JP4374742B2 - ポリイミド重合体の製造法、ポリイミド系絶縁膜用組成物 - Google Patents
ポリイミド重合体の製造法、ポリイミド系絶縁膜用組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4374742B2 JP4374742B2 JP2000195883A JP2000195883A JP4374742B2 JP 4374742 B2 JP4374742 B2 JP 4374742B2 JP 2000195883 A JP2000195883 A JP 2000195883A JP 2000195883 A JP2000195883 A JP 2000195883A JP 4374742 B2 JP4374742 B2 JP 4374742B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- polyimide
- producing
- polyimide polymer
- formula
- bis
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)
- Organic Insulating Materials (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
- Paints Or Removers (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ポリイミド重合体の製造法およびそれによって得られたポリイミド重合体を必須成分とするポリイミド系絶縁膜用組成物に係わるものである。
この発明によれば、分子量低下をもたらすことなく重合液の粘度上昇を押さえてポリイミド重合体を製造することが可能になり、重合反応中に重合液が攪拌機(特に、攪拌軸)に巻き付くことを防止することができ、重合反応工程中に粘度を低下させるための特別な操作を必要としない。
また、この発明のポリイミド系絶縁膜用組成物は、貯蔵安定性および印刷性が良好で、硬化膜の物性が良好である。
【0002】
【従来の技術】
従来、芳香族ポリイミド、エポキシ樹脂などを電気絶縁性の保護膜として利用することは、例えば、固体素子への絶縁膜、半導体集積回路、フレキシブル配線板などの絶縁膜の用途において知られている。
エポキシ樹脂は耐メッキ性および基板との良好な密着性を有しているためエポキシダムなどに使用されているが、反面、前述の絶縁膜として使用した場合に、熱硬化によって形成される絶縁膜が剛直であり、柔軟性が小さく、屈曲性に劣るという問題があった。
【0003】
また、一般に芳香族ポリイミドは、有機溶媒に溶解し難いために、芳香族ポリイミドの前駆体(芳香族ポリアミック酸)の溶液として使用して、塗布膜を形成し、次いで乾燥とイミド化とを高温で長時間加熱処理することによって芳香族ポリイミドの保護膜を形成する必要があり、保護すべき電気または電子部材自体が熱劣化するという問題があった。
【0004】
一方、有機溶媒に可溶性の芳香族ポリイミドは、例えば、特公昭57−41491号公報に記載されているようにビフェニルテトラカルボン酸成分とジアミン化合物とを有機極性溶媒中で重合及びイミド化した芳香族ポリイミドが知られているが、そのポリイミドは、シリコンウエハ−、ガラス板、フレキシブル基板などとの密着性(接着性)が充分でなかったので予め基板などを密着促進剤で処理しておく必要があった。
【0005】
このため、有機溶媒に可溶性のポリイミドとしてポリイミドシロキサンが提案され、このポリイミドシロキサンとイソシアネ−トおよび/またはエポキシ樹脂とを必須成分とする絶縁性ポリイミドシロキサン組成物が耐熱性、電気絶縁性および基板との密着性を兼ね備えていることが知られている。
特に、カルボキシル基やヒドロキシル基などの極性基を有する芳香族ジアミンを使用して得られたポリイミドシロキサンは、イソシアネ−トおよび/またはエポキシ樹脂と併用することによって良好な膜特性、例えば耐熱性、密着性、ハンダフラックス性および耐スズメッキ液性を有することから、最近使用され始めている。
【0006】
しかし、従来公知のポリイミドシロキサンの製造方法では、重合中に重合液粘度が上昇し攪拌棒に絡み付き重合継続が困難になるという問題があった。このため、プロセスの途中で重合液粘度を低下させることが必要になり、例えば加熱下で攪拌を停止し数時間程度粘度低下を待つなどの粘度低下工程を採用しており、重合操作に長時間を要していた。
一方、この粘度低下のための工程を省略して重合を継続すると、重合液が攪拌棒に絡み付いて上昇し、ついには還流器まで到達し廃棄系を閉塞させる危険な状態をもたらす場合がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この発明の目的は、前記の極性基を有する芳香族ジアミンを使用するポリイミドシロキサンの製造法における重合液の粘度上昇という問題を改良してポリイミドシロキサンを安全にかつ生産性良く製造するポリイミド重合体の製造法、およびその製造法によって得られるポリイミド重合体を使用したポリイミド系絶縁膜用組成物を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち、この発明は、(a)耐熱性ポリイミドを与え得るテトラカルボン酸成分と、(b)ジアミノポリシロキサン、(c)極性基を有する芳香族ジアミン及び場合により(d)複数のベンゼン環を有する芳香族ジアミンからなるジアミン成分との重合を、攪拌機を備えた反応槽を用いて有機溶媒中、加湿窒素の流通下に行うことを特徴とするポリイミド重合体の製造法に関する。
【0009】
また、この発明は、前記の製造法によって得られる(イ)ポリイミド重合体100重量部、(ロ)イソシアネ−トおよび/またはエポキシ樹脂1〜100重量部、特に2〜40重量部及び(ハ)有機溶媒からなるポリイミド系絶縁膜用組成物に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を次に示す。
1) ジアミン成分が、(b)ジアミノポリシロキサン45〜90モル%、(c)極性基を有する芳香族ジアミン0.5〜40モル%及び(d)複数のベンゼン環を有する芳香族ジアミン0〜50モル%からなる前記のポリイミド重合体の製造法。
2) (b)ジアミノポリシロキサンが、一般式(1)
(但し、式中のR1は2価の炭化水素基又はフェニル基を示し、R2は独立に炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基を示し、n1は3〜30の整数を示す。)で示されるものである前記のポリイミド重合体の製造法。
【0011】
3) (c)極性基を有する芳香族ジアミンが、一般式(2)
(但し、式中のBzはベンゼン環を示し、XおよびYは独立に直接結合、CH2、C(CH3)2、C(CF3)2、O、BzまたはSO2を示し、r1はCOOHまたはOHを示し、n2は1又は2、好ましくは1であり、n3は0、1または2、好ましくは1である。)で示されるものである前記のポリイミド重合体の製造法。
【0012】
4) (d)複数のベンゼン環を有する芳香族ジアミンが、一般式(3)
(但し、式中のBzはベンゼン環を示し、XおよびYは独立に直接結合、Bz、CH2、C(CH3)2、OまたはSO2を示し、n4は1またはは2である。)で示されるものである前記のポリイミド重合体の製造法。
【0013】
5) 重合が、100℃以上の高い温度で行われる前記のポリイミド重合体の製造法。
6) さらに、微細無機フィラ−、着色剤、顔料、たれ防止剤、レベリング剤、密着性改良剤および消泡剤の少なくとも1種を含有する前記のポリイミド系絶縁膜用組成物。
【0014】
この発明において、好適には(a)耐熱性ポリイミドを与え得るテトラカルボン酸成分と、(b)ジアミノポリシロキサン45〜90モル%、(c)極性基を有する芳香族ジアミン0.5〜40モル%及び(d)複数のベンゼン環を有する芳香族ジアミンの少なくとも1種0〜50モル%からなるジアミン成分とを、攪拌機を備えた反応槽を用いて有機溶媒中、加湿窒素の流通下に重合させてポリアミック酸としさらにイミド化するか、あるいはポリアミック酸とする工程を省略して比較的高温で一段でイミド化してポリイミド重合体を製造することができる。
前記の(a)耐熱性ポリイミドを与え得るテトラカルボン酸成分とジアミンとの重合反応は、ランダム、ブロックあるいは2種以上のホモ反応後の混合(場合により更に再結合反応)のいずれにより行ってもよい。
前記のポリイミドシロキサンであるポリイミド重合体は溶液から単離することなくそのまま使用することもできる。
【0015】
前記のジアミン成分は、(b)ジアミノポリシロキサン成分の割合が45〜90モル%、(c)極性基を有する芳香族ジアミン成分の割合が0.5〜40モル%、及び(d)複数のベンゼン環を有する芳香族ジアミン成分の割合が0〜50モル%であることが好ましい。いずれかの成分が多すぎたり、少な過ぎたりしてこれらの範囲をはずれると、保護膜の曲率半径が小さくなり耐屈曲性が低下したり、密着性あるいは耐熱性が低下したり、耐湿性が低下する傾向がある。
【0016】
前記の(a)耐熱性ポリイミドを与え得るテトラカルボン酸成分としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エ−テル二無水物、ピロメリット酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(2,5−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物や、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸二無水物などの脂環族系のテトラカルボン酸二無水物や、これらのテトラカルボン酸やハ−フエステルなどが挙げられる。
【0017】
前記のテトラカルボン酸成分は1種を単独で使用してもよくあるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
特に、高濃度のポリイミド重合体を得るために溶媒への溶解性が高く、得られるイミド系絶縁膜の耐熱性も高いテトラカルボン酸成分として、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エ−テル二無水物などが好ましい。
【0018】
前記のジアミンの1成分である(b)ジアミノポリシロキサンは、一般式(1)
(但し、式中のR1は2価の炭化水素基又はフェニル基を示し、R2は独立に炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基を示し、n1は3〜30の整数を示す。)で示される化合物、好ましくは前記式中R1およびR2が炭素数2〜6、特に炭素数3〜5の複数のメチレン基またはフェニレン基であるものが好ましい。また、前記式においてn1が4〜30、特に4〜20であることが好ましい。ジアミノポリシロキサンが混合物である場合には、アミノ当量から計算される平均値のn1が3〜30の範囲内であることが好ましい。
【0019】
前記の(b)ジアミノポリシロキサンの具体的化合物の例としてはα,ω−ビス(2−アミノエチル) ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル) ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(4−アミノフェニル) ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル) ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル) ポリジフェニルシロキサン、α,ω−ビス(4−アミノブチル) ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。
【0020】
前記の(c)極性基を有する芳香族ジアミンとしては、一般式(2)
(但し、式中のBzはベンゼン環を示し、XおよびYは独立に直接結合、CH2、C(CH3)2、C(CF3)2、O、BzまたはSO2を示し、r1はCOOHまたはOH、好ましくはCOOHを示し、n2は1又は2、好ましくは1であり、n3は0、1または2、好ましくは1である。)で示されるものが挙げられる。
【0021】
前記の(c)極性基を有する芳香族ジアミン化合物としては、2,4−ジアミノフェノ−ルなどのジアミノフェノ−ル化合物類、3,3’−ジアミノ,4,4’−ジハイドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ,3,3’−ジハイドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ,2,2’−ジハイドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ,2,2’,5,5’−テトラハイドロキシビフェニルなどのヒドロキシビフェニル化合物類、3,3’−ジアミノ,4,4’−ジハイドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ,3,3’−ジハイドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ,2,2’−ジハイドロキシジフェニルメタン、2,2−ビス〔3−アミノ,4−ハイドロキシフェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−アミノ,3−ハイドロキシフェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−アミノ,4−ハイドロキシフェニル〕ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ,2,2’,5,5’−テトラハイドロキシジフェニルメタンなどのヒドロキシジフェニルアルカン化合物類、3,3’−ジアミノ,4,4’−ジハイドロキシジフェニルエ−テル、4,4’−ジアミノ,3,3’−ジハイドロキシジフェニルエ−テル、4,4’−ジアミノ,2,2’−ジハイドロキシジフェニルエ−テル、4,4’−ジアミノ,2,2’,5,5’−テトラハイドロキシジフェニルエ−テルなどのヒドロキシジフェニルエ−テル化合物類、3,3’−ジアミノ,4,4’−ジハイドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ,3,3’−ジハイドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ,2,2’−ジハイドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ、2,2’,5,5’−テトラハイドロキシジフェニルスルホンなどのヒドロキシジフェニルスルホン化合物類、2,2−ビス〔4−(4−アミノ,3−ハイドロキシフェノキシ)フェニル〕プロパンなどのビス(ハイドロキシフェニキシフェニル)アルカン化合物類、4,4’−ビス(4−アミノ,3−ハイドロキシフェノキシ)ビフェニルなどのビス(ハイドロキシフェノキシ)ビフェニル化合物類、2,2−ビス〔4−(4−アミノ,3−ハイドロキシフェノキシ)フェニル〕スルホンなどのビス(ハイドロキシフェニキシフェニル)スルホン化合物類などのOH基を有するジアミン化合物を挙げることができる。
【0022】
前記の(c)極性基を有する芳香族ジアミンの具体例としては、3,5−ジアミノ安息香酸、2,4−ジアミノ安息香酸などのベンゼンカルボン酸類、3,3’−ジアミノ,4,4’−ジカルボキシビフェニル、4,4’−ジアミノ,3,3’−ジカルボキシビフェニル、4,4’−ジアミノ,2,2’−ジカルボキシビフェニル、4,4’−ジアミノ,2,2’,5,5’−テトラカルボキシビフェニルなどのカルボキシビフェニル化合物類、3,3’−ジアミノ,4,4’−ジカルボキシジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ,3,3’−ジカルボキシジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ,2,2’−ジカルボキシジフェニルメタン、2,2−ビス〔3−アミノ,4,−カルボキシフェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−アミノ,3−カルボキシフェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−アミノ,4−カルボキシフェニル〕ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ,2,2’,5,5’−テトラカルボキシビフェニルなどのカルボキシジフェニルアルカン化合物類、3,3’−ジアミノ,4,4’−ジカルボキシジフェニルエ−テル、4,4’−ジアミノ,3,3’−ジカルボキシジフェニルエ−テル、4,4’−ジアミノ,2,2’−ジカルボキシジフェニルエ−テル、4,4’−ジアミノ,2,2’,5,5’−テトラカルボキシジフェニルエ−テルなどのカルボキシジフェニルエ−テル化合物類、3,3’−ジアミノ,4,4’−ジカルボキシジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ,3,3’−ジカルボキシジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ,2,2’,5,5’−テトラカルボキシジフェニルスルホンなどのカルボキシジフェニルスルホン化合物類、2,2−ビス〔4−(4−アミノ,3−カルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパンなどのビス(カルボキシフェノキシフェニル)アルカン化合物類、4,4’−ビス(4−アミノ,3−カルボキシフェノキシ)ビフェニルなどのビス(カルボキシフェノキシ)ビフェニル化合物類、2,2−ビス〔4−(4−アミノ,3−カルボキシフェノキシ)フェニル〕スルホンなどのビス(カルボキシフェノキシフェニル)スルホン化合物類などのCOOH基を有するジアミン化合物を挙げることができる。
特に、この発明において、前記の(c)極性基を有する芳香族ジアミンとしてビス(3−カルボキシ,4−アミノフェニル)メタン(MBAA)を好適に使用することができる。
【0023】
前記の(d)複数のベンゼン環を有する芳香族ジアミンとしては、一般式(3)
(但し、式中のBzはベンゼン環を示し、XおよびYは独立に直接結合、Bz、CH2、C(CH3)2、OまたはSO2を示し、n4は1またはは2である。)で示されるものが挙げられる。
【0024】
前記の(d)複数のベンゼン環を有する芳香族ジアミンの具体例としては、4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、o−トリジンなどのベンゼン環を2個有する芳香族ジアミン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼンなどのベンゼン環を3個有する芳香族ジアミン、あるいはビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ビフェニルなどのベンゼン環を4個有する芳香族ジアミンなどが挙げられる。
特に、この発明において、前記の複数のベンゼン環を有する芳香族ジアミンとして1,4−ビス(4−アミノフェニル)ビフェニル(BAPP)を好適に使用することができる。
【0025】
この発明において、各成分を有機溶媒中、各成分の反応割合をジアミン全量に対してテトラカルボン酸成分がほぼ当量となる量、好適にはジアミン1モルに対してテトラカルボン酸成分が0.95〜1.2モル程度のモル比にして反応させることによって得ることができる。テトラカルボン酸二無水物の割合が前記よりも多くなるとポリイミド系絶縁膜用組成物の粘度が小さくなり過ぎ印刷性が低下するので好ましくない。
また、ポリイミドシロキサンとしては、高分子量のものからオリゴマ−といわれるものも使用できるが、対数粘度(0.5g/100ml)が0.05〜3、特に0.16〜3のものが好ましい。
【0026】
また、テトラカルボン酸二無水物の割合が1.05程度より多くて未反応無水環が形成される場合には、そのまま使用してもよいがエステル化剤で開環ハ−フエステル化してもよい。エステル化剤であるアルコ−ル類の使用量は、過剰なジ酸無水物の1.1〜20倍当量、特に1.5〜5倍当量であることが好ましい。アルコ−ル類の割合が少ないと、未反応の無水環が残り貯蔵安定性が劣るものとなり、あまり過剰のアルコ−ル類は貧溶媒となり固形分濃度が低下し印刷などによる塗膜形成が容易でなくなるので好ましくない。
また、エステル化剤であるアルコ−ル類を含む反応物はそのまま用いてもよいし、過剰のアルコ−ル類を加熱や減圧下留去し使用することもできる。
【0027】
上記の反応における有機溶媒としては、含窒素系溶媒、例えばN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、イミダゾ−ル、N−メチルカプロラクタムなど、含硫黄原子溶媒、例えばジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ヘキサメチルスルホルアミドなど、含酸素溶媒、例えばフェノ−ル系溶媒、例えばクレゾ−ル、フェノ−ル、キシレノ−ルなど、エ−テル系溶媒例えばジエチレングリコ−ルジメチルエ−テル(ジグライム)、トリエチレングリコ−ルジメチルエ−テル(トリグライム)、テトラグライム、ジオキサン、テトラヒドロフランや、γ−ブチロラクトンなどを挙げることができる。
特に、この発明において有機溶媒として、ジエチレングリコ−ルジメチルエ−テル、トリエチレングリコ−ルジメチルエ−テル、γ−ブチロラクトンを好適に使用することができる。また、これらの好適な有機溶媒に2〜15%の割合で、N−メチル−2−ピロリドン、イミダゾ−ルなどの塩基性化合物溶媒を添加することが好ましい。
【0028】
この発明においては、攪拌機を備えた反応槽を用いて有機溶媒に前記の各反応成分を加えた有機溶媒混合物を攪拌混合しながら、好適には100℃以上、特に130〜約250℃に0.2〜24時間程度加熱し、例えば反応液上の蒸気中に加湿窒素を導入することによって、加湿窒素の流通下に重合反応を行うことが好ましい。この加湿窒素の流通下に重合反応を行うことによって、重合反応液中で極性基を有する芳香族ジアミンの極性基、特にCOOH基同士の水素結合による粘度上昇を防止することができる。また、粘度の安定した重合反応液を得ることができる。この加湿窒素の流通を行わないで重合を行うと、重合中、特に重合後期に重合液の粘度が上昇しワイゼルベルグ効果により重合液が攪拌軸に絡み付きコンデンサ−に重合液が溜り、重合系を閉塞し重合反応の継続が困難になる。
【0029】
前記の加湿窒素ガスとしては、工業用窒素ガスの露点が−60℃程度であるから、窒素ガスに加熱水蒸気を加えるなどして露点が−10℃以上、特に0℃以上の水分含有量を増加させて加湿したものを使用することが好ましい。
この加湿窒素ガスは重合反応の初期から導入してもよく、あるいは重合反応がある程度進んだ後に導入してもよい。
【0030】
この発明のポリイミド系絶縁膜用組成物は、前記重合反応液から分離取得したポリイミド重合体であるポリイミドシロキサンあるいは重合反応液をそのまま使用して、(イ)ポリイミド重合体100重量部に対して、(ロ)イソシアネ−トおよび/またはエポキシ樹脂1〜100重量部、好ましくは1〜50重量部、特に2〜40重量部及び(ハ)有機溶媒を混合し、好適には、さらに、微細フィラ−、着色顔料、たれ防止剤、レベリング剤、密着性改良剤および消泡剤の少なくとも1種を含有させて得ることができる。
特に、(イ)有機溶媒可溶性のポリイミドシロキサン100重量部に対して、(ロ)イソシアネ−トおよび/またはエポキシ樹脂2〜40重量部、特に2〜30重量部(ハ)有機溶媒50〜200重量部および(ニ)微細フィラ−20〜150重量部からなるものが好適である。そしてこのポリイミド系絶縁膜用組成物は粘度が10〜600ポイズであるものが好適である。
【0031】
この発明において使用するイソシアネ−トとしては、1分子中にイソシアネ−ト基を有するもの特に2個以上有するものであればどのようなものでもよい。例えば、このようなイソシアネ−トとして、脂肪族、脂環族または芳香族のジイソシアネ−ト等があり、例えば1,4−テトラメチレンジイソシアネ−ト、 1,5−ペンタメチレンジイソシアネ−ト、 1,6−ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、 2,2,4−トリメチル−1,6−へキサメチレンジイソシアネ−ト、リジンジイソシアネ−ト、3−イソシアネ−トメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネ−ト(イソホロンジイソシアネ−ト)、1,3−ビス(イソシアネ−トメチル)−シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネ−ト、トリレンジイソシアネ−ト、 4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、1,5−ナフタレンジイソシアネ−ト、トリジンジイソシアネ−ト、キシリレンジイソシアネ−トなどを挙げることが出来る。
【0032】
さらに、イソシアネ−トとして、脂肪族、脂環族または芳香族の多価イソシアネ−トから誘導されるもの、例えばイソシアヌレ−ト変性多価イソシアネ−ト、ビュレット変性多価イソシアネ−ト、ウレタン変性多価イソシアネ−ト等であってもよい。また、本発明に用いるイソシアネ−トは、好適には多価イソシアネ−トのイシシアネ−ト基をブロック剤でブロックしたブロック多価イソシアネ−トが好適に使用される。
【0033】
前記のブロック化剤としては例えば、アルコ−ル系、フェノ−ル系、活性メチレン系、メルカプタン系、酸アミド系、酸イミド系、イミダゾ−ル系、尿素系、オキシム系、アミン系、イミド系化合物、ピリジン系化合物等があり、これらを単独あるいは、混合して使用してもよい。
具体的なブロック化剤としては、アルコ−ル系としてメタノ−ル、エタノ−ル、プロパノ−ル、ブタノ−ル、2エチルヘキサノ−ル、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルピト−ル、ベンジルアルコ−ル、シクロヘキサノ−ル等、フェノ−ル系として、フェノ−ル、クレゾ−ル、エチルフェノ−ル、ブチルフェノ−ル、ノニルフェノ−ル、ジノニルフェノ−ル、スチレン化フェノ−ル、ヒドロキシ安息香酸エステル等、活性メチレン系として、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン等、メルカプタン系として、ブチルメルカプタン、 ドデシルメルカプタン等、酸アミド系として、アセトアニリド、酢酸アミド、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−プチロラクタム等、酸イミド系として、コハク酸イミド、マレイン酸イミド、イミダゾ−ル系として、イミダゾ−ル、2−メチルイミダゾ−ル、尿素系として、尿素、チオ尿素、エチレン尿素等、オキシム系として、ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等、アミン系として、ジフェニルアミン、アニリン、カルバゾール等、イミン系として、エチレンイミン、ポリエチレンイミン等、重亜硫酸塩として、重亜硫酸ソ−ダ等、ピリジン系として、2−ヒドロキシピリジン、2−ヒドロキシキノリン等が挙げられる。
【0034】
特に、第一工業製薬社製のエラストロン[商品名BN−P17、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト ブッロク化体]、同社のエラストロン[BN−04、BN−08、BN−44、BN−45:ウレタン変性多価イソシアネートブッロク化体1分子当たり3〜5官能。いずれも水エマルジョン品で乾燥単離後使用可能]などを好適に使用することができる。
【0035】
また、この発明におけるエポキシ樹脂(エポキシ化合物)として、エポキシ基を有するものであればどのようなものでもよいが、特にエポキシ当量が100〜1000程度であって、分子量が300〜5000程度である液状又は固体状のエポキシ樹脂が好ましい。例えば、ビスフェノ−ルA型やビスフェノ−ルF型のエポキシ樹脂(油化シェル社製:エピコ−ト806、エピコ−ト825など)、3官能以上のエポキシ樹脂(油化シェル社製:エピコ−ト152、エピコ−ト154、エピコ−ト180シリ−ズ、エピコ−ト157シリ−ズ、エピコ−ト1032シリ−ズ、チバガイギ−社製:MT0163など)などを挙げることができる。
前記のエポキシ樹脂と共にヒドラジド類、2−エチル,4−メチルイミダゾ−ルなどのイミダゾ−ル類などのエポキシ樹脂の硬化を促進する触媒を、エポキシ樹脂100重量部に対して0.01〜10重量部程度使用してもよい。
【0036】
この発明において、イソシアネ−トおよび/またはエポキシ樹脂の使用量(併用の場合は合計量)は、ポリイミドシロキサン100重量部に対して、1〜100重量部、好ましくは2〜40重量部、特に好ましくは2〜30重量部である。イソシアネ−トおよび/またはエポキシ樹脂の使用量が前記範囲外であると、ポリイミド系絶縁膜用組成物を加熱処理して得られる絶縁膜の他の部材、特にIC封止樹脂との密着性が低下したり耐溶剤性が悪くなるとか、あるいは耐熱性が悪化する。
また、イソシアネ−トブロック化体のブロック化剤を除く解離触媒、例えばジブチル錫ジラウレ−トなどを添加してもよい。解離触媒の量は多価イソシアネ−トブロック化体100重量部に対して0〜25重量部程度が好ましい。
【0037】
この発明におけるポリイミド系絶縁膜用組成物に使用する(ハ)有機溶媒としては、前記の反応に使用した有機溶媒を使用することができるが、好適には、含窒素系溶媒、例えばN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタムなど、含硫黄原子溶媒、例えばジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ヘキサメチルスルホルアミドなど、含酸素溶媒、例えばフェノ−ル系溶媒、例えばクレゾ−ル、フェノ−ル、キシレノ−ルなど、ジグライム系溶媒例えばジエチレングリコ−ルジメチルエ−テル(ジグライム)、トリエチレングリコ−ルジメチルエ−テル(トリグライム)、テトラグライムなど、アセトン、エチレングリコ−ル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、γ−ブチロラクトンなどを挙げることができる。特に、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、トリエチレングリコ−ルジメチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルジメチルエ−テルなどを好適に使用することができる。
【0038】
この発明においては、さらに微細フィラ−、着色顔料、たれ防止剤、レベリング剤、密着性改良剤および消泡剤の少なくとも1種を使用することが好ましく、特に微細フィラ−、着色顔料および消泡剤のうち少なくとも2種を併用することが好ましい。
【0039】
前記の微細フィラ−としては、どのような大きさ、形態のものでもよいが、平均粒子径が0.001〜15μm、特に0.005〜5μmのものが好ましい。この範囲外のものを使用すると得られる塗膜が屈曲したときに亀裂が発生したり、折り曲げ部が白化したりするので好ましくない。微細フィラ−としては、例えばアエロジル、タルク、マイカ、硫酸バリウムなどの微細無機フィラ−や架橋NBR微粒子などの微細有機フィラ−が挙げられる。
【0040】
この発明において、微細フィラ−の使用量は、好適にはポリイミド重合体100重量部に対して、微細フィラ−合計で20〜150重量部、特に40〜125重量部である。使用量が、余り多すぎたり、余り少なすぎると塗膜の折り曲げによりクラックが発生したり、半田耐熱性、銅箔変色性が悪くなるので上記範囲が必要である。また、アエロジルとタルク、マイカあるいは硫酸バリウムの少なくとも1種とを組み合わせて使用する場合、アエロジルをポリイミド重合体100重量部に対して1〜50重量部、特に5〜40重量部、タルク、マイカあるいは硫酸バリウムの少なくとも1種をポリイミド重合体100重量部に対して、10〜130重量部使用することが好ましい。
【0041】
また、必要に応じてフタロシアニンブル−、フタロシアニングリ−ン、アイオジングリ−ン、ジスアゾイエロ−、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カ−ボンブラック、ナフタレンブラック、アゾキレ−ト系、べンゾイミダゾロン系、キナクリドン系、イソインドリノン系、ピランスロン系、ジブロムアンザンスロン系、インダンスロン系、アンスラピリミジン系、フラバンスロン系、ペリレン系、ペリノン系、キノフタロン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系などの着色顔料、アクリル系消泡剤、アクリルビニルエ−テル系消泡剤、フッ素系消泡剤、シリコン系消泡剤などの消泡剤、アクリル系やシリコン系のレベリング剤、無水フタル酸、イミダゾ−ル系、チアゾ−ル系、トリアゾ−ル系、シランカップリング剤、アントラキノン系などの密着性付与剤、などの各種添加剤を使用することができる。
【0042】
前記のアクリル系消泡剤としては共栄社化学社製のもの(ポリフロ−3、ポリフロ−7)、アクリルビニルエ−テル系消泡剤としては共栄社化学社製のもの(フロ−レンAC−300、フロ−レンAC−303、フロ−レンAC−326F)、シリコン系消泡剤としてはダウコ−ニング社製のもの(FSアンチフォ−ムF−16、DB−100、DC−2、DK−1032−2、ペインタッド56、54、DK Q1−1086)や信越化学社製のもの(KS−603)などが挙げられる。消泡剤は、(イ)ポリイミド共重合体100重量部に対して0.2〜15重量部程度使用することが好ましい。
【0043】
この発明のポリイミド系絶縁膜用組成物は、(イ)ポリイミド重合体、(ロ)イソシアネ−トおよび/またはエポキシ樹脂、および(ハ)有機溶媒、必要に応じて前記他成分の所定量を均一に、攪拌・混合することによって容易に得ることができ、混合する際、高沸点溶媒中で混合してポリイミド重合体の溶液組成物にすることができる。溶媒に混合させて溶液組成物にするにあたっては、ポリイミド重合体の反応溶液をそのままでも、又その反応溶液を適当な有機溶媒で希釈したものを使用してもよい。
【0044】
特に、有機溶媒として、沸点140℃以上で210℃以下のものを使用することが好ましい。特に沸点180℃以上、特に200℃以上である有機溶媒(例えばメチルトリグライムなど)を使用すると、溶媒の蒸発による散逸が極めて減少するので、又その印刷インクを使用してスクリ−ン印刷などで印刷を支障なく好適に行うことができるので最適である。
有機溶媒は、ポリイミド重合体100重量部に対して60〜200重量程度使用することが好ましい。
上記ポリイミド系絶縁膜用溶液組成物は、室温で溶液粘度が1〜600ポイズであることが作業性や溶液物性、その保護膜特性上などから適当である。
【0045】
この発明のポリイミド系絶縁膜用組成物は、例えば絶縁性フィルムとその上に導体で形成されたパタ−ンを有する電子部品のパタ−ン面に、乾燥膜の厚さが10〜60μm程度となるようにスクリ−ン印刷やディスペンサ−などによって印刷して塗布した後、50〜120℃程度の温度で5〜60分間程度、ついで120〜200℃程度、好適には120〜160℃で5〜120分間程度の2段階で加熱し乾燥して、好適には弾性率が0.1〜20kgf/mm2 の絶縁膜を形成することが好ましい。
この発明のポリイミド系絶縁膜用組成物は、導電性金属および絶縁材の各種部材との密着性が良好であり、低温圧着が可能でしかも耐熱性の接着剤として使用することもできる。
【0046】
また、この発明のポリイミド系絶縁組成物は、貯蔵安定性および印刷可能で、加熱乾燥した硬化膜が低弾性率(好適には100kgf/mm2以下、特に1〜100kgf/mm2)を有し良好な密着性、耐溶剤性、耐屈曲性、電気特性を有するとともに耐熱・耐湿性(PCT)を有しており、良好な電気絶縁保護膜を与えることができる。
【0047】
前記の絶縁膜は、基材(パタ−ン、ポリイミドフィルムなどの絶縁フィルム)は勿論IC封資止樹脂との密着性、耐屈曲性、耐熱性、電気特性と共に良好な耐湿性、耐溶剤性(例えば、メチルエチルケトン、アセトン、イソプロパノ−ル)を有しているため、コ−ト材として保護膜として優れているのである。
この絶縁膜を形成した後、通常はスズメッキし、バンプを形成後、ICを接続し、封止剤で封止する。
【0048】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示し、この発明を説明する。
以下の各例で使用した化合物をその略号と共に以下に示す。
a−BPDA:2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
DAPSi:α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン
MBAA:ビス(3−カルボキシ,4−アミノフェニル)メタン
TG:トリグライム
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
【0049】
以下の各例において、物性の評価は次のようにして行った。
(溶液組成物の評価)
粘度:E型粘度計(東京計器社製)、25℃、STロ−タ−使用にて測定。
引張強度:ASTM D 882によって測定した。
伸び:ASTM D 882によって測定した。
弾性率(引張弾性率):ASTM D882によって測定した。
【0050】
比較例1
攪拌機を備えた容量20lの反応槽に、a−BPDA2080.1g(7.07モル)、メチルトリグライム(TG)3500gを仕込み、加湿処理しない窒素(露点:−60℃)雰囲気下、180℃で加熱攪拌した。α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(アミノ当量433)5152.7g(5.95モル)、TG1800gを加え、180℃で60分間加熱攪拌した。さらにこの反応溶液にMBAA300.6g(1.05モル)及びTG1750gを加え、180℃で加熱攪拌した。5時間後重合反応液は攪拌シャフトに絡み付き反応の継続が困難になった。攪拌を停止し、5時間加熱を継続した。得られたポリイミドシロキサン溶液は、ポリマ−固形分51重量%、ポリマ−のηinh0.151、溶液粘度は19ポイズであった。
【0051】
実施例1
窒素雰囲気を加湿窒素(露点:23.6℃)雰囲気下に変えた他は比較例1と同様にして重合反応を行った。重合後5時間経過しても重合液が攪拌軸に絡み付くことがなく、攪拌を継続して反応を続けた。10時間後も重合反応溶液は低粘度であり、直ちに反応槽から取り出せた。得られたポリイミドシロキサン溶液は、ポリマ−固形分51重量%、ポリマ−のηinh0.179、溶液粘度は25ポイズであった。
【0052】
実施例2
メチルトリグライム3500gをメチルトリグライム2800gとNMP700gとの混合溶媒に変えた他は実施例1と同様にして重合反応を行った。重合後5時間経過しても重合液が攪拌軸に絡み付くことがなく、攪拌を継続して反応を続けた。10時間後も重合反応溶液は低粘度であり、直ちに反応槽から取り出せた。得られたポリイミドシロキサン溶液は、ポリマ−固形分51重量%、ポリマ−のηinh0.172、溶液粘度は23ポイズであった。
【0053】
比較例2
ガラス製容器に、比較例1で得たポリイミドシロキサンにTGを添加しポリイミドシロキサン濃度を50重量%に調整した溶液100gに、エポキシ樹脂(油化シェル社製、エピコ−ト157S70)6g、着色顔料としてフタロシアニングリ−ン1g、触媒として2−エチル,4−メチルイミダゾ−ル0.18gおよび無水フタル酸0.06g、アエロジル(平均粒径:0.01μm)9.0g、硫酸バリウム(平均粒径:0.3μm)22.4g、タルク(平均粒径:1.8μm)5.6g、マイカ(平均粒径:2.6μm)9.0g、フロレ−ンAC−326F(共栄社製消泡剤)2.8gを仕込み、室温(25℃)で2時間攪拌して、均一に混合させたポリイミドシロキサンの溶液組成物(溶液粘度:480ポイズ)を得た。この溶液組成物を銅箔上にスクリ−ン印刷し、80℃で30分間、更に160℃で60分間加熱乾燥して、厚み40μmのピンホ−ルのない絶縁膜(硬化膜)を形成した。
この硬化膜の機械的物性は、引張強度0.66kgf/mm2、伸び15%、引張弾性率12kgf/mm2であった。ポリイミドシロキサンの分子量(ηinh)が低いため強度がやや小さくやや弱い硬化膜であった。
【0054】
実施例3
比較例1で得られたポリイミドシロキサンに代えて実施例1で得られたポリイミドシロキサンを使用した他は比較例2と同様にして、ポリイミドシロキサンの溶液組成物(溶液粘度:600ポイズ)を得た。この溶液組成物を銅箔上にスクリ−ン印刷し、80℃で30分間、更に160℃で60分間加熱乾燥して、厚み40μmのピンホ−ルのない絶縁膜(硬化膜)を形成した。
この硬化膜の機械的物性は、引張強度0.90kgf/mm2、伸び24%、引張弾性率12kgf/mm2であり、良好であった。
また、この溶液組成物は貯蔵安定性(比較的低粘度が長期間ほぼ一定に保たれる)および印刷性が良好で、硬化膜が良好な密着性を示した。
【0055】
実施例4
比較例1で得られたポリイミドシロキサンに代えて実施例2で得られたポリイミドシロキサンを使用した他は比較例2と同様にして、ポリイミドシロキサンの溶液組成物(溶液粘度:590ポイズ)を得た。この溶液組成物を銅箔上にスクリ−ン印刷し、80℃で30分間、更に160℃で60分間加熱乾燥して、厚み40μmのピンホ−ルのない絶縁膜(硬化膜)を形成した。
この硬化膜の機械的物性は、引張強度0.90kgf/mm2、伸び26%、引張弾性率10kgf/mm2であり、良好であった。
また、この溶液組成物は貯蔵安定性(比較的低粘度が長期間ほぼ一定に保たれる)および印刷性が良好で、硬化膜が良好な密着性を示した。
【0056】
【発明の効果】
この発明の製造法によれば、分子量低下をもたらすことなく重合液の粘度上昇を押さえてポリイミド重合体を製造することが可能になり、重合反応中に重合液が攪拌機(特に、攪拌軸)に巻き付くことを防止することができ、重合反応工程中に粘度を低下させるための特別な操作を必要としない。
【0057】
また、この発明のポリイミド系絶縁膜用組成物は、貯蔵安定性(比較的低粘度が長期間ほぼ一定に保たれる)および印刷性が良好で、良好な硬化膜特性を有している。
Claims (6)
- (a)耐熱性ポリイミドを与え得るテトラカルボン酸成分と、(b)ジアミノポリシロキサン、(c)カルボキシル基を有する芳香族ジアミン及び場合により(d)複数のベンゼン環を有する芳香族ジアミンからなるジアミン成分との重合を、撹拌機を備えた反応槽を用いて有機溶媒中、露点が−10℃以上の加湿窒素の流通下に行うことを特徴とするポリイミド重合体の製造法。
- ジアミン成分が、(b)ジアミノポリシロキサン45〜90モル%、(c)カルボキシル基を有する芳香族ジアミン0.5〜40モル%及び(d)複数のベンゼン環を有する芳香族ジアミン0〜50モル%からなる請求項1に記載のポリイミド重合体の製造法。
- (b)ジアミノポリシロキサンが、一般式(1)
H 2 N−R 1 [Si(R 2 ) 2 −O−] n1 −Si(R 2 ) 2 −R 1 −NH 2 一般式(1)
(但し、式中のR 1 は2価の炭化水素基又はフェニル基を示し、R 2 は独立に炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基を示し、n1は3〜30の整数を示す。)で示されるものである請求項1に記載のポリイミド重合体の製造法。 - (c)カルボキシル基を有する芳香族ジアミンが、一般式(2)
H 2 N−Bz(r 1 ) n2 Y[XBz(r 1 ) n2 ] n3 −NH 2 一般式(2)
(但し、式中のBzはベンゼン環を示し、XおよびYは独立に直接結合、CH 2 、C(CH 3 ) 2 、C(CF 3 ) 2 、O、BzまたはSO 2 を示し、r 1 はCOOHを示し、n2は1又は2であり、n3は0、1または2である。)で示されるものである請求項1に記載のポリイミド重合体の製造法。 - (d)複数のベンゼン環を有する芳香族ジアミンが、一般式(3)
H 2 N−[BzX] n4 Y[XBz] n4 −NH 2 一般式(3)
(但し、式中のBzはベンゼン環を示し、XおよびYは独立に直接結合、Bz、CH 2 、C(CH 3 ) 2 、OまたはSO 2 を示し、n4は1または2である。)で示されるものである請求項1に記載のポリイミド重合体の製造法。 - 重合が、100℃以上の温度で行われる請求項1に記載のポリイミド重合体の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000195883A JP4374742B2 (ja) | 2000-06-29 | 2000-06-29 | ポリイミド重合体の製造法、ポリイミド系絶縁膜用組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000195883A JP4374742B2 (ja) | 2000-06-29 | 2000-06-29 | ポリイミド重合体の製造法、ポリイミド系絶縁膜用組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002012664A JP2002012664A (ja) | 2002-01-15 |
JP4374742B2 true JP4374742B2 (ja) | 2009-12-02 |
Family
ID=18694476
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000195883A Expired - Lifetime JP4374742B2 (ja) | 2000-06-29 | 2000-06-29 | ポリイミド重合体の製造法、ポリイミド系絶縁膜用組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4374742B2 (ja) |
Families Citing this family (14)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
TWI330653B (en) | 2002-12-16 | 2010-09-21 | Ube Industries | Electronic device packaging and curable resin composition |
JP4915400B2 (ja) * | 2002-12-16 | 2012-04-11 | 宇部興産株式会社 | 電子部品の実装方法 |
JP4144454B2 (ja) * | 2003-07-15 | 2008-09-03 | 宇部興産株式会社 | 絶縁膜用組成物、絶縁膜、及び、絶縁膜の形成方法 |
WO2005080505A1 (ja) * | 2004-02-20 | 2005-09-01 | Ube Industries, Ltd. | ポリイミドシロキサン溶液組成物 |
JP2005255936A (ja) * | 2004-03-15 | 2005-09-22 | Hitachi Chem Co Ltd | 樹脂ペースト及びその製造方法 |
JP4872335B2 (ja) * | 2005-12-19 | 2012-02-08 | 宇部興産株式会社 | 配線基板の実装方法 |
JP2007284468A (ja) * | 2006-04-12 | 2007-11-01 | Hitachi Chem Co Ltd | 樹脂組成物及びそれを含む被膜形成材料 |
JP2009019132A (ja) * | 2007-07-12 | 2009-01-29 | Reika O | ポリアミック酸樹脂組成物及びフレキシブル銅張積層板 |
JP5314856B2 (ja) * | 2007-07-17 | 2013-10-16 | デクセリアルズ株式会社 | ポリイミド化合物の製造方法 |
JP5167834B2 (ja) * | 2008-01-25 | 2013-03-21 | 宇部興産株式会社 | 電子部品の実装方法 |
TWI465525B (zh) | 2008-06-26 | 2014-12-21 | Ube Industries | 含有顏料之硬化性樹脂溶液組成物的製造方法、顏料分散液、及含有顏料之硬化性樹脂溶液組成物 |
KR101804308B1 (ko) * | 2009-04-23 | 2017-12-08 | 닛산 가가쿠 고교 가부시키 가이샤 | 폴리히드록시이미드의 제조방법 |
KR101775570B1 (ko) | 2010-12-20 | 2017-09-07 | 삼성전자주식회사 | 폴리이미드 전구체 조성물, 폴리이미드의 제조 방법, 상기 제조 방법에 따라 제조한 폴리이미드 및 상기 폴리이미드를 포함하는 필름 |
CN115819983B (zh) * | 2022-11-30 | 2023-09-22 | 中欧电子材料国际创新中心(合肥)有限公司 | 一种含八重氢键的交联型硅橡胶及其制备方法 |
-
2000
- 2000-06-29 JP JP2000195883A patent/JP4374742B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2002012664A (ja) | 2002-01-15 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4238452B2 (ja) | ポリイミド系絶縁膜用組成物、絶縁膜および絶縁膜の形成法 | |
JP5135698B2 (ja) | ポリカーボネートを含んだ変性ポリイミド樹脂、その組成物及び硬化絶縁膜 | |
JP5321560B2 (ja) | ポリブタジエンを含んだ変性ポリイミド樹脂、その組成物及び硬化絶縁膜 | |
JP4650176B2 (ja) | ポリブタジエンを含んだ変性ポリイミド樹脂、その組成物及び硬化絶縁膜 | |
JP4582090B2 (ja) | ポリイミドシロキサン溶液組成物 | |
JP4701914B2 (ja) | 耐燃性が改良されたテープキャリアパッケージ用柔軟性配線板 | |
JP4374742B2 (ja) | ポリイミド重合体の製造法、ポリイミド系絶縁膜用組成物 | |
JP4211569B2 (ja) | ポリイミドシロキサン絶縁膜用組成物、絶縁膜、および、絶縁膜の形成方法 | |
JP4107215B2 (ja) | ポリシロキサン絶縁膜用組成物、絶縁膜、及び、絶縁膜の形成方法 | |
JP2008255249A (ja) | 新規な熱硬化性樹脂組成物、それを用いたフレキシブルプリント配線板 | |
JP4622480B2 (ja) | ポリイミドシロキサン絶縁膜用組成物、絶縁膜、および、絶縁膜の形成方法 | |
JP5659783B2 (ja) | フレキシブル配線板の実装方法及びポリイミドシロキサン樹脂組成物 | |
JP5017894B2 (ja) | 変性ポリイミド樹脂組成物 | |
JP4120110B2 (ja) | ポリイミド系絶縁膜用組成物、絶縁膜および絶縁膜の形成法 | |
JP4218282B2 (ja) | ポリイミドシロキサン系絶縁膜用組成物、絶縁膜、および、絶縁膜の形成方法 | |
JP4872335B2 (ja) | 配線基板の実装方法 | |
JP2008120954A (ja) | 新規なポリイミド樹脂 | |
JP4654721B2 (ja) | ポリイミドシロキサン組成物 | |
JP4915400B2 (ja) | 電子部品の実装方法 | |
JP5167834B2 (ja) | 電子部品の実装方法 | |
JP5428823B2 (ja) | 熱硬化性変性ポリイミド樹脂組成物 | |
WO2010071107A1 (ja) | 熱硬化性変性ポリイミド樹脂組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20060130 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20080716 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080722 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080922 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20090127 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20090330 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20090818 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20090831 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Ref document number: 4374742 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120918 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120918 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120918 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120918 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130918 Year of fee payment: 4 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |