JP4285755B2 - クリンカ付着防止構造用のフェライト系耐熱合金 - Google Patents

クリンカ付着防止構造用のフェライト系耐熱合金 Download PDF

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本発明は、Ni−Cr−Siをベースとするフェライト系耐熱合金に関し、特に、プレート状に形成されて炉壁を形成する無機質耐火断熱材に内張りされ、炉内壁へのクリンカの付着、成長を防止するようにしたクリンカ付着防止構造用のフェライト系耐熱合金に関する。
近年、廃棄物熱処理炉では、高カロリーの廃棄物やプラスチックなどの燃焼温度を高める成分が処理対象に増加し、また有害物質の生成抑制のため、熱処理温度を高く制御して運転する必要がある。そのため、炉の内部構造において、従来使用してきたセラミック系耐火材等の耐熱酸化性の炉壁材質では、種々の問題が発生している。
図3に廃棄物焼却炉の例として、ストーカ式焼却炉11を示した。廃棄物15は投入ホッパ20から供給され、ストーカ13上で一次空気16に接して燃焼、かつ熱分解する。さらに、気化した燃焼成分は二次燃焼部14で二次空気17に接して、さらに燃焼し、高温の燃焼排ガスは熱回収部19で放熱して外部に排出される。燃焼残渣(灰)は受槽18に落下し取り出される。ここで、12は炉壁であって、耐火・断熱材とそれを支持する構造材で構成されている。
図2はそのストーカ式燃焼炉の炉壁を現した全体図である。21はホッパの一部で、ここより廃棄物燃料が供給され、ホッパ下部に備えられたプッシャー22により内部へと送りこまれる。23はストーカ上で燃える燃焼部である。24は前記した二次燃焼部で、24は灰が落下する灰取り出し部である。25は炉壁を構成する耐火材であって、図示していないが構造材で支持されて断熱材を介して内側(火側)に貼られている。炉内側の温度によって、この耐火断熱材は変化するが、最も良好な耐火性、耐クリンカ付着性、高熱伝導率を有する材質はシリコンカーバイドのセラミックスレンガである。しかし、これであってもレンガの酸化による消耗は激しく、数ヶ月で10〜40mmの腐食が観察される。
上記したストーカ式焼却炉を始めとする各種廃棄物熱処理炉では、炉内高温化により、炉壁や炉出口煙道等において溶融した灰が粒状や塊状と固着してしまう問題がある。これは、廃棄物中のダスト成分がSiO、Al、CaO、MgO、NaOなどの酸化物となり、炉壁に溶融スラグ或いは溶融クリンカの形で付着してしまうためである。炉壁に付着したクリンカは、運転の継続により炉の内部へ成長し、時にはその厚さが50cm以上にも達するため、燃焼不具合や運転の障害となる。また、これらの成長クリンカは停炉後の人力による除去作業時に大きな塊として落下し、安全上の問題を生じる。さらに炉を構成する耐火材、耐火レンガの表面と反応して耐火材の消耗を著しく増加させる。
これらを改善するためクリンカが付着、成長しない鋳鋼製プレートを内張りした炉壁構造が一部の炉で採用され始めている。
一般に、高温且つ腐食ガス雰囲気下で用いられる合金材料としては、耐食性と高温強度に優れるオーステナイト系耐熱合金が多く使われていた。しかし、オーステナイト系耐熱合金はフェライト系耐熱合金に比べて線膨張係数が高いことから高温燃焼設備等で利用すると大きな熱応力が発生して熱疲労による損傷を受けやすいという問題があり、また材料費や製造費が高く、実用化が困難なものであった。そこで、近年は比較的安価で製造性に優れるとともに物理的特性値が良好であるフェライトの研究・開発が行なわれ、従来のフェライト系耐熱合金にCr含有量を増加するなどして高温強度の改善を図った合金が広く用いられるようになった。例えば発電プラントのボイラ管や焼却炉の火格子等に適用されるフェライト系耐熱合金として、特許文献1(特開平8−85848号公報)、特許文献2(特開平11−106870号公報)等が挙げられる。
一方、耐熱鋼を焼却炉の炉壁に適用した技術が、特許文献3(特許第2997869号公報)等に開示されている。特許文献3では、成分がC:0.1〜0.4重量%、Si:0.2〜1.2重量%、Mn:1.0〜10.0重量%、Cr:22.0〜27.0重量%、Ni:3.0〜6.0重量%、残部が実質的にFeで該成分中Mn+Niが少なくとも6.0重量%である耐熱鋳鋼材が提案されている。
また、特許文献4(特開2000−199621号公報)には、成分がC:0.05〜0.4重量%、Si:0.1〜2.0重量%、Mn:1.0〜2.2重量%、Cr:22.0〜28.0重量%、Ni:4.0〜12.0重量%、Al0.3〜1.5重量%、残部が実質的にFeで該成分中Ni+Cr+Mnが少なくとも28.0重量%以上である耐熱鋳鋼材などが前記用途に適した材質として開示されている。
これら耐熱鋳鋼は、その技術思想として、Ni・Cr系耐熱耐腐食鋳鋼をベースにMnを添加することにより、該鋳鋼の使用条件である高温酸化雰囲気暴露により塩基性の酸化物を生成させ、加えてAlを添加して耐酸化、耐腐食性の高いAlを生成させるようにしている。これにより、同じく塩基性のクリンカは、塩基性のMn酸化物を含む鋳鋼表面と反応し難く且つ該Mn酸化物が鋳鋼表面から剥がれ易いため、クリンカが物理的に溶融付着しても、共に剥がれ落ちるようにしている。
本発明者らはこれら従来の耐熱鋳鋼材を再検討し、更に高いクリンカ付着防止性能を有し、合わせて耐食性、高強度の炉壁内貼り材料に適した鋳物材料を開発するために鋭意研究を行なった。
そもそも、前記従来技術のクリンカ剥離性、耐酸化腐食性のメカニズムを検討するに、目的とする鋳鋼を炉内の高熱・高腐食性雰囲気に曝すと、鋳鋼合金の表面上に酸化物層が生成する。図4はその状況を説明的に描いた模式図であるが、この鋳鋼合金31上の酸化物層は二層から成っている。表層は比較的脆く、酸素透過性の酸化物によってなる酸化物層35でFe、MnOに富んだ密度の低い不安定なもので、クリンカ38が融着すると、崩れて剥がれ落ちる性質がある。一方下層の酸化物層36はCr・Al・SiOなどを含んだ層であり、層自体が酸素不透過性で保護機能の発揮が期待されるが、前記特許文献3又は4の耐熱鋳鋼材においては、Mnを1.0〜10.0重量%若しくは1.0〜2.2重量%と比較的多量に含有しているのが特徴であった。
このように多量なMnが存在すると、図4の酸化物層36中にも符号37で示すように、多量のMnOが生成され、そのため該酸化物層36が著しくポーラスになる。従って皮膜の付着強度は低下するので、クリンカが付着し、剥離するときは該酸化物層36も共に脱落し、クリンカ付着防止機能は向上するが、酸素不透過を期待する酸化物層36がなくなり、この部分で酸化腐食性が著しく低下する。加えて酸化物層36自体のポーラスな物理特性は緻密保護性を低下させ、酸素透過性も大きくするので耐酸化腐食防止機能が低下して、酸化腐食による損耗が激しくなる。すなわち、焼却炉の内張り材として使用したとき、減耗の速度が著しい。
そこで、本発明者らは特許文献5(特開2003−161434号公報)において、炭素;0.10〜0.40重量%、Cr;18〜26重量%、Ni;0.5〜6.0%、Al;1.5〜5.5重量%、Mn;0.5重量%以下、Si;2.5重量%以下、残部が実質的にFeからなる組成の耐食性耐熱鋳鋼を提案している。
これによれば、酸化物層36に対して不利益をもたらすMn成分は極力抑え、しかし皮膜にアルカリ性を付与する利益は残る程度の濃度としたため、酸化物層36がポーラス構造を形成することを防止し、耐酸化腐蝕防止機能を高く維持することが可能となる。またAlとSiの比率と含有量を調整したため、酸化物層36にAl、Si、Crの酸化物からなる皮膜の酸素不透過性を大きく向上させ、かつ高温強度を高めることが可能となった。
特開平8−85848号公報 特開平11−106870号公報 特許第2997869号公報 特開2000−199621号公報 特開2003−161434号公報
熱処理炉の高温化に伴って、炉壁へのクリンカの付着による燃焼不具合や運転の障害、さらには炉の耐久性の低下を防止するためにクリンカの付着し難い炉壁構造が強く要望されている。そこで、耐熱合金を炉壁に貼着した構成が提案されていたが、特許文献1、2等に記載される従来のフェライト系耐熱合金では、耐食性や高温強度は良好であってもクリンカの付着を防止することはできなかった。
そこで、特許文献5に記載のごとく、Fe、Mnにより耐熱合金に付着したクリンカの表層が容易に剥離するように構成するとともに、Mn含有量を最小限に抑えることにより、表層の酸化物層がポーラス構造を形成することを防止し、耐酸化腐蝕防止機能を高く維持することが可能となった。さらに、AlとSiを含有させることにより内層の酸素不透過性を大きく向上させ、かつ高温強度を高め、酸化腐食による損耗を防止することが可能となった。
しかし、Alは多量に添加すると金属間化合物が生成し、組織安定性、塑性加工性が悪くなるという問題があった。
従って、本発明は上記従来技術の問題点に鑑み、800℃を越える高温燃焼ガス中で優れたクリンカ付着防止性能を有するとともに、Alを含有せず、且つMnの含有量を極力抑えることにより良好な高温耐食性、高温強度特性、組織安定性、耐脆化、劣化性を有するフェライト系耐熱合金を提供することを目的とする。
そこで、本発明はかかる課題を解決するために、
炉壁を形成する無機質耐火断熱材に内張りされるクリンカ付着防止構造用のフェライト系耐熱合金において、
重量%で、Mn:0.50以下、Si:2.0〜4.0、Cr:15.0〜25.0、Ni:2.0以下、及び不可避的不純物を含有し、残部がFeであることを特徴とする。
本発明の目的に適う炉壁内張り材の必須の要件として、上層(表層)に物理的に融着したクリンカはその最外層の皮膜によって捕捉され、該皮膜の脆弱性により崩壊剥離すること、また、下層の緻密な酸素不透過性の酸化皮膜によって高温の酸素が遮断され更に、内部の合金が侵されない保護機能を有すること、が挙げられる。加えて、1000℃を越えるような高温において、該耐熱合金を使用した内張り材プレートが多少の熱応力に曝されても容易に変形しない強度と靭性を備えている必要がある。
本発明らは、上層のクリンカ剥離機能はFeの組織により充分クリンカの剥離が可能なことを見出したため、下層に対して不利益をもたらすMn成分は極力抑え、しかし皮膜にアルカリ性を付与する利益は残る程度の含有量とした。
またSiの成分範囲を上記範囲内とすることにより、鋳造性が向上し、またCrとFeとの複合添加効果によりフェライト系合金の耐食性を向上させることができる。
Cr、Ni、Feの主要成分は合金の耐食性、耐酸化性の向上、及びクリンカ剥離性能に直接関係する合金元素であり、これらを上記範囲内とすることにより、それぞれの最適組成における複合添加効果および低Mn化の効果によりこれらの性能の大幅な向上が期待できる。800℃を超える超高温度での使用及び起動、停止時などの中温域において付着ダストによる塩化、硫化腐食に対する耐食性、さらには耐脆化、製造性などを総合的に良好な状態に保持する適切な値となる。
クリンカの剥離に際してはクリンカと反応した酸化スケール上層部が上層/下層の境界で剥がれて脱落する。残された材料表面のスケール下層は上記合金元素の複合酸化物で構成され、プレートの耐食性維持に寄与する。このような安定した耐久性を有するスケールは、Mnの低減と、含有量を夫々上記範囲内としたSi、Cr、Ni、Feの複合添加効果により形成できる。
又本発明は特許文献5と異なり、Alを添加していないために、金属間化合物が生成することなく、組織安定性、塑性加工性が悪くならないのみならず、800℃を越える高温燃焼ガス中で優れたクリンカ付着防止性能を有するとともに、Alを含有せず、且つMnの含有量を極力抑えることにより良好な高温耐食性、高温強度特性、組織安定性、耐脆化、耐劣化性を有する。
尚、本発明におけるフェライト系耐熱合金は、P、S等の不可避的不純物を含有していても良い。
以上記載のごとく本発明によれば、炉壁を形成する無機質耐火断熱材に内張りされるクリンカ付着防止構造用のフェライト系耐熱合金において、この耐熱合金に含有されるMnを極力抑えることにより、800℃を越える高温燃焼ガス中であっても優れたクリンカ付着防止性能を有し、且つ良好な高温耐食性、高温強度特性、組織安定性、材料の耐脆化、劣化性を有する耐熱合金を提供することができる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
本実施例に係るフェライト系耐熱合金は、800℃を越える廃棄物燃焼炉の高温燃焼ガス中で優れたクリンカ付着防止性能を有し、さらに良好な高温耐食性、高温強度特性、組織安定性、材料の耐脆化、劣化性を有する低Mn含有組成を特徴とするフェライト系Cr−Fe−Si含有耐熱合金である。
以下に、本実施例における各成分の限定理由を説明する。
Mnは、鋳造性、組成加工性を改善するが、保護性酸化スケールの特性、付着性などを低下させるため高温下での耐食性を劣化させ、またσ相など脆化相の析出を促進し、材質劣化の原因となる。そのため本実施例では0.5重量%以下とし、好適には0.3重量%以下とする。
Siは、鋳造性に必要な元素であり、また、CrとFeとの複合添加効果によりフェライト系合金の耐食性を向上する。しかし、多量の添加は脆化を促し、融点を低下させて耐熱性を損なうため上限値を4.0重量%とした。鋳造性、耐食性を良好に保ち、且つ耐熱性を維持するためにSi含有量を2.0重量%〜4.0重量%とした。
Cr、Ni、Feの主要成分は合金の耐食性、耐酸化性の向上、及びクリンカ剥離性能に直接関係する合金元素であり、Siとの複合添加効果及び低Mn化によりこれら性能の大幅な向上が期待できる。800℃を超える高温度での使用および起動、停止時などの中温(500〜900℃)域において付着ダストによる塩化、硫化腐食に対する耐食性、さらには耐脆化、製造性などを総合的に考慮して、Cr:15〜25重量%、Ni:2.0重量%以下、Fe:残部とした。
クリンカの剥離に際してはクリンカと反応した酸化スケール上層部が上層/下層の境界で剥がれて脱落する。残された材料表面のスケール下層は上記合金元素の複合酸化物で構成され、プレートの耐食性維持に寄与する。このような安定した耐久を有するスケールはMnの低減とSi、Cr、Ni、Feの複合添加効果により形成できる。
また、好ましくは上記した成分に、さらに下記成分を添加すると良い。
炉壁のような高温での使用に際し、本実施例の耐熱合金は耐クリープ性、高温強度の確保および結晶粒成長などの材質劣化を抑えることが必要である。そのため使用温度に応じてC、N、Ta+Nbの材質強化元素を少量加えることができる。これら元素の多量添加は材質の脆化、劣化を促進するため、夫々の添加量は、C:0.20重量%以下、N:0.2重量%以下、Ta+Nb:0.20〜1.20重量%とした。
本実施例の範囲内で生成できるフェライト系耐熱合金の好適な一例として、重量%で、C:0.20以下、Si:2.5〜3.5、Mn:0.3以下、Cr:20.0〜25.0、N:0.2以下、を含有し、残部が実質的にFeである耐熱合金で、必要に応じてNiを少量含有する耐熱合金が挙げられる。
これらの耐熱合金は成分比率のバランスが良好であり複合添加効果が最大限に引き出されるため、クリンカ付着防止性能において特に優れた性能を有する。
本実施例に係るフェライト系耐熱合金の諸性能を評価するため、下記表1に示す組成の原料を使用して試験材を作成し、評価を行なった。該試験材は、20kgの原料を真空溶解して金型に鋳込んで得られた板状鋼から縦14mm、横14mm、厚さ3mmの試験材を得た。
これらのうち、試験材R〜Tは本実施例で、該本実施例に係る成分比率の範囲を満たすフェライト系耐熱合金である。
試験材E〜Gは比較例で何れもSiの含有量が2.0重量%未満である。さらに試験材Gは、Mnの含有量が0.5重量%より大きく、且つNi、Crの含有量も本実施例の範囲より大きい。
試験材X〜Zは従来材或いは既存材である比較例であり、Si、Mn、Niの何れの値も本実施例の範囲を越える値である。
Figure 0004285755
上記した試験材E〜G、R〜T、及びX〜Zを用いて、以下に示す各性能につき評価試験を行なった。評価試験を行なう性能は、耐高温酸化性、耐高温塩化/硫化性、耐高温腐食性、製造性、クリンカ付着時の耐食性、クリンカ剥離性、さらに機械的特性として、高温での引張特性、衝撃値、硬さの各項目である。
各評価試験の方法を以下に示す。
(1)高温酸化試験
図1(a)に示すように、乾燥空気中に設置した磁性ルツボ1内に試験材2を置き、温度900℃、1000℃、1100℃、1200℃の4段階において200時間保持して、重量減少量或いは重量増加量を測定した。
(2)塩化/硫化腐食試験、高温硫化腐食試験
図1(b)に示すように、磁性ルツボ1内に充填した灰3の中に試験材2を埋没し、塩化腐食試験では1000ppm濃度のHClガスで満たされた酸化性雰囲気として550℃で100時間保持し、重量減少量を測定した。一方、硫化腐食試験では、50ppm濃度のSOガスで満たされた還元性雰囲気として550℃で100時間保持し、重量減少量を測定した。塩化腐食試験及び硫化腐食試験の何れの場合も、前記灰3は実機灰とし、NaCl、KCl、NaSO:等モル+Al:30重量%を含有する。
前記高温硫化腐食試験は、乾燥空気中にて900℃で100時間保持し、重量減少量を測定した。前記灰3は、NaSO、KSO+Al:30重量%を含有する。
(3)溶融クリンカの加速腐食試験
図1(c)に示すように、磁性ルツボ1に溶融クリンカ4を充填し、該溶融クリンカ4に試験材2が半分程度浸漬するように設置する。磁性ルツボ1内に設置された試験材2を乾燥空気中にて1200℃で100時間保持し、局部減肉量を測定した。
(4)クリンカ剥離試験
図1(d)に示すように、試験材2として、予め1200℃で50時間保持して予備酸化し、一面側にクリンカ2aが付着した材を用いた。本試験では、磁性ルツボ1内にアルミナ粉5を充填し、前記クリンカ2a側が露出するように前記アルミナ粉5に試験材2を埋没し、1200℃で50時間保持して冷却時の試験材2表面のクリンカ2aの剥離状況を観察した。
(5)機械試験
高温引張試験は、600℃、1000℃の2段階において夫々引張強度σ、降伏強度σ、及び伸び率(%)を測定した。
シャルピー衝撃試験は、2mmVノッチ試験片を用い、0℃、600℃の2段階において吸収エネルギー、脆性破面率を測定した。
硬さ試験では、ビッカース硬度計を用いてビッカース硬さを測定した。
上記した試験により試験材の評価を行なった結果を下記表2、表3に示す。表2は高温耐食性評価結果を示し、表3は機械的特性評価結果を示す。
Figure 0004285755
Figure 0004285755
これらの評価結果により、以下の点が明らかとなった。
即ち、表2に示した高温耐食性評価結果より、1200℃の高温酸化試験にて、比較例F、G、Zの重量増加量が大きく、これより耐酸化性が低いことが判る。これに対して実施例R〜Tは耐酸化性が良好であることが判る。
また、高温塩化腐食試験にて、比較例Gの重量減少量が大きく耐塩化性が低く、実施例R〜Tでは良好な値が得られ、耐塩化性が高いことが判る。混合ガスでは比較例Eの重量減少量が大きかった。
さらに、高温硫化腐食試験では、比較例Xの重量減少量が極めて大きく、耐高温硫化性が低いことが明らかとなった。これに対して実施例R〜Tでは、重量減少量が少なく、耐高温硫化性が良好であることが判る。
これらの結果より、耐食性については実施例R〜Tが高い耐食性を有することが明らかとなり、高MnのG、X〜Yの高温耐食性が悪いことから、Mnを極力低減することにより高温腐食性が向上することが判明した。
また、クリンカの剥離性については、実施例R〜Tが良好であることから、低Mnほどクリンカの剥離性が優れていることが判る。
さらに、表3に示した機械特性評価結果より、本実施例R、S、Tは高温引張特性、シャルピー値、硬さともに良好であり、実用上問題のない範囲の値を示している。また、吸収エネルギー値が比較例X〜Zに比べて高く、硬さが同等である。
本実施例に係るフェライト系耐熱合金は、例えば、都市ごみ等の一般廃棄物、又は産業廃棄物などの廃棄物を熱処理する焼却炉、熱分解炉、溶融炉等の炉壁に適用され、該耐熱合金をプレート状に鋳造して無機質耐火断熱材により形成される炉壁に内張りするなどして利用できる。
本実施例に係るフェライト系耐熱合金の評価試験の装置を説明する図である。 ストーカ式燃焼炉の炉壁を現した全体概略図である。 ストーカ式焼却炉の概略構成図である クリンカの付着状況、酸素の透過状況を説明する模式図である。
符号の説明
2 試験材
3 灰
4 溶融クリンカ
5 アルミナ粉
11 ストーカ式焼却炉
12 炉壁
13 ストーカ
14 二次燃焼室
25 耐火材

Claims (1)

  1. 炉壁を形成する無機質耐火断熱材に内張りされるクリンカ付着防止構造用のフェライト系耐熱合金において、
    重量%で、Mn:0.50以下、Si:2.0〜4.0、Cr:15.0〜25.0、Ni:2.0以下、及び不可避的不純物を含有し、残部がFeであることを特徴とするクリンカ付着防止構造用のフェライト系耐熱合金。
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