JP2005077068A - 溶融スラグ用耐火材、溶融炉用部材及び溶融スラグ用耐火材の改質方法並びに廃棄物処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】廃棄物に由来する燃焼灰分を高温で溶融スラグ化する炉等の溶融スラグ用耐火材の耐食性を向上させる。
【解決手段】廃棄物に由来する燃焼灰分を高温で溶融スラグ化する炉等の溶融スラグ用耐火材が、下記化学式(1)で表されるスピネル型化合物に0.1重量%以上で50重量%以下のチタニアを含んでいる、こととする。 (Mg1−αFeα)β(Cr1−γ−δAlγFeδ)2O4 …(1)ただし、0≦α≦1、0714≦β≦1、0≦γ、0≦δ、0<γ+δ<0.5
【選択図】図1
【解決手段】廃棄物に由来する燃焼灰分を高温で溶融スラグ化する炉等の溶融スラグ用耐火材が、下記化学式(1)で表されるスピネル型化合物に0.1重量%以上で50重量%以下のチタニアを含んでいる、こととする。 (Mg1−αFeα)β(Cr1−γ−δAlγFeδ)2O4 …(1)ただし、0≦α≦1、0714≦β≦1、0≦γ、0≦δ、0<γ+δ<0.5
【選択図】図1
Description
本発明は、溶融スラグ用耐火材、溶融炉用部材及び溶融スラグ用耐火材の改質方法並びに廃棄物処理装置に関する。
従来、家庭やオフィスなどから出される都市ごみなどの一般廃棄物、廃プラスチック、カーシュレッダ・ダスト、廃オフィス機器、電子機器や化粧品などの産業廃棄物などは、焼却処理等の廃棄物処理が一般に行われている。
このような廃棄物処理の1つとして、都市ごみなどの一般廃棄物や廃プラスチックなどの可燃物を含む廃棄物を熱分解反応器に入れ、低酸素雰囲気において廃棄物を熱分解することが行われている。例えば、特許文献1(特公平6−56253号公報)に記載された廃棄物処理装置によれば、熱分解反応器で生成される熱分解ガスと主として不揮発性成分からなる熱分解残留物とに分離し、分離された熱分解残留物を不活性雰囲気で冷却し、冷却された熱分解残留物を分離装置に導いて熱分解カーボンを主とする可燃物を他の不燃物(例えば、金属、陶器、砂利等)から分離し、分離された可燃物を粉砕して熱分解ガスとを燃焼溶融炉に導いて燃焼処理するようにしている。特に、燃焼溶融炉では、燃焼物の灰分を高温の燃焼熱により溶融スラグ化し、溶融スラグを耐火材で覆われた炉内面を伝わせて流下させ、炉低部から排出して冷却固化することが提案されている。なお、燃焼溶融炉で発生した高温の燃焼排ガス(約1200℃)は、後段に設けられた熱交換器により熱回収された後、集塵等の排ガス処理を受けて、最終的にクリーンな排ガスとなって煙突から大気に放出される。
一般に、溶融スラグ用の耐火物が用いられる分野は、鉄鉱、非鉄、セメント、ガラス、窯業など高温処理を必要とする工場の窯炉やボイラ、廃棄物の焼却炉などである。また、溶融スラグと接触して使用する耐火物は、酸素分圧、アルカリ分圧などの気相側環境と共に、溶融スラグが関与する苛酷な高温腐食も考慮して選定する必要がある。例えば、酸素分圧が高い場合は酸化物系耐火物が使用され、耐食性選定の目安としては、溶融スラグの塩基度が1を超える場合は塩基性耐火物が使用され、1以下の場合は中性または酸性耐火物が使用される。また、空気で燃焼、溶融させる廃棄物焼却における酸化物系耐火物の場合は、スラグ塩基度が1以下のことが多く、Al2O3を主体とする中性耐火物が選ばれている。
しかしながら、廃棄物又は廃棄物から派生する燃焼物の灰分が溶融した溶融スラグ、つまり廃棄物に由来する燃焼灰分の溶融スラグは、製鉄スラグや、その他の溶融物と比較してNaやKといったアルカリ元素の含有率が高い。そのため、Al2O3−SiO2、Al2O3−SiCなどのSi含有耐火物の場合、最初から存在する又は生成されたSiO2が灰の溶融スラグの中のアルカリと反応して低融点のアルカリシリケートを生成する。このアルカリシリケート化合物は流動化するため、耐火物が徐々に減肉される。一方、Al2O3耐火物或いはセラミックスの場合は、いわゆるβ−アルミナを形成して低融点化する。したがって、耐火物の寿命が短くなる。
本発明は、廃棄物に由来する燃焼灰分を高温で溶融スラグ化する炉等の溶融スラグ用耐火材の耐食性を向上させることを課題とする。
本発明は、上記課題を解決するため、廃棄物に由来する燃焼灰分を高温で溶融スラグ化する炉等の溶融スラグ用耐火材が、下記化学式(1)で表されるスピネル型化合物に0.1重量%以上で50重量%以下のチタニアを含んでなることを特徴とする。
(Mg1−αFeα)β(Cr1−γ−δAlγFeδ)2O4 …(1)
ただし、0≦α≦1、0714≦β≦1、0≦γ、0≦δ、0<γ+δ<0.5
本発明によれば、燃焼灰分を高温(例えば、約1,300℃)で溶融された溶融スラグに接触する耐火材を、Cr含有のスピネル型化合物とチタニアで構築したことから、次の作用により、激しい侵食を免れることができる。
ただし、0≦α≦1、0714≦β≦1、0≦γ、0≦δ、0<γ+δ<0.5
本発明によれば、燃焼灰分を高温(例えば、約1,300℃)で溶融された溶融スラグに接触する耐火材を、Cr含有のスピネル型化合物とチタニアで構築したことから、次の作用により、激しい侵食を免れることができる。
1)Cr2O3は、溶融スラグとの表面張力が大きく濡れにくいので、溶融スラグの浸透が抑制される。
2)Cr2O3は、溶融スラグ中への溶解にあたり、液相の粘性を高めるため、耐火材に接するスラグ境界相中の物質移動速度が小さくなる。
3)Cr含有化合物は、難焼結性であり、密着性が十分でないために、溶融スラグの浸透やスラグ流動の影響を受ける場合があるが、チタニアを添加することにより、大幅に焼結性が向上し、耐火材の耐久性が向上する。ただし、チタニアの配合割合が50重量%を超えると、溶融スラグ中の各種の珪酸塩と化合して耐久性が低くなるので50重量%以下とすることが好ましい。
なお、スピネル型化合物Γ(Cr1−γ−δAlγFeδ)2O4(ここで、Γ=(Γg1−αFeα)βである。)おける6配位位置のCr以外の成分添加は、耐食性発現を損なわないように、添加元素であるAlと3価のFeの合計がCr量を超えない範囲とする。
また、上記課題を解決する他の本発明は、廃棄物に由来する燃焼灰分を高温で溶融スラグ化する炉等の溶融スラグ用耐火材が、上記化学式(1)で表されるスピネル型化合物SPと、下記化学式(2)で表されるコランダム型化合物CORと、チタニアTIとの3相混合物からなり、該3相混合物が下記式(3)を満たすことを特徴とする。
(Cr1−ε−ζAlεFeζ)2O3 …(2)
ただし、0≦ε、0≦ζ、0≦ε+ζ≦0.5
(1−η−θ)・SP+η・COR+θ・TI …(3)
ただし、0<η<0.5、0<θ<0.5
上記他の発明によれば、チタニアの添加により、スピネル型化合物とコランダム型化合物の2相混合物の焼結性を向上させて、耐久性を向上させることができる。
ただし、0≦ε、0≦ζ、0≦ε+ζ≦0.5
(1−η−θ)・SP+η・COR+θ・TI …(3)
ただし、0<η<0.5、0<θ<0.5
上記他の発明によれば、チタニアの添加により、スピネル型化合物とコランダム型化合物の2相混合物の焼結性を向上させて、耐久性を向上させることができる。
また、本発明の溶融スラグ用耐火材に、金属Crが非酸化状態で40重量%以下混在していることが好ましい。これによれば、耐火材の使用中に稼動面近傍において原料中のΓO成分及び気相中の酸素OとCrが反応して、スピネル型化合物ΓCr2O4を生成し、耐食性が向上する。ただし、添加するCr金属粉が配合物全体で40重量%を超えると、使用中に酸化反応に起因して局部膨張が大きくなるおそれがあるから、40重量%以下とする。
本発明の耐火物は、溶融炉等の炉内面に、少なくとも表面皮膜として形成するようにすれば良い。また、炉内面の耐火物に限らず、炉内に挿入して用いられる温度計等の炉構成部品の保護部材に用いることができる。
また、本発明の溶融スラグ用耐火材は、廃棄物に由来する燃焼灰分を高温で溶融スラグ化する炉等の溶融スラグ用耐火材がCr2O3を含有する耐火物で形成されている場合において、前記廃棄物に2価の金属Γ又はΓを含有する化合物を添加し、溶融部表面を構成する前記Cr2O3との反応によりスピネル型化合物Γβ(Cr1−γ−δAlγFeδ)2O4を生成させることにより、Cr2O3を含有する耐火物を改質して形成することができる。
本発明の廃棄物処理装置は、廃棄物を熱分解する熱分解反応器と、前記熱分解反応器から排出される熱分解残留物を不活性雰囲気で冷却する冷却装置と、冷却された熱分解残留物から可燃物を分離する分離装置と、前記熱分解反応器から排出される熱分解ガスと前記分離装置から排出される可燃物とを灰分を溶融させる温度以上で燃焼させてそれらに含まれる不燃性成分を溶融スラグ化する燃焼溶融炉とを備えてなり、前記燃焼溶融炉の炉内面を本発明の溶融スラグ用耐火材で形成することにより、燃焼溶融炉の耐久性を向上させて、装置の運転効率を向上させることができる。
本発明によれば、廃棄物に由来する燃焼灰分を高温で溶融スラグ化する炉等の溶融スラグ用耐火材の耐食性を向上させることができる。
以下、本発明を実施の形態に基づいて説明する。図1に、本発明の溶融スラグ用耐火材を溶融炉用部材として用いた一実施形態の廃棄物処理装置の全体構成図を示す。同図に示すように、廃棄物を熱分解する熱分解反応器52と、熱分解反応器52で発生した熱分解ガスG1と熱分解残留物54とを分離して排出する排出装置55と、排出装置55から排出される熱分解残留物54を不活性雰囲気で冷却する冷却装置57と、冷却された熱分解残留物54から可燃物58dを分離する分離装置58と、分離装置58から排出される可燃物58dと熱分解ガスG1とを燃焼させ、それらに含まれる不燃性成分(灰分)を溶融スラグ化する燃焼溶融炉53とを備えて形成されている。
このように構成される廃棄物処理装置において、都市ごみなどの廃棄物50aを図示していない二軸剪断式などの破砕機で例えば150mm角以下の大きさに破砕して、コンベアなどにより投入部50内に投入する。投入された廃棄物50aはスクリューフィーダ51を経て熱分解反応器52に供給され、熱分解反応により熱分解ガスG1が生成される。また、廃棄物中の不燃物等は熱分解残留物となる。熱分解反応器52は、本実施の形態では横型回転式ドラムを用いて形成され、ドラム内の加熱分解室内は、図示していないシール構造により、低酸素雰囲気に保持されている。また、熱分解反応器52の加熱分解室内は、後述する加熱空気を用いた熱交換により、300〜600℃(通常は450℃程度)に加熱される。
熱分解反応器52にて熱分解された廃棄物50aから発生する熱分解ガスG1と熱分解残留物54は、排出装置55に送られて分離される。排出装置55で分離された熱分解ガスG1は、排出装置55の上部から熱分解ガスラインL2を経て燃焼溶融炉のバーナ56に供給される。排出装置55から排出される熱分解残留物54は、主として不揮発性成分からなり、熱分解カーボンなど可燃物及び金属等の不燃物を含んでいる。排出装置55から排出される熱分解残留物54は450℃程度の比較的高温であることから、そのまま空気中に排出すると熱分解カーボンが着火するおそれがあるため、冷却装置57により不活性雰囲気下で80℃程度に冷却する。冷却された熱分解残留物54は、たとえば磁選式、うず電流式、遠心式または風力選別式などの公知の単独又は組み合わされた分離装置58に供給され、ここで細粒の可燃物58dと鉄、瓦礫などの不燃物58cとに分離され、不燃物58cはコンテナ59に回収されて再利用される。
一方の可燃物58dは、主として熱分解カーボンからなるが、灰分などの不燃性成分を含んでいる。可燃物58dは、粉砕機60により例えば1mm以下に微粉砕されて粉体カーボンとなり、可燃物供給ラインL3を経て燃焼溶融炉53のバーナ56に供給され、熱分解ガスラインL2から供給される熱分解ガスG1とともに、送風機61により空気ラインL4から供給される燃焼用空気61eで1300℃程度の高温域で燃焼される。
燃焼溶融炉53の燃焼で発生した燃焼灰(又は灰分)は、その燃焼熱により溶融スラグ53fとなって、この燃焼溶融炉53の内壁に付着し、更に、内壁を流下して底部排出口62から筒状の排出部71を通って水槽63に落下し冷却固化される。燃焼溶融炉53は、カーボンなどの可燃物58dを1300℃程度の高温で燃焼させ、可燃物58dに含まれる灰分等の不燃性成分を溶融させて溶融スラグ53fを生成する。この燃焼溶融炉53の内壁は、本発明に係る溶融スラグ用耐火材で形成されており、詳細な実施例は後述する。燃焼溶融炉53の燃焼排ガスG2は、秒速2〜3m、温度1000〜1200℃のガス流となって、炉内下流側に設けられる高温空気加熱器1の伝熱管群により熱回収される。
高温空気加熱器1は、図示していない送風機から供給される空気を燃焼排ガスG2により加熱し、加熱空気8g(熱媒体)を加熱空気ラインL1を介して熱分解反応器52の熱分解の熱源として供給する。高温空気加熱器1を通過した燃焼排ガスは、煙道ガスラインL5を介して廃熱ボイラ64で熱回収され、集塵機65で除塵され、更に排ガス浄化装置66で塩素などの有害成分が除去された後、低温のクリーンな排ガスG3となって誘引送風機67を介して煙突68から大気へ放出される。廃熱ボイラ64で生成した蒸気は、蒸気タービンを有する発電機69で発電に利用される。クリーンな排ガスG3の一部はファン70を介してガスラインL6により冷却用の不活性ガスとして冷却装置57に供給される。
次に、本発明の特徴に係る燃焼溶融炉53の炉内面を構成する溶融スラグ用耐火材について説明する。一般に、燃焼溶融炉53に供給される熱分解ガスG1や可燃物58dには、廃棄物50aに由来するNaやKなどのアルカリ元素が高濃度で含まれている。そのため、Al2O3−SiO2、Al2O3−SiCなどのSi含有耐火物の場合、SiO2が灰の溶融スラグの中のアルカリと反応して低融点のアルカリシリケート化合物を生成して流動化し、耐火物が徐々に減肉されて寿命が短くなるという問題がある。また、Al2O3耐火物或いはセラミックスの場合は、いわゆるβ−アルミナを形成して低融点化して耐火物が減肉されて寿命が短くなるという問題がある。以下、そのような問題を解決した本発明の溶融スラグ用耐火材について実施例を用いて説明する。
本発明の実施例1は、表1に示すように、スピネル型化合物とチタニアの焼結体であり、化学成分としてCr2O3:67重量%、MgO:18重量%、TiO:15重量%を含んでなる溶融スラグ用耐火材である。この実施例1の溶融スラグ用耐火材の製法は、まず、Cr2O3とMgOを重量比で79:21の割合で混合した粉末を、1300℃で4時間、固相反応させてピクロクロマイト単一相を得た。次いで、このピクロクロマイト単一相をボールミルで粉砕し、分級後、チタニア粉末と混合したものをプレスにより成型し、大気雰囲気で1500℃で5時間加熱して焼結体を得た。
この焼結体から立方体の試験試料を切出し、N2+5%O2+1000ppmHClの雰囲気で、1400℃、20時間、灰分の溶融スラグ中に浸漬し、試料を回転させることによって試料に対する溶融スラグの流動性を与えた。その後、浸食量を測定したところ、表1に示すように、減肉厚さが0.14mmであった。これらの試験条件は、廃棄物に由来する燃焼灰を溶融する溶融炉内における溶融スラグの存在下における環境を模擬したものである。なお、溶融スラグの成分組成を表2に示す。
ここで、比較のため、Al2O3−SiCの焼結体およびAl2O3の焼結体を、それぞれ比較例として、本実施例と同様の条件で流動を加えて浸食量を測定した結果を、表1に示す。同表からわかるように、比較例のAl2O3−SiCの焼結体は0.76mm、Al2O3の焼結体は0.64mmの減肉厚さであった。したがって、本実施例の焼結体は、廃棄物に由来する燃焼灰を加熱して溶融した溶融スラグの存在下における環境において耐食性が優れていることがわかる。
本発明の実施例2は、表1に示すように、スピネル型化合物とコランダム型化合物及びチタニアの焼結体であり、化学成分としてCr2O3:62(50+12)重量%、MgO:14重量%、Al2O3:7重量%、Fe2O3:2重量%、TiO:15重量%を含んでなる溶融スラグ用耐火材である。この実施例2の溶融スラグ用耐火材の製法は、まず、Cr2O3とMgOを重量比で79:21の割合で混合した粉末を、1300℃で4時間、固相反応させてピクロクロマイト単一相を得た。次いで、このピクロクロマイト単一相をボールミルで粉砕し、分級後、ピクロクロマイト66重量%に対して合計で100重量%になるように、コランダム酸化物の原料を、クロミア:アルミナ:酸化鉄:チタニアの比が、10:7:2:15の比率で混合したものをプレスにより成型し、大気雰囲気で1500℃で5時間加熱して焼結体を得た。
この焼結体から立方体の試験試料を切出し、実施例1と同様に、N2+5%O2+1000ppmHClの雰囲気で、1400℃、20時間、灰分の溶融スラグ中に浸漬し、試料を回転させることによって試料に対する溶融スラグの流動性を与えた。その後、浸食量を測定したところ、表1に示すように、減肉厚さが0.15mmであった。この実施例2の焼結体によれば、比較例に対して、廃棄物に由来する燃焼灰を加熱して溶融した溶融スラグの存在下における環境において耐食性が優れていることがわかる。
以上、実施例と比較例の試験結果から、本発明の溶融スラグ用耐火材は、(Mg1−αFeα)β(Cr1−γ−δAlγFeδ)2O4で表せるスピネル型化合物を主成分とし、これにチタニアを0.1重量%以上で50重量%以下含ませて耐火材を形成することにより、廃棄物に由来する燃焼灰を加熱して溶融した溶融スラグの存在下における耐食性を向上させることができる。この場合において、0≦α≦1、0714≦β≦1、0≦γ、0≦δ、0<γ+δ<0.5の範囲で選択することができる。
また、本発明の溶融スラグ用耐火材は、上記のスピネル型化合物SPと、(Cr1−ε−ζAlεFeζ)2O3で表せるコランダム型化合物CORと、チタニアTIとの3相混合物で構成することができる。この場合、3相混合物の配合割合は(1−η−θ)・SP+η・COR+θ・TIを満たすことが好ましい。ここで、0≦ε、0≦ζ、0≦ε+ζ≦0.5であり、また0<η<0.5、0<θ<0.5の範囲で選択することができる。
また、上記実施例の溶融スラグ用耐火材の表面皮膜に、金属Crが非酸化状態で40重量%以下混在させて同様の浸食試験を行ったところ、表面近傍の金属CrはCr2O3又はスピネル型化合物ΓCr2O4に変わっていた。
また、本発明の溶融スラグ用耐火材は、溶融炉の炉表面の一般的な耐火材に、皮膜として形成しても、耐食性を向上させることができる。また、炉材に限らず、溶融炉に用いられる温度計などの保護部材としても用いることができる。
また、本発明の溶融スラグ用耐火材は、実施例1、2に示した方法で製造することに限られない。例えば、既に設置された燃焼溶融炉の耐火材が、Cr2O3を含有する耐火物を含んでなる場合は、処理対象の廃棄物に2価の金属Γ(ここで、Γ=(Mg1−αFeα)βである。)又はΓを含有する化合物を添加し、溶融部表面を構成するCr2O3との反応によりスピネル型化合物Γβ(Cr1−γ−δAlγFeδ)2O4を生成させることができ、耐火材を改質できる。
Claims (7)
- 廃棄物に由来する燃焼灰分を高温で溶融スラグ化する炉等の溶融スラグ用耐火材において、下記化学式(1)で表されるスピネル型化合物に0.1重量%以上で50重量%以下のチタニアを含んでなることを特徴とする溶融スラグ用耐火材。
(Mg1−αFeα)β(Cr1−γ−δAlγFeδ)2O4 …(1)
ただし、0≦α≦1、0714≦β≦1、0≦γ、0≦δ、0<γ+δ<0.5 - 廃棄物に由来する燃焼灰分を高温で溶融スラグ化する炉等の溶融スラグ用耐火材において、下記化学式(1)で表されるスピネル型化合物SPと、下記化学式(2)で表されるコランダム型化合物CORと、チタニアTIとの3相混合物からなり、該3相混合物が下記式(3)を満たすことを特徴とする溶融スラグ用耐火材。
(Mg1−αFeα)β(Cr1−γ−δAlγFeδ)2O4 …(1)
ただし、0≦α≦1、0714≦β≦1、0≦γ、0≦δ、0<γ+δ<0.5
(Cr1−ε−ζAlεFeζ)2O3 …(2)
ただし、0≦ε、0≦ζ、0≦ε+ζ≦0.5
(1−η−θ)・SP+η・COR+θ・TI …(3)
ただし、0<η<0.5、0<θ<0.5 - 請求項1又は2に記載の溶融スラグ用耐火材において、金属Crが非酸化状態で40重量%以下混在していることを特徴とする溶融スラグ用耐火材。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の溶融スラグ用耐火材を表面皮膜として有する溶融炉用部材。
- 請求項4に記載の溶融炉用部材が、前記溶融炉に用いられる温度計の保護部材であることを特徴とする溶融炉用部材。
- 廃棄物に由来する燃焼灰分を高温で溶融スラグ化する炉等の溶融スラグ用耐火材がCr2O3を含有する耐火物を含んでなる溶融スラグ用耐火材の改質方法において、前記廃棄物に2価の金属Γ又はΓを含有する化合物を添加し、溶融部表面を構成する前記Cr2O3との反応によりスピネル型化合物Γβ(Cr1−γ−δAlγFeδ)2O4を生成させることを特徴とする溶融スラグ用耐火材の改質方法。
- 廃棄物を熱分解する熱分解反応器と、前記熱分解反応器から排出される熱分解残留物を不活性雰囲気で冷却する冷却装置と、冷却された熱分解残留物から可燃物を分離する分離装置と、前記熱分解反応器から排出される熱分解ガスと前記分離装置から排出される可燃物を灰分を溶融させる温度以上で燃焼させてそれらに含まれる不燃性成分を溶融スラグ化する燃焼溶融炉とを備えた廃棄物処理装置において、前記燃焼溶融炉の炉内面が請求項1乃至3のいずれかに記載の溶融スラグ用耐火材で形成されてなることを特徴とする廃棄物処理装置。
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