以下、本発明の実施の形態について、図1乃至図12を参照しつつ説明する。
[参考例1]
まず、参考例1における配線回路基板の製造工程について図1および図2を参照しつつ説明する。図1および図2は、参考例1における配線回路基板の製造方法を工程順に示す基板の断面図である。この参考例1においては、エッチング法を採用して配線回路基板を製造する。
まず、図1(a)に示すように、剥離性シート100が設けられた多層金属板101を用意する。この多層金属板101は、例えば厚さ12μmの銅箔からなる配線膜形成用金属層102上に積層された、例えば厚さ1μmのNiからなるエッチングストッパー層103と、さらにその上に積層された、例えば厚さ80μmの銅箔からなるバンプ形成用金属層104とからなる。剥離性シート100としては、粘着テープ等の基材として用いられている各種の薄層品が用いられ、例えば紙、金属箔や、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ウレタン、ポリ塩化ビニリデン又はポリ塩化ビニル等の合成樹脂フィルムが用いられる。また、これらの積層品であってもよい。そして、紫外線照射や加熱によりその粘着性が無くなり、剥離しやすいものを使用する。
次に、図1(b)に示すように、バンプ形成用金属層104上にレジスト105を塗布する。そして、図1(c)に示すように、レジスト105に対して露光、現像を行うことにより所定のパターンを有するレジスト106を形成する。このとき、円形パターンが形成された露光マスクを使用して露光が行われる。従って、現像後のレジスト106のパターンは円形パターンをなしている。
そして、図1(d)に示すように、レジスト106をマスクとしてバンプ形成用金属層104を選択的にエッチングしてパターニングすることにより、層間膜導通手段のバンプ107を形成する。このエッチングはウエットエッチングにより行い、使用するエッチング液はNiからなるエッチングストッパー層103をエッチングし得ないが、バンプ形成用金属層104をエッチングできるエッチング液を使用する。ここで、パターニングには、前述したように円形パターンが形成された露光マスクが使用されるため、エッチングによって形成されるバンプ107の縦断面形状は略台形をなしている。また、この選択的エッチングにおいて、エッチングストッパー層103はバンプ形成用金属層104のエッチング時に配線膜形成用金属膜102がエッチングされるのを防止する。そして、エッチングマスクとして使用したレジスト106を剥離する。尚、図1(d)はレジスト106を剥離した後の状態を示すものである。
そして、図1(e)に示すように、バンプ107をマスクとして、エッチングストッパー層103をエッチングすることによりエッチングストッパー層108を形成する。このエッチングには、バンプ107を構成する金属(本参考例においては銅である。)をエッチングしないが、エッチングストッパー層103を構成する金属(本参考例においてはNiである。)をエッチングするエッチング液(Ni剥離液)を使用する。このエッチング工程により、エッチングストッパー層108は、バンプ107と配線膜形成用金属層102との間にのみ存在することになる。
次に、図1(f)に示すように、バンプ107が形成されている面に対してポジ型のレジスト109を塗布する。ポジ型レジストとしては電着レジストや液レジストを用いる。そして、図1(g)に示すように、レジスト109に対して露光、現像を行うことにより所定のパターンを有する、例えばレジスト110aとレジスト110bを形成する。例えば図1(g)に示すように、レジスト110aは配線膜形成用金属層102の上に形成され、レジスト110bはバンプ107を覆うようにして形成される。そして、図1(h)に示すように、ウエットエッチングにより配線膜形成用金属層102を選択的にエッチングしてパターニングすることにより、配線膜111を形成する。この配線膜111は、例えば配線膜111aと配線膜111bで構成されている。例えば図1(h)に示すように、レジスト110aで保護されることにより形成された配線膜111aはバンプと接することなく剥離性シート100上に形成されることとなるが、レジスト110bで保護されることにより形成された配線膜111bは、バンプ107と剥離性シート100との間に形成されることになる。
そして、図1(i)に示すように、バンプ107が形成されている面に絶縁膜113を、離型クッションシートを介して熱プレス、熱ローラ又は超音波ローラ等で圧着することにより積層して配線回路基板114を作製する。このとき、絶縁膜113の表面からバンプ107の頂部のみが露出するように、バンプ107の高さよりも適宜薄いものを用いる。この絶縁膜113には例えば、樹脂やセラミック材料が使用される。セラミック材料を使用する場合には、予め絶縁膜113を構成するセラミック材料を粉砕し、そのセラミック材料と樹脂とを混合し、複数枚のグリーンシートを作製しておく。そして、その複数枚のグリーンシートを重ねて熱圧着により積層化を行う。
以上の方法を採用することにより、ウエットエッチングにより配線膜を形成する過程で、絶縁材がエッチング液に晒されてしまうこともなく、バンプと配線膜を形成することが可能となる。さらに、図1(f)から図1(h)に示されている工程を採用することにより、バンプと配線膜を同一基板上(本参考例においては剥離性シート上)に形成することが可能となる。そのことにより、他の配線回路基板と圧着した後に剥離性シートを除去しても配線膜のパターンを平坦に維持することができる。さらに、複数の配線回路基板と組み合わせて多層配線基板を製造する際の設計の自由度が増すという効果も奏する。
次に、この配線回路基板114を利用した他の配線回路基板の製造工程について図2を参照しつつ説明する。
まず、図2(a)に示すように、前述の図1(a)から図1(i)に示された工程により作製された配線回路基板114と、配線膜付剥離性シート115とを用意する。この配線膜付剥離性シート115は、剥離性シート116上に配線膜117が形成されており、この配線膜117は例えば、配線膜117a及び117bによって構成されている。
そして、図2(b)に示すように、配線回路基板114と配線膜付剥離性シート115とを、圧着する。このとき、配線回路基板114に形成されたバンプ107と、配線膜付剥離性シート115に形成された配線膜117が向き合うように、配線回路基板114と配線膜付剥離性シート115を配置する。さらに、例えば、配線回路基板114に形成された各バンプ107が配線膜付剥離性シート115に形成された配線膜117a及び117bと接触するように、配線回路基板114と配線膜付剥離性シート115を配置する。そして、バンプ107と配線膜117a及び117bとが接触するため、配線膜111bと配線膜117とが電気的につながることになる。従って、バンプ107が上下配線膜間を導通する層間膜導通手段として機能することとなる。そして、圧着した後に、200℃〜350℃の温度で仮ベーキングを行い、バンプ107と配線膜117aとを接合する。
そして、図2(c)に示すように、剥離性シート100及び116を除去することにより、配線回路基板118を形成する。尚、剥離性シート116の接着層に紫外線効果型又は熱硬化型樹脂を用いると、紫外線又は熱を加えることにより剥離が容易になる。
以上の方法を採用することにより、層間絶縁膜がエッチング液に晒されてしまうこともなく、上下の配線膜が層間膜導通手段のバンプによって接続された配線回路基板を製造することができる。また、剥離性シートの同一面上にバンプと配線膜を形成することにより、他の配線回路基板と圧着した後に剥離性シートを除去しても配線膜のパターンを平坦に維持することが可能となる。
[参考例2]
次に、参考例2における配線回路基板の製造工程について図3および図4を参照しつつ説明する。図3および図4は、参考例2における配線回路基板の製造方法を工程順に示す基板の断面図である。この参考例2においては、めっき法を採用して配線回路基板を製造する。
まず、図3(a)に示すように、例えば厚さ80μmの銅箔からなるバンプ形成用金属層300を用意する。そして、図3(b)に示すように、バンプ形成用金属層300の上下両面にレジストを塗布又はラミネート(圧着)する。そして、片面のレジストのみを露光、現像することにより配線膜を形成するためのパターンを有するレジスト302を形成する。例えば図3(b)に示すように、レジスト301は全面露光され、現像されずにバンプ形成用金属層300の全面に形成されているが、レジスト302は露光、現像されて、配線膜を形成するためのパターンをなしている。
次に、図3(c)に示すように、レジスト302によって形成されたパターンに、めっき法によって例えば厚さ1μmのNiからなるエッチングストッパー層303をバンプ形成用金属層300に接着するように形成する。さらに、そのエッチングストッパー層303の上にめっき法により、例えば厚さ12μmの銅箔からなる配線膜304を形成する。
そして、図3(d)に示すように、レジスト301及び302を除去する。その結果、バンプ形成用金属層300の片面には、所定のパターンをなしているエッチングストッパー層303及び配線膜304が形成される。また、レジスト301が形成されることにより、バンプ形成用金属層300の片面(レジスト301が塗布された面)には、エッチングストッパー層303としてのNiや、配線膜304としての銅がめっき法によって形成されることはない。
次に、図3(e)に示すように、エッチングストッパー層303および配線膜304が形成されているバンプ形成用金属層300の面に、剥離性シート305を接着する。
次に、図3(f)のように、バンプ形成用金属層300上にレジストを塗布又はラミネート(圧着)し、露光、現像することにより所定のパターンを有するレジスト306を形成する。このとき、前述した参考例1において使用された露光マスクと同様に、円形パターンが形成された露光マスクを使用して露光が行われる。従って、現像後のレジスト306のパターンは円形パターンをなしている。
そして、図3(g)に示すように、レジスト306をマスクとしてバンプ形成用金属層300を選択的にエッチングしてパターニングすることにより、上下配線間接続用のバンプ307を形成する。そして、エッチングマスクとして使用したレジスト306を剥離する。尚、図3(g)はレジスト306を剥離した後の状態を示すものである。
そして、図3(h)に示すように、バンプ307が形成されている面に絶縁膜308を、離型クッションシートを介して熱プレス、熱ローラ又は超音波ローラ等で圧着することにより積層して配線回路基板309を作製する。このとき、絶縁膜308の表面からバンプ307の頂部のみが露出するように、バンプ307の高さよりも適宜薄いものを用いる。この絶縁膜308には前述した参考例1と同様に、エポキシやポリイミド等の樹脂やセラミック材料が使用される。
以上の方法を採用することにより、配線膜を形成する過程で、従来技術のように絶縁膜がエッチング液に晒されてしまうこともなく、バンプと配線膜を形成することが可能となる。また、バンプと配線膜を同一基板上(本参考例においては剥離シート上)に形成することが可能となる。そのことにより、他の配線回路基板と圧着した後に剥離性シートを除去しても配線膜のパターンを平坦に維持することができる。さらに、複数の配線回路基板と組み合わせて多層配線基板を製造する際の設計の自由度が増すという効果も奏する。また、めっき法を採用したことにより、参考例1のエッチング法を用いて形成するパターンよりも、更に微細なパターンを形成することが可能となる。
次に、この配線回路基板309を利用した他の配線回路基板の製造工程について図4を参照しつつ説明する。
まず、図4(a)に示すように、前述した図3(a)から図3(h)に示された工程により作製された配線回路基板309と、配線膜付剥離性シート310とを用意する。この配線膜付剥離性シート310は、剥離性シート311上に配線膜312が形成されており、その配線膜312は例えば、配線膜312a及び312bによって構成されている。
そして、図4(b)に示すように、配線回路基板309と配線膜付剥離性シート310とを、圧着する。このとき、配線回路基板309に形成されたバンプ307と、配線膜付剥離性シート310に形成された配線膜312が向き合うように、配線回路基板309と配線膜付剥離性シート310を配置する。さらに、例えば、配線回路基板309に形成された各バンプ307が配線膜付剥離性シート310に形成された配線膜312a及び312bと接触するように、バンプ付剥離性シート309と配線膜付剥離性シート310を配置する。そのように配置することにより、バンプ307と配線膜312a及び312bとが接触するため、配線膜304と配線膜312とが電気的につながることになる。従って、バンプ307が上下配線膜間を導通する層間膜導通手段として機能することとなる。そして、圧着した後に、200℃〜350℃の温度で仮ベーキングすることにより、バンプ307と配線膜312aとを接合する。
そして、図4(c)に示すように、剥離性シート305及び311を除去することにより、配線回路基板313を形成する。尚、剥離性シート116の接着層に紫外線効果型又は熱硬化型樹脂を用いると、紫外線又は熱を加えることにより剥離が容易になる。
以上の方法を採用することにより、層間絶縁膜がエッチング液に晒されてしまうこともなく、上下の配線膜が層間膜導通手段のバンプによって接続された配線回路基板を製造することができる。また、剥離性シートの同一面上にバンプと配線膜を形成することにより、他の配線回路基板と圧着した後に剥離性シートを除去しても配線膜のパターンを平坦に維持することが可能となる。さらに、めっき法を採用したことにより、参考例1のエッチング法を用いて形成するパターンよりも、更に微細なパターンを形成することが可能となる。
[参考例3]
次に、参考例3として、参考例1において作製された配線回路基板を用いた多層配線基板の製造方法について図5を参照しつつ説明する。図5は、参考例3における多層配線基板の製造方法を工程順に示す基板の断面図である。
まず図5(a)に示すように、コア基板500を用意する。このコア基板500は、樹脂又はセラミック材料からなる絶縁基板501と、銅等の金属からなる配線膜502と、上下導体間接続用スルーホール503とからなる。また、配線膜502は、例えば配線膜502a、502b、502cから構成されている。例えば、絶縁基板501の片面には配線膜502aが形成されており、もう一方の面には配線膜502b及び502cが形成されている。そして、上下導体間接続用スルーホール503によって絶縁基板501の上下の面に設けられている配線膜502aと配線膜502bとが接続される。上下導体間接続用スルーホール503は、例えばドリルで絶縁基板501に孔を形成した後、その孔の内壁に例えば銅などの金属層504をめっき法で形成した後、エポキシ樹脂等で孔埋めすることにより作製される。
そして、コア基板500の上下両面に配線回路基板510および配線回路基板520を配置する。配線回路基板520は、前述した参考例1における配線回路基板114に相当し、図1(a)から図1(i)を参照して説明した方法により作製される。また、配線回路基板510は露光マスクのパターンを変えるのみで、配線回路基板520と同様の工程により作製される。従って、配線回路基板510および配線回路基板520は、配線回路基板114と同様の構成をなしている。
配線回路基板510は、剥離性シート511上に配線膜512が形成されており、その配線膜512は、配線膜512a、512b、512cによって構成されている。さらに、配線膜512a上に形成されたエッチングストッパー層513を介してバンプ514が形成されている。そして、バンプ514の頂部が露出するように絶縁膜515が形成されている。
また、配線回路基板520は、剥離性シート521上に配線膜522が形成されており、その配線膜522は、配線膜522aと配線膜522bによって構成されている。さらに、配線膜522b上に形成されたエッチングストッパー層523を介してバンプ524が形成されている。そして、バンプ524の頂部が露出するように絶縁膜525が形成されている。
そして、図5(b)に示すように、例えば、配線回路基板510のバンプ514がコア基板500の片面に形成された配線膜502cと接するように配線回路基板510とコア基板500とを圧着する。また、配線回路基板520のバンプ524がコア基板500のもう一方の面に形成された配線膜502aと接するように配線回路基板520とコア基板500とを圧着する。
その後、200℃〜350℃の温度で仮ベーキングを行い、図5(c)に示すように、剥離性シート511及び512を除去し、多層配線基板530を作製する。
さらに、図5(d)に示すように、多層配線基板530の上下両面に配線回路基板540及び550を配置する。この配線回路基板540及び550は、露光マスクのパターンを変えるのみで、前述した参考例1における配線回路基板114と同様の工程によって作製される。従って、配線回路基板114と同様の構成をなしている。
配線回路基板540は、剥離性シート541上に配線膜542が形成されており、この配線膜542は配線膜542a、542b、542cによって構成されている。さらに、配線膜542a上に形成されたエッチングストッパー層543aを介してバンプ544aが形成されている。さらに、配線膜542b上に形成されたエッチングストッパー層543bを介してバンプ544bが形成されている。そして、バンプ544a及び544bの頂部が露出するように絶縁膜545が形成されている。
また、配線回路基板550は、剥離性シート551上に配線膜552が形成されており、この配線膜552は配線膜552aと552bによって構成されている。さらに、配線膜552a上にエッチングストッパー層553aと553bが形成されている。そして、エッチングストッパー層553aを介してバンプ554aが形成されており、エッチングストッパー層553bを介してバンプ554bが形成されている。そして、バンプ544a及び544bの頂部が露出するように絶縁膜555が形成されている。
そして、図5(e)に示すように、例えば、配線回路基板540のバンプ544aが多層配線基板530の片面に形成された配線膜512bと接し、さらに、配線回路基板540のバンプ544bが多層配線基板530の片面に形成された配線膜512aと接するように配線回路基板540と多層配線基板530とを圧着する。また、配線回路基板550のバンプ554aが多層配線基板530の片面に形成された配線膜522aと接し、さらに、配線回路基板550のバンプ554bが多層配線基板530の片面に形成された配線膜522bと接するように配線回路基板550と多層配線基板530とを圧着する。そして、絶縁膜としてセラミック材料を使用した場合は、約800℃の温度でベーキングを行い、絶縁膜を焼成する。そして、図5(e)に示すように、剥離性シート541及び551を除去し、多層配線回路基板を作製する。
以上の方法を採用することにより、層間絶縁膜がエッチング液に晒されてしまうこともなく、上下の配線膜が層間膜導通手段のバンプによって接続された多層配線基板を製造することができる。また、剥離性シートの同一面上にバンプと配線膜を形成した配線回路基板を使用しているため、それらを圧着して多層配線基板を作製した後に剥離性シートを除去しても配線膜のパターンを平坦に維持することができる。
尚、この参考例3において使用される配線回路基板510、520、540、550は、参考例1の製造方法によって作製されたものであるが、本発明はこれに限られない。それらに代わって、参考例2の製造方法によって作製された配線回路基板309を使用して多層配線基板を作製することもできる。参考例2の配線回路基板を使用した場合には、更に微細なパターンを形成することが可能となる。
また、この参考例3においては、上下導体間接続用スルーホール503が形成されたコア基板500を用いて多層配線回路基板を作製したが、コア基板500の代わりに、配線回路基板を使用することもできる。例えば参考例1及び参考例2において作製された配線回路基板118又は313を使用して多層配線回路基板を作製することも可能である。そのような場合には、配線回路基板118又は313の上下両面に配線回路基板510及び520を配置、圧着して多層配線基板を形成し、さらに、その多層配線基板の上下両面に配線回路基板540及び550を配置、圧着して多層配線基板を形成する。このように、コア基板に代えて配線回路基板を使用することにより、改めてスルーホールを形成する工程やスルーホール内を銅などの金属でめっきする工程が必要でなくなるため、上記の効果に加えて更に工程数を削減することが可能となる。
[参考例4]
次に、参考例4として、参考例1および参考例2において作製された配線回路基板を利用した多層配線基板の製造方法について図6を参照しつつ説明する。この図6は、参考例4における多層配線基板の製造方法を工程順に示す基板の断面図である。
まず図6(a)に示すように、配線回路基板600を用意する。この配線回路基板600は、前述した第1の実施形態における配線回路基板118に相当する。この配線回路基板600は、配線膜602が形成されており、例えば、絶縁膜601の一方の面には配線膜602a、602b及び602cがそれらの表面が絶縁膜601から露出するように絶縁膜601の内部に形成されている。また、絶縁間601の他方の面には配線膜602dがその表面が絶縁膜601から露出するように絶縁膜601の内部に形成されている。そして、配線膜602d上にはエッチングストッパー層603aと603bが形成されており、さらに、それらを介してエッチングストッパー層603a上にはバンプ604aが形成され、エッチングストッパー層603b上にはバンプ604bが形成されている。エッチングストッパー層603a、603bとバンプ604a、604bは絶縁膜601の内部に形成されており、バンプ604aの頂部は配線膜602bと接触し、バンプ604bは配線膜602cと接触している。
そして、配線回路基板600の上下両面に別の配線回路基板610及び620を配置する。配線回路基板620は、前述した参考例2における配線回路基板309に相当し、図3(a)から図3(h)を参照して説明した方法により作製される。また、配線回路基板610は露光マスクのパターンを変えるのみで、配線回路基板309と同様の工程により作製される。従って、配線回路基板309と同様の構成をなしている。
配線回路基板610は、剥離性シート611の内部に配線膜612が形成されており、その配線膜612は配線膜612a、612b、612cによって構成されている。さらに、配線膜612の上にはエッチングストッパー層613が形成されている。例えば、配線膜612a上にはエッチングストッパー層613aが形成されており、そのエッチングストッパー層613aを介してバンプ614が形成されている。また、配線膜612b上にはエッチングストッパー層613bが形成されており、配線膜612c上にはエッチングストッパー層612cが形成されている。そして、バンプ614の頂部が露出するように剥離性シート611上に絶縁膜615が形成されている。
また、配線回路基板620は、剥離性シート621の内部に配線膜622が形成されており、その配線膜622は配線膜622aと622bによって構成されている。さらに、配線膜622の上にはエッチングストッパー層623が形成されている。具体的には、配線膜622a上にはエッチングストッパー層623aが形成されており、そのエッチングストッパー層623aを介してバンプ624aとバンプ624bが形成されている。また、配線膜622b上にはエッチングストッパー層623bが形成されている。そして、バンプ624aと624bの頂部が露出するように剥離性シート621上に絶縁膜625が形成されている。
そして、図6(b)に示すように、例えば、配線回路基板610のバンプ614が多層配線基板600の一方の面に形成された配線膜602dと接するように配線回路基板610と多層配線基板600とを圧着する。また、配線回路基板620のバンプ624aが多層配線基板の一方の面に形成された配線膜602aと接し、さらに、配線回路基板620のバンプ624bが多層配線基板600の片面に形成された配線膜602bと接するように配線回路基板620と多層配線基板600とを圧着する。その後、200℃から350℃の温度で仮ベーキングを行い、図6(b)に示すように、剥離性シート611及び621を除去し、多層配線基板630を作製する。
さらに、図6(c)に示すように、多層配線基板630の上下両面に配線回路基板640及び650を配置する。配線回路基板640及び650は、前述した参考例1における配線回路基板114に相当し、露光マスクのパターンを変えるのみで配線回路基板114と同様の工程により作製される。
配線回路基板640は、剥離性シート641上に配線膜形成用金属層642が形成され、その上にはエッチングストッパー層643a及び643bが形成されている。さらにそのエッチングストッパー層643aの上にはバンプ644aが形成され、エッチングストッパー層643bの上にはバンプ644bが形成されている。そして、バンプ644aと644bの頂部が露出するように絶縁膜645が形成されている。
配線回路基板650についても配線回路基板640と同様に、例えば、剥離性シート651上に配線膜形成用金属層652が形成され、その上にはエッチングストッパー層653aと653bが形成されている。さらにそのエッチングストッパー層653aの上にはバンプ654aが形成され、エッチングストッパー層653bの上にはとバンプ654bが形成されている。そして、バンプ654aと654bの頂部が露出するように絶縁膜655が形成されている。
そして、図6(d)に示すように、配線回路基板640のバンプ644aが多層配線基板630の一方の面に形成された配線膜612aと接し、バンプ644bが配線膜612bと接するように配線回路基板640と多層配線基板630とを圧着する。また、配線回路基板650のバンプ654aが多層配線基板630の一方の面に形成された配線膜622bと接し、バンプ654bが配線膜622aと接するように配線回路基板650と多層配線基板630とを圧着する。そして、絶縁膜としてセラミック材料を使用した場合は、約800℃の温度でベーキングを行い、絶縁膜を焼成する。そして、図6(d)に示すように、剥離性シート641及び651を除去し、配線膜642及び642を形成することで、多層配線回路基板660を作製する。
以上の方法を採用することにより、層間絶縁膜がエッチング液に晒されてしまうことなく、上下の配線間が層間膜導通手段のバンプによって接続された配線回路基板を製造することができる。また、剥離性シートの同一面上にバンプと配線膜を形成した配線回路基板を使用しているため、それらを圧着して多層配線基板を作製した後に剥離性シートを除去しても配線膜のパターンを平坦に維持することができる。また、水平方向の配線膜と垂直方向のバンプを同時に備えた配線回路基板を用いて多層配線基板を製造することにより、改めてスルーホールを形成する工程が不要となり、工程数を削減することが可能となる。さらに、めっき法によって作製した配線回路基板を使用することにより、微細なパターンが形成された多層配線基板を作製することが可能となる。
尚、本参考例において使用される配線回路基板600は、参考例1における製造方法(エッチング法)によって作製された配線回路基板118を使用したが、本発明はこれに限られない。例えば、参考例2における方法(めっき法)によって作製された配線回路基板313を使用して多層配線基板を作製することもできる。その結果、更に微細なパターンが形成された多層配線基板を作製することが可能となる。
また、本参考例において使用される配線回路基板610及び620は、参考例2における製造方法(めっき法)によって作製された配線回路基板309を使用したが、本発明はこれに限られない。例えば、参考例1における製造方法(エッチング法)によって作製された配線回路基板114を使用して多層配線基板を作製してよい。
また、本参考例において使用される配線回路基板640と650は、参考例1における製造方法(エッチング法)によって作製した配線回路基板を使用したが、本発明にそれに限られない。例えば、参考例2における製造方法(めっき法)によって作製された配線回路基板を使用して多層配線基板を作製してもよい。その結果、更に微細なパターンが形成された多層配線基板を作製することができる。
以上において、絶縁層をエッチング液に晒されない目的で剥離性シートを用いた配線回路基板及び多層配線基板の製造方法を示した。これ以降は、エッチング液に晒されることが可能な絶縁材を用いた配線回路基板及びそれらを組み合わせた多層配線基板の製造方法を示す。
[参考例5]
次に、参考例5として、参考例2において作製された配線回路基板を利用した多層配線基板の製造方法について図7を参照しつつ説明する。この図7は、参考例5における配線回路基板の製造方法を工程順に示す基板の断面図である。
まず図7(a)に示すように、配線回路基板710及び720を用意する。配線回路基板710は、前述した参考例2において作製された配線回路基板309に相当する。従って、配線回路基板309と同様の構成をなしている。
この配線回路基板710は、剥離性シート711の内部に配線膜712が形成されており、その配線膜712は配線膜712aと712bによって構成されている。さらに、配線膜712の上にはエッチングストッパー層713が形成されている。具体的には、配線膜712a上にはエッチングストッパー層713aが形成されており、そのエッチングストッパー層713aを介して銅からなるバンプ714aと714bが形成されている。また、配線膜712b上にはエッチングストッパー層713bが形成されている。そして、バンプ714aと714bの頂部が露出するように剥離性シート711上に絶縁膜715が形成されている
。
また、配線回路基板720は例えばめっき法を用いて作製する。この配線回路基板720の作製方法の1例について図8を参照しつつ説明する。
まず図8(a)に示すように、例えば厚さ80μmの銅箔からなる金属層721を用意する。そして、その金属膜721の上下両面にレジストを塗布し、図8(b)に示すように、片面のみを露光、現像して、エッチングストッパー層及び配線膜を形成するためのパターンを有するレジストを形成する。例えば図8(b)に示すように、レジスト722は露光、現像されずに金属層721の全面に形成されているが、レジスト723は露光、現像されて、エッチングストッパー層及び配線層を形成するためのパターンをなしている。
次に、図8(c)に示すように、レジスト723によって形成されたパターンに、金属層721に接着するようにめっき法によって例えば厚さ1μmのNiからなるエッチングストッパー層724を形成する。このエッチングストッパー層724はエッチングストッパー層724a、724b、724cによって構成されている。さらに、エッチングストッパー層724の上にはめっき法により例えば厚さ12μmの銅からなる配線膜725が形成されており、その配線膜725は配線膜725a、725b、725cによって構成されている。具体的には、エッチングストッパー層724a上に配線膜725aが形成され、同様にエッチングストッパー層724b上に配線膜725bが形成され、エッチングストッパー層724c上に配線膜725cが形成されている。
そして、図8(d)に示すように、レジスト722と723を除去する。その結果、金属膜721の片面に所定のパターンを有するエッチングストッパー層724a、724b、724cが形成され、さらに、それぞれのエッチングストッパー層を介して配線膜725a、725b、725cが形成された配線回路基板720が作製される。また、レジスト722が形成されることにより、金属膜721の片面(レジスト722が塗布された面)には、エッチングストッパー層としてのNiや、配線膜としての銅がめっき法によって形成されることはない。このようにして作製された配線回路基板720を使用して多層配線回路基板を作製する。
再び図7の説明に戻る。図7(b)に示すように、配線回路基板710のバンプ714aが、配線回路基板720の配線膜725aと接し、バンプ714bが配線膜725bと接するように配線回路基板710と配線回路基板720を圧着する。その後、200℃から350℃の温度で仮ベーキングを行う。
次に、金属層721の上にレジストを塗布し、円形パターンが形成された露光マスクを使用して露光、現像し、その後ウエットエッチングにより金属層721をエッチングしてパターニングすることによりバンプ741を形成する。このバンプ741は例えば、図7(c)に示すようにバンプ741aと741bによって構成されている。このバンプ741aは、エッチングストッパー層724aを介して配線膜725a上に形成されており、バンプ741bは、エッチングストッパー層724cを介して配線膜725c上に形成されている。また、そのような位置に形成されるようにパターニングに使用する露光マスクのパターンを作製する。
そして、図7(d)に示すように、バンプ741aと741bが形成されている面に絶縁膜751を積層し、配線回路基板750を作製する。このとき、絶縁膜751の表面からバンプ741aと741bの頂部のみが露出するように絶縁膜751を積層する。
この配線回路基板750を用いて多層配線回路基板を作製する。その工程について引き続き図7を参照しつつ説明する。
図7(e)に示すように、配線回路基板750と760を用意し、配線回路基板760の上下両面に配線回路基板750を配置する。配線回路基板750は、図7(a)から図7(d)を参照して説明した方法によって作製されたものである。また、配線回路基板760は、参考例1における配線回路基板118に相当する。この配線回路基板760は、配線膜762が形成されている。具体的には、絶縁膜761の一方の面には配線膜762a及び762bが、それらの表面が絶縁膜761から露出するように絶縁膜761の内部に形成されている。また、絶縁膜761の他方の面には配線膜762c及び762dが、それらの表面が絶縁膜761から露出するように絶縁膜761の内部に形成されている。そして、配線膜762d上にはエッチングストッパー層763aと763bが形成されており、さらに、それらを介してエッチングストッパー層763a上にはバンプ764aが形成され、エッチングストッパー層763b上にはバンプ764bが形成されている。エッチングストッパー層763a、763bとバンプ764a、764bは絶縁膜761の内部に形成されており、バンプ764aと764bの頂部は配線膜762bに接触している。
そして、図7(f)に示すように、一方の配線回路基板750に形成されているバンプ741aが配線回路基板760の一方の面に形成されている配線膜762aと接し、バンプ741bが配線膜762bと接するように配線回路基板750と760とを圧着する。それと同様に、他方の配線回路基板750に形成されているバンプ741aが配線膜762dと接し、バンプ741bが配線膜762cと接するように配線回路基板750と760とを圧着する。その後、200℃から350℃の温度で仮ベーキングを行い、図7(f)に示すように、上下両面に形成されている剥離性シート711を除去し、多層配線基板を作製する。
尚、本参考例において使用される配線回路基板710は、参考例2における製造方法(めっき法)によって作製された配線回路基板309を使用したが、本発明はこれに限られない。例えば、参考例1における方法(エッチング法)によって作製された配線回路基板114を使用して多層配線基板を作製することもできる。
また、本参考例において使用される配線回路基板760は、参考例1における製造方法(エッチング法)によって作製された配線回路基板118を使用したが、本発明はこれに限られない。例えば、参考例2における方法(めっき法)によって作製された配線回路基板313を使用しても同様の工程で多層配線基板を作製することができる。その場合、更に微細なパターンが形成された多層配線基板を作製することが可能となる。
また、本参考例においては、バンプが形成された配線回路基板760を用いて多層配線基板を作製したが、その代わりに図7(g)に示すようなコア基板770を用いて多層配線基板を作製することも可能である。このコア基板770は、参考例3において説明したコア基板500と同様に、樹脂またはセラミック材料からなる絶縁基板771と、銅等の金属からなる配線膜772、上下導体間接続用スルーホール773とからなる。また、配線膜772は配線膜772a、772b、772c、772dによって構成されている。そして、絶縁基板771の一方の面には配線膜772aと772bが形成されており、他方の面には配線膜772cと772dが形成されている。そして、上下導体間接続用スルーホール773によって絶縁基板771の上下の面に設けられている配線膜772が接続される。上下導体間接続用スルーホール773は、例えばドリルで絶縁基板771に孔を形成した後、その孔の内壁に例えば銅などの金属層774をめっき法で形成することにより作製される。
そして、コア基板770の上下両面に配線回路基板750を配置する。一方の配線回路基板750に形成されているバンプ741aが、コア基板770の一方の面に形成されている配線膜772aと接し、バンプ741bが配線膜772bと接するように配線回路基板750とコア基板770とを圧着する。それと同様に、他方の配線回路基板750に形成されているバンプ741aがコア基板770の他方の面に形成されている配線膜772dと接し、バンプ741bが配線膜772cと接するように配線回路基板750とコア基板770とを圧着する。その後、先に図7(g)および図7(h)を参照しつつ説明したように、200℃から350℃の温度で仮ベーキングを行い、上下両面に形成されている剥離性シート711を除去することにより多層配線基板を作製する。
[第1の実施の形態]
次に、本発明の第1の実施形態として、図9を参照しつつ説明する。この図9は、第1の実施形態における多層配線基板の製造方法を工程順に示す基板の断面図である。
まず、図9(a)に示すように、多層金属板900を用意する。この多層金属板900は、ポリイミドやエポキシ材料からなる絶縁膜901の上下両面に積層された例えば厚さ18μmの銅箔からなる配線膜形成用金属層902と、その配線膜形成用金属層902の上下両面に積層された例えば厚さ1μmのNiからなるエッチングストッパー層903と、さらにそのエッチングストッパー層903の上下両面に積層された例えば厚さ100μmの銅箔からなるバンプ形成用金属層904とからなる。
そして、図9(b)に示すように多層金属板900に上下導体間接続用スルーホール905を形成する。この上下導体間接続用スルーホール905は、例えばドリルで多層金属板900に孔を形成した後、その孔の内壁に銅等の金属層906をめっき法で成膜することにより形成される。そして、例えばアルカリ溶解型のレジストを用いて孔を埋める。このレジストは、後の工程でバンプを形成するためのウエットエッチングを行う際に、上下導体間接続用スルーホール905の内壁に成膜されている金属層906がエッチングされるのを防止する。
そして、多層金属板900の上下面(バンプ形成用金属層904の面)にレジストを塗布し、円形パターンが形成された露光マスクを使用して露光、現像を行うことにより、図9(c)に示すように、円形パターンのレジスト907を形成する。そして、ウエットエッチングをしてパターニングすることにより、図9(d)に示すように、バンプ908を形成する。このバンプはバンプ908a、908b、908cによって構成されている。このとき、多層金属板900の上下両面を同時にエッチングしてバンプを形成する。このように上下両面を同時にエッチングしてバンプを形成することにより、片面毎にバンプを形成する方法よりも工程数を削減することが可能となり、従来技術では得られなかった効果を奏する。
また、上下導体間接続用スルーホール905内にレジストが埋められているため、ウエットエッチングする際にエッチング液が上下導体間接続用スルーホール905内に入りこんで、金属層906がエッチングされることがなくなる。そして、エッチングによりバンプ908a、908b、908cを形成した後は、水酸化ナトリウムなどが含まれている溶液を用いて上下導体間接続用スルーホール905内に埋め込んだレジストをバンプ形用レジスト907と共に除去する。そして、エッチングストッパー層903をエッチングで除去する。
次に、図9(e)に示すように、上下両面に対してポジ型のレジスト909を塗布する。ポジ型レジストとしては、電着レジストや液レジストを用いる。そして、図9(f)に示すように、レジスト909に対して露光、現像を行うことにより所定のパターンを有するレジストを形成する。例えば、図9(f)に示すように、レジスト910aはバンプ908aを覆うようして形成され、レジスト910bはバンプ908bを覆うようにして形成され、レジスト910cはバンプ908cを覆うようにして形成される。また、レジスト910dは一部の配線膜形成用金属層902の上に形成される。さらに、レジスト910eは導通孔壁及びその周辺の配線膜形成用金属層902の上に形成される。
そして、図9(g)に示すように、ウエットエッチングにより配線膜形成用金属層903を選択的にエッチングしてパターニングすることにより、配線膜911を形成する。この配線膜911は配線膜911a、911b、991c、911dによって構成されている。例えば、図9(g)に示すように、レジスト910a、911b、911cで保護されることにより形成された配線膜911a、911b、911cは、それぞれバンプ908a、908b、908cと絶縁膜901との間に形成される。一方、レジスト911dで保護されることにより形成された配線膜911dは、バンプと接することなく絶縁膜901上に形成される。
そして、図9(h)に示すように、上下両面に絶縁膜912を積層して多層配線基板920を作製する。このとき、絶縁膜912の表面からバンプ908a、980b、908cの頂部のみが露出するように絶縁膜912を積層する。この絶縁膜912には例えば、ポリイミドやエポキシ材料が使用される。
以上の方法を採用することにより、上下両面を同時にエッチングしてバンプを形成することにより、片面毎にバンプを形成する方法よりも工程数を削減しながら、両面バンプ付の多層配線基板920を形成することが可能となる。また、同一面上に水平方向の配線膜と垂直方向のバンプを形成することにより、改めてスルーホールを形成する必要がなるなり、工程数を削減することが可能となる。
次に、この多層配線基板920の上下両面に配線回路基板を積層して作製する多層配線基板およびその製造方法について図10を参照しつつ説明する。
まず図10(a)に示すように、2つの配線回路基板720と多層配線基板920を用意する。配線回路基板720は、先に図8を参照しつつ説明した方法(めっき法)によって作製されるものである。多層配線基板920は、図9を参照しつつ説明した方法によって作製されるものである。
そして、多層配線基板920の上下両面に配線回路基板720を配置し、図10(b)に示すように、例えば、一方の配線回路基板720上に形成されている配線膜725aが多層配線基板920の一方の面に形成されているバンプ908aと接するように、配線回路基板720と多層配線基板920を圧着する。それと同様に、他方の配線回路基板720上に形成されている配線膜725aが多層配線基板920の他方の面に形成されているバンプ908cと接し、配線膜725cがバンプ908bに接するように、配線回路基板720と多層配線基板920を圧着する。その後、200℃から350℃の温度で仮ベーキングを行う。
さらに、上下両面に形成されている配線回路基板720の金属層721をエッチングしてパターニングすることにより、上下両面にバンプ1001を形成する。このバンプ1001は、例えばバンプ1001a、1001b、1001c、1001dによって構成されている。例えば、図10(c)に示すように、一方の面には、エッチングストッパー層724aを介して配線膜725a上にバンプ1001aを形成し、エッチングストッパー層724cを介して配線膜725c上にバンプ1001cを形成する。また、他方の面には、エッチングストッパー層724bを介して配線膜725b上にバンプ1001dを形成し、エッチングストッパー層724cを介して配線膜725c上にバンプ1001cを形成する。このように、上下両面を同時にエッチングしてバンプを形成することにより、片面毎にバンプを形成する方法よりも工程数を削減することが可能となる。
次に、図10(d)に示すように、上下両面に絶縁膜1002を積層し、多層配線基板を作製する。このとき、絶縁膜1002の表面から各バンプ1001a、1001b、1001c、1001dの頂部のみが露出するように絶縁膜1002を積層する。この絶縁膜1002には例えば、ポリイミドやエポキシ材料が使用される。
次に、図10(e)に示すように、上下両面に例えば厚さ18μmの銅箔からなる配線膜形成用金属層1003を形成する。そして、配線膜形成用金属層1003をエッチングしてパターニングすることにより、配線膜1104を形成する。この配線膜1004は、例えば図10(f)に示すように、配線膜1004a、1004b、1004c、1004dによって構成されている。このパターニング工程において、例えば、一方の面においては配線膜1004aがバンプ1001aに接し、配線膜1004bがバンプ1001bに接するように配線膜1004のパターンを形成する。また、他方の面では配線膜1004cがバンプ1001cとバンプ1001dに接するように配線膜のパターンを形成する。
以上の方法のように上下両面を同時にエッチングしてバンプを形成することにより、片面毎にバンプを形成する方法よりも工程数を削減することが可能となる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の多層配線基板の製造方法の第2の実施形態について、図11を参照しつつ説明する。この図11は、第2の実施形態の多層配線基板の製造方法を工程順に示す基板の断面図である。
まず、図11(a)に示すように、多層金属板1100を用意する。この多層金属板1100は、例えば厚さ12μmの銅箔からなる配線膜形成用金属層1101の上下両面に積層された、例えば厚さ1μmのNiからなるエッチングストッパー層1102と、さらにそのエッチングストッパー層1102の上下両面に積層された、例えば厚さ80μmの銅箔からなるバンプ形成用金属層1103とからなる。従って、本実施形態における多層金属板1100は5層構造をなしている。
そして、多層金属板1000の片面のバンプ形成用金属層1103上にレジストを塗布し、円形パターンが形成された露光マスクを使用して露光、現像することにより、図示しない円形パターンのレジストを形成する。そして、その円形パターンのレジストをマスクとしてウエットエッチングしてパターニングすることによりバンプ1104を形成する。このバンプ1104は例えば図11(b)に示すように、バンプ1104aと1104bによって構成されている。その後、バンプ1104をマスクとしてエッチングストッパー層1102をエッチングする。
次に、バンプ1104が形成されている面に絶縁膜1105を積層し、配線回
路基板1110を作製する。このとき、絶縁膜1105の表面からバンプ110
4aと1104bの頂部のみが露出するように絶縁膜1105を積層する。この
絶縁膜1105には例えば、エポキシやポリイミド材料が使用される。
次に、図11(d)に示すように、上記のようにして作製した配線回路基板1110と多層金属板1120を用意する。この多層金属板1120は、例えば厚さ80μmの銅箔からなるバンプ形成用金属層1123上に積層された、例えば厚さ1μmのNiからなるエッチングストッパー層1122と、さらにそのエッチングストッパー層1122の上に積層された、例えば厚さ12μmの銅箔からなる配線膜形成用金属層1121とからなる。従って、本実施形態における多層金属板1120は3層構造をなしている。そして、配線回路基板1110と多層金属板1120とを圧着する。
そして、配線回路基板1110と多層金属板1120とを圧着した基板の上下両面に図示しないレジストを塗布する。つまり、配線回路基板1110のバンプ形成用金属層1103の上と、多層金属板1120のバンプ形成用金属層1123の上にレジストを塗布する。そして、円形パターンが形成された露光マスクを使用して露光、現像を行うことにより、図示しない円形パターンのレジストを形成する。そして、ウエットエッチングをしてパターニングすることによりバンプ1131を形成する。このバンプ1131は、例えば図11(e)に示すように、バンプ1131a、1131b、1131cによって構成されている。バンプ1131aはエッチングストッパー層1122および配線膜形成用金属層1121を介して、バンプ1131aの底部がバンプ1104aの頂部と接続するように形成される。また、バンプ1131cはエッチングストッパー層1122および配線膜形成用金属層1121を介して、バンプ1131cの底部がバンプ1104aの底部と接続するように形成される。また、上下両面を同時にエッチングしてバンプを形成する。このように上下両面を同時にエッチングしてバンプを形成することにより、片面毎にバンプを形成する方法よりも工程数を削減することが可能となる。また、バンプを形成した後に、エッチングストッパー層1102およびエッチングストッパー層1122をエッチングする。
次に、図11(f)に示すように、上下両面にレジスト1132を塗布する。そして、図11(g)に示すように、レジスト1132に対して露光、現像を行うことにより所定のパターンを有するレジストを形成する。例えば図11(g)に示すように、レジスト1133aはバンプ1131aを覆うようにして形成され、レジスト1133cはバンプ1131bを覆うようにして形成され、レジスト1133eはバンプ1131cを覆うようにして形成される。また、レジスト1133dはバンプ1104bが形成されている位置に対応した位置に形成される。
そして、図11(h)に示すように、ウエットエッチングにより配線膜形成用金属層1101および配線膜形成用金属層1121を選択的にエッチングしてパターニングすることにより、配線膜1134を形成する。この配線膜1134は例えば、配線膜1134a、1134b、1134c、1134dによって構成されている。そして、図11(i)に示すように、配線膜1134aはバンプ1131aとバンプ1104a並びにバンプ1104bとの間に形成されることになる。配線膜1134cはバンプ1131bと絶縁膜1105との間に形成され、配線膜1134eはバンプ1131cと1104aとの間に形成される。また、配線膜1134dはバンプ1104bが形成されている位置に対応する位置に形成されることになる。
そして、図11(i)に示すように、上下両面に絶縁膜1135を積層する。このとき、絶縁膜1135の表面からバンプ1131の頂部のみが露出するように絶縁膜1135を積層する。この絶縁膜1135には例えば、樹脂やセラミック材料が使用される。
以上の方法のように上下両面を同時にエッチングしてバンプを形成することにより、片面毎にバンプを形成する方法よりも工程数を削減することが可能となる。また、同一面上の水平方向の配線膜と垂直方向のバンプを同時に形成することが可能となるため、改めてスルーホールを形成する工程が不要となり、工程数を削減することが可能となる。
次に、この多層配線基板1140の上下両面に配線回路基板を積層して作製する多層配線基板およびその製造方法について図12を参照しつつ説明する。
まず、図12(a)に示すように、2つの配線回路基板720と多層配線基板1140を用意する。配線回路基板720は、先に図8を参照しつつ説明した方法(めっき法)によって作製されるものである。多層配線基板1140は、図11を参照しつつ説明した方法によって作製されるものである。
そして、多層配線基板1140の上下両面に配線回路基板720を配置し、図12(b)に示すように、一方の配線回路基板720上に形成されている配線膜725aが多層配線基板1140の一方の面に形成されているバンプ1131aと接するように、配線回路基板720と多層配線基板1140を圧着する。さらに、他方の配線回路基板720に形成されている配線膜725aが多層配線基板1140の他方の面に形成されているバンプ1131cと接し、さらに、配線膜725cがバンプ1131bに接するように配線回路基板720と多層配線基板1140を圧着する。その後、200℃から350℃の温度で仮ベーキングを行う。
そして、上下両面のバンプ形成用金属層721上にレジストを塗布し、円形パターンが形成された露光マスクを使用して露光、現像することにより、図示しない円形パターンのレジストを形成する。そして、その円形パターンのレジストをマスクとしてウエットエッチングしてパターニングすることにより、上下両面にバンプ1201を形成する。このバンプ1201は、バンプ1201a、1201b、1201c、1201dによって構成されている。図12(c)に示すように、バンプ1201aは配線膜725aと接するように形成され、バンプ1201bは配線膜725cと接するように形成される。さらに、バンプ1201cは配線膜725cと接するように形成され、バンプ1201dは配線膜725bと接するように形成される。また、そのような位置に形成されるように、露光マスクのパターンを形成しておく。このように、上下両面を同時にエッチングしてバンプを形成することにより、片面毎にバンプを形成する方法よりも工程数を削減することが可能となる。
次に、図12(d)に示すように、上下両面に絶縁膜1202を積層し、多層配線基板を作製する。このとき、絶縁膜1202の表面から各バンプ1201a、1201b、1201c、1201dの頂部のみが露出するように絶縁膜1202を積層する。この絶縁膜1202には例えば、樹脂やセラミック材料が使用される。
次に、図12(e)に示すように、上下両面に例えば厚さ18μmの銅箔からなる配線膜形成用金属層1203を形成する。そして、配線膜形成用金属層1203をエッチングしてパターニングすることにより、配線膜1204を形成する。この配線膜1204は、例えば配線膜1204a、1204b、1204c、1204dによって構成されている。このパターニング工程によって、図12(f)に示すように、配線膜1204aはバンプ1201aと接するように形成され、配線膜1204bはバンプ1201bと接するように形成される。また、配線膜1204cはバンプ1201cおよびバンプ1201dと接するように形成される。また、このような位置に配線膜が形成されるように、露光マスクのパターンを形成しておく。
以上の方法のように上下両面を同時にエッチングしてバンプを形成することにより、片面毎にバンプを形成する方法よりも工程数を削減することが可能となる。さらに、めっき法を用いて作製した配線回路基板720を使用するため、配線膜のパターンが微細な多層配線基板を作製することが可能となる。