JP4603410B2 - セラミックス部材および高温反応炉 - Google Patents

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Description

本発明は、窒化珪素質相を有するセラミックス部材およびこのセラミックス部材が設けられた高温反応炉に関する。
高温反応炉は、家庭や製造所などから廃棄されたごみなどの廃棄物を焼却する際などに利用されている。この廃棄物の焼却処理の際、未燃焼分の焼却灰であるスラグや、排煙に含まれる飛灰であるダストなどには、重金属成分やダイオキシンなど、発ガン性物質などの有害汚染物質が多く含まれる場合がある。そこで、高温反応炉内でスラグやダストを回収し、これら回収したスラグやダストを採用有することにより無害化する機能を備えた高温反応炉、すなわち溶融還元炉などの溶融炉の必要性が高まっている。
そして、高温反応炉としては、例えば特許文献1および特許文献2に記載のように、全体が多数のレンガなどの耐火物、多孔質セラミックス、炭化珪素質の耐火コーティング材などにより構築されている。
特開平11−190593号公報(第3頁左欄−第6頁右欄) 特開2001−173922号公報(第3頁左欄−第4頁左欄)
ところで、ゴミ焼却などによって発生するスラグやダストを加熱処理する際、カドミウム(Cd)や亜鉛(Zn)あるいはダイオキシンなどの有害物質を分解するため、1400℃以上、最高温度で1600℃の加熱溶融処理を実施する。これによって、無害化された物質を得て、製鉄所などで再利用されている。
しかしながら、高温反応炉の内壁が、特許文献1および特許文献2で示されるように、耐火物などにより構築されているため、1400℃以上のスラグ中の珪素(Si)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)元素から侵食を受け、いわゆるスラグラインである液の上端部およびスラグ出湯口などの損傷が激しい。このため、交換定修が頻繁に必要である。このことにより、例えば、数ヶ月に1回程度、操業を停止して、内面部分の耐火物などを張り替える必要があり、長期に亘る連続操業が不可能であるとともに、その保守や改修作業も繁雑になる。また、運転開始時には、熱衝撃性に劣るため、炉壁を十分に蓄熱させておく必要があるので、予熱時間が長くなるという問題もある。
本発明は、上述したような問題点に鑑み、スラグなどと反応し難い、耐反応性に優れたセラミックス部材およびこれを用いた高温反応炉を提供することを目的とする。
上記に鑑みて、本発明のセラミックス部材は、高温反応炉の炉壁や天井を構成する素材として、1400℃以上の構造部材であるので耐熱性、スラグによる侵食を防ぐための耐スラグ侵食性、予熱工程短縮のための耐熱衝撃性、保熱効果を高めるための高断熱性、内容積確保のためのスラグ難付着性の5つの技術課題を満足できるようにしたものである。また、本発明の高温反応炉は、上記セラミックス部材を用いてなることを特徴とする。すなわち、本発明は、以下の構成である。
(1)本発明は、窒化珪素質(Si3N4)相、第二相、炭化珪素(SiC)粒子相、および不可避不純物からなるセラミックス部材であって、前記第二相と前記SiC粒子相との合計が2質量%以下であり、前記第二相は、0.5質量%以上1.3質量%以下の希土類酸化物と、0.5質量%以上1.3質量%以下の酸窒化アルミニウムポリタイプとが固溶したものであり、前記酸窒化アルミニウムポリタイプは、Al 9 O 3 N 7 、Al 7 O 3 N 5 、及びAl 6 O 3 N 4 から選ばれる少なくとも1種であり、前記第二相の形状のアスペクト比が5以上の割合が第二相において10%以下であり、かつ、前記SiC粒子相は、0.2質量%以上0.4質量%以下で、平均粒径0.05μm以下の球状SiC微粒子であることを特徴としたセラミックス部材である。
(2)本発明は、請求項1に記載のセラミックス部材であって、前記第二相の形状は、短軸側の最大径が0.8μm以上の割合が第二相において30%以下であることを特徴としたセラミックス部材である。
(3)本発明は、内壁面の少なくとも一部に、請求項1または請求項2に記載のセラミックス部材がライニングされたことを特徴とした高温反応炉である。
(4)本発明は、請求項3に記載の高温反応炉であって、前記セラミックス部材は、皿ねじまたは格子の少なくともいずれか一方によりライニングされたことを特徴とした高温反応炉である。
(5)本発明は、請求項3または請求項4に記載の高温反応炉であって、前記セラミックス部材は、1400℃以上の温度に曝される前記内壁面の部位にライニングされたことを特徴とした高温反応炉である。
本発明のセラミックス部材は、従来の低融点ガラス相を有する窒化珪素製高温反応炉に比べて、耐酸化性、耐熱衝撃性に優れ、使用環境下で生じる温度勾配などに起因する静疲労特性に優れるなどの特徴を有する。したがって、ゴミ焼却炉、石炭ガス化炉、スラグ還元処理炉などの高温反応炉などに、本発明のセラミックス部材を成形加工した耐熱性・耐スラグ侵食性・耐熱衝撃性・高断熱性・スラグ難付着性セラミックスをライニング内壁に用いることで、次のような効果を奏することができる。
(A)高温ガスやスラグ溶融物が接触する内壁表面に耐熱性・耐スラグ侵食性・耐熱衝撃性・高断熱性・スラグ難付着性セラミックスを挿入または被覆した構造とすることで、高温ガス発生部の蓄熱機能はほぼ不要で、水冷壁のみによって構成することができる。したがって、耐熱性・耐スラグ侵食性・耐熱衝撃性・高断熱性セラミックスを使用すれば、設備構造を簡略にでき、保守を容易にして長寿命化を図ることができる。
(B)高温ガスやスラグ溶融物が接触する内壁表面などの蓄熱部の熱容量が小さく、耐熱衝撃性に優れ急加熱や急冷却に対応可能なため、運転開始時の予熱時間が短くなり、スタートアップを容易にすることができる。
(C)スラグ排出部、スラグ流動部、スラグ還元処理部に、耐熱性・耐スラグ侵食性・耐熱衝撃性・高断熱性・スラグ難付着性セラミックスを配置するため、炉壁材の化学反応による損耗を防ぐことで、廃棄物の溶融に伴うスラグやダストの還元反応および無毒化が確実に行え、操業率、ガス化効率、反応性などを高めることができる。
これらの特徴により、ゴミ焼却炉、石炭ガス化炉、スラグ還元処理炉、廃棄物溶融炉やガラス溶解炉などへの活用も十分可能であると考えられる。高温反応炉の飛躍的な長寿命化を図って、保守等を容易にするとともに、予熱時間を短縮することによって高温反応炉の操業準備時間を短くし、反応効率を向上させることができる。
本発明では、耐熱性・耐スラグ侵食性・耐熱衝撃性・高断熱性・スラグ難付着性セラミックスとして、Si3N4材料本来の高特性を低下させないため、焼結助剤の成分系を厳しく選定し、かつ、添加量を緻密化可能な極限まで低減させている。このことにより、スラグ中の活性イオンの拡散浸入を大幅に制限することが可能になった。このために、ホットプレス法による効率的な焼結が好ましい。また、Si3N4材料に微細なSiC粒子を所定の形状・量だけ分散させ、粒成長による密度・強度(特に高温での強度特性)の低下を抑制している。
そこで、これらの特性を同時に向上させるために、各種窒化珪素質セラミックス焼結体を作製し、その特性を評価した結果、本質的に窒化珪素を用い、残部合計で2質量%以下となる、平均粒径1μm以下の希土類酸化物0.5質量%以上1.3質量%、平均粒径1μm以下の酸窒化アルミニウムポリタイプ0.5質量%以上1.3質量%以下、平均粒径0.05μm以下の球状SiC微粒子0.2質量%以上0.4質量%以下、および不可避不純物からなる混合粉末を成形し、この成形体を窒素ガス雰囲気中において、昇温過程の1350℃以上1500℃以下で60分以上保持し、固溶前の助剤分布をより効率的に均一化することが好ましい。2時間以上の保持は、焼成時のエネルギーコスト増を招き、均一化の効果を費用対効果で判断すれば、必ずしも好適とは言い難い。焼結時の最高温度1700℃以上1850℃での保持を3時間以下にすることによって、焼成時のエネルギーコスト増を抑え、かつ、0.5質量%以上1.3質量%以下の希土類酸化物、0.5質量%以上1.3質量%以下の酸窒化アルミニウムポリタイプが固溶した第二相の短軸側の最大径が0.8μm以上の割合を30%以下にすることが効率的に可能になり、焼結体中の残留応力を低減し、同時に加工面や高温固体や液体の摺動時の面粗さを向上させることが可能になる。第二相の最大径が0.8μm以上の割合が30%を越えると、残留応力が増大し、摩擦係数も大きくなるため、好ましくない。
また、焼結時の最高温度での保持を3時間以下にすることにより、0.5質量%以上1.3質量%以下の希土類酸化物、0.5質量%以上1.3質量%以下の酸窒化アルミニウムポリタイプが固溶した第二相のアスペクト比の分布について、一般的な焼結助剤添加量である5質量%以上15質量%以下の場合の下限に近い5〜10のアスペクト比を持つものから、本発明では大部分でアスペクト比を2〜3に抑え、アスペクト比が5以上の割合を10%以下に抑えることができ、その結果、加工面や高温固体や液体の摺動時の面粗さを向上させることが可能になり、微き裂などの欠陥生成が抑制された。アスペクト比が5以上の割合が10%を越えると、摺動時の摩擦係数の増大に繋がり、き裂などの発生も頻発することに繋がる。焼結終了時の冷却速度を2℃/分以下にすることも好ましい。これにより、焼結体中の残留応力を低減し、かつ、高温強度阻害に影響を及ぼすガラス相の生成を大幅に抑制できる。
より好ましくは、0.5質量%以上1.3質量%以下の平均粒径1μm以下の希土類酸化物を1種類以上、0.5質量%以上〜1.3質量%の平均粒径1μm以下の酸窒化アルミニウムポリタイプおよび残部が実質的に窒化珪素と平均粒径0.05μm以下の球状SiC微粒子0.2質量%以上0.4質量%からなる混合粉末を成形し、この成形体を0.1MPa以上0.2MPa以下の窒素ガス雰囲気中において1700℃以上1850℃以下の温度で焼結した窒化珪素質セラミックス焼結体が優れた特性を効率的に有することを見出した。酸窒化アルミニウムポリタイプに母相である窒化珪素と酸窒化アルミニウムが既に固溶して、量産化されている市販の平均1μm以下の「Sialon21R」(登録商標)を用いても構わない。
本発明において、平均粒径1μm以下の希土類酸化物、平均粒径1μm以下の酸窒化アルミニウムポリタイプは、焼結助剤として用いるが、Si3N4の焼結時にα-Si3N4相からβ-Si3N4相への結晶相転移をその融液中で促進させる機能を持ち、さらに母相であるβ-Si3N4の柱状相の成長を助長することにより、高温強度および靭性を向上させる。ホットプレス法と微細な焼結助剤との相乗効果で、微量の助剤添加で緻密化を可能にした。これにより、窒化珪素本来の特性に高めることが可能である。
本発明で用いる希土類酸化物としては、例えば、酸化イットリウム、酸化エルビウム、酸化イッテルビウム、酸化スカンジウム、酸化セリウムなどが挙げられる。これら希土類酸化物、酸窒化アルミニウムポリタイプの成分の合計が1.8質量%を越えると、得られた焼結体の高温での耐酸化性が低下するので、1.8質量%以下であることが必要である。また、合計で1.0質量%より少ないと液相が十分生成せず、十分緻密化がなされないため、好ましくない。したがって、これらの添加量としては1.0質量%以上1.8質量%以下の範囲とし、特に十分に高い高温強度および靭性を得るためには1.2質量%以上1.5質量%以下の範囲であることが好ましい。希土類酸化物および酸窒化アルミニウムポリタイプが、それぞれ0.5質量%未満の場合、固溶した第二相が高温で安定ではなく、異常粒成長を起こすため、好ましくない。
酸窒化アルミニウムポリタイプとしては、Al-O-N化合物であり、窒化アルミニウムに所定量の酸化アルミニウムを予め固溶させることにより形成されたものである。酸窒化アルミニウムのポリタイプとしては、酸化アルミニウムの窒化アルミニウムへの固溶量に応じて、32H、27R、21R、12H、15R型など数多くの形態(多形)が存在する。
27R型酸窒化アルミニウムポリタイプはAl9O3N7であり、21R型酸窒化アルミニウムポリタイプはAl7O3N5であり、12H型酸窒化アルミニウムポリタイプはAl6O3N4である。本発明に用いられる焼結助剤は、Al9O3N7、Al7O3N5、Al6O3N4から選ばれる少なくとも1種のAL-O-N化合物である。これらAl-O-N化合物は、他の酸窒化アルミニウムポリタイプに比べて化合物中のAlNモル比が高く、かつ、水中でも安定である特徴を有しており、水中での混合工程でも変質せず安定なセラミックス粉末である。
また、「Sialon21R」(登録商標)は、英国Vesibius社から市販されているSi-Al-O-N化合物であり、SixAl7-xO3N5で表わされる。
本発明においては、焼結助剤としての酸窒化アルミニウムポリタイプのAl9O3N7、Al7O3N5、Al6O3N4から選ばれる少なくとも1種のAl-O-N化合物が、0.5質量%より少ないと、十分緻密な焼結体が得られない。また、1.3質量%より多いと、耐反応性が低下するため好ましくない。単相の窒化アルミニウムもしくは他の型の酸窒化アルミニウムポリタイプと比べて、焼結過程において、窒化珪素に固溶し易く、焼結後に窒化珪素の結晶粒界に残存し難いため、均質かつ高温まで高い強度を示す焼結体を得ることができる。特に、高い高温強度および高い靭性の焼結体を得るためには0.6質量%以上1.2質量%の範囲であることがより望ましい。
本発明で用いる焼結助剤である希土類酸化物も酸窒化アルミニウムポリタイプも、均質かつ高密度の焼結体を得るためには、平均粒径が2μm以下、より好ましくは1μm以下の微粒子であることが好ましい。
本発明において使用される窒化珪素粉末は、α型の結晶構造を持つSi3N4粉末が焼結性の点から好適であるが、β型あるいは非晶質Si3N4粉末が含まれていても構わない。焼結時に十分に高い密度とするためには、平均粒径1μm以下の微粒子であることが望ましい。
不可避不純物については、許容濃度の上限は2質量%、より好ましくは上限0.5質量%であることが好ましい。
本発明の窒化珪素質セラミックス焼結体の相対密度は、理論密度に対して99.5%以上であることが望ましい。相対密度が99.5%未満では、熱的安定性、機械的安定性が不充分になり易く、長期耐久性の向上効果が見られない恐れが高くなる。
焼結方法としては、窒素ガスを含む雰囲気にて、ホットプレス焼結法を用いることが好ましい。高緻密質かつ低焼結助剤を効率的に両立させる。窒素ガスを含む雰囲気で焼結するのは、焼結中でのSi3N4の分解を抑制するためである。Si3N4は、窒素ガス1気圧下では約1850℃以上で分解が生じるため、1850℃以上にて焼結を行う場合は、一般に窒素ガス圧を焼結温度におけるSi3N4の臨界分解圧力以上に設定しなければならない。
また、高温反応炉等に用いる大型厚肉形状の焼結体を製造する場合にも、ホットプレス焼結が最も好ましい。窒素ガス雰囲気は無加圧または0.1MPa以上0.2MPa以下が好ましく、焼結温度が1700℃以上1850℃以下であることが望ましい。1700℃未満では、緻密な焼結体が得られず、高靭性の焼結体とすることができない。一方、1850℃を越える高温では、β-Si3N4結晶粒が粗大化し強度低下を起こし、高硬度と耐熱衝撃性が得られない。また、焼結の際には1350℃以上1500℃以下で希土類酸化物および酸窒化アルミニウムポリタイプの液相を均一に分布させるために60分以上保持することが好ましい。さらに、1700℃以上1800℃で上記液相中に窒化珪素が溶解し、再析出することで、結晶相転移が生じると共に、緻密化し焼結する。
本発明で用いる平均粒径0.05μm以下の球状SiC微粒子の生成・混入・分散方法としては、回転式ポットミル(=トロンメル)、遊星型ボールミル、アトライター、振動ボールミル、アトリッションミル、自転・公転混在型ポットミル、などの方法を用いることができる。用いるポットとしては、実質的にSiC焼結体の本体および蓋からなるものが好ましく、大量製造用のポットミルでは、ライナーとしてSiC製タイルを貼り付けたものを用いても構わない。混入する球状SiCの結晶相は、α-SiC型(=3C)、β-SiC型(=2H、4H、6Hなど)のいずれでも構わない。
また、摩耗混入質量について、混合方法、回転数、他の原料粉末の粒径などによって若干の違いは認められるが、おおよそポット内壁摩耗:ボール摩滅=1:10〜20(質量比)でボール摩滅が圧倒的に多い。したがって、混入量を変化させたい場合はボール添加量の増減に加え、ボール表面積の増減、すなわちボール径の大小を概ねφ0.5mm以上φ20mm以下の範囲で制御することが効果的である。混入量としては、0.2質量%未満では母相結晶粒の成長抑制効果が乏しく、0.4質量%を越すと母相の柱状成長並びに結晶相の交差による高靭化を阻害するため好ましくない。
本発明の高温反応炉は、図1に模式的に示すように、少なくとも高温スラグや高温ダスト発生部の内壁や天井に、上述した耐熱性・耐スラグ侵食性・耐熱衝撃性・高断熱性・スラグ難付着性の窒化珪素質セラミックス部材をライニングすることで、その損耗の発生が防止されるようにしたものである。また、耐熱性や断熱性に優れるため、万一の冷却水の詰まりや温度上昇などの不測の異常事態が生じた場合でも、操業を急停止させる必要性が低くなる。
ライニング方法についても、本発明のセラミックス部材を皿ねじ、格子などで機械的な固定によるライニング方法を用いることによって、耐熱衝撃性、耐スラグ侵食性、断熱性などが極めて優れることに繋がる。
特に、高温反応炉の1400℃以上の温度に曝される部位を本発明の窒化珪素質セラミックス部材でライニングすることで、高温反応炉を長期間安定して稼動できるため、高温反応炉の耐久性が向上し、頻繁に行われていた煩雑な保守作業が不要となる。
また、耐熱衝撃性、耐熱性に優れたセラミックス部材を用いることで、予熱時間の短縮により高温反応炉の操業準備時間を短くでき、操業効率を向上させることができる。
本発明の高温反応炉用のセラミックス部材は、ゴミ焼却炉、石炭ガス化炉、スラグ還元処理炉、廃棄物溶融炉等への適用を含むものであるが、ここではスラグ還元炉を具備した石炭ガス化炉を一例に取り、実施例として以下に説明する。
本実施例で使用する石炭ガス化炉は、図1に示すように、微粉炭を高温で水性ガス化反応させてガス化し、スラグを還元後に溶融物として回収するものである。その炉壁が塔状をなし、外面部が圧力容器(鉄皮)1により包囲されるとともに、炉頂部から高温ガス発生部21(ガス化反応炉2の上部)、石炭ガス化部22(ガス化反応炉2の下部)、輻射熱回収部31(スラグ還元炉3の上部)、スラグ急冷部32(スラグ還元炉3の下部)の順に配置されている。
高温ガス発生部21は、炉頂部に配置され、圧力容器(鉄皮)1の内面を覆うように設けたドーム状のセラミックス部材41(スラグ還元炉3の下部)と、高温ガス発生部21と石炭ガス化部22とを仕切る火格子11とによって囲まれている。石炭の部分酸化により生じるスラグ(溶融スラグ)51は、ガス化反応炉2およびスラグ還元炉3の炉壁を伝わって下部のスラグ急冷部32であるスラグホール5に流れ落ち、スラグ急冷部32のスラグ排出口4から排出される。このような石炭ガス化処理において、高温ガス発生部21では、例えば、600℃〜1200℃、石炭ガス化部22においては、1200℃〜1600℃(圧力2〜4MPa)にまで昇温する。
本発明のセラミックス部材を用いた実施例を、従来材を用いた比較例とともに、以下に説明する。
(実施例1〜5)
市販の窒化珪素(Si3N4)粉末(α化率:97%以上、純度99.7%、平均粒径0.7μm)に、酸化イットリウム(Y2O3)粉末(平均粒径0.5μm)、酸化エルビウム(Er2O3)粉末(平均粒径0.8μm)、酸化イッテルビウム(Yb2O3)粉末(平均粒径0.7μm)、酸窒化アルミニウム粉末としてAl9O3N7、Al7O3N5、Al6O3N4のそれぞれの粉末(平均粒径0.4μm)、酸化マグネシウム(MgO)粉末(平均粒径0.2μm)を、表1に示す所定量(質量%)添加し、分散媒として精製水またはアセトンを用い、混合用ボールはφ5mmのSiCボールをセラミックス全粉末原料100gに対し2倍の200gの割合で用い、SiCタイルを内壁および蓋に内貼りしたボールミルで24〜48時間混練した。精製水またはアセトンの添加量は、セラミックス全粉末原料100gに対し120gとした。
次いで、得られた混合粉末をホットプレス焼結した。圧力40MPaとし、サイズ90mm×60mm×厚さ15mmの平板を3枚重ねて同時焼結した。焼結条件としては、窒素ガス常圧雰囲気中にて、表1中に示す温度で3時間保持する焼結を行った。
得られた焼結体からJIS規格の曲げ試験片を切り出し、機械的特性を評価した。抗折強さは、JIS R 1601により、大気中常温および1400℃にて測定した。硬さは、押込荷重98Nにてビッカース硬さとして測定した。靭性についてはJIS R 1607のSEPB法により常温にて破壊靭性値KICを測定した。また、耐熱衝撃性としては、曲げ試験片を大気中にて所定の温度に加熱後、水中急冷し、抗折強さの劣化が始まる急冷温度差ΔTで評価した。焼結体密度は、アルキメデス法により相対密度として測定した。各種結晶相の比率に関して、あらかじめX線回折ピーク高さから求めた検量線に従って求め、表1に示した。得られた各焼結体の機械的および熱的な諸特性を表2に示す。
(比較例6〜7)
比較例6〜7は、実施例1〜5と同一原料を用いるが、ポットの内壁や蓋もボールもSiC材を用いずSi3N4材を用い、同じく精製水またはアセトンで調製したが、焼結助剤に酸窒化アルミニウムを加えずに酸化マグネシウムを加えたことにより、異常粒成長により相対密度が97%を下回った場合(比較例6)、希土類酸化物を6質量%も加え、粒界層が著しく成長した場合(比較例7)の各比較例である。これらを併せて表1に示す。これら比較例の材料も実施例1〜5と合わせて、石炭ガス化炉のガス化反応炉2およびスラグ還元炉3の内壁材でのスラグ付着、および、損耗状況を比較した結果を示す。反応炉2、還元炉3の内壁への固定法は板材に穴あけ加工し、そこに皿ビスを差し込み炉体にネジ止めした。当該部位の曝される温度は1400〜1500℃であった。また、石炭ガス化炉内で1ヶ月間の試験を行った。
Figure 0004603410
Figure 0004603410
表2に示すように、本発明の実施例によるものは、室温および高温の強度も高く、耐熱衝撃性が優れ、高温反応炉内での耐侵食性、が極めて優れることが確認された。また、断熱性について、炉体の熱容量と熱伝導率が小さく保温性に優れることから、始動時の定常化が迅速で熱源の削減が可能であった。さらに、スラグ難付着性についても、極めて耐酸化性に優れることから、本発明のセラミックス表面層に酸化物層が形成され難く、溶融スラグ51の付着によるスラグ還元炉3やスラグホール5の狭小化が抑制された。付着や損耗が抑制されることにより、従来のメンテナンス周期を2〜3倍以上に延長することが可能になり、破損による休止危険度も大幅に低減することが可能になる。
高温反応炉の1400℃以上の温度に曝される部位を本発明の窒化珪素質セラミックス部材でライニングすることで、高温反応炉を長期間安定して稼動できるため、高温反応炉の耐久性が向上し、頻繁に行われていた煩雑な保守作業が不要となる。
本発明に係る石炭ガス化炉のライニング内壁の断面模式図である。
符号の説明
1.圧力容器(鉄皮)
2.ガス化反応炉
3.スラグ還元炉(内壁にセラミックス貼付け)
4.スラグ排出口
5.スラグホール
6.合成ガス(石炭ガス)+チャー(未燃焼炭素と灰分とからなる微小粒子)
7.高温空気
8.高温チャー(未燃焼炭素と灰分とからなる微小粒子)
9.高温搬送ガス
10.石灰
11.火格子
21.高温ガス発生部
22.石灰ガス化部
31.輻射熱回収部
32.スラグ急冷部
41.セラミックス部材
51.スラグ(溶融スラグ)

Claims (5)

  1. 窒化珪素質(Si3N4)相、第二相、炭化珪素(SiC)粒子相、および不可避不純物からなるセラミックス部材であって、
    前記第二相と前記SiC粒子相との合計が2質量%以下であり、
    前記第二相は、0.5質量%以上1.3質量%以下の希土類酸化物と、0.5質量%以上1.3質量%以下の酸窒化アルミニウムポリタイプとが固溶したものであり、
    前記酸窒化アルミニウムポリタイプは、Al 9 O 3 N 7 、Al 7 O 3 N 5 、及びAl 6 O 3 N 4 から選ばれる少なくとも1種であり、
    前記第二相の形状のアスペクト比が5以上の割合が第二相において10%以下であり、かつ、
    前記SiC粒子相は、0.2質量%以上0.4質量%以下で、平均粒径0.05μm以下の球状SiC微粒子である
    ことを特徴としたセラミックス部材。
  2. 請求項1に記載のセラミックス部材であって、
    前記第二相の形状は、短軸側の最大径が0.8μm以上の割合が第二相において30%以下である
    ことを特徴としたセラミックス部材。
  3. 内壁面の少なくとも一部に、請求項1または請求項2に記載のセラミックス部材がライニングされた
    ことを特徴とした高温反応炉。
  4. 請求項3に記載の高温反応炉であって、
    前記セラミックス部材は、皿ねじまたは格子の少なくともいずれか一方によりライニングされた
    ことを特徴とした高温反応炉。
  5. 請求項3または請求項4に記載の高温反応炉であって、
    前記セラミックス部材は、1400℃以上の温度に曝される前記内壁面の部位にライニングされた
    ことを特徴とした高温反応炉。
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