JP4603186B2 - 火災報知器用点検治具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感熱式火災報知器の動作確認点検に使用する火災報知器用点検治具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の火災報知器の動作点検には、例えばドライヤーが使用されてきた。具体的には、点検者の経験に基づいて決定される距離から火炎報知器の感熱部に熱風を吹き付け、火災報知器の動作を確認するというものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のこのような点検方法においては、火災報知器の感熱部の加熱条件、すなわち、距離、時間および取付け角度などの因子が作業者に依存して異なることにより、正確な点検作業を行うことが困難であった。また、点検者はドライヤーおよびドライヤー作動用の延長コード等を常に携行しなければならず、点検作業が非常に煩雑であった。
【0004】
従って、本発明の目的は、上記欠点を鑑みて、点検者の勘と経験に頼ることなく火災報知器の点検作業を正確、かつ、容易に行うことができる火災報知器用点検治具を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するための本発明の火災報知器用点検治具の第一の特徴構成は、請求項1に記載した通り、感熱式火災報知器の動作確認点検に使用する火災報知器用点検治具であって、前記火災報知器のセンサーガード部に前記火災報知器用点検治具を固定する位置決め部1と、熱源7を取付ける熱源取付部3と、前記位置決め部1と前記熱源取付部3との間に、所定の長さで形成された供給熱案内部2とを備えることにある。
上記特徴構成のごとく、位置決め部1を備えることによって、前記火炎報知器のセンサーガード部に対して本発明の火災報知器用点検治具を確実に固定することができる。また、熱源取付部3を備えることによって、市販の小型で操作が簡便な熱源7を取付けることが可能となり、従って操作性および携行性が容易となる。さらに、前記位置決め部1と前記熱源取付部3との間に所定の長さの供給熱案内部2を備えることによって、上述のセンサーガード部と熱源7とを一定距離で離間させることができる。この結果、上述の感熱部を常に同様の条件で加熱することが出来る。
【0006】
本発明の火災報知器用点検治具の第二の特徴構成は、請求項2に記載した通り、前記供給熱案内部2が溝型形状であることにある。
本構成であれば、溝の一方側が空いていることにより熱風の集中を防止し、従って熱風を適度に拡散させることができるので、上記特徴構成により、前記熱源7から供給される供給熱による過剰な温度上昇を防ぐことを可能にすることができる。また、熱風は溝により前記火災報知器とは反対側に拡散され、直に前記火災報知器に接触することが抑制されるから、上述のセンサーガード部の熱による変形、損傷を避けることが可能である。
【0007】
本発明の火災報知器用点検治具の第三の特徴構成は、請求項3に記載した通り、前記供給熱案内部2が筒型形状であることにある。
上記特徴構成の場合においては、熱源7からの熱風が拡散されるのを防止することができるため、前記熱源7から供給される熱の分散を防止することができる。
【0008】
本発明の火災報知器用点検治具の第四の特徴構成は、請求項4に記載した通り、前記供給熱案内部2の温度上昇と比較して温度上昇の程度が小さい熱ガード部4を備えることにある。
前記火災報知器用点検器具本体に熱ガード部4を備えることによって、例えば、点検作業終了後に当該点検治具から熱源7を取り外すような場合において、高温状態となっている当該治具本体に直接触れることがなくなり、火傷の発生等を防止して点検作業の安全性を高めることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0010】
本発明の火災報知器用点検治具G(以下、「点検治具」と称する)は、熱源7から熱を供給することにより感熱式火災報知器の動作確認を行う際に使用する火災報知器用点検治具Gであって、前記火災報知器のセンサーガード部8に前記火災報知器用点検治具Gを固定する位置決め部1と、前記熱源7を取付ける熱源取付部3と、前記位置決め部1と前記熱源取付部3との間に所定の長さで形成された供給熱案内部2とを備えた点検治具Gである。
【0011】
図1には当該点検治具Gの外観を示し、図2には別方向から見た火災報知器用点検治具Gの外観を示す。図3には熱源7を取り外した状態の火災報知器用点検治具Gの側面図を示し、図4には熱ガード部4の断面図を示す。図5には当該点検治具Gの使用の態様を示す。感熱式火災報知器(以下、「報知器」と称する)のセンサーガード部8に前記点検治具Gを固定する位置決め部1と、前記センサーガード部8と熱源7とを隔てる供給熱案内部2を備えるとともに、前記熱源7を取付ける熱源取付部3とを有する。また、当該点検治具Gは使用時において高温状態となる前記点検治具G本体に触れることなく作業を可能にする熱ガード部4を備えて構成される。本発明の点検治具Gは、好ましくは熱伝導性の低い材質であるステンレス鋼から加工、成形されるが、材質についてはこれに限定されない。
【0012】
図1、図2に示される態様においては、位置決め部1は感熱式火災報知器のセンサーガード部8に沿うような形状で加工、成形される。図3に示すように、前記位置決め部1の先端部を感熱式火災報知器のセンサーガード部8に設けられた開口部に挿入して前記点検治具Gを前記火災報知器に固定する。
【0013】
熱源取付部3は、図2の(イ)図および(ロ)図を見て明らかであるように、本発明の火災報知器用点検治具Gの下端部に備えられ、熱源蓋部上方固定部材9および熱源蓋部側面固定部材10から構成される。前記熱源取付部3の形状は、前記熱源7の蓋部11に適合するように加工、形成され、前記熱源7を着脱自在に取付けることを可能にし、かつ前記熱源蓋部11の左右側面および上方部を前記火災点検治具Gに密着、固定させることができる。前記熱源7としては任意のものが利用可能である。前記熱源7は市販の比較的入手が容易である手段であることが好ましく、例えば、ライター、オイルライターおよびガスバーナーなどが挙げられるがこれらに限定されない。図1および図2においては前記熱源7としてライターを使用する態様を図示している。
【0014】
供給熱案内部2は、前記熱源7と前記報知器とを一定間距離で隔離させ、溝型形状で加工、成形される。この形状は図1および図3を鑑みて明らかであるように、前記熱源7により前記感熱式火災報知器の前記センサーガード部8に対して供給される熱が外気と混合されるような形状をなしており、前記センサーガード部8に対して供給される熱風を適度に分散させることができる。前記供給熱案内部2の全長は、およそ7〜9cmである。そして、前記感熱式火災報知器のセンサーの作動温度が65℃である。前記熱源7の発生熱量にも依存するが、前記熱源7としてライターを使用した場合には前記熱源7の着火から前記感熱式火災報知器の動作までの時間が3秒で済む。従って本発明の点検治具Gを使用することにより作業の効率化が促進される。この形状はまた、加工、形成が容易であるという利点を伴う。
【0015】
熱ガード部4は、図4に示したように、前記供給熱案内部2の下方部を包囲するような形状に加工、形成されてボルトで取付けられる。前記熱ガード部4もまた、例えば、ステンレス鋼から加工、形成されるが、材質についてはこれに限定されない。
【0016】
図6には、本発明の火災報知器用点検治具Gの更なる別実施態様を図示する。本発明の火災報知器用点検治具Gの点検対象である感熱式火災報知器には、温度変化検知手段であるサーモセンサーを備えると同時にCOガス検知手段であるCOガス検知センサーを備えている。従って、当該警報器の点検作業時には、COガス検知センサーの動作確認作業もまた同時に実施することが多い。従って、本発明の点検治具Gには前記熱源7の作動時において生成されるCOガスを採取する手段であるCOガス採取管6を備えておくことができる。具体的には、図3および図4に示したように、前記供給熱案内部2と前記熱ガード部4に孔部5を貫通形成させる。前記孔部5は、前記熱源7により供されるガス炎においてCOガスを最も多く含む位置に貫通形成する。図6に示すごとく、この前記孔部5に前記COガス採取管6を挿入してCOガスを採取する。
【0017】
[別実施の形態]
本発明の火災報知器用点検治具Gの別実施形態を図7に示す。この態様においては、前記供給熱案内部2が円筒形状で加工、成形される。さらに、前記位置決め部1もまた前記火災報知器の前記センサーガード部8に沿うような形状で加工、成形される。具体的には、前記位置決め部1は、その部分における円柱の片側半分を刳り貫かれたような形状で加工、成形される。上述したように、前記円筒形状の供給熱案内部2であれば前記熱源7から供給される熱風を分散させることなく前記火災報知器の前記センサーガード部8へ導入することができる。従って、外気が供給される熱に対して極めて低温である寒冷地などの条件下での使用に好適である。また、円筒形状の供給熱案内部2を用いれば、熱風を前記センサーガード部8に対して損失することなく供給することが可能である。よって、本発明の火災報知器用点検治具Gの姿勢を作業時において任意にとることが可能であり、従って作業性を向上させることが可能である。
【0018】
また、本実施形態の場合、前記センサーガード部8に対する熱供給が過大になる場合がある。過大な熱供給を防止するために、以下の構成にすることもできる。
【0019】
本実施形態の前記位置決め部1と前記供給熱案内部2とを別構成とすることが可能である。この場合、前記供給熱案内部2の端部に前記位置決め部1を挿入する形態とする。上記の構成においては、前記位置決め部1と前記供給熱案内部2との接合領域における断面積が小さくなり、その接合領域における流路抵抗が増大する。その結果、前記供給熱案内部2の内部に本来は導入されるべき熱風の一部が前記供給熱案内部2の管外へ放出される。従って、前記センサーガード部8に対して適切な量の熱風を供給することが可能となり、センサーガード部の熱による変形、損傷をより確実に防止することができる。
【0020】
尚、別実施形態の他にも、前記供給熱案内部2全体を適度に細くしても構わない。あるいは、前記位置決め部1と前記供給熱案内部2とを一体に連続形成し、先端部をテーパー形状の如く絞ることも可能である。何れの構成であっても、前記供給熱案内部2内部を通過する熱風の量を低減することが可能となり、従って、上記の実施態様に備わる効果を実現することが可能である。
【0021】
また、上述の如く前記供給熱案内部2の形状の改変を行わなくても、前記熱源7と前記供給熱案内部2との配置具合を調整出来る構成にすれば、前記供給熱案内部2の内部に供給する熱風の量を調節することが可能である。従って、上記と同様に前記センサーガード部8の熱風による損傷を防ぐことが可能であり、同時に前記供給熱案内部2の構造を簡略化することが可能である。
【0022】
その他にも、前記供給熱案内部2の形状に適合されるように前記熱ガード部4は円筒形状に加工、成形される。
【図面の簡単な説明】
【図1】火災報知器用点検治具の第1実施形態を示す斜視図
【図2】熱源の着脱態様を示す斜視図
【図3】第1実施形態に係る第1実施形態の側面図
【図4】第1実施形態における熱ガード部の断面図
【図5】火災報知器用点検治具の使用態様を示す説明図
【図6】火災報知器用点検治具の使用態様を示す説明図
【図7】火災報知器用点検治具の第2実施形態を示す斜視図
【符号の説明】
1 位置決め部
2 供給熱案内部
3 熱源取付部
4 熱ガード部
5 孔部
6 COガス採取管
7 熱源
8 センサーガード部
9 熱源蓋部上方固定部材
10熱源蓋部側面固定部材
11蓋部

Claims (4)

  1. 熱源から熱を供給することにより感熱式火災報知器の動作確認を行う際に使用する火災報知器用点検治具であって、前記火災報知器のセンサーガード部に前記火災報知器用点検治具を固定する位置決め部と、前記熱源を取付ける熱源取付部と、前記位置決め部と前記熱源取付部との間に所定の長さで形成された供給熱案内部とを備えた、火災報知器用点検治具。
  2. 前記供給熱案内部が溝型形状である請求項1に記載の火災報知器用点検治具。
  3. 前記供給熱案内部が筒型形状である請求項1に記載の火災報知器用点検治具。
  4. 前記供給熱案内部の温度上昇と比較して温度上昇の程度が小さい熱ガード部を備えた請求項1〜3のいずれか1項に記載の火災報知器用点検治具。
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