JP4600794B2

JP4600794B2 - 磁気記録媒体の製造方法

Info

Publication number: JP4600794B2
Application number: JP2001016257A
Authority: JP
Inventors: 誠磯崎
Original assignee: Fuji Electric Device Technology Co Ltd
Current assignee: Fuji Electric Co Ltd
Priority date: 2001-01-24
Filing date: 2001-01-24
Publication date: 2010-12-15
Anticipated expiration: 2021-01-24
Also published as: JP2002222519A; SG142112A1; US6521286B2; US20020160106A1; MY122863A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
この発明は、コンピュータなどの情報処理機器の情報記憶装置や民生機器に搭載される記憶装置（特にハードディスク装置）に用いられる磁気記録媒体の製造方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】
近年、コンピュータなど情報処理機器が取り扱う情報量の増加や機器の小型化に伴い、情報記憶装置の記憶容量の増大が図られ、情報記憶装置に使用される磁気記録媒体の記録容量は増加の一途をたどっている。記録密度を高めるには、情報の記録単位であるビット長を小さくするとともに、記録ヘッドの浮上量を極力下げることが必要となる。
【０００３】
ヘッドの低浮上化のためには、バニッシュによるスクラッチ傷発生防止が必要不可欠であり、保護膜形成後、または潤滑剤塗布後のグライドハイト試験前に、アルミナ砥粒がコーティングされた研磨テープにより、磁気記録媒体表面にバニッシュ加工を施している。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、近年、保護膜の薄層化が進んできており、そのため、保護膜形成後の記録媒体表面をテープバニッシュすると、スクラッチ傷を発生させてしまい、エラー品質や耐腐食性に問題が出てくる場合がある。
【０００５】
このような問題は、磁気記録媒体の基板として軟質のプラスティック基板を用いると、より顕著になる。また、保護膜上に潤滑剤を塗布した後のグライド試験前の記録媒体においても、潤滑剤層の膜厚は、ヘッド接触時の摩擦・吸着特性を良好にするために最適化されているため、せいぜい、２ｎｍ程度であり、この程度の膜厚では、バニッシュ処理による傷発生を抑制する効果は小さい。さらに、テープバニッシュ加工をすると、記録媒体の表面にダストやパーティクルが発生するが、これらダストやパーティクルが加工後も残存し、磁気記録媒体の使用時（シーク時）に、残存ダストやパーティクルが低浮上ヘッドにより生じる空気の流れに巻き込まれ、これらにより電磁変換特性に多大な影響を与えてしまい、最悪の場合、ヘッドクラッシュを引き起こし、磁気記録装置の信頼性に重大な影響を与えることになる。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前述の問題を解決するに、鋭意、実験、検討を重ねたところ、以下のような知見を得るに至った。
【０００７】
テープバニッシュ加工前に傷発生防止のための潤滑剤を適度な膜厚（例えば、５〜１０ｎｍ）で塗布することが望ましいが、そのまま表面潤滑剤として残すと、膜厚が厚すぎるし、ダスト等を含んだままになり、記録媒体の特性に影響を与えるので、前記塗布潤滑剤は、バニッシュ処理後に容易に除去できるものとし、除去後、記録媒体を使用に供するための表面潤滑剤を塗布すれば、前述の従来の問題点は、解決できる。
【０００８】
本発明は、これらの知見に基づいてなされたものである。すなわち、本発明に係る磁気記録媒体の製造方法は、非磁性基板の上に非磁性金属層を形成して非磁性基体とし、この非磁性基体の上に非磁性金属下地層、磁性層、保護層を順次積層し、さらに前記保護層の上に液体潤滑層を塗布して磁気記録媒体を得る磁気記録媒体の製造方法において、前記保護層が形成された後に行う基体表面のテープバニシュ加工の前に、バニッシュによるスクラッチ傷発生防止のための潤滑剤を塗布しておくことを特徴とする。
【０００９】
【発明の実施の形態】
前述の構成において、前記潤滑剤としては、バニッシュ用テープによる加工摩擦に対抗するために、例えば、平均分子量１０，０００以上で、しかも、溶剤により記録媒体表面のダスト類とともに容易に洗い流せるように末端基を有しないものが、望ましい。
【００１０】
さらに、これらの処理は、高回転（例えば、１０００ｒｐｍ以上）のスピンコート法により施されることが、テープバニッシュ加工により発生したダストやパーティクルを回転遠心力も併用して除去できるため、好適である。
【００１１】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図を参照しつつ説明する。なお、以下の実施例は、本発明を説明するために好適な一例にすぎず、本発明はこの実施例に何ら限定されるものではない。
【００１２】
図１に示すように、プラスティック基板１上に、下地層２、磁性層３、保護層４をスパッタリング法で、順次形成し、その後、ａ）カストロール社製のＢｒａｙｃｏ８１５Ｚをスピンコート法により１０ｎｍ塗布したもの、ｂ）アウジモント社製のＡＭ２００１を２ｎｍ塗布したもの、およびｃ）潤滑剤を塗布しないものの計３種類の記録媒体を製作した。得られた３種類の記録媒体に対して、日本ミクロコーティング社製の研磨テープＷＡ１００００より回転数１５００ｒｐｍ、パッド硬度２５°、押しつけ圧０．０４ｋｇｆ／ｃｍ^２で、バニッシュ加工した。それらの加工後の各記録媒体について、光学的外観検査機（フェイズメトリクス社製）により、スクラッチ数をカウントした。その結果（初期値に対しての増減）を、表１に示した。さらに、ａ）の記録媒体を住友３Ｍ社製のフロリナートＦＣ７７（洗浄剤）を用いて、回転数２０００ｒｐｍでスピン洗浄した後、アウジモント社製のＡＭ２００１（表面潤滑剤）を２ｎｍ塗布した。この記録媒体と、残りｂ）およびｃ）の２種の記録媒体のパーティクル数を、同様の光学的外観検査機により測定した。その結果（初期値に対しての増減）を、表２に示した。
【００１３】
【表１】

【００１４】
【表２】

【００１５】
これらの結果より、当該発明を適用したａ）の記録媒体が良好な結果を示し、テープ加工により発生する傷を抑制しており、さらにパーティクル除去効果も確認できた。
【００１６】
【発明の効果】
本発明にかかる磁気記録媒体の製造方法によれば、テープバニッシュ前の潤滑剤塗布とバニッシュ後の溶剤によるスピン洗浄により、バニッシュ処理による表面の傷およびダスト汚染を防止することができ、信頼性が大幅に改善された磁気記録媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係る磁気記録媒体の製造方法の一実施例において得た磁気記録媒体の層構成を示す図である。
【符号の説明】
１プラスチック基板
２下地層
３磁性層
４保護層
５液体潤滑層

Claims

非磁性基板の上に非磁性金属層を形成して非磁性基体とし、この非磁性基体の上に非磁性金属下地層、磁性層、保護層を順次積層し、さらに前記保護層の上に液体潤滑層を塗布して磁気記録媒体を得る磁気記録媒体の製造方法において、
前記保護層が形成された後に行う基体表面のテープバニッシュ加工の前に、バニッシュによるスクラッチ傷発生防止のための潤滑剤を塗布し、前記テープバニッシュ加工の後に、テープバニッシュ加工の前に塗布された前記潤滑剤を除去し、
前記潤滑剤は末端基を有しない潤滑剤であることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
前記テープバニッシュ加工の後に、前記基体表面に溶剤を１０００ｒｐｍ以上の高回転でスピンコートして前記潤滑剤とともにテープバニッシュ加工により発生したカーボンダストやパーティクルを除去し、その後、末端基を有する潤滑剤を塗布することを特徴とする請求項１に記載の磁気記録媒体の製造方法。