JP4603430B2 - 有機樹脂被覆溶融めっき鋼板 - Google Patents

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本発明は、内装材,外装材,表装材等として使用され、優れた塗装後耐食性を示す有機樹脂被覆溶融めっき鋼板に関する。
ポリアニリンに代表される導電性高分子は、塗膜下腐食を抑制する作用を呈することから塗装用プライマ等への適用が期待されている。たとえば、可溶性ポリアニリンを含む溶液を金属表面に塗布し乾燥することにより形成したポリアニリン皮膜で耐食性を改善した塗装金属板(特許文献1),ポリアニリン及びリン酸を配合した防食塗料(特許文献2)等が知られている。
特開平6-128769号公報 特開平11-21505号公報
ポリアニリン皮膜は、耐食性を初め優れた特性を示すものの、下地に対する密着性が不十分なため、リン酸塩処理,クロメート処理等、従来の塗装前処理に比較すると満足できる結果が得られていない。皮膜密着性が改善されると、ポリアニリンの優れた特性を活用でき、クロメート処理にみられるような環境負荷の大きな塗装前処理も必要なくなる。
本発明者等は、かかる要求に応えるべくポリアニリン皮膜の下地に対する密着性に及ぼす影響を種々調査・検討した。その結果、表面にAlが濃化した下地を用い、ポリアニリン皮膜と下地との界面にシランカップリング剤を介在させるとき、皮膜密着性が改善され、ポリアニリンの優れた特性が付与されることを解明した。本発明は、かかる知見をベースに完成されたものであり、塗装後耐食性に優れ、内装材,外装材,表装材等として広汎な分野で使用される有機樹脂被覆溶融めっき鋼板を提供することを目的とする。
本発明の有機樹脂被覆溶融めっき鋼板は、Alが濃化した表面層をもつ溶融めっき層が設けられている鋼板を下地に使用し、溶融めっき層表面とポリアニリン含有有機樹脂皮膜との間にシランカップリング剤からなる界面層を介在させている。Al濃化の程度は、溶融めっき層表面のAl含有量で3質量%以上(好ましくは、10質量%以上)が必要である。シランカップリング剤は、アミノ基,シクロアルカン,π結合を有する原子団から選ばれた一種又は二種以上の有機官能基で有機樹脂皮膜のポリアニリンに結合する。
シランカップリング剤による密着性改善は、ポリアニリン含有皮膜に限ったものでなく、同様な複素環式共役系又はヘテロ原子含有共役系のπ共役高分子を含む有機樹脂皮膜にも有効である。有機樹脂皮膜は、ドーパントを含まない皮膜でも良いが、ドーパントの配合により導電性が付与された皮膜となる。π共役高分子に含まれるヘテロ原子には、窒素,硫黄等がある。
溶融めっき層に含まれるAlは、酸素親和力の大きな元素であり、大気中の酸素や水分と反応して酸化物,水酸化物となる。表層のAlが酸化物,水酸化物になるに応じ溶融めっき層内部から表層にAlが供給され、表層のAl濃度が高くなる。たとえば、Zn-0.1質量%Al合金めっき層を設けた溶融めっき鋼板でも、ESCAやAES等で表面分析するとAl濃度:20〜40質量%の表面層が検出される。因みに、代表的な他のめっき金属であるZnは、一部金属状態でめっき層表面に存在する。
他方、シランカップリング剤は、金属の酸化物,水酸化物と結合しやすいシラノール基と、アミノ基,シクロアルカン,π結合を有する原子団等の有機官能基とをもっている。シラノール基を介しAlの酸化物,水酸化物がある溶融めっき層の表面に強固に密着するが、シラノール結合による密着力は、めっき層表面のAl濃度に応じて高くなる。このシランカップリング剤からなる界面層を介し有機樹脂皮膜が下地の溶融めっき鋼板に積層されるので、有機樹脂皮膜の密着性が向上し、優れた塗装後耐食性が付与される。
シランカップリング剤の有機官能基は、有機樹脂皮膜を構成する導電性高分子に対する結合力がある。たとえば、アミノ基を有するシランカップリング剤では導電性高分子のヘテロ原子とアミノ基との間に強い水素結合が生じ、シクロアルカンやπ結合を有する原子団の場合にはπ共役基との間に強い相互作用を呈し、下地の溶融めっき鋼板に対する有機樹脂皮膜の密着性が向上する。
複素環式共役系又はヘテロ原子含有共役系のπ共役高分子を含む有機樹脂皮膜が良好な密着性で下地の溶融めっき鋼板に形成されているので、塗膜下腐食も抑制される。有機樹脂皮膜による塗膜下腐食の抑制機構は次のように説明できる。なお、以下の説明ではポリアニリンを例に採っているが、ポリアニリン以外のπ共役高分子でも同様に説明できる。
腐食性因子が有機樹脂皮膜を透過して溶融めっき鋼板の表面に到達すると下地表面の金属が酸化されるが、酸化反応時にポリアニリンが還元される。還元型のポリアニリンは空気酸化で元のポリアニリンとなり、金属の酸化物は高次の酸化物になる。高次酸化物は、酸素還元で発生したOH-と反応し、最終的に酸化皮膜となる。表層Al濃度が高い溶融めっき層では、ポリアニリンの酸化⇔還元が頻繁に繰り返されAlの酸化が促進される結果、緻密で安定した酸化皮膜,換言すれば環境遮断能の高いバリア層が形成される。そのため、下地の更なる腐食進行が抑えられる。
〔溶融めっき鋼板〕
本発明が対象とする溶融めっき鋼板は、溶融めっき層の表面から深さ100nmまでの表層域におけるAl濃度:3質量%以上を満足する限り溶融めっき層の組成に特段の制約が加わるものでなく、Zn-Al,Zn-Al-Mg,Zn-Al-Mg-Si,Al-Si等、各種めっき鋼板が使用される。また、必要に応じてTi,B,Fe等を含ませた溶融めっき層であっても良い。めっき層組成は浴組成をほぼ反映することから、溶融めっき浴の組成を管理することにより溶融めっき層を目標組成に調整できる。
0.1質量%程度とAl含有量が比較的少ないZn-Al系めっき鋼板を製造する場合、溶融めっき浴から引き上げた鋼帯の冷却速度や冷却条件(空冷,水冷等)を管理することにより、溶融めっき層の表層にAlを3質量%以上に濃化できる。なお、表層Al濃度は、AES分析法で1000μm角のエリアを走査・分析し、併せてArスパッタで表層から100nmの深さまで繰返し分析することにより求められる値である。
〔界面層〕
本発明の有機樹脂被覆溶融めっき鋼板は、下地の溶融めっき鋼板と有機樹脂皮膜との間にシランカップリング剤からなる界面層を形成している。界面層は、シランカップリング剤,π共役高分子を含む塗料を溶融めっき鋼板に塗布し焼き付けることにより形成されるが、予め溶融めっき鋼板にシランカップリング剤含有液を塗布し乾燥することによって形成したものでも良い。なお、界面層は、ESCAやAES等を用いて有機樹脂被覆溶融めっき鋼板の深さ方向に関して元素の分布状態を分析することにより確認できる。
シランカップリング剤は、溶融めっき層表面にあるAlの酸化物,水酸化物に対して強い結合を示すシラノール基と、有機樹脂皮膜の導電性高分子に対して強い結合を示す有機官能基を有している。有機官能基には、アミノ基,シクロアルカン,π結合を有する原子団がある。
アミノ基を有するシランカップリング剤には、γ-(-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン,アミノシラン,γ-ウレイドプロピルトリエトキシシラン,トリメトキシシラン,γ-アミノプロピルトリエトキシシラン,γ-アミノプロピルトリメトキシシラン,メチルジメトキシシラン等がある。なかでも、γ-アミノプロピルトリメトキシシランのようにアミノ基として一級アミノ基のみを含有するシランカップリング剤が大きな密着性向上効果を発揮する。
シクロアルカン又はπ結合を有するシランカップリング剤にはN-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン,3-アニリノプロピルトリメトキシシラン,シクロヘキシルメチルジメトキシシラン,フェニルトリメトキシシラン,ジフェニルジメトキシシラン2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン,N-[2-(ビニルベンジルアミノ)エチル]-3-アミノプロピルトリメトキシシラン,3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン,3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン,ビニルトリアセトキシシラン,ビニルトリメトキシシラン,ビニルトリエトキシシラン等がある。
〔有機樹脂皮膜〕
有機樹脂皮膜の主成分であるπ共役高分子は、複素環式共役系又はヘテロ原子含有共役系があり、具体的には以下の化合物が使用される。
複素環式共役系:ポリピロール,ポリフラン,ポリチオフェン,ポリセレノフェン
ヘテロ原子含有共役系:ポリ(パラフェニレンスルフィド),ポリ(パラフェニレンオキシド),ポリアニリン
特に、ヘテロ原子Sを有するポリ(パラフェニレンスルフィド)やNを有するポリアニリンをπ共役高分子に使用する場合、有機樹脂皮膜の密着性が一層向上する。
〔塗料の調製及び塗装〕
シランカップリング剤,π共役高分子を溶媒に溶解することにより、有機樹脂皮膜形成用の塗料が調製される。使用可能な溶媒は、シランカップリング剤,π共役高分子を安定に溶解させる限り特に種類が制約されるものではなく、水,メタノール等のアルコール類,メチルエチルケトン,キシレン,アセトン,アセトニトリル,N-メチル-2-ピロリドン等の有機溶媒がある。
π共役高分子は、1〜30質量%で配合することが好ましい。π共役高分子の配合量が1質量%未満では、塗料中のπ共役高分子が不足し、均一な有機樹脂皮膜を形成させ難い。逆に、30質量%を超える過剰量では、塗料の安定性が悪くなり、塗料の更新時期を早めることにもなる。
シランカップリング剤は、π共役高分子に対して0.1〜30質量%の割合で添加することが好ましい。0.1質量%未満の添加量では十分な密着性向上効果が得られず、逆に30質量%を超える過剰量ではπ共役高分子による特性付与に悪影響を及ぼしやすい。
ロールコート,スプレー,浸漬法等で原板に塗料を塗布し、焼付け・乾燥することにより目標の有機樹脂皮膜が形成される。焼付け・乾燥は、π共役高分子の分解を防止しながら溶媒を揮発させる限り温度条件に特段の制約が加わるものではないが、工業的な観点から焼付け・乾燥温度を50〜300℃の範囲で選定することが好ましい。50℃に達しない温度では長時間の焼付け・乾燥を必要とし、300℃を超える温度ではπ共役高分子の分解に起因する品質低下が懸念される。
有機樹脂皮膜は、塗装後耐食性に優れており、下塗り塗膜,表層塗膜の何れにも使用でき、好ましくは乾燥膜厚:0.1〜10μmに調整される。0.1μm未満の薄膜では、十分な耐食性が確保されない。有機樹脂皮膜が厚膜になるほど耐食性等の品質が向上するものの、10μmを超えて厚膜化しても更なる品質向上効果が得られず経済的に不利となる。
下塗り塗膜として使用する場合、0.1μm未満の膜厚では疵部を起点とする塗膜下腐食の進行抑制力が不十分となり、10μmを超える厚膜では耐食性向上効果が飽和するだけでなく加工形状が厳しい部位で有機樹脂皮膜にクラックが入る虞があり、外観,耐食性等の特性が十分でないことが懸念される。
有機樹脂皮膜にドーパントを含ませることにより、導電性,耐食性の向上が図られる。ドーパントには、ハロゲン,プロトン,ルイス酸,有機酸等を使用できる。具体的には、塩素,臭素,沃素等のハロゲン、塩酸,硫酸,過塩素酸,過塩素酸テトラメチルアンモニウム,テトラフルオロホウ酸,ヘキサフルオロリン酸等のプロトン酸、五フッ化リン,三フッ化ホウ素等のルイス酸、ベンゼンスルホン酸,トルエンスルホン酸,ナフタレンスルホン酸等の有機酸が挙げられる。
ドーパントを含む皮膜は、π共役高分子,シランカップリング剤,ドーパントを含む塗料を原板に塗布・焼付けする一段処理、或いはπ共役高分子,シランカップリング剤を含む有機樹脂皮膜を形成した後でドーパント溶液を塗布する二段処理で形成される。π共役高分子をドープした有機樹脂皮膜は高い導電性を呈するので、アース性が要求される用途に適用でき、帯電防止材,電磁波シールド材等として有効な表面処理鋼板が得られる。
(1)〜(7)の溶融めっき鋼板を塗装原板に用い、表層Al濃度と塗膜密着性との関係を調査した。各溶融めっき鋼板は、表層Al濃度が10質量%以上となるように溶融めっき浴から引き上げた後の冷却速度,冷却条件を制御した。めっき層中のAl濃度及び表層Al濃度を表1に示す。
(1) 付着量:60g/m2,板厚:0.8mmのZn-0.1質量%Al合金めっき層が形成された溶融めっき鋼板
(2) 溶融めっき鋼板(1)を合金化処理したZn-Fe-Al合金めっき鋼板
(3) 付着量:60g/m2,板厚:0.8mmのZn-4質量%Alの合金めっき層が形成された溶融めっき鋼板
(4) 付着量:60g/m2,板厚:0.8mmのZn-3質量%Mg-6質量%Al-0.1質量%Siの合金めっき層が形成された溶融めっき鋼板
(5) 付着量:60g/m2,板厚:0.8mmのZn-3質量%Mg-11質量%Al-0.1質量%Siの合金めっき層が形成された溶融めっき鋼板
(6) 付着量:60g/m2,板厚:0.8mmのZn-55質量%Al-1質量%Siの合金めっき層が形成された溶融めっき鋼板
(7) 付着量:60g/m2,板厚:0.8mmの91質量%Al-9質量%Siの合金めっき層が形成された溶融めっき鋼板
(8) 付着量:20g/m2,板厚:0.8mmの電気亜鉛めっき鋼板(比較材)
Figure 0004603430
有機樹脂皮膜形成用の塗料は、次の手順で調製した。
アニリン:42gに水:600g,濃塩酸:40gを加えた溶液に、濃硫酸:40gを水:150gに溶解させた水溶液を混合し、モノマー溶液を調製した。モノマー溶液を0℃以下の温度に保持しながら、水:220gに過硫酸アンモニウム:130gを溶解した酸化剤溶液をモノマー溶液に滴下した。滴下後、5時間攪拌しながら重合反応させることによりポリアニリンを合成した。次いで、濃アンモニア水で脱ドープ処理し、水洗,メタノール洗浄を繰り返した後、真空乾燥により脱ドープ状態のポリアニリン粉末を得た。
ポリアニリン粉末をメチルピロリドンに1:10の質量比で溶し込み、更に表2に掲げたシランカップリング剤を3.0質量%の割合で配合することにより塗料を調製した。
Figure 0004603430
脱脂・洗浄した各種塗装原板に塗料をバーコーター塗布し、到達板温:150℃で加熱・乾燥することにより、乾燥膜厚:2μmの有機樹脂皮膜(下塗り塗膜)を形成した。被覆後の溶融めっき鋼板は、有機樹脂皮膜が薄膜であるにも拘わらずポリアニリンに由来する鮮明度の高い茶褐色の色調を呈していた。ドープ処理する場合、p-トルエンスルホン酸及びリン酸をドーパントに用いた0.1モル/l水溶液を5ml/m2の塗布量で有機樹脂被覆鋼板に塗布した。また、比較のため、シランカップリング剤無添加のポリアニリン被覆鋼板及びリン酸塩処理鋼板を作製した。
次いで、下地処理しためっき鋼板にアクリル系の上塗り塗料を塗布し焼き付けることにより乾燥膜厚:20μmの上塗り塗膜を形成した。
シランカップリング剤No.A(表2)をポリアニリンに添加した塗料で塗装したZn-0.1質量%Al合金めっき鋼板(表1の原板No.1)の深さ方向に関する元素の分布状態をSiO2換算スパッタレイト:2nm/秒でAES分析した結果を図1に示す。図中、Nはポリアニリン,Siはシランカップリング剤の元素である。図1から、塗料に添加したシランカップリング剤が原板側に濃化し界面層を形成していることを確認できる。他のシランカップリング剤や原板を用いた場合でも、同様な結果が得られている。
また、塗装鋼板から切り出したサンプルの平坦部にクロスカットを入れ、35℃の5%NaCl水溶液を240時間噴霧した後で塗装下腐食を調査した。塩水噴霧後の断面を観察し、膨れ幅:2mm以下を◎,膨れ幅:2〜4mmを○,膨れ幅:4〜6mmを△,膨れ幅:6mm超を×として塗装後耐食性を評価した。
表3の調査結果にみられるように、めっき層表層にAlが濃化した溶融めっき鋼板を塗装原板に用い、π共役高分子,シランカップリング剤を含む塗料で下塗り塗膜を設けた場合、何れの塗装鋼板もリン酸塩処理を凌駕する優れた塗装後耐食性を示した。
表層がAl濃化していない電気亜鉛めっき鋼板を原板に用いた塗装鋼板では、同じ塗料を用いて下塗り塗膜を形成しても塗装後耐食性が十分でなかった。また、シランカップリング剤を含まない塗料から下塗り塗膜を形成した場合には、塗装後耐食性が更に劣っていた。
Figure 0004603430
以上に説明したように、表層にAlが濃化した溶融めっき鋼板を原板に用い、シランカップリング剤からなる界面層を介してπ共役高分子を主成分とする有機樹脂皮膜を形成するとき、酸化⇔還元を繰り返す共役高分子の作用によって環境遮断能の高いバリア層が溶融めっき層表面に形成されるため、腐食環境下に長期間放置されても塗膜下腐食が発生しがたい塗装鋼板となる。そのため、健全な塗膜表面が長期にわたって維持され、内装材,外装材,表装材等として広範な分野で使用される。
有機樹脂被覆溶融めっき鋼板の深さ方向に関する元素の分布状態を示すグラフ

Claims (1)

  1. 表層Al濃度:3質量%以上の溶融めっき層が設けられている溶融めっき鋼板を下地とし、
    シラノール基及びアミノ基,シクロアルカン,π結合を有する原子団から選ばれた一種又は二種以上の有機官能基を有するシランカップリング剤からなる界面層を介して
    複素環式共役系又はヘテロ原子含有共役系のπ共役高分子を含む有機樹脂皮膜が設けられた有機樹脂被覆溶融めっき鋼板であって、
    前記シランカップリング剤の量は、前記π共役高分子の質量に対して0.1〜30質量%であることを特徴とする有機樹脂被覆溶融めっき鋼板。
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