JP4601433B2 - 有機顔料微粒子の製造方法 - Google Patents

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本発明は有機顔料微粒子の製造方法に関する。より詳しくは、流路(チャンネル)中、層流として流れる有機顔料溶液の水素イオン指数(pH)を変化させるに際し、流通液に含有させる高分子分散剤の添加量を変えることを特徴とする製造方法であり、その方法によって得られる有機顔料およびそれを含有する分散液に関する。
顔料は、鮮明な色調と高い着色力とを示し、多くの分野で広く使用されている。例えば、塗料、印刷インク、電子写真用トナー、インクジェットインク、カラーフィルター等を用途として挙げることができ、今や、生活上欠くことができない重要な化合物である。顔料の一般的な性質、及び用途別分類等は、例えば、非特許文献1等に記載されている。前記用途の中でも高性能が要求され、実用上特に重要なものとしては、インクジェットインク用顔料およびカラーフィルター用顔料が挙げられる。
インクジェット用インクの色材には染料が用いられてきたが、耐水性や耐光性の面で難点があり、それを改良するために顔料が用いられるようになってきている。顔料インクにより得られた画像は、染料系のインクによる画像に較べて耐光性、耐水性に優れるという特筆すべき利点を有する。しかしながら、紙表面の空隙に染み込むことが可能なナノメートルサイズに均一に微細化(すなわち単分散化)することは難しく、紙への密着性に劣るという問題があった。
デジタルカメラの高画素化に伴い、CCDセンサーに用いるカラーフィルターの薄層化が望まれている。カラーフィルターには有機顔料が用いられているが、フィルターの厚さは有機顔料の粒子径に大きく依存するため、ナノメートルサイズレベルでの単分散で安定な微粒子の製造が望まれていた。
一般に微粒子の製造法は、非特許文献2等に示されるようにバルク物質から粉砕などにより製造するブレイクダウン法、気相中または液相中からの粒子成長により製造するビルドアップ法に大別されている。従来から多用されている粉砕法は実用性が高い微粒子製造法であるが、有機物質のナノメートルサイズの粒子を製造するには、極めて生産性が低いことや適用できる物質が限定されるなどの種々の問題点があり、近年、ビルドアップ法により有機物質のナノメートルサイズの微粒子化ができないか検討されている。
最近開示されている方法の一つとして、有機顔料の一つであるアゾ顔料を超臨界流体もしくは亜臨界流体を利用して微粒子化する方法がある(例えば特許文献1)。すなわち、超臨界流体もしくは亜臨界流体中に顔料を溶解させ、それを常温・常圧に戻すことにより結晶成長させ微粒子を製造する方法である。この方法を行うには超臨界温度・圧力近傍の極めて高い温度、圧力を実現できる装置が必要であること、およびそのような条件では有機化合物は一般に分解しやすいなどの問題がある。
二つ目の方法として、マイクロ化学プロセス技術(後述)の一つであるマイクロジェットリアクターを用いて微粒子化する方法がある(例えば特許文献2、3、4)。この方法は、顔料を溶解した溶液と沈殿媒体液を互いに対峙するマイクロメートルサイズの異なる二つノズルへ高圧(例えば5MPa)でポンプ導入し、両液のジェット流が衝突する部分にはガス(圧縮空気等)を垂直に導入し、そのガス流(約0.5m3/h)で顔料懸濁液を排出する方法である。これらのうち、特許文献2及び4に記載の方法は顔料懸濁液同士をチャンバー内で衝突させることにより顔料粒子を微細化するブレイクダウン法に相当する。一方、特許文献3に記載の方法は、顔料の溶液と沈殿媒体とをチャンバー中に噴霧して沈殿させることにより微細な粒子を製造するものであり、ビルドアップ法と見るのが適当である。この方法はマイクロメートルスケールの小さな空間で粒子を生成させ、それを直ちに装置外に取り出すことにより顔料微粒子による装置の閉塞を防ぐように工夫されており、狭い粒径分布の微粒子を得るのに好ましい方法であるが、両液の接触時間をコントロールし難いため微妙な反応制御が難しいなどの問題点がある。
三つ目の方法として、有機顔料を溶解した溶液を水性媒体と徐々に接触させ顔料を析出させる方法(いわゆる共沈法(再沈法))において、いずれかに分散剤を共存させることにより安定な微粒子を製造する方法がある(特許文献5)。この方法ではナノメートルサイズの粒子が簡単に製造できるが、スケールアップした時に粒子サイズにばらつきが生じたり、針状の粒子が生成しやすいため、粒子測定装置ではシングルナノメートルの粒子と観測されても、透過型電子顕微鏡で粒子形を観測すると、長さがかなり長い針状粒子であり、球形が好ましいインクジェットインク用の微粒子としては不適当であった。
この他、アミド系溶媒に溶解した有機顔料溶液を、貧溶媒中に撹拌条件下で注入して有機顔料微粒子を製造する方法が開示されている(特許文献6)。しかし、この方法では攪拌により溶媒と接触させるため、得られる粒子サイズおよび単分散性の点で問題があり、さらに溶剤がアミド系に限定されるなど汎用性に乏しい。
また、ビルドアップ法とブレイクダウン法との中間に位置する方法として粗粒子を熱処理して粒子径を整える、コンディショニング法という方法があるが、最近マイクロ化学プロセス技術(後述)の考えを利用したミクロ反応器中での有機顔料のコンディショニングを行う方法が開示されている(特許文献7)。液体顔料前駆体の懸濁液(粒子径分布が広い顔料を溶液に懸濁したもの)を連続的にミクロ反応器に導入し熱処理することにより、懸濁液中の顔料結晶微粒子の相変化がおきると同時に、前駆体より平均粒子径が大きくなるが粒径分布が狭い粒子が製造できるとしている。この方法は、粒径分布の狭い粒子が得られるという利点はあるものの、前駆体中のせっかく小さい粒子径の粒子径をも大きくしてしまうという欠点がある。
近年、化学反応を効率的に行なえることから、微小な流路断面積の反応路を用いて化学反応をおこなう技術、いわゆる「マイクロ化学プロセス技術」が注目されている。「マイクロ化学プロセス技術」とは、マイクロ加工技術などにより固体基板上に作成された幅数μm〜数百μmのマイクロ流路内で発現する化学・物理現象を利用した物質生産・化学分析技術である。
ジスアゾ縮合系顔料の一般的製造方法については、例えば、前出の非特許文献3等に記載されている。一方、マイクロ化学プロセス技術に基づくミクロ反応器中にて顔料を製造する方法としてはジスアゾ縮合系顔料とジケトピロロピロール系顔料を製造する方法が、例えば、特許文献8および9に開示されている。これらはビルドアップ法の一種と考えることが出来る。特許文献8の記載では、ジスアゾ系顔料合成に至る工程をミクロ反応器内にて行っているが、原料化合物自身の溶解性が低い為、懸濁液にてミクロ反応器に導入している。これは条件コントロールを誤ると経路を閉塞する可能性が高くあり、再現性、連続製造の観点から難ありと言わざるを得ない。
特開2002−138216号公報 特開2002−146222号公報 特開2002−155221号公報 特開2002−161218号公報 特開2003−26972号公報 特開2004−91560号公報 特開2002−30230号公報 特開2002−38043号公報 特開2002−12788号公報 「顔料分散安定化と表面処理技術・評価」2001年、123〜224頁、(株)技術情報協会。 日本化学会編「第4版実験化学講座」第12巻、年、411〜488頁、(株)丸善。 W. Herbst、K. Hunger 著、"インダストリアル・オーガニック・ピグメンツ、プロダクション、プロパティーズ、アプリケーションズ(Industrial Organic Pigments, Production, Properties, Applications), Second Completely Revised Edition"、VCH A Wiley company、1997年、p.595−630
本発明は、従来のビルドアップ法の問題点を解決した有機顔料微粒子の製造方法を提供することを目的とする。より詳しくは、簡便に、また純度よく有機顔料を得ることを目的とし、且つその具体的な製造方法の提供を目的とする。さらに、粒径が揃った有機顔料微粒子(単分散有機顔料微粒子)として得ること、および微粒子のサイズを任意に制御しうる有機顔料微粒子の製造方法を提供することを目的としている。
上記課題は下記の手段により達成された。
(1)分散剤を少なくとも一つ含有する媒体に有機顔料を溶解した有機顔料溶液と、その溶液のpH調整用溶液とを流路(チャンネル)中を層流として接触流通させ、その流通過程で有機顔料溶液の水素イオン指数(pH)を変化させるとともに、前記分散剤の含有量を顔料1質量部に対して0.01〜20質量部の範囲で調節して、前記分散剤の量を増やして微粒子サイズを小さくするようにし、平均粒径1μm以下のサイズの微粒子を制御して得ることを特徴とする有機顔料微粒子の製造方法。
(2)前記有機顔料溶液がアルカリ性であることを特徴とする(1)に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
(3)前記有機顔料溶液が、有機溶媒を含む媒体に有機顔料を溶解した均一溶液であることを特徴とする(1)または(2)記載の有機顔料微粒子の製造方法。
(4)前記流路の等価直径が10mm以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
(5)前記分散剤が高分子分散剤であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
(6)有機顔料微粒子が、その分散液として得られる(1)〜(5)のいずれか1項に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
(7)前記流路の等価直径が1mm以下であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
(8)層流の流路がマイクロ反応場であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれか1項に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
(9)前記微粒子の粒径における標準偏差を130nm以下とすることを特徴とする(1)〜(8)のいずれか1項に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
(10)前記pHの変化を、pH16.0〜pH5.0の範囲で行い、アルカリ性から中性方向に変化させることを特徴とする(1)〜(9)のいずれか1項に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
(11)前記高分子分散剤の重量平均分子量が1,000〜2,000,000であることを特徴とする(1)〜(10)のいずれか1項に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
本発明によれば、層流流路でフロー反応を行うことで、従来のフラスコ等で行う方法に比べ、簡便で、温和な条件下、速やかに顔料微粒子およびその分散液を製造することができる。
すなわち、層流流路を用いるフロー反応で反応時間を制御し、さらに狭い空間での反応温度制御の精密さを利用し、好ましくない副反応を抑えることができる。また、微粒子化顔料調製、特に顔料分散液調製において、従来のスケールアップとは異なり、製造プロセスをナンバリングアップ(装置の並列化)できることから製品化にかかる検討時間を激減できる。
また本発明の製造方法により、有機顔料微粒子のより精密な単分散状態を実現でき、粒径、粒子形状の制御を可能とし、広い範囲で目的のサイズの微粒子を得ることができる。得られる分散液、またはそこに含まれる微粒子に新たな機能やより高い機能を発現させることも期待できる。
有機顔料微粒子の製造方法として、フラスコやタンク内で攪拌、混合する方法があるが(バッチ方式)、その混合比率などを変えても殆ど粒子サイズを変化させることができず、その制御範囲は限られてしまう。本発明の製造方法によれば、顔料微粒子の溶液を流路中に流通させるに際し、流通液中の高分子分散剤の添加量を変えることにより、広い範囲で粒子サイズの制御を可能とし、また粒子の単分散性も改善しうるものである。以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の製造方法に用いられる流路は、層流を形成しうる等価直径を有する流路であることが好ましい。
等価直径(equivalent diameter)は相当(直)径、とも呼ばれ、機械工学の分野で用いられる用語である。任意断面形状の配管(本発明では流路)に対し等価な円管を想定するとき、その等価円管の直径を等価直径という。等価直径(deq)は、A:配管の断面積、p:配管のぬれぶち長さ(周長)を用いて、deq=4A/pと定義される。円管に適用した場合、この等価直径は円管直径に一致する。等価直径は等価円管のデータを基に、その配管の流動あるいは熱伝達特性を推定するのに用いられ、現象の空間的スケール(代表的長さ)を表す。等価直径は、一辺aの正四角形管ではdeq=4a/4a=a、一辺aの正三角形管では、
Figure 0004601433
流路高さhの平行平板間の流れではdeq=2hとなる(例えば、(社)日本機械学会編「機械工学事典」1997年、丸善(株)参照)。
管の中に水を流し、その中心軸状に細い管を挿入し着色した液を注入すると、水の流速が遅い間は、着色液は一本の線となって流れ、水は管壁に平行にまっすぐに流れる。しかし、流速を上げ、ある一定の流速に達すると急に水流の中に乱れが生じ、着色液は水流と混じって全体が着色した流れになる。前者の流れを層流(laminar flow)、後者を乱流(turbulent flow)という。
流れが層流になるか乱流になるかは流れの様子を示す無次元数であるレイノルズ数(Reynolds number)が、ある臨界値以下であるかによって決まる。レイノルズ数が小さいほど層流を形成しやすい。管内の流れのレイノルズ数Reは次式で表される。
Re=D<υx>ρ/μ
Dは管の等価直径、<υx>は断面平均速度、ρは流体の密度、μは流体の粘度を表す。この式からわかるように等価直径が小さいほどレイノルズ数は小さくなるので、μmサイズの等価直径の場合は安定な層流を形成しやすくなる。また、密度や粘度の液物性もレイノルズ数に影響し、密度が小さく、粘度が大きいほどレイノルズ数は小さくなるので層流を形成しやすいことがわかる。
臨界値を示すレイノルズ数を臨界レイノルズ数(critical Reynolds number)と呼ぶ。臨界レイノルズ数は必ずしも一定とはいえないが、凡そ次の値が基準となる。
Re<2300 層流
Re>3000 乱流
3000≧Re≧2300 過渡状態
流路の等価直径が小さくなるにつれ、単位体積あたりの表面積(比表面積)は大きくなるが、流路がマイクロスケールになると比表面積は格段に大きくなり、流路の器壁を通じた熱伝達効率は非常に高くなる。流路を流れる流体中の熱伝達時間(t)は、t=deq /α(α:液の熱拡散率)で表されるので、等価直径が小さくなるほど熱伝達時間は短くなる。すなわち、等価直径が1/10になれば熱伝達時間は1/100になることになり、等価直径がマイクロスケールである場合、熱伝達速度は極めて速い。
すなわち、等価直径がマイクロスケールであるマイクロサイズ空間ではレイノルズ数が小さいので安定な層流支配のもとでフロー反応を行うことができる。そして層流間の界面表面積が非常に大きいので、層流を保ったまま、界面間の分子拡散により高速で精密な成分分子の混合が可能となる。また、大きな表面積を有する流路壁の利用により精密温度制御、フロー反応の流速コントロールによる反応時間の精密制御なども可能となる。従って、本発明の層流を形成する流路のうち、高度に反応制御可能な場である等価直径を有するマイクロスケールの流路を、マイクロ反応場と定義する。
前記レイノルズ数の説明で示したように、層流の形成は等価直径の大きさだけでなく粘度および密度という液物性を含めた流動条件にも大きく影響される。よって、本発明では流路を層流にできれば、流路の等価直径は限定されないが、容易に層流が形成できるサイズが好ましい。好ましくは10mm以下であり、より好ましくはマイクロ反応場を形成する1mm以下である。更に好ましくは10μm〜1mmであり、特に好ましくは20〜300μmである。
本発明の製造方法に好ましいマイクロスケールのサイズの流路(チャンネル)を有する反応装置の代表的なものは一般に「マイクロリアクター」と総称され、最近大きな発展を遂げている(例えば、W. Ehrfeld, V. Hessel, H. Loewe, “ Microreactor ”, 1Ed(2000) WILEY−VCH 参照)。
前記一般のマイクロリアクターには、その断面を円形に換算した場合の等価直径が数μm〜数百μm程度の複数本のマイクロ流路、及びこれらのマイクロ流路と繋がる混合空間が設けられており、このようなマイクロリアクターでは、複数本のマイクロ流路を通して複数の溶液をそれぞれ混合空間へ導入することで、複数の溶液を混合し、又は混合と共に化学反応を生じさせる。
次に、マイクロリアクターによる反応がタンク等を用いたバッチ方式と異なる主な点を説明する。液相の化学反応、二相系の液相の化学反応は、一般に反応液の界面において分子同士が出会うことによって反応が起こるので、微小空間(マイクロ流路)内で反応を行うと相対的に界面の面積が大きくなり、反応効率は著しく増大する。また分子の拡散そのものも拡散時間は距離の二乗に比例する。このことは、スケールを小さくするに従って、反応液を能動的に混合しなくても、分子の拡散によって混合が進み、反応が起こり易くなることを意味している。また、微小空間においては、レイノルズ数(流れを特徴づける無次元の数)が小さいために層流支配の流れとなり、溶液同士が層流状態となっている界面でそれぞれの溶液内に存在する分子の交換が起こり、移動した分子により析出や反応が引き起こされる。
このような特徴を有するマイクロリアクターを用いれば、反応の場として大容積のタンク等を用いた従来のバッチ方式と比較し、溶液同士の反応時間及び温度の精密な制御が可能になる。またバッチ方式の場合には、特に、反応速度が速い溶液間では混合初期の反応接触面で反応が進行し、さらに溶液間の反応により生成された一次生成物が容器内で引き続き反応を受けてしまう場合があるから、生成物が不均一になったり、混合容器内で生成物の結晶が必要以上に成長して粗大化してしまうおそれがある。これに対して、本発明に用いられるマイクロリアクターによれば、溶液が混合容器内に殆ど滞留することなく連続的に流通するので、溶液間の反応により生成された一次生成物が混合容器内に滞留する間に引き続き反応を受けてしまうことを抑止でき、従来では取り出すことが困難であった純粋な一次生成物を取り出すことも可能になり、また混合容器内での結晶の凝集や粗大化も生じ難くなる。
また、実験的な製造設備により製造された少量の化学物質を大規模の製造設備により多量に製造(スケールアップ)する際には、従来、実験的な製造設備に対し、バッチ方式による大規模の製造設備での再現性を得るために多大の労力及び時間を要していたが、必要となる製造量に応じてマイクロリアクターを用いた製造ラインを並列化(ナンバリングアップ)することにより、このような再現性を得るための労力及び時間を大幅に減少できる可能性がある。
本発明に用いられる流路の好ましい作製方法を以下に説明する。流路の等価直径が1mm以上のサイズの場合は従来の機械加工技術を用いることで比較的容易に作成可能であるが、サイズが1mm以下のマイクロサイズ、特に500μm以下になると格段に作製が難しくなる。マイクロサイズの流路(マイクロ流路)は固体基板上に微細加工技術を用いて作成される場合が多い。基板材料としては腐食しにくい安定な材料であれば何でもよい。例えば、金属(例えば、ステンレス、ハステロイ(Ni−Fe系合金)、ニッケル、アルミニウム、銀、金、白金、タンタルまたはチタン)、ガラス、プラスチック、シリコーン、テフロン(登録商標)またはセラミックスなどである。
マイクロ流路を作製するための微細加工技術として代表的なものを挙げれば、X線リソグラフィを用いるLIGA(Roentgen−Lithographie Galvanik Abformung)技術、EPON SU−8(商品名)を用いた高アスペクト比フォトリソグラフィ法、マイクロ放電加工法(μ−EDM(Micro Electro Discharge Machining))、Deep RIE(Reactive Ion Etching)によるシリコンの高アスペクト比加工法、Hot Emboss加工法、光造形法、レーザー加工法、イオンビーム加工法、およびダイアモンドのような硬い材料で作られたマイクロ工具を用いる機械的マイクロ切削加工法などがある。これらの技術を単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。好ましい微細加工技術は、X線リソグラフィを用いるLIGA技術、EPON SU−8を用いた高アスペクト比フォトリソグラフィ法、マイクロ放電加工法(μ−EDM)、および機械的マイクロ切削加工法である。また、近年では、エンジニアリングプラスチックへの微細射出成型技術の適用が検討されている。
マイクロ流路を作成する際、よく接合技術が用いられる。通常の接合技術は大きく固相接合と液相接合に分けられ、一般的に用いられている接合方法は、固相接合として圧接や拡散接合、液相接合として溶接、共晶接合、はんだ付け、接着等が代表的な接合方法である。さらに、組立に際しては高温加熱による材料の変質や大変形による流路等の微小構造体の破壊を伴わない寸法精度を保った高度に精密な接合方法が望ましいが、そのような技術としてはシリコン直接接合、陽極接合、表面活性化接合、水素結合を用いた直接接合、HF水溶液を用いた接合、Au−Si共晶接合、ボイドフリー接着などがある。
本発明の製造方法に用いられるマイクロ流路は、固体基板上に微細加工技術を用いて作成されたものに限らず、例えば、入手可能な数μm〜数百μmの内径を有する各種ヒューズドシリカキャピラリーチューブでもよい。高速液体クロマトグラフ用、ガスクロマトグラフ用部品として市販されている数μm〜数百μmの内径を有する各種シリコンチューブ、フッ素樹脂製管、ステンレス管、PEEK管(ポリエーテルエーテルケトン管)も同様に利用可能である。
これまでにマイクロリアクターに関しては、反応の効率向上などを目指したデバイスに関する報告がなされている。例えば、特開2003−210960、特開2003−210963、特開2003−210959はマイクロミキサーに関するものであり、本発明はこれらのマイクロデバイスを利用することもできる。
本発明で用いるマイクロ流路は目的に応じて表面処理してもよい。特に水溶液を操作する場合、ガラスやシリコンへの試料の吸着が問題になることがあるので表面処理は重要である。複雑な製作プロセスを要する可動部品を組み込むことなく、マイクロサイズの流路内における流体制御を実現することが望ましい。例えば、流路内に表面処理により親水性と疎水性の領域を作製し、その境界に働く表面張力差を利用して流体を操作することが可能である。ガラスやシリコンの表面処理する方法として多用されるのはシランカップリング剤を用いた疎水または親水表面処理である。
流路中へ試薬やサンプルなどを導入して混合するためには、流体制御機能が必要である。特に、マイクロ流路内における流体の挙動は、マクロスケールとは異なる性質を持つため、マイクロスケールに適した制御方式を考えなければならない。流体制御方式は形態分類すると連続流動方式と液滴(液体プラグ)方式があり、駆動力分類すると電気的駆動方式と圧力駆動方式がある。
これらの方式を以下に詳しく説明する。流体を扱う形態として、最も広く用いられるのが連続流動方式である。連続流動式の流体制御では、マイクロ流路内は全て流体で満たされ、外部に用意したシリンジポンプなどの圧力源によって、流体全体を駆動するのが一般的である。この方法は、デッドボリュームが大きいことなどが難点であるが比較的簡単なセットアップで制御システムを実現できることが大きな利点である。
連続流動方式とは異なる方式として、液滴(液体プラグ)方式がある。この方式では、リアクター内部やリアクターに至る流路内で、空気で仕切られた液滴を動かすものであり、個々の液滴は空気圧によって駆動される。その際、液滴と流路壁あるいは液滴同士の間の空気を必要に応じて外部に逃がすようなベント構造、および分岐した流路内の圧力を他の部分と独立に保つためのバルブ構造などを、リアクターシステム内部に用意する必要がある。また、圧力差を制御して液滴の操作を行うために、外部に圧力源や切り替えバルブからなる圧力制御システムを構築する必要がある。このように液滴方式では、装置構成やリアクターの構造がやや複雑になるが、複数の液滴を個別に操作して、いくつかの反応を順次行うなどの多段階の操作が可能で、システム構成の自由度は大きくなる。
流体制御を行うための駆動方式として、流路(チャンネル)両端に高電圧をかけて電気浸透流を発生させ、これによって流体移動させる電気的駆動方法と、外部に圧力源を用いて流体に圧力をかけて移動させる圧力駆動方法が一般に広く用いられている。両者の違いは、たとえば流体の挙動として、流路断面内で流速プロファイルが電気的駆動方式の場合にはフラットな分布となるのに対して、圧力駆動方式では双曲線状に、流路中心部が速くて、壁面部が遅い分布となることが知られており、サンプルプラグなどの形状を保ったまま移動させるといった目的には、電気的駆動方式の方が適している。電気的駆動方式を行う場合には、流路内が流体で満たされている必要があるため、連続流動方式の形態をとらざるを得ないが、電気的な制御によって流体の操作を行うことができるため、例えば連続的に2種類の溶液の混合比率を変化させることによって、時間的な濃度勾配をつくるといった比較的複雑な処理も実現されている。圧力駆動方式の場合には、流体の電気的な性質にかかわらず制御可能であること、発熱や電気分解などの副次的な効果を考慮しなくてよいことなどから、基質に対する影響がほとんどなく、その適用範囲は広い。その反面、外部に圧力源を用意しなければならないこと、圧力系のデッドボリュームの大小に応じて、操作の応答特性が変化することなど、複雑な処理を自動化する必要がある。
本発明の製造方法における流体制御方法は、その目的によって適宜選ばれるが、好ましくは連続流動方式の圧力駆動方式である。
本発明の製造方法に用いられる流路内の温度制御は、流路を持つ装置全体を温度制御された容器中に入れることにより制御してもよいし、金属抵抗線やポリシリコンなどのヒーター構造を装置内に作り込み、加熱についてはこれを使用し、冷却については自然冷却でサーマルサイクルを行ってもよい。温度のセンシングは、金属抵抗線を使用する場合はヒーターと同じ抵抗線をもう一つ作り込んでおき、その抵抗値の変化に基づいて温度検出を行うのが好ましく、ポリシリコンを使用する場合は熱電対を用いて検出を行うのが好ましい。また、ペルチェ素子を流路に接触させることによって外部から加熱、冷却を行ってもよい。どの方法を用いるかは用途や流路本体の材料などに合わせて選択される。
本発明の製造方法において顔料の製造又は顔料分散液の調製は、流路の中を流れながら、すなわち連続フロー法で行われる。そのため反応時間は流路中に滞留する時間で制御される。滞留する時間は等価直径が一定である場合、流路の長さと反応液の導入速度で決まる。流路の長さには特に制限はないが、好ましくは1mm以上10m以下であり、更に好ましくは5mm以上10m以下で、特に好ましくは10mm以上5m以下である。
本発明に用いられる流路の数は、反応装置により適宜そなえられればよく、1つでも構わないが、必要に応じて流路を何本も並列化し(ナンバリングアップ)その処理量を増大させることが出来る。
本発明に用いられる好ましい反応装置の例を図1−1〜図4に示した。
図1−1はY字型流路を有する反応装置10の説明図であり、図1−2はそのI−I線の断面図である。流路の長さ方向に直交する断面の形は使用される微細加工技術により異なるが、台形または矩形に近い形である。流路幅・深さ(特にC,H)がマイクロサイズにて作られている場合、導入口11及び導入口12からポンプなどにより注入された溶液は導入流路13aまたは導入流路13bを経由して流体合流点13dにて接触し、安定な層流を形成して反応流路13cを流れる。そして層流として流れる間に層流間の界面における分子拡散により互いの層流に含まれる溶質の混合または反応が行われる。拡散の極めて遅い溶質は、層流間での拡散混合が起きず、排出口14に達した後に初めて混合する場合もある。注入される2つの溶液がフラスコ中で容易に混合するような場合には、流路長Fを長く取れば排出口では液の流れは均一な流れになりうるが、流路長Fが短い時には排出口まで層流が保たれる。注入される2つの溶液がフラスコ中で混合せず層分離する場合は、当然ながら2つの溶液は層流として流れて排出口14に到達する。
図2−1は片側に挿通した流路を設けた円筒管型流路を有する反応装置(20)の説明図であり、図2−2は同装置のIIa−IIa線の断面図であり、図2−3は同装置のIIb−IIb線の断面図である。流路の長さ方向に直交する断面の形は円かそれに近い形である。円筒管の流路直径(D,E)がマイクロサイズの場合、導入口21及び導入口22からポンプなどにより注入された溶液は導入流路23aと導入流路23bを通じて流体合流点23dにて接触し、安定な円筒層流を形成して反応流路23cを流れる。そして円筒層流として流れる間に層流間の界面における分子拡散により互いの層流に含まれる溶質の混合または反応が行われるのは上記図1−1の装置と同じである。円筒管型流路をもつ本装置は、上記図1−1の装置に比べて2液の接触界面を大きく取れること、更に接触界面が装置壁面に接触する部分がないため、固体(結晶)が反応により生成する場合など壁面との接触部分からの結晶成長などがなく、流路を閉塞する可能性が低いのが特徴である。
さらに、円筒管を多重に挿通して多重層流を形成する装置とすることもできる(例えば、導入流路23bの内側に、より小径の円筒管を挿通し、3重の層流を形成することができる)。
図3−1および図4は、2液の流れが層流のまま出口まで到達する場合、それらを分離できるように図1−1および図2−1の装置に改良を加えたものである。これらの装置を用いると反応と分離が同時にできる。また、最終的に2液が混合してしまって反応が進みすぎたり、結晶が粗大化したりすることを避けることができる。一方の液中に選択的に生成物や結晶が存在する場合には、生成物や結晶を2液が混合してしまう場合に比べて高濃度の状態で得ることができる。また、これらの装置を幾つか連結することにより、抽出操作が効率的に行われるなどのメリットがある。また、図4の装置についても、図2−1の装置と同様に多重層流を形成する多重円筒管を有する装置としてもよい。
本発明の製造方法において、アルカリ性または酸性の水性媒体に均一に溶解した有機顔料の溶液を、前記流路中を層流として流通させ、その過程で溶液の水素イオン指数(pH)を変化させて有機顔料微粒子またはそれを含有する分散液を製造することが好ましく、この点について詳しく説明する。
本発明に用いられる有機顔料は、色相的に限定されるものではなく、マゼンタ顔料、イエロー顔料、またはシアン顔料であることができる。詳しくは、ペリレン、ペリノン、キナクリドン、キナクリドンキノン、アントラキノン、アントアントロン、ベンズイミダゾロン、ジスアゾ縮合、ジスアゾ、アゾ、インダントロン、フタロシアニン、トリアリールカルボニウム、ジオキサジン、アミノアントラキノン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、イソインドリン、イソインドリノン、ピラントロンまたはイソビオラントロン系顔料またはそれらの混合物などのマゼンタ顔料、イエロー顔料、またはシアン顔料である。
更に詳しくは、たとえば、 C.I.ピグメントレッド190(C.I.番号71140)、C.I.ピグメントレッド224(C.I.番号71127)、C.I.ピグメントバイオレット29(C.I.番号71129)等のペリレン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ43(C.I.番号71105)、もしくはC.I.ピグメントレッド194(C.I.番号71100)等のペリノン系顔料、C.I.ピグメントバイオレット19(C.I.番号73900)、 C.I.ピグメントバイオレット42、C.I.ピグメントレッド122(C.I.番号73915)、C.I.ピグメントレッド192、C.I.ピグメントレッド202(C.I.番号73907)、C.I.ピグメントレッド207(C.I.番号73900、73906)、もしくはC.I.ピグメントレッド209(C.I.番号73905)のキナクリドン系顔料、C.I.ピグメントレッド206(C.I.番号73900/73920)、C.I.ピグメントオレンジ48(C.I.番号73900/73920)、もしくはC.I.ピグメントオレンジ49(C.I.番号73900/73920)等のキナクリドンキノン系顔料、C.I.ピグメントイエロー147(C.I.番号60645)等のアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントレッド168(C.I.番号59300)等のアントアントロン系顔料、C.I.ピグメントブラウン25(C.I.番号12510)、C.I.ピグメントバイオレット32(C.I.番号12517)、 C.I.ピグメントイエロー180(C.I.番号21290)、C.I.ピグメントイエロー181(C.I.番号11777) 、C.I.ピグメントオレンジ62(C.I.番号11775)、もしくはC.I.ピグメントレッド185(C.I.番号12516)等のベンズイミダゾロン系顔料、C.I.ピグメントイエロー93(C.I.番号20710)、C.I.ピグメントイエロー94(C.I.番号20038)、C.I.ピグメントイエロー95(C.I.番号20034)、C.I.ピグメントイエロー128(C.I.番号20037)、 C.I.ピグメントイエロー166(C.I.番号20035)、C.I.ピグメントオレンジ34(C.I.番号21115)、C.I.ピグメントオレンジ13(C.I.番号21110)、C.I.ピグメントオレンジ31(C.I.番号20050)、C.I.ピグメントレッド144(C.I.番号20735)、C.I.ピグメントレッド166(C.I.番号20730)、 C.I.ピグメントレッド220(C.I.番号20055)、C.I.ピグメントレッド221(C.I.番号20065)、C.I.ピグメントレッド242(C.I.番号20067)、C.I.ピグメントレッド248、C.I.ピグメントレッド262、もしくはC.I.ピグメントブラウン23(C.I.番号20060)等のジスアゾ縮合系顔料、C.I.ピグメントイエロー13(C.I.番号21100)、C.I.ピグメントイエロー83(C.I.番号21108)、もしくはC.I.ピグメントイエロー188(C.I.番号21094) 等のジスアゾ系顔料、 C.I.ピグメントレッド187(C.I.番号12486)、C.I.ピグメントレッド170(C.I.番号12475)、C.I.ピグメントイエロー74(C.I.番号11714)、C.I.ピグメントレッド48(C.I.番号15865)、C.I.ピグメントレッド53(C.I.番号15585)、C.I.ピグメントオレンジ64(C.I.番号12760)、もしくはC.I.ピグメントレッド247(C.I.番号15915)等のアゾ系顔料、C.I.ピグメントブルー60(C.I.番号69800)等のインダントロン系顔料、C.I.ピグメントグリーン7(C.I.番号74260)、C.I.ピグメントグリーン36(C.I.番号74265)、ピグメントグリーン37(C.I.番号74255)、ピグメントブルー16(C.I.番号74100)、C.I.ピグメントブルー75(C.I.番号74160:2)、もしくは15(C.I.番号74160)等のフタロシアニン系顔料、C.I.ピグメントブルー56(C.I.番号42800)、もしくはC.I.ピグメントブルー61(C.I.番号42765:1)等のトリアリールカルボニウム系顔料、C.I.ピグメントバイオレット23(C.I.番号51319)、もしくはC.I.ピグメントバイオレット37(C.I.番号51345)等のジオキサジン系顔料、C.I.ピグメントレッド177(C.I.番号65300)等のアミノアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントレッド254(C.I.番号56110)、C.I.ピグメントレッド255(C.I.番号561050)、C.I.ピグメントレッド264 、C.I.ピグメントレッド272(C.I.番号561150)、C.I.ピグメントオレンジ71、もしくはC.I.ピグメントオレンジ73等のジケトピロロピロール系顔料、C.I.ピグメントレッド88(C.I.番号73312)等のチオインジゴ系顔料、C.I.ピグメントイエロー139(C.I.番号56298)、C.I.ピグメントオレンジ66(C.I.番号48210)等のイソインドリン系顔料、C.I.ピグメントイエロー109(C.I.番号56284)、もしくはC.I.ピグメントオレンジ61(C.I.番号11295)等のイソインドリノン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ40(C.I.番号59700)、もしくはC.I.ピグメントレッド216(C.I.番号59710)等のピラントロン系顔料、またはC.I.ピグメントバイオレット31(60010)等のイソビオラントロン系顔料である。
好ましい顔料は、キナクリドン、ジケトピロロピロール、ジスアゾ縮合、またはフタロシアニン系顔料であり、特に好ましくはキナクリドン、ジスアゾ縮合、またはフタロシアニン系顔料である。本発明の製造方法において、2種類以上の有機顔料または有機顔料の固溶体または有機顔料と無機顔料の組み合わせも使用することができる。
有機顔料は、媒体に均一に溶解されなければならないが、酸性で溶解するかアルカリ性で溶解するかは対象とする顔料がどちらの条件で均一に溶解し易いかで選択される。一般に分子内にアルカリ性で解離可能な基を有する顔料の場合はアルカリ性が、アルカリ性で解離する基が存在せず、プロトンが付加しやすい窒素原子を分子内に多く有するときは酸性が用いられる。例えば、キナクリドン、ジケトピロロピロール、ジスアゾ縮合系顔料はアルカリ性で、フタロシアニン系顔料は酸性で溶解される。
アルカリ性で溶解させる場合に用いられる塩基は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、もしくは水酸化バリウムなどの無機塩基、またはトリアルキルアミン、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、金属アルコキシドなどの有機塩基であるが、好ましくは無機塩基である。
使用される塩基の量は、顔料を均一に溶解可能な量であり、特に限定されないが、無機塩基の場合、好ましくは顔料に対して1.0〜30モル当量であり、より好ましくは2.0〜25モル当量であり、さらに好ましくは3〜20モル当量である。有機塩基の場合、好ましくは顔料に対して1.0〜100モル当量であり、より好ましくは5.0〜100モル当量であり、さらに好ましくは20〜100モル当量である。
酸性で溶解させる場合に用いられる酸は、硫酸、塩酸、もしくは燐酸などの無機酸、または酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、メタンスルホン酸、もしくはトリフルオロメタンスルホン酸などの有機酸であるが好ましくは無機酸である。特に好ましくは硫酸である。
使用される酸の量は、顔料を均一に溶解可能な量であり、特に限定されないが、塩基に比べて過剰量用いられる場合が多い。無機酸および有機酸の場合を問わず、好ましくは顔料に対して3〜500モル当量であり、より好ましくは10〜500モル当量であり、さらに好ましくは30〜200モル当量である。
次に水性媒体について説明する。本発明における水性媒体とは水単独または水に可溶な有機溶媒の混合溶媒である。有機溶媒の添加は、顔料や分散剤を均一に溶解するために水のみでは不十分な場合、および流路中を流通するのに必要な粘性を得るのに水のみで不十分な場合、層流の形成に必要な場合に行われるものであり、必ずしも必要ではないが、多くの場合は水溶性有機溶媒が添加される。添加される有機溶媒は例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、もしくはトリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール系溶媒、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、もしくはトリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールの低級モノアルキルエーテル系溶媒、エチレングリコールジメチルエーテル(モノグライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、もしくはトリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)等のポリエーテル系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、尿素、もしくはテトラメチル尿素等のアミド系溶媒、スルホラン、ジメチルスルホキシド、もしくは3−スルホレン等の含イオウ系溶媒、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能系溶媒、酢酸、マレイン酸、ドコサヘキサエン酸、トリクロロ酢酸、もしくはトリフルオロ酢酸等のカルボン酸系溶媒、メタンスルホン酸、もしくはトリフルオロスルホン酸等のスルホン酸系溶媒が挙げられる。これらの溶媒を2種以上混合して用いてもよい。
好ましい有機溶媒は、アルカリ性の場合はアミド系溶媒または含イオウ系溶媒であり、酸性の場合はカルボン酸系溶媒、イオウ系溶媒またはスルホン酸系溶媒であるが、更に好ましくはアルカリ性の場合は含イオウ系溶媒であり、酸性の場合はスルホン酸系溶媒である。特に好ましくは、アルカリ性の場合はジメチルスルホキシド(DMSO)、酸性の場合はメタンスルホン酸である。
水と有機溶媒の混合比は均一溶解できればよい比率であり、特に限定は無い。好ましくはアルカリ性の場合には水/有機溶媒=0.05〜10(質量比)である。酸性の場合で無機酸を用いる場合は、有機溶媒を使わず、例えば硫酸単独で用いるのが好ましい。有機酸を用いるときは有機酸自身が有機溶媒であり、粘性と溶解性を調整するために複数の酸を混合したり、水を添加する。好ましくは水/有機溶剤(有機酸)=0.005〜0.1(質量比)である。
本発明の製造方法では、均一に溶解した溶液を流路に投入することが好ましい。懸濁液を投入すると粒子サイズが大きくなったり、粒子分布が広い顔料微粒子になる。場合によっては容易に流路を閉塞してしまう。「均一に溶解」の意味は可視光線下で観測した場合にほとんど濁りが観測されない溶液であり、本発明では1μm以下のミクロフィルターを通して得られる溶液、または1μmのフィルターを通した場合に濾過される物を含まない溶液を均一に溶解した溶液と定義する。
次に水素イオン指数(pH)について説明する。水素イオン指数(pH)は、水素イオン濃度(モル濃度)の逆数の常用対数であり、水素指数と呼ばれることもある。水素イオン濃度とは、溶液中の水素イオンHの濃度であり、1Lの溶液中に存在する水素イオンのモル数を意味する。水素イオン濃度は非常に広い範囲で変化するので通常は水素イオン指数(pH)を用いて表す。例えば、純粋な水は1気圧、25℃では10−7モルの水素
イオンを含むから、そのpHは7で中性である。pH<7の水溶液は酸性、pH>7の水溶液はアルカリ性である。pHの値を測定する方法としては、電位差測定法および比色測定法がある。
本発明の製造方法では、流路中を流通する過程で水素イオン指数(pH)を変化させ、顔料微粒子を製造することが好ましく、その方法は有機顔料の均一溶液の導入口とは異なる導入口を有する流路、例えば図1−1、又は図2−1に示されるような少なくとも2つの導入口を有する流路を用いて行われる。詳しくは、図1−1の導入口11、または図2−1の導入口21に有機顔料の均一溶液を導入し、図1−1の導入口12、または図2−1の導入口22に中性、酸性またはアルカリ性の水、またはそれらに分散剤を溶解した水溶液を導入し、両液を流路13c又は23c中で接触させることにより有機顔料を含む溶液の水素イオン濃度、すなわち水素イオン指数(pH)を中性(pH7)の方向に変化させる。流路の等価直径がマイクロスケールの場合は、レイノルズ数が小さいため安定な層流(図2−1では円筒層流)を形成し、両液の層間の安定界面を介して水やイオンが拡散移動して徐々に有機顔料を含む溶液の水素イオン指数(pH)が中性方向に変化する。顔料は低いアルカリ性または低い酸性では水性媒体に溶解しにくくなるため、有機顔料を含む溶液の水素イオン指数(pH)が中性方向に変化するに従い、徐々に微粒子として析出する。
水素イオン指数(pH)の変化は、アルカリ性水性媒体に溶解した顔料から顔料微粒子を製造する場合は、おおむね変化はpH16.0〜5.0の範囲内での変化であり、好ましくはpH16.0〜10.0の範囲内での変化である。酸性水性媒体に溶解した顔料から顔料微粒子を製造する場合は、おおむね変化はpH1.5〜9.0の範囲内での変化であり、好ましくはpH1.5〜4.0の範囲内での変化である。変化の幅は有機顔料溶液の水素イオン指数(pH)の値によるが、有機顔料の析出をうながすのに十分な幅でよい。
マイクロスケールの流路中で生成した顔料微粒子は、拡散せず一方の層流に含まれたまま出口へと流れるので、図3−1または図4に示されるように設計された出口を持つ流路装置を用いると、有機顔料微粒子を含む層流を分離することが出来る。この方法を用いると、濃厚な顔料分散液を得ることができると同時に、均一溶液を調製するために用いた水溶性有機溶媒、アルカリ性や酸性水、および過剰な分散剤を除去できるので有利である。また、最終的に2液が混合してしまうことにより、結晶が粗大化したり、顔料の結晶が変質することを避けることができる。
顔料微粒子を製造する場合の流路内における反応温度は、溶媒が凝固、あるいは気化しない範囲内であることが望ましいが、好ましくは、−20〜90℃、より好ましくは0〜50℃である。特に好ましくは5〜15℃である。
顔料微粒子を製造する場合の流路内を流れる流体の速度(流速)は、流体制御装置の制約、もしくは得られる微粒子のサイズにより適宜設定することができるが、好ましくは0.1mL/hr〜300L/hr、0.2mL/hr〜30L/hrがより好ましく、0.5mL/hr〜15L/hrがさらに好ましく、1mL/hr〜6L/hrが特に好ましい。
本発明の製造方法において、流路を流れる基質(有機顔料やその反応成分)の濃度範囲は、通常0.5〜20質量%が好ましく、1.0〜10質量%がより好ましい。
本発明の有機顔料微粒子を製造する方法では、有機顔料溶液および有機顔料溶液と接触させる溶液(例えば、水素イオン指数(pH)を変化させるための水溶液であって水性媒体など)の両方もしくは一方に分散剤を添加することができる。このとき1つの溶液に対して、分散剤を1種でも2種以上組み合わせて添加してもよいが、有機顔料溶液に少なくとも1つの分散剤を添加することが好ましく、有機顔料溶液に少なくとも1つの高分子分散剤を添加することがより好ましい。分散剤は(1)析出した顔料表面に素早く吸着して、微細な顔料粒子を形成し、かつ(2)これらの粒子が再び凝集することを防ぐ作用を有するものである。
本発明では、高分子分散剤とともに含有させる分散剤として、アニオン性、カチオン性、両イオン性、ノニオン性もしくは顔料性の、低分子もしくは高分子分散剤を使用することができる。なお、高分子分散剤の分子量は溶液に均一に溶解できるものであれば制限なく用いることができるが、好ましくは分子量1,000〜2,000,000であり、5,000〜1,000,000がより好ましく、10,000〜500,000がさらに好ましく、10,000〜100,000が特に好ましい。(本発明においては、特に断りのない限り、分子量とは重量平均分子量を意味する。高分子化合物は多分散系であり、必ずしも同一の分子量または粒子量を持たない。したがって、分子量を測定すると得られた値はなんらかの形で平均された平均分子量になる。その主なものは次の3種類である。すなわち、1)数平均分子量Mn、2)重量平均分子量Mw、3)Z平均分子量Mzであり、Mn<Mw<Mzの関係が成立する。)顔料の分散に用いる分散剤に関しては、「顔料分散安定化と表面処理技術・評価」(化学情報協会、2001年12月発行)の29〜46頁に詳しく記載されている。
好ましく用いられる高分子分散剤としては、具体的には、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリルアミド、ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール−部分ホルマール化物、ポリビニルアルコール−部分ブチラール化物、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロック共重合体、ポリアクリル酸塩、ポリビニル硫酸塩、ポリ(4−ビニルピリジン)塩、ポリアミド、ポリアリルアミン塩、縮合ナフタレンスルホン酸塩、スチレン−アクリル酸塩共重合物、スチレン−メタクリル酸塩共重合物、アクリル酸エステル−アクリル酸塩共重合物、アクリル酸エステル−メタクリル酸塩共重合物、メタクリル酸エステル−アクリル酸塩共重合物、メタクリル酸エステル−メタクリル酸塩共重合物、スチレン−イタコン酸塩共重合物、イタコン酸エステル−イタコン酸塩共重合物、ビニルナフタレン−アクリル酸塩共重合物、ビニルナフタレン−メタクリル酸塩共重合物、ビニルナフタレン−イタコン酸塩共重合物、セルロース誘導体、澱粉誘導体などが挙げられる。その他、アルギン酸塩、ゼラチン、アルブミン、カゼイン、アラビアゴム、トンガントゴム、リグニンスルホン酸塩などの天然高分子類も使用できる。なかでも、ポリビニルピロリドンが好ましい。これら高分子は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
アニオン性分散剤(アニオン性界面活性剤)としては、N−アシル−N−アルキルタウリン塩、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等を挙げることができる。なかでも、N−アシル−N−アルキルタウリン塩が好ましい。N−アシル−N−アルキルタウリン塩としては、特開平3−273067号明細書に記載されているものが好ましい。これらアニオン性分散剤は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
カチオン性分散剤(カチオン性界面活性剤)には、四級アンモニウム塩、アルコキシル化ポリアミン、脂肪族アミンポリグリコールエーテル、脂肪族アミン、脂肪族アミンと脂肪族アルコールから誘導されるジアミンおよびポリアミン、脂肪酸から誘導されるイミダゾリンおよびこれらのカチオン性物質の塩が含まれる。これらカチオン性分散剤は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
両イオン性分散剤は、前記アニオン性分散剤が分子内に有するアニオン基部分とカチオン性分散剤が分子内に有するカチオン基部分を共に分子内に有する分散剤である。
ノニオン性分散剤(ノニオン性界面活性剤)としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステルなどを挙げることができる。なかでも、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルが好ましい。これらノニオン性分散剤は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
顔料性分散剤とは、親物質としての有機顔料から誘導され、その親構造を化学修飾することで製造される顔料性分散剤と定義する。例えば、糖含有顔料分散剤、ピペリジル含有顔料分散剤、ナフタレンまたはペリレン誘導顔料分散剤、メチレン基を介して顔料親構造に連結された官能基を有する顔料分散剤、ポリマーで化学修飾された顔料親構造、スルホン酸基を有する顔料分散剤、スルホンアミド基を有する顔料分散剤、エーテル基を有する顔料分散剤、あるいはカルボン酸基、カルボン酸エステル基またはカルボキサミド基を有する顔料分散剤などがある。
好ましい態様として、アニオン性分散剤を水性媒体(有機顔料溶液と接触させる溶液)に含有させ、高分子分散剤を(必要に応じて、ノニオン性分散剤とともに)有機顔料の溶液に含有させ、両者を接触させる方法などを挙げることができる。
分散剤は、顔料の均一分散性および保存安定性をより一層向上させる。本願発明の製造方法によれば、有機顔料溶液に含有させる分散剤の量を増やすと、得られる有機顔料微粒子のサイズをより小さくすることができる。含有させる分散剤の量は、顔料質量部に対して0.01〜20質量部の範囲で変化させることが好ましく、0.05〜10質量部の範囲で変化させることがより好ましく、0.1〜5質量部の範囲で変化させることが特に好ましい。さらに、本願発明の製造方法によれば、粒径を大きく、また小さくするという相対的な制御のみならず、高分子分散剤の含有量を調節して、具体的に目的とする粒子サイズの微粒子を得ることができる。
好ましい態様として、例えば、高分子分散剤の添加量を3倍量としたときに粒径200nmの顔料微粒子が得られる条件下において、添加量を1倍量にすれば200〜300nmの微粒子とすることができ、5倍量にすれば100〜150nmの微粒子とすることができる。その他の好ましい態様として、例えば、高分子分散剤の添加量を3倍量としたときに粒径50nmの顔料微粒子が得られる条件下において、添加量を1倍量にすれば80〜120nmの微粒子とすることができ、5倍量にすれば10〜20nmの微粒子とすることができる。
少なすぎると有機顔料微粒子の分散安定性が向上しない場合があり、多すぎると粘度が上昇して顔料を得る操作が困難になる場合がある。
微粒子の計測法において、数値化して集団の平均の大きさを表現する方法があるが、よく使用されるものとして、分布の最大値を示すモード径、積分分布曲線の中央値に相当するメジアン径、および各種の平均径(長さ平均、面積平均、重量平均など)がある(本発明においては、特に断らない限り、粒径とはメジアン径をいう。)。本発明の方法で製造される有機顔料微粒子の粒径は流路を閉塞しない範囲で任意であるが、1μm以下であり、3nm〜800nmが好ましく、5nm〜500nmが特に好ましい。また、インクジェット用のインクとするときには、150nm以下が好ましく、80nm以下がより好ましく、50nm以下が特に好ましい。
微粒子の粒子サイズが揃っていること、すなわち単分散微粒子は、含まれる粒子の大きさが揃っているだけではなく、粒子内の化学組成や結晶構造にも粒子間の変動がないことを示すので粒子の性能を決める重要な要素である。特に粒子サイズがナノメートルの超微粒子においてはその粒子の特性を支配する因子として重視される。本発明の製造方法は粒子の大きさを制御できるだけでなく、そのサイズを揃える点でも優れた方法である。サイズが揃っていることを表す指標として算術標準偏差値が用いられるが、本発明により製造される顔料微粒子の算術標準偏差値は、好ましくは130nm以下であり、特に好ましくは80nm以下である。算術標準偏差値は、粒度分布を正規分布とみなして標準偏差を求める方法で、積算分布の84%粒子径から、16%粒子径を減じた値を2で除した値である。
本発明の製造方法によれば、1μm以下という微小な粒径にもかかわらず、顔料微粒子(もしくはその分散液)を所望の粒子サイズで得ることができ、さらに単分散性も有するため、光学濃度が高く、画像表面の均一性に優れ、彩度が高く鮮明なインクとすることができる。
本発明の製造方法には、前述の溶媒のほか、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジグライムなどのエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、メチルエチルケトン、2−メチル−4−ペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類、エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどのアルコール類、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルイミダゾリドンなどのアミド系溶媒、ジメチルスルホキシド、スルホランなどの含硫黄系溶媒などが挙げられる。また、必要に応じて、例えばインク組成物に添加される水溶性有機溶媒、その他の成分をさらに添加してもよい。これら溶媒成分は、例えば、特開2002−194263、同2003−26972の各公報に記載のあるような顔料分散剤の構成要素を適用することができる。
流通させる溶液は互いに混じり合う流体同士でもよく、混じり合わない流体同士でも構わない。混じり合う流体同士とは、同じもしくは比較的性質の近い有機溶媒を用いた溶液同士、あるいはメタノールなどの極性の高い有機溶媒を用いた溶液と水などであり、混じり合わない流体同士とは、ヘキサンなどの低極性の溶媒を用いた溶液とメタノールなどの高極性の溶媒を用いた溶液があげられる。
空気または酸素などの気体を酸化剤として反応に関与させる場合、それらは反応流体に溶解させるか、または流路内に気体として導入する方法を取ることができ、気体として導入する方法が好ましい。
得られた顔料分散液は、濾過または遠心分離により反応液から分離するこができ、例えばN,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒でよく洗浄して高純度で得ることができる。
顔料の純度の測定は、例えばキナクリドンの場合、キナクリドンを取り出して洗浄、十分乾燥した後に、次の方法により決定することができる。キナクリドンを精秤して(例えば、2mg程度)、濃硫酸(例えば、10℃以下で100mLの95%濃硫酸)に溶解させ、UV吸収を測定し、吸収値を求め(例えば、606nmでの吸収値)、標準品の同波長での吸収値と比較して純度とすることができる。また、置換キナクリドンについては、無置換のものと比較して波長がシフトするので、測定すべき置換キナクリドンの標準品の最適波長を調節して同様に決定することができる。
ジスアゾ縮合顔料の純度の測定は、ジスアゾ縮合顔料を取り出して洗浄、十分乾燥し、水酸化ナトリウム−ジメチルスルホキシド混合溶媒などにより可溶化させた顔料溶液と純度の定まっている標準品との吸収スペクトルを比較することにより決定することができる。
以下に本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例に示すpHは、東亜電波工業(株)のガラス電極式水素イオン濃度計HM−40V(測定範囲pH0〜14)で測定した。
(実施例1)
2,9−ジメチルキナクリドン0.075g(クラリアント社、HOSTAPERM PINK E)をジメチルスルホキシド6.675mL、0.8mol/L水酸化カリウム水溶液 0.825mL、分散剤ポリビニルピロリドン(和光純薬(株)製、K15、分子量10,000) 0.0375g(顔料に対して0.5倍量)に室温で溶解した(IA液)。IA液のpHは測定限界(pH14)を超えていた。
分散剤N−オレオイル−N−メチルタウリンナトリウム塩0.75gと蒸留水90mLを混合した(IIA液)。IIA液のpHは6.9であった。
これらを0.45μmのミクロフィルター(富士写真フイルム(株)製)を通すことでごみ等の不純物を除いた。次に、図1−1の反応装置を用いて下記の手順で反応を行った。等価直径500μmを有するテフロン(登録商標)製Y字コネクターの二つの入り口に長さ50cm、等価直径1mmのテフロン(登録商標)チューブ2本をコネクタにより接続し、その先にそれぞれIA液とIIA液を入れたシリンジを繋ぎ、ポンプにセットした。コネクタの出口には長さ1m、等価直径500μmを有するテフロン(登録商標)チューブを接続した。Y字コネクターを氷水で5℃に冷却し、IA液を1mL/h、IIA液を6mL/hの送液速度にて送り出すと流路内は層流(レイノルズ数;約5.0)となり、2,9−ジメチルキナクリドンの分散液が得られたのでこれをチューブの先端より捕集した。捕集した分散液のpHは12.4であった。得られた分散液中の微粒子の粒径を動的光散乱粒径測定装置により測定したところ、メジアン径(体積表示)418nmであった。
(実施例2)
実施例1におけるIA液中に添加するポリビニルピロリドンの添加量を顔料に対して3倍量または5倍量にした以外は実施例1と同様にして微粒子分散液の製造を行い、得られた微粒子のメジアン径(体積表示)を測定した。結果を実施例1の結果と合わせて表1に示した。なお、いずれの場合にも流路中の溶液は層流を形成していた。
Figure 0004601433
(実施例3)
実施例1におけるIA液に添加するポリビニルピロリドンの分子量を360,000(和光純薬(株)製、K90)に替え、添加量を顔料に対して1倍量、3倍量、5倍量、または10倍量とした以外は実施例1と同様にして微粒子分散液の製造を行い、得られた微粒子のメジアン径(体積表示)を測定した。結果を表2に示した。なお、いずれの場合にも流路中の溶液は層流を形成していた。
Figure 0004601433
(実施例4)
ピグメントイエロー128(チバスペシャリティケミカル社、CROMOPHTAL YELLOW 8GN)0.375gを、ジメチルスルホキシド6.675mL、8mol/L水酸化カリウム水溶液 0.23mL、分散剤ポリビニルピロリドン(和光純薬(株)製、K30、分子量40000) 0.375g(顔料に対して1.0倍量)に室温で溶解した(IB液)。IB液のpHは測定限界(pH14)を超えていた。
分散剤N−オレオイル−N−メチルタウリンナトリウム塩0.75gと蒸留水90mLを混合した(IIB液)。IIB液のpHは6.9であった。
これらを0.45μmのミクロフィルター(富士写真フイルム(株)製)を通すことでごみ等の不純物を除いた。次に、図1−1の反応装置を用いて下記の手順で反応を行った。等価直径500μmを有するテフロン(登録商標)製Y字コネクターの二つの入り口に長さ50cm、等価直径1mmのテフロン(登録商標)チューブ2本をコネクタにより接続し、その先にそれぞれIB液とIIB液を入れたシリンジを繋ぎ、ポンプにセットした。コネクタの出口には長さ1m、等価直径500μmを有するテフロン(登録商標)チューブを接続した。室温下でIB液を1mL/h、IIB液を6mL/hの送液速度にて送り出すと流路内は層流(レイノルズ数;約5.0)となり、ピグメントイエロー128の分散液が得られたのでこれをチューブの先端より捕集した。捕集した分散液のpHは12.6であった。得られた分散液中の微粒子の粒径を動的光散乱粒径測定装置により測定したところ、メジアン径(体積表示)47.1nmであった。
(実施例5)
実施例4におけるIB液中に添加するポリビニルピロリドンの添加量を顔料に対して3倍量または5倍量にした以外は実施例4と同様にして微粒子分散液の製造を行い、得られた微粒子のメジアン径(体積表示)を測定した。結果を実施例4の結果と合わせて表3に示した。なお、いずれの場合にも流路中の溶液は層流を形成していた。
Figure 0004601433
(比較例1)
実施例1で用いたIIA液6mLをビーカーに用意し、撹拌子を用いて撹拌しながら、5℃の温度下で、IA液中に添加するポリビニルピロリドンの分子量を360,000(和光純薬(株)製、K90)に替え、その添加量を顔料に対して1倍量、3倍量、5倍量、または10倍量とした溶液1mLを添加して2,9−ジメチルキナクリドンの微粒子分散液を得た。それぞれ得られた分散液中の微粒子の粒径を動的光散乱粒径測定装置により測定したところ、メジアン径(体積表示)は約10〜15nmの範囲でばらつき、IA液中のポリビニルピロリドンの添加量(顔料に対して1倍量、3倍量、5倍量、および10倍量)と粒径の間に相関性はみられなかった。
(実施例6)
実施例1で用いたIA液において、分散剤ポリビニルピロリドンのみを除いた溶液を調製しIC液とした。IA液に替えてIC液を用いた以外、実施例1と同様にして分散液の捕集をした。得られた分散液中の微粒子の粒径を動的光散乱粒径測定装置により測定したところ、メジアン径(体積表示)740nmであった。
(比較例2)
IA液に替えてIC液を用い、IIA液に替え水を用いた以外、実施例1と同様にして分散液の捕集を試みた。しかしながら、しばらくして流路が閉塞してしまった。この結果は明らかに粒子サイズが大きくなったことを意味しており、分散剤存在下で反応させることが必要であるといえる。
これらの結果から、本発明の方法によれば、従来不可能であった微粒子形状の制御が可能であり、広い範囲で目的のサイズの微粒子が得られることが分かった。
片側にY字型流路を有する反応装置の説明図である 図1−1のI−I線の断面図である 片側に挿通した流路を設けた円筒管型流路を有する反応装置の説明図である 図2−1のIIa−IIa線の断面図である 図2−1のIIb−IIb線の断面図である 両側にY字型流路を有する反応装置の説明図である 図3−1のIII−III線の断面図である 両側に挿通した流路を設けた円筒管型流路を有する反応装置の説明図である
符号の説明
10、20、30、40 反応装置本体
11、12、21、22、31、32、41、42 導入口
13、33 流路
13a、13b、23a、23b、33a、33b、43a、43b 導入流路
13c、23c、33c、43c 反応流路
13d、23d、33d、43d 流体合流点
33e、43e 流体分流点
33f、33g、43f、43g 排出流路
14、24、34、35、44、45 排出口

Claims (11)

  1. 分散剤を少なくとも一つ含有する媒体に有機顔料を溶解した有機顔料溶液と、その溶液のpH調整用溶液とを流路(チャンネル)中を層流として接触流通させ、その流通過程で有機顔料溶液の水素イオン指数(pH)を変化させるとともに、前記分散剤の含有量を顔料1質量部に対して0.01〜20質量部の範囲で調節して、前記分散剤の量を増やして微粒子サイズを小さくするようにし、平均粒径1μm以下のサイズの微粒子を制御して得ることを特徴とする有機顔料微粒子の製造方法。
  2. 前記有機顔料溶液がアルカリ性であることを特徴とする請求項1に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
  3. 前記有機顔料溶液が、有機溶媒を含む媒体に有機顔料を溶解した均一溶液であることを特徴とする請求項1または2記載の有機顔料微粒子の製造方法。
  4. 前記流路の等価直径が10mm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
  5. 前記分散剤が高分子分散剤であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
  6. 有機顔料微粒子が、その分散液として得られる請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
  7. 前記流路の等価直径が1mm以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
  8. 層流の流路がマイクロ反応場であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
  9. 前記微粒子の粒径における標準偏差を130nm以下とすることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
  10. 前記pHの変化を、pH16.0〜pH5.0の範囲で行い、アルカリ性から中性方向に変化させることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
  11. 前記高分子分散剤の重量平均分子量が1,000〜2,000,000であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
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