JP7141387B2 - 生体内フェノール化合物低減剤 - Google Patents

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Description

本発明は、生体内フェノール化合物低減剤に関し、詳細には、ヒトが摂取したとき、腸内菌叢を改善するとともに、生体内のフェノール化合物を低減する生体内フェノール化合物低減剤と、これを含んでなる生体内フェノール化合物低減用の飲食物に関する。
ヒトの腸内(特に大腸)には、多種多様な細菌(腸内細菌)が定住しており、腸内菌叢(腸内フローラ)と呼ばれる細菌群を形成している。腸内菌叢は、100種類以上、100兆個の腸内細菌から構成されていると言われており、ヒト(宿主)の健康と密接な関係があることが知られている。腸内細菌は、ヒトが消化できなかった食物残渣や消化管からの分泌物等を餌として増殖し、便となって体外に排出される。
腸内菌叢を構成する細菌として、ビフィドバクテリウム(ビフィズス菌)、バクテロイデス、ユウバクテリウム、クロストリジウム、大腸菌、乳酸桿菌、腸球菌などが知られている。腸内菌叢における細菌のバランスは個人差はあってもその人自身のバランスは新生児の頃から成年に至るまで健康時ではほとんど変わらないと言われている。しかし、ストレス、過労、暴飲・暴食、偏食、気候・温度、薬、感染、加齢等の様々な要因によって、そのバランスが崩れ、ビフィズス菌等の善玉菌が減少してウエルシュ菌や大腸菌等の悪玉菌が増えると、下痢、便秘、免疫力の低下による感染症、腸内腐敗産物の増加による発ガンなどの様々な疾患の原因になることが指摘されている。
腸内環境は様々な疾患のみでなく老化にも関与していると考えられている。高齢者では、ビフィズス菌の細菌数が減少して、腸内菌叢が乱れていると言われており、腸内菌叢が悪化すると老化が促進される可能性が指摘されている。腸管内の悪玉菌は有害な腐敗産物(アンモニア、アミン化合物、フェノール化合物、インドール化合物など)を産生する。これらの腐敗産物は腸管に直接的に障害を与えるとともに、部分的に血中に吸収され、体内を巡って各種疾患の発症、肌荒れなどにも関わっていると言われている。
腸内菌叢を改善する方法としてプロバイオティクス(Probiotics)やプレバイオティクス(Prebiotics)を摂取する方法が良く知られている。プロバイオティクスは、腸内環境を改善し、整腸作用や免疫調節作用などをもたらす、生きた微生物群やそうした微生物群を生きた状態で含む食品を意味し、ヒトに有益な作用をもたらす、乳製品などによって摂取する生菌剤である。一方、プレバイオティクス(Prebiotics)は、消化管上部で分解・吸収されず、大腸に共生する有益な細菌の選択的な栄養源となり、それらの増殖を促進し、腸内フローラの構成を健康的なバランスに改善し、人の健康の増進維持に役立つ食品成分を意味する。現在までに、オリゴ糖(ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、乳果オリゴ糖、キシロオリゴ糖、イソマルオリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、コーヒー豆マンノオリゴ糖、グルコン酸など)や食物繊維(ポリデキストロース、イヌリン等)がプレバイオティクスとしての要件を満たす食品成分として知られている。
プロバイオティクスやプレバイオティクスを摂取して腸内菌叢が改善されると、前述した有害な腸内腐敗産物(アンモニア、アミン化合物、フェノール化合物、インドール化合物など)の量を低減できると考えられる。非特許文献1、4及び5などには、腸内腐敗産物としてのフェノール、p-クレゾールの原料となるチロシンを含有する飼料を用いてラット/マウスを飼育する際、ガラクトオリゴ糖及び/又は乳酸菌・ビフィズス菌発酵乳を摂取させると血清中のフェノール及びp-クレゾールが低減されることが報告されている。また、非特許文献2には、腸内細菌によって産生されるフェノール類がヘアレスマウスの皮膚に悪影響を及ぼすことが、非特許文献3には、腸内細菌によって産生されるフェノール類はヒトの皮膚における繊維芽細胞の分化を阻害することが、それぞれ報告されている。また、非特許文献6では、チロシン含有飼料で飼育したラットに高アミロース澱粉を併せて摂取させると生体内のp-クレゾールの増加が抑制されたとされ、さらに、非特許文献7には、ビフィズス菌発酵乳がヒトの腸内環境を改善し、血中フェノール化合物を低減するとともに、皮膚の角質水分含量を維持するなどの美容効果を奏することが報告されている。
しかしながら、非特許文献6には、食物繊維及びプレバイオティクスの1つとして知られているイヌリンをラットに摂取させた試験において、イヌリンがp-クレゾールの低減効果を示さなかったことが報告されていることから、腸内菌叢を改善することのできるプロバイオティクスやプレバイオティクスであるからといって、必ずしも生体内の有害代謝産物であるフェノール化合物を低減できるというわけではない。このような状況下、低甘味ないし無味で利用範囲が広く、日常的に手軽かつ安全に継続摂取できるプレバイオティクスとして機能する水溶性食物繊維素材であって、腸内菌叢を改善するだけでなく、腸内腐敗産物として産生されるフェノール、p-クレゾールなどの生体内フェノール化合物を低減することのできる新たな素材が提供されれば極めて有用である。
カワカミら、「ジャーナル・ニュートリューション・サイエンス・ビタミノロジー(J.Nutr.Sci.Vitaminol.」、第51巻、182-186頁(2005年) イイズカら、「ミクロバイアル・エコロジー・イン・ヘルス・アンド・ディジーズ(Microbial Ecology in Health and Disease),第21巻、50-56頁(2009年) イイズカら、「ミクロバイアル・エコロジー・イン・ヘルス・アンド・ディジーズ(Microbial Ecology in Health and Disease),第21巻、221-227頁(2009年) 川上ら、「ヤクルト研究所研究報告集」、第29号、15-26頁(2010年) 石井ら、「フレグランスジャーナル(FRAGRANCE JOURNAL)」、第5号(2014年) チェン(Chen)ら、「ルミナコイド研究」、第20巻、1号、31-38頁、(2016年) 株式会社ヤクルト本社、ニュース・リリース、「ビフィズス菌発酵乳が肌荒れを改善」、2013年2月4日
本発明は、ヒトが摂取したとき、腸内菌叢を改善するとともに、生体内フェノール化合物を低減する効果を奏し、それ自体が低甘味ないし無味で利用範囲が広く、日常的に手軽かつ安全に継続摂取できる物質を有効成分とする生体内フェノール化合物低減剤と、これを含んでなる生体内フェノール化合物低減用の飲食物を提供することを課題とする。
上記課題を解決すべく鋭意研究努力を重ねた結果、本発明者らは、本出願人が、先に国際公開第WO2008/136331号パンフレットにおいて開示した分岐α-グルカン混合物、具体的には、グルコースを構成糖とし、α-1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの非還元末端グルコース残基にα-1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、イソマルトデキストラナーゼ消化によりイソマルトースを生成する分岐α-グルカン混合物が、これを摂取したとき、腸内菌叢を改善するだけでなく、生体内のフェノール化合物を顕著に低減させる効果を奏することを見出した。この新たな知見に基づき、本発明者らは、それ自体が低甘味ないし無味で利用範囲が広い当該分岐α-グルカン混合物を有効成分とする生体内フェノール化合物低減剤と、これを含んでなる生体内フェノール化合物低減用の飲食物を確立し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、下記(A)乃至(C)の特徴を有する分岐α-グルカン混合物を有効成分とする生体内フェノール化合物低減剤を提供することによって上記の課題を解決するものである。
(A)グルコースを構成糖とし、
(B)α-1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα-1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、
(C)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを生成する。
上記特徴を有する分岐α-グルカン混合物は、澱粉などを原料として得られるα-グルカンであって安全な可食性素材であるだけでなく、低甘味ないし無味であり、これを摂取すると、腸内菌叢を改善するとともに、生体内フェノール化合物を顕著に低減させる効果を奏する。したがって、上記特徴(A)乃至(C)を有する分岐α-グルカン混合物は生体内フェノール化合物低減剤の有効成分として極めて有用である。
さらに、本発明は、上記生体内フェノール化合物低減剤を含んでなる生体内フェノール化合物低減用の飲食物を提供することによって上記の課題を解決するものである。
本発明の生体内フェノール化合物低減剤は、その有効成分である分岐α-グルカン混合物が低甘味ないし無味であるため利用範囲が広く、ヒトが摂取した場合、腸内菌叢を改善するだけでなく、腸内腐敗産物として知られているフェノール化合物を生体内において低減できることから、皮膚の健康、美容の維持、さらには生体の健康維持に有用である。また、本発明の生体内フェノール化合物低減剤を含んでなる飲食物は、これを摂取することによって、簡便かつ安全に効果的に生体内のフェノール化合物を低減することができる。
本発明は、下記(A)乃至(C)の特徴を有する分岐α-グルカン混合物を有効成分とする生体内フェノール化合物低減剤に係る発明である。
(A)グルコースを構成糖とし、
(B)α-1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα-1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、
(C)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを生成する。
本明細書でいう生体内フェノール化合物低減剤とは、ヒトが経口又は経管摂取した場合に腸内のいわゆる善玉菌を増加させて腸内菌叢を改善するとともに、生体内に含まれるフェノール化合物の量を当該剤を摂取しない場合と比べて低減する剤を意味し、例えば、盲腸内容物、血清、尿、糞便、皮膚などの生体試料に含まれるフェノール化合物の量を、当該剤を摂取した場合としない場合とで比べることによって確認することができる。なお、ここでいう「フェノール化合物」とは、フェノール、p-クレゾール(p-メチルフェノール)などを意味する。なお、これら「フェノール化合物」は、ヒトが摂取した蛋白質由来のアミノ酸であるチロシンが腸内細菌などによって代謝され腸内腐敗産物として生成すると言われている。
非特許文献7に示唆されているように、生体内のフェノール化合物、とりわけ血中や皮膚におけるフェノール化合物を低減することができれば、皮膚において、角質水分含量の維持や表皮の角化の正常化などが期待され、さらには皮膚の健康、美容の維持につながると期待される。加えて、生体内のフェノール化合物は大腸の発ガンと関連することが報告されており(非特許文献6を参照)、これを低減できれば、発ガンや各種疾患リスクの低減にもつながると期待される。
本発明の生体内フェノール化合物低減剤は、有効成分として前記分岐α-グルカン混合物(以下、「本分岐α-グルカン混合物」という。)を含有してなるものである。本分岐α-グルカン混合物は、後述のとおり種々の製造方法により得ることができ、得られる本分岐α-グルカン混合物は、通常、様々な分岐構造並びにグルコース重合度(分子量)を有する多数の分岐α-グルカンの混合物の形態にあり、現行の技術では、一つ一つの分岐α-グルカンの単離や定量を行うことは不可能である。このため、個々の分岐α-グルカンの構造、すなわち、構成単位であるグルコース残基の結合様式及び結合順序を分岐α-グルカンの分子ごとに決定することはできないものの、本分岐α-グルカン混合物の構造は、斯界で一般に用いられる種々の物理的手法、化学的手法又は酵素的手法により、混合物全体として特徴付けることができる。
具体的には、本分岐α-グルカン混合物の構造は、混合物全体として、上記(A)乃至(C)の特徴によって特徴付けられる。すなわち、本分岐α-グルカン混合物は、グルコースを構成糖とするグルカン(特徴(A))であり、α-1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα-1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有している(特徴(B))。なお、特徴(B)でいう「非還元末端グルコース残基」とは、α-1,4結合を介して連結したグルカン鎖のうち、還元性を示さない末端に位置するグルコース残基を意味し、「α-1,4結合以外の結合」とは、文字どおりα-1,4結合以外の結合を意味する。
さらに、本分岐α-グルカン混合物は、イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを生成する(特徴(C))。特徴(C)でいうイソマルトデキストラナーゼ消化とは、本分岐α-グルカン混合物にイソマルトデキストラナーゼを作用させ、加水分解することを意味する。イソマルトデキストラナーゼは、酵素番号(EC)3.2.1.94が付与される酵素であり、α-グルカンにおけるイソマルトース構造の還元末端側に隣接するα-1,2、α-1,3、α-1,4、及びα-1,6結合のいずれの結合様式であっても加水分解する特徴を有する酵素である。好適には、アルスロバクター・グロビホルミス由来のイソマルトデキストラナーゼ(例えば、サワイ(Sawai)ら、アグリカルチュラル・アンド・バイオロジカル・ケミストリー(Agricultural and Biological Chemistry)、第52巻、第2号、第495頁-501頁(1988)参照)が用いられる。
イソマルトデキストラナーゼ消化によりイソマルトースが生成するということは、分岐α-グルカン混合物を構成する分岐α-グルカン分子がイソマルトデキストラナーゼで加水分解され得るイソマルトース構造を有していることを示すものであり、特徴(C)によって、本分岐α-グルカン混合物が、混合物全体としてみた場合、イソマルトデキストラナーゼで加水分解され得るイソマルトース構造を含んでいるという構造的特徴を有していることを、酵素的手法によって特徴付けることができる。
本分岐α-グルカン混合物としては、イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり、通常、5質量%以上70質量%以下、好ましくは、10質量%以上60質量%以下、より好ましくは20質量%以上50質量%以下生成するものが、腸内菌叢の改善により好適であり、生体内のフェノール化合物濃度を低減する効果により優れていると考えられることから好適に用いられる。
すなわち、後述するとおり、本分岐α-グルカン混合物による腸内菌叢の改善効果、生体内のフェノール化合物濃度を低減する効果には、本分岐α-グルカン混合物がイソマルトデキストラナーゼ消化によりイソマルトースを生成するという構造的特徴を有していることが深く関与していると考えられる。すなわち、イソマルトデキストラナーゼ消化におけるイソマルトース生成量が5質量%未満の分岐α-グルカン混合物は、分岐構造の少ないマルトデキストリンに近い構造的特徴を有するものとなり、逆に、イソマルトデキストラナーゼ消化におけるイソマルトース生成量が70質量%超の分岐α-グルカン混合物はα-1,6結合で連なったグルコースポリマーであるデキストランに近い構造的特徴を有するものとなって、上述した特徴(B)で規定される分岐構造が少なくなるため、いずれの場合も腸内菌叢の改善、ひいては生体内フェノール化合物低減に関与すると考えられる構造的特徴が薄れることとなり、イソマルトデキストラナーゼ消化によるイソマルトースの量には好適範囲が存在する。
また、本分岐α-グルカン混合物のより好適な一態様としては、高速液体クロマトグラフ(酵素-HPLC法)により求めた水溶性食物繊維含量が40質量%以上であるという特徴(D)を有しているものが挙げられる。
水溶性食物繊維含量を求める「高速液体クロマトグラフ法(酵素-HPLC法)」(以下、単に「酵素-HPLC法」という。)とは、平成8年5月厚生省告示第146号の栄養表示基準、「栄養成分等の分析方法等(栄養表示基準別表第1の第3欄に掲げる方法)」における第8項、「食物繊維」に記載されている方法であり、その概略を説明すると以下のとおりである。すなわち、試料を熱安定α-アミラーゼ、プロテアーゼ及びグルコアミラーゼによる一連の酵素処理により分解処理し、イオン交換樹脂により処理液から蛋白質、有機酸、無機塩類を除去することによりゲル濾過クロマトグラフィー用の試料溶液を調製する。次いで、ゲル濾過クロマトグラフィーに供し、クロマトグラムにおける、未消化グルカンとグルコースのピーク面積を求め、それぞれのピーク面積と、別途、常法により、グルコース・オキシダーゼ法により求めておいた試料溶液中のグルコース量を用いて、試料の水溶性食物繊維含量を算出する。なお、本明細書を通じて「水溶性食物繊維含量」とは、特に説明がない限り、前記「酵素-HPLC法」で求めた水溶性食物繊維含量を意味する。
水溶性食物繊維含量は、α-アミラーゼ及びグルコアミラーゼによって分解されないα-グルカンの含量を示すものであり、特徴(D)は、本分岐α-グルカン混合物の構造を、混合物全体として、酵素的手法により特徴付ける指標の一つである。
なお、上述したとおり、本分岐α-グルカン混合物による腸内菌叢の改善効果、生体内フェノール化合物を低減する効果には、イソマルトデキストラナーゼ消化によりイソマルトースを生成するという構造的特徴が深く関与していると考えられるところ、この特徴的な構造部分は、当然のことながら、本分岐α-グルカン混合物の水溶性食物繊維含量が高まれば高まるほど、換言すれば、α-アミラーゼ及びグルコアミラーゼで分解されない分岐α-グルカンの含量が多いほど、より多く、消化されずに大腸に到達し、腸内菌叢改善効果を示すと考えられる。したがって、本発明の生体内フェノール化合物低減剤の有効成分である本分岐α-グルカン混合物としては、水溶性食物繊維含量が高いものほど好ましく、好適な水溶性食物繊維含量は、通常、40質量%以上であるが、60質量%以上のものがより好ましく、さらに好ましくは75質量%以上である。好適な水溶性食物繊維含量の上限は特になく、技術的に可能な限り高いほどよく、好ましくは100質量%以下又は100質量%未満である。
さらに、本分岐α-グルカン混合物のより好適な一態様としては、下記特徴(E)及び(F)を有する分岐α-グルカン混合物が挙げられる。
(E)α-1,4結合したグルコース残基とα-1,6結合したグルコース残基の比が1:0.6乃至1:4の範囲にあり、
(F)α-1,4結合したグルコース残基とα-1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の55%以上を占める。
なお、分岐α-グルカン混合物が上記特徴(E)及び(F)を有しているか否かはメチル化分析によって確認することができる。メチル化分析とは、周知のとおり、多糖又はオリゴ糖において、これを構成する単糖の結合様式を決定する方法として一般的に汎用されている方法である(シューカヌ(Ciucanu)ら、カーボハイドレート・リサーチ(Carbohydrate Research)、第131巻、第2号、第209-217頁(1984))。メチル化分析をグルカンにおけるグルコースの結合様式の分析に適用する場合、まず、グルカンを構成するグルコース残基における全ての遊離の水酸基をメチル化し、次いで、完全メチル化したグルカンを加水分解する。次いで、加水分解により得られたメチル化グルコースを還元してアノマー型を消去したメチル化グルシトールとし、更に、このメチル化グルシトールにおける遊離の水酸基をアセチル化することにより部分メチル化グルシトールアセテート(なお、「部分メチル化グルシトールアセテート」を単に「部分メチル化物」と総称する場合がある。)を得る。得られる部分メチル化物を、ガスクロマトグラフィーで分析することにより、グルカンにおいて結合様式がそれぞれ異なるグルコース残基に由来する各種部分メチル化物は、ガスクロマトグラムにおける全ての部分メチル化物のピーク面積に占めるピーク面積の百分率(%)で表すことができる。そして、このピーク面積%から当該グルカンにおける結合様式の異なるグルコース残基の存在比、すなわち、各グルコシド結合の存在比率を決定することができる。部分メチル化物についての「比」は、メチル化分析のガスクロマトグラムにおけるピーク面積の「比」を意味し、部分メチル化物についての「%」はメチル化分析のガスクロマトグラムにおける「面積%」を意味するものとする。
上記特徴(E)及び(F)における「α-1,4結合したグルコース残基」とは、1位及び4位の炭素原子に結合した水酸基のみを介して他のグルコース残基に結合したグルコース残基であり、メチル化分析において、2,3,6-トリメチル-1,4,5-トリアセチルグルシトールとして検出される。また、上記特徴(E)及び(F)における「α-1,6結合したグルコース残基」とは、1位及び6位の炭素原子に結合した水酸基のみを介して他のグルコース残基に結合したグルコース残基であり、メチル化分析において、2,3,4-トリメチル-1,5,6-トリアセチルグルシトールとして検出される。
メチル化分析により得られる、α-1,4結合したグルコース残基とα-1,6結合したグルコース残基の比率(特徴(E))、及び、α-1,4結合したグルコース残基とα-1,6結合したグルコース残基の全グルコース残基に対する割合(特徴(F))は、本分岐α-グルカン混合物の構造を、混合物全体として、化学的手法によって特徴付ける指標の一つとして用いることができる。
上記特徴(E)の「α-1,4結合したグルコース残基とα-1,6結合したグルコース残基の比が1:0.6乃至1:4の範囲にある」との規定は、本分岐α-グルカン混合物をメチル化分析に供したとき、検出される2,3,6-トリメチル-1,4,5-トリアセチルグルシトールと2,3,4-トリメチル-1,5,6-トリアセチルグルシトールの比が1:0.6乃至1:4の範囲にあることを意味する。また、上記特徴(F)の「α-1,4結合したグルコース残基とα-1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の55%以上を占める」との規定は、本分岐α-グルカン混合物が、メチル化分析において、2,3,6-トリメチル-1,4,5-トリアセチルグルシトールと2,3,4-トリメチル-1,5,6-トリアセチルグルシトールとの合計が部分メチル化グルシトールアセテートの55%以上を占めることを意味する。通常、澱粉は1位と6位でのみ結合したグルコース残基を有しておらず、かつα-1,4結合したグルコース残基が全グルコース残基中の大半を占めているので、本分岐α-グルカン混合物が上記特徴(E)及び特徴(F)を有しているということは本分岐α-グルカン混合物が澱粉とは全く異なる構造を有することを意味するものである。
上記特徴(E)及び(F)で規定されるとおり、本分岐α-グルカン混合物は、好ましい一態様において、通常、澱粉には存在しない「α-1,6結合したグルコース残基」を相当程度有するものであるが、より複雑な分岐構造を有するものの方が高い効果を期待できることから、α-1,4結合及びα-1,6結合に加えてα-1,3結合及び/又はα-1,3,6結合を有するのが好ましい。ここで、「α-1,3,6結合」とは、「1位、3位及び6位の水酸基の3箇所で他のグルコースと結合した(α-1,3,6結合した)グルコース残基」を意味する。α-1,4結合及びα-1,6結合に加えてα-1,3結合及び/又はα-1,3,6結合を有していれば、より複雑な分岐構造を有することになるので、基本的には、本分岐α-グルカン混合物中にα-1,3結合及び/又はα-1,3,6結合が含まれていればよく、その割合に特段の制限はないが、例えば、α-1,3結合したグルコース残基は全グルコース残基の0.5%以上10%未満であることが好ましく、α-1,3,6結合したグルコース残基は全グルコース残基の0.5%以上であることが好ましい。
上記「α-1,3結合したグルコース残基が全グルコース残基の0.5%以上10%未満である」ことは、本分岐α-グルカン混合物をメチル化分析に供し、2,4,6-トリメチル-1,3,5-トリアセチルグルシトールが部分メチル化グルシトールアセテートの0.5%以上10%未満存在することによって確認することができる。また、上記「α-1,3,6結合したグルコース残基が全グルコース残基の0.5%以上である」ことは、本分岐α-グルカン混合物をメチル化分析に供し、2,4-ジメチル-1,3,5,6-テトラアセチルグルシトールが部分メチル化グルシトールアセテートの0.5%以上10%未満存在することによって確認することができる。
本分岐α-グルカン混合物は、重量平均分子量(Mw)、及び、重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で除した値(Mw/Mn)によっても特徴づけることができる。重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、例えば、サイズ排除クロマトグラフィー等を用いて求めることができる。また、重量平均分子量(Mw)に基づいて本分岐α-グルカン混合物を構成する分岐α-グルカンの平均グルコース重合度を算出することができるため、本分岐α-グルカン混合物は平均グルコース重合度で特徴づけることもできる。平均グルコース重合度は、重量平均分子量(Mw)から18を減じ、グルコース残基量の分子量に相当する162で除して求めることができる。生体内フェノール化合物低減剤の有効成分として用いる本分岐α-グルカン混合物は、その平均グルコース重合が、通常、8乃至500、好ましくは15乃至400、より好ましくは20乃至300のものが好適である。なお、分岐α-グルカン混合物は、平均グルコース重合度が大きいほど粘度が増し、平均グルコース重合度が小さいほど粘度が小さくなる点で、通常のグルカンと同様の性質を示す。そのため、本発明の生体内フェノール化合物低減剤の実施態様に応じ、要求される粘度に適合する平均グルコース重合度を有する本分岐α-グルカン混合物を適宜選択して用いることができる。
重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で除した値であるMw/Mnは、1に近いものほど構成する分岐α-グルカン混合物を構成する分岐α-グルカン分子のグルコース重合度のばらつきが小さいことを意味する。生体内フェノール化合物低減剤の有効成分として用いる本分岐α-グルカン混合物は、Mw/Mnが、通常、20以下のものであれば問題なく使用できるものの、好ましくは10以下、より好ましくは5以下のものが好適である。なお、グルコース重合度が比較的均一な本分岐α-グルカン混合物が本発明に係る生体内フェノール化合物低減剤の有効成分として求められる場合には、Mw/Mnが1により近く、グルコース重合度のばらつきが小さいものほど好ましい。
本分岐α-グルカン混合物は、上記(A)乃至(C)の特徴を有する限り、如何なる方法で製造されたものであっても良い。例えば、α-1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの非還元末端グルコース残基にα-1,6結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を導入する作用を有する酵素を澱粉質に作用させて得られる分岐α-グルカン混合物は、本発明の実施において好適に利用することができ、より好適な一例としては、国際公開第WO2008/136331号パンフレットにおいて開示されているα-グルコシル転移酵素を澱粉質に作用させて得られる分岐α-グルカン混合物が挙げられる。また、前記α-グルコシル転移酵素に加え、マルトテトラオース生成アミラーゼ(EC 3.2.1.60)などのアミラーゼや、イソアミラーゼ(EC 3.2.1.68)などの澱粉枝切り酵素を併用すれば、分岐α-グルカン混合物を低分子化することができるので、分子量、グルコース重合度などを所望の範囲に調整することができる。さらには、シクロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼ(EC 2.4.1.19)や、澱粉枝作り酵素(EC 2.4.1.18)、特開2014-054221号公報に開示されている重合度2以上のα-1,4グルカンを澱粉質の内部のグルコース残基にα-1,6転移する活性を有する酵素を併用することにより、分岐α-グルカン混合物を構成する分岐α-グルカンをさらに高度に分岐させ、分岐α-グルカン混合物の水溶性食物繊維含量を高めることもできる。かくして得られる分岐α-グルカン混合物に、さらにグルコアミラーゼ等の糖質加水分解酵素を作用させ、さらに水溶性食物繊維含量を高めた分岐α-グルカン混合物とすることも随意であり、グリコシルトレハロース生成酵素(EC 5.4.99.15)を作用させることにより分岐α-グルカン混合物を構成する分岐α-グルカンの還元末端にトレハロース構造を導入したり、水素添加により分岐α-グルカンの還元末端を還元するなどして分岐α-グルカン混合物の還元力を低下させてもよく、また、サイズ排除クロマトグラフィー等による分画を行なうことにより、所望の分子量を有する分岐α-グルカン混合物を取得することも随意である。
本発明の生体内フェノール化合物低減剤に含有される本分岐α-グルカン混合物の量は、所期の生体内フェノール化合物低減効果を発揮する限り、特に限定はないが、本分岐α-グルカン混合物を1乃至100質量%、好ましくは、3乃至100質量%、より好ましくは5乃至100質量%の範囲で含有していれば良い。また、本発明の生体内フェノール化合物低減剤は、本分岐α-グルカン混合物に加えて、必要に応じて、水、ミネラル、着香料、安定化剤、賦形剤、増量剤、pH調整剤などから選ばれる1種又は2種以上の成分を、0.01乃至50質量%、好ましくは、0.1乃至40質量%の割合で適宜配合して利用することもできる。
本発明の生体内フェノール化合物低減剤は、生体内のフェノール化合物の量を低減する効果を発揮する量摂取すればよく、摂取量に特段の制限はないが、例えば、有効成分である本分岐α-グルカン混合物の摂取量として、通常、成人(体重60kg)1回当たり、0.5乃至100gの範囲、好ましくは1乃至50gの範囲、より好ましくは1.5乃至10gの範囲、さらに好ましくは3乃至8gの範囲となるように、本発明の生体内フェノール化合物低減剤を、そのまま、或いは、水、お茶、コーヒーなどの飲料に溶解して摂取するか、食品又は飲料に添加して摂取すればよい。なお、本発明の生体内フェノール化合物低減剤を食品又は飲料の摂取中はもとより、摂取の前又は後に摂取してもよいことは勿論である。
本発明の生体内フェノール化合物低減剤は、粉末状、粒状、顆粒状、液状、ペースト状、クリーム状、タブレット状、カプセル状、カプレット状、ソフトカプセル状、錠剤状、棒状、板状、ブロック状、丸薬状、固形状、ゲル状、ゼリー状、グミ状、ウエハース状、ビスケット状、飴状、チュアブル状、シロップ状、スティック状などの適宜の形態とすることができる。また、本発明の生体内フェノール化合物低減剤は、飲食物に含有せしめることにより、特定保健用食品、機能性表示食品、栄養補助食品、又は健康食品などの生活習慣病を予防又は改善することを目的に摂取される飲食物の形態とすることができる。
本発明の生体内フェノール化合物低減剤を含んでなる生体内フェノール化合物低減用の飲食物の具体例としては、炭酸飲料、乳飲料、ゼリー飲料、スポーツドリンク、酢飲料、豆乳飲料、鉄含有飲料、乳酸菌飲料、緑茶、紅茶、ココア、コーヒーなどの飲料、米飯、粥、パン、麺類、スープ、味噌汁、ヨーグルトなどの食品、ソフトキャンディー、ハードキャンディ、グミ、ゼリー、クッキー、ソフトクッキー、せんべい、あられ、おこし、求肥、餅類、わらび餅、まんじゅう、ういろう、餡類、羊羹、水羊羹、錦玉、ゼリー、ペクチンゼリー、カステラ、ビスケット、クラッカー、パイ、プリン、バタークリーム、カスタードクリーム、シュークリーム、ワッフル、スポンジケーキ、ホットケーキ、マフィン、ドーナツ、チョコレート、ガナッシュ、シリアルバー、チューインガム、キャラメル、ヌガー、フラワーペースト、ピーナッツペースト、フルーツペースト、ジャム、マーマレードなどの菓子、アイスクリーム、シャーベット、ジェラートなどの氷菓、更には、醤油、粉末醤油、味噌、粉末味噌、もろみ、ひしお、フリカケ、マヨネーズ、ドレッシング、食酢、三杯酢、粉末すし酢、中華の素、天つゆ、麺つゆ、ソース、トマトソース、ケチャップ、焼き肉のタレ、焼き鳥のタレ、から揚げ粉、天ぷら粉、カレールウ、シチューの素、スープの素、ダシの素、複合調味料、みりん、新みりん、テーブルシュガー、コーヒーシュガーなどの各種調味料や調理加工品が挙げられる。さらに、本発明の生体内フェノール化合物低減剤は、生活習慣病を予防又は改善(治療)するための液剤、シロップ剤、経管栄養剤、錠剤、カプセル剤、トローチ剤、舌下剤、顆粒剤、散剤、粉剤、乳剤、噴霧剤などの形態にある薬剤に配合することもできる。さらに、本発明の生体内フェノール化合物低減剤は、ヒト以外の動物が摂取するペットフードや飼料、餌料に配合することもできる。
本発明の生体内フェノール化合物低減剤及びこれを含んでなる生体内フェノール化合物低減用の飲食物は、必要に応じて、経管投与などの非経口的投与方法により胃又は消化管へ投与することもできる。
また、本発明の生体内フェノール化合物低減剤は、後述する実験の項で示すとおり、飲食物に起因し、生体内で生成するフェノール化合物の量を低減することができるので、フェノール化合物が及ぼす皮膚への悪影響の低減、皮膚の健康状態の維持又は改善、具体的には、皮膚のターンオーバーの適正化、改善につながる効果を奏する。
以下、実験に基づいて本発明をより詳細に説明する。
以下の実験では、国際公開第WO2008/136331号パンフレットの実施例5記載の方法に従い製造した分岐α-グルカン混合物を使用した。すなわち、前記実施例5記載の方法に順じて、27.1質量%トウモロコシ澱粉液化液(加水分解率3.6%)に、最終濃度0.3質量%となるように亜硫酸水素ナトリウムを、また最終濃度1mMとなるように塩化カルシウムを加えた後、50℃に冷却し、これに、国際公開第WO2008/136331号パンフレットの実施例1に記載された方法で調製したバチルス・サーキュランス PP710(FERM BP-10771)由来のα-グルコシル転移酵素の濃縮粗酵素液を固形物1グラム当たり11.1単位加え、50℃、pH6.0で68時間作用させた。その反応液を80℃で60分間保った後、冷却し、濾過して得られる濾液を常法に従って、活性炭で脱色し、H型及びOH型イオン樹脂により脱塩して精製し、更に濃縮、噴霧乾燥して製造した分岐α-グルカン混合物を以下の実験1に使用した。なお、得られた分岐α-グルカン混合物を、国際公開第WO2008/136331号パンフレットの段落0079、0080に記載されたイソマルトデキストラナーゼ消化試験法、α-グルコシダーゼ及びグルコアミラーゼ消化試験法、段落0076乃至0078に記載されたメチル化分析法により分析したところ、以下の(a)乃至(c)の特徴を有していた。
(a)グルコースを構成糖とし、
(b)α-1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα-1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、
(c)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり35質量%生成した。
また、得られた分岐α-グルカン混合物を前記酵素-HPLC法により分析したところ、前記分岐α-グルカン混合物は、上記特徴に加えて、下記(d)の特徴を有しており、さらには、上記メチル化分析法による分析結果から、下記(e)乃至(h)の特徴を有することが判明した。
(d)水溶性食物繊維含量が82.9質量%であり、
(e)α-1,4結合したグルコース残基とα-1,6結合したグルコース残基の比が1:2.1であり、
(f)α-1,4結合したグルコース残基とα-1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の73.8%であった。
(g)α-1,3結合したグルコース残基が全グルコース残基の2.1%であった。
(h)α-1,3,6結合したグルコース残基が全グルコース残基の5.6%であった。
さらに、当該分岐α-グルカン混合物を、国際公開第WO2008/136331号パンフレットの段落0081に記載されたゲル濾過HPLCによる分子量分布分析にしたところ、その重量平均分子量(Mw)は5,000ダルトン(平均グルコース重合度に換算すると約30)、Mw/Mnは2.1であった。
上記のとおり、本実験で使用した分岐α-グルカン混合物は、グルコースを構成糖とし、α-1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの非還元末端グルコース残基にα-1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、イソマルトデキストラナーゼ消化によりイソマルトースを生成するという前記(A)乃至(C)の特徴を有するものであった。また、本実験で使用した分岐α-グルカン混合物は、イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり5質量%以上70質量%以下生成するという特徴、水溶性食物繊維含量が40質量%以上であるという前記(D)の特徴、及び、α-1,4結合したグルコース残基とα-1,6結合したグルコース残基の比が1:0.6乃至1:4の範囲にあり、α-1,4結合したグルコース残基とα-1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の55%以上を占めるという前記(E)、(F)の特徴を満たすものであった。
さらに、前記分岐α-グルカン混合物は、α-1,3結合したグルコース残基が全グルコース残基の0.5%以上10%未満の範囲にあり、α-1,3,6結合したグルコース残基が全グルコース残基の0.5%以上の範囲にあるものであった。
なお、以下の実験では、実験動物としてラットを用い、飼料として、生体内フェノール化合物の原料となるアミノ酸であるチロシンを強化・配合した飼料(以下、「チロシン飼料」という。)を与え、また、飲用水として、水、又は水に上記分岐α-グルカン混合物を特定濃度になるよう溶解した分岐α-グルカン混合物水溶液を与えつつ一定期間飼育した後、ラットから採取した各種生体試料におけるフェノール化合物の量を測定した。
<実験1:チロシン飼料の給餌と分岐α-グルカン混合物の飲水投与によるラットの飼育>
Wistarラット(雄、6週齢、日本エスエルシー株式会社販売)24匹を購入し、通常飼料(「CE-2」、飼育繁殖用、日本クレア株式会社販売)を与えつつ5日間飼育し馴化させた。次いで、馴化させたラットを6匹ずつ4群に分け、各群のラットには下記表1に示す飼料、すなわち、後述するAIN-93G改変飼料及びチロシン飼料のいずれか、及び、同じく表1に示す飲用水、すなわち、水、又は水に上記で得た分岐α-グルカン混合物を2%(w/v)又は5%(w/v)になるよう溶解した水溶液(以下、それぞれ「2%分岐α-グルカン混合物液」、「5%分岐α-グルカン混合物液」という。)のいずれかを与えそれぞれ3週間飼育した。
Figure 0007141387000001
なお、表1に示す「AIN-93G改変飼料」及び「チロシン飼料」は、それぞれ下記表2に示す組成を有する飼料であり、日本クレア株式会社に外注し入手した。なお、AIN-93G改変飼料は、日本クレア株式会社が販売する標準飼料『AIN-93G』において、コーンスターチの組成が39.7486質量%であるところを51.9486質量%に改変し、且つ、α-コーンスターチの組成が13.2質量%であるところを1質量%に改変した以外はAIN-93Gと同じ組成のものである。また、表2に見られるとおり、チロシン飼料はAIN-93G改変飼料のコーンスターチの5質量%をチロシンに置換したものである。
Figure 0007141387000002
飼育期間中の各群のラットの体重、摂餌量、飲水量を表3に示した。さらに、飼育19~20日の時点で代謝ゲージを用いて各ラット1匹からそれぞれ採取した1日分の糞便と尿の量を測定し、各群6匹の平均値と標準偏差として表4に示した。
Figure 0007141387000003
Figure 0007141387000004
表3に示すとおり、試験した4群のラットは、体重、摂餌量、飲水量とも同程度の値を示し、各群間で有意な差は認められなかった。このことは、餌料としてAIN-93G改変飼料を、飲用水として水を与えて飼育した通常食群のラットと、餌料としてチロシン飼料を摂取させた対照群のラット、さらに、飲用水として特定濃度の分岐α-グルカン混合物液を摂取させた試験群のラットが、各群間で大きく差が生じることのない安定した試験系で飼育されたことを物語っている。なお、摂餌量から計算すると、チロシン飼料を摂取したラットにおけるチロシンの1日当たりの摂取量は約4g/kg-体重となった。また、分岐α-グルカン混合物水溶液を摂取させたラットに関していえば、飲水量から計算すると、分岐α-グルカン混合物の1日当たりの摂取量は、2%分岐α-グルカン混合物群では1.9g/kg-体重、5%分岐α-グルカン混合物群では5.1g/kg-体重であった。
また、飼育中の糞便量と尿量に関しては、表4に示すとおり、チロシン飼料を与え、飲用水として水を与えて飼育した対照群が、他の群よりも糞便量で高い値を示したものの、各群間で有意な差は認められなかった。この結果は、表3で示した体重、摂餌量、飲水量の場合と同様に、ラットが、各群間で大きく差が生じることのない安定な試験系で飼育されたことを物語っている。
<実験2:ラットからの各種試料の採取、試料の前処理及びフェノール化合物の定量>
実験1で飼育した各群のラットから、種々の生体試料をそれぞれ採取し、それぞれに含まれるフェノール化合物の量を測定した。
<実験2-1.ラットからの各種試料の採取>
実験1で飼育した4群、計24匹のラットは、それぞれペントバルビタール麻酔下で後大静脈より全血を採取し安楽死させた。安楽死させた後、解剖し盲腸及び肝臓を摘出、採取しそれぞれ重量を測定した。また、脇腹を剃毛した後、1cm角の大きさで2箇所から皮膚を採取し、皮下組織を除去して皮膚試料とした。採取した肝臓、盲腸組織及び盲腸内容物のそれぞれの重量、及び、盲腸内容物のpHを表5にまとめた。なお、盲腸内容物のpHは直接pHメーターにて測定した。
Figure 0007141387000005
表5に示すとおり、盲腸組織及び盲腸内容物の重量は、対照群に比較して2%分岐α-グルカン混合物群、5%分岐α-グルカン混合物群が有意に重かった。通常食群と対照群の盲腸内容物は緑色がかった色調を示し、一方、5%分岐α-グルカン混合物群の盲腸内容物は黄色がかった色調を示した。また、2%分岐α-グルカン混合物群では、盲腸内容物は、黄色がかった色調のものが4匹、緑色がかった色調のものが2匹の比率を示したことから、分岐α-グルカン混合物を摂取した群では腸内菌叢が変化していることが示唆された。また、分岐α-グルカン混合物を摂取させた群の盲腸内容物のpHは、対照群のそれよりも有意に低い値を示した。
<実験2-2.生体内フェノール化合物測定のための各採取試料の前処理>
実験1で採取した尿、糞便に加え、実験2-1で採取した各試料、すなわち、盲腸内容物、血液(血清)、皮膚、肝臓について、フェノール化合物測定のための前処理として、それぞれ以下に示す処理を行った。
<盲腸内容物>:採取後-80℃で凍結保存したものを解凍し、0.3gを秤取し、0.1Mリン酸緩衝液(pH5.5)を3mL加えて10倍希釈し、ポリテトラフルオロエチレン製ホモジナイザー(5mL容)を用いてホモジナイズし、遠心分離(3,000rpm、800×g、10分)して粗抽出液を調製し、-80℃で凍結保存した。
<血清>:採取した血液を遠心分離(3,000rpm、800×g、10分間)して血清を分離し、-80℃で凍結保存した。
<尿>:遠心分離(3,000rpm、800×g、10分間)して沈殿(飼料など)を除去した後、-80℃で凍結保存した。
<糞便>:採取後-80℃で凍結保存したものを解凍し、0.1Mリン酸緩衝液(pH5.5)で10倍希釈し、5分間程度撹拌した後、ポリテトラフルオロエチレン製ホモジナイザー(10mL容)を用いてホモジナイズし、遠心分離(3,000rpm、800×g、10分間)して粗抽出液を調製し、-80℃で凍結保存した。
<皮膚>:採取後-80℃で凍結保存したものを解凍し、0.2gを秤取し、ハサミで裁断した後、プラスチックチューブに取りリン酸緩衝液2mLを加えてホモジナイザー(「Polytron PT10-35」型)を使用しホモジナイズした。その後、XIVプロテアーゼ(Sigma社製)20mgを加えて55℃で3時間保持した。XIVプロテアーゼ処理液を遠心分離(3,000rpm、800×g、10分間)して上清を採取し、-80℃で凍結保存した。
<肝臓>:採取後-80℃で凍結保存したものを解凍し、肝臓の左外側葉0.2gを秤取し、1.5mLプラスチックチューブに取りリン酸緩衝液1mLを加えてポリテトラフルオロエチレン製ホモジナイザーにてホモジナイズし遠心分離(3,000rpm、800×g、10分間)して粗抽出液を調製し、-80℃で凍結保存した。
<実験2-3.各試料におけるフェノール化合物の定量>
実験2-2で調製した前処理試料中のフェノール化合物は大半が配糖体の形態にあるため、前処理試料を塩酸で処理することにより、配糖体の形態にあるフェノール化合物を加水分解し、遊離型の形態に変えてフェノール化合物として測定した。すなわち、本測定においては、フェノールとp-クレゾールの2つのフェノール化合物を測定対象とし、生体内において配糖体の形態で存在するフェノール及びp-クレゾールと、遊離型の形態で存在するそれらを、酸処理を行うことにより、それぞれ遊離型のフェノール及びp-クレゾールとしてまとめて定量した。具体的な操作としては、上述した前処理試料を、遠心分離(4,700rpm、10分間)して上清を採取した後、ネジ付きのチューブに0.8mLとり(但し、尿の場合は220倍希釈液)、100μg/mLの濃度に調製した内部標準物質である4-エチルフェノール32μLと2N塩酸0.8mLを加え、60分間煮沸した。煮沸処理した液を室温で放冷した後に2N水酸化ナトリウムを約0.75mL加えて中和した。中和液0.8mLをプラスチックチューブに取り、アセトニトリル0.8mLを加えて撹拌し、遠心分離(12,000×g、5分間)して不溶物を除去し、0.3mLを0.45μmのフィルターでろ過し、HPLC試料とした。
各種試料におけるフェノール及びp-クレゾールは、下記条件によるHPLCにて定量した。
(HPLC条件)
カラム:Shodex ODSpak F-411(φ4.6×150mm、昭和電工株式会社製);
装置:『Prominence』システム(株式会社島津製作所製)
解析ソフトウェアとして「LabSolutions」を使用;
ポンプ:LC-20AD 2台;
カラムヒーター:『CTO-20AC』;
デガッサー:『DGU-20A3R』;
オートサンプラー:『SIL-20AC』;
検出器:蛍光検出器 RF-20A(励起波長:260nm,蛍光波長:305nm)
移動相:水/アセトニトリル(70/30)にてイソクラティック溶出
カラム温度:30℃
試料注入量:10μL
なお、フェノール及びp-クレゾールの定量においては、いずれもフェノール及びp-クレゾールの試薬(シグマ・アルドリッチ製)を標準品とし、HPLCにおけるそれぞれについての検量線を作成し定量した。
各種試料におけるフェノール化合物(フェノール及びp-クレゾール)の定量値を表6及び表7にそれぞれ示す。
Figure 0007141387000006
Figure 0007141387000007
表6及び表7に示すとおり、AIN-93G改変飼料と水とで飼育した通常食群のラットでは、盲腸内容物、血清、尿、糞便、皮膚及び肝臓のいずれにおいてもフェノールは検出されず、また、p-クレゾールも盲腸内容物、尿、糞便において僅かに検出される程度であった。これに対し、チロシン飼料で飼育したラットでは、皮膚と肝臓以外ですべてフェノールが検出され、また、通常食群に比べp-クレゾールが多量に検出された。
表6に示すとおり、AIN-93G改変飼料と水を摂取させて飼育した通常食群のラットでは、盲腸内容物にフェノールは検出されず、盲腸内容物1g当たりのp-クレゾール量も40±28nmolとわずかであったのに対し、チロシン飼料と水を摂取させて飼育した対照群のラットの場合、盲腸内容物1g当たり、フェノール量は812±443nmol、p-クレゾール量は4522±1261nmolと多量のフェノール化合物の生成が認められた。一方、チロシン飼料と2%分岐α-グルカン混合物水溶液を摂取させて飼育した2%分岐α-グルカン混合物群の場合、盲腸内容物1g当たりフェノール量は334±435nmol、p-クレゾール量は2866±1652nmolと、対照群に比べ顕著に低いフェノール化合物量を示した。また、チロシン飼料と5%分岐α-グルカン混合物水溶液を摂取させて飼育した5%分岐α-グルカン混合物群の場合、盲腸内容物1g当たりフェノール量は12±3nmol、p-クレゾール量は397±128nmolと、対照群に比べ顕著に低いフェノール化合物量を示した。この結果は、チロシン飼料の摂取により盲腸内容物にフェノール化合物が産生されること、及び、フェノール化合物が産生されやすいチロシン飼料を摂取したとしても、一定量以上の分岐α-グルカン混合物を併せて摂取すれば、盲腸内容物中のフェノール化合物の量を顕著に低減できることを物語っている。
また、表6に示すとおり、AIN-93G改変飼料と水を摂取させて飼育した通常食群のラットでは、血清中にフェノール、p-クレゾールともに検出されなかったのに対し、チロシン飼料と水を摂取させて飼育した対照群のラットの場合、血清1mL当たり、フェノール量は27±30nmol、p-クレゾール量は136±35nmolとフェノール化合物の生成が認められた。一方、チロシン飼料と2%分岐α-グルカン混合物水溶液を摂取させて飼育した2%分岐α-グルカン混合物群の場合、血清1mL当たりのフェノール量は16±15nmol、p-クレゾール量は101±50nmolと、対照群に比べ大差ない結果となったものの、チロシン飼料と5%分岐α-グルカン混合物水溶液を摂取させて飼育した5%分岐α-グルカン混合物群の場合では、血清1mL当たりのフェノール量は5±0nmol、p-クレゾール量は15±4nmolと、対照群に比べ顕著に低いフェノール化合物量を示した。この結果は、チロシン飼料の摂取により血清中にフェノール化合物が検出されること、及び、フェノール化合物が産生されやすいチロシン飼料を摂取したとしても、一定量以上の分岐α-グルカン混合物を併せて摂取すれば、血清中のフェノール化合物の量を顕著に低減できることを物語っている。
さらに、各群において、ラット1匹から採取した1日分の尿を分析し、フェノール化合物の尿への1日当たりの排泄量としてμmol/日で示した。表6に示すとおり、通常食群のラットでは、尿中にフェノールは検出されず、p-クレゾール量も5±4μmol/日と僅かであったのに対し、対照群のラットの場合、フェノール量は42±15μmol/日、p-クレゾール量は208±41μmol/日と、多量のフェノール化合物が認められた。一方、2%分岐α-グルカン混合物群の場合、フェノール量は40±41μmol/日、p-クレゾール量は196±87μmol/日と、対照群に比べ大差ない結果となったものの、5%分岐α-グルカン混合物群の場合では、フェノール量は4±7μmol/日、p-クレゾール量は58±48μmol/日と、対照群に比べ顕著に少ない量を示した。この結果は、チロシン飼料の摂取により尿中にフェノール化合物が検出されること、及び、フェノール化合物が産生されやすいチロシン飼料を摂取したとしても、一定量以上の分岐α-グルカン混合物を併せて摂取すれば、尿中に認められるフェノール化合物の量が顕著に低減されることを物語っている。
さらに、各群においては、ラット1匹から採取した1日分の糞便を分析し、フェノール化合物の糞便への1日当たりの排泄量としてnmol/日で示した。表7に示すとおり、通常食群のラットでは、糞便中にフェノールは検出されず、p-クレゾール量も130±64nmol/日と僅かであったのに対し、対照群のラットの場合、フェノール量は240±247nmol/日、p-クレゾール量は568±218nmol/日と、多量のフェノール化合物が認められた。一方、2%分岐α-グルカン混合物群の場合、フェノール量は80±113nmol/日、p-クレゾール量は844±947nmol/日と、対照群に比べ大差ない結果となったものの、5%分岐α-グルカン混合物群の場合では、フェノール量は32±17nmol/日、p-クレゾール量は533±326nmol/日と、対照群に比べp-クレゾール量は違いがないものの、フェノールについては有意に低い値を示した。この結果は、チロシン飼料の摂取により糞便中にフェノール化合物が検出されること、及び、フェノール化合物が産生されやすいチロシン飼料を摂取したとしても、一定量以上の分岐α-グルカン混合物を併せて摂取すれば、糞便中に認められるフェノール化合物の量が低減されることを物語っている。
また、表7に示すとおり、皮膚試料からはいずれの場合もフェノールは検出されなかった。これに対し、p-クレゾールについては、通常食群の皮膚試料からは検出されず、対照群及び2%分岐α-グルカン混合物群の皮膚試料からは、皮膚1g当たりに換算して、それぞれ29nmol/g及び27nmol/gとほぼ同程度のp-クレゾールが検出された。しかし、5%分岐α-グルカン混合物群の皮膚試料からはp-クレゾールは検出されず(皮膚1g当たりに換算して0nmol/g)、分岐α-グルカン混合物摂取によるp-クレゾールの低減効果が認められた。
さらに、表7に示すとおり、肝臓試料からはいずれの場合もフェノールは検出されなかった。これに対し、p-クレゾールについては、通常食群の肝臓試料からは検出されず、対照群及び2%分岐α-グルカン混合物群の肝臓試料からは、肝臓1g当たりに換算して、それぞれ26nmol/g及び20nmol/gとほぼ同程度のp-クレゾールが検出された。しかし、5%分岐α-グルカン混合物群の肝臓試料からはp-クレゾールは検出されず(肝臓1g当たりに換算して0nmol/g)、分岐α-グルカン混合物摂取によるp-クレゾールの低減効果が認められた。
以上の実験結果に示されるとおり、通常飼料を摂取させて飼育した通常食群のラットの生体からはフェノール、p-クレゾールなどのフェノール化合物はあまり検出されなかったのに対し、チロシンを強化・配合したチロシン飼料を摂取させて飼育した対照群のラットの生体からは、フェノール化合物が顕著に検出されたが、分岐α-グルカン混合物を5%濃度になるよう溶解した水溶液を摂取させた5%分岐α-グルカン混合物摂取群のラットの生体からは、顕著に少ない量のフェノール化合物が検出された。このことは、ヒトが高蛋白食を摂取し、当該蛋白の構成アミノ酸であるチロシンから有害代謝産物であるフェノール化合物が生成し易い場合であっても、一定量の分岐α-グルカン混合物を摂取することにより、生体内のフェノール化合物を顕著に、効果的に低減することができることを物語っている。
<実験3:ラットの腸内菌叢に及ぼす分岐α-グルカン混合物摂取の影響>
本実験では、善玉菌としてのビフィドバクテリウム属細菌、バクテロイデス-プレボテラーポルフィロモナス属細菌、及び、バクテロイデス門細菌3種類の菌群をターゲットとして、分岐α-グルカン混合物の摂取が、腸内におけるこれら菌種・菌群の菌数に及ぼす影響を調べた。
実験1において飼育した通常食群、対照群、2%分岐α-グルカン混合物群、及び5%分岐α-グルカン混合物群のラットからそれぞれ採取した盲腸内容物よりDNA抽出を行った。抽出したDNAを鋳型として、菌種・菌群のrRNA遺伝子に含まれる特異的な配列部分を標的とするプライマーを用いてPCRを行った後、その増幅産物を検出する定量的PCR法(例えば、マツイ(Matsui)ら、アプライド・アンド・エンバイロメンタル・マイクロバイオロジー(Applied and Enviromental Microbiology)、第68巻、第11号、第5445頁-5451頁(2002年)参照)により、ビフィドバクテリウム属細菌、バクテロイデス-プレボテラーポルフィロモナス属細菌、及び、バクテロイデス門細菌のそれぞれの細菌数を測定した。
上記の方法で求めた通常食群、対照群、2%分岐α-グルカン混合物群及び5%分岐α-グルカン混合物群の盲腸内容物におけるそれぞれの菌数(log(個/g-盲腸内容物))を表8に示した。
Figure 0007141387000008
表8に見られるとおり、通常食群、対照群及び2%分岐α-グルカン混合物群のラットの盲腸内容物における腸内菌叢は、ビフィドバクテリウム属細菌、バクテロイデス-プレボテラーポルフィロモナス属細菌、及び、バクテロイデス門細菌の10を底とする対数で表した菌数(log(個/g-盲腸内容物))が、それぞれ、6.4~6.7、10.3~10.4、及び、10.6~10.7の範囲(すなわち、106.4~6.7、1010.3~10.4、及び、1010.6~10.7の範囲)に分布し、各群間で大差が認められなかったのに対し、5%分岐α-グルカン混合物群のラットの10を底とする対数で表した菌数(log(個/g-盲腸内容物))は8.0、11.1及び11.4(すなわち、108.0、1011.1、及び、1011.4)と、それぞれ約10倍以上に顕著に増加した。
このように、5%分岐α-グルカン混合物群のラットでは、盲腸内のビフィドバクテリウム属細菌、バクテロイデス-プレボテラーポルフィロモナス属細菌、及び、バクテロイデス門細菌の菌数が顕著に増加しており、腸内菌叢が顕著に改善されたことが判明した。このことから、実験2における生体内フェノール化合物低減効果は、分岐α-グルカン混合物の摂取によるラットの盲腸内でのビフィドバクテリウム属細菌、バクテロイデス-プレボテラーポルフィロモナス属細菌、及び、バクテロイデス門細菌の菌数の増加、すなわち、腸内菌叢の改善に起因する作用効果であると推測された。ラットを用いた上記結果から、分岐α-グルカン混合物の摂取により、ヒトにおいても同様な作用が発揮されるものと考えられる。
本分岐α-グルカン混合物が、どのように作用し腸内菌叢が改善され、生体内フェノール化合物が低減しているのかその詳細は不明であるが、本分岐α-グルカン混合物の、α-1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの非還元末端グルコース残基にα-1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、イソマルトデキストラナーゼ消化によりイソマルトースを生成する構造的特徴を有すること、より好ましくはイソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり5質量%以上70質量%以下生成する構造的特徴を有することがその機能を発揮する上で重要な役割を果たしているのではないかと推定される。
なお、イソマルトデキストラナーゼ消化におけるイソマルトース生成量が5質量%未満の分岐α-グルカン混合物は、分岐構造の少ないマルトデキストリンに近い構造であるため腸内菌叢改善効果は小さいと推定される。一方、イソマルトデキストラナーゼ消化におけるイソマルトース生成量が70質量%超の分岐α-グルカン混合物は、α-1,6結合で連なったグルコースポリマーであるデキストランに近い構造となり、逆に分岐構造が単調になるため腸内菌叢改善効果が小さくなると推定される。また、本分岐α-グルカン混合物のうち高速液体クロマトグラフ法(酵素-HPLC法)により求めた水溶性食物繊維含量が40質量%以上であるものはそれ自体が消化され難く、大腸により到達し易いため、より好ましいと推定される。
<実験4:チロシン飼料の給餌と分岐α-グルカン混合物の飲水投与によるヘアレスラットの飼育>
生体内でのフェノール化合物の生成が、皮膚の性状に及ぼす影響と分岐α-グルカン混合物の効果をより詳細に調べる目的で、実験1で用いたWistarラットをヘアレスラットに代えた以外は実験1とほぼ同様にしてヘアレスラットの飼育を行った。
ヘアレスラット(雄、6週齢、日本エスエルシー株式会社販売)24匹を購入し、AIN-93G改変飼料を与えつつ5日間飼育し馴化させた。次いで、馴化させたラットを6匹ずつ4群に分け、実験1の表1に示したと同じ4つの試験群、すなわち、通常食群、対照群、2%分岐α-グルカン混合物群、及び5%分岐α-グルカン混合物群として、それぞれ3週間飼育した。
飼育期間中の各群のヘアレスラットの体重、摂餌量、飲水量を表9に示した。さらに、飼育19~20日の時点で代謝ゲージを用いて各ラット1匹からそれぞれ採取した1日分の糞便と尿の量を測定し、各群6匹の平均値と標準偏差として表10に示した。
Figure 0007141387000009
Figure 0007141387000010
表9に示すとおり、試験した4群のヘアレスラットは、体重、飲水量では同程度の値を示し、各群間で有意な差は認められなかった。しかしながら、2%分岐α-グルカン混合物群及び5%分岐α-グルカン混合物群の一日当たりの摂餌量は、対照群の一日当たりの摂餌量に対してそれぞれ約95%及び約90%と有意に少なかった。摂餌量から計算すると、対照群のヘアレスラットにおけるチロシンの1日当たりの摂取量は約4.4g/kg-体重となった。また、分岐α-グルカン混合物水溶液を摂取させたラットに関していえば、飲水量から計算すると、分岐α-グルカン混合物の1日当たりの摂取量は、2%分岐α-グルカン混合物群では2.0g/kg-体重、5%分岐α-グルカン混合物群では5.1g/kg-体重であった。
また、飼育中の糞便量と尿量に関しては、表10に示すとおり、チロシン飼料を与え、飲用水として分岐α-グルカン混合物水溶液を与えて飼育した2%分岐α-グルカン混合物群及び5%分岐α-グルカン混合物群が、他の群よりも糞便量が少なく、尿量が多い傾向を示したものの、各群間での有意な差は認められなかった。
表9及び表10の結果は、ヘアレスラットでは実験1のWistarラットの場合と異なり、飲用水として分岐α-グルカン混合物水溶液を摂取した群で摂餌量が若干少なくなったものの、飼育終了時の体重、飲水量、糞便量及び尿量に有意な差はなく、ヘアレスラットが、各群間で大きく差が生じることのない安定な試験系で飼育されたことを物語っている。
<実験5:ヘアレスラットから採取した各種生体試料におけるフェノール化合物の量>
本実験では、糞便と肝臓を測定対象としなかった以外は実験2と同様に生体から採取した各種試料におけるフェノール化合物の生成量を調べた。すなわち、実験1及び実験2-1の場合と同様に、4群のヘアレスラットから盲腸内容物、血液(血清)、尿、及び、皮膚をそれぞれ採取した。盲腸組織及び盲腸内容物のそれぞれの重量、及び、盲腸内容物のpHを表11にまとめた。
Figure 0007141387000011
表11に示すとおり、盲腸内容物の重量は、対照群に比較して2%分岐α-グルカン混合物群、5%分岐α-グルカン混合物群が有意に重かった。また、盲腸内容物のpHは2%分岐α-グルカン混合物群、5%分岐α-グルカン混合物群で有意に低かった。
次いで、上記で採取した盲腸内容物、血液(血清)、尿、及び、皮膚の各試料について、実験2-2と同様に各種試料におけるフェノール化合物(フェノール及びp-クレゾール)を定量した。測定結果を表12に纏めた。
Figure 0007141387000012
表12に示すとおり、ヘアレスラットでは、通常食群、対照群、2%分岐α-グルカン混合物群及び5%分岐α-グルカン混合物群のいずれの群においても、盲腸内容物、血清、尿、皮膚においてフェノールとp-クレゾールの両方が検出された。
表12に示すとおり、AIN-93G改変飼料と水を摂取させて飼育した通常食群のラットでは、盲腸内容物の1g当たりのフェノール量が76±33nmol、同p-クレゾール量も14±11nmolとわずかであったのに対し、チロシン飼料と水を摂取させて飼育した対照群のヘアレスラットの場合、盲腸内容物1g当たり、フェノール量は629±230nmol、p-クレゾール量は165±164nmolと、それぞれ8倍以上及び11倍以上の多量のフェノール化合物の生成が認められた。一方、チロシン飼料と2%分岐α-グルカン混合物水溶液を摂取させて飼育した2%分岐α-グルカン混合物群の場合、盲腸内容物1g当たりフェノール量は222±109nmol、p-クレゾール量は70±92nmolと、対照群に比べ顕著に低いフェノール化合物量を示した。また、チロシン飼料と5%分岐α-グルカン混合物水溶液を摂取させて飼育した5%分岐α-グルカン混合物群の場合、盲腸内容物1g当たりフェノール量は109±66nmol、p-クレゾール量は89±55nmolと、対照群に比べ顕著に低いフェノール化合物量を示した。この結果は、実験2のWistarラットの場合と同様にヘアレスラットの場合でも、チロシン飼料の摂取により盲腸内容物にフェノール化合物が多量に産生されること、及び、フェノール化合物が産生されやすいチロシン飼料を摂取したとしても、一定量以上の分岐α-グルカン混合物を併せて摂取すれば、盲腸内容物中のフェノール化合物の量を顕著に低減できることを物語っている。
また、表12に示すとおり、ヘアレスラットでは、血清、尿、皮膚においても、通常食群に比べ対照群でフェノール量、p-クレゾール量がともに増加し、2%分岐α-グルカン混合物群、5%分岐α-グルカン混合物群でともに低下する結果若しくは傾向が認められた。この結果は、チロシン飼料を摂取したとしても、盲腸内容物の場合と同様に、一定量以上の分岐α-グルカン混合物を併せて摂取すれば、血清中、尿中及び皮膚中のフェノール化合物の量を顕著に低減できることを物語っている。
なお、実験1及び2のWistarラットにおいては、フェノール化合物としてフェノールよりもp-クレゾールの方が多量に生成されていたのに対し、ヘアレスラットではフェノールの方がp-クレゾールよりも多量に生成されていた。この結果は、Wistarラットとヘアレスラットとでは腸内細菌叢が異なっており、そのためフェノール化合物の生成に差が生じたものと考えられる。
<実験6:ヘアレスラットの皮膚性状の分析>
皮膚では、外界に接した外側の細胞が垢となってはがれ、内側の細胞が増殖し新しい細胞を供給するターンオーバー(皮膚の新陳代謝)を繰り返すことで恒常性が維持されている。皮膚のターンオーバーが速すぎると、角層細胞は十分に分化が進まず小さいまま皮膚表面に現れることから、化粧品分野では、角層細胞面積が皮膚の健康度の指標として用いられている。非特許文献2では、フェノール化合物がヘアレスマウスの皮膚に及ぼす悪影響の指標として、皮膚の角層細胞面積が測定されており、フェノールやp-クレゾールを投与したヘアレスマウスでは角層細胞面積が有意に低下したことが報告されている。本実験では、実験4で飼育したヘアレスラットについて、皮膚の角層細胞面積を測定した。
また、皮膚のターンオーバーにおいて、皮膚表皮の下にある基底膜に接している基底細胞と呼ばれる未分化の細胞群の分裂が亢進されると、角化細胞への分化が遅れ未成熟な角化細胞となることから、実験4で飼育したヘアレスラットについて、皮膚の基底細胞の分裂についても調べた。
<実験6-1:ヘアレスラットの皮膚の角層細胞面積の測定>
実験4で飼育した4群、計24匹のヘアレスラットについて、安楽死させる前のペントバルビタール麻酔下において、皮膚の角層を採取した。ヘアレスラットの右背中に角質採取用の粘着性テープ(商品名「角質チェッカー AST-01」、25×25mm、日本アッシュ株式会社販売)を数秒間押し付けて剥がすことによりテープ上に角質を採取し、ホルマリン蒸気にあてて固定した後、ヘマトキシリン・エオシン染色した。次いで、ヘマトキシリン・エオシン染色した角層細胞を顕微鏡下で観察し、ヘアレスラット1個体当たり30個以上の角層細胞について、顕微鏡用イメージングソフトウェア(商品名『cellSens Dimension』、オリンパス株式会社製)を用いて細胞面積を測定し、その平均値を算出した。結果を表13に示した。
Figure 0007141387000013
表13に見られるとおり、AIN-93G改変飼料と水を摂取させて飼育した通常食群のヘアレスラットでは、角層細胞面積が1303±96μmであったのに対し、チロシン飼料と水を摂取させて飼育した対照群のヘアレスラットでは、1159±97μmと有意に低い値を示した。一方、チロシン飼料と2%分岐α-グルカン混合物水溶液を摂取させて飼育した2%分岐α-グルカン混合物群の場合、角層細胞面積は1286±86μmと対照群に比べ増加傾向を示し、チロシン飼料と5%分岐α-グルカン混合物水溶液を摂取させて飼育した5%分岐α-グルカン混合物群の場合、1331±72μmと対照群に比べ有意に高い値を示し、通常食群と同等の値を示した。この結果は、チロシン飼料を摂取したヘアレスラットでは生体内で生成したフェノール化合物が皮膚において角層細胞の分化を阻害するものの、分岐α-グルカン混合物を摂取することにより、生体内でのフェノール化合物の生成量が低下し、角層細胞の分化に影響を及ぼさなくなり、皮膚性状を改善できることを示している。
<実験6-2:皮膚の基底細胞の分裂像の測定>
実験4で飼育した4群、計24匹のヘアレスラットについて、安楽死させた後に左背中皮膚を採取し、15%(v/v)ホルマリン液に浸漬して保存し、組織分析に供した。常法によりパラフィン包埋した組織切片をヘマトキシリン・エオシン染色し、顕微鏡下にて基底細胞層の分裂像をカウントした。結果を表14に示した。
Figure 0007141387000014
表14に見られるとおり、AIN-93G改変飼料と水を摂取させて飼育した通常食群のヘアレスラットでは、基底細胞の分裂像が2.8±1.1個/cmであったのに対し、チロシン飼料と水を摂取させて飼育した対照群のヘアレスラットでは、5.7±1.8個/cmと有意に大きい値を示し、チロシン飼料の摂取により基底細胞の分裂が亢進したことが判明した。一方、チロシン飼料と2%分岐α-グルカン混合物水溶液を摂取させて飼育した2%分岐α-グルカン混合物群の場合、4.8±1.8個/cmと対照群に比べ低下傾向を示し、チロシン飼料と5%分岐α-グルカン混合物水溶液を摂取させて飼育した5%分岐α-グルカン混合物群の場合、3.2±0.8と対照群に比べ有意に低い値を示し、通常食群と同等の値であった。この結果は、チロシン飼料を摂取したヘアレスラットでは生体内で生成したフェノール化合物が皮膚において基底細胞の分裂を亢進、すなわち、角化細胞への分化を阻害したものの、チロシン飼料を摂取したヘアレスラットであっても、分岐α-グルカン混合物を摂取することにより、生体内でのフェノール化合物の生成量が低下し、その結果として角層細胞の分化に影響を及ぼさなくなり、皮膚性状を改善できることを示している。
実験1乃至5の結果から、本分岐α-グルカン混合物は、摂取すると腸内菌叢を改善するとともに、腸内腐敗産物として知られる生体内のフェノール、p-クレゾールなどのフェノール化合物を顕著に低減できることが判明した。これら実験は、本分岐α-グルカン混合物が生体内フェノール低減剤の有効成分として顕著な作用効果を奏することを物語るものである。
また、実験6の結果から、本分岐α-グルカン混合物を摂取すると、フェノール化合物の皮膚への悪影響として報告されている角層細胞面積の低下が認められなくなり、また、基底細胞の分裂の亢進も見られなくなることが判明した。その理由として、本分岐α-グルカン混合物の摂取が生体内でのフェノール化合物の生成を抑制したため、吸収され皮膚に移行し悪影響を与えるフェノール化合物の量が低減されたためと考えられる。
上記の結果は、本分岐α-グルカン混合物が、生体内フェノール化合物低減剤の有効成分として有利に利用できること、また、この生体内フェノール化合物低減剤を配合した飲食物は、生体内フェノール化合物低減用の飲食物として有利に利用できることを物語っている。加えて、実験6の結果は、上記の生体内フェノール化合物低減剤が、飲食物に起因し、生体内で生成するフェノール化合物の量を低減することにより、フェノール化合物の影響により起こる皮膚への悪影響、すなわち、角質細胞の成熟阻害を低減し、角質細胞を成熟化(角層細胞の細胞面積を増加)させることができるので、皮膚の健康状態を維持又は改善し、皮膚性状を改善する用途、より具体的には、皮膚ターンオーバーの改善用途に利用できることを示している。
以下、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明する。しかしながら、本発明は、これら実施例によりなんら限定されるものではない。
<生体内フェノール化合物低減剤>
国際公開第WO2008/136331号パンフレットの実施例5に記載された方法に従い、分岐α-グルカン混合物粉末を調製し、生体内フェノール化合物低減剤とした。なお、得られた分岐α-グルカン混合物粉末は、以下の(a)乃至(g)の特徴を有していた。
(a)グルコースを構成糖とし、
(b)α-1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα-1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、
(c)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり35質量%生成し、
(d)水溶性食物繊維含量が80.8質量%であり、
(e)α-1,4結合したグルコース残基とα-1,6結合したグルコース残基の比が1:2.2であり、
(f)α-1,4結合したグルコース残基とα-1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の72.9%であり、
(g)平均グルコース重合度が31であり、Mw/Mnが2.0である。
本品は、有効成分である分岐α-グルカン混合物の含量が100質量%の生体内フェノール化合物低減剤である。本品は、それ自体が低甘味ないし無味であり、異臭がなく、室温下でも吸湿、変色することなく、1年以上に亘って安定である。本品は、そのまま、或いは、水、お茶、コーヒーなどの飲料に溶解して摂取するか、食品又は飲料に添加して摂取すればよく、本品を摂取することにより、生体内フェノール化合物を低減することができる。また、本品に、必要に応じて、水、ミネラル、着香料、安定化剤、賦形剤、増量剤、pH調整剤などから選ばれる1種又は2種以上の成分を配合することも有利に実施できる。
<生体内フェノール化合物低減剤>
国際公開第WO2008/136331号パンフレットの実験2-2に記載された方法に従い、固形分濃度30質量%の分岐α-グルカン混合物溶液を調製し、その後、常法に従って噴霧乾燥して分岐α-グルカン混合物粉末を得、これを生体内フェノール化合物低減剤とした。なお、得られた分岐α-グルカン混合物粉末は、以下の(a)乃至(g)の特徴を有していた。
(a)グルコースを構成糖とし、
(b)α-1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα-1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、
(c)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり27.2質量%生成し、
(d)水溶性食物繊維含量が41.8質量%であり、
(e)α-1,4結合したグルコース残基とα-1,6結合したグルコース残基の比が1:0.6であり、
(f)α-1,4結合したグルコース残基とα-1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の83.0%であり、
(g)平均グルコース重合度が405であり、Mw/Mnが16.2である。
本品は、有効成分である分岐α-グルカン混合物の含量が100質量%の生体内フェノール化合物低減剤である。本品は、それ自体が低甘味ないし無味であり、異臭がなく、室温下でも吸湿、変色することなく、1年以上に亘って安定である。本品は、そのまま、或いは、水、お茶、コーヒーなどの飲料に溶解して摂取するか、食品又は飲料に添加して摂取すればよく、本品を摂取することにより、生体内フェノール化合物を低減することができる。また、本品に、必要に応じて、水、ミネラル、着香料、安定化剤、賦形剤、増量剤、pH調整剤などから選ばれる1種又は2種以上の成分を配合することも有利に実施できる。
<生体内フェノール化合物低減剤>
国際公開第WO2008/136331号パンフレットの実施例6に記載された方法に従い、分岐α-グルカン混合物粉末を調製し、生体内フェノール化合物低減剤とした。なお、得られた分岐α-グルカン混合物粉末は、(a)乃至(g)の特徴を有していた。
(a)グルコースを構成糖とし、
(b)α-1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα-1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、
(c)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり40.6質量%生成し、
(d)水溶性食物繊維含量が77.0質量%であり、
(e)α-1,4結合したグルコース残基とα-1,6結合したグルコース残基の比が1:4であり、
(f)α-1,4結合したグルコース残基とα-1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の67.9%であり、
(g)平均グルコース重合度が18であり、Mw/Mnが2.0である。
本品は、有効成分である分岐α-グルカン混合物の含量が100質量%の生体内フェノール化合物低減剤である。本品は、それ自体が低甘味ないし無味であり、異臭がなく、室温下でも吸湿、変色することなく、1年以上に亘って安定である。本品は、そのまま、或いは、水、お茶、コーヒーなどの飲料に溶解して摂取するか、食品又は飲料に添加して摂取すればよく、本品を摂取することにより、生体内フェノール化合物を低減することができる。また、本品に、必要に応じて、水、ミネラル、着香料、安定化剤、賦形剤、増量剤、pH調整剤などから選ばれる1種又は2種以上の成分を配合することも有利に実施できる。
<生体内フェノール化合物低減剤>
トウモロコシ澱粉液化液に、さらにマルトテトラオース生成アミラーゼを固形物1グラム当たり2単位添加した以外は、国際公開第WO2008/136331号パンフレットの実施例5に記載された方法に従い、分岐α-グルカン混合物粉末を調製し、生体内フェノール化合物低減剤とした。なお、得られた分岐α-グルカン混合物粉末は、(a)乃至(g)の特徴を有していた。
(a)グルコースを構成糖とし、
(b)α-1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα-1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、
(c)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり41.9質量%生成し、
(d)水溶性食物繊維含量が69.1質量%であり、
(e)α-1,4結合したグルコース残基とα-1,6結合したグルコース残基の比が1:2.4であり、
(f)α-1,4結合したグルコース残基とα-1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の64.2%であり、
(g)平均グルコース重合度が13であり、Mw/Mnが2.0である。
本品は、有効成分である分岐α-グルカン混合物の含量が100質量%の生体内フェノール化合物低減剤である。本品は、それ自体が低甘味ないし無味であり、異臭がなく、室温下でも吸湿、変色することなく、1年以上に亘って安定である。本品は、そのまま、或いは、水、お茶、コーヒーなどの飲料に溶解して摂取するか、食品又は飲料に添加して摂取すればよく、本品を摂取することにより、生体内フェノール化合物を低減することができる。また、本品に、必要に応じて、水、ミネラル、着香料、安定化剤、賦形剤、増量剤、pH調整剤などから選ばれる1種又は2種以上の成分を配合することも有利に実施できる。
<生体内フェノール化合物低減剤>
実施例1に記載された方法で得られた分岐α-グルカン混合物にアミログルコシダーゼ(グルコアミラーゼ)を作用させ、分解されなかった成分をゲル濾過クロマトグラフィーを用いて分取した。その後、常法に従って精製及び噴霧乾燥して分岐α-グルカン混合物粉末を調製し、生体内フェノール化合物低減剤とした。なお、得られた分岐α-グルカン混合物は、(a)乃至(g)の特徴を有していた。
(a)グルコースを構成糖とし、
(b)α-1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα-1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、
(c)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり21質量%生成し、
(d)水溶性食物繊維含量が94.4質量%であり、
(e)α-1,4結合したグルコース残基とα-1,6結合したグルコース残基の比が1:1.9であり、
(f)α-1,4結合したグルコース残基とα-1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の64%であり、
(g)グルコース重合度が22であり、Mw/Mnが1.7である。
本品は、有効成分である分岐α-グルカン混合物の含量が100質量%の生体内フェノール化合物低減剤である。本品は、それ自体が低甘味ないし無味であり、異臭がなく、室温下でも吸湿、変色することなく、1年以上に亘って安定である。本品は、そのまま、或いは、水、お茶、コーヒーなどの飲料に溶解して摂取するか、食品又は飲料に添加して摂取すればよく、本品を摂取することにより、生体内フェノール化合物を低減することができる。また、本品に、必要に応じて、水、ミネラル、着香料、安定化剤、賦形剤、増量剤、pH調整剤などから選ばれる1種又は2種以上の成分を配合することも有利に実施できる。
<経口組成物(粉末ジュース)>
噴霧乾燥により製造したオレンジ果汁粉末33質量部に対して、実施例5に記載された方法で得られた生体内フェノール化合物低減剤10質量部、グルコース20質量部、無水結晶マルチトール20質量部、無水クエン酸0.65質量部、リンゴ酸0.1質量部、2-O-α-グルコシル-L-アスコルビン酸0.2質量部、クエン酸ソーダ0.1質量部、及び粉末香料の適量をよく混合攪拌し、粉砕し微粉末にして、これを流動層造粒機に仕込み、排風温度40℃とし、これに実施例1の方法で得た分岐α-グルカン粉末を水に溶解して得た溶液をバインダーとして適量スプレーし、30分間造粒し、計量し、包装して製品を得た。本品は、果汁含有率約30%の粉末ジュースである。本品は、生体内フェノール化合物低減剤を含有しているので、腸内菌叢を改善するとともに、生体内フェノール化合物を低減できる粉末ジュースである。また、本品は、異味、異臭がなく、ジュースとして商品価値の高いものである。
<経口組成物(カスタードクリーム)>
コーンスターチ100質量部、実施例4に記載された方法で得られた生体内フェノール化合物低減剤30質量部、トレハロース含水結晶70質量部、グルコース40質量部、および食塩1質量部を充分に混合し、鶏卵280質量部を加えて攪拌し、これに沸騰した牛乳1、000質量部を徐々に加え、更に火にかけて攪拌を続け、コーンスターチが完全に糊化して全体が半透明になった時に火を止め、これを冷却して適量のバニラ香料を加え、計量、充填、包装して製品を得た。本品は、生体内フェノール化合物低減剤を含有しているので、腸内菌叢を改善するとともに、生体内フェノール化合物を低減できるカスタードクリームである。また、本品は、なめらかな光沢を有し、風味良好で、高品質のカスタードクリームである。
<経口組成物(栄養補助食品)>
グルコース247g、実施例3に記載された方法で得られた生体内フェノール化合物低減剤217g、ピロリン酸鉄懸濁液(太陽化学社製商品名サンアクティブFeM)8g、ビタミンプレミックス15g、アスコルビン酸ナトリウム3g、亜鉛酵母0.5g、クロム酵母0.3g、スクラロース0.2gを造粒原末として造粒装置に投入した。一方、造粒調整用水100mL中にコーヒー抽出粉末15g、硫酸マグネシウム10gを溶解させた。造粒原末を装置内で混合させているところに造粒調整液をノズルの先から少しずつ噴霧して顆粒化し、1パック5.15gもしくは1パック10.3gとなるようアルミ袋に窒素ガス充填した。本品は生体内フェノール化合物低減剤を含有する栄養補助食品であり、腸内菌叢を改善するとともに、生体内フェノール化合物を低減することができる。また、本品は、異味、異臭がなく、栄養補助食品として商品価値の高いものである。
<経口組成物(紅茶飲料)>
実施例1に記載された方法で得られた生体内フェノール化合物低減剤を用いて紅茶を製造した。茶葉15gに対して沸騰水1Lを加え、茶葉を濾過して紅茶抽出液1Lを得た。紅茶抽出液1Lに異性化糖を60g加え、さらに生体内フェノール化合物低減剤を重量比で2%、3%、4%添加した紅茶を、それぞれ紅茶飲料A、B、Cとした。また、生体内フェノール化合物低減剤を添加しない点以外は、上記と同様の方法で得た紅茶飲料を対照とした。20~50代の男女10名で官能評価を行ったところ、紅茶飲料に含有するポリフェノール特有の苦みや渋みをマスキングする効果があることが分かった。さらに、紅茶飲料A、B、Cは、室温に保存しても、対照と比較してクリームダウン現象(紅茶を徐々に冷やすと白く濁る現象)が抑制されることが分かった。
本品は、生体内フェノール化合物低減剤を含有しているので、腸内菌叢を改善するとともに、生体内フェノール化合物を低減できる紅茶飲料である。また、本品は、異味、異臭がなく、紅茶飲料として商品価値の高いものである。
以上説明したとおり、本分岐α-グルカン混合物を有効成分とする本発明の生体内フェノール化合物低減剤によれば、有効成分である本分岐α-グルカン混合物それ自体が低甘味ないし無味であるため、利用範囲が広く、また、摂取することにより、腸内菌叢を改善するとともに、腸内腐敗産物として知られている生体内のフェノール化合物を顕著に低減することができるので、皮膚の健康、美容の維持、さらには生体の健康維持に有用である。また、本発明の生体内フェノール化合物低減剤を含んでなる飲食物は、日常的な食生活において摂取することにより、腸内菌叢を改善し、効果的に生体内のフェノール化合物を低減することができるという利点を有している。本発明は、斯界に多大の貢献をする、誠に意義のある発明である。

Claims (9)

  1. 下記(A)乃至(C)の特徴を有する平均グルコース重合度が8乃至500の分岐α-グルカン混合物を有効成分とする生体内フェノール化合物低減剤(但し、アレルギー性皮膚炎を緩和するための剤を除く)
    (A)グルコースを構成糖とし、
    (B)α-1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα-1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、
    (C)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを生成する。
  2. 生体内フェノール化合物が、フェノール及び/又はp-クレゾールである請求項1記載の生体内フェノール化合物低減剤。
  3. 前記分岐α-グルカン混合物が、イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり5質量%以上70質量%以下生成する分岐α-グルカン混合物であることを特徴とする請求項1又は2記載の生体内フェノール化合物低減剤。
  4. 前記分岐α-グルカン混合物が、下記(D)の特徴を有する分岐α-グルカン混合物である請求項1乃至3のいずれかに記載の生体内フェノール化合物低減剤:
    (D)高速液体クロマトグラフ法(酵素-HPLC法)により求めた水溶性食物繊維含量が40質量%以上である。
  5. 前記分岐α-グルカン混合物が、下記(E)及び(F)の特徴を有する分岐α-グルカン混合物である請求項1乃至4のいずれかに記載の生体内フェノール化合物低減剤:
    (E)α-1,4結合したグルコース残基とα-1,6結合したグルコース残基の比が1:0.6乃至1:4の範囲にある;及び
    (F)α-1,4結合したグルコース残基とα-1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の55%以上を占める。
  6. 腸内菌叢を改善する作用を有する請求項1乃至5のいずれかに記載の生体内フェノール化合物低減剤。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の生体内フェノール化合物低減剤を含有してなる生体内フェノール化合物低減用の飲食物(但し、アレルギー性皮膚炎を緩和するための飲食物を除く)
  8. 皮膚性状の改善に用いられる請求項1乃至6のいずれかに記載の生体内フェノール化合物低減剤又は請求項記載の生体内フェノール化合物低減用の飲食物。
  9. 皮膚性状の改善が、皮膚ターンオーバーの改善である請求項記載の生体内フェノール化合物低減剤又は生体内フェノール化合物低減用の飲食物。
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