JP7217089B2 - 血糖値上昇抑制剤及びこれを含んでなる経口組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、血糖値上昇抑制剤に関し、詳細には、単糖類摂取後の血糖値の上昇を抑制する血糖値上昇抑制剤、及び、これを含んでなる経口組成物に関する。
先進国においては、糖尿病の増加が大きな社会問題となっており、その予防が大きな課題となっている。糖尿病を予防又は改善するためには、食事量のコントロール、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動をすることが推奨されているが、これらを適切な指導の下に長期間、日常的に行うことは困難である。
一般に、血糖値が高い状態が維持されると糖尿病になり易いと言われており、特に、食物を摂取した直後の血糖値、いわゆる食後血糖値の上昇を抑制することは、糖尿病予防に重要である。しかしながら、近年、単糖類の一種であるグルコースを異性化して得られる異性化糖(グルコースとフルクトースの混合物)が甘味料として各種飲食物に汎用されるようになり、とりわけ清涼飲料などに比較的多量に用いられていることから、意識するしないに関わらず、飲料の摂取を介して単糖類を摂取する機会が多くなっている。グルコースやフルクトースなどの単糖類は、摂取すると容易に吸収され血糖値の上昇を招くので、これら単糖類を含んだ飲食物を摂取した後の血糖値上昇を抑制することは糖尿病を予防する観点からも重要である。
このような状況下、簡便に単糖類摂取後の血糖値の上昇を制御する方法として、単糖類とともに摂取すると血糖値の上昇を抑える物質を利用する方法が提案されている。例えば、特許文献1には、大麦胚乳などから得られるβ-1,3-1,4-グルカンがグルコース負荷時の血糖値上昇を抑制することが開示されている。しかしながら、非特許文献1に報告されているとおり、β-1,3-1,4-グルカンは、耐糖能異常を呈し、血糖値が低下し難いヒト、いわゆる「糖尿病境界領域のヒト」の場合でしかグルコース負荷時の血糖値上昇抑制効果を奏さないという限界がある。また、特許文献2には、グルコースとともに高純度のD-プシコースをラットに摂取させると、血糖値上昇が抑制されることが開示されている。しかしながら、D-プシコースはそれ自体が甘味を有するため、甘味を有する単糖と組合せて用いる場合には、呈味に影響を与えず支障なく利用できる一方、無味であることが望まれる服用剤や無糖の茶飲料、ニアウォターなどに配合するには不適であり、血糖値上昇抑制効果のある甘味のない飲料として、単糖類を含有する飲食物を摂取する前後に利用する態様には応用できない点で、利用範囲に限界がある。
一方、難消化性デキストリン、すなわち少量の無機酸を添加した後、加熱した焙焼デキストリンを加工して得られる水溶性食物繊維の一種である難消化性デキストリン(非特許文献2)は、それ自体が低甘味である上に、食後血糖値の上昇を抑制し、インスリンの分泌を穏やかにする効果を有しているので、多くの飲食品に配合、利用されているが、当該難消化性デキストリンは、非特許文献3及び4に報告されているとおり、単糖類摂取後の血糖値の上昇に対しては抑制効果を示さない。
このように、異性化糖などの単糖類が甘味料として各種飲料に多用される状況下にあるにもかかわらず、現在のところ、「糖尿病境界領域のヒト」だけでなくその他のヒトも含め、ヒトが異性化糖などの単糖類を摂取した後の血糖値の上昇を抑制する効果を有し、それ自体が低甘味ないし無味であるとともに、日常的に手軽かつ安全に、しかも継続的に摂取できる血糖値上昇抑制剤は、本発明者らが知る限り、未だ報告されていない。
特開2009-263655号公報 特開2005-213227号公報
第8回大麦食品シンポジウム、2012年10月23日 「澱粉化学」、第37巻、第2号、第107-114頁(1990) 若林ら、日本栄養・食糧学会誌、第46巻、第2号、第131-137頁(1993) 若林ら、日本食物繊維研究会誌、第3巻、第1号、第13-19頁(1999)
本発明は、「糖尿病境界領域のヒト」に限らず、単糖類摂取後のヒトの血糖値の上昇を抑制する効果を有し、それ自体が低甘味ないし無味で利用範囲が広く、日常的に手軽かつ安全に継続摂取できる血糖値上昇抑制剤と、これを含んでなる経口組成物を提供することを課題とする。
上記課題を解決すべく鋭意研究努力を重ねた結果、本発明者らは、本出願人が、先に国際公開第WO2008/136331号パンフレットにおいて開示した分岐α-グルカン混合物、具体的には、グルコースを構成糖とし、α-1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの非還元末端グルコース残基にα-1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、イソマルトデキストラナーゼ消化によりイソマルトースを生成する分岐α-グルカン混合物が、意外にも、食後血糖値の上昇を抑制するだけでなく、単糖類摂取後の血糖値の上昇をも抑制することを見出した。斯かる知見は全く意外な知見である。何故なら、上記分岐α-グルカン混合物は、分岐を有するグルコースの重合体であり、水溶性食物繊維性を示す点で難消化性デキストリンと類似した澱粉由来の混合物であるので、非特許文献3及び4に報告されている難消化性デキストリンと同様に、単糖類摂取後の血糖値上昇には抑制効果を示さないと信じられていたからである。ところが、本発明者らが実験によって確認したところによれば、上記分岐α-グルカン混合物は、これをヒトが摂取すると、「糖尿病境界領域のヒト」に限らず、単糖類摂取後の血糖値の上昇が顕著に抑制された。この新たな知見に基づき、本発明者らは、それ自体が低甘味ないし無味で利用範囲が広く、「糖尿病境界領域のヒト」に限らず効果のある、単糖類摂取後の血糖値の上昇を抑制する血糖値上昇抑制剤とこれを含む経口組成物を確立し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、下記(A)乃至(C)の特徴を有する分岐α-グルカン混合物を有効成分とする単糖類摂取後の血糖値上昇抑制剤を提供することによって上記の課題を解決するものである。
(A)グルコースを構成糖とし、
(B)α-1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα-1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、
(C)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを生成する。
上記特徴を有する分岐α-グルカン混合物は、副作用の心配がない安全な可食性素材であるだけでなく、低甘味ないし無味であり、単糖類とともに摂取した場合、ヒトの血糖値の上昇を抑制する作用を有している。したがって、上記特徴(A)乃至(C)を有する分岐α-グルカン混合物は単糖類摂取後の血糖値上昇抑制剤の有効成分として極めて有用である。
さらに、本発明は、上記血糖値上昇抑制剤とともに単糖類を含んでなる経口組成物を提供することによって上記の課題を解決するものである。
本発明の血糖値上昇抑制剤は、それ自体が低甘味ないし無味であるため、利用範囲が広く、「糖尿病境界領域のヒト」に限らず単糖類摂取後の血糖値上昇を抑制できる。また、本発明の経口組成物は、本発明の血糖値上昇抑制剤を含んでいるので、これを摂取することによって、簡便かつ安全に単糖類を摂取後の血糖値の上昇を効果的に抑制することができる。
被験者に、グルコースのみからなる対照試料を摂取させた場合と、グルコースとともに分岐α-グルカン混合物を含有する被験試料を摂取させた場合の、被験者における血糖値の増分の平均値の経時変化を示した図である。 反転小腸を用いたグルコース吸収試験のため作製した装置の概要を示す図である。
本発明は、下記(A)乃至(C)の特徴を有する分岐α-グルカン混合物を有効成分とする血糖値上昇抑制剤に係る発明である。
(A)グルコースを構成糖とし、
(B)α-1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα-1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、
(C)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを生成する。
本明細書でいう血糖値上昇抑制剤とはヒトの単糖類摂取後の血糖値の上昇を抑制する剤を意味する。
なお、本明細書でいう摂取とは、ヒトが体内に取り入れることをいい、経口経路による摂取及び経管経路による摂取の両方を含む。
本発明の血糖値上昇抑制剤は、単糖類と同時又は相前後して摂取するのが望ましい。
本発明の血糖値上昇抑制剤は、有効成分として前記分岐α-グルカン混合物(以下、「本分岐α-グルカン混合物」という。)を含有してなるものである。本分岐α-グルカン混合物は、後述のとおり種々の製造方法により得ることができ、得られる本分岐α-グルカン混合物は、通常、様々な分岐構造並びにグルコース重合度(分子量)を有する多数の分岐α-グルカンの混合物の形態にあり、現行の技術では、一つ一つの分岐α-グルカンの単離や定量を行うことは不可能である。このため、個々の分岐α-グルカンの構造、すなわち、構成単位であるグルコース残基の結合様式及び結合順序を分岐α-グルカンの分子ごとに決定することはできないものの、本分岐α-グルカン混合物の構造は、斯界で一般に用いられる種々の物理的手法、化学的手法又は酵素的手法により、混合物全体として特徴付けることができる。
具体的には、本分岐α-グルカン混合物の構造は、混合物全体として、上記(A)乃至(C)の特徴によって特徴付けられる。すなわち、本分岐α-グルカン混合物は、グルコースを構成糖とするグルカン(特徴(A))であり、α-1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα-1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有している(特徴(B))。なお、特徴(B)でいう「非還元末端グルコース残基」とは、α-1,4結合を介して連結したグルカン鎖のうち、還元性を示さない末端に位置するグルコース残基を意味し、「α-1,4結合以外の結合」とは、文字どおりα-1,4結合以外の結合を意味する。
さらに、本分岐α-グルカン混合物は、イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを生成する(特徴(C))。特徴(C)でいうイソマルトデキストラナーゼ消化とは、本分岐α-グルカン混合物にイソマルトデキストラナーゼを作用させ、加水分解することを意味する。イソマルトデキストラナーゼは、酵素番号(EC)3.2.1.94が付与される酵素であり、α-グルカンにおけるイソマルトース構造の還元末端側に隣接するα-1,2、α-1,3、α-1,4、及びα-1,6結合のいずれの結合様式であっても加水分解する特徴を有する酵素である。好適には、アルスロバクター・グロビホルミス由来のイソマルトデキストラナーゼ(例えば、サワイ(Sawai)ら、アグリカルチュラル・アンド・バイオロジカル・ケミストリー(Agricultural and Biological Chemistry)、第52巻、第2号、第495頁-501頁(1988)参照)が用いられる。
イソマルトデキストラナーゼ消化により生成する消化物の固形物当たりのイソマルトースの割合は、分岐α-グルカン混合物を構成する分岐α-グルカンの構造におけるイソマルトデキストラナーゼで加水分解され得るイソマルトース構造の割合を示すものであり、特徴(C)によって、本分岐α-グルカン混合物の構造を、混合物全体として、酵素的手法によって特徴付けることができる。
本分岐α-グルカン混合物は、イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり、通常、5質量%以上70質量%以下、好ましくは、10質量%以上60質量%以下、より好ましくは20質量%以上50質量%以下生成するものが、単糖類摂取後の血糖値上昇抑制効果により優れていると考えられることから好適に用いられる。
すなわち、後述するとおり、本分岐α-グルカン混合物による単糖類摂取後の血糖値の上昇抑制効果には、本分岐α-グルカン混合物がイソマルトデキストラナーゼ消化によりイソマルトースを生成するという構造的特徴を有していることが深く関与していると考えられる。すなわち、イソマルトデキストラナーゼ消化におけるイソマルトース生成量が5質量%未満の分岐α-グルカン混合物は、分岐構造の少ないマルトデキストリンに近い構造的特徴を有するものとなり、逆に、イソマルトデキストラナーゼ消化におけるイソマルトース生成量が70質量%超の分岐α-グルカン混合物はα-1,6結合で連なったグルコースポリマーであるデキストランに近い構造的特徴を有するものとなって、上述した特徴(B)で規定される分岐構造が少なくなるため、いずれの場合も単糖類摂取後の血糖値の上昇抑制に関与すると考えられる構造的特徴が薄れ、イソマルトデキストラナーゼ消化によるイソマルトースの量には好適範囲が存在する。
また、本分岐α-グルカン混合物のより好適な一態様としては、高速液体クロマトグラフ(酵素-HPLC法)により求めた水溶性食物繊維含量が40質量%以上であるという特徴(D)を有しているものが挙げられる。
水溶性食物繊維含量を求める「高速液体クロマトグラフ法(酵素-HPLC法)」(以下、単に「酵素-HPLC法」という。)とは、平成8年5月厚生省告示第146号の栄養表示基準、「栄養成分等の分析方法等(栄養表示基準別表第1の第3欄に掲げる方法)」における第8項、「食物繊維」に記載されている方法であり、その概略を説明すると以下のとおりである。すなわち、試料を熱安定α-アミラーゼ、プロテアーゼ及びグルコアミラーゼによる一連の酵素処理により分解処理し、イオン交換樹脂により処理液から蛋白質、有機酸、無機塩類を除去することによりゲル濾過クロマトグラフィー用の試料溶液を調製する。次いで、ゲル濾過クロマトグラフィーに供し、クロマトグラムにおける、未消化グルカンとグルコースのピーク面積を求め、それぞれのピーク面積と、別途、常法により、グルコース・オキシダーゼ法により求めておいた試料溶液中のグルコース量を用いて、試料の水溶性食物繊維含量を算出する。なお、本明細書を通じて「水溶性食物繊維含量」とは、特に説明がない限り、前記「酵素-HPLC法」で求めた水溶性食物繊維含量を意味する。
水溶性食物繊維含量は、α-アミラーゼ及びグルコアミラーゼによって分解されないα-グルカンの含量を示すものであり、特徴(D)は、本分岐α-グルカン混合物の構造を、混合物全体として、酵素的手法により特徴付ける指標の一つである。
なお、上述したとおり、本分岐α-グルカン混合物による単糖類摂取後の血糖値の上昇抑制効果には、イソマルトデキストラナーゼ消化によりイソマルトースを生成するという構造的特徴が深く関与していると考えられるところ、この特徴的な構造部分は、当然のことながら、本分岐α-グルカン混合物の水溶性食物繊維含量が高まれば高まるほど、換言すれば、α-アミラーゼ及びグルコアミラーゼで分解されない分岐α-グルカンの含量が多いほど、より多く、消化されずに小腸に到達し、血糖値の上昇抑制作用を示すと考えられる。したがって、本発明の血糖値上昇抑制剤の有効成分である本分岐α-グルカン混合物としては、水溶性食物繊維含量が高いものほど好ましく、好適な水溶性食物繊維含量は、通常、40質量%以上であるが、60質量%以上のものがより好ましく、さらに好ましくは75質量%以上である。好適な水溶性食物繊維含量の上限は特になく、技術的に可能な限り高いほどよく、好ましくは100質量%以下又は100質量%未満である。
さらに、本分岐α-グルカン混合物のより好適な一態様としては、下記特徴(E)及び(F)を有する分岐α-グルカン混合物であり、当該特徴はメチル化分析によって求めることができる。
(E)α-1,4結合したグルコース残基とα-1,6結合したグルコース残基の比が1:0.6乃至1:4の範囲にあり、
(F)α-1,4結合したグルコース残基とα-1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の55%以上を占める。
メチル化分析とは、周知のとおり、多糖又はオリゴ糖において、これを構成する単糖の結合様式を決定する方法として一般的に汎用されている方法である(シューカヌ(Ciucanu)ら、カーボハイドレート・リサーチ(Carbohydrate Research)、第131巻、第2号、第209-217頁(1984))。メチル化分析をグルカンにおけるグルコースの結合様式の分析に適用する場合、まず、グルカンを構成するグルコース残基における全ての遊離の水酸基をメチル化し、次いで、完全メチル化したグルカンを加水分解する。次いで、加水分解により得られたメチル化グルコースを還元してアノマー型を消去したメチル化グルシトールとし、更に、このメチル化グルシトールにおける遊離の水酸基をアセチル化することにより部分メチル化グルシトールアセテート(なお、「部分メチル化グルシトールアセテート」を単に「部分メチル化物」と総称する場合がある。)を得る。得られる部分メチル化物を、ガスクロマトグラフィーで分析することにより、グルカンにおいて結合様式がそれぞれ異なるグルコース残基に由来する各種部分メチル化物は、ガスクロマトグラムにおける全ての部分メチル化物のピーク面積に占めるピーク面積の百分率(%)で表すことができる。そして、このピーク面積%から当該グルカンにおける結合様式の異なるグルコース残基の存在比、すなわち、各グルコシド結合の存在比率を決定することができる。部分メチル化物についての「比」は、メチル化分析のガスクロマトグラムにおけるピーク面積の「比」を意味し、部分メチル化物についての「%」はメチル化分析のガスクロマトグラムにおける「面積%」を意味するものとする。
上記(E)及び(F)における「α-1,4結合したグルコース残基」とは、1位及び4位の炭素原子に結合した水酸基のみを介して他のグルコース残基に結合したグルコース残基であり、メチル化分析において、2,3,6-トリメチル-1,4,5-トリアセチルグルシトールとして検出される。また、上記(E)及び(F)における「α-1,6結合したグルコース残基」とは、1位及び6位の炭素原子に結合した水酸基のみを介して他のグルコース残基に結合したグルコース残基であり、メチル化分析において、2,3,4-トリメチル-1,5,6-トリアセチルグルシトールとして検出される。
メチル化分析により得られる、α-1,4結合したグルコース残基とα-1,6結合したグルコース残基の比率、及び、α-1,4結合したグルコース残基とα-1,6結合したグルコース残基の全グルコース残基に対する割合は、本分岐α-グルカン混合物の構造を、混合物全体として、化学的手法によって特徴付ける指標の一つとして用いることができる。
上記(E)の「α-1,4結合したグルコース残基とα-1,6結合したグルコース残基の比が1:0.6乃至1:4の範囲にある」との規定は、本分岐α-グルカン混合物をメチル化分析に供したとき、検出される2,3,6-トリメチル-1,4,5-トリアセチルグルシトールと2,3,4-トリメチル-1,5,6-トリアセチルグルシトールの比が1:0.6乃至1:4の範囲にあることを意味する。また、上記(F)の「α-1,4結合したグルコース残基とα-1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の55%以上を占める」との規定は、本分岐α-グルカン混合物が、メチル化分析において、2,3,6-トリメチル-1,4,5-トリアセチルグルシトールと2,3,4-トリメチル-1,5,6-トリアセチルグルシトールとの合計が部分メチル化グルシトールアセテートの55%以上を占めることを意味する。通常、澱粉は1位と6位でのみ結合したグルコース残基を有しておらず、かつα-1,4結合したグルコース残基が全グルコース残基中の大半を占めていることから、上記(E)及び(F)の要件は本分岐α-グルカン混合物が澱粉とは全く異なる構造を有することを意味するものである。
上記(E)及び(F)の特徴で規定されるとおり、本分岐α-グルカン混合物は、好ましい一態様において、通常、澱粉には存在しない「α-1,6結合したグルコース残基」を相当程度有するものであるが、高い血糖値上昇抑制効果を必要とする場合には、より複雑な分岐構造を有するものの方が高い血糖値上昇抑制効果を期待できるため、α-1,4結合及びα-1,6結合に加えてα-1,3結合及びα-1,3,6結合を有するのが好ましい。ここで、「α-1,3,6結合」とは、「1位、3位及び6位の水酸基の3箇所で他のグルコースと結合した(α-1,3,6結合した)グルコース残基」を意味する。本分岐α-グルカン混合物は、より複雑な分岐構造を有するために結合中にα-1,3結合及びα-1,3,6結合が任意の割合で含まれていればよく、例えば、α-1,3結合したグルコース残基が全グルコース残基の0.5%以上10%未満であることが好ましい。また、本分岐α-グルカン混合物は、α-1,3,6結合したグルコース残基が全グルコース残基の0.5%以上であることが好ましい。
上記「α-1,3結合したグルコース残基が全グルコース残基の0.5%以上10%未満である」ことは、本分岐α-グルカン混合物をメチル化分析に供したとき、2,4,6-トリメチル-1,3,5-トリアセチルグルシトールが部分メチル化グルシトールアセテートの0.5%以上10%未満存在することによって確認することができる。また、上記「α-1,3,6結合したグルコース残基が全グルコース残基の0.5%以上である」ことは、本分岐α-グルカン混合物が、メチル化分析において、2,4-ジメチル-1,3,5,6-テトラアセチルグルシトールが部分メチル化グルシトールアセテートの0.5%以上10%未満存在することによって確認することができる。
本分岐α-グルカン混合物は、重量平均分子量(Mw)、及び、重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で除した値(Mw/Mn)によっても特徴づけることができる。重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、例えば、サイズ排除クロマトグラフィー等を用いて求めることができる。また、重量平均分子量(Mw)に基づいて本分岐α-グルカン混合物を構成する分岐α-グルカンの平均グルコース重合度を算出することができるため、本分岐α-グルカン混合物は平均グルコース重合度で特徴づけることもできる。平均グルコース重合度は、重量平均分子量(Mw)から18を減じ、グルコース残基量である162で除して求めることができる。血糖値上昇抑制剤の有効成分として用いる本分岐α-グルカン混合物は、その平均グルコース重合が、通常、8乃至500、好ましくは15乃至400、より好ましくは20乃至300のものが好適である。なお、分岐α-グルカン混合物は、平均グルコース重合度が大きいほど粘度が増し、平均グルコース重合度が小さいほど粘度が小さくなる点で、通常のグルカンと同様の性質を示す。そのため、本発明の血糖値上昇抑制剤の実施態様に応じ、要求される粘度に適合する平均グルコース重合度を有する本分岐α-グルカン混合物を適宜選択して用いることができる。
重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で除した値であるMw/Mnは、1に近いものほど構成する分岐α-グルカン混合物を構成する分岐α-グルカン分子のグルコース重合度のばらつきが小さいことを意味する。血糖値上昇抑制剤の有効成分として用いる本分岐α-グルカン混合物は、Mw/Mnが、通常、20以下のものであれば問題なく使用できるものの、好ましくは10以下、より好ましくは5以下のものが好適である。なお、特定のグルコース重合度の分岐α-グルカン混合物の提供が求められる場合には、Mw/Mnが1により近く、グルコース重合度のばらつきが小さいものほど好ましい。
本分岐α-グルカン混合物は、上記(A)乃至(C)の特徴を有する限り、如何なる方法で製造されたものであっても良い。例えば、α-1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの非還元末端グルコース残基にα-1,6結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を導入する作用を有する酵素を澱粉質に作用させて得られる分岐α-グルカン混合物は、本発明の実施において好適に利用することができ、より好適な一例としては、国際公開第WO2008/136331号パンフレットにおいて開示されているα-グルコシル転移酵素を澱粉質に作用させて得られる分岐α-グルカン混合物が挙げられる。また、前記α-グルコシル転移酵素に加え、マルトテトラオース生成アミラーゼ(EC 3.2.1.60)などのアミラーゼや、イソアミラーゼ(EC 3.2.1.68)などの澱粉枝切り酵素を併用すれば、本分岐α-グルカン混合物を低分子化することができるので、分子量、グルコース重合度などを所望の範囲に調整することができる。さらには、シクロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼ(EC 2.4.1.19)や、澱粉枝作り酵素(EC 2.4.1.18)、特開2014-054221号公報に開示されている重合度2以上のα-1,4グルカンを澱粉質の内部のグルコース残基にα-1,6転移する活性を有する酵素を併用することにより、本分岐α-グルカン混合物を構成する分岐α-グルカンをさらに高度に分岐させ、本分岐α-グルカン混合物の水溶性食物繊維含量を高めることもできる。かくして得られる分岐α-グルカン混合物に、さらにグルコアミラーゼ等の糖質加水分解酵素を作用させ、さらに水溶性食物繊維含量を高めた分岐α-グルカン混合物とすることも随意であり、グリコシルトレハロース生成酵素(EC 5.4.99.15)を作用させることにより分岐α-グルカン混合物を構成する分岐α-グルカンの還元末端にトレハロース構造を導入したり、水素添加により分岐α-グルカンの還元末端を還元するなどして分岐α-グルカン混合物の還元力を低下させてもよく、また、サイズ排除クロマトグラフィー等による分画を行なうことにより、所望の分子量を有する分岐α-グルカン混合物を取得することも随意である。
本発明の血糖値上昇抑制剤に含有される本分岐α-グルカン混合物の量は、単糖類と同時又は相前後して摂取されたときに所期の血糖値上昇抑制作用を発揮する限り、特に限定はないが、本分岐α-グルカン混合物を1乃至100質量%、好ましくは、3乃至100質量%、より好ましくは5乃至100質量%の範囲で含有していれば良い。また、本発明の血糖値上昇抑制剤は、本分岐α-グルカン混合物に加えて、必要に応じて、水、ミネラル、着香料、安定化剤、賦形剤、増量剤、pH調整剤などから選ばれる1種又は2種以上の成分を、0.01乃至50質量%、好ましくは、0.1乃至40質量%の割合で適宜配合して利用することもできる。
本発明の血糖値上昇抑制剤は、血糖値上昇抑制剤の作用効果を発揮する量摂取すればよく、摂取量に特段の制限はないが、例えば、有効成分である本分岐α-グルカン混合物の摂取量が、通常、成人(体重60kg)1回当たり、0.5乃至100gの範囲、好ましくは1乃至50gの範囲、より好ましくは1.5乃至10gの範囲、さらに好ましくは3乃至8gの範囲となるように、本発明の血糖値上昇抑制剤を、そのまま、或いは、水、お茶、コーヒーなどの飲料に溶解して摂取するか、食品又は飲料に添加して摂取すればよい。もしくは、有効成分である本分岐α-グルカン混合物の摂取量が、単糖類の総摂取量に対し0.5乃至30質量%の範囲、より好ましくは5乃至15質量%の範囲となるように、本発明の血糖値上昇抑制剤を摂取してもよい。なお、本発明の血糖値上昇抑制剤を食品又は飲料の摂取の前後に摂取してもよいことは勿論である。
本発明の血糖値上昇抑制剤は、粉末状、粒状、顆粒状、液状、ペースト状、クリーム状、タブレット状、カプセル状、カプレット状、ソフトカプセル状、錠剤状、棒状、板状、ブロック状、丸薬状、固形状、ゲル状、ゼリー状、グミ状、ウエハース状、ビスケット状、飴状、チュアブル状、シロップ状、スティック状などの適宜の形態とすることができる。また、本発明の血糖値上昇抑制剤は、医薬品や医薬部外品だけでなく、特定保健用食品、機能性表示食品、栄養補助食品、又は健康食品などの生活習慣病を予防又は改善することを目的に摂取される飲食品に配合することができる。配合される飲食品の具体例としては、炭酸飲料、乳飲料、ゼリー飲料、スポーツドリンク、酢飲料、豆乳飲料、鉄含有飲料、乳酸菌飲料、緑茶、紅茶、ココア、コーヒーなどの飲料、米飯、粥、パン、麺類、スープ、味噌汁、ヨーグルトなどの食品、ソフトキャンディー、ハードキャンディ、グミ、ゼリー、クッキー、ソフトクッキー、せんべい、あられ、おこし、求肥、餅類、わらび餅、まんじゅう、ういろう、餡類、羊羹、水羊羹、錦玉、ゼリー、ペクチンゼリー、カステラ、ビスケット、クラッカー、パイ、プリン、バタークリーム、カスタードクリーム、シュークリーム、ワッフル、スポンジケーキ、ホットケーキ、マフィン、ドーナツ、チョコレート、ガナッシュ、シリアルバー、チューインガム、キャラメル、ヌガー、フラワーペースト、ピーナッツペースト、フルーツペースト、ジャム、マーマレードなどの菓子、アイスクリーム、シャーベット、ジェラートなどの氷菓、更には、醤油、粉末醤油、味噌、粉末味噌、もろみ、ひしお、フリカケ、マヨネーズ、ドレッシング、食酢、三杯酢、粉末すし酢、中華の素、天つゆ、麺つゆ、ソース、トマトソース、ケチャップ、焼き肉のタレ、焼き鳥のタレ、から揚げ粉、天ぷら粉、カレールウ、シチューの素、スープの素、ダシの素、複合調味料、みりん、新みりん、テーブルシュガー、コーヒーシュガーなどの各種調味料や調理加工品があげられる。さらに、本発明の血糖値上昇抑制剤は、生活習慣病を予防又は改善(治療)するための液剤、シロップ剤、経管栄養剤、錠剤、カプセル剤、トローチ剤、舌下剤、顆粒剤、散剤、粉剤、乳剤、噴霧剤などの形態にある薬剤に配合することもできる。さらに、本発明の血糖値上昇抑制剤は、ヒト以外の動物が摂取するペットフードや飼料、餌料に配合することもできる。
また、本分岐α-グルカン混合物を含有する本発明の血糖値上昇抑制剤は、そのまま血糖値上昇抑制剤としてだけでなく、本発明の血糖値上昇抑制剤に加えて、さらに、単糖類を添加して、経口組成物として用いることができる。本発明の経口組成物は、血糖値上昇抑制剤を含んでいるため経口組成物中に単糖類を含んでいても摂取後の血糖値の上昇を抑制できるので、血糖値の上昇が気に掛かるヒトであっても、単糖類が含まれていることを気にせずに摂取することができるという利点を有している。
因みに、本発明の経口組成物に用いられる単糖類としては、ヒトにおいて単糖類摂取後の血糖値を上昇させる作用を有する単糖が挙げられ、特に飲食物に配合される単糖、例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトースからなる群より選ばれる1種以上、中でも、グルコース、フルクトース、及びグルコースとフルクトースの混合物である異性化糖、特に、グルコースを血糖値上昇抑制剤とともに本発明の経口組成物に配合する場合には、本発明の血糖値上昇抑制剤による血糖値上昇抑制効果がより好適に発揮されるので好ましい。
本発明の経口組成物には、本発明の血糖値上昇抑制剤を、血糖値上昇抑制剤としての作用効果が発揮される量配合すればよく、配合量に特段の制限はないが、例えば、経口組成物に含有させる単糖類の総量に対し、有効成分としての本分岐α-グルカン混合物が、0.5乃至30質量%の範囲、より好ましくは5乃至15質量%の範囲となるよう配合するのが好ましい。なお、有効成分としての本分岐α-グルカン混合物は、成人(体重60kg)1回当たり、通常、0.5乃至100gの範囲、好ましくは1乃至50gの範囲、より好ましくは1.5乃至10gの範囲、さらに好ましくは3乃至8gの範囲で摂取できるように配合されているのが好適である。
本発明の経口組成物には、上記成分に加えて、さらに、水、食塩水、甘味料、蛋白質、ペプチド、ポリフェノール、ミネラル、抗菌物質、酵素、難消化性の多糖類、着色料、着香料、糊料、安定化剤、賦形剤、増量剤、pH調整剤などから選ばれる1種又は2種以上を経口組成物の総量に対して0.01乃至50質量%、好ましくは、0.1乃至40質量%の割合で適宜配合することができる。
本発明の経口組成物は、粉末状、粒状、顆粒状、液状、ペースト状、クリーム状、タブレット状、カプセル状、カプレット状、ソフトカプセル状、錠剤状、棒状、板状、ブロック状、丸薬状、固形状、ゲル状、ゼリー状、グミ状、ウエハース状、ビスケット状、飴状、チュアブル状、シロップ状、スティック状などの適宜の形態とすることができる。
本発明の経口組成物は、必要に応じて、経管投与などの非経口的投与方法により胃又は消化管へ投与することもできる。
以下、実験に基づいて本発明をより詳細に説明する。
以下の実験1では、国際公開第WO2008/136331号パンフレットの実施例5記載の方法に従い製造した分岐α-グルカン混合物を使用した。すなわち、前記実施例5記載の方法に順じて、27.1質量%トウモロコシ澱粉液化液(加水分解率3.6%)に、最終濃度0.3質量%となるように亜硫酸水素ナトリウムを、また最終濃度1mMとなるように塩化カルシウムを加えた後、50℃に冷却し、これに、国際公開第WO2008/136331号パンフレットの実施例1に記載された方法で調製したバチルス・サーキュランス PP710(FERM BP-10771)由来のα-グルコシル転移酵素の濃縮粗酵素液を固形物1グラム当たり11.1単位加え、さらに、50℃、pH6.0で68時間作用させた。その反応液を80℃で60分間保った後、冷却し、濾過して得られる濾液を常法に従って、活性炭で脱色し、H型及びOH型イオン樹脂により脱塩して精製し、更に濃縮、噴霧乾燥して製造した分岐α-グルカン混合物を以下の実験1に使用した。なお、得られた分岐α-グルカン混合物を、国際公開第WO2008/136331号パンフレットの段落0079、0080に記載されたイソマルトデキストラナーゼ消化試験法、α-グルコシダーゼ及びグルコアミラーゼ消化試験法、段落0076乃至0078に記載されたメチル化分析法により分析したところ、以下の(a)乃至(c)の特徴を有していた。
(a)グルコースを構成糖とし、
(b)α-1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα-1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、
(c)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり35質量%生成した。
また、得られた分岐α-グルカン混合物を前記酵素-HPLC法により分析したところ、前記分岐α-グルカン混合物は、上記特徴に加えて、下記(d)の特徴を有しており、さらには、上記メチル化分析法による分析結果から、下記(e)乃至(h)の特徴を有することが判明した。
(d)水溶性食物繊維含量が82.9質量%であり、
(e)α-1,4結合したグルコース残基とα-1,6結合したグルコース残基の比が1:2.1であり、
(f)α-1,4結合したグルコース残基とα-1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の73.8%であった。
(g)α-1,3結合したグルコース残基が全グルコース残基の2.1%であった。
(h)α-1,3,6結合したグルコース残基が全グルコース残基の5.6%であった。
さらに、当該分岐α-グルカン混合物を、国際公開第WO2008/136331号パンフレットの段落0081に記載されたゲル濾過HPLCによる分子量分布分析にしたところ、その重量平均分子量(Mw)は5,000ダルトン(平均グルコース重合度に換算すると約30)、Mw/Mnは2.1であった。
上記のとおり、本実験で使用した分岐α-グルカン混合物は、グルコースを構成糖とし、α-1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの非還元末端グルコース残基にα-1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、イソマルトデキストラナーゼ消化によりイソマルトースを生成するという前記(A)乃至(C)の特徴を有するものであった。また、本実験で使用した分岐α-グルカン混合物は、イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり5質量%以上70質量%以下生成するという特徴、水溶性食物繊維含量が40質量%以上であるという前記(D)の特徴、及び、α-1,4結合したグルコース残基とα-1,6結合したグルコース残基の比が1:0.6乃至1:4の範囲にあり、α-1,4結合したグルコース残基とα-1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の55%以上を占めるという前記(E)、(F)の特徴を満たすものであった。
さらに、前記分岐α-グルカン混合物は、α-1,3結合したグルコース残基が全グルコース残基の0.5%以上10%未満の範囲にあり、α-1,3,6結合したグルコース残基が全グルコース残基の0.5%以上の範囲にあるものであった。
以下の実験では、グルコース摂取時における血糖値への分岐α-グルカン混合物の影響を調べるために、グルコース負荷試験を実施した。
<実験1:グルコース負荷試験>
糖尿病などのグルコース代謝能異常の経歴のある者は除外した空腹時血糖値(摂取前の血糖値)がおおよそ80~110mg/dLである健康な男女13人の被験者に、グルコースのみからなる対照試料50g(表1を参照)を水に溶解し200mLにした水溶液を与え、5分以内に摂取させた。摂取前、摂取後30、45、60、90、120分の計6回、被験者の指先から採血し、試験紙『アキュチェックアビバストリップ F』(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社販売)と自己血糖測定器『アキュチェックアビバ ナノ』(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社販売)とを用いて血糖値を測定した。なお、グルコースとしては、市販の粉末グルコース(商品名『フジクリスター』、加藤化学株式会社販売)を用いた。
次いで、上記試験から一週間以上経過した後、上記13人の被験者に対し、グルコースとともに分岐α-グルカン混合物を含有する被験試料55g(表1を参照)を水に溶解し200mLとした水溶液を対照試料摂取の場合と同様に摂取させ、摂取後、同様に採血し、血糖値の変化を測定した。
Figure 0007217089000001
上記被験者13人の対照試料摂取時と被験試料摂取時について、それぞれ、摂取前、摂取後30、45、60、90、120分における血糖値の増分の平均値を摂取後経過時間に対してプロットしたグラフを作成し、図1に示した。また、血糖値の増分の平均値の曲線下面積(AUC)を試料ごとに算出し、表2に示した。さらに、分岐α-グルカン混合物摂取の影響は、被験試料摂取時のAUCを対照試料摂取時のAUCで除して得られるAUC比率により評価し、結果を表2に併記した。
Figure 0007217089000002
図1に見られるとおり、対照試料摂取時(図1の符号○)と比べ、被験試料摂取時(図1の符号●)では血糖値の増分の上昇が抑制された。また、表2に見られるとおり、対照試料摂取時のAUCが99.0であったのに対し、被験試料摂取時のAUCは86.6と低く、AUC比率は87.4%であった。この結果から、分岐α-グルカン混合物は、単糖であるグルコースとともに摂取させると、グルコースのみを摂取させた場合に比べ、血糖値の上昇を顕著に抑制することが確認された。
因みに、本分岐α-グルカン混合物が、澱粉部分分解物(マルトデキストリン)とともに摂取した場合に血糖値の上昇を抑制することは、本出願人と同じ出願人による国際公開第WO2008/136331号パンフレットに開示されている。上記実験結果は、分岐α-グルカン混合物が、澱粉部分分解物を摂取した場合のみならず、単糖類を摂取した場合においても血糖値の上昇を抑制することを示すものである。
一方、前述したとおり、斯界で水溶性食物繊維素材として汎用されている難消化性デキストリンについては、単糖であるグルコース及び果糖の摂取後の血糖値の上昇に対しては抑制効果を示さないことが報告されている(非特許文献3及び4を参照)。本分岐α-グルカン混合物と難消化性デキストリンとは、分岐を有するグルコースの重合体であり、水溶性食物繊維性を有する澱粉由来の混合物である点で共通するにもかかわらず、グルコース摂取後の血糖値の上昇に対して及ぼす影響が異なることは、従来の技術常識を覆す極めて興味深い知見であり、本分岐α‐グルカン混合物は、少なくとも生体におけるグルコースの取り込みを顕著に抑制する点で、その作用効果は難消化性デキストリンとは明らかに相違しているものと考えられる。
本分岐α-グルカン混合物は、単糖であるグルコース摂取後の血糖値の上昇を抑制する作用効果を奏することから、従来から血糖値の上昇を招くことが懸念されていた、単糖類を含有する飲食物、例えば、甘味料としてグルコース、フルクトース、異性化糖などの単糖類を含有する各種飲食物であっても、本分岐α-グルカン混合物を配合すれば、摂取後の血糖値の上昇を抑制できることが期待できる。本分岐α-グルカン混合物を用いれば、血糖値上昇の懸念なく摂取できる飲食物の範囲を拡大することができ、本分岐α-グルカン混合物は、血糖値上昇抑制剤として、単糖類を含有する飲食物の分野、とりわけ飲料分野において、現在汎用されている難消化性デキストリンよりも、より有利に利用することができる。
以下の実験2では、本分岐α-グルカン混合物による単糖摂取後の血糖値抑制作用のメカニズムを解明する一手段として、本分岐α-グルカン混合物が小腸におけるグルコース吸収に及ぼす影響を、ラット反転小腸を用いた試験により検証し、併せて行った難消化性デキストリンについての結果と比較した。
<実験2:分岐α-グルカン混合物による単糖類摂取後の血糖値上昇抑制作用のメカニズム -ラット反転小腸を用いた試験->
ヒトにおける本分岐α-グルカン混合物の血糖値上昇抑制作用のメカニズムを検証するため、ラット反転小腸を用いて、小腸でのグルコース吸収に与える影響を検討した。本分岐α-グルカン混合物としては実験1で用いたと同じ標品を用い、難消化性デキストリンとしては市販の難消化性デキストリン(商品名『ファイバーソル2』、松谷化学工業株式会社販売)を用いた。
因みに、反転小腸を用いる試験(例えば、土屋正彦ら ラット反転小腸のブドウ糖吸収に関する研究:経時的観察法の開発 日本消化器病学会雑誌,第80巻、1138-1143頁(1983年)を参照)とは、腸管の特定部分の透過機構を研究するため、その部分を摘出して反転し、両端を結紮、サック状にして物質の透過を検討する方法であり、サックの中に、例えば緩衝液を入れ、対象物質(本実験ではグルコース)を含有する試験液中で95%O-5%COガスを通じながらサックをインキュベートする。当該試験液中の対象物質が小腸粘膜から吸収され、サック内側の漿膜側に移行した量を測定し、吸収を評価する。腸管を反転して粘膜側を外にするのは、上皮細胞が多量の酸素を要求するため、その補給を容易にするのが第一の理由とされている。本実験では、in vitroにおいて小腸によるグルコースの吸収を経時的に測定した。
<実験2-1:ラット反転小腸の調製>
Wistarラット(雄、7週齢、日本クレア株式会社販売)を購入し、1~3週間は標準飼料を与えて飼育し馴化させた。次いで、当該ラットを4時間絶食させた後、ソムノペンチル麻酔下に正中切開にて開腹して小腸を採取し、採取したラット小腸のトライツ(Treitz)靭帯(小腸の途中にあり、小腸を背中側の壁(後腹壁)に繋ぎ止めている靭帯様の構造)より下部側(回腸側)に向かって約16cmから24cmの部位までの長さ約8cmの部分小腸を切り出し、試験に用いた。
<実験2-2:反転小腸を用いたグルコース吸収試験>
ラット反転小腸を用いたグルコース吸収試験は、図2に示す試験装置を作製し、下記の手順にしたがって実施した。
<試験装置>
以下、試験装置の概要について、図2に基づき説明する。プラスチック製20mL容注射筒(図2の符号d)を容器として用い、注射筒dの上部にガス排気用小孔(図2の符号b)を設け、注射筒dの下端にはガス還流用チューブ(図2の符号h)を装着する。ゴム栓(図2の符号a)の中央部に孔をあけ、先を切断したプラスチック製1mLチップ(図2の符号c)を差し込み、当該チップcの先には一端を結紮した反転小腸(図2の符号e)を装着し結紮する。これを注射筒dの上端から差し込み、試験装置とする。
<試験手順>
(1)グルコースのみ、グルコースと分岐α-グルカン混合物、又は、グルコースと難消化性デキストリンをクレブス-リンゲル重炭酸緩衝液(pH7.4)(以下、「KRB緩衝液」と略称する。)にそれぞれ溶解し、下記3種の被験サンプル溶液を調製した。
対照群:グルコースのみ(180mg/dL,10mM);
分岐α-グルカン混合物添加群:グルコース(180mg/dL,10mM)に分岐α-グルカン混合物(60mg/dL)を添加;
難消化性デキストリン添加群:グルコース(180mg/dL,10mM)に難消化性デキストリン(60mg/dL)を添加;
(2)プラスチック製20mL容注射筒(図2の符号d)に、上記3種の被験サンプル溶液のいずれかを20mL(図2の符号g)注入し、37℃の恒温水槽に入れてガス還流用チューブ(図2の符号h)から、95%O-5%COガスを通気し、ガス還流を行う。
(3)実験2-1で取得したラット小腸の内部を、95%O-5%COガスを通気した冷KRB緩衝液で洗浄する。
(4)図示しない反転用棒を腸管の近位端に少し挿入し、反転用棒を小腸内に押し入れながら反転させ、反転小腸とする。
(5)反転用棒から外した反転小腸(図2の符号e)に、先を切断したプラスチック製1mLチップ(図2の符号c)を挿入・結紮することにより装着し、近位端から約5cmのところを結紮する。
(6)反転小腸eを装着したチップcを注射筒dの内部にセットし、マイクロピペットでチップcの上部より反転小腸漿膜側(反転小腸cの内側)にKRB緩衝液0.5mL(図2の符号f)を注入する。この時点で実験(インキュベーション)開始とした。なお、試験前及び試験中ともに、粘膜側(反転小腸cの外側)の被験サンプル溶液gには95%O-5%COガスを通気させた。
(7)粘膜側、漿膜側ともにインキュベート0、30、60、90、120分の時点で溶液各5μLをマイクロピペットでサンプリングし、グルコース定量キット(商品名『グルコースCIIテストワコー』、和光純薬工業株式会社販売)を用いてグルコースを定量した。
(8)各被験サンプル群ともそれぞれ6回試験し、データの検定は、Tukey-Kramer法にて行い比較した。危険率0.05未満で「有意差あり」とした。
反転小腸を用いたグルコース吸収試験において、漿膜側のグルコース濃度を経時的に測定した結果を表3に示す。
Figure 0007217089000003
表3に示すとおり、対照群(グルコースのみ)では、漿膜側のグルコース濃度が試験開始30分、60分、90分、120分の時点で、それぞれ31.5±10.9mg/dL、96.2±17.8mg/dL、155.2±23.0mg/dL、202.8±27.5mg/dLに達し、時間の経過とともにグルコース濃度が上昇し、反転小腸が粘膜側のグルコースを吸収し、漿膜側に移行させていることが分かった。一方、分岐α-グルカン混合物添加群では、漿膜側のグルコース濃度が、試験開始30分、60分、90分、120分の時点で、それぞれ13.3±6.6mg/dL、40.4±26.5mg/dL、71.7±40.6mg/dL、102.7±58.3mg/dLと、各時間において対照群よりも顕著に低い値を示した。また、難消化性デキストリン添加群は、対照群とは大差ない結果を示した。以上の結果から、分岐α-グルカン混合物が小腸粘膜におけるグルコース吸収を抑制する作用を有するのに対し、難消化性デキストリンは吸収抑制作用を有さないことが分かった。
また、120分インキュベートした後の反転小腸内の緩衝液量は試験毎に必ずしも一定ではないため、試験終了時の漿膜側緩衝液量にグルコース濃度を乗じて反転小腸漿膜側の全グルコース量を算出した。対照群、分岐α-グルカン混合物添加群、及び、難消化性デキストリン添加群の反転小腸内の全グルコース量は、それぞれ、1.15±0.27mg、0.47±0.34mg、及び、0.93±0.33mgであり、表3に示したグルコース濃度の場合と同様に、分岐α-グルカン混合物添加群では、対照群に比べ吸収したグルコース量が有意に少なかった。一方、吸収した全グルコース量においても難消化性デキストリン添加群と対照群とは大差なかった。
上記結果から明らかなとおり、分岐α-グルカン混合物添加群は対照(グルコースのみ)群及び難消化性デキストリン添加群に比べて、糖負荷後90乃至120分においてグルコースの吸収量が有意に少なかった。一方で、難消化性デキストリン添加群は対照群と大差なかった。以上の結果から、分岐α-グルカン混合物は、小腸におけるグルコースの吸収抑制作用を有し、一方、難消化性デキストリンはグルコースの吸収抑制作用を有さないと判断された。因みに、難消化性デキストリンが、反転小腸を用いたグルコース吸収試験において吸収抑制作用を示さないことは、文献(若林茂、「難消化性デキストリンの耐糖能に及ぼす影響」、日内分泌会誌、第68巻、623-635頁(1992年))にも報告されている。
実験2の結果から、本分岐α-グルカン混合物が小腸におけるグルコースの取り込みを抑制していることが判明した。このことから、本分岐α-グルカン混合物によるヒトのグルコース摂取時における血糖値上昇抑制は、小腸におけるグルコースの吸収抑制によるものであることが確認された。本実験により、難消化性デキストリンが生体における単糖類摂取時に血糖値上昇抑制作用を示さないのに対し、本分岐α-グルカン混合物が血糖値上昇抑制作用を示す一因が、小腸におけるグルコース吸収に及ぼす作用の違いにあることが明らかとなった。
本分岐α-グルカン混合物が、どのように作用し小腸におけるグルコースの血液への取り込みを抑制しているのかは不明であるが、本分岐α-グルカン混合物の、α-1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの非還元末端グルコース残基にα-1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、イソマルトデキストラナーゼ消化によりイソマルトースを生成する構造的特徴を有すること、より好ましくはイソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり5質量%以上70質量%以下生成する構造的特徴を有することがその機能を発揮する上で必要であると推定される。
なお、イソマルトデキストラナーゼ消化におけるイソマルトース生成量が5質量%未満の分岐α-グルカン混合物は、分岐構造の少ないマルトデキストリンに近い構造であるため小腸におけるグルコースの取り込みへの影響が小さいと推定される。一方、イソマルトデキストラナーゼ消化におけるイソマルトース生成量が70質量%超の分岐α-グルカン混合物は、α-1,6結合で連なったグルコースポリマーであるデキストランに近い構造となり、逆に分岐構造が単調になるため小腸におけるグルコースの取り込みへの影響が小さくなると推定される。また、本分岐α-グルカン混合物のうち高速液体クロマトグラフ法(酵素-HPLC法)により求めた水溶性食物繊維含量が40質量%以上であるものはそれ自体が小腸で消化吸収され難いためより好ましいと推定される。
一方、難消化性デキストリンが、小腸におけるグルコースの取り込みを抑制することはなかった。難消化性デキストリンが二糖類以上の糖質摂取後の血糖値の上昇に対して抑制効果を示すにもかかわらず、単糖類摂取後の血糖値の上昇に対しては抑制効果を示さない作用機序としては、難消化性デキストリンは二糖類分解酵素と連動したグルコースの取り込みを阻害しているためだと推定される。
以下、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明する。しかしながら、本発明は、これら実施例によりなんら限定されるものではない。
<血糖値上昇抑制剤>
国際公開第WO2008/136331号パンフレットの実施例5に記載された方法に従い、分岐α-グルカン混合物粉末を調製した。なお、得られた分岐α-グルカン混合物粉末は、以下の(a)乃至(g)の特徴を有していた。
(a)グルコースを構成糖とし、
(b)α-1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα-1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、
(c)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり35質量%生成し、
(d)水溶性食物繊維含量が80.8質量%であり、
(e)α-1,4結合したグルコース残基とα-1,6結合したグルコース残基の比が1:2.2であり、
(f)α-1,4結合したグルコース残基とα-1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の72.9%であり、
(g)平均グルコース重合度が31であり、Mw/Mnが2.0である。
本品は、血糖値上昇抑制剤の有効成分として利用できる。また、本品を摂取することにより、ヒトの単糖類摂取後の血糖値の上昇を抑制することが可能である。本品は、通常、成人(体重60kg)1回当たり、約0.5乃至約100gの範囲で、本品をそのまま、或いは、水、お茶、コーヒーなどの飲料に溶解して摂取するか、食品又は飲料に添加して摂取すればよい。本品を食品又は飲料の摂取の前後に摂取してもよいことは勿論である。本品は、それ自体が無味であり、異臭がなく、室温下でも吸湿、変色することなく、1年以上に亘って安定である。
<血糖値上昇抑制剤>
国際公開第WO2008/136331号パンフレットの実験2-2に記載された方法に従い、固形分濃度30質量%の分岐α-グルカン混合物溶液を調製し、その後、常法に従って噴霧乾燥して分岐α-グルカン混合物粉末を得た。なお、得られた分岐α-グルカン混合物粉末は、以下の(a)乃至(g)の特徴を有していた。
(a)グルコースを構成糖とし、
(b)α-1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα-1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、
(c)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり27.2質量%生成し、
(d)水溶性食物繊維含量が41.8質量%であり、
(e)α-1,4結合したグルコース残基とα-1,6結合したグルコース残基の比が1:0.6であり、
(f)α-1,4結合したグルコース残基とα-1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の83.0%であり、
(g)平均グルコース重合度が405であり、Mw/Mnが16.2である。
本品は、血糖値上昇抑制剤の有効成分として利用できる。また、本品を摂取することにより、ヒトの単糖類摂取後の血糖値の上昇を抑制することが可能である。本品は、通常、成人(体重60kg)1回当たり、約0.5乃至約100gの範囲で、本品をそのまま、或いは、水、お茶、コーヒーなどの飲料に溶解して摂取するか、食品又は飲料に添加して摂取すればよい。本品を食品又は飲料の摂取の前後に摂取してもよいことは勿論である。本品は、それ自体が無味であり、異臭がなく、室温下でも吸湿、変色することなく、1年以上に亘って安定である。
<血糖値上昇抑制剤>
国際公開第WO2008/136331号パンフレットの実施例6に記載された方法に従い、分岐α-グルカン混合物粉末を調製した。なお、得られた分岐α-グルカン混合物粉末は、(a)乃至(g)の特徴を有していた。
(a)グルコースを構成糖とし、
(b)α-1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα-1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、
(c)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり40.6質量%生成し、
(d)水溶性食物繊維含量が77.0質量%であり、
(e)α-1,4結合したグルコース残基とα-1,6結合したグルコース残基の比が1:4であり、
(f)α-1,4結合したグルコース残基とα-1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の67.9%であり、
(g)平均グルコース重合度が18であり、Mw/Mnが2.0である。
本品は、血糖値上昇抑制剤の有効成分として利用できる。また、本品を摂取することにより、ヒトの単糖類摂取後の血糖値の上昇を抑制することが可能である。本品は、通常、成人(体重60kg)1回当たり、約0.5乃至約100gの範囲で、本品をそのまま、或いは、水、お茶、コーヒーなどの飲料に溶解して摂取するか、食品又は飲料に添加して摂取すればよい。本品を食品又は飲料の摂取の前後に摂取してもよいことは勿論である。本品は、それ自体が無味であり、異臭がなく、室温下でも吸湿、変色することなく、1年以上に亘って安定である。
<血糖値上昇抑制剤>
トウモロコシ澱粉液化液に、さらにマルトテトラオース生成アミラーゼを固形物1グラム当たり2単位添加した以外は、国際公開第WO2008/136331号パンフレットの実施例5に記載された方法に従い、分岐α-グルカン混合物粉末を調製した。なお、得られた分岐α-グルカン混合物粉末は、(a)乃至(g)の特徴を有していた。
(a)グルコースを構成糖とし、
(b)α-1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα-1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、
(c)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり41.9質量%生成し、
(d)水溶性食物繊維含量が69.1質量%であり、
(e)α-1,4結合したグルコース残基とα-1,6結合したグルコース残基の比が1:2.4であり、
(f)α-1,4結合したグルコース残基とα-1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の64.2%であり、
(g)平均グルコース重合度が13であり、Mw/Mnが2.0である。
本品は、血糖値上昇抑制剤の有効成分として利用できる。また、本品を摂取することにより、ヒトの単糖類摂取後の血糖値の上昇を抑制することが可能である。本品は、通常、成人(体重60kg)1回当たり、約0.5乃至約100gの範囲で、本品をそのまま、或いは、水、お茶、コーヒーなどの飲料に溶解して摂取するか、食品又は飲料に添加して摂取すればよい。本品を食品又は飲料の摂取の前後に摂取してもよいことは勿論である。本品は、それ自体が無味であり、異臭がなく、室温下でも吸湿、変色することなく、1年以上に亘って安定である。
<血糖値上昇抑制剤>
実施例1に記載された方法で得られた分岐α-グルカン混合物にアミログルコシダーゼ(グルコアミラーゼ)を作用させ、分解されなかった成分をゲル濾過クロマトグラフィーを用いて分取した。その後、常法に従って精製及び噴霧乾燥して分岐α-グルカン混合物粉末を調製した。なお、得られた分岐α-グルカン混合物は、(a)乃至(g)の特徴を有していた。
(a)グルコースを構成糖とし、
(b)α-1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα-1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、
(c)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり21質量%生成し、
(d)水溶性食物繊維含量が94.4質量%であり、
(e)α-1,4結合したグルコース残基とα-1,6結合したグルコース残基の比が1:1.9であり、
(f)α-1,4結合したグルコース残基とα-1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の64%であり、
(g)グルコース重合度が22であり、Mw/Mnが1.7である。
本品は、血糖値上昇抑制剤の有効成分として利用できる。また、本品を摂取することにより、ヒトの単糖類摂取後の血糖値の上昇を抑制することが可能である。本品は、通常、成人(体重60kg)1回当たり、約0.5乃至約100gの範囲で、本品をそのまま、或いは、水、お茶、コーヒーなどの飲料に溶解して摂取するか、食品又は飲料に添加して摂取すればよい。本品を食品又は飲料の摂取の前後に摂取してもよいことは勿論である。本品は、それ自体が無味であり、異臭がなく、室温下でも吸湿、変色することなく、1年以上に亘って安定である。
<経口組成物(粉末ジュース)>
噴霧乾燥により製造したオレンジ果汁粉末33質量部に対して、実施例5に記載された方法で得られた分岐α-グルカン混合物粉末10質量部、グルコース20質量部、無水結晶マルチトール20質量部、無水クエン酸0.65質量部、リンゴ酸0.1質量部、2-O-α-グルコシル-L-アスコルビン酸0.2質量部、クエン酸ソーダ0.1質量部、及び粉末香料の適量をよく混合攪拌し、粉砕し微粉末にして、これを流動層造粒機に仕込み、排風温度40℃とし、これに実施例1の方法で得た分岐α-グルカン粉末を水に溶解して得た溶液をバインダーとして適量スプレーし、30分間造粒し、計量し、包装して製品を得た。本品は、単糖類を含む果汁含有率約30%の粉末ジュースである。本品は、単糖類を含んでいるものの血糖値上昇抑制剤として分岐α-グルカン混合物を配合しているので、摂取した場合の血糖値の上昇を抑制できる粉末ジュースである。また、本品は、異味、異臭がなく、ジュースとして商品価値の高いものである。
<経口組成物(カスタードクリーム)>
コーンスターチ100質量部、実施例4に記載された方法で得られた分岐α-グルカン混合物粉末30質量部、トレハロース含水結晶70質量部、グルコース40質量部、および食塩1質量部を充分に混合し、鶏卵280質量部を加えて攪拌し、これに沸騰した牛乳1、000質量部を徐々に加え、更に火にかけて攪拌を続け、コーンスターチが完全に糊化して全体が半透明になった時に火を止め、これを冷却して適量のバニラ香料を加え、計量、充填、包装して製品を得た。本品は単糖類、二糖類、多糖類を含むカスタードクリームである。本品は、単糖類、二糖類、多糖類を含んでいるものの血糖値上昇抑制剤として分岐α-グルカン混合物を配合しているので、摂取した場合の血糖値の上昇を抑制できるカスタードクリームである。また、本品は、なめらかな光沢を有し、風味良好で、高品質のカスタードクリームである。
<経口組成物(栄養補助食品)>
グルコース247g、実施例3に記載された方法で得られた分岐α-グルカン混合物粉末217g、ピロリン酸鉄懸濁液(太陽化学社製商品名サンアクティブFeM)8g、ビタミンプレミックス15g、アスコルビン酸ナトリウム3g、亜鉛酵母0.5g、クロム酵母0.3g、スクラロース0.2gを造粒原末として造粒装置に投入した。一方、造粒調整用水100mL中にコーヒー抽出粉末15g、硫酸マグネシウム10gを溶解させた。造粒原末を装置内で混合させているところに造粒調整液をノズルの先から少しずつ噴霧して顆粒化し、1パック5.15gもしくは1パック10.3gとなるようアルミ袋に窒素ガス充填した。本品は単糖類を含む栄養補助食品である。本品は、単糖類を含んでいるものの血糖値上昇抑制剤として分岐α-グルカン混合物を配合しているので、摂取した場合の血糖値の上昇を抑制できる栄養補助食品である。また、本品は、異味、異臭がなく、栄養補助食品として商品価値の高いものである。
<経口組成物(紅茶飲料)>
実施例1に記載された方法で得られた分岐α-グルカン混合物粉末を用いて、本発明の経口組成物である紅茶を製造した。茶葉15gに対して沸騰水1Lを加え、茶葉を濾過して紅茶抽出液1Lを得た。紅茶抽出液1Lに異性化糖を60g加え、さらに分岐α-グルカン混合物を重量比で2%、3%、4%添加した紅茶を、それぞれ本発明の紅茶飲料A、B、Cとした。また、分岐α-グルカン混合物を添加しない点以外は、上記と同様の方法で得た紅茶飲料を、対照とした。20~50代の男女10名で官能評価を行ったところ、紅茶飲料に含有するポリフェノール特有の苦みや渋みをマスキングする効果があることが分かった。さらに、本発明の紅茶飲料A、B、Cは、室温に保存しても、対照と比較してクリームダウン現象(紅茶を徐々に冷やすと白く濁る現象)が抑制されることが分かった。
本品は単糖類を含む紅茶飲料である。本品は、単糖類を含んでいるものの血糖値上昇抑制剤として分岐α-グルカン混合物を配合しているので、摂取した場合の血糖値の上昇を抑制できる紅茶飲料である。また、本品は、異味、異臭がなく、紅茶飲料として商品価値の高いものである。
以上説明したとおり、本分岐α-グルカン混合物を有効成分とする本発明の血糖値上昇抑制剤によれば、有効成分である本分岐α-グルカン混合物それ自体が低甘味ないし無味であるため、利用範囲が広く、「糖尿病境界領域のヒト」に限らず単糖類摂取後の血糖値上昇を抑制できるという利点が得られる。また、本発明の経口組成物は、単糖類とともに本発明の血糖値上昇抑制剤を含んでいるため、これを摂取しても血糖値の上昇を懸念する必要がないという利点を有している。本発明は、斯界に多大の貢献をする、誠に意義のある発明である。
図1において、
○:グルコースのみからなる対照試料を摂取した際の血糖値の増分の平均値(Δ血糖)
●:グルコースとともに分岐α-グルカン混合物を含有する被験試料を摂取した際の血糖値の増分の平均値(Δ血糖)
図2において、
a:ゴム栓
b:排気用小孔
c:先を切断したプラスチック製1mLチップ
d:プラスチック製20mL容注射筒
e:反転小腸
f:漿膜側緩衝液
g:粘膜側緩衝液
h:95%O-5%COガス還流用チューブ

Claims (8)

  1. 下記(A)乃至(C)の特徴を有する分岐α-グルカン混合物を有効成分とする、ヒトの単糖類摂取後の血糖値の上昇を抑制するための血糖値上昇抑制剤:
    (A)グルコースを構成糖とする;
    (B)α-1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα-1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有する;及び
    (C)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを生成する。
  2. 前記分岐α-グルカン混合物が、イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり5質量%以上70質量%以下生成する分岐α-グルカン混合物であることを特徴とする請求項1記載の血糖値上昇抑制剤。
  3. 前記分岐α-グルカン混合物が、下記(D)の特徴を有する分岐α-グルカン混合物である請求項1又は2記載の血糖値上昇抑制剤:
    (D)高速液体クロマトグラフ法(酵素-HPLC法)により求めた水溶性食物繊維含量が40質量%以上である。
  4. 前記分岐α-グルカン混合物が、下記(E)及び(F)の特徴を有する分岐α-グルカン混合物である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の血糖値上昇抑制剤:
    (E)α-1,4結合したグルコース残基とα-1,6結合したグルコース残基の比が1:0.6乃至1:4の範囲にある;及び
    (F)α-1,4結合したグルコース残基とα-1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の55%以上を占める。
  5. 前記分岐α-グルカン混合物の平均グルコース重合度が、8乃至500であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の血糖値上昇抑制剤。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の血糖値上昇抑制剤を含有する、ヒトの単糖類摂取後の血糖値の上昇を抑制するための経口組成物。
  7. さらに、単糖類を含有することを特徴とする請求項6記載の経口組成物。
  8. 単糖類が、グルコース及び/又はフルクトースであることを特徴とする請求項7記載の経口組成物。
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