JP2007284665A - 有機顔料微粒子の製造方法、ならびにそれにより得られる有機顔料微粒子およびその分散液 - Google Patents
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Abstract
【課題】ビルドアップ法により、粒径が極めて小さく、単分散性の高い、溶媒分散性の良好な有機顔料微粒子を効率的に得ることができる製造方法、それにより得られる有機顔料微粒子、さらにその有機顔料微粒子を有機溶媒中に安定に分散させた分散液を提供する。
【解決手段】有機溶媒可溶性の有機顔料可溶体の有機溶媒溶液を流通式反応装置中に導入し、流通過程で有機顔料可溶体を有機顔料に変換する有機顔料微粒子の製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】有機溶媒可溶性の有機顔料可溶体の有機溶媒溶液を流通式反応装置中に導入し、流通過程で有機顔料可溶体を有機顔料に変換する有機顔料微粒子の製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は有機顔料微粒子の製造方法に関する。詳しくは有機溶媒中で安定に分散しうる有機顔料微粒子の製造方法、それにより得られる有機顔料微粒子、およびそれを含有する分散液に関する。
インクジェット印刷技術は1960年代から実用化を目指した本格的な研究が開始され、パーソナルユースのコンピュータ、ネットワーク等のデジタル情報技術の進歩とともに経済性の高い印刷技術として1980〜1990年代に急速に発展した。その後、画像を形成するインクに用いる染料および顔料色材とそれらのインク調合技術、インク吐出技術、記録媒体への浸透・乾燥技術等の画質向上技術が進歩し、最近ではその画質と耐久性は銀塩写真の画質に接近または凌駕したとするインクジェットプリンターが開発されてきている。
インクジェット用インクはインク吐出方式(ピエゾ方式やバブルジェット(登録商標)方式等)、さらにノズル特性に合わせて組成、分散媒、粘度、表面張力、比重などの物性を制御する必要があり、このマッチングが良くないと正常な印刷に支障が生じる。通常のコンピュータ出力用インクジェットプリンターで使用するインクは水溶性染料を水系溶媒に溶解した水性染料インクである。しかしながら水性染料インクで印刷された場合、耐光性、耐酸化性、耐水性が低い。
それらを改良するためにカーボンブラックや有機顔料の使用が検討され、顔料微粒子を水に分散した水性顔料インクが用いられるようになった。水性顔料インクにより得られた画像は、染料系のインクによる画像に較べて耐光性、耐水性に優れるという特筆すべき利点を有する。
水性インクの場合、記録媒体が液吸収性のある紙では有効であるが、プラスチック、金属、セラミックスなどの媒体に印刷することはできない。そこで一般印刷と同様の有機溶媒をベースとする溶剤・油性インク、常温では固体であるが加熱溶融状態で吐出するソリッド(固体、相変化ともいう)インク、更には紫外線、電子線などの電磁波照射で媒体表面に着弾すると同時に硬化させるUV硬化(紫外線、電子線、放射線などの電磁波を用いる硬化全般を含む)型インクなどが開発されてきた。
これらのうちUV硬化型インクジェット用インクには色材として顔料が使用されている。有機溶媒(溶剤)として光重合性のモノマー、オリゴマーを用いるので顔料をこれらに安定に分散させなければならない。その分散液は一般にブレークダウン法で作製され、例えば顔料と分散剤およびモノマーの混合物を低温でビーズミルにて分散するのが一般的である。この方法では、顔料粒子サイズを100nm以下にするのは容易でなく、一般に画像形成に好ましいといわれる50nm以下の均一性のよいものにするのは困難であり、ましてやその工業的実施は困難を極めていた。そのため50nm以下の微粒子分散液を大量に製造可能とする方法の開発が望まれていた。
デジタルカメラのCCDセンサーや液晶ディスプレイに用いられているカラーフィルターには有機溶媒に分散可能な有機顔料微粒子が用いられており、画質向上のためにカラーフィルターの薄層化が望まれている。そしてカラーフィルターの厚さは有機顔料の粒子径に大きく依存する。そのため、例えば50nm以下の、有機溶媒中で安定な顔料微粒子を大量に製造しうる方法の開発が望まれている。
このように様々な分野で有機溶媒に分散可能な有機顔料微粒子およびその分散剤、とりわけナノメートルサイズの顔料微粒子分散液を効率的に製造する方法の開発への期待は高まっている。
このように様々な分野で有機溶媒に分散可能な有機顔料微粒子およびその分散剤、とりわけナノメートルサイズの顔料微粒子分散液を効率的に製造する方法の開発への期待は高まっている。
これに対し再沈法と呼ばれる方法がある(特許文献1、2、および非特許文献1参照)。この方法には電子・光特性に興味が持たれるπ−共役系有機・高分子物質(たとえばポリジアセチレン、ペリレン、フラーレンなどの低分子芳香族化合物、有機イオウ性色素)や有機顔料のナノ結晶化に適用可能であり、汎用性が高い。再沈法には幾つかの態様があり、微粒子化したい有機化合物をよく溶かす溶媒(良溶媒)に該有機化合物を溶かし、その溶液を該有機化合物をほとんど溶かさない溶媒(貧溶媒)中に激しく攪拌しながら注入し再沈殿・析出させる態様、該有機化合物を通常の条件下では溶解しにくい溶媒に超臨界状態で溶解させ、冷却用溶媒との混合でナノ結晶化させる態様(超臨界再沈法)などがある。しかし、いずれの態様も、溶液の攪拌下に微粒子化するものである。そのためスケールアップ時の攪拌効果が不均一となり、粒度分布等の点から小スケール時の微粒子特性の再現が極めて難しい。
一方、近年、微小な流路断面積の反応路を用いて化学反応をおこなう技術、いわゆる「マイクロ化学プロセス技術」が注目されている(非特許文献2)。「マイクロ化学プロセス技術」とは、マイクロ加工技術などにより固体基板上に作成された幅数μm〜数百μmのマイクロ流路内で発現する化学・物理現象を利用した物質生産・化学分析技術である。
マイクロ空間ではレイノルズ数が小さいので層流支配であり、混合は界面を通じた分子拡散により行われる場合が多い。そしてマイクロ空間では界面の比表面積は大きく、分子移動距離は少なくてすむので界面を通じた分子拡散により瞬時に混合が行われる。よって通常のマクロなスケールでの攪拌装置による乱流混合に比べて精密高速混合が可能となる。また、一般にフローで反応を行うので流速も精密コントロールでき、従って、精密に反応時間の制御が行える。更に熱移動が容易であるため、精密温度コントロールも可能である。
具体的に顔料微粒子分散液を製造する方法として、アルカリに溶解した顔料溶液をマイクロ流路中でpH変換する方法が最近開示された(特許文献3参照)。しかしながら、該方法は水に分散した顔料微粒子の製造方法に関するものであり、有機溶媒中に分散したものではない。
マイクロ空間ではレイノルズ数が小さいので層流支配であり、混合は界面を通じた分子拡散により行われる場合が多い。そしてマイクロ空間では界面の比表面積は大きく、分子移動距離は少なくてすむので界面を通じた分子拡散により瞬時に混合が行われる。よって通常のマクロなスケールでの攪拌装置による乱流混合に比べて精密高速混合が可能となる。また、一般にフローで反応を行うので流速も精密コントロールでき、従って、精密に反応時間の制御が行える。更に熱移動が容易であるため、精密温度コントロールも可能である。
具体的に顔料微粒子分散液を製造する方法として、アルカリに溶解した顔料溶液をマイクロ流路中でpH変換する方法が最近開示された(特許文献3参照)。しかしながら、該方法は水に分散した顔料微粒子の製造方法に関するものであり、有機溶媒中に分散したものではない。
他方、着色フィルムを作製する技術が開示されている。ここでは、化学的、熱的、または光分解的手段によって不溶性顔料粒子に変換されうる可溶性顔料前駆物質を用い、熱等によって架橋等し構造化されうるレジスト組成物が開示されている(特許文献4)。ここで得られるフィルムは、顔料粒子に変換する際に可溶性顔料前駆物質の一部が離脱して揮発するためポリマー膜厚の不均一な減少をもたらす。そのため、寸法精度、特に塗膜の平滑性が低い。これを解決すべく、不溶性顔料に変換され得る可溶性顔料前駆物質、前記可溶性顔料前駆物質を溶解し得る溶媒、及び前記不溶化された顔料の前記溶媒中での分散性を安定化させ得る構造ないし官能基を有する有機物からなる安定化剤を含んでなる溶液を用意し、前記可溶性顔料前駆物質を不溶性顔料に変換することによって、溶媒中に不溶化された顔料が安定に分散して存在する着色材料を得る着色材料の製造方法が開示されている(特許文献5)。しかしながら、良好な顔料微粒子が得られているかは分からない。また前駆体を顔料に変換させるとき酸が用いられており、この酸を取り除かなければカラーフィルターのような精密電子部品として用いることはできない。あえて酸を除去するなら、顔料分散液を濃縮して析出した固形物を濾過洗浄し、更に再結晶・再溶解させて用いなければならない。煩雑な操作が必要となり実際的ではない。
特開平6−79168号公報
特開2004−91560号公報
特開2005−307154号公報
特開平8−6242号公報
特開2001−81350号公報
ナノサイエンス・アンド・テクノロジー「シングル・オーガニック・ナノパーティクルス」、第2章、14、29、スプリング−ベルラグ(Spring−Verlag)、ベルリン(Berlin)、2003年発行
ダブリュ・エルフェルド、ブイ・ヘッセル、及びエッチ・ローウェ(W.Ehrfeld, V.Hessel, H.Loewe)著、「マイクロリアクター」、第1編、2000年発行、ウィレイ−ブイシーエイチ(WILEY−VCH.)
本発明は、ビルドアップ法により、粒径が極めて小さく、単分散性の高い、溶媒分散性の良好な有機顔料微粒子を効率的に得ることができる製造方法、それにより得られる有機顔料微粒子、さらにその有機顔料微粒子を有機溶媒中に安定に分散させた分散液の提供を目的とする。
上記の目的は、以下の手段により達成された。
(1)有機顔料可溶体の有機溶媒溶液を流通式反応装置中に導入し、流通過程で該有機顔料可溶体を有機顔料に変換することを特徴とする有機顔料微粒子の製造方法。
(2)前記有機顔料可溶体が熱反応により有機顔料に変換可能な化合物であることを特徴とする(1)に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
(3)流通過程で前記有機顔料可溶体を有機顔料に変換する際に、150℃以上に加熱することを特徴とする(2)に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
(4)前記有機顔料可溶体の有機顔料への変換が、有機顔料微粒子を安定化可能な分散剤存在下で行われることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
(5)前記流通式反応装置が等価直径1mm以下の流路を有する装置であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
(6)前記等価直径1mm以下の流路を有する装置がマイクロリアクターであることを特徴とする(5)に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
(7)(1)〜(6)のいずれか1項に記載の方法で製造された有機顔料微粒子。
(8)有機顔料微粒子がその分散液として得られることを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
(9)(8)に記載の方法を用いて製造された有機顔料微粒子分散液。
(1)有機顔料可溶体の有機溶媒溶液を流通式反応装置中に導入し、流通過程で該有機顔料可溶体を有機顔料に変換することを特徴とする有機顔料微粒子の製造方法。
(2)前記有機顔料可溶体が熱反応により有機顔料に変換可能な化合物であることを特徴とする(1)に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
(3)流通過程で前記有機顔料可溶体を有機顔料に変換する際に、150℃以上に加熱することを特徴とする(2)に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
(4)前記有機顔料可溶体の有機顔料への変換が、有機顔料微粒子を安定化可能な分散剤存在下で行われることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
(5)前記流通式反応装置が等価直径1mm以下の流路を有する装置であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
(6)前記等価直径1mm以下の流路を有する装置がマイクロリアクターであることを特徴とする(5)に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
(7)(1)〜(6)のいずれか1項に記載の方法で製造された有機顔料微粒子。
(8)有機顔料微粒子がその分散液として得られることを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
(9)(8)に記載の方法を用いて製造された有機顔料微粒子分散液。
本発明の製造方法よれば、有機溶媒中の流通過程で有機顔料可溶体を顔料に変換する際に、同時に粒子形成を行うことにより、粒径が小さく安定な溶媒分散性を示す有機顔料微粒子を効率的に製造できる。
また本発明の製造方法によれば、等価直径が小さい流路中で反応することにより、反応時間、反応温度を精密に制御して有機顔料微粒子を製造することができる。さらにその流路をナンバリングアップ(並列化)することにより、上記の優れた微粒子特性を失うことなく再現性よく、粒径が小さくかつ粒径分布幅の狭い有機顔料微粒子およびその有機溶媒分散液を大量に製造することができる。
また本発明の製造方法によれば、等価直径が小さい流路中で反応することにより、反応時間、反応温度を精密に制御して有機顔料微粒子を製造することができる。さらにその流路をナンバリングアップ(並列化)することにより、上記の優れた微粒子特性を失うことなく再現性よく、粒径が小さくかつ粒径分布幅の狭い有機顔料微粒子およびその有機溶媒分散液を大量に製造することができる。
以下、本発明に関して詳しく説明する。
本発明の製造方法に用いられる流通式反応装置は、等価直径10mm以下の流路(チャンネル)を有する装置が好ましく、さらに好ましくは等価直径1mm以下の流路を有する装置である。まず、等価直径について以下に説明する。
等価直径(equivalent diameter)は相当(直)径とも呼ばれ、本発明では、機械工学の分野で通常用いられる意味で用いられる。すなわち、任意断面形状の配管(本発明の製造方法では流路)に対し等価な円管を想定するとき、その等価円管の直径を等価直径という。等価直径(deq)は、A:配管の断面積、p:配管のぬれぶち長さ(周長)を用いて、deq=4A/pと定義される。円管に適用した場合、この等価直径は円管直径に一致する。等価直径は等価円管のデータを基に、その配管の流動あるいは熱伝達特性を推定するのに用いられ、現象の空間的スケール(代表的長さ)を表す。等価直径は、一辺aの正四角形管ではdeq=4a2/4a=a、一辺aの正三角形管ではdeq=a/√3となる。
本発明の製造方法に用いられる流通式反応装置は、等価直径10mm以下の流路(チャンネル)を有する装置が好ましく、さらに好ましくは等価直径1mm以下の流路を有する装置である。まず、等価直径について以下に説明する。
等価直径(equivalent diameter)は相当(直)径とも呼ばれ、本発明では、機械工学の分野で通常用いられる意味で用いられる。すなわち、任意断面形状の配管(本発明の製造方法では流路)に対し等価な円管を想定するとき、その等価円管の直径を等価直径という。等価直径(deq)は、A:配管の断面積、p:配管のぬれぶち長さ(周長)を用いて、deq=4A/pと定義される。円管に適用した場合、この等価直径は円管直径に一致する。等価直径は等価円管のデータを基に、その配管の流動あるいは熱伝達特性を推定するのに用いられ、現象の空間的スケール(代表的長さ)を表す。等価直径は、一辺aの正四角形管ではdeq=4a2/4a=a、一辺aの正三角形管ではdeq=a/√3となる。
さらに、流路高さhの平行平板間の流れではdeq=2hとなる(例えば、(社)日本機械学会編「機械工学事典」1997年、丸善(株)参照)。
管の中に水を流し、その中心軸状に細い管を挿入し着色した液を注入すると、水の流速が遅い間は、着色液は一本の線となって流れ水は管壁に平行にまっすぐに流れる。しかし、流速を上げ、ある一定の流速に達すると急に水流の中に乱れが生じ、着色液は水流と混じって全体が着色した流れになる。前者の流れを層流(laminar flow)、後者を乱流(turbulent flow)という。
流れが層流になるか乱流になるかは流れの様子を示す無次元数であるレイノルズ数(Reynolds number)が、ある臨界値以下であるかによって決まる。すなわちレイノルズ数が小さいほど層流を形成しやすい。管内の流れのレイノルズ数Reは次式で表される。
Re=D<υx>ρ/μ
Dは管の等価直径、<υx>は断面平均速度、ρは流体の密度、μは流体の粘度を表す。この式からわかるように等価直径が小さいほどレイノルズ数は小さくなるので、μmサイズの等価直径の場合は安定な層流を形成しやすくなる。また、密度や粘度の液物性もレイノルズ数に影響し、密度が小さく、粘度が大きいほどレイノルズ数は小さくなるので層流を形成しやすいことがわかる。
臨界値を示すレイノルズ数を臨界レイノルズ数(critical Reynolds number)と呼ぶが、臨界レイノルズ数は必ずしも一定とはいえないが、凡そ次の値が基準となる。
Re<2300 層流
Re>3000 乱流
3000>Re>2300 過渡状態
流れが層流になるか乱流になるかは流れの様子を示す無次元数であるレイノルズ数(Reynolds number)が、ある臨界値以下であるかによって決まる。すなわちレイノルズ数が小さいほど層流を形成しやすい。管内の流れのレイノルズ数Reは次式で表される。
Re=D<υx>ρ/μ
Dは管の等価直径、<υx>は断面平均速度、ρは流体の密度、μは流体の粘度を表す。この式からわかるように等価直径が小さいほどレイノルズ数は小さくなるので、μmサイズの等価直径の場合は安定な層流を形成しやすくなる。また、密度や粘度の液物性もレイノルズ数に影響し、密度が小さく、粘度が大きいほどレイノルズ数は小さくなるので層流を形成しやすいことがわかる。
臨界値を示すレイノルズ数を臨界レイノルズ数(critical Reynolds number)と呼ぶが、臨界レイノルズ数は必ずしも一定とはいえないが、凡そ次の値が基準となる。
Re<2300 層流
Re>3000 乱流
3000>Re>2300 過渡状態
流路の等価直径が小さくなるにつれ、単位体積あたりの表面積(比表面積)は大きくなるが、流路が好ましいサイズである1mm以下のマイクロスケールになると比表面積は格段に大きくなり、流路の器壁を通じた熱伝達効率は非常に高くなる。流路を流れる流体中の熱伝達時間(t)は、t=deq 2/α(α:液の熱拡散率)で表されるので、等価直径が小さくなるほど熱伝達時間は短くなる。すなわち、等価直径が1/10になれば熱伝達時間は1/100になることになり、等価直径がマイクロスケールである場合、熱伝達速度は極めて速い。このような反応場をマイクロ反応場と定義する。
本発明の製造方法において、好ましいマイクロ反応場を提供する反応装置は、一般に「マイクロリアクター」と総称され、最近大きな発展を遂げている。代表的マイクロリアクターには、その断面を円形に換算した場合の等価直径が数μm〜数百μm程度の複数本のマイクロ流路(上記の反応装置)、及びこれらのマイクロ流路と繋がる混合空間が設けられており、このマイクロリアクターでは、複数本のマイクロ流路を通して複数の溶液をそれぞれ混合空間へ導入することで、複数の溶液を混合し、又は混合と共に化学反応を生じさせることができる。
次に、上記のようなマイクロリアクターによる反応がタンク等を用いたバッチ方式と異なる点を説明する。すなわち、液相間の化学反応では、一般に反応液の界面において分子同士が出会うことによって反応が起こるので、微小空間(マイクロ流路)内で反応を行うと相対的に界面の面積が大きくなり、反応効率は著しく増大する。また前記のように分子の拡散そのものも拡散時間は距離の二乗に比例する。このことは、スケールを小さくするに従って、反応液を能動的に混合しなくても、流通域で分子の拡散によって混合が進み、反応が起こり易くなることを意味している。また、微小空間においては、スケールが小さいために層流支配の流れとなり、溶液同士が層流状態となって互いに拡散し、混合されて行く。
上記のような特徴を有するマイクロリアクーを用いれば、反応の場として大容積のタンク等を用いた従来のバッチ方式と比較し、溶液同士の反応時間及び温度の精密な制御が可能になる。またバッチ方式の場合には、特に、反応速度が速い溶液間では混合初期の反応接触面で反応が進行し、さらに溶液間の反応により生成された一次生成物が容器内で引き続き反応を受けてしまうことから、生成物が不均一になったり、混合容器内で凝集や析出が生じてしまうおそれがある。これに対して、マイクロリアクターによれば、溶液が混合容器内に殆ど滞留することなく連続的に流通するので、溶液間の反応により生成された一次生成物が混合容器内に滞留する間に引き続き反応を受けてしまうことを抑止でき、従来では取り出すことが困難であった純粋な一次生成物を取り出すことも可能になる。
また、実験的な製造設備により製造された少量の化学物質を大規模の製造設備により多量に製造(スケールアップ)する際には、従来、実験的な製造設備に対し、バッチ方式による大規模の製造設備での再現性を得るために多大の労力及び時間を要していたが、必要となる製造量に応じてマイクロリアクーを用いた製造ラインを並列化することにより、このような再現性を得るための労力及び時間を大幅に減少できる可能性がある。
本発明の製造方法に用いられる流路の作製方法を以下に説明する。流路の等価直径が1mm以上のサイズの場合は従来の機械加工技術を用いることで比較的容易に作成可能であるが、サイズが1mm以下のマイクロサイズ、特に500μm以下になると格段に作製が難しくなる。マイクロサイズの流路(マイクロ流路)は固体基板上に微細加工技術を用いて作成される場合が多い。基板材料としては腐食しにくい安定な材料であれば何でもよい。例えば、金属(例えば、ステンレス、ハステロイ(ニッケル−鉄系合金)、ニッケル、アルミニウム、銀、金、白金、タンタルまたはチタン)、ガラス、プラスチック、シリコーン、テフロン(登録商標)またはセラミックスなどである。
マイクロ流路を作製するための微細加工技術として代表的なものを挙げれば、X線リソグラフィを用いるLIGA(Roentgen−Lithographie Galvanik Abformung)技術、EPON SU−8(商品名)を用いた高アスペクト比フォトリソグラフィ法、マイクロ放電加工法(μ−EDM(Micro Electro Discharge Machining))、Deep RIE(Reactive Ion Etching)によるシリコンの高アスペクト比加工法、Hot Emboss加工法、光造形法、レーザー加工法、イオンビーム加工法、およびダイアモンドのような硬い材料で作られたマイクロ工具を用いる機械的マイクロ切削加工法などがある。これらの技術を単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。好ましい微細加工技術は、X線リソグラフィを用いるLIGA技術、EPON SU−8を用いた高アスペクト比フォトリソグラフィ法、マイクロ放電加工法(μ−EDM)、および機械的マイクロ切削加工法である。また、近年では、エンジニアリングプラスチックへの微細射出成型技術の適用が検討されている。
マイクロ流路を作成する際、よく接合技術が用いられる。通常の接合技術は大きく固相接合と液相接合に分けられ、一般的に用いられている接合方法は、固相接合として圧接や拡散接合、液相接合として溶接、共晶接合、はんだ付け、接着等が代表的な接合方法である。さらに、組立に際しては高温加熱による材料の変質や大変形による流路等の微小構造体の破壊を伴わない寸法精度を保った高度に精密な接合方法が望ましいが、そのような技術としてはシリコン直接接合、陽極接合、表面活性化接合、水素結合を用いた直接接合、フッ化水素水溶液を用いた接合、金−ケイ素共晶接合、ボイドフリー接着などがある。
本発明の製造方法に用いられる装置における流路の等価直径は、好ましくは10mm以下であり、1mm以下であることがより好ましく、10μm〜1mmであることがさらに好ましく、20〜500μmであることが特に好ましい。また流路の長さは特に限定されないが、1mm以上10m以下であることが好ましく、5mm以上10m以下であることがより好ましく、10mm以上5m以下であることが特に好ましい。
本発明の製造方法においては、有機顔料微粒子をその分散液中に生成させることが好ましく、流路中に流通させながら連続フロー法で行うことが好ましい。流通式反応装置において流路の数は、1つでも構わないが、必要に応じて流路を複数並列化し(ナンバーリングアップ)、その処理量を増大させることができる。並列本数は、製造する有機顔料微粒子の種類、目的とする生産量などによるが、5〜1000本が好ましく、10〜100本がより好ましい。流路は、固体基板上に微細加工技術を用いて作成されたものに限らず、例えば、入手可能な数μm〜数百μmの内径を有する各種ヒューズドシリカキャピラリーチューブでもよい。高速液体クロマトグラフ用、ガスクロマトグラフ用部品として市販されている数μm〜数百μmの内径を有する各種シリコンチューブ、フッ素樹脂製管、ステンレス管、PEEK管(ポリエーテルエーテルケトン管)も同様に利用可能である。
これまでにマイクロリアクターに関しては、反応の効率向上などを目指したデバイスに関する報告がなされている。例えば、特開2003−210960号、特開2003−210963号、特開2003−210959号の各公報にはマイクロミキサーに関して記載されており、これらのマイクロデバイスを利用することもできる。
これまでにマイクロリアクターに関しては、反応の効率向上などを目指したデバイスに関する報告がなされている。例えば、特開2003−210960号、特開2003−210963号、特開2003−210959号の各公報にはマイクロミキサーに関して記載されており、これらのマイクロデバイスを利用することもできる。
本発明の製造方法において、上記流路は目的に応じて表面処理してもよい。特に水溶液を操作する場合、ガラスやシリコンへの試料の吸着が問題になることがあるので表面処理は重要である。マイクロサイズの流路内における流体制御では、複雑な製作プロセスを要する可動部品を組み込むことなくこれを実現することが望ましい。例えば、流路内に表面処理により親水性と疎水性の領域を作製し、その境界に働く表面張力差を利用して流体を操作することが可能である。ガラスやシリコンの表面処理する方法として多用されるのはシランカップリング剤を用いた疎水または親水表面処理である。
流路中へ試薬やサンプルなどを導入して混合するためには、流体制御機能が必要である。特に、マイクロ流路内における流体の挙動は、マクロスケールとは異なる性質を持つため、マイクロスケールに適した制御方式を考えなければならない。流体制御方式は形態分類すると連続流動方式と液滴(液体プラグ)方式があり、駆動力分類すると電気的駆動方式と圧力駆動方式がある。
これらの方式を以下に詳しく説明する。流体を扱う形態として、最も広く用いられるのが連続流動方式である。連続流動式の流体制御では、マイクロ流路内は全て流体で満たされ、外部に用意したシリンジポンプなどの圧力源によって、流体全体を駆動するのが一般的である。この方法は、デッドボリュームが大きいことなどが難点であるが比較的簡単なセットアップで制御システムを実現できることが大きな利点である。
連続流動方式とは異なる方式として、液滴(液体プラグ)方式がある。この方式では、リアクター内部やリアクターに至る流路内で、空気で仕切られた液滴を動かすものであり、個々の液滴は空気圧によって駆動される。その際、液滴と流路壁あるいは液滴同士の間の空気を必要に応じて外部に逃がすようなベント構造、および分岐した流路内の圧力を他の部分と独立に保つためのバルブ構造などを、リアクターシステム内部に用意する必要がある。また、圧力差を制御して液滴の操作を行うために、外部に圧力源や切り替えバルブからなる圧力制御システムを構築する必要がある。このように液滴方式では、装置構成やリアクターの構造がやや複雑になるが、複数の液滴を個別に操作して、いくつかの反応を順次行うなどの多段階の操作が可能で、システム構成の自由度は大きくなる。
流体制御を行うための駆動方式として、流路(チャンネル)両端に高電圧をかけて電気浸透流を発生させ、これによって流体移動させる電気的駆動方法と、外部に圧力源を用意して流体に圧力をかけて移動させる圧力駆動方法が一般に広く用いられている。両者の違いは、たとえば流体の挙動として、流路断面内で流速プロファイルが電気的駆動方式の場合にはフラットな分布となるのに対して、圧力駆動方式では双曲線状に、流路中心部が速くて、壁面部が遅い分布となることが知られており、サンプルプラグなどの形状を保ったまま移動させるといった目的には、電気的駆動方式の方が適している。電気的駆動方式行う場合には、流路内が流体で満たされている必要があるため、連続流動方式の形態をとらざるを得ないが、電気的な制御によって流体の操作を行うことができるため、例えば連続的に2種類の溶液の混合比率を変化させることによって、時間的な濃度勾配をつくるといった比較的複雑な処理も実現されている。圧力駆動方式の場合には、流体の電気的な性質にかかわらず制御可能であること、発熱や電気分解などの副次的な効果を考慮しなくてよいことなどから、基質に対する影響がほとんどなく、その適用範囲は広い。その反面、外部に圧力源を用意しなければならないこと、圧力系のデッドボリュームの大小に応じて、操作の応答特性が変化することなど、複雑な処理を自動化する必要がある。
本発明の製造方法における流体制御方法として用いられる方法はその目的によって適宜選ばれるが、好ましくは連続流動方式の圧力駆動方式である。
本発明の製造方法における流体制御方法として用いられる方法はその目的によって適宜選ばれるが、好ましくは連続流動方式の圧力駆動方式である。
本発明の製造方法においては、流通式反応装置中で有機溶媒に溶解しうる有機顔料可溶体に必要に応じて外部エネルギーを加えることにより、フラスコ中で粒子形成したのでは得られない程に、粒径が揃った有機顔料微粒子を得られる。さらに、この流通式反応装置をナンバリングアップ(並列化)すれば、有機顔料微粒子およびその有機溶媒分散液を再現性よく大量に生産することができる。
本発明の製造方法の好ましい態様の一つとして、上述のように有機溶媒に溶解した有機顔料可溶体の溶液を、フロー(flow)条件下、外部エネルギー付加反応により有機顔料微粒子として生成させる態様が挙げられる。
本発明の製造方法の好ましい態様の一つとして、上述のように有機溶媒に溶解した有機顔料可溶体の溶液を、フロー(flow)条件下、外部エネルギー付加反応により有機顔料微粒子として生成させる態様が挙げられる。
本発明の製造方法において、上記付加エネルギーとしては熱(マイクロ波を含む)、光(特に紫外線)、または超音波などのエネルギーが挙げられ、特に熱エネルギーによって高温に加熱することが好ましい。高温に加熱する態様としては、反応流路を持つ装置全体を温度制御された容器中に入れることにより加熱する態様としてもよいし、金属抵抗線やポリシリコンなどのヒーター構造を装置内に作りこんで加熱する態様としてもよい。また、ペルチェ素子を流路に接触させることによって外部から加熱、冷却を行ってもよい。さらにマイクロ波発生装置の中に反応流路を設置し、その特異な迅速内部均一加熱効果やローカルスーパーヒーティング効果を用いて加熱してもよい。その他、流通過程で瞬間的に高温加熱可能な態様を好ましく採用可能である。どの態様によるかは用途や流路本体の材料などに合わせて適宜選択すればよい。好ましい加熱態様としては、ヒーター構造を用いた態様もしくはマイクロ波発生装置を用いた態様であるが、特に好ましくはヒーター構造を用いた態様である。温度のセンシングは、金属抵抗線を使用する場合はヒーターと同じ抵抗線をもう一つ作り込んでおき、その抵抗値の変化に基づいて温度検出を行うのが好ましく、ポリシリコンを使用する場合は熱電対を用いて検出を行うのが好ましい。
図1は本発明の製造方法に用いられる好ましい反応装置の実施形態として、流路の一部を高温に加熱し、その後冷却する手段を備えた装置を概略的に示す平面図である。図2は図1のI−I線断面を示す断面図である。尚、本発明がこれらに限定されないことはいうまでもない。本実施形態の装置においては、流路が1つのみの形態を示したが、前述のとおり流路を複数設けてもよい。
本実施形態の装置10は加熱用ヒーター14と冷却用ペルチェ素子15とを有する。同装置10は導入口11、排出口12、流路13を有し、流路13の長さ方向に直交する断面の形状は必要に応じて微細加工しうるが、台形または矩形に近い形であることが好ましい。流路幅Wおよび流路深さHをマイクロメートルサイズにすれば、熱交換速度が極めて速くなるため、瞬時に加熱および冷却を行うことができる。
本実施形態の装置10は加熱用ヒーター14と冷却用ペルチェ素子15とを有する。同装置10は導入口11、排出口12、流路13を有し、流路13の長さ方向に直交する断面の形状は必要に応じて微細加工しうるが、台形または矩形に近い形であることが好ましい。流路幅Wおよび流路深さHをマイクロメートルサイズにすれば、熱交換速度が極めて速くなるため、瞬時に加熱および冷却を行うことができる。
本実施形態の反応装置10では、導入口11から有機顔料可溶体の有機溶媒溶液を導入し、ヒーター14を内蔵した流路長aで示される範囲を流通する過程で上記顔料可溶体は顔料に変換される。次に、流路長bで示される範囲の流路を経て、ペルチェ素子15の冷却素子を内蔵した流路長cで示される範囲を流通する過程で冷却されて顔料粒子の核が生成し、流路を流れて排出口12から流路外に出るまでに粒子成長が進み、有機顔料の微粒子を含有する分散液として排出され捕集される。
流路13内における有機顔料可溶体を有機顔料に変換するときの変換反応温度は50〜500℃とすることが好ましく、100〜300℃とすることがより好ましく、150〜300℃とすることが特に好ましい。反応温度が顔料可溶体を溶解する溶媒の沸点以上の場合は、導入口11に逆止弁、排出口12に圧力調整弁(バルブ)を取り付けて流路内で有機溶媒が沸騰しないように高圧に保つ。その圧力は特に限定されないが、0.1〜50MPaが好ましく、0.2〜10MPaが特に好ましい。
流路13内を流れる流体の速度(流速)は、0.1mL〜300L/hrとすることが好ましく、0.2mL〜30L/hrとすることがより好ましく、0.5mL〜15L/hrとすることが更に好ましく、1.0mL〜6L/hrとすることが特に好ましい。
本発明の製造方法で得られる有機顔料はマゼンタ顔料、イエロー顔料、およびシアン顔料のいずれであってもよい。詳しくは、ペリレン化合物顔料、ペリノン化合物顔料、キナクリドン化合物顔料、キナクリドンキノン化合物顔料、アントラキノン化合物顔料、アントアントロン化合物顔料、ベンズイミダゾロン化合物顔料、ジスアゾ縮合化合物顔料、ジスアゾ化合物顔料、アゾ化合物顔料、インダントロン化合物顔料、フタロシアニン化合物顔料、トリアリールカルボニウム化合物顔料、ジオキサジン化合物顔料、アミノアントラキノン化合物顔料、ジケトピロロピロール化合物顔料、チオインジゴ化合物顔料、イソインドリン化合物顔料、イソインドリノン化合物顔料、ピラントロン化合物顔料、またはイソビオラントロン化合物顔料またはそれらの混合物などが挙げられる。
更に詳しくは、たとえば、C.I.ピグメントレッド190(C.I.番号71140)、C.I.ピグメントレッド224(C.I.番号71127)、C.I.ピグメントバイオレット29(C.I.番号71129)等のペリレン化合物顔料、C.I.ピグメントオレンジ43(C.I.番号71105)、もしくはC.I.ピグメントレッド194(C.I.番号71100)等のペリノン化合物顔料、C.I.ピグメントバイオレット19(C.I.番号73900)、C.I.ピグメントバイオレット42、C.I.ピグメントレッド122(C.I.番号73915)、C.I.ピグメントレッド192、C.I.ピグメントレッド202(C.I.番号73907)、C.I.ピグメントレッド207(C.I.番号73900、73906)、もしくはC.I.ピグメントレッド209(C.I.番号73905)のキナクリドン化合物顔料、C.I.ピグメントレッド206(C.I.番号73900/73920)、C.I.ピグメントオレンジ48(C.I.番号73900/73920)、もしくはC.I.ピグメントオレンジ49(C.I.番号73900/73920)等のキナクリドンキノン化合物顔料、C.I.ピグメントイエロー147(C.I.番号60645)等のアントラキノン化合物顔料、C.I.ピグメントレッド168(C.I.番号59300)等のアントアントロン化合物顔料、C.I.ピグメントブラウン25(C.I.番号12510)、C.I.ピグメントバイオレット32(C.I.番号12517)、C.I.ピグメントイエロー180(C.I.番号21290)、C.I.ピグメントイエロー181(C.I.番号11777)、C.I.ピグメントオレンジ62(C.I.番号11775)、もしくはC.I.ピグメントレッド185(C.I.番号12516)等のベンズイミダゾロン化合物顔料、C.I.ピグメントイエロー93(C.I.番号20710)、C.I.ピグメントイエロー94(C.I.番号20038)、C.I.ピグメントイエロー95(C.I.番号20034)、C.I.ピグメントイエロー128(C.I.番号20037)、C.I.ピグメントイエロー166(C.I.番号20035)、C.I.ピグメントオレンジ34(C.I.番号21115)、C.I.ピグメントオレンジ13(C.I.番号21110)、C.I.ピグメントオレンジ31(C.I.番号20050)、C.I.ピグメントレッド144(C.I.番号20735)、C.I.ピグメントレッド166(C.I.番号20730)、C.I.ピグメントレッド220(C.I.番号20055)、C.I.ピグメントレッド221(C.I.番号20065)、C.I.ピグメントレッド242(C.I.番号20067)、C.I.ピグメントレッド248、C.I.ピグメントレッド262、もしくはC.I.ピグメントブラウン23(C.I.番号20060)等のジスアゾ縮合化合物顔料、C.I.ピグメントイエロー13(C.I.番号21100)、C.I.ピグメントイエロー83(C.I.番号21108)、もしくはC.I.ピグメントイエロー188(C.I.番号21094)等のジスアゾ化合物顔料、C.I.ピグメントレッド187(C.I.番号12486)、C.I.ピグメントレッド170(C.I.番号12475)、C.I.ピグメントイエロー74(C.I.番号11714)、C.I.ピグメントレッド48(C.I.番号15865)、C.I.ピグメントレッド53(C.I.番号15585)、C.I.ピグメントオレンジ64(C.I.番号12760)、もしくはC.I.ピグメントレッド247(C.I.番号15915)等のアゾ化合物顔料、C.I.ピグメントブルー60(C.I.番号69800)等のインダントロン化合物顔料、C.I.ピグメントグリーン7(C.I.番号74260)、C.I.ピグメントグリーン36(C.I.番号74265)、ピグメントグリーン37(C.I.番号74255)、ピグメントブルー16(C.I.番号74100)、C.I.ピグメントブルー75(C.I.番号74160:2)、もしくは15(C.I.番号74160)等のフタロシアニン化合物顔料、C.I.ピグメントブルー56(C.I.番号42800)、もしくはC.I.ピグメントブルー61(C.I.番号42765:1)等のトリアリールカルボニウム化合物顔料、C.I.ピグメントバイオレット23(C.I.番号51319)、もしくはC.I.ピグメントバイオレット37(C.I.番号51345)等のジオキサジン化合物顔料、C.I.ピグメントレッド177(C.I.番号65300)等のアミノアントラキノン化合物顔料、C.I.ピグメントレッド254(C.I.番号56110)、C.I.ピグメントレッド255(C.I.番号561050)、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド272(C.I.番号561150)、C.I.ピグメントオレンジ71、もしくはC.I.ピグメントオレンジ73等のジケトピロロピロール化合物顔料、C.I.ピグメントレッド88(C.I.番号73312)等のチオインジゴ化合物顔料、C.I.ピグメントイエロー139(C.I.番号56298)、C.I.ピグメントオレンジ66(C.I.番号48210)等のイソインドリン化合物顔料、C.I.ピグメントイエロー109(C.I.番号56284)、もしくはC.I.ピグメントオレンジ61(C.I.番号11295)等のイソインドリノン化合物顔料、C.I.ピグメントオレンジ40(C.I.番号59700)、もしくはC.I.ピグメントレッド216(C.I.番号59710)等のピラントロン化合物顔料、またはC.I.ピグメントバイオレット31(60010)等のイソビオラントロン化合物顔料が挙げられる。
なかでも、キナクリドン化合物顔料、ジケトピロロピロール化合物顔料、ジスアゾ縮合化合物顔料、ジオキサジン化合物顔料、アミノアントラキノン化合物顔料、またはフタロシアニン化合物顔料が好ましく、キナクリドン化合物顔料、ジケトピロロピロール化合物顔料、アゾ化合物顔料、ジオキサジン化合物顔料、またはアミノアントラキノン化合物顔料がより好ましい。
本発明において、有機顔料可溶体とは、有機溶媒に溶解しうる化合物であり、かつ、熱等のエネルギーを付加することにより有機顔料に変換し得る化合物と本発明では定義される。有機顔料可溶体の有機溶媒に対する溶解度は特に限定されず、有機溶媒の種類にもよるが、例えば溶解度が0.5〜50質量%のものであることが好ましく、1〜20質量%のものであることがより好ましい。なお、ここでの溶解度とは反応させるときの温度を考慮した任意の温度の溶解度であればよく、また酸やアルカリなどの溶解促進剤を添加したときの溶解度であってもよい。有機顔料可溶体としては、有機顔料の化学構造中、水素結合に寄与する水素原子を熱で分解する基で置換した化合物が挙げられ、なかでも熱分解性のオキシカルボニル基で置換した化合物が好ましい。以下に特に好ましい有機顔料可溶体(潜在顔料とも呼ばれる)の例を示すが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
上記の例示化合物は通常の方法で合成することができ、例えば特開平8−6242号もしくは特開2005−55495号に記載の方法により合成することができる。
本発明の製造方法に用いられる有機顔料可溶体を溶解する有機溶媒は、例えば、フッ素化合物アルコール(2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールなど)、アミド化合物溶媒(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなど)、スルホキシド化合物溶媒(ジメチルスルホキシド、スルホランなど)、エーテル化合物溶媒(テトラヒドロフランなど)、ハロゲン化合物溶媒(クロロホルム、ジクロロメタンなど)、またはアルコール化合物溶媒(メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、もしくはジエチレングリコール等)、低級アルキルエーテル化合物溶媒(エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、もしくはトリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等)、ケトン化合物溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、もしくはシクロキサノン等)、炭化水素化合物溶媒(n−へキサンやトルエンなど)、ニトリル化合物溶媒(アセトにトリルなど)またはエステル化合物溶媒(酢酸エチルなど)である。好ましくはアルコール化合物溶媒、ニトリル化合物溶媒、またはエステル化合物溶媒であり、特に好ましくはこれらの中で150℃以下の沸点の溶媒である。尚、これらの溶媒は単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。これらの溶媒は必ずしも無水である必要は無く、有機顔料可溶体が析出せず有機溶媒が相分離しない程度の水を含有していても良い。
使用する有機溶媒の量は、有機顔料可溶体を均一に溶解可能な量であり、特に限定されないが、有機顔料可溶体に対して質量比で10〜500倍量であることが好ましく、20〜100倍量であることがより好ましい。
使用する有機溶媒の量は、有機顔料可溶体を均一に溶解可能な量であり、特に限定されないが、有機顔料可溶体に対して質量比で10〜500倍量であることが好ましく、20〜100倍量であることがより好ましい。
本発明の製造方法においては、分散剤の存在下で有機顔料可溶体を有機顔料に変換し微粒子化することが好ましく、有機顔料可溶体を溶解した有機溶媒溶液中に有機顔料微粒子を安定化可能な分散剤を添加することがより好ましい。分散剤は(1)析出した有機顔料微粒子表面に素早く吸着して、微細な粒子を形成し、かつ(2)これらの粒子が再び凝集することを防ぐ作用を有するものである。本発明の製造方法では、このような分散剤としてノニオン性もしくは顔料性の低分子分散剤、または高分子分散剤を使用することができる。これらの分散剤は、単独あるいは併用して使用することができる。
ノニオン性分散剤(ノニオン性界面活性剤)としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステルなどを挙げることができる。なかでも、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルが好ましい。これらノニオン性分散剤は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
有機顔料性分散剤とは、親物質としての有機顔料から誘導され、その親構造を化学修飾することで製造される顔料性分散剤と定義する。例えば、糖含有顔料分散剤、ピペリジル含有顔料分散剤、ナフタレンまたはペリレン誘導顔料分散剤、メチレン基を介して顔料親構造に連結された官能基を有する顔料分散剤、ポリマーで化学修飾された顔料親構造、スルホン酸基を有する顔料分散剤、スルホンアミド基を有する顔料分散剤、エーテル基を有する顔料分散剤、あるいはカルボン酸基、カルボン酸エステル基またはカルボキサミド基を有する顔料分散剤などがある。
高分子分散剤としては、具体的には、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリルアミド、ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール−部分ホルマール化物、ポリビニルアルコール−部分ブチラール化物、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロック共重合体、ポリアクリル酸塩、ポリビニル硫酸塩、ポリ(4−ビニルピリジン)塩、ポリアミド、ポリアリルアミン塩、縮合ナフタレンスルホン酸塩、スチレン−アクリル酸塩共重合物、スチレン−メタクリル酸塩共重合物、アクリル酸エステル−アクリル酸塩共重合物、アクリル酸エステル−メタクリル酸塩共重合物、メタクリル酸エステル−アクリル酸塩共重合物、メタクリル酸エステル−メタクリル酸塩共重合物、スチレン−イタコン酸塩共重合物、イタコン酸エステル−イタコン酸塩共重合物、ビニルナフタレン−アクリル酸塩共重合物、ビニルナフタレン−メタクリル酸塩共重合物、ビニルナフタレン−イタコン酸塩共重合物、セルロース誘導体、澱粉誘導体などが挙げられる。その他、アルギン酸塩、ゼラチン、アルブミン、カゼイン、アラビアゴム、トンガントゴム、リグニンスルホン酸塩などの天然高分子類も使用できる。これら高分子は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
分散剤の量は、有機顔料微粒子の均一分散性および保存安定性をより一層向上させるために、有機顔料100質量部に対して0.1〜250質量部の範囲とすることが好ましく、1〜100質量部の範囲とすることがより好ましい。
微粒子の計測法において、数値化して集団の平均の大きさを表現する方法があるが、よく使用されるものとして、分布の最大値を示すモード径、積分分布曲線の中央置に相当するメジアン径、および各種の平均径(長さ平均、体積平均、面積平均、重量平均、個数平均など)がある。本発明の製造方法で製造される有機顔料微粒子の粒径サイズは流路を閉塞しない範囲で任意であるが、メジアン径で1μm以下が好ましい。特に好ましくは3nm〜50nmである。
微粒子の粒子サイズが揃っていること、すなわち微粒子の単分散性を表す指標として多分散性(Polydispersity)があり、これは体積平均径(Mv)を個数平均径(Mn)で除したものである。このMv/Mn値が1に近ければ非常にシャープな分布を示し(いわゆる単分散)、値が大きくなれば幅広い分布となる。本発明の製造方法において製造される有機顔料微粒子は、好ましくはこの値が1.2〜2.5であり、さらに好ましくは1.2〜1.8である。本発明によれば、粒径が小さくかつ揃ったものとして、有機溶媒中で安定して分散する、有機溶媒分散性の有機顔料微粒子とすることができる。
本発明の有機顔料微粒子は有機溶媒中で安定に分散する有機溶媒分散性であることが好ましく、以下にその有機溶媒について説明する。分散に用いられる有機溶媒は、前記有機顔料可溶体を溶解する有機溶媒と同義の溶媒であるが、好ましくはアルコール化合物溶媒(メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、もしくはジエチレングリコール等)、低級アルキルエーテル化合物溶媒(エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、もしくはトリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等)、ケトン化合物溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、もしくはシクロキサノン等)、炭化水素化合物溶媒(n−へキサンやトルエンなど)、ニトリル化合物溶媒(アセトニトリルなど)またはエステル化合物溶媒(酢酸エチルなど)である。特に好ましくはアルコール化合物溶媒、ケトン化合物溶媒、またはエステル化合物溶媒であり、特に好ましくはこれらの中で150℃以下の沸点の溶媒である。尚、これらの溶媒は単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。またこれらの溶媒は含水していてもよく、含水率は好ましくは50質量%以下であり、特に好ましくは20質量%以下である。
本発明の製造方法によれば、流路を用いるフロー反応により、反応時間を制御し、さらに狭い空間での反応温度制御の精密さを利用して良好な有機顔料微粒子を製造することができる。また従来のバッチ法(フラスコ中での反応等)に比べ粒径が小さくかつ揃った有機微粒子を製造できる。さらに、従来とは異なり流路のナンバリングアップ(並列化)により上記の優れた微粒子特性を失うことなく再現性よくスケールアップして製造できることから、製品化にかかる検討時間を大幅に短縮することができる。
以下に本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例に示す粒径分布は日機装(株)社製のマイクロトラックUPA150(商品名)で測定した。
(実施例1)
PR254の有機顔料可溶体である例示化合物(1)1.0gをシクロペンタノン99gに若干加熱して攪拌しながら溶解し、室温にもどした。これに分散剤として変性ポリウレタン系ポリマー分散剤であるEFKA46を0.2g加えた。これを0.45μmのミクロフィルター(富士写真フイルム社製)を通すことでごみ等の不純物を除きIA液とした。図1に示した加熱・冷却可能な反応装置として、流路幅(W)と深さ(H)とを300μm、流路長aを2cm、流路長bを2cm、流路長cを5cmとした流路13(等価直径300μm)を形成したセラミックス製装置本体10を準備し、テフロン(登録商標)チューブ2本を逆止弁付きコネクタを用いて導入口11に接続し、その先にそれぞれIA液を入れたシリンジを繋ぎ、ポンプにセットした。排出口12に圧力調節弁を有するコネクタを接続し、それを介してテフロン(登録商標)チューブを接続した。装置本体10の大きさは12cm×6cm×10mmとした。2cm×1cm×1mmのヒーター14はグリーンステートのセラミックを焼結してリアクターを作製する際に一体化して組み込み、反応装置外の電源まで配線された。冷却装置のペルチェ素子部分15は、5cm×1cm×5mmのリアクター空隙にはめ込まれた。流路13を流れる溶液は、ヒーター14に通電することにより、300℃に加熱し、次いで、ペルチェ素子15により冷却し25℃とした。温度調節はセンサーを用いて行った。IA液を20μL/minの流速で導入口11より注入したところ、排出口12からPR254微粒子を含有するシクロペンタン分散液が得られた。注入を1時間継続してこれをチューブの先端より捕集した。得られた分散液中の微粒子の粒径分布を、動的光散乱粒径測定装置を用いて測定したところ、メジアン径は45nmであった。また単分散性の指標であるMv/Mn値は1.60であった。また、得られた分散液を室温下1ヶ月放置してもメジアン径およびMv/Mn値にほとんど変動は見られなかった。
PR254の有機顔料可溶体である例示化合物(1)1.0gをシクロペンタノン99gに若干加熱して攪拌しながら溶解し、室温にもどした。これに分散剤として変性ポリウレタン系ポリマー分散剤であるEFKA46を0.2g加えた。これを0.45μmのミクロフィルター(富士写真フイルム社製)を通すことでごみ等の不純物を除きIA液とした。図1に示した加熱・冷却可能な反応装置として、流路幅(W)と深さ(H)とを300μm、流路長aを2cm、流路長bを2cm、流路長cを5cmとした流路13(等価直径300μm)を形成したセラミックス製装置本体10を準備し、テフロン(登録商標)チューブ2本を逆止弁付きコネクタを用いて導入口11に接続し、その先にそれぞれIA液を入れたシリンジを繋ぎ、ポンプにセットした。排出口12に圧力調節弁を有するコネクタを接続し、それを介してテフロン(登録商標)チューブを接続した。装置本体10の大きさは12cm×6cm×10mmとした。2cm×1cm×1mmのヒーター14はグリーンステートのセラミックを焼結してリアクターを作製する際に一体化して組み込み、反応装置外の電源まで配線された。冷却装置のペルチェ素子部分15は、5cm×1cm×5mmのリアクター空隙にはめ込まれた。流路13を流れる溶液は、ヒーター14に通電することにより、300℃に加熱し、次いで、ペルチェ素子15により冷却し25℃とした。温度調節はセンサーを用いて行った。IA液を20μL/minの流速で導入口11より注入したところ、排出口12からPR254微粒子を含有するシクロペンタン分散液が得られた。注入を1時間継続してこれをチューブの先端より捕集した。得られた分散液中の微粒子の粒径分布を、動的光散乱粒径測定装置を用いて測定したところ、メジアン径は45nmであった。また単分散性の指標であるMv/Mn値は1.60であった。また、得られた分散液を室温下1ヶ月放置してもメジアン径およびMv/Mn値にほとんど変動は見られなかった。
(実施例2)
上記の反応で用いたマイクロ流路(チャンネル)リアクターを10本並べ、2つのシリンジの先に10個に分流できるマニホールドをつけ、各流路の導入口に送液した。IA液を200μL/minの送液速度にて送り出す排出口14に付けたチューブの先端より、1時間継続してまとめて捕集した。これにより単位時間あたりの生産量は10倍になった。得られた微粒子の粒径(メジアン径)は46nmであり、また単分散性の指標であるMv/Mn値は1.59であった。スケールアップしたことにより粒径分布の変動はほぼなかった。
上記の反応で用いたマイクロ流路(チャンネル)リアクターを10本並べ、2つのシリンジの先に10個に分流できるマニホールドをつけ、各流路の導入口に送液した。IA液を200μL/minの送液速度にて送り出す排出口14に付けたチューブの先端より、1時間継続してまとめて捕集した。これにより単位時間あたりの生産量は10倍になった。得られた微粒子の粒径(メジアン径)は46nmであり、また単分散性の指標であるMv/Mn値は1.59であった。スケールアップしたことにより粒径分布の変動はほぼなかった。
(比較例1)
実施例1で調製したIA液1.2gをオートクレーブ装置に入れ、攪拌しながら300℃に加熱した。1時間後室温に戻し、これの粒径分布を動的光散乱粒径測定装置を用いて測定したところ、メジアン径は105nmであった。また単分散性の指標であるMv/Mn値は3.0であった。流通式反応装置で反応した場合に比べ、粒径は大きく、粒径分布も広いものであった。
IA液12g(スケールを10倍)を用いて反応を行ったところ、メジアン径は130nmで、Mv/Mn値は4.5であった。粒径、粒径分布のいずれも大きく変動した。このように、従来のバッチ法では微粒子のメジアン径も大きく単分散性にも劣り、さらにスケールアップしたときに微粒子特性が大幅に変動してしまうことがわかる。
実施例1で調製したIA液1.2gをオートクレーブ装置に入れ、攪拌しながら300℃に加熱した。1時間後室温に戻し、これの粒径分布を動的光散乱粒径測定装置を用いて測定したところ、メジアン径は105nmであった。また単分散性の指標であるMv/Mn値は3.0であった。流通式反応装置で反応した場合に比べ、粒径は大きく、粒径分布も広いものであった。
IA液12g(スケールを10倍)を用いて反応を行ったところ、メジアン径は130nmで、Mv/Mn値は4.5であった。粒径、粒径分布のいずれも大きく変動した。このように、従来のバッチ法では微粒子のメジアン径も大きく単分散性にも劣り、さらにスケールアップしたときに微粒子特性が大幅に変動してしまうことがわかる。
(実施例3)
実施例1の例示化合物(1)を同量のPR122の有機顔料可溶体である例示化合物(4)に置き換える以外は全く同様にして顔料微粒子を作製した。単一の流路を用いて得られた分散液中の微粒子の粒径分布を、動的光散乱粒径測定装置を用いて測定したところ、メジアン径は30nmであった。また単分散性の指標であるMv/Mn値は1.55であった。
さらに上記例示化合物(4)を用いた以外実施例2と同様にして、10本並べたリアクターで得られた微粒子の粒径(メジアン径)は31nmであり、Mv/Mn値は1.57であった。スケールアップしたことにより粒径分布の変動はほぼなかった。
実施例1の例示化合物(1)を同量のPR122の有機顔料可溶体である例示化合物(4)に置き換える以外は全く同様にして顔料微粒子を作製した。単一の流路を用いて得られた分散液中の微粒子の粒径分布を、動的光散乱粒径測定装置を用いて測定したところ、メジアン径は30nmであった。また単分散性の指標であるMv/Mn値は1.55であった。
さらに上記例示化合物(4)を用いた以外実施例2と同様にして、10本並べたリアクターで得られた微粒子の粒径(メジアン径)は31nmであり、Mv/Mn値は1.57であった。スケールアップしたことにより粒径分布の変動はほぼなかった。
(比較例2)
比較例1の例示化合物(1)を同量の例示化合物(4)に置き換える以外は全く同様にして顔料微粒子を合成したところ、小スケールではメジアン径95nmでMv/Mn=2.8であり、スケールアップした場合はメジアン径120nmでMv/Mn=3.5であった。
比較例1の例示化合物(1)を同量の例示化合物(4)に置き換える以外は全く同様にして顔料微粒子を合成したところ、小スケールではメジアン径95nmでMv/Mn=2.8であり、スケールアップした場合はメジアン径120nmでMv/Mn=3.5であった。
上記の結果により、本発明により流通式のマイクロ流路を用いて得た有機顔料微粒子は優れた特性を示し、かつスケールアップ時の微粒子特性の変動が小さいことがわかる。
10 反応装置本体
11 導入口
12 排出口
13 流路
14 ヒーター
15 ペルチェ素子
11 導入口
12 排出口
13 流路
14 ヒーター
15 ペルチェ素子
Claims (9)
- 有機顔料可溶体の有機溶媒溶液を流通式反応装置中に導入し、流通過程で該有機顔料可溶体を有機顔料に変換することを特徴とする有機顔料微粒子の製造方法。
- 前記有機顔料可溶体が熱反応により有機顔料に変換可能な化合物であることを特徴とする請求項1に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
- 流通過程で前記有機顔料可溶体を有機顔料に変換する際に、150℃以上に加熱することを特徴とする請求項2に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
- 前記有機顔料可溶体の有機顔料への変換が、有機顔料微粒子を安定化可能な分散剤存在下で行われることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
- 前記流通式反応装置が等価直径1mm以下の流路を有する装置であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
- 前記等価直径1mm以下の流路を有する装置がマイクロリアクターであることを特徴とする請求項5に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法で製造された有機顔料微粒子。
- 有機顔料微粒子がその分散液として得られることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
- 請求項8に記載の方法を用いて製造された有機顔料微粒子分散液。
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