JP4598846B2 - S−アデノシルメチオニン安定化のためのフィチン酸および/またはデキストリンを含む飲食用組成物 - Google Patents
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Description
(項目1) S−アデノシルメチオニンと、フィチン酸とを含む、飲食用組成物。
(項目2) 上記フィチン酸を、上記S−アデノシルメチオニンの2倍量以上の濃度で含む、項目1に記載の飲食用組成物。
(項目3) 上記フィチン酸を、上記S−アデノシルメチオニンの5倍量以上の濃度で含む、項目1に記載の飲食用組成物。
(項目4) さらにデキストリンを含む、項目1に記載の飲食用組成物。
(項目5) 上記フィチン酸を、上記S−アデノシルメチオニンの3倍量以上の濃度で含む、項目4に記載の飲食用組成物。
(項目6) 上記フィチン酸を、上記S−アデノシルメチオニンの5倍量以上の濃度で含む、項目4に記載の飲食用組成物。
(項目7) 上記デキストリンを、上記S−アデノシルメチオニンの5倍量〜20倍量の濃度で含む、項目4〜6のいずれか1項に記載の飲食用組成物。
(項目8) 上記デキストリンを、上記S−アデノシルメチオニンの5倍量〜10倍量の濃度で含む、項目4〜6のいずれか1項に記載の飲食用組成物。
(項目9) 上記デキストリンが、環状デキストリンである、項目4〜8のいずれか1項に記載の飲食用組成物。
(項目10) 上記環状デキストリンが、γ−環状デキストリンである、項目9記載の飲食用組成物。
(項目11) 上記デキストリンが、環状デキストリンと非環状デキストリンとを含む、項目4〜8のいずれか1項に記載の飲食用組成物。
(項目12) pHが4以下である、項目1〜11のいずれか1項に記載の飲食用組成物。
(項目13) pHが3以下である、項目1〜11のいずれか1項に記載の飲食用組成物。
(項目14) S−アデノシルメチオニンの安定化法であって、そのS−アデノシルメチオニンを含む組成物に、フィチン酸を添加する工程を包含する、方法。
(項目15) 上記フィチン酸を、上記S−アデノシルメチオニンの2倍量以上の濃度で添加する、項目14に記載の方法。
(項目16) 上記フィチン酸を、上記S−アデノシルメチオニンの5倍量以上の濃度で添加する、項目14に記載の方法。
(項目17) 上記S−アデノシルメチオニンを含む組成物にデキストリンを添加する工程をさらに包含する、項目14に記載の方法。
(項目18) 上記フィチン酸を、上記S−アデノシルメチオニンの3倍量以上の濃度で添加する、項目17に記載の方法。
(項目19) 上記フィチン酸を、上記S−アデノシルメチオニンの5倍量以上の濃度で添加する、項目17に記載の方法。
(項目20) 上記デキストリンを、上記S−アデノシルメチオニンの5倍量〜20倍量の濃度で添加する、項目17〜19のいずれか1項に記載の方法。
(項目21) 上記デキストリンを、上記S−アデノシルメチオニンの5倍量〜10倍量の濃度で添加する、項目17〜19のいずれか1項に記載の方法。
(項目22) 上記デキストリンが、環状デキストリンである、項目17〜21のいずれか1項に記載の方法。
(項目23) 上記環状デキストリンが、γ−環状デキストリンである、項目22に記載の方法。
(項目24) 上記デキストリンが、環状デキストリンと非環状デキストリンとを含む、項目17〜21のいずれか1項に記載の方法。
(項目25) pHを4以下に調整する工程をさらに包含する、項目14〜24のいずれか1項に記載の方法。
(項目26) pHを3以下に調整する工程をさらに包含する、項目14〜24のいずれか1項に記載の方法。
(項目27) S−アデノシルメチオニンと、フィチン酸とを含む、飲食用補填物。
(項目28) 上記フィチン酸を、上記S−アデノシルメチオニンの2倍量以上の濃度で含む、項目27に記載の飲食用補填物。
(項目29) 上記フィチン酸を、上記S−アデノシルメチオニンの5倍量以上の濃度で含む、項目27に記載の飲食用補填物。
(項目30) さらにデキストリンを含む、項目27に記載の飲食用補填物。
(項目31) 上記フィチン酸を、上記S−アデノシルメチオニンの3倍量以上の濃度で含む、項目30に記載の飲食用補填物。
(項目32) 上記フィチン酸を、上記S−アデノシルメチオニンの5倍量以上の濃度で含む、項目30に記載の飲食用補填物。
(項目33) 上記デキストリンを、上記S−アデノシルメチオニンの5倍量〜20倍量の濃度で含む、項目30〜32のいずれか1項に記載の飲食用補填物。
(項目34) 上記デキストリンを、上記S−アデノシルメチオニンの5倍量〜10倍量の濃度で含む、項目30〜32のいずれか1項に記載の飲食用補填物。
(項目35) 上記デキストリンが、環状デキストリンである、項目30〜34のいずれか1項に記載の飲食用補填物。
(項目36) 上記環状デキストリンが、γ−環状デキストリンである、項目35記載の飲食用補填物。
(項目37) 上記デキストリンが、環状デキストリンと非環状デキストリンとを含む、項目30〜34のいずれか1項に記載の飲食用補填物。
(項目38) pHが4以下である、項目27〜37のいずれか1項に記載の飲食用補填物。
(項目39) pHが3以下である、項目27〜37のいずれか1項に記載の飲食用補填物。
本明細書において、「S−アデノシルメチオニン」とは「AdoMet」とも表記される平均分子量399.447の物質である。S−アデノシルメチオニンは、肝臓障害を緩和する(例えば、肝硬変による死亡率を減少させる)こと、鬱病に対して治療効果を有すること、関節炎の処置に有用であること、骨関節症において痛みを軽減すること、骨関節症において機能回復を促進すること、抗炎症作用を促進すること、軟骨保護作用を促進すること、軟骨調節作用を促進すること、軟骨安定化作用を促進すること、軟骨代謝作用を促進すること、アルツハイマー病を改善し得ること、HIV感染による末梢神経障害または脊髄症を改善し得ることなどが挙げられるが、これらに限定されない有用な効果を有し得る。
1つの実施形態において、本発明の飲食用組成物は、S−アデノシルメチオニンを産生する酵母と、そのS−アデノシルメチオニンを安定化するために添加されたフィチン酸とを含む。代表的には、酵母は凍結乾燥され、酵母粉末となっている。本発明の飲食用組成物は、フィチン酸を、例えばS−アデノシルメチオニンの2倍量以上の濃度、3倍量以上の濃度、4倍量以上の濃度、5倍量以上の濃度、6倍量以上の濃度、7倍量以上の濃度、8倍量以上の濃度、9倍量以上の濃度、10倍量以上の濃度、15倍量以上の濃度、20倍量以上の濃度、またはそれより多い量含む。好ましい実施形態においては、本発明の飲食用組成物は、フィチン酸を、S−アデノシルメチオニンの5倍量以上の濃度で含む。さらに好ましい実施形態においては、本発明の飲食用組成物は、フィチン酸を、S−アデノシルメチオニンの10倍量以上の濃度で含む。別の好ましい実施形態においては、本発明の飲食用組成物は、フィチン酸を、S−アデノシルメチオニンの15倍量以上の濃度で含む。別の好ましい実施形態においては、本発明の飲食用組成物は、フィチン酸を、2倍量〜20倍量、好ましくは5倍量〜20倍量、より好ましくは10倍量〜20倍量の濃度で含む。
本発明の好適な態様は飲食用組成物である。このような飲食用組成物は、当業者に周知の方法によって製造され得る。飲食用組成物は、例えば、S−アデノシルメチオニン生産酵母を培養して培養濃縮液を取得し、この培養濃縮液をpH調整し安定化剤を添加して混合し、次いでこの混合液をフリーズドライして酵母粉末を製造することによって、製造され得る。本発明の飲食用組成物は、これをそのまま液状、ゲル状あるいは固形状の食品、例えば、健康食品、サプリメント、栄養補助食品、ジュース、清涼飲料、コーヒー、紅茶、日本茶、ウーロン茶、野菜ジュース、天然果汁、乳飲料、牛乳、豆乳、スポーツ飲料、ニアウォーター系飲料、栄養補給飲料、コーヒー飲料、ココア、スープ、ドレッシング、ムース、ゼリー、ヨーグルト、プリン、ふりかけ、育児用粉乳、加工乳、スポーツドリンク、栄養ドリンク、ケーキミックス、パン、ピザ、パイ、クラッカー、ビスケット、ケーキ、クッキー、スパゲティー、マカロニ、パスタ、うどん、そば、ラーメン、キャンデー、ソフトキャンデー、ガム、チョコレート、おかき、ポテトチップス、スナック、アイスクリーム、シャーベット、クリーム、チーズ、粉乳、練乳、乳飲料などの粉末状または液状の乳製品、饅頭、ういろ、もち、おはぎ、醤油、たれ、麺つゆ、ソース、だしの素、シチューの素、スープの素、複合調味料、カレーの素、マヨネーズ、ケチャップ、レトルトカレー、レトルトシチュー、レトルトスープ、レトルトどんぶり、缶詰、ハム、ハンバーグ、ミートボール、コロッケ、餃子、ピラフ、おにぎり、冷凍食品および冷蔵食品、ちくわ、蒲鉾、弁当のご飯、寿司、乳児用ミルク、離乳食、ベビーフード、スポーツ食品等に添加したり、必要に応じてデキストリン、乳糖、澱粉等の賦型剤や香料、色素等とともにペレット、錠剤、顆粒等に加工したり、またゼラチン等で被覆してカプセルに成形加工して健康食品や栄養補助食品等として利用できる。これらの食品類あるいは飲食用組成物における本発明の酵母、AdoMetまたは培養液の配合量は、当該食品や組成物の種類や状態等により一律に規定しがたいが、AdoMet含量で10〜5000mg/1食、好ましくは100〜1000mg/1食であり、サプリメントの場合には約10〜100%(好ましくは、30〜100%、より好ましくは50〜100%、さらにより好ましくは80〜100%)、飲料もしくは一般食品などの場合には約0.01%以下であり得る。
酵母Saccharomyces cerevisiae K−7株(清酒酵母協会7号)、5L容ジャーファーメンター(仕込み培地量:3L)を用いて、培養温度28℃、攪拌速度 500rpm、培養時間36−48h、通気量0.5VVM、培地組成(w/100mL):グルコース5%、酵母エキス0.75%、ペプトン2.0%、メチオニン0.15%で培養した。この培養液を遠心分離(8,000rpm)し、上清を除いて、菌体を回収した。回収した菌体に除いた上清液を適量加え、菌体濃縮液を調製した。濃縮液中のAdoMet濃度を測定し、リン酸を含有AdoMet量の10倍量になるよう菌体濃縮液に添加した。またリン酸以外にクエン酸・酢酸・硫酸を用いたサンプルを作成した。この菌体濃縮液のpHをクエン酸を用いて3に調整した。調製したサンプルを−80℃で一晩凍結した。凍結乾燥を72h行い、酵母粉末を調製した。この酵母粉末をアルミパウチに梱包し、加速試験機加速試験機(Advantec,モデルTHE051FA)内(40℃、湿度75%)で保管した。この条件での加速試験機1日の保管は、常温保管の6日に相当する。定時的に酵母粉末のサンプリングを行い、過塩素酸を用いてAdoMetの抽出を行った。具体的には、酵母粉末0.02gに10%過塩素酸1mLを加え、1時間抽出を行い、遠心分離(10,000rpm,10分)により上清(抽出液)を回収した。AdoMetの測定は、UPLC(Waters,モデルTUV)を用い、抽出液を0.1%ギ酸+5mMノナンスルフォン酸ナトリウム混合液とアセトニトリルによるグラジェントで分析した。結果を以下の表1および図1に示す。結果は、各サンプルの調製時の値を100%として相対値で示されていることに注意されたい。
酵母を、5L容ジャーファーメンター(仕込み培地量:3L)を用いて培養した。この培養液を遠心分離(8,000rpm)し、上清を除いて、菌体を回収した。回収した菌体に除いた上清液を適量加え、菌体濃縮液を調製した。濃縮液中のAdoMet濃度を測定し、各種安定化剤を含有AdoMet量の10倍量になるよう菌体濃縮液に添加した。本実施例では、フィチン酸(築野食品工業株式会社のTSUNOフィチン酸)と、これまでに安定化剤として報告されているピロリン酸Na、ポリリン酸Na、トレハロース、イノシトール、ツイントースと、フィチン酸を含む食品であるRICEO(米糠抽出粉末・フィチン酸含有率30%、築野食品工業株式会社)を試験した。この菌体濃縮液のpHをクエン酸を用いて3に調整した。調製したサンプルを−80℃で一晩凍結した。凍結乾燥を72h行い、酵母粉末を調製した。この酵母粉末をアルミパウチに梱包し、加速試験機内(40℃、湿度75%)で保管した。定時的に酵母粉末のサンプリングを行い、過塩素酸を用いてAdoMetの抽出を行った。AdoMetの測定にはUPLCを用いた。結果を以下の表2および図2に示す。結果は、各サンプルの調製時の値を100%として相対値で示されていることに注意されたい。
実施例2において不十分ではあるがわずかな安定化効果を示したピロリン酸Naおよびポリリン酸Naとフィチン酸とを、安定化効果について比較した。実施例2と同様の実験を、フィチン酸、ピロリン酸Naおよびポリリン酸Naについてさらに行った。結果を以下の表3および図3に示す。結果は、各サンプルの調製時の値を100%として相対値で示されていることに注意されたい。
酵母を、5L容ジャーファーメンター(仕込み培地量:3L)を用いて培養した。この培養液を遠心分離(8,000rpm)し、上清を除いて、菌体を回収した。回収した菌体に除いた上清液を適量加え、菌体濃縮液を調製した。濃縮液中のAdoMet濃度を測定し、含有AdoMet量の10倍量になるようにフィチン酸を菌体濃縮液に添加した。この菌体濃縮液のpHをクエン酸および苛性ソーダを用いて、pHを3、4、5、6、7に調整した。調製したサンプルを−80℃で一晩凍結した。凍結乾燥を72h行い、酵母粉末を調製した。この酵母粉末をアルミパウチに梱包し、加速試験機内(40℃、湿度75%)で保管した。定時的に酵母粉末のサンプリングを行い、過塩素酸を用いてAdoMetの抽出を行った。AdoMetの測定にはUPLCを用いた。結果を以下の表4および図4に示す。結果は、各サンプルの調製時の値を100%として相対値で示されていることに注意されたい。
酵母を、5L容ジャーファーメンター(仕込み培地量:3L)を用いて培養した。この培養液を遠心分離(8,000rpm)し、上清を除いて、菌体を回収した。回収した菌体に除いた上清液を適量加え、菌体濃縮液を調製した。濃縮液中のAdoMet濃度を測定し、含有AdoMet量の10倍量になるようにRICEOを菌体濃縮液に添加した。この菌体濃縮液のpHをクエン酸および苛性ソーダを用いて、pHを3、4、5、6、7に調整した。調製したサンプルを−80℃で一晩凍結した。凍結乾燥を72h行い、酵母粉末を調製した。この酵母粉末をアルミパウチに梱包し、加速試験機内(40℃、湿度75%)で保管した。定時的に酵母粉末のサンプリングを行い、過塩素酸を用いてAdoMetの抽出を行った。AdoMetの測定にはUPLCを用いた。結果を以下の表5および図5に示す。結果は、各サンプルの調製時の値を100%として相対値で示されていることに注意されたい。
酵母を、5L容ジャーファーメンター(仕込み培地量:3L)を用いて培養した。この培養液を遠心分離(8,000rpm)し、上清を除いて、菌体を回収した。回収した菌体に除いた上清液を適量加え、菌体濃縮液を調製した。濃縮液中のAdoMet濃度を測定し、含有AdoMet量の10倍量になるようにピロリン酸Naを菌体濃縮液に添加した。この菌体濃縮液のpHをクエン酸および苛性ソーダを用いて、pHを3、4、5、6、7に調整した。調製したサンプルを−80℃で一晩凍結した。凍結乾燥を72h行い、酵母粉末を調製した。この酵母粉末をアルミパウチに梱包し、加速試験機内(40℃、湿度75%)で保管した。定時的に酵母粉末のサンプリングを行い、過塩素酸を用いてAdoMetの抽出を行った。AdoMetの測定にはUPLCを用いた。結果を以下の表6および図6に示す。結果は、各サンプルの調製時の値を100%として相対値で示されていることに注意されたい。
酵母を、5L容ジャーファーメンター(仕込み培地量:3L)を用いて培養した。この培養液を遠心分離(8,000rpm)し、上清を除いて、菌体を回収した。回収した菌体に除いた上清液を適量加え、菌体濃縮液を調製した。濃縮液中のAdoMet濃度を測定し、含有AdoMet量の0倍、2倍、5倍、10倍、15倍、または20倍量になるように、フィチン酸を菌体濃縮液に添加した。調製したサンプルを−80℃で一晩凍結した。凍結乾燥を72h行い、酵母粉末を調製した。この酵母粉末をアルミパウチに梱包し、加速試験機内(40℃、湿度75%)で保管した。定時的に酵母粉末のサンプリングを行い、過塩素酸を用いてAdoMetの抽出を行った。AdoMetの測定にはUPLCを用いた。結果を以下の表7および図7に示す。結果は、各サンプルの調製時の値を100%として相対値で示されていることに注意されたい。
酵母を、5L容ジャーファーメンター(仕込み培地量:3L)を用いて培養した。この培養液を遠心分離(8,000rpm)し、上清を除いて、菌体を回収した。回収した菌体に除いた上清液を適量加え、菌体濃縮液を調製した。この菌体濃縮液をクエン酸を用いてpH3に調整した。濃縮液中のAdoMet濃度を測定し、含有AdoMet量の4倍量になるようにγ−CD(γ−100;パールエース株式会社)を、5倍量になるようにフィチン酸を菌体濃縮液に添加した。調製したサンプルを−80℃で一晩凍結した。凍結乾燥を72h行い、酵母粉末を調製した。この酵母粉末をアルミパウチに梱包し、加速試験機内(40℃、湿度75%)で保管した。定時的に酵母粉末のサンプリングを行い、過塩素酸を用いてAdoMetの抽出を行った。AdoMetの測定にはUPLCを用いた。結果を以下の表8および図8に示す。結果は、各サンプルの調製時の値を100%として相対値で示されていることに注意されたい。
酵母を、5L容ジャーファーメンター(仕込み培地量:3L)を用いて培養した。この培養液を遠心分離(8,000rpm)し、上清を除いて、菌体を回収した。回収した菌体に除いた上清液を適量加え、菌体濃縮液を調製した。この菌体濃縮液をクエン酸を用いてpH3に調整した。濃縮液中のAdoMet濃度を測定し、含有AdoMet量の0倍、2倍、4倍、8倍、12倍量になるようにγ−CDを菌体濃縮液に添加した。調製したサンプルを−80℃で一晩凍結した。凍結乾燥を72h行い、酵母粉末を調製した。この酵母粉末をアルミパウチに梱包し、加速試験機内(40℃、湿度75%)で保管した。定時的に酵母粉末のサンプリングを行い、過塩素酸を用いてAdoMetの抽出を行った。AdoMetの測定にはUPLCを用いた。結果を以下の表9および図9に示す。結果は、各サンプルの調製時の値を100%として相対値で示されていることに注意されたい。
酵母を、5L容ジャーファーメンター(仕込み培地量:3L)を用いて培養した。この培養液を遠心分離(8,000rpm)し、上清を除いて、菌体を回収した。回収した菌体に除いた上清液を適量加え、菌体濃縮液を調製した。この菌体濃縮液をクエン酸を用いてpH3に調整した。濃縮液中のAdoMet濃度を測定し、含有AdoMet量の4倍量になるようにγ−CDを添加、1倍、3倍、5倍量になるようにフィチン酸を菌体濃縮液に添加した。調製したサンプルを−80℃で一晩凍結した。凍結乾燥を72h行い、酵母粉末を調製した。この酵母粉末をアルミパウチに梱包し、加速試験機内(40℃、湿度75%)で保管した。定時的に酵母粉末のサンプリングを行い、過塩素酸を用いてAdoMetの抽出を行った。AdoMetの測定にはUPLCを用いた。結果を以下の表9および図9に示す。結果は、各サンプルの調製時の値を100%として相対値で示されていることに注意されたい。
酵母を、5L容ジャーファーメンター(仕込み培地量:3L)を用いて培養した。この培養液を遠心分離(8,000rpm)し、上清を除いて、菌体を回収した。回収した菌体に除いた上清液を適量加え、菌体濃縮液を調製した。この菌体濃縮液をクエン酸を用いてpH3に調整した。濃縮液中のAdoMet濃度を測定し、含有AdoMet量の4倍量になるようにα−CD(α−100;パールエース株式会社)、β−CD(β−100;パールエース株式会社)もしくはγ−CDを、5倍量になるようにフィチン酸を菌体濃縮液に添加した。調製したサンプルを−80℃で一晩凍結した。凍結乾燥を72h行い、酵母粉末を調製した。この酵母粉末をアルミパウチに梱包し、加速試験機内(40℃、湿度75%)で保管した。定時的に酵母粉末のサンプリングを行い、過塩素酸を用いてAdoMetの抽出を行った。AdoMetの測定にはUPLCを用いた。結果を以下の表11および図11に示す。結果は、各サンプルの調製時の値を100%として相対値で示されていることに注意されたい。
酵母を、5L容ジャーファーメンター(仕込み培地量:3L)を用いて培養した。この培養液を遠心分離(8,000rpm)し、上清を除いて、菌体を回収した。回収した菌体に除いた上清液を適量加え、菌体濃縮液を調製した。この菌体濃縮液をクエン酸を用いてpH3に調整した。濃縮液中のAdoMet濃度を測定し、含有AdoMet量の4倍量になるようにγ−CDを添加、10倍量になるようにピロリン酸Naもしくはポリリン酸Naを菌体濃縮液に添加した。調製したサンプルを−80℃で一晩凍結した。凍結乾燥を72h行い、酵母粉末を調製した。この酵母粉末をアルミパウチに梱包し、加速試験機内(40℃、湿度75%)で保管した。定時的に酵母粉末のサンプリングを行い、過塩素酸を用いてAdoMetの抽出を行った。AdoMetの測定にはUPLCを用いた。結果を以下の表12および図12に示す。結果は、各サンプルの調製時の値を100%として相対値で示されていることに注意されたい。
酵母を、5L容ジャーファーメンター(仕込み培地量:3L)を用いて培養した。この培養液を遠心分離(8,000rpm)し、上清を除いて、菌体を回収した。回収した菌体に除いた上清液を適量加え、菌体濃縮液を調製した。濃縮液中のAdoMet濃度を測定し、含有AdoMet量の5倍量になるようにフィチン酸を添加、10、20、40、100倍量になるようにデキシパール SD−20(パールエース株式会社)を菌体濃縮液に添加した。デキシパールSD−20はデキストリンの混合物であり、デキストリン80%以下、全CD20%以上(Lot間の平均としてα−CD:9.3%、β−CD:8.6%、γ−CD:4.1%)の組成となっている。調製したサンプルを−80℃で一晩凍結した。凍結乾燥を72h行い、酵母粉末を調製した。この酵母粉末をアルミパウチに梱包し、加速試験機内(40℃、湿度75%)で保管した。定時的に酵母粉末のサンプリングを行い、過塩素酸を用いてAdoMetの抽出を行った。AdoMetの測定にはUPLCを用いた。結果を以下の表13および図13に示す。結果は、各サンプルの調製時の値を100%として相対値で示されていることに注意されたい。
酵母を、5L容ジャーファーメンター(仕込み培地量:3L)を用いて培養した。この培養液を遠心分離(8,000rpm)し、上清を除いて、菌体を回収した。回収した菌体に除いた上清液を適量加え、菌体濃縮液を調製した。濃縮液中のAdoMet濃度を測定し、含有AdoMet量の5倍量になるようにデキストリン(デキシパールSD−20)を添加し、5倍量になるようにフィチン酸、EDTAまたはコウジ酸を菌体濃縮液に添加した。調製したサンプルを−80℃で一晩凍結した。凍結乾燥を72h行い、酵母粉末を調製した。この酵母粉末をアルミパウチに梱包し、加速試験機内(40℃、湿度75%)で保管した。定時的に酵母粉末のサンプリングを行い、過塩素酸を用いてAdoMetの抽出を行った。AdoMetの測定にはUPLCを用いた。結果を以下の表14および図14に示す。結果は、各サンプルの調製時の値を100%として相対値で示されていることに注意されたい。
酵母を、5L容ジャーファーメンター(仕込み培地量:3L)を用いて培養した。この培養液を遠心分離(8,000rpm)し、上清を除いて、菌体を回収した。回収した菌体に除いた上清液を適量加え、菌体濃縮液を調製した。濃縮液中のAdoMet濃度を測定し、含有AdoMet量の5倍量になるようにフィチン酸を添加し、それぞれ10倍量になるようにデキシパール SD−20(パールエース株式会社)、デキシパール K-100(パールエース株式会社)、デキシパール K-50(パールエース株式会社)、およびデキシパール KS-20(パールエース株式会社)を菌体濃縮液に添加した。それぞれ、デキシパール K-100は、全CD量97%以上(内α−CD70%以上、γ−CD 5−8%)、デキシパール K-50は、全CD量50%以上(内α−CD30%以上、γ−CD 5−8%)、デキシパール KS-20は、全CD量18%以上(内α−CD10%以上)の組成となっている。調製したサンプルを−80℃で一晩凍結した。凍結乾燥を72h行い、酵母粉末を調製した。この酵母粉末をアルミパウチに梱包し、加速試験機内(40℃、湿度75%)で保管した。定時的に酵母粉末のサンプリングを行い、過塩素酸を用いてAdoMetの抽出を行った。AdoMetの測定にはUPLCを用いた。結果を以下の表15および図15に示す。結果は、各サンプルの調製時の値を100%として相対値で示されていることに注意されたい。4倍量のγ−CDと5倍量のフィチン酸との組み合わせを添加した場合を参考として示している。
Claims (15)
- S−アデノシルメチオニンと、該S−アデノシルメチオニンの3倍量以上の濃度のフィチン酸と、該S−アデノシルメチオニンの4倍量以上の濃度のγ−環状デキストリンとを含む、飲食用組成物。
- 前記フィチン酸を、前記S−アデノシルメチオニンの5倍量以上の濃度で含む、請求項1に記載の飲食用組成物。
- さらに非環状デキストリンを含む、請求項1または2に記載の飲食用組成物。
- pHが4以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の飲食用組成物。
- pHが3以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の飲食用組成物。
- S−アデノシルメチオニンの安定化法であって、該S−アデノシルメチオニンを含む組成物に、該S−アデノシルメチオニンの3倍量以上の濃度のフィチン酸および該S−アデノシルメチオニンの4倍量以上の濃度のγ−環状デキストリンを添加する工程を包含する、方法。
- 前記フィチン酸を、前記S−アデノシルメチオニンの5倍量以上の濃度で添加する、請求項6に記載の方法。
- さらに非環状デキストリンを含む、請求項6または7に記載の方法。
- pHを4以下に調整する工程をさらに包含する、請求項6〜8のいずれか1項に記載の方法。
- pHを3以下に調整する工程をさらに包含する、請求項6〜8のいずれか1項に記載の方法。
- S−アデノシルメチオニンと、該S−アデノシルメチオニンの3倍量以上の濃度のフィチン酸と、該S−アデノシルメチオニンの4倍量以上の濃度のγ−環状デキストリンとを含む、飲食用補填物。
- 前記フィチン酸を、前記S−アデノシルメチオニンの5倍量以上の濃度で含む、請求項11に記載の飲食用補填物。
- さらに非環状デキストリンを含む、請求項11または12に記載の飲食用補填物。
- pHが4以下である、請求項11〜13のいずれか1項に記載の飲食用補填物。
- pHが3以下である、請求項11〜13のいずれか1項に記載の飲食用補填物。
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