JP2000233968A - セラミックスファイバーを含有する溶融部用部材 - Google Patents
セラミックスファイバーを含有する溶融部用部材Info
- Publication number
- JP2000233968A JP2000233968A JP11033785A JP3378599A JP2000233968A JP 2000233968 A JP2000233968 A JP 2000233968A JP 11033785 A JP11033785 A JP 11033785A JP 3378599 A JP3378599 A JP 3378599A JP 2000233968 A JP2000233968 A JP 2000233968A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- waste
- melting furnace
- fusion zone
- combustion
- spinel
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Landscapes
- Incineration Of Waste (AREA)
- Gasification And Melting Of Waste (AREA)
- Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 廃棄物処理装置等の溶融炉で、廃棄物等の燃
焼で生じる灰分を加熱し、溶融スラグにする溶融炉内面
を構成する溶融部用部材の耐熱衝撃性と耐食性を向上す
ること。 【解決手段】 廃棄物処理装置等の溶融炉で、廃棄物を
燃焼させて生じる灰分を加熱して溶融スラグにする炉内
面を構成する溶融部用部材において、該溶融部用部材
は、スピネル型化合物MCr2O4(MはMg又は2価の
Fe)耐火材にセラミックスファイバーを添加して成る
ことを特徴とする。セラミックスファイバーの添加によ
り部材粒子間の接合強度が大幅に強固になり、熱衝撃に
対して微細なクラックの発生を防止する。また、スピネ
ル型化合物耐火材は熱力学的に安定でアルカリ元素との
両立性が高いので、最初からアルカリ元素を含有する溶
融スラグによる耐火物の浸食を抑制できる。
焼で生じる灰分を加熱し、溶融スラグにする溶融炉内面
を構成する溶融部用部材の耐熱衝撃性と耐食性を向上す
ること。 【解決手段】 廃棄物処理装置等の溶融炉で、廃棄物を
燃焼させて生じる灰分を加熱して溶融スラグにする炉内
面を構成する溶融部用部材において、該溶融部用部材
は、スピネル型化合物MCr2O4(MはMg又は2価の
Fe)耐火材にセラミックスファイバーを添加して成る
ことを特徴とする。セラミックスファイバーの添加によ
り部材粒子間の接合強度が大幅に強固になり、熱衝撃に
対して微細なクラックの発生を防止する。また、スピネ
ル型化合物耐火材は熱力学的に安定でアルカリ元素との
両立性が高いので、最初からアルカリ元素を含有する溶
融スラグによる耐火物の浸食を抑制できる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、廃棄物(家庭やオ
フィスなどから出される都市ごみなどの一般廃棄物、廃
プラスチック、カーシュレッダー・ダスト、廃オフィス
機器、電子機器、化粧品などの産業廃棄物など、可燃物
を含むもの)を焼却処理して生じる灰分を加熱して溶融
スラグとする溶融炉の内面を構成するのに好適な溶融部
用部材およびそれを用いた廃棄物処理装置に関する。
フィスなどから出される都市ごみなどの一般廃棄物、廃
プラスチック、カーシュレッダー・ダスト、廃オフィス
機器、電子機器、化粧品などの産業廃棄物など、可燃物
を含むもの)を焼却処理して生じる灰分を加熱して溶融
スラグとする溶融炉の内面を構成するのに好適な溶融部
用部材およびそれを用いた廃棄物処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】都市ごみ等の一般廃棄物や廃プラスチッ
ク等の可燃物を含む廃棄物の処理装置の一つとして、廃
棄物を熱分解反応器に入れて低酸素雰囲気中で加熱して
熱分解し、熱分解ガス(乾留ガス)と主として不揮発性
成分からなる熱分解残留物とを生成し、この熱分解ガス
と熱分解残留物とを排出装置において分離し、更に熱分
解残留物を不活性雰囲気下の冷却装置で冷却した後、分
離装置に供給して熱分解カーボンを主体とする燃焼性成
分と、例えば金属や陶器、砂利等の不燃焼性成分とに分
離し、燃焼性成分を粉砕して粉体とし、この粉砕された
燃焼性成分と前記した熱分解ガスとを燃焼溶融炉に導い
て燃焼させ、生じた燃焼灰をその燃焼熱により加熱して
溶融スラグとなし、この溶融スラグは耐火材で覆われた
炉内面を伝って流下し、排出部から外部に排出して冷却
固化させるようにした廃棄物処理装置が知られている
(特公平6−56253号公報)。燃焼溶融炉で発生し
た高温の燃焼排ガス(約1200℃)は、後段に設けら
れている熱交換器により熱エネルギーを回収され、更に
集塵器で集塵され、最終的にクリーンな排ガスとなって
煙突から大気中に放出される。
ク等の可燃物を含む廃棄物の処理装置の一つとして、廃
棄物を熱分解反応器に入れて低酸素雰囲気中で加熱して
熱分解し、熱分解ガス(乾留ガス)と主として不揮発性
成分からなる熱分解残留物とを生成し、この熱分解ガス
と熱分解残留物とを排出装置において分離し、更に熱分
解残留物を不活性雰囲気下の冷却装置で冷却した後、分
離装置に供給して熱分解カーボンを主体とする燃焼性成
分と、例えば金属や陶器、砂利等の不燃焼性成分とに分
離し、燃焼性成分を粉砕して粉体とし、この粉砕された
燃焼性成分と前記した熱分解ガスとを燃焼溶融炉に導い
て燃焼させ、生じた燃焼灰をその燃焼熱により加熱して
溶融スラグとなし、この溶融スラグは耐火材で覆われた
炉内面を伝って流下し、排出部から外部に排出して冷却
固化させるようにした廃棄物処理装置が知られている
(特公平6−56253号公報)。燃焼溶融炉で発生し
た高温の燃焼排ガス(約1200℃)は、後段に設けら
れている熱交換器により熱エネルギーを回収され、更に
集塵器で集塵され、最終的にクリーンな排ガスとなって
煙突から大気中に放出される。
【0003】耐火物は鉄鋼、非鉄、セメント、ガラス、
窯業など高温処理を必要とする工業の窯炉やボイラ、廃
棄物焼却炉などに使用される。溶融スラグと接触する環
境での使用においては、酸素分圧、アルカリ分圧などの
気相側環境と共に溶融スラグの関与する苛酷な高温腐食
も考慮する必要がある。一般に、酸素分圧の高い場合に
おいては酸化物系耐火物が使用されるが、その腐食性選
定の目安として、スラグの塩基度が1以上の場合は塩基
性耐火物が、1以下の場合は中性または酸性耐火物が使
用される。空気で燃焼溶融するごみ焼却での酸化物系耐
火物の場合、スラグ塩基度は1以下のことが多く、Al
2O3を主体とする中性耐火物が選ばれている。
窯業など高温処理を必要とする工業の窯炉やボイラ、廃
棄物焼却炉などに使用される。溶融スラグと接触する環
境での使用においては、酸素分圧、アルカリ分圧などの
気相側環境と共に溶融スラグの関与する苛酷な高温腐食
も考慮する必要がある。一般に、酸素分圧の高い場合に
おいては酸化物系耐火物が使用されるが、その腐食性選
定の目安として、スラグの塩基度が1以上の場合は塩基
性耐火物が、1以下の場合は中性または酸性耐火物が使
用される。空気で燃焼溶融するごみ焼却での酸化物系耐
火物の場合、スラグ塩基度は1以下のことが多く、Al
2O3を主体とする中性耐火物が選ばれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記灰分を溶融させる
溶融炉において、廃棄物は均質ではなく燃焼させる場
合、熱衝撃などの存在する運転環境となる。このために
溶融部用部材表面の温度は急昇温、急降温が繰り返され
る。このために、スラグの浸透などによって溶融部用部
材表面は熱膨張の急激な変動によって表面で層状剥離を
起こし、炉寿命を著しく短くするという問題があった。
溶融炉において、廃棄物は均質ではなく燃焼させる場
合、熱衝撃などの存在する運転環境となる。このために
溶融部用部材表面の温度は急昇温、急降温が繰り返され
る。このために、スラグの浸透などによって溶融部用部
材表面は熱膨張の急激な変動によって表面で層状剥離を
起こし、炉寿命を著しく短くするという問題があった。
【0005】また、上記灰分を溶融させた溶融スラグ
は、製鋼スラグやその他の溶融物と比較してNaやKと
いったアルカリ元素の含有率が高い。そのため、Al2
O3−SiO2、Al2O3−SiC等のSi含有耐火材の
場合、最初から存在する又は生成されたSiO2が灰溶
融スラグ中のアルカリと反応し、低融点のアルカリシリ
ケートが生成される。この化合物は流動化するため該耐
火材は徐々に減肉する。一方、Al2O3系耐火材或いは
セラミックスの場合、いわゆるβ−アルミナを形成し、
低融点化する。したがって、耐火材の寿命が短くなる。
は、製鋼スラグやその他の溶融物と比較してNaやKと
いったアルカリ元素の含有率が高い。そのため、Al2
O3−SiO2、Al2O3−SiC等のSi含有耐火材の
場合、最初から存在する又は生成されたSiO2が灰溶
融スラグ中のアルカリと反応し、低融点のアルカリシリ
ケートが生成される。この化合物は流動化するため該耐
火材は徐々に減肉する。一方、Al2O3系耐火材或いは
セラミックスの場合、いわゆるβ−アルミナを形成し、
低融点化する。したがって、耐火材の寿命が短くなる。
【0006】本発明の課題は、廃棄物などの燃焼物を燃
焼させて生じる灰分を加熱して溶融スラグにする溶融炉
において、炉内面を構成する溶融部用部材の耐熱衝撃性
を向上させ、かつ溶融スラグに対する耐食性を高めるこ
とである。
焼させて生じる灰分を加熱して溶融スラグにする溶融炉
において、炉内面を構成する溶融部用部材の耐熱衝撃性
を向上させ、かつ溶融スラグに対する耐食性を高めるこ
とである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するため
本発明は、廃棄物の燃焼によって生じる灰分が、加熱さ
れて溶融スラグとなる溶融炉内に用いられる溶融部用部
材であって、下記化式6で表わされるスピネル型化合物
と、セラミックスファイバーとから成ることを特徴とす
るものである。
本発明は、廃棄物の燃焼によって生じる灰分が、加熱さ
れて溶融スラグとなる溶融炉内に用いられる溶融部用部
材であって、下記化式6で表わされるスピネル型化合物
と、セラミックスファイバーとから成ることを特徴とす
るものである。
【0008】
【化6】
【0009】本発明によれば、溶融部用部材はセラミッ
クスファイバーを添加することにより、部材の粒子間の
接合強度が、ファイバーがない場合に比較して、大幅に
強固になり、熱衝撃を受けた場合に、微細なクラックの
発生を防止する。
クスファイバーを添加することにより、部材の粒子間の
接合強度が、ファイバーがない場合に比較して、大幅に
強固になり、熱衝撃を受けた場合に、微細なクラックの
発生を防止する。
【0010】本発明に適用されるセラミックスファイバ
ーは、ジルコニア製、アルミナ製、シリカ製、アルミナ
・シリカ製、炭化珪素製、窒化珪素製等のうち、シリカ
製を除いて殆ど適用可能である。
ーは、ジルコニア製、アルミナ製、シリカ製、アルミナ
・シリカ製、炭化珪素製、窒化珪素製等のうち、シリカ
製を除いて殆ど適用可能である。
【0011】また、耐食性に関しては、前記灰分を加熱
して(約1300℃)溶融スラグにする際に、これと接
触する部材をCr含有スピネル型化合物で構築すれば、
次のような効果により、激しい侵食を免れることができ
る。
して(約1300℃)溶融スラグにする際に、これと接
触する部材をCr含有スピネル型化合物で構築すれば、
次のような効果により、激しい侵食を免れることができ
る。
【0012】 Cr2O3は溶融スラグとの表面張力が
大きく、濡れにくい。そのため、溶融スラグの浸透が抑
制される。 Cr2O3は溶融スラグ中への溶解にあたり、液相の
粘性を高める。そのため、耐火材に接するスラグ境界層
中の物質移動速度は小さくなる。 Cr2O3単独物は、その性質が酸性酸化物であるた
めアルカリ含有スラグ中への溶解度は高くなる傾向にあ
るが、MgOなどの塩基性酸化物との等モル化合物であ
るスピネル型物質を構成すると、アルカリ含有スラグ中
への溶解度はそれ程大きくならない。
大きく、濡れにくい。そのため、溶融スラグの浸透が抑
制される。 Cr2O3は溶融スラグ中への溶解にあたり、液相の
粘性を高める。そのため、耐火材に接するスラグ境界層
中の物質移動速度は小さくなる。 Cr2O3単独物は、その性質が酸性酸化物であるた
めアルカリ含有スラグ中への溶解度は高くなる傾向にあ
るが、MgOなどの塩基性酸化物との等モル化合物であ
るスピネル型物質を構成すると、アルカリ含有スラグ中
への溶解度はそれ程大きくならない。
【0013】このような特性を有するスピネル型化合物
物質の代表例には、ピクロクロマイトMgCr2O4やク
ロマイトFeCr2O4がある。このとき、スピネル型化
合物中のMOとCr2O3とのモル比は、1:1(定比)
である必要はなく、1300℃におけるMgO・nAl
2O3の場合から類推し、Cr2O3の比率が50〜58mo
l%の範囲でスピネル型構造を作り得る(不定比性)。
物質の代表例には、ピクロクロマイトMgCr2O4やク
ロマイトFeCr2O4がある。このとき、スピネル型化
合物中のMOとCr2O3とのモル比は、1:1(定比)
である必要はなく、1300℃におけるMgO・nAl
2O3の場合から類推し、Cr2O3の比率が50〜58mo
l%の範囲でスピネル型構造を作り得る(不定比性)。
【0014】この比率は、下記化式7のものでは、0.
714≦β≦1に相当する。ここで、スピネル構造中の
4配位位置の金属元素Mとしては、Mgまたは2価のF
eのいずれか一方、或いは両者の任意比率の混合状態で
あってもよい。
714≦β≦1に相当する。ここで、スピネル構造中の
4配位位置の金属元素Mとしては、Mgまたは2価のF
eのいずれか一方、或いは両者の任意比率の混合状態で
あってもよい。
【0015】
【化7】
【0016】さらに、スピネル構造中の6配位位置の金
属元素としては、少なくとも半数以上がCr、残りがA
lまたは3価のFeとする。このような6配位位置にお
けるCrが半数以上を占めるスピネル型化合物は、定比
および不定比化合物のいずれにおいても、前述の理由に
より、アルカリ元素を高濃度含有する溶融スラグによる
浸食を有効に抑制できる。
属元素としては、少なくとも半数以上がCr、残りがA
lまたは3価のFeとする。このような6配位位置にお
けるCrが半数以上を占めるスピネル型化合物は、定比
および不定比化合物のいずれにおいても、前述の理由に
より、アルカリ元素を高濃度含有する溶融スラグによる
浸食を有効に抑制できる。
【0017】また、本発明になる溶融部用部材は、前記
スピネル型化合物単一相のみならず、前記スピネル型化
合物SPと下記化式8で表されるコランダム型化合物C
ORと、セラミックスファイバーCFとの3相混合物
(1−η−θ)・SP+η・COR+θCF(ただし、
0<η<1.0、0<θ<1.0)から成ることを特徴と
するものである。
スピネル型化合物単一相のみならず、前記スピネル型化
合物SPと下記化式8で表されるコランダム型化合物C
ORと、セラミックスファイバーCFとの3相混合物
(1−η−θ)・SP+η・COR+θCF(ただし、
0<η<1.0、0<θ<1.0)から成ることを特徴と
するものである。
【0018】
【化8】
【0019】コランダム型化合物COR、酸化クロム単
独物や酸化クロムリッチな酸化クロム−酸化アルミニウ
ム固溶体等が包含される。本コランダム型化合物は、使
用中に稼働面近傍で、原料ごみ中のMO成分と反応し、
下記化式9で表される化合部を生成し、耐食性が向上す
る。
独物や酸化クロムリッチな酸化クロム−酸化アルミニウ
ム固溶体等が包含される。本コランダム型化合物は、使
用中に稼働面近傍で、原料ごみ中のMO成分と反応し、
下記化式9で表される化合部を生成し、耐食性が向上す
る。
【0020】
【化9】
【0021】また、本発明は、本系スピネル型化合物を
例えば不定形耐火物として施工するにあたり、そのマト
リックス部の焼結性を向上させるための手段を提供す
る。すなわち、これまでに、本系に近い耐火材料が提案
されているが(特開平9−71477号公報)、その原
料は電融耐火材料であって、焼結性向上に不可欠な微粉
は容易に得がたく、得られたとしてもコストが高い。本
方法によれば、固相反応には充分であるが、あまり強く
は焼結しない温度を選択できるため、軽度の粉砕により
安価に微粉を得ることができる。
例えば不定形耐火物として施工するにあたり、そのマト
リックス部の焼結性を向上させるための手段を提供す
る。すなわち、これまでに、本系に近い耐火材料が提案
されているが(特開平9−71477号公報)、その原
料は電融耐火材料であって、焼結性向上に不可欠な微粉
は容易に得がたく、得られたとしてもコストが高い。本
方法によれば、固相反応には充分であるが、あまり強く
は焼結しない温度を選択できるため、軽度の粉砕により
安価に微粉を得ることができる。
【0022】また、本発明は、上記の発明において、前
記溶融部用部材の材料内の使用前の状態として金属Cr
が5重量%以上40重量%以下混在しているものを、金
属製部材の表面に皮膜として形成することを特徴とす
る。使用中に稼働面近傍で、原料中のMO成分および気
相中の酸素と該金属Crが反応してスピネル型化合物M
Cr2O4を生成し、耐食性が向上する。
記溶融部用部材の材料内の使用前の状態として金属Cr
が5重量%以上40重量%以下混在しているものを、金
属製部材の表面に皮膜として形成することを特徴とす
る。使用中に稼働面近傍で、原料中のMO成分および気
相中の酸素と該金属Crが反応してスピネル型化合物M
Cr2O4を生成し、耐食性が向上する。
【0023】ただし、添加するCr金属粉は配合物全体
の40重量%以上であると、使用中に酸化反応に起因し
て局部膨張が大きくなる恐れがあるので、40重量%以
下とする。また、5重量%以下であると、金属製部材と
のなじみ性に欠け、皮膜が剥離しやすくなるので、5重
量%以上とする。これにより、表面に溶融スラグ耐食性
の皮膜を形成することで、耐火物を支持する構造部材と
しての金属材料の耐久性が向上する。
の40重量%以上であると、使用中に酸化反応に起因し
て局部膨張が大きくなる恐れがあるので、40重量%以
下とする。また、5重量%以下であると、金属製部材と
のなじみ性に欠け、皮膜が剥離しやすくなるので、5重
量%以上とする。これにより、表面に溶融スラグ耐食性
の皮膜を形成することで、耐火物を支持する構造部材と
しての金属材料の耐久性が向上する。
【0024】また、本発明は、廃棄物を元とする燃焼物
を燃焼させて生じる灰分を加熱して溶融スラグにする際
に、前記廃棄物の中に予め2価の金属MまたはM含有化
合物を添加し、溶融炉内面を構成するCr2O3を含有す
る耐火物と反応させて、下記化式10(ただしMはMg
または2価のFeのいずれか一方、或いは両者の任意比
率の混合状態である)で表されるスピネル型化合物、特
にMCr2O4を生成させたものである。
を燃焼させて生じる灰分を加熱して溶融スラグにする際
に、前記廃棄物の中に予め2価の金属MまたはM含有化
合物を添加し、溶融炉内面を構成するCr2O3を含有す
る耐火物と反応させて、下記化式10(ただしMはMg
または2価のFeのいずれか一方、或いは両者の任意比
率の混合状態である)で表されるスピネル型化合物、特
にMCr2O4を生成させたものである。
【0025】
【化10】
【0026】また、本発明は、廃棄物を元とする燃焼物
を燃焼させて生じる灰分を加熱して溶融スラグにする際
に、前記廃棄物の中に予め2価の金属MまたはM含有化
合物を添加し、溶融炉内面を構成するCr2O3を含有す
る耐火物と反応させて上式9で表されるスピネル型化合
物を生成させることを特徴とする。
を燃焼させて生じる灰分を加熱して溶融スラグにする際
に、前記廃棄物の中に予め2価の金属MまたはM含有化
合物を添加し、溶融炉内面を構成するCr2O3を含有す
る耐火物と反応させて上式9で表されるスピネル型化合
物を生成させることを特徴とする。
【0027】本発明によれば、灰分を加熱して溶融スラ
グにする際に、予め添加された前記M成分(Mgまたは
Fe)と耐火物中のCr2O3成分とが反応して、該耐火
物表面にスピネル型化合物(MCr2O4)が生成され、
前記溶融スラグに対する保護膜の働きをする。
グにする際に、予め添加された前記M成分(Mgまたは
Fe)と耐火物中のCr2O3成分とが反応して、該耐火
物表面にスピネル型化合物(MCr2O4)が生成され、
前記溶融スラグに対する保護膜の働きをする。
【0028】また、本発明は、廃棄物を元とする燃焼物
を燃焼させて生じる灰分を加熱して溶融スラグにする炉
内面を構成する廃棄物燃焼灰分の溶融部用部材におい
て、該溶融部用部材の部分に設けられて温度計測を行う
熱電対の保護材の材料として、前述の請求項1〜5のう
ちいずれかに記載の材料を用いることを特徴とするもの
である。
を燃焼させて生じる灰分を加熱して溶融スラグにする炉
内面を構成する廃棄物燃焼灰分の溶融部用部材におい
て、該溶融部用部材の部分に設けられて温度計測を行う
熱電対の保護材の材料として、前述の請求項1〜5のう
ちいずれかに記載の材料を用いることを特徴とするもの
である。
【0029】下記化式11で表されるスピネル型化合物
における6配位位置のCr以外の成分の添加は、耐食性
発現を損なわないように、添加元素であるAlと3価の
Feの合計がCr量を超えない範囲とする。
における6配位位置のCr以外の成分の添加は、耐食性
発現を損なわないように、添加元素であるAlと3価の
Feの合計がCr量を超えない範囲とする。
【0030】
【化11】
【0031】また、本発明は、廃棄物を熱分解して熱分
解ガスおよび熱分解残留物を生成する熱分解反応器と、
前記熱分解残留物を不活性雰囲気下で冷却する冷却装置
と、冷却された熱分解残留物を燃焼性成分および不燃焼
性成分に分離する分離装置と、前記熱分解ガスおよび燃
焼性成分を灰分を溶融させる温度で燃焼させて不燃焼分
を溶融スラグとして排出部から排出する燃焼溶融炉と、
燃焼溶融炉で生じた高温ガスの熱を空気と熱交換させて
回収する熱交換器とを備えた廃棄物処理装置において、
前記燃焼溶融炉の炉内面を構成する部材は請求項1〜5
のいずれかに記載の溶融部用部材であることを特徴とす
るものである。これにより、燃焼溶融炉の耐久性が向上
し、もって該装置の運転効率を向上できる。
解ガスおよび熱分解残留物を生成する熱分解反応器と、
前記熱分解残留物を不活性雰囲気下で冷却する冷却装置
と、冷却された熱分解残留物を燃焼性成分および不燃焼
性成分に分離する分離装置と、前記熱分解ガスおよび燃
焼性成分を灰分を溶融させる温度で燃焼させて不燃焼分
を溶融スラグとして排出部から排出する燃焼溶融炉と、
燃焼溶融炉で生じた高温ガスの熱を空気と熱交換させて
回収する熱交換器とを備えた廃棄物処理装置において、
前記燃焼溶融炉の炉内面を構成する部材は請求項1〜5
のいずれかに記載の溶融部用部材であることを特徴とす
るものである。これにより、燃焼溶融炉の耐久性が向上
し、もって該装置の運転効率を向上できる。
【0032】
【発明の実施の形態】(実施例1)表1は、Cr2O3と
MgOの粉末にセラミックスファイバーを添加して作製
した試料成型体の組成表である。
MgOの粉末にセラミックスファイバーを添加して作製
した試料成型体の組成表である。
【0033】まず、Cr2O3が78.9重量%、MgO
が21.1重量%の混合粉末を金型に充填し、静水圧プ
レス法により試料部材を成型した後、この成型体を大気
雰囲気中で1600℃の温度にて5時間加熱した。得ら
れた固相反応物は、X線回折によりピクロクロマイトで
あることを確認した。これを通常のボールミルで粉砕
し、分級後、各種サイズの粉体を焼結助剤のスルファミ
ン酸及びピクロクロマイトに対し5重量%となるセラミ
ックファイバーと共に混合し、プレス成形後、焼結し試
験体を得た。焼結は1700℃・3時間で行った。セラ
ミックスファイバーには、材質3molY2O3安定化ジル
コニア製のものを用いた。
が21.1重量%の混合粉末を金型に充填し、静水圧プ
レス法により試料部材を成型した後、この成型体を大気
雰囲気中で1600℃の温度にて5時間加熱した。得ら
れた固相反応物は、X線回折によりピクロクロマイトで
あることを確認した。これを通常のボールミルで粉砕
し、分級後、各種サイズの粉体を焼結助剤のスルファミ
ン酸及びピクロクロマイトに対し5重量%となるセラミ
ックファイバーと共に混合し、プレス成形後、焼結し試
験体を得た。焼結は1700℃・3時間で行った。セラ
ミックスファイバーには、材質3molY2O3安定化ジル
コニア製のものを用いた。
【0034】粉体中へのジルコニアファイバーの分散
は、以下の手法による。ジルコニアファイバー50gを
蒸留水500mlに浸し、ミキサーなどで数十秒間撹拌
する。これによって蒸留水中にファイバーを分散でき
る。これに粉体1kg、減水剤0.5〜2gを加え、混
合、乾燥することによって、ファイバーを分散した粉体
を得ることができる。なお、ここでは、ファイバー径・
1〜100μm程度、ファイバー長さ・0.5〜20m
m程度の規格のファイバーを使用した。
は、以下の手法による。ジルコニアファイバー50gを
蒸留水500mlに浸し、ミキサーなどで数十秒間撹拌
する。これによって蒸留水中にファイバーを分散でき
る。これに粉体1kg、減水剤0.5〜2gを加え、混
合、乾燥することによって、ファイバーを分散した粉体
を得ることができる。なお、ここでは、ファイバー径・
1〜100μm程度、ファイバー長さ・0.5〜20m
m程度の規格のファイバーを使用した。
【0035】
【表1】
【0036】表2に、この焼結体を1300℃に加熱し
た後、急速に室温下にさらすという試験を繰り返した場
合の破損状況を示す。表中の数字は、試料10個中の破
損した試料数を示す。表2からも明らかなように、セラ
ミックスファイバーを添加した試料1は、無添加の試料
2より、熱衝撃に対する耐性が格段に向上しているのが
わかる。
た後、急速に室温下にさらすという試験を繰り返した場
合の破損状況を示す。表中の数字は、試料10個中の破
損した試料数を示す。表2からも明らかなように、セラ
ミックスファイバーを添加した試料1は、無添加の試料
2より、熱衝撃に対する耐性が格段に向上しているのが
わかる。
【0037】
【表2】
【0038】これは、セラミックスファイバーを添加し
たことにより、部材の破壊に対する抵抗が増し、熱衝撃
を受けた場合のクラックの進展を防止するからである。
また、本実施例では、ジルコニア製のセラミックスファ
イバーを使用したが、そのほかにも、アルミナ製、シリ
カ製、アルミナ・シリカ製、炭化珪素製、窒化珪素製等
のセラミックスファイバーが使用可能である。
たことにより、部材の破壊に対する抵抗が増し、熱衝撃
を受けた場合のクラックの進展を防止するからである。
また、本実施例では、ジルコニア製のセラミックスファ
イバーを使用したが、そのほかにも、アルミナ製、シリ
カ製、アルミナ・シリカ製、炭化珪素製、窒化珪素製等
のセラミックスファイバーが使用可能である。
【0039】(実施例2)実施例1と同様に、セラミッ
クスファイバーを含有する組成の焼結体から、立方体を
試験試料として切り出し、N2+5%O2+1000ppmHC
l雰囲気で、1350℃、20時間、灰溶融スラグ中に
浸漬した後、浸食量を測定した。比較のため、Al2O3
焼結体およびAl2O3−SiC焼結体につき、同様の条
件で浸食テストを行った。
クスファイバーを含有する組成の焼結体から、立方体を
試験試料として切り出し、N2+5%O2+1000ppmHC
l雰囲気で、1350℃、20時間、灰溶融スラグ中に
浸漬した後、浸食量を測定した。比較のため、Al2O3
焼結体およびAl2O3−SiC焼結体につき、同様の条
件で浸食テストを行った。
【0040】これらの実験条件は、ごみ焼却炉の溶融ス
ラグ環境を模擬したものである。得られた結果を表3に
示す。また灰溶融スラグの化学組成は表4に示した。こ
れによれば、Crを6配位位置に有するスピネル型化合
物であるピクロクロマイトMgCr2O4焼結体でセラミ
ックファイバー含有のものは、Al2O3焼結体およびA
l2O3−SiC焼結体に比べ、ごみ焼却で生じる灰分を
加熱して溶融スラグとする環境においても耐食性に優れ
ていることがわかる。
ラグ環境を模擬したものである。得られた結果を表3に
示す。また灰溶融スラグの化学組成は表4に示した。こ
れによれば、Crを6配位位置に有するスピネル型化合
物であるピクロクロマイトMgCr2O4焼結体でセラミ
ックファイバー含有のものは、Al2O3焼結体およびA
l2O3−SiC焼結体に比べ、ごみ焼却で生じる灰分を
加熱して溶融スラグとする環境においても耐食性に優れ
ていることがわかる。
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】また、鉄製部材の表面で、ピクロマイトに
金属Crを20重量%混在させたものを溶射により皮膜
形成し、浸食テストを行ったところ、表面近傍の金属C
rはCr2O3またはスピネル型化合物MCr2O4に変わ
っており、その耐食性は良好であった。
金属Crを20重量%混在させたものを溶射により皮膜
形成し、浸食テストを行ったところ、表面近傍の金属C
rはCr2O3またはスピネル型化合物MCr2O4に変わ
っており、その耐食性は良好であった。
【0044】(実施例3)次に、図1に基づいて、本発
明に係る廃棄物燃焼灰分の溶融部用部材を備えた廃棄物
処理装置の一例を説明する。本実施の形態の廃棄物処理
装置において、都市ごみ等の廃棄物50aは、例えば二
軸剪断式等の粉砕機で、150mm角以下の大きさに粉
砕され、コンベア等により投入部50内に投入される。
明に係る廃棄物燃焼灰分の溶融部用部材を備えた廃棄物
処理装置の一例を説明する。本実施の形態の廃棄物処理
装置において、都市ごみ等の廃棄物50aは、例えば二
軸剪断式等の粉砕機で、150mm角以下の大きさに粉
砕され、コンベア等により投入部50内に投入される。
【0045】投入部50に投入された廃棄物50aは、
スクリューフィーダ51を経て熱分解反応器52内に供
給される。熱分解反応器52としてはこの例では横型回
転式ドラムが用いられ、ドラム内の加熱分解室は図示し
ないシール構造により、その内部は低酸素雰囲気に保持
されている。
スクリューフィーダ51を経て熱分解反応器52内に供
給される。熱分解反応器52としてはこの例では横型回
転式ドラムが用いられ、ドラム内の加熱分解室は図示し
ないシール構造により、その内部は低酸素雰囲気に保持
されている。
【0046】廃棄物50aは熱分解反応器52内で熱分
解されるが、その熱源は、後述する燃焼溶融炉53の後
流側に配置された熱交換器である高温空気加熱器1によ
り加熱され加熱空気ラインL1を介して供給される加熱
空気8g(熱媒体)である。この加熱空気8gにより熱
分解反応器52内は300〜600℃に、通常は450
℃程度に維持される。
解されるが、その熱源は、後述する燃焼溶融炉53の後
流側に配置された熱交換器である高温空気加熱器1によ
り加熱され加熱空気ラインL1を介して供給される加熱
空気8g(熱媒体)である。この加熱空気8gにより熱
分解反応器52内は300〜600℃に、通常は450
℃程度に維持される。
【0047】さらに、加熱空気8gにより加熱された廃
棄物50aは、熱分解して熱分解ガスG1と、主として
不揮発性成分からなる熱分解残留物54とになり、排出
装置55に送られて分離される。
棄物50aは、熱分解して熱分解ガスG1と、主として
不揮発性成分からなる熱分解残留物54とになり、排出
装置55に送られて分離される。
【0048】排出装置55で分離された熱分解ガスG1
は、排出装置55の上部から熱分解ガスラインL2を経
て燃焼溶融炉53のバーナ56に供給される。排出装置
55から排出された熱分解残留物54は、450℃程度
の比較的高温であるため、後述する冷却装置57により
不活性雰囲気下で80℃程度に冷却される。
は、排出装置55の上部から熱分解ガスラインL2を経
て燃焼溶融炉53のバーナ56に供給される。排出装置
55から排出された熱分解残留物54は、450℃程度
の比較的高温であるため、後述する冷却装置57により
不活性雰囲気下で80℃程度に冷却される。
【0049】その後、冷却された熱分解残留物54は、
例えば磁選式、うず電流式、遠心式又は風力選別式等の
公知の単独又は組み合わされた分離装置58に供給さ
れ、ここで細粒の燃焼性成分58d(灰分を含む)と
鉄、瓦礫等の不燃焼性成分58cとに分離され、不燃焼
性成分58cはコンテナ59に回収され再利用される。
例えば磁選式、うず電流式、遠心式又は風力選別式等の
公知の単独又は組み合わされた分離装置58に供給さ
れ、ここで細粒の燃焼性成分58d(灰分を含む)と
鉄、瓦礫等の不燃焼性成分58cとに分離され、不燃焼
性成分58cはコンテナ59に回収され再利用される。
【0050】さらに、燃焼性成分58dは、主として熱
分解カーボンから成るが、粉砕機60により、例えば1
mm以下に微粉砕されて粉体カーボンとなり、燃焼性成
分ラインL3を経て燃焼溶融炉53のバーナ56に供給
され、熱分解ガスラインL2から供給された熱分解ガス
G1と送風機61により空気ラインL4から供給された燃
焼用空気61eと共に1,300℃程度の高温域で燃焼
される。
分解カーボンから成るが、粉砕機60により、例えば1
mm以下に微粉砕されて粉体カーボンとなり、燃焼性成
分ラインL3を経て燃焼溶融炉53のバーナ56に供給
され、熱分解ガスラインL2から供給された熱分解ガス
G1と送風機61により空気ラインL4から供給された燃
焼用空気61eと共に1,300℃程度の高温域で燃焼
される。
【0051】上記燃焼で発生した灰分はその燃焼熱によ
り溶融スラグ53fとなって、この燃焼溶融炉53の内
壁に付着し、さらに、内壁を流下し底部排出口62から
筒状の排出部71を通って水槽63に落下し冷却固化さ
れる。燃焼溶融炉53は、カーボン等の燃焼性成分58
dを1300℃程度の高温で燃焼させ、灰分を含む不燃
焼分を溶融させて溶融スラグ53fと高温の燃焼排ガス
G2とを生成する。燃焼排ガスG2は、秒速2〜3m、温
度1000〜1100℃のガス流となって、炉内下流側
に設けた高温空気加熱器1の伝熱管体により熱回収され
る。
り溶融スラグ53fとなって、この燃焼溶融炉53の内
壁に付着し、さらに、内壁を流下し底部排出口62から
筒状の排出部71を通って水槽63に落下し冷却固化さ
れる。燃焼溶融炉53は、カーボン等の燃焼性成分58
dを1300℃程度の高温で燃焼させ、灰分を含む不燃
焼分を溶融させて溶融スラグ53fと高温の燃焼排ガス
G2とを生成する。燃焼排ガスG2は、秒速2〜3m、温
度1000〜1100℃のガス流となって、炉内下流側
に設けた高温空気加熱器1の伝熱管体により熱回収され
る。
【0052】ここで、燃焼溶融炉は本発明に係る廃棄物
燃焼灰分の溶融部用部材で形成されている。この例では
スピネル型化合物にセラミックスファイバーを添加した
耐火材にで形成されている。そのため、熱衝撃による溶
融部用部材の破損が抑制されるので、溶融炉の寿命が長
期間にわたって維持される。また、溶融スラグはNaや
Kなどのアルカリ元素を高濃度で含んでいるが、それに
対する耐食性が高い溶融炉用部材となっている。
燃焼灰分の溶融部用部材で形成されている。この例では
スピネル型化合物にセラミックスファイバーを添加した
耐火材にで形成されている。そのため、熱衝撃による溶
融部用部材の破損が抑制されるので、溶融炉の寿命が長
期間にわたって維持される。また、溶融スラグはNaや
Kなどのアルカリ元素を高濃度で含んでいるが、それに
対する耐食性が高い溶融炉用部材となっている。
【0053】前記高温空気加熱器1の部分を通過した燃
焼排ガスG2は、煙道ガスラインL5を介して廃熱ボイラ
64で熱回収され、集塵器65で除塵され、さらに排ガ
ス浄化装置66で塩素等の有害成分が除去された後、低
温のクリーンな排ガスG3となって誘引送風機67を介
して煙突68から大気へ放出される。
焼排ガスG2は、煙道ガスラインL5を介して廃熱ボイラ
64で熱回収され、集塵器65で除塵され、さらに排ガ
ス浄化装置66で塩素等の有害成分が除去された後、低
温のクリーンな排ガスG3となって誘引送風機67を介
して煙突68から大気へ放出される。
【0054】廃熱ボイラ64で生成した蒸気は、蒸気タ
ービンを有する発電機69で発電に利用される。クリー
ンな排ガスG3の一部はファン70を介してガスライン
L6により冷却装置57に供給される。
ービンを有する発電機69で発電に利用される。クリー
ンな排ガスG3の一部はファン70を介してガスライン
L6により冷却装置57に供給される。
【0055】次に、作用を説明する。前述した6配位位
置にCrを有する式3で表されるスピネル型化合物耐火
物は、熱力学的に安定で、アルカリ元素との両立性が高
いので、燃焼溶融炉53内で生成したこの種溶融スラグ
による浸食を抑制できる。従って、燃焼溶融炉の耐久性
が向上し、もって廃棄物処理装置の運転効率を向上でき
る。
置にCrを有する式3で表されるスピネル型化合物耐火
物は、熱力学的に安定で、アルカリ元素との両立性が高
いので、燃焼溶融炉53内で生成したこの種溶融スラグ
による浸食を抑制できる。従って、燃焼溶融炉の耐久性
が向上し、もって廃棄物処理装置の運転効率を向上でき
る。
【0056】尚、実施例2では燃焼溶融炉は最初からス
ピネル型化合物耐火物で形成されているものについて説
明したが、最初はスピネル型化合物は形成されていなく
ても、耐火材としてCr2O3を含有するものを用い、予
め廃棄物にMgやFeを添加しておき、溶融スラグの生
成と同時にスピネル型化合物が生成されるようにしても
よい。
ピネル型化合物耐火物で形成されているものについて説
明したが、最初はスピネル型化合物は形成されていなく
ても、耐火材としてCr2O3を含有するものを用い、予
め廃棄物にMgやFeを添加しておき、溶融スラグの生
成と同時にスピネル型化合物が生成されるようにしても
よい。
【0057】以上説明したように、セラミックスファイ
バーを用いることによって、熱衝撃が発生した場合、部
材の破損が抑制され、部材の長寿命化に寄与できること
が判明した。また、溶融部用部材の耐食性が向上すると
ともに、スピネル型化合物における6配位位置へのCr
以外の成分の添加は、本化合物の製造しやすさを増加
し、かつ、製造コストを引き下げる効果がある。
バーを用いることによって、熱衝撃が発生した場合、部
材の破損が抑制され、部材の長寿命化に寄与できること
が判明した。また、溶融部用部材の耐食性が向上すると
ともに、スピネル型化合物における6配位位置へのCr
以外の成分の添加は、本化合物の製造しやすさを増加
し、かつ、製造コストを引き下げる効果がある。
【0058】尚、以上においては、本発明を図示の実施
形態について詳述したが、本発明はそれらの実施形態の
みに限定されるものではなく、本発明の精神を逸脱せず
して種々改変を加え、多種多様の変形をなし得ることは
云うまでもない。
形態について詳述したが、本発明はそれらの実施形態の
みに限定されるものではなく、本発明の精神を逸脱せず
して種々改変を加え、多種多様の変形をなし得ることは
云うまでもない。
【0059】
【発明の効果】上述のとおり本発明によれば、セラミッ
クスファイバーを用いることによって、熱衝撃が発生し
た場合、部材の破損が抑制され、溶融部用部材の長寿命
化に寄与できる。
クスファイバーを用いることによって、熱衝撃が発生し
た場合、部材の破損が抑制され、溶融部用部材の長寿命
化に寄与できる。
【図1】本発明に係る廃棄物処理装置の一例を示す概略
図である。
図である。
53 燃焼溶融炉 53f 溶融スラグ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 槙野 隆章 岡山県玉野市玉3丁目1番1号 三井造船 株式会社玉野事業所内 Fターム(参考) 3K061 AA23 AB02 AB03 AC01 AC03 BA09 CA01 CA07 FA10 NB08 3K078 AA09 BA02 CA02 CA07 CA21 CA24 4G031 AA03 AA12 AA16 AA21 AA29 AA30 AA37 AA38 AA39 BA23 BA25 BA26 CA07 GA18
Claims (10)
- 【請求項1】 廃棄物の燃焼によって生じる灰分が、加
熱されて溶融スラグとなる溶融炉内に用いられる溶融部
用部材であって、下記化式1で表わされるスピネル型化
合物と、セラミックスファイバーとから成ることを特徴
とする溶融部用部材。 【化1】 - 【請求項2】 廃棄物の燃焼によって生じる灰分が、加
熱されて溶融スラグとなる溶融炉内に用いられる溶融部
用部材であって、下記化式2で表されるスピネル型化合
物SPと、下記化式3で表されるコランダム型化合物C
ORと、セラミックスファイバーCFとの、3相混合物
(1−η−θ)・SP+η・COR+θCF(ただし、
0<η<1.0、0<θ<1.0)から成ることを特徴と
する溶融部用部材。 【化2】 【化3】 - 【請求項3】 請求項1または2に記載の溶融部用部材
において、前記セラミックスファイバーは、ジルコニア
製、アルミナ製、シリカ製、アルミナ・シリカ製、炭化
珪素製、または窒化珪素製のうちの、いずれかであるこ
とを特徴とする溶融部用部材。 - 【請求項4】 請求項1、2または3に記載の溶融部用
部材において、前記溶融炉に使用される前の状態は、金
属Crが5重量%以上40重量%以下混在している皮膜
を、金属製部材の表面にコーティングしたものであるこ
とを特徴とする溶融部用部材。 - 【請求項5】 請求項1、2、3または4に記載の溶融
部用部材において、前記廃棄物に予め2価の金属Mまた
はM含有化合物(ただしMはMgまたは2価のFeのい
ずれか一方或いは両方が任意比率で混合されたもの)を
添加し、該添加物を前記溶融炉の内面を構成するCr2
O3を含有する耐火物と反応させて、下記化式4で表され
るスピネル型化合物を生成させたものであることを特徴
とする溶融部用部材。 【化4】 - 【請求項6】 請求項1ないし5のうちいずれかに記載
の溶融部用部材を、溶融部の内壁に備えたことを特徴と
する溶融炉。 - 【請求項7】 廃棄物を熱分解して熱分解ガスおよび熱
分解残留物を生成する熱分解反応器と、前記熱分解残留
物を不活性雰囲気下で冷却する冷却装置と、冷却された
熱分解残留物を燃焼性成分および不燃焼性成分に分離す
る分離装置と、前記熱分解ガスおよび燃焼性成分を灰分
を溶融させる温度で燃焼させて不燃焼分を溶融スラグと
して排出部から排出する燃焼溶融炉と、燃焼溶融炉で生
じた高温ガスの熱を空気と熱交換させて回収する熱交換
器とを備えた廃棄物処理装置において、前記燃焼溶融炉
の炉内面を構成する部材は、請求項1ないし5のうちい
ずれかに記載の溶融部用部材であることを特徴とする廃
棄物処理装置。 - 【請求項8】 請求項1ないし5のうちいずれかに記載
された溶融部用部材を製造する方法において、前記溶融
部用部材は、前記スピネル型化合物を、構成元素にM
g、Fe、Cr、Alを含む単独原料または複合原料か
ら、固相反応により合成し、それを粉末化し、該粉末を
成形・焼成して製造することを特徴とする溶融部用部材
の製造方法。 - 【請求項9】 廃棄物の燃焼によって生じる灰分を、溶
融炉で加熱して溶融スラグにする際に、前記廃棄物に予
め2価の金属MまたはM含有化合物(ただしMはMgま
たは2価のFeのいずれか一方或いは両方が任意比率で
混合されたもの)を添加し、該添加物を前記溶融炉の内
面を構成するCr2O3を含有する耐火物と反応させて、
下記化式5で表されるスピネル型化合物を生成させるこ
とを特徴とする廃棄物燃焼灰分の溶融部用部材の改質方
法。 【化5】 - 【請求項10】 請求項1ないし5のうちいずれかに記
載の溶融部用部材を、前記溶融炉内に設置する温度計測
用熱電対を保護するための保護部材として使用すること
を特徴とする溶融部用部材の使用方法。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11033785A JP2000233968A (ja) | 1999-02-12 | 1999-02-12 | セラミックスファイバーを含有する溶融部用部材 |
KR1019990041097A KR100338494B1 (ko) | 1999-02-12 | 1999-09-22 | 폐기물 연소회분을 사용하는 용융부용 부재 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11033785A JP2000233968A (ja) | 1999-02-12 | 1999-02-12 | セラミックスファイバーを含有する溶融部用部材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000233968A true JP2000233968A (ja) | 2000-08-29 |
Family
ID=12396136
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11033785A Withdrawn JP2000233968A (ja) | 1999-02-12 | 1999-02-12 | セラミックスファイバーを含有する溶融部用部材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000233968A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002265283A (ja) * | 2001-03-07 | 2002-09-18 | Mitsui Eng & Shipbuild Co Ltd | 灰分溶融用材料 |
JP2005231985A (ja) * | 2004-02-17 | 2005-09-02 | Yotai Refractories Co Ltd | 炭化珪素質煉瓦 |
KR101242575B1 (ko) * | 2010-10-26 | 2013-03-19 | 인하대학교 산학협력단 | 슬래그 배출구 냉각장치를 구비한 용융로 |
-
1999
- 1999-02-12 JP JP11033785A patent/JP2000233968A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002265283A (ja) * | 2001-03-07 | 2002-09-18 | Mitsui Eng & Shipbuild Co Ltd | 灰分溶融用材料 |
JP2005231985A (ja) * | 2004-02-17 | 2005-09-02 | Yotai Refractories Co Ltd | 炭化珪素質煉瓦 |
KR101242575B1 (ko) * | 2010-10-26 | 2013-03-19 | 인하대학교 산학협력단 | 슬래그 배출구 냉각장치를 구비한 용융로 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
TWI393696B (zh) | 耐火物 | |
JP2000233968A (ja) | セラミックスファイバーを含有する溶融部用部材 | |
CN106927837A (zh) | 一种水泥回转窑烧成带用方镁石‑复合尖晶石砖及其制备方法 | |
JP2774982B2 (ja) | 焼却炉等に用いる水管保護材及び水管保護壁 | |
JP2000346347A (ja) | 廃棄物燃焼灰分の溶融部用部材 | |
JP2005077068A (ja) | 溶融スラグ用耐火材、溶融炉用部材及び溶融スラグ用耐火材の改質方法並びに廃棄物処理装置 | |
KR100338494B1 (ko) | 폐기물 연소회분을 사용하는 용융부용 부재 | |
JP2002265283A (ja) | 灰分溶融用材料 | |
JP2001132933A (ja) | 溶融炉用排出口部材 | |
JPH1183000A (ja) | 廃棄物燃焼灰分の溶融部用部材 | |
JP2003227603A (ja) | 直接溶融炉 | |
JP2706333B2 (ja) | 物質の高温処理装置 | |
JP3496690B2 (ja) | 溶融炉とそのジルコニア耐火物 | |
JP4575761B2 (ja) | 炉内壁用耐火材および廃棄物燃焼溶融炉 | |
JP2002267120A (ja) | 廃棄物燃焼灰分の溶融部材料の表面補修方法 | |
JP2001065839A (ja) | 廃棄物燃焼灰分の溶融部材料の表面処理方法 | |
JP4838184B2 (ja) | 炉内壁用耐火物及びその製造方法並びに廃棄物処理装置 | |
JP3634963B2 (ja) | 耐熱耐食性保護管 | |
JP2007131495A (ja) | 耐火材及び廃棄物燃焼溶融炉 | |
JP2001280635A (ja) | 廃棄物燃焼灰分の溶融部材料の表面処理方法 | |
JP2001048650A (ja) | 熱交換器用伝熱管 | |
JP2007131498A (ja) | 耐火材用マトリックス材、耐火材及び廃棄物燃焼溶融炉 | |
JP2003120914A (ja) | 燃焼溶融炉およびその内面耐食補強方法 | |
JP2003287395A (ja) | 熱交換器用セラミックス管およびその製造方法 | |
JPH11351534A (ja) | 廃棄物溶融炉及びその耐火材 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20060509 |