重合体からなるコア部が、分散媒体に可溶で溶解状態にある重合体からなるシェル部で包み込まれた二層構造をいう。この構造は、分散媒体への溶解性が異なる重合体がお互いに化学結合して生成した複合重合体の分散体に特徴的に現われる構造であり、単に分散媒体への溶解性が異なる重合体を混合するだけでは発現し得ない構造であることが知られている。さらに、単なる分散媒体への溶解性が異なる重合体の混合物は、500nm以下の粒子径を有する分散体として存在できない。
【0022】
本発明に用いられる共重合ポリエステル水系分散体中の粒子が上記のようなコア−シェル構造を有することにより、従来の分散体に良く用いられる乳化剤や有機共溶媒を用いなくても重合体粒子の分散媒体への分散状態が安定化される。このことはシェル部の樹脂が十分な水和層を形成し、分散重合体粒子を保護するためである。
【0023】
このような共重合ポリエステル水系分散体から得られる塗布膜は、ポリアミドフィルムとの接着性が非常に優れている。さらに、耐ブロッキング性が非常に優れているため、ガラス転移点の比較的低いフィルム基材においても問題なく使用し得る。また積層体とする場合、印刷インキやシーラント層を積層する時に使用する接着剤との接着性も非常に良好である。従って、本発明の積層ポリアミドフィルムを使用することにより、得られる積層体は、レトルト処理や沸水処理における耐久性が著しく向上され得る。さらに共重合ポリエステル水系分散体中のグラフト化ポリエステルのガラス転移温度が、30℃以下、好ましくは10℃以下であると、さらに積層体の耐久性が向上する。
【0024】
(ポリエステル主鎖)
本発明においてグラフト化ポリエステルの主鎖として用い得るポリエステルは、好適には少なくともジカルボン酸成分とジオール成分とから合成される飽和または不飽和ポリエステルであり、得られるポリエステルは、1種の重合体または2種以上の重合体の混合物であり得る。そして、本来それ自身では水に分散または溶解しないポリエステルが好ましい。本発明に用い得るポリエステルの重量平均分子量は、5000〜l00000、好ましくは5000〜50000である。重量平均分子量が5000未満であると乾燥塗膜の後加工性などの塗膜物性が低下する。さらに重量平均分子量が5000未満であると、主鎖となるポリエステル自身が水溶化しやすいため、形成されるグラフト化ポリエステルが後述するコア−シェル構造を形成し得ない。ポリエステルの重量平均分子量が100000を越えると水分散化が困難となる。水分散化の観点からは100000以下が好ましい。
【0025】
ガラス転移点は、30℃以下、好ましくは10℃以下である。
【0026】
上記ジカルボン酸成分としては、少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸、少なくとも1種の脂肪族および/または脂環族ジカルボン酸、および少なくとも1種のラジカル重合性不飽和二重結合を有するジカルボン酸を含む、ジカルボン酸混合物であることが好ましい。このジカルボン酸混合物中に含まれる、芳香族ジカルボン酸は、30〜99.5モル%、好ましくは40〜99.5モル%、脂肪族および/または脂環族ジカルボン酸は、0〜70モル%、好ましくは0〜60モル%、ラジカル重合性不飽和二重結合を有するジカルボン酸は、0.5〜10モル%、好ましくは2〜7モル%、より好ましくは3〜6モル%である。ラジカル重合性不飽和二重結合を含有するジカルボン酸の含有量が0.5モル%未満の場合、ポリエステルに対するラジカル重合性単量体の効果的なグラフト化が行なわれにくく、水系媒体中での分散粒子径が大きくなる傾向があり、分散安定性が低下する傾向がある。
【0027】
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸などが用いられ得る。さらに、必要に応じて5−スルホイソフタル酸ナトリウムも用い得る。
【0028】
脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、これらの酸無水物などを用い得る。
【0029】
脂環族ジカルボン酸としては、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロへキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、これらの酸無水物などを用い得る。
【0030】
ラジカル重合性不飽和二重結合を含有するジカルボン酸としては、α,β−不飽和ジカルボン酸類としてフマール酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、不飽和二重結合を含有する脂環族ジカルボン酸として2,5−ノルボルネンジカルボン酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸などを用い得る。これらの内で、フマール酸、マレイン酸および2,5−ノルボルネンジカルボン酸(エンド−ビシクロ−(2,2,1)−5−へプテン−2,3−ジカルボン酸)が好ましい。
【0031】
上記ジオール成分は、炭素数2〜10の脂肪族グリコール、炭素数6〜12の脂環族グリコール、およびエーテル結合含有グリコールのうちの少なくとも1種よりなる。
【0032】
炭素数2〜10の脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−へキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオールなどを用い得る。
【0033】
炭素数6〜12の脂環族グリコールとしては、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどを用い得る。
【0034】
エーテル結合含有グリコールとしては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、さらにビスフェノール類の2つのフェノール性水酸基にエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドをそれぞれ1〜数モル付加して得られるグリコール類、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンなどを用い得る。ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールも必要に応じて用い得る。
【0035】
上記ジカルボン酸成分およびジオール成分の他に、3官能性以上のポリカルボン酸および/またはポリオールを共重合し得る。
【0036】
3官能以上のポリカルボン酸としては(無水)トリメリット酸、(無水)ピロメリット酸、(無水)ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメシン酸、エチレングルコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)などを用い得る。
【0037】
3官能性以上のポリオールとしてはグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどを用い得る。
【0038】
3官能性以上のポリカルボン酸および/またはポリオールは、上記ジカルボン酸成分を含む全ポリカルボン酸成分あるいは上記ジオール成分を含む全ポリオール成分に対し0〜5モル%、好ましくは、0〜3モル%の範囲で使用し得る。
【0039】
(グラフト化ポリエステルのグラフト部分)
本発明に用い得るグラフト化ポリエステルのグラフト部分は、親水性基を有するか、または後で親水性基に変化させることができる基を有するラジカル重合性単量体を少なくとも1種含む単量体混合物由来の重合体であり得る。
【0040】
グラフト部分を構成する重合体の重量平均分子量は500〜50000、好ましくは4000〜50000である。重量平均分子量が500未満の場合には、グラフト化率が低下するのでポリエステルヘの親水性の付与が十分に行なわれなくなり、かつ一般にグラフト部分の重量平均分子量を500未満にコントロールすることは困難である。グラフト部分は分散粒子の水和層を形成する。粒子に十分な厚みの水和層をもたせ、安定な分散体を得るためにはラジカル重合性単量体由来のグラフト部分の、重量平均分子は500以上であることが望ましい。ラジカル重合性単量体のグラフト部分の重量平均分子量の上限は溶液重合における重合性の点で上記のように50000が好ましい。この範囲内での分子量のコントロールは、重合開始剤量、モノマー滴下時間、重合時間、反応溶媒、およびモノマー組成を適切に選択し、必要に応じて連鎖移動剤や重合禁止剤を適宜組み合わせることにより行ない得る。
【0041】
ラジカル重合性単量体が有する親水性基としては、カルボキシル基、水酸基、スルホン酸基、アミド基、第4級アンモニウム塩、リン酸基などを用い得る。親水性基に変化させ得る基としては、酸無水物、グリシジル、クロルなどを用い得る。グラフト化によりポリエステルに導入される親水性基によってグラフト化ポリエステルの水への分散性をコントロールし得る。上記親水性基の中で、カルボキシル基は、そのグラフト化ポリエステルへの導入量を当該技術分野で公知の酸価を用いて正確に決定し得るため、グラフト化ポリエステルの水への分散性をコントロールする上で好ましい。
【0042】
カルボキシル基含有ラジカル重合性単量体としてはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸などがあり、さらに水/アミンに接して容易にカルボン酸を発生するマレイン酸無水物、イタコン酸無水物、メタクリル酸無水物などが用いられ得る。好ましいカルボキシル基含有ラジカル重合性単量体はアクリル酸無水物、メタクリル酸無水物およびマレイン酸無水物である。
【0043】
上記親水性基含有ラジカル重合性単量体の他に、少なくとも1種の親水性基を含有しないラジカル重合性単量体を共重合することが好ましい。親水性基含有単量体のみの場合、ポリエステル主鎖に対するグラフト化が円滑に起こらず、良好な共重合ポリエステル水系分散体を得ることが難しい。少なくとも1種の親水性基を含有しないラジカル重合性単量体を共重合することによってはじめて効率の高いグラフト化が行なわれ得る
親水性基を含有しないラジカル重合性単量体としては、エチレン性不飽和結合を有しかつ上記のような親水性基を含有しない単量体の1種またはそれ以上の組み合わせが使用される。このような単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキプロピルなどのアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシルプロピルなどのメタクリル酸エステル;アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドなどのアクリル酸またはメタクリル酸誘導体;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニルなどのビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物;塩化ビニル、塩化ビニルデン、臭化ビニル、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;スチレン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタリン類などの芳香族ビニル化合物;を挙げることができる。これらのモノマーは単独もしくは2つ以上組み合わせて用いられ得る。 親水性基含有単量体と親水性基を含有しない単量体の使用比率は、グラフト化ポリエステルに導入する親水性基の量を考慮して決定されるが、通常、重量比(親水性基含有単量体:親水性基を含有しない単量体)として、95:5〜5:95、好ましくは90:10〜10:90、さらに好ましくは80:20〜40:60の範囲である。
【0044】
親水性基含有単量体として、カルボキシル基含有単量体を用いる場合、グラフト化ポリエステルの総酸価は、600−4000eq./106g、好ましくは700−3000eq./106g、最も好ましくは800−2500eq./106gである。酸価が600eq./106g以下の場合、グラフト化ポリエステルを水に分散したときに粒子径の小さい共重合ポリエステル水系分散体が得にくく、さらに共重合ポリエステル水系分散体の分散安定性が低下する。酸価が4000eq./106g以上の場合、共重合ポリエステル水系分散体から形成される塗膜の耐水性が低くなる。
【0045】
グラフト化ポリエステルにおけるポリエステル主鎖とグラフト部分との重量比(ポリエステル:ラジカル重合性単量体)は、40:60〜95:5、好ましくは55:45〜93:7、さらに好ましくは60:40〜90:10の範囲である。
【0046】
ポリエステル主鎖の重量比率が40重量%以下である場合、既に説明した母体ポリエステルの優れた性能即ち高い加工性、優れた耐水性、各種基材への優れた密着性を充分に発揮することが出来ず、逆にアクリル樹脂の望ましくない性能、即ち低い加工性、光沢、耐水性などを付加してしまう。ポリエステルの重量比率が95重量%以上である場合、グラフト化ポリエステルに親水性を付与するグラフト部分の親水性基量が不足して、良好な水性分散体を得ることが出来ない。
【0047】
(グラフト化反応の溶媒)
グラフト化反応の溶媒は、沸点が50〜250℃の水性有機溶媒から構成されることが好ましい。ここで水性有機溶媒とは20℃における水に対する溶解性が少なくとも10g/L以上、好ましくは20g/L以上である有機溶媒をいう。沸点が250℃を越える水性有機溶媒は、蒸発速度が遅いため、塗膜形成後の塗膜の高温焼付によっても充分に取リ除き得ないので不適当である。また沸点が50℃以下の水性有機溶媒では、それを溶媒としてグラフト化反応を実施する場合、50℃以下の温度でラジカルに分解する開始剤を用いねばならないので取扱上の危険が増大し、好ましくない。
【0048】
ポリエステルをよく溶解し、かつ親水性基、特にカルボキシル基含有重合性単量体を含む重合性単量体およびその重合体を比較的良く溶解する水性有機溶媒(第一群)としては、エステル類、例えば酢酸エチル;ケトン類、例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、およびシクロへキサノン;環状エーテル類、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、および1,3−ジオキソラン;グリコールエーテル類、例えばエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、およびエチレングリコールブチルエーテル;カルビトール類、例えばメチルカルビトール、エチルカルビトール、およびブチルカルビトール;グリコール類またはグリコールエーテルの低級エステル類、例えばエチレングリコールジアセテートおよびエチレングリコールエチルエーテルアセテート;ケトンアルコール類、例えばダイアセトンアルコール;N−置換アミド類、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、およびN−メチルピロリドン;などを挙げることができる。
【0049】
これに対し、ポリエステルをほとんど溶解しないが、親水性基、特にカルボキシル基含有重合性単量体を含む重合性単量体およびその重合体を比較的よく溶解する水性有機溶媒(第二群)として、水、低級アルコール類、低級グリコール類、低級カルボン酸類、低級アミン類などを挙げることが出来る。好ましいのは炭素数1〜4のアルコール類およびグリコール類である。
【0050】
グラフト化反応を単一溶媒中で行なう場合は、第一群の水性有機溶媒の一種を用い得る。混合溶媒中で行なう場合は、第一群の水性有機溶媒の複数種または第一群の水性有機溶媒の少なくとも一種と第二群の水性有機溶媒の少なくとも一種とを用い得る。
【0051】
第一群の水性有機溶媒からの単一溶媒中および第一群および第二群の水性有機溶媒のそれぞれ一種からなる混合溶媒中のいずれにおいても、グラフト化反応を行ない得る。しかし、グラフト化反応の進行挙動、グラフト化反応生成物およびそれから導かれる水系分散体の外観、性状など点から、第一群および第二群の水性有機溶媒のぞれぞれ一種からなる混合溶媒を使用することが好ましい。この理由は、ポリエステルのグラフト化反応においてポリエステル分子間の架橋により系のゲル化が起こりやすいが、以下のように混合溶媒を用いることによりゲル化が防がれ得るからである。
【0052】
第一群の溶媒中では、ポリエステル分子鎖は広がりの大きい鎖ののびた状態にあり、他方、第一群/第二群の混合溶媒中では、ポリエステル分子鎖は広がりの小さい糸まり状に絡まった状態にあることが、これら溶液中のポリエステルの粘度測定により確認された。ポリエステル分子鎖が延びた状態では、ポリエステル主鎖中の反応点が全てグラフト化反応に寄与し得るので、ポリエステルのグラフト化率は高くなるが、同時に分子間の架橋が起こる率も高くなる。他方、ポリエステル分子鎖が糸まり状になっている場合は、糸まり内部の反応点はグラフト化反応に寄与し得ず、同時に分子間の架橋が起こる率も低くなる。よって、溶媒の種類を選択することによってポリエステル分子の状態を調節し得、それによりグラフト化率およびグラフト化反応による分子間架橋を調節し得る。
【0053】
高いグラフト化率とゲル化抑制の両立は、混合溶媒系において達成し得る。第一群/第二群の混合溶媒の最適の混合比率は使用するポリエステルの溶解性などによって変わり得るが、通常、第一群/第二群の混合溶媒の重量比率は、95:5〜10:90、好ましくは90:10〜20:80、さらに好ましくは85:15〜30:70の範囲である。
【0054】
(ラジカル重合開始剤およびその他添加剤)
本発明で用い得るラジカル重合開始剤としては、当業者には公知の有機過酸化物類や有機アゾ化合物類を用い得る。
【0055】
有機過酸化物として、ベンゾイルパ−オキサイド、t−ブチルパ−オキシピバレート、有機アゾ化合物として、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などを挙げることが出来る。 グラフト化反応を行なうためのラジカル重合開始剤の使用量は、ラジカル重合性単量体に対して、少なくとも0.2重量%以上、好ましくは0.5重量%以上である。
【0056】
重合開始剤の他に、グラフト部分の鎖長を調節するための連鎖移動剤、例えばオクチルメルカプタン、メルカプトエタノール、3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソールなどを必要に応じて用い得る。この場合、ラジカル重合性単量体に対して0〜5重量%の範囲で添加されるのが望ましい。
【0057】
(グラフト化反応)
グラフト部分の形成は、上記ポリエステル中のラジカル重合性不飽和二重結合と上記ラジカル重合性単量体とが重合することおよび/またはラジカル重合性不飽和二重結合と上記ラジカル重合性単量体の重合体の活性末端とが反応することにより進行する。グラフト化反応終了後の反応生成物は、目的とするグラフト化ポリエステルの他にグラフト部分を有さないポリエステルおよびポリエステルとグラフトしなかったラジカル重合性単量体の重合体を含有する。反応生成物中のグラフト化ポリエステルの生成比率が低く、グラフト部分を有さないポリエステル及びグラフトしなかったラジカル重合性単量体の重合体の比率が高い場合は、安定性の良好な分散体が得られ得ない。
【0058】
通常、グラフト化反応は、加温下で上記ポリエステルを含む溶液に対し、上記ラジカル重合性単量体とラジカル開始剤とを一時に添加して行ない得るか、あるいは別々に一定時間を要して滴下した後、さらに一定時間攪拌下に加温を継続して反応を進行させることによって行い得る。あるいは、必要に応じて、ラジカル重合性単量体の一部を先に添加し、次いで残りのラジカル重合性単量体、重合開始剤を別々に一定時間を要して滴下した後、さらに一定時間攪拌下に加温を継続してグラフト化反応を行い得る。
【0059】
ポリエステルと溶媒との重量比率は、ポリエステルとラジカル重合性単量体との反応性およびポリエステルの溶剤溶解性を考慮して、重合工程中均一に反応が進行する重量比率が選択される。通常、70:30〜10:90、好ましくは50:50〜15:85の範囲である。
【0060】
(グラフト化ポリエステルの水分散化)
本発明に用いられ得るグラフト化ポリエステルは、固体状態で水系媒体に投入するか、または親水性溶媒に溶解後、水系媒体に投入することによって、水分散化され得る。特に、親水性の基を有するラジカル重合性単量体として、スルホン酸基およびカルボキシル基のような酸性基を有する単量体を用いた場合、グラフト化ポリエステルを塩基性化合物で中和することによって、グラフト化ポリエステルを容易に平均粒子径500nm以下の微粒子として水に分散して、水系共重合ポリエステル水系分散体を調製し得る。
【0061】
塩基性化合物としては塗膜形成時、あるいは以下に述べる硬化剤を配合した場合は焼付硬化時に揮散する化合物が望ましい。そのような塩基性化合物としては、アンモニア、有機アミン類などが好ましい。有機アミン類としては、トリエチルアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、アミノエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどを挙げることが出来る。
【0062】
塩基性化合物の使用量は、グラフト部分中に含まれるカルボキシル基を、少なくとも部分中和あるいは完全中和して、水系分散体のpH値を5.0〜9.0の範囲にする量が好ましい。
【0063】
塩基性化合物で中和された水系共重合ポリエステル水系分散体を調製する方法としては、グラフト化反応終了後、反応液から溶媒を、減圧下でエクストルダーなどにより除去してメルト状または固体状(ペレット、粉末など)にし、次いでこれを塩基性化合物水溶液に投じて加熱下攪拌することまたはグラフト化反応を終了した時点で直ちに塩基性化合物水溶液を反応液に投入し、さらに加熱攪拌を継続すること(ワン・ポット法)により水系分散体を調製し得る。利便性の点からワン・ポット法が好ましい。この場合、グラフト化反応に用いた溶媒の沸点が100℃以下ならば蒸留によって一部または全部を容易に取り除き得る。
【0064】
(塗布剤)
上記水系分散体は、そのままで本発明に用い得る塗布剤として使用し得るが、さらに架橋剤(硬化用樹脂)を配合して硬化を行なうことにより、塗膜に高度の耐水性を付与し得る。
【0065】
架橋剤としては、アルキル化フェノール類、クレゾール類などとホルムアルデヒドとの縮合物のフェノールホルムアルデヒド樹脂;尿素、メラミン、ベンゾグアナミンなどとホルムアルデヒドとの付加物、この付加物と炭素原子数が1〜6のアルコールからなるアルキルエーテル化合物などのアミノ樹脂;多官能性エポキシ化合物;多官能性イソシアネート化合物;ブロックイソシアネート化合物;多官能性アジリジン化合物;オキサゾリン化合物などを用い得る。
【0066】
フェノールホルムアルデヒド樹脂としては、例えば、アルキル化(メチル、エチル、プロピル、イソプロピルまたはブチル)フェノール、p−tert−アミルフェノール、4、4’−sec−ブチリデンフェノール、p−tert−ブチルフェノール、o−、m−、p−クレゾール、p−シクロヘキシルフェノール、4,4’−イソプロピリデンフェノール、p−ノニルフェノール、p−オクチルフェノール、3−ペンタデシルフェノール、フェノール、フェニルo−クレゾール、p−フェニルフェノール、キシレノールなどのフェノール類とホルムアルデヒドとの縮合物を挙げることができる。
【0067】
アミノ樹脂としては、例えば、メトキシ化メチロール尿素、メトキシ化メチロールN,N−エチレン尿素、メトキシ化メチロールジシアンジアミド、メトキシ化メチロールメラミン、メトキシ化メチロールベンゾグアナミン、ブトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールベンゾグアナミンなどが挙げられるが好ましくはメトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールメラミン、およびメチロール化ベンゾグアナミンなどを挙げることができる。
【0068】
多官能性エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびそのオリゴマー、水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびそのオリゴマー、オルソフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、p−オキシ安息香酸ジグリシジルエステル、テトラハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−へキサンジオールジグリシジルエーテルおよびポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル類、トリメリット酸トリグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、1,4−ジグリシジルオキシベンゼン、ジグリシジルプロピレン尿素、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテル、グリセロールアルキレンオキサイド付加物のトリグリシジルエーテルなどを挙げることができる。
【0069】
多官能性イソシアネート化合物としては、低分子または高分子の芳香族、脂肪族のジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネートを用い得る。ポリイソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネー卜、およびこれらのイソシアネー卜化合物の3量体がある。さらに、これらのイソシアネート化合物の過剰量と、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの低分子活性水素化合物、またはポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類などの高分子活性水素化合物とを反応させて得られる末端イソシアネート基含有化合物を挙げることができる。
【0070】
ブロック化イソシアネートは上記イソシアネート化合物とブロック化剤とを従来公知の適宜の方法より付加反応させて調製し得る。イソシアネートブロック化剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノールなどのフェノール類;チオフェノール、メチルチオフェノールなどのチオフェノール類;アセトキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムなどのオキシム類;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類;エチレンクロルヒドリン、1,3−ジクロロ−2−プロパノールなどのハロゲン置換アルコール類;t−ブタノール、t−ペンタノールなどの第3級アルコール類;ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、ν−ブチロラクタム、β−プロピルラクタムなどのラクタム類;芳香族アミン類;イミド類;アセチルアセトン、アセト酢酸エステル、マロン酸エチルエステルなどの活性メチレン化合物;メルカプタン類;イミン類;尿素類;ジアリール化合物類;重亜硫酸ソーダなどを挙げることができる。
【0071】
これらの架橋剤は、それぞれ単独または2種以上混合して用い得る。
【0072】
架橋剤の配合量としては、グラフト化ポリエステルに対して、5重量%〜40重量%が好ましい。
【0073】
架橋剤の配合方法としては、(1)架橋剤が水溶性である場合、直接水系分散体中に溶解または分散させる方法、または(2)架橋剤が油溶性である場合、グラフト化反応終了後、水分散化の前または後に架橋剤を加えてコア部にポリエステルと共存させる方法を用い得る。これらの方法は、架橋剤の種類、性状により適宜選択し得る。さらに架橋剤には、硬化剤あるいは促進剤を併用し得る。
【0074】
本発明に用い得る塗布剤に、さらに本発明の効果を損なわない範囲で、帯電防止剤、無機滑剤、有機滑剤などの添加剤を混合し得る。
【0075】
(ポリアミドフィルム基材)
本発明においてポリアミドフィルム基材に使用し得るポリアミドとしては、例えば、ε−カプロラクタムを主原料としたナイロン6、3員環以上のラクタム、ω−アミノ酸、二塩基酸とジアミンの重縮合によって得られるポリアミドなどを用い得る。
【0076】
ラクタム類としては、ε−カプロラクタムの他に、エナントラクタム、カプリルラクタム、ラウリルラクタムなどを用い得る。
【0077】
ω−アミノ酸としては、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸などを用い得る。
【0078】
二塩基酸としては、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカジオン酸、へキサデカジオン酸、エイコサンジオン酸、エイコサジエンジオン酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸、テレフタル酸イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、キシリレンジカルボン酸などを用い得る。
【0079】
ジアミン類としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、2,2,4(または2,4,4)−トリメチルヘキサメチレンジアミン、シクロヘキサンジアミン、ビス−(4,4’−アミノシクロヘキシル)メタン、メタキシリレンジアミンなどを用い得る。
【0080】
二塩基酸とジアミンの重縮合によって得られる重合体または共重合体としては、例えば、ナイロン6、7、11、12、6.6、6.9、6.11、6.12、6T、6I、MXD6、6/6.6、6/12、6/6T、6/6I、6/MXD6などを挙げることができる。
【0081】
本発明に用い得るポリアミドフィルム基材は、目的の性能を損なわない限りにおいて、各種添加剤を配合し得る。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、耐光剤、ゲル化防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、顔料、帯電防止剤、界面活性剤などがある。
【0082】
本発明に用い得るポリアミドフィルム基材は、公知のフィルム製膜法によって形成し得る。フィルム製膜法としては、Tダイ法、インフレーション法などを用い得る。
【0083】
また本発明に用い得るポリアミドフィルム基材は単層または共押出などによる多層フィルムであり得る。
【0084】
(積層ポリアミドフィルム)
本発明の積層ポリアミドフィルムを調製するために、ポリアミドフィルム基材に水系共重合ポリエステル水系分散体を含む塗布剤を塗布する方法としては、グラビア方式、リバース方式、ダイ方式、バー方式、ディップ方式など公知の塗布方式を用い得る。
【0085】
塗布剤の塗布量は、固形分として0.01〜1g/m2、好ましくは、0.05〜0.5g/m2である。塗布量が0.01g/m2以下になると、塗膜と他層との十分な接着強度が得られない。1g/m2以上になるとブロッキングが発生し、実用上問題がある。
【0086】
本発明の積層ポリアミドフィルムは、二軸延伸ポリアミドフィルム基材に塗布剤を塗布するか、未延伸あるいは一軸延伸後のポリアミドフィルム基材に塗布剤を塗布した後、乾燥し、必要に応じて、さらに一軸延伸あるいは二軸延伸後熱固定を行って調製し得る。二軸延伸ポリアミドフィルム基材を用いた場合、塗布剤塗布後の乾燥温度としては、150℃以上、好ましくは200℃以上で乾燥および熱固定を行うことにより塗膜が強固になり、塗布剤とポリアミドフィルム基材との接着性が向上する。
【0087】
塗布後に延伸を行う場合、塗布後の乾燥は、塗布フィルムの延伸性を損なわないために塗布フィルムの水分率を0.1〜2%の範囲に制御する必要がある。延伸後は200℃以上で乾燥および熱固定することにより、塗膜が強固になり塗膜とポリアミドフィルム基材との接着性が飛躍的に向上する。
【0088】
本発明に用い得る共重合ポリエステル水系分散体は、ポリエステル主鎖に由来するカルボニル炭素のシグナルの半値幅は300Hz以上、グラフト部分に由来するカルボニル炭素のシグナルの半値幅は、好ましくは150Hz以下である。すなわち、共重合ポリエステル水系分散体中の粒子は、水性分散媒体中においてポリエステル主鎖をコアとするコア−シェル構造をとり得る。このような共重合ポリエステル水系分散体から得られる塗布膜は、ポリアミドフィルム基材および印刷インキやシーラント層を積層する時に使用する接着剤との接着性に優れている。従って、本発明の積層ポリアミドフィルムを使用することにより、得られる積層体は、レトルト処理や沸水処理における耐久性が著しく向上され得る。
【0089】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いて説明する。実施例中、単に部とあるのは重量部を表し、%とあるのは重量%を示す。各測定項目は以下の方法に従った。
【0090】
(1)重量平均分子量
重合体0.03gをテトラヒドロフラン10mlに溶かし、GPC−LALLS装置 低角度光散乱光度計LS-8000(東ソー株式会社製、テトラヒドロフラン溶媒、リファレンス:ポリスチレン)で測定した。
【0091】
(2)ポリエステルのグラフト効率
グラフト化反応により得られた生成物を、UNITY 500(バリアン社製)を用いて、ポリエステル中の二重結合含有成分の二重結合に由来するプロトンの1H−NMR(220MHz、測定溶媒CDC13/DMSO−d6)を測定し、そのシグナルの強度変化を元に、以下の式を用いてグラフト効率を算出した。
【0092】
【化1】
Figure 0004172825
【0093】
なお、相対強度は基準シグナルとしての内部インターナルのシグナル強度との比較により算出した。
【0094】
(3)グラフト部分の重量平均分子量の測定
グラフト化ポリエステルを、KOH/水−メタノール溶液中で還流することによりポリエステルの加水分解を行なった。分解生成物を酸性条件下でTHFを用いて抽出を行ない、抽出液からグラフト部分をヘキサンで再沈殿することにより精製した。得られた重合体をGPC装置(島津製作所製、テトラヒドロフラン溶媒、ポリスチレン換算)を用いて分子量を測定し、グラフト部分の重量平均分子量を計算した。
【0095】
(4)水系分散体の粒子径
水系分散体を、イオン交換水だけを用いて固形分濃度0.1wt%に調製し、レーザー光散乱粒度分布計 Coulter model N4(Coulter社製)を用いて20℃で粒子径を測定した。
【0096】
(5)水系分散体のB型粘度
水系分散体の粘度を、回転粘度計(東京計器(株)製, EM型)を用いて25℃で測定した。
【0097】
(6)13C−NMRのシグナルの半値幅の測定
水系分散体を固形分濃度20重量%になるように重水で希釈し、次いでこれにDSSを添加して測定用サンプルを調製した。UNITY 500(バリアン社製)を用いて、25℃で、DSSのシグナルの半値幅が5Hz以下になるように測定条件を設定した後、サンプルの13C−NMR(125MHz)を測定し、重み付け関数をかけずにフーリエ変換をした。得られたポリエステル主鎖のカルボニル炭素のシグナルとグラフト部分のカルボニル炭素のシグナルの半値幅をそれぞれ計測した。
【0098】
(7)ガラス転移点(Tg)
水系分散体をガラス板に塗布し、次いで170℃で乾燥してポリエステル固形分を得た。このポリエステル固形分10mgをサンプルパンに取り、示差走査型熱量計で10℃/分の速度で走査してTgを測定した。
【0099】
(8)剥離強度
ポリアミドフィルム積層体の常態保存(乾燥時および湿潤時)における剥離強度を、引張試験機にて引張速度100mm/分で90°剥離試験にて測定した。
【0100】
(9)熱水中剥離強度の測定
ポリアミドフィルム積層体の90℃熱水中における剥離強度を、引張試験機にて引張速度100mm/分で90°剥離試験にて測定した。
【0101】
(実施例1)
(共重合ポリエステル水系分散体の調製)
攪拌機、温度計および部分還流式冷却器を具備したステンレススチール製オートクレーブにジメチルテレフタレート466部、ジメチルイソフタレート466部、ネオペンチルグリコール401部、エチレングリコール443部、およびテトラ−n−ブチルチタネート0.52部を仕込み、160℃〜220℃で4時間かけてエステル交換反応を行なった。次いでフマール酸23部を加え200℃から220℃まで1時間かけて昇温し、エステル化反応を行なった。次いで255℃まで昇温し、反応系を徐々に減圧したのち0.2mmHgの減圧下で1時間30分攪拌しながら反応させてポリエステルを得た。得られたポリエステルは淡黄色透明で、ガラス転移温度60℃、重量平均分子量は12000であった。NMR測定などにより得られた組成は次の通りであった。
【0102】
ジカルボン酸成分
テレフタル酸 48モル%
イソフタル酸 48モル%
フマール酸 4モル%
ジオール成分
ネオペンチルグリコール 50モル%
エチレングリコール 50モル%
攪拌器、温度計、還流装置と定量滴下装置を備えた反応器に、上記ポリエステル樹脂75部とメチルエチルケトン56部とイソプロピルアルコール19部とを入れ65℃で加熱、攪拌し樹脂を溶解した。樹脂が完溶した後、メタクリル酸17.5部とアクリル酸エチル7.5部の混合物と、アゾビスジメチルバレロニトリル1.2部とを25部のメチルエチルケトンに溶解した溶液を0.2ml/分でポリエステル溶液中に滴下し、滴下終了後さらに2時間攪拌を続けた。反応溶液から分析用のサンプリング(5g)を行なった後、水300部とトリエチルアミン25部を反応溶液に加え、1時間攪拌してグラフト化ポリエステルの分散体を調製した。その後、得られた分散体の温度を100℃に上げ、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、過剰のトリエチルアミンを蒸留により溜去して共重合ポリエステル水系分散体を得た。
【0103】
得られた分散体は、白色で平均粒子径300nm、25℃におけるB型粘度は50cpsであった。この分散体5gに重水1.25gを添加して固形分濃度を20重量%とした後、DSSを加えて、125MHz 13C−NMRを測定した。ポリエステル主鎖のカルボニル炭素のシグナル(160−175ppm)の半値幅は∞(シグナルが検出されない)であり、グラフト部分のメタクリル酸のカルボニル炭素のシグナル(181ppm−186ppm)の半値幅は110Hzであった。グラフト化反応終了時点で、サンプリングした溶液を100℃で8時間真空下で乾燥を行ない、その固形分について酸価の測定、ポリエステルのグラフト効率の測定(NMRの測定)、および加水分解によるグラフト部分の分子量の測定を行った。固形分の酸価は2300eq./106gであった。1H−NMRの測定では、フマール酸由来のシグナル(δ=6.8−6.9ppm、doublet)が全く検出されなかったことから、ポリエステルのグラフト効率は100%であることを確認した。グラフト部分の分子量は、重量平均分子量は10000であった。
【0104】
(積層ポリアミドフィルムの調製)
上記分散体を固形分濃度5%になるように水で希釈して、厚み15μmの二軸延伸ポリアミドフィルムにグラビア方式で塗布した後、150℃で乾燥し、積層ポリアミドフィルムを得た。得られたフィルムのグラフト化ポリエステルの塗布量は0.2g/m2であった。
【0105】
(積層体の調製)
上記積層ポリアミドフィルムの塗布剤塗布面上にグラビアインキ(ラミエース61白二液タイプ、東洋インキ社製)をグラビア印刷して印刷インキ層を形成し、次いでその上に一液湿気硬化型AC剤(T−104、日本ソーダ社製)を塗布してAC剤層を形成した。次いで、AC剤層上に、常法に従ってLDPE押出ラミネートを行ないシーラント層を設け、ポリアミドフィルム積層体を得た。常態保存(乾燥時および湿潤時)と90℃熱水中における剥離強度を測定した。評価結果を表1に示す。
【0106】
(実施例2)
実施例1の共重合ポリエステル水系分散体を、固形分濃度10%になるように水で希釈して塗布剤を調製した。ポリアミドをスクリュー式押出し機で260℃に加熱溶融し、Tダイより押出した。次いで、この未延伸シートを冷却ドラムで50℃で3.2倍の縦延伸を行った。得られたポリアミドフィルム基材に塗布剤を、塗布量が4g/m2になるようにグラビア方式で塗布し、次いで塗布ポリアミドフィルムの水分率が1%になるように乾燥した後、120℃で4倍の横延伸して220℃で熱固定を行ない、厚み15μmの積層ポリアミドフィルムを得た。グラフト化ポリエステルの塗布量は0.2g/m2であった。次いで、実施例1と同様にしてポリアミドフィルム積層体を調製し、評価した。評価結果を表1に示す。
【0107】
(実施例3)
実施例1と同様の方法を用いて下記組成のポリエステルを得た。得られたポリエステルのガラス転移温度は−10℃であった。
【0108】
ジカルボン酸成分
テレフタル酸 56モル%
セバシン酸 40モル%
フマール酸 4モル%
ジオール成分
ネオペンチルグリコール 50モル%
エチレングリコール 50モル%
このポリエステルから実施例1と同様の方法を用いて共重合ポリエステル水系分散体を調製した。得られた分散体は白色で、平均粒子径200nm、25℃におけるB型粘度は90cpsであった。さらにこの分散体を用いて実施例1と同様にして積層ポリアミドフィルムを得た。次いで、実施例1と同様にしてポリアミドフィルム積層体を調製し、評価した。評価結果を表1に示す。
【0109】
(実施例4)
実施例3の共重合ポリエステル水系分散体を使用し、実施例2と同様にして積層ポリアミドフィルムを得た。次いで、実施例1と同様にしてポリアミドフィルム積層体を調製し、評価した。評価結果を表1に示す。
【0110】
(実施例5)
実施例1と同様の方法を用いて下記組成のポリエステルを得た。得られたポリエステルのガラス転移温度は30℃であった。
【0111】
ジカルボン酸成分
テレフタル酸 48モル%
イソフタル酸 39モル%
セバシン酸 9モル%
フマール酸 4モル%
ジオール成分
ネオペンチルグリコール 50モル%
エチレングリコール 50モル%
このポリエステルから実施例1と同様の方法を用いて共重合ポリエステル水系分散体を調製した。得られた分散体は白色で、平均粒子径150nm、25℃におけるB型粘度は100cpsであった。さらにこの分散体を用いて実施例2と同様にして積層ポリアミドフィルムを得た。次いで、実施例1と同様にしてポリアミドフィルム積層体を調製し、評価した。評価結果を表1に示す。
【0112】
(比較例1)
実施例1と同様の方法を用いて下記組成のポリエステルを得た。
【0113】
ジカルボン酸成分
テレフタル酸 35モル%
イソフタル酸 35モル%
フマール酸 30モル%
ジオール成分
ネオペンチルグリコール 50モル%
エチレングリコール 50モル%
このポリエステルから実施例1と同様の方法によって共重合ポリエステル水系分散体を調製した。得られた分散体は白色で、平均粒子径10000nm以上、25℃におけるB型粘度は50cpsであった。ガラス転移温度は56℃であった。さらにこの分散体を用いて実施例1と同様にして積層ポリアミドフィルムを得た。次いで、実施例1と同様にしてポリアミドフィルム積層体を調製し、評価した。評価結果を表1に示す。
【0114】
(比較例2)
(共重合ポリエステル水系分散体の調製)
攪拌機、温度計および部分還流式冷却器を具備したステンレススチール製オートクレーブにアジピン酸388部、イソフタル酸339部、無水マレイン酸85部、安息香酸112部、ジメチルプロピオン酸90部、ネオペンチルグリコール692部、水77部およびジブチルチンオキサイド1.5部を仕込み、150℃で1.5時間、190℃〜220℃で4時間かけてエステル化反応を行なって、ポリエステルを得た。得られたポリエステルは淡黄色透明で、ガラス転移温度60℃、重量平均分子量は1200であった。NMR測定などにより得られた組成は次の通りであった。
【0115】
ジカルボン酸成分
アジピン酸 38モル%
イソフタル酸 33モル%
無水マレイン酸 8モル%
安息香酸 11モル%
ジメチルプロピオン酸 10モル%
ジオール成分
ネオペンチルグリコール 100モル%
このポリエステルから実施例1と同様の方法により共重合ポリエステル水系分散体を得た。得られた分散体は白色で、平均粒子径300nm、25℃におけるB型粘度は100cps以上(高粘度のため測定不能)であった。この水系分散体5gに重水1.25gを添加し固形分濃度を20重量%とした後、DSSを加え、125MHz 13C−NMRを測定した。ポリエステル主鎖のカルボニル炭素のシグナルの半値幅は150Hzであり、メタクリル酸のカルボニル炭素のシグナルの半値幅は200Hzであった。
【0116】
(ポリアミドフィルム積層体の調製)
上記分散体を用いて実施例1と同様にして積層ポリアミドフィルムを得た。次いで、実施例1と同様にしてポリアミドフィルム積層体を調製し、評価した。評価結果を表1に示す。
【0117】
(比較例3)
コロナ処理にて表面張力53ダイン/cmとした厚み15μmの二軸延伸ポリアミドフィルムのコロナ処理面上にグラビアインキ(ラミエース61白二液タイプ、東洋インキ社製)をグラビア印刷して印刷インキ層を形成し、次いでその上に一液湿気硬化型AC剤(T−104、日本ソーダ社製)を塗布してAC剤層を形成した。次いでAC剤層上に、常法に従ってLDPE押出ラミネートを行ないシーラント層を設け、ポリアミドフィルム積層体を調製し、評価した。評価結果を表1に示す。
【0118】
【表1】
Figure 0004172825
【0119】
【発明の効果】
本発明の積層ポリアミドフィルムは接着性が良好であり、特にドライラミネートや押出ラミネートなどで積層されるシーラント材との接着性に優れる。耐水性および耐久性に優れるため積層ポリアミドフィルム/印刷インキ/接着剤層/シーラント層と構成された積層体のレトルト処理や沸水処理を行っても破袋が著しく少なく、そのため水分含有食品や薬品用の包装袋として広く利用され得る。

Claims (2)

  1. ポリアミドフィルム基材の少なくとも片面に共重合ポリエステル水系分散体を含む塗布剤が一軸延伸されたポリアミドフィルム基材に塗布された後、塗布フィルムの水分率を0.1〜2%の範囲に制御し、さらに一軸延伸を行う工程により製造されることを特徴とする積層ポリアミドフィルムの製造方法であって、
    該共重合ポリエステル水系分散体、グラフト化ポリエステルの粒子と水系溶媒とを含み、
    該グラフト化ポリエステルの粒子が、ジカルボン酸成分とジオール成分とからなり、かつジカルボン酸成分中に芳香族ジカルボン酸を40〜99.5モル%、ラジカル重合性不飽和二重結合を有するジカルボン酸0.5〜10モル%含有する重量平均分子量が5000〜100000のポリエステル主鎖と、親水性基を有するラジカル重合性単量体を10〜90重量%含有するラジカル重合性単量体により形成される重量平均分子量が500〜50000のグラフト部分とを有し、
    該グラフト化ポリエステルにおけるポリエステル主鎖とグラフト部分との重量比(ポリエステル:ラジカル重合性単量体)は、55:45〜93:7の範囲であり、
    該グラフト化ポリエステル粒子の平均粒子径が10〜300mであり、そして
    該グラフト化ポリエステル粒子がコア−シェル構造をとることを特徴とする積層ポリアミドフルムの製造方法
  2. 前記グラフト化ポリエステルのガラス転移温度が30℃以下である、請求項に記載の製造方法
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