JP4599821B2 - 微細なパターンが印刷可能なインキおよび印刷物 - Google Patents
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光硬化性樹脂からなるインキを用いる方法は、例えばインキを塗布後パターンを形成する部分に紫外線などの光を照射して樹脂を硬化させ、不要部分を現像や有機溶剤による洗浄などの工程によって除去する。この方法は、光の照射によって所定パターンが形成されるので、その硬化した塗膜のエッジ部は塗布面に対してほぼ垂直になり、微細で高精細なパターンの硬化した塗膜を容易に得ることができる。このため、微細化及び高精度が要求されている分野において、例えば、半導体装置の製造工程やIC実装部品の絶縁層及び液晶などの表示装置のカラーフィルターのブラックマトリックス層を形成するために多用されている。
しかしながら、この方法は塗布工程、露光工程、現像工程、洗浄工程、及び乾燥又は加熱処理工程などの複雑でコストが掛かる工程が必要であり、更に現像や洗浄に伴ってアルカリ液などを含む大量の環境に負荷を与える廃液が生じるなどの問題があった。
特に、印刷時の温度において周波数が1rad/secのときの複素粘性率(η*)が10000〜300000ポイズであり且つ周波数10rad/secのときの複素粘性率(η*)が1000〜30000ポイズであるインキ、印刷時の温度において周波数が1rad/secのときの複素粘性率(η*)が周波数10rad/secのときの複素粘性率(η*)の4〜16倍であるインキ、樹脂成分が100〜210℃の温度範囲において実質的に熱硬化反応をおこすインキ、樹脂成分の硬化反応が芳香族ジカルボン酸無水物基又は芳香族ジカルボン酸モノエステル基(ハーフエステル化物)とエポキシ基又はブロックされたイソシアネート基との反応、ブロックされたイソシアネート基と水酸基又はカルボキシル基との反応、エポキシ基と水酸基又はカルボキシル基との反応、または、前記反応のいずれかの組合せによって実質的に起るインキ、更に、樹脂成分100重量部に対して平均粒子径が1.0μm未満の微細な充填材を20〜300重量部含むインキに関する。
および、ポリイミドシロキサンのジアミン成分として側鎖に水酸基及び/又はカルボキシル基を有する芳香族系ジアミンを含むインキに関する。
更に、前記のいずれかのインキをスクリーン印刷法により印刷し次いで60〜210℃の温度範囲で加熱処理することを特徴とする硬化した塗膜からなる印刷物の製造方法、特にラインアンドスペースが80μm以下の微細なパターンの硬化した塗膜を形成することを特徴とする硬化した塗膜からなる印刷物の製造方法、および、前記のいずれかのインキをスクリーン印刷法により印刷し次いで加熱処理して得られた硬化した塗膜からなる印刷物に関する。
本発明において、硬化した塗膜のエッジ部の傾斜角度は、図1の概略の断面図で示すように、硬化した塗膜の厚さが5〜10μm程度のときの印刷面(基材表面)と硬化した塗膜の傾斜面とがなす角度であって、厚みの上部30%と下部20%とを除いた中央部50%部分の範囲での平均角度とする。また、本発明では、ガラス基板にスクリーン印刷法によって印刷し加熱処理した硬化した塗膜のエッジ部をエッジ部に対して直角方向に切断したときの断面を走査型電子顕微鏡で観察して測定した。
本発明のインキをスクリーン印刷法で印刷し次いで加熱処理して得られる硬化した塗膜は、加熱処理によっても印刷時の形態を保持し易く、エッジ部の印刷面に対する傾斜角度は15°以上、好ましくは20°以上、特に30°以上を保持するので、微細なパターンを高精度で形成することができる。このため、例えば、厚さが数μm〜数十μm程度の硬化した塗膜を形成する場合に、ラインアンドスペースが80μm〜5μmの微細なパターン、より具体的には、幅が80μm以下特に50μm以下更に30μm以下好ましくは20μm以下で5μm以上のライン状の硬化した塗膜、径が80μm以下特に50μm以下更に30μm以下好ましくは20μm以下で5μm以上の円形の硬化した塗膜、幅が80μm以下特に50μm以下更に30μm程度以下好ましくは20μm以下で5μm以上のライン状のスペースを持った硬化した塗膜、或は、径が80μm以下特に50μm以下更に30μm以下好ましくは20μm以下で5μm以上の円形のスペースをもった硬化した塗膜などからなる、微細なパターンを持った硬化した塗膜からなる印刷物を得ることができる。
印刷時の温度において、周波数10rad/secのときの複素粘性率(η*)が30000ポイズ以下であれば、常温でスクリーン印刷法によって微細なパターンに印刷することができるが、複素粘性率(η*)が30000ポイズを越えると版離れが悪くなったり、スキージで印刷面全体にインクを均一に押し広げるのが容易ではなくなったり、また、得られた硬化した塗膜表面の凹凸が激しくなるなどの問題が生じるので、スクリーン印刷法で印刷することが困難になる。一方、複素粘性率(η*)が1000ポイズ未満のものは、粘度が低過ぎて、印刷後の加熱処理工程において塗膜が容易に流動化するので微細なパターンを持った硬化した塗膜を得ることが難しい。
印刷時の温度において、周波数1rad/secのときの複素粘性率(η*)が10000以上であれば、印刷後の加熱処理工程において塗膜の流動化が抑制されるので、硬化した塗膜のエッジ部は印刷面に対する傾斜角度が15°以上、好ましくは20°以上、特に30°以上にすることが容易になる。複素粘性率(η*)が10000ポイズ未満では、印刷後の加熱処理工程における塗膜の流動化を抑制できないので、硬化した塗膜のエッジ部の印刷面に対する傾斜角度が極めて小さくなって微細なパターンを持った硬化した塗膜からなる印刷物を得ることは難しい。一方、複素粘性率(η*)が300000ポイズを越えると、充填材やその他の添加剤などを均一に混合することが困難になるなどの製造上の問題が生じるので好ましくない。
100℃未満で実質的な硬化反応が起る場合は、そのインキを長期間保持するとゲル化や高粘度化し易くなるし、更に、印刷工程中にゲル化や高粘性化してスクリーン印刷法による印刷を安定しておこなうことが難しくなる。また、210℃を越える温度で実質的な硬化反応が起る場合は、加熱処理時に塗膜が流動して微細なパターンを持った硬化した塗膜を得ることができない。更に、210℃を越える温度まで加熱するための加熱装置が必要になるので設備上及び作業上好ましくないし、加熱処理時に塗膜以外の材料や部品に高温度の熱による問題を生じる可能性があるので好ましくない。
これらの組合せは、いずれも100℃未満の温度では実質的な熱硬化反応が起らず、100〜210℃の温度範囲において容易に熱硬化反応がおこる。
この樹脂成分からなるインキは、得られる硬化した塗膜が、電気絶縁性などの電気特性、他の材料に対する密着性、耐熱性、耐ハンダ性、耐屈曲性、非カール性、及び、耐湿性などの特性において優れているので、半導体装置の製造工程やIC実装部品の絶縁層及び液晶など表示装置のカラーフィルターのブラックマトリックス層を形成するため特に好適に用いることができる。
以下、限定するものでないが、この樹脂成分からなるインキに基づいて本発明を更に説明する。
ポリイミドシロキサンとしては、対数粘度(0.5g/100ml)が0.05〜3、特に、0.1〜1のものが好ましい。
前記テトラカルボン酸成分とジアミン成分との反応は、ランダム反応およびブロック反応のいずれでも構わない。例えば、ジアミン種ごとに別々に反応したホモ反応物を混合(場合により再結合反応を伴う。)しても構わない。また、予めテトラカルボン酸過剰で調製した酸末端オリゴマーとジアミン過剰で調整したアミン末端オリゴマーとを酸成分とジアミン成分とが略等モルになるように混合して更に反応しても構わない。
生成したポリイミドシロキサンは溶液から単離することなくそのまま用いることができる。
2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3,4,4−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、及び、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、それらの酸二無水物あるいはそれらのエステル誘導体を用いると、溶媒への高い溶解性によって高濃度のポリイミドシロキサン溶液を得ることができ、また、耐熱性が高い絶縁膜を得ることができるので特に好適である。
また、テトラカルボン酸二無水物の使用量がジアミンに対して1.05倍モル以上で、未反応無水環が残存するような場合には、そのまま使用しても構わないが、エステル化剤で開環ハーフエステル化してもよい。エステル化剤であるアルコール類の使用量は、過剰なテトラカルボン酸二無水物の1.1〜20倍当量、特に、1.5〜5倍当量であることが好ましい。アルコール類の割合が少ないと、未反応の無水環が多量に残って、インキとしたときに貯蔵安定性が劣るものとなり、過剰のアルコール類は貧溶媒となって固形分濃度を低くすることになってスクリーン印刷法による塗膜の形成が容易でなくなるので好ましくない。
エステル化剤を用いた場合は、反応溶液をそのまま用いても構わないが、過剰のアルコール類を加熱や減圧留去して使用することもできる。
前記多価イソシアネ−ト化合物として、脂肪族、脂環族または芳香族のジイソシアネ−ト等があり、具体的には、例えば、1,4−テトラメチレンジイソシアネ−ト、1,5−ペンタメチレンジイソシアネ−ト、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、2,2,4−トリメチル−1,6−へキサメチレンジイソシアネ−ト、リジンジイソシアネ−ト、3−イソシアネ−トメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネ−ト(イソホロンジイソシアネ−ト)、1,3−ビス(イソシアネ−トメチル)−シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネ−ト、トリレンジイソシアネ−ト、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、1,5−ナフタレンジイソシアネ−ト、トリジンジイソシアネ−ト、キシリレンジイソシアネ−ト等を挙げることが出来る。
更に、多価イソシアネ−ト化合物は、脂肪族、脂環族または芳香族の多価イソシアネ−ト化合物から誘導されるもの、具体的には、例えば、イソシアヌレ−ト変性多価イソシアネ−ト、ビュレット変性多価イソシアネ−ト、ウレタン変性多価イソシアネ−ト等であってもよい。
具体的なブロック化剤としては、アルコ−ル系としてメタノ−ル、エタノ−ル、プロパノ−ル、ブタノ−ル、2−エチルヘキサノ−ル、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルピト−ル、ベンジルアルコ−ル、シクロヘキサノ−ル等、フェノ−ル系として、フェノ−ル、クレゾ−ル、エチルフェノ−ル、ブチルフェノ−ル、ノニルフェノ−ル、ジノニルフェノ−ル、スチレン化フェノ−ル、ヒドロキシ安息香酸エステル等、活性メチレン系として、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン等、メルカプタン系として、ブチルメルカプタン、 ドデシルメルカプタン等、酸アミド系として、アセトアニリド、酢酸アミド、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−プチロラクタム等、酸イミド系として、コハク酸イミド、マレイン酸イミド、イミダゾ−ル系として、イミダゾ−ル、2−メチルイミダゾ−ル、尿素系として、尿素、チオ尿素、エチレン尿素等、オキシム系として、ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等、アミン系として、ジフェニルアミン、アニリン、カルバゾール等、イミン系として、エチレンイミン、ポリエチレンイミン等、重亜硫酸塩として、重亜硫酸ソ−ダ等、ピリジン系として、2−ヒドロキシピリジン、2−ヒドロキシキノリン等が挙げられる。
本発明において、エポキシ樹脂とともに、ヒドラジド類、イミダゾール類などのエポキシ樹脂の硬化を促進する触媒成分を、触媒量が例えばエポキシ樹脂100重量部に対して0.01重量部好ましくは0.01重量部以上且つ10重量部以下好ましくは5重量部以下の程度用いてもよい。
更に、本発明のインキにおいては、平均粒径が0.3μm未満特に0.1μm未満更に50nm未満の充填材を、少なくとも20重量部以上特に30重量部以上且つ300重量部以下特に200重量部以下含むことが、インキの複素粘性率(η*)を本特許の所定のものにするうえで特に重要である。
前記無機充填材の具体例としては、日本アエロジル社製のアエロジル 130(微粉末シリカ、平均粒径:16nm)やアエロジル 50(微粉末シリカ、平均粒径:30nm)、堺化学工業社製の硫酸バリウム B−30(硫酸バリウム、平均粒径:0.3μm)、信越石英社製のアドマファイン SO−C2(球状シリカ、平均粒径:0.5μm)などを好適に挙げることができる。
前記有機化した粘土鉱物は、層状粘土鉱物の層間に有機化合物及び/又は有機イオンを取り込んだ粘土−有機複合体であって、例えば、層状粘土鉱物の層間の交換性無機イオンを有機イオンによって置換することによって生成される。このような有機化された粘土鉱物は、結晶の層間隔が広がっていて一層又は数層の結晶単位でバラけ易くなっている。従って、樹脂組成物中では、平均粒径が0.1μm以下の微細な充填材になって分散する。
有機化した粘土鉱物の具体例としては、モンモリロナイトのアミノドデカン酸処理品、例えば、ナノコア(Nanocor)社製のNANOMER I.24Tやコープケミカル社製のソマシフME−100を好適に挙げることができる。
多価イソシアネート化合物とエポキシ化合物は、それぞれ単独で使用しても、併用しても構わない。併用する場合は、両者の使用量の合計が前記範囲内であることが好適である。
また、有機溶媒の使用量はポリイミドシロキサン100重量部に対して有機溶媒50〜200重量部とすることが、インキとしての作業性や溶液物性、印刷及び加熱処理工程において塗膜形態を制御するうえから適当である。
これらの混合方法は、各成分が十分均一に分散混合したインキを得ることができれば特に限定はないが、例えば、通常の方法で粗混合物としたあとで、常温において三本ロールなどによって十分に混練し、更に混練時に混入した気泡を十分脱泡する方法によって好適におこなうことができる。
ポリイミドシロキサンの溶液組成物を用いる場合は、ポリイミドシロキサンを調整した反応溶液をそのまま用いてもよいし、その反応溶液を適当な有機溶媒で希釈したものを用いてもよい。尚、有機溶媒としては、沸点が140℃以上で210℃以下、特に沸点が180℃以上の有機溶媒が、蒸発による有機溶媒の散逸が極めて減少するので好適である。また、このような有機溶媒は、スクリーン印刷法で印刷を支障なく好適におこなううえで最適である。
尚、本発明において、印刷される基材は、その目的とする用途によっていずれの材料を用いても構わない。例えば、ガラス板などの透明基材、ポリイミドフィルムやガラスエポキシ積層基板などの絶縁基材、及び固体電子素子などを好適に挙げることができる。
〔複素粘性率(η*)の測定〕
ダイナミックスペクトロメーター RDSII(レオメトリック社製)を用いて、パラレルプレート25mmφ、プレート間隔2mm、歪10%、温度25℃、窒素ガス気流中、周波数スイープモードにて測定し、周波数が1rad/sec及び10rad/secでの複素粘性率(η*)を求めた。
〔溶液粘度の測定〕
E型粘度計(東京計器社製)、STローターを使用し、回転数10rpm、温度25℃でおこなった。
〔印刷操作性の評価〕
高精度印刷機(マイクロテック社製)にて高精細スクリーン板を用いて、スキージスピート15mm/secにてスクリーン印刷をおこなった。通常の印刷操作によって印刷が可能な場合を○、スキージによってインキをスクリーン上に均一に広げることができなかったり、版離れが悪い(基材の印刷面とスクリーンとがくっついて容易に剥がれない)場合は×とした。
〔微細なパターンの印刷性評価〕
高精度印刷機(マイクロテック社製)にて高精細スクリーン板を用いて、ガラス基材上に、厚さ5〜10μm程度で幅20μm程度のラインと幅20μm程度のスペースとからなるパターンの塗膜が得られるように、スクリーン印刷法で印刷し、これをオーブン中80℃で30分間次いで180℃で30分間加熱処理した。得られた塗膜のパターンを光学顕微鏡又は走査型電子顕微鏡で観察して、目的のパターンが得られた場合を○、スペースが埋まったり明確なパターンが得られなかった場合を×とした。
〔塗膜エッジ部の印刷面に対する傾斜角の測定〕
高精度印刷機(マイクロテック社製)にて高精細スクリーン板を用いて、ガラス基材上に、厚さ5〜10μm程度のライン状の硬化した塗膜が得られるように、スクリーン印刷法によって印刷し次いでオーブン中80℃で30分間更に180℃で30分間加熱処理した。この硬化した塗膜全体を覆うようにこの試料表面にエポキシ樹脂を塗布して硬化させた。次いで、この塗膜をライン方向に対して直角の断面が得られるように切削し、その断面を走査型電子顕微鏡によって観察して、基材表面と塗膜のエッジ部の傾斜面がなす傾斜角を測定した。尚、前記傾斜角は硬化した塗膜のエッジ部の最も厚みの厚い部分の厚みに対して上部30%と下部20%とを除いた中央部50%部分の範囲での平均角度として求めた。
〔電気絶縁性の測定〕
表面抵抗:JIS C−2103によって測定した。
体積抵抗:JIS C−2103によって測定した。
絶縁破壊電圧:JIS C−2318によって測定した。
a−BPDA:2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
DAPSi:α、ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(アミノ当量:460又は455、n1=約10)
MBAA:ビス(3−カルボキシ−4−アミノフェニル)メタン
BAPP:2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン
DABA:3,5−ジアミノ安息香酸
TG:トリグライム
また、以下の各例で使用した充填材について説明する。
アエロジル 130:日本アエロジル社製、平均粒径は16nmの微粉状シリカ
アエロジル 50:日本アエロジル社製、平均粒径は30nmの微粉状シリカ
硫酸バリウム B−30:堺化学工業社製、平均粒径は0.3μm
球状シリカ アドマファインSO−C2:信越石英社製、平均粒径は0.5μm
容量500mlのガラス製フラスコに、a−BPDA58.84g(0.2モル)、TG116gを秤取し、窒素雰囲気下、185℃で加熱攪拌した。これにDAPSi(アミノ当量:460)156.4g(0.17モル)とTG50gとを加え、185℃で2時間加熱攪拌した。更に、この反応溶液にMBAA8.59g(0.03モル)及びTG50gとを加え、185℃で5時間加熱攪拌した。
この反応溶液を25℃まで冷却した。得られたポリイミドシロキサン溶液の固形分(ポリイミドシロキサン)濃度は50.3重量%、対数粘度(0.5g/100ml)は0.173、溶液粘度は35ポイズであった。イミド化率は実質的に100%であった。
次いで、ガラス製容器にて、前記ポリイミドシロキサン溶液にTGを添加してポリイミドシロキサン濃度を50重量%に調整した溶液35gへ、エポキシ樹脂のエピコート157S07(ジャパンエポキシレジン社製)2.14g、及び、イミダゾール系触媒のキュアゾール 2E4MZ(四国化成工業社製)0.06gを加え2時間攪拌した。この溶液の溶液粘度は40ポイズであった。
容器500mlのガラス製プラスコに、a−BPDA58.84g(0.2モル)、TG170gを仕込み、窒素雰囲気下、180℃で加熱撹拌した。100℃付近まで冷却し、DAPSi(アミノ当量:455)127.4g(0・14モル)、TG50gを加え、180℃で60分間加熱撹拌した。更に、室温付近まで冷却後、この反応液にBAPP13.52g(0.03モル)、DABA4.56g(0.03モル)、及びTG79gとを加え、180℃で5時間加熱撹拌した。得られたポリイミドシロキサン反応溶液は、ポリマー固形分濃度が40重量%、対数粘度(0.5g/100ml)が0.20、溶液粘度が28ポイズの溶液であった。イミド化率は実質的に100%であった。
次いで、ガラス製容器にて、前記ポリイミドシロキサン溶液40gへ、エポキシ樹脂のエピコート157S07(ジャパンエポキシレジン社製)2.88g、及び、イミダゾール系触媒のキュアゾール 2E4MZ(四国化成工業社製)0.03gを加え2時間攪拌した。この溶液の溶液粘度は41ポイズであった。
参考例1で得られた溶液に、表1に示した樹脂組成になるように充填材を加えて混合した。次いで、この組成物を三本ロールで2回処理し更に泡取り練太郎(株式会社シンキー製)を用いて公転2000rpm、自転600rpmで処理して混練及び脱泡をおこなってインキを得た。
得られたインキの複素粘性率(η*)を測定した結果を表1に示す。
これらのインキを用いてガラス基材表面にスクリーン印刷法によって印刷をおこない次いで加熱処理をおこなって所定のパターンを持った硬化した塗膜からなる印刷物を得た。この結果から、印刷作業性、微細なパターンの印刷性、塗膜エッジ部の印刷面に対する傾斜角を評価又は測定した。その結果を表1に示す。
充填材の添加量を表1のようにしたこと以外は、実施例1〜4と同様の操作をおこなった。結果は表1のとおりであった。
実施例4のインキを用いて、スクリーン印刷法でガラス基材に印刷し次いで80℃30分間、更に、180℃で30分間加熱処理をおこない、厚みが20μm程度の硬化した塗膜を得た。この硬化した塗膜全体を覆うようにこの試料表面にエポキシ樹脂を塗布して硬化させた。次いで、この硬化した塗膜をライン方向に対して直角の断面が得られるように切削し、硬化した塗膜の断面を走査型電子顕微鏡によって観察した。その断面の走査型電子顕微鏡写真を図3に示す。(この写真では、試料断面を得る時の切削によってガラス基材が破砕している。)この硬化した塗膜のエッジ部は印刷面(基材表面)に対する傾斜角度が30°以上であった。この結果から、このインキを用いてスクリーン印刷法で印刷し次いで所定の加熱処理することによって、厚みが20μm程度でも、例えば、幅又は径が30μm程度以下好ましくは20μm〜5μm程度のライン状又は円形のスペースを持った硬化した塗膜を得るのが可能であることがわかる。
参考例2で得られた溶液に、表1に示した樹脂組成になるように充填材を加えて混合した。次いで、この組成物を三本ロールで2回処理し更に泡取り練太郎(株式会社シンキー製)を用いて公転2000rpm、自転600rpmで処理して混練及び脱泡をおこなってインキを得た。
得られたインキの複素粘性率(η*)を測定した結果を表1に示す。
これらのインキを用いてガラス基材表面にスクリーン印刷法によって印刷をおこない次いで加熱処理をおこなって所定のパターンを持った硬化した塗膜からなる印刷物を得た。この結果から、印刷作業性、微細なパターンの印刷性、塗膜エッジ部の印刷面に対する傾斜角を評価又は測定した。その結果を表1に示す。
2:印刷面(基材表面)
Claims (7)
- 熱硬化性樹脂成分を含むインキに、
25℃の温度において、周波数が1rad/secのときの複素粘性率(η * )が10000〜300000ポイズであり且つ周波数10rad/secのときの複素粘性率(η * )が1000〜30000ポイズであり
25℃の温度において、周波数が1rad/secのときの複素粘性率(η * )が、周波数10rad/secのときの複素粘性率(η * )の4〜16倍となるように、
樹脂成分100重量部に対して20〜300重量部の平均粒子径が50nm未満の微細な充填材を含む充填材を加えて混合することを特徴とする、インキの製造方法。 - 樹脂成分が、100〜210℃の温度範囲において実質的に熱硬化反応をおこすように構成されている前記請求項1のインキの製造方法。
- 樹脂成分の硬化反応が、芳香族ジカルボン酸無水物基又は芳香族ジカルボン酸モノエステル基とエポキシ基又はブロックされたイソシアネート基との反応、ブロックされたイソシアネート基と水酸基又はカルボキシル基との反応、エポキシ基と水酸基又はカルボキシル基との反応、または、前記反応のいずれかの組合せによって実質的に起るように構成されたことを特徴とする前記請求項1又は2に記載のインキの製造方法。
- ポリイミドシロキサンのジアミン成分として、側鎖に水酸基及び/又はカルボキシル基を有する芳香族系ジアミンを含むことを特徴とする請求項4に記載のインキの製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のインキの製造方法によって得られたインキをスクリーン印刷法により印刷し次いで60〜210℃の温度範囲で加熱処理することを特徴とする硬化した塗膜からなる印刷物の製造方法。
- ラインアンドスペースが80μm以下の微細なパターンの硬化した塗膜を形成することを特徴とする請求項6に記載の硬化した塗膜からなる印刷物の製造方法。
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