JP2008237032A - 高嗜好性食品 - Google Patents

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成暢 松村
Takeshi Yoneda
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Abstract

【課題】油脂代用材料およびそれを用いた飲食品を提供すること。
【解決手段】0.01重量%〜10重量%の遊離脂肪酸またはその塩を含有する、高嗜好性飲食品。100gあたりのカロリーが30kcal〜600kcalの飲食品であって、該飲食品は、0.01重量%〜10重量%の遊離脂肪酸またはその塩と、中カロリー食材とを含有し、該中カロリー食材のエネルギー量が100gあたり200kcal〜600kcalである、飲食品。100gあたりのカロリーが5kcal〜40kcalの飲食品であって、該飲食品は、0.01重量%〜4重量%の遊離脂肪酸またはその塩を含有する、飲食品。遊離脂肪酸またはその塩を含有する油脂代用材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、遊離脂肪酸またはその塩を含有する、高嗜好性の飲食品およびその製造方法に関する。本発明はまた、遊離脂肪酸またはその塩と、中カロリー食材とを含有する、ある程度カロリーが低く、高嗜好性でかつ長期にわたって好まれる飲食品およびその製造方法に関する。本発明はさらに、ゼロカロリー飲食品または低カロリー飲食品であって、遊離脂肪酸またはその塩を含む飲食品およびその製造方法に関する。本発明はさらに、遊離脂肪酸またはその塩と、中カロリー食材とを含有する油脂代用材料およびその製造方法に関する。
油脂は消化されると1gあたり9gのエネルギーを与えるため高カロリーであり、食物の重要な成分である。油脂が口腔内でどのように認識されているかについて研究がなされている。例えば、非特許文献1には、トリアシルグリセロールを99%より多く含む食事性脂肪を舌のリパーゼにより5秒間処理したところ、トリアシルグリセロールから1〜2%の脂肪酸が遊離したことが記載されている。このことから、遊離脂肪酸が油脂に対する嗜好性の一因となっている可能性がある。また、100%コーン油を経口摂取すると口内で一部が分解されて1%程度の脂肪酸が生じることも公知である。
そのため、生体による油脂の認知は、油脂の分解産物である遊離脂肪酸が舌上の受容体に作用することで起こると考えられている。遊離脂肪酸は、リパーゼ分解物中には約1〜2%含まれており、油脂中には1%未満しか含まれていない。マウスに油脂を自由摂食させると、口腔内の遊離脂肪酸の濃度は約0〜3%となる。
他方、食品に含まれる脂質に関しては常に酸化の問題がある。脂質は空気中の酸素と接触すると酸化され、その結果、不快な臭いが生じて食品の品質が低下したり、毒性を示したりする場合がある。脂質の酸化は、不飽和脂肪酸に起こる。例えば油を加熱すると油の表面では酸化が急速に進む。特に、フライングでは水蒸気が出るので加水分解が起こり、遊離脂肪酸が増加する。これらの反応の結果、揚げ油は劣化し、泡立ちの変化、発煙、着色、酸化安定性の低下などが起こる。油の劣化によって栄養価は低下し、生じた重合物、環状化合物なども毒性がないわけではない(非特許文献2を参照のこと)。そのため、従来は、遊離脂肪酸の量を減らすことが求められており、あえて遊離脂肪酸を添加することは考えられていなかった。
Kawaiら、Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol,285,2003年、p.R447−R454 五十嵐脩、金田尚志、福場博保、美濃眞編集、過酸化脂質と栄養、第8章 食品と過酸化脂質、株式会社光生館、1986年4月25日、215−218頁
本発明は、上記問題点の解決を意図するものであり、油脂代用材料およびそれを用いた飲食品を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、少量の遊離脂肪酸またはその塩を使用することにより油脂の嗜好性を代用できること、さらに、糖質、タンパク質、アミノ酸などのある程度エネルギーを与える食材を遊離脂肪酸またはその塩と併用することにより持続的な嗜好性が得られることを見出し、これに基づいて本発明を完成させた。
上記目的を達成するために、本発明は、例えば、以下の手段を提供する:
(項目1)
0.01重量%〜10重量%の遊離脂肪酸またはその塩を含有する、高嗜好性飲食品。
(項目2)
前記遊離脂肪酸が、長鎖脂肪酸である、項目1に記載の高嗜好性飲食品。
(項目3)
前記遊離脂肪酸が、不飽和脂肪酸である、項目2に記載の高嗜好性飲食品。
(項目4)
酸化防止剤を含有する、項目3に記載の高嗜好性飲食品。
(項目5)
前記遊離脂肪酸が、飽和脂肪酸である、項目2に記載の高嗜好性飲食品。
(項目6)
前記遊離脂肪酸の炭素数が、14から22のいずれかである、項目2に記載の高嗜好性飲食品。
(項目7)
糖質、タンパク質、アミノ酸または脂質を含有する、項目1に記載の高嗜好性飲食品。
(項目8)
高度分岐環状グルカンを含有する、項目7に記載の高嗜好性飲食品。
(項目9)
前記糖質、タンパク質、アミノ酸および脂質の含有量の合計が1重量%〜50重量%である、項目7に記載の高嗜好性飲食品。
(項目10)
前記糖質、タンパク質、アミノ酸および脂質の重量の合計が、遊離脂肪酸1gに対して10g〜1000gである、項目7に記載の高嗜好性飲食品。
(項目11)
粉末または液状である、項目1に記載の高嗜好性飲食品。
(項目12)
食品である、項目1に記載の高嗜好性飲食品。
(項目13)
菓子である、項目12に記載の高嗜好性飲食品。
(項目14)
調味料である、項目12に記載の高嗜好性飲食品。
(項目15)
飲料である、項目1に記載の高嗜好性飲食品。
(項目16)
100gあたりのカロリーが30kcal〜600kcalの飲食品であって、該飲食品は、0.01重量%〜10重量%の遊離脂肪酸またはその塩と、中カロリー食材とを含有し、該中カロリー食材のエネルギー量が100gあたり200kcal〜600kcalである、飲食品。
(項目17)
前記中カロリー食材が、糖質、タンパク質およびアミノ酸からなる群より選択される、項目16に記載の飲食品。
(項目18)
前記遊離脂肪酸が、長鎖脂肪酸である、項目16に記載の飲食品。
(項目19)
前記遊離脂肪酸が、不飽和脂肪酸である、項目18に記載の飲食品。
(項目20)
酸化防止剤を含有する、項目19に記載の飲食品。
(項目21)
前記遊離脂肪酸が、飽和脂肪酸である、項目18に記載の飲食品。
(項目22)
前記遊離脂肪酸の炭素数が、14から22のいずれかである、項目18に記載の飲食品。
(項目23)
前記中カロリー食材が高度分岐環状グルカンである、項目16に記載の飲食品。
(項目24)
前記中カロリー食材の含有量の合計が1重量%〜50重量%である、項目16に記載の飲食品。
(項目25)
前記中カロリー食材の重量の合計が、遊離脂肪酸1gに対して10g〜30gである、項目16に記載の飲食品。
(項目26)
粉末または液状である、項目16に記載の飲食品。
(項目27)
食品である、項目16に記載の飲食品。
(項目28)
菓子である、項目27に記載の飲食品。
(項目29)
調味料である、項目27に記載の飲食品。
(項目30)
飲料である、項目16に記載の飲食品。
(項目31)
100gあたりのカロリーが1kcal〜40kcalの飲食品であって、該飲食品は、0.01重量%〜4重量%の遊離脂肪酸またはその塩を含有する、飲食品。
(項目32)
前記遊離脂肪酸が、長鎖脂肪酸である、項目31に記載の飲食品。
(項目33)
前記遊離脂肪酸が、不飽和脂肪酸である、項目32に記載の飲食品。
(項目34)
酸化防止剤を含有する、項目33に記載の飲食品。
(項目35)
前記遊離脂肪酸が、飽和脂肪酸である、項目32に記載の飲食品。
(項目36)
前記遊離脂肪酸の炭素数が、14から22のいずれかである、項目32に記載の飲食品。
(項目37)
中カロリー食材を含み、該中カロリー食材のエネルギー量が100gあたり200kcal〜600kcalである、項目31に記載の飲食品。
(項目38)
前記中カロリー食材が、糖質、タンパク質およびアミノ酸からなる群より選択される、項目31に記載の飲食品。
(項目39)
前記中カロリー食材が、高度分岐環状グルカンである、項目37に記載の飲食品。
(項目40)
前記中カロリー食材の含有量の合計が1重量%〜8重量%である、項目37に記載の飲食品。
(項目41)
前記中カロリー食材の重量の合計が、遊離脂肪酸1gに対して10g〜30gである、項目37に記載の飲食品。
(項目42)
粉末または液状である、項目31に記載の飲食品。
(項目43)
食品である、項目31に記載の飲食品。
(項目44)
健康食品である、項目43に記載の飲食品。
(項目45)
菓子である、項目43に記載の飲食品。
(項目46)
調味料である、項目43に記載の飲食品。
(項目47)
飲料である、項目31に記載の飲食品。
(項目48)
低カロリー食材を含有する、項目31に記載の飲食品。
(項目49)
前記低カロリー食材のエネルギー量が100gあたり0kcal以上200kcal未満である、項目48に記載の飲食品。
(項目50)
前記低カロリー食材の含有量が10重量%〜90重量%である、項目48に記載の飲食品。
(項目51)
遊離脂肪酸またはその塩を含む、油脂代用材料。
(項目52)
中カロリー食材または低カロリー食材をさらに含有する、項目51に記載の油脂代用材料であって、該中カロリー食材のエネルギー量が100gあたり200kcal〜600kcalであり、該低カロリー食材のエネルギー量が100gあたり0kcal以上200kcal未満である、油脂代用材料。
(項目53)
前記中カロリー食材が、糖質、タンパク質およびアミノ酸からなる群より選択される、項目51に記載の油脂代用材料。
(項目54)
前記遊離脂肪酸が、長鎖脂肪酸である、項目51に記載の油脂代用材料。
(項目55)
前記遊離脂肪酸が、不飽和脂肪酸である、項目54に記載の油脂代用材料。
(項目56)
酸化防止剤を含有する、項目55に記載の油脂代用材料。
(項目57)
前記遊離脂肪酸が、飽和脂肪酸である、項目54に記載の油脂代用材料。
(項目58)
前記遊離脂肪酸の炭素数が、14から22のいずれかである、項目54に記載の油脂代用材料。
(項目59)
前記遊離脂肪酸またはその塩の含有量の合計が、0.2重量%〜30重量%である、項目51に記載の油脂代用材料。
(項目60)
前記中カロリー食材が、高度分岐環状グルカンである、項目51に記載の油脂代用材料。
(項目61)
前記中カロリー食材の含有量の合計が、5重量%〜30重量%である、項目51に記載の油脂代用材料。
(項目62)
前記中カロリー食材の重量の合計が、遊離脂肪酸1gに対して10g〜30gである、項目51に記載の油脂代用材料。
(項目63)
低カロリー食材を含有する、項目52に記載の油脂代用材料。
(項目64)
前記低カロリー食材の含有量が40重量%〜95重量%である、項目63に記載の油脂代用材料。
(項目65)
粉末、固形、半固形または液状である、項目52に記載の油脂代用材料。
本発明により、油脂を少量の遊離脂肪酸またはその塩で代用できるという画期的な効果が見出された。遊離脂肪酸またはその塩を用いることにより、嗜好性の高い油脂と同等の嗜好性を飲食品に持たせながらカロリーオフを可能にすることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明によれば、遊離脂肪酸またはその塩を含有する、高嗜好性の飲食品およびその製造方法が提供される。本発明によればまた、遊離脂肪酸またはその塩と、中カロリー食材とを含有する、ある程度カロリーが低く、高嗜好性でかつ長期にわたって好まれる飲食品およびその製造方法が提供される。本発明によればさらに、ゼロカロリー食品または低カロリー食品であって、遊離脂肪酸またはその塩を含む飲食品およびその製造方法が提供される。本発明によればさらに、遊離脂肪酸またはその塩と、中カロリー食材とを含有する油脂代用材料およびその製造方法が提供される。
(1.材料)
(1.1 遊離脂肪酸およびその塩)
本発明では、遊離脂肪酸またはその塩が用いられ得る。本明細書中で用語「遊離脂肪酸またはその塩」という場合、酸の形態の脂肪酸、イオン化した脂肪酸および塩の形態の脂肪酸を包含する。遊離脂肪酸の塩は、食用可能であれば任意の塩であり得る。例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩などであり得る。「遊離脂肪酸またはその塩」という場合、油脂に構成脂肪酸として含まれる脂肪酸残基(すなわち、グリセリンに結合している脂肪酸)はその概念に含まれない。本明細書中で用語「油脂」とは、主にトリグリセリドから構成される常温(約20℃)で液体状の混合物(すなわち、油)および主にトリグリセリドから構成される常温(約20℃)で固体状の混合物(すなわち、脂)をいう。
脂肪酸は、任意の脂肪酸(すなわち、炭化水素にカルボキシル基が結合した化合物)であり得る。脂肪酸は、脂肪族モノカルボン酸であっても脂肪族ジカルボン酸であってもよい。好ましくは、脂肪族モノカルボン酸である。脂肪酸の炭化水素には分岐があってもよいが、好ましくは直鎖である。脂肪酸は、任意の炭素数の脂肪酸であり得る。脂肪酸は好ましくは長鎖脂肪酸である。本明細書中では用語「長鎖脂肪酸」とは、炭素数が14以上の脂肪酸をいう。本明細書中では用語「中鎖脂肪酸」とは、炭素数が6〜13の脂肪酸をいう。本明細書中では用語「短鎖脂肪酸」とは、炭素数が5以下の脂肪酸をいう。脂肪酸の炭素数は好ましくは、16以上であり、より好ましくは18以上である。脂肪酸の炭素数は好ましくは30以下である。脂肪酸の炭素数の上限は例えば、28、26、24、22、20などであり得る。脂肪酸は体温(約37℃)で液体である脂肪酸が好ましい。
脂肪酸は飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよい。二重結合を含まない脂肪酸を飽和脂肪酸という。不飽和脂肪酸中の不飽和二重結合の数に限定はないが、好ましくは1〜4、例えば1、2、または3である。飽和脂肪酸の例としては、酪酸(C4:0)、カプロン酸(C6:0)、カプリル酸(C8:0)、カプリン酸(C10:0)、ラウリン酸(C12:0)、ミリスチン酸(C14:0)、パルミチン酸(C16:0)、ステアリン酸(C18:0)、アラキジン酸(C20:0)、ベヘン酸(C22:0)、リグノセリン酸(C24:0)、セロチン酸(C26:0)、モンタン酸(C28:0)、メリシン酸(C30:0)などが挙げられる。飽和脂肪酸は好ましくは、酪酸(C4:0)、カプロン酸(C6:0)、カプリル酸(C8:0)、カプリン酸(C10:0)、ラウリン酸(C12:0)、ミリスチン酸(C14:0)、パルミチン酸(C16:0)、ステアリン酸(C18:0)、アラキジン酸(C20:0)およびベヘン酸(C22:0)からなる群より選択される。
二重結合を含む脂肪酸を不飽和脂肪酸という。不飽和脂肪酸の例としては、ミリストレイン酸(C14:1)、パルミトオレイン酸(C16:1)、オレイン酸(C18:1)、リノール酸(C18:2)、リノレン酸(C18:3)、γ−リノレン酸(C18:3)、エイコセン酸(C20:1)、ジホモ−γ−リノレン酸(C20:3)、アラキドン酸(C20:4)、エイコサペンタエン酸(C20:5)、エルカ酸(C22:1)、ドコサペンタエン酸(C22:5)、ドコサヘキサエン酸(C22:6)などが挙げられる。本発明においては不飽和脂肪酸を用いることが好ましい。不飽和脂肪酸は好ましくは、オレイン酸(C18:1)、リノール酸(C18:2)、リノレン酸(C18:3)およびγ−リノレン酸(C18:3)からなる群より選択される。脂肪酸は好ましくはリノール酸(C18:2)である。不飽和脂肪酸を使用する場合には、不飽和脂肪酸の酸化を防ぐために酸化防止剤を併用することが好ましい。
脂肪酸は一般に、舌の味覚神経を刺激して、嗜好性に関与するシグナルを与えると考えられる。このため、脂肪酸を添加した飲食品は高い嗜好性を有する。
(1.2 中カロリー食材)
本発明では、中カロリー食材を用いることが好ましい。本明細書中では用語「中カロリー食材」とは、経口摂取した場合に得られる100gあたりのエネルギー量が200kcal以上400kcal以下であることをいう。一般的に、脂質は1gあたり9kcalとエネルギー換算され、炭水化物およびタンパク質は1gあたり4kcalとエネルギー換算される。しかし、例えば、難消化性糖質などには生体内でほとんど消化されないためにエネルギー換算係数が0でものがある。
エネルギー換算計数とは、その物質1g当りの熱量のことである。エネルギー換算計数は、理論上は密閉した容器に酸素と共に詰めて、燃やした時に水の温度が何度上昇するかで計算するが、人体は密閉容器ではないため、体内への吸収率、燃焼効率などを考慮して、数値が補正されている。エネルギー換算係数は、日本食品標準成分表で採用されたエネルギー換算係数を用いることが好ましい。例えば、穀類、動物性食品、油脂類、大豆及び大豆製品のうち主要な食品については、「日本人における利用エネルギー測定調査」(科学技術庁資源調査所資料)の結果に基づく係数を適用することが好ましい。これら以外の食品については、原則としてFAO/WHO合同特別専門委員会報告のエネルギー換算係数を適用することが好ましい。適用すべきエネルギー換算係数が明らかでない食品については、Atwaterの係数を適用することが好ましい。
中カロリー食材は、経口摂取した場合に得られる100gあたりのエネルギー量が200kcal以上600kcal以下である食材であれば任意の食材であり得る。中カロリー食材の例としては、糖質、タンパク質、アミノ酸、グァーガム(グァーフラワー、グァルガム)、グァーガム酵素分解物、小麦胚芽、水溶性大豆食物繊維(WSSF)、タマリンドシードガムおよびプルランが挙げられる。中カロリー食材は好ましくは糖質、タンパク質およびアミノ酸からなる群より選択される。
糖質の例としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類、より高重合度のグルカンなどの糖質が挙げられる。糖質としては、1種類のものを単独で用いてもよいし、複数種のものを混合して用いてもよい。
甘味が必要とされる飲食品の場合、糖質は、甘味料として使用されてもよい。
単糖類の例としては、果糖、ブドウ糖、キシロース、ソルボース、ガラクトース、異性化糖などが挙げられる。
二糖類の例としては、麦芽糖、乳糖、トレハロース、ショ糖、異性化乳糖、パラチノースなどがある。
オリゴ糖類の例としては、マルトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ダイズオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ラクトスクロース、ガラクトオリゴ糖、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、シュクロオリゴ糖、テアンオリゴ糖、海藻オリゴ糖などが挙げられる。マルトオリゴ糖は、本明細書中では、約2個〜約10個のグルコースが脱水縮合して生じた物質であって、α−1,4結合によって連結された物質をいう。マルトオリゴ糖は、好ましくは約3個〜約10個の糖単位、より好ましくは約4個〜約10個の糖単位、さらに好ましくは約5個〜約10個の糖単位を有する。マルトオリゴ糖の例としては、マルトース、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース、マルトヘプタオース、マルトオクタオース、マルトノナオース、マルトデカオースなどのマルトオリゴ糖が挙げられる。マルトオリゴ糖は、単品であってもよいし、複数のマルトオリゴ糖の混合物であってもよい。コストが低いため、マルトオリゴ糖の混合物が好ましい。オリゴ糖は、直鎖状のオリゴ糖であってもよいし、分枝状のオリゴ糖であってもよい。オリゴ糖は、その分子内に、環状部分を有し得る。本発明では、直鎖状のオリゴ糖が好ましい。
より高重合度のグルカンの例としては、任意の分子量の直鎖状、分枝状または環状のグルカンが挙げられる。糖質は甘味のある糖質であっても甘味のない糖質であってもよい。代用油脂を調製するためには無味無臭の糖を用いることが好ましい。
グルカンは、α−グルカンであってもβ−グルカンであってもよい。消化されてエネルギーを放出する観点からα−グルカンであることが好ましい。β−グルカンは消化されないので、中カロリー食材としてではなく、低カロリー食材として含有され得る。
本明細書中では「α−グルカン」とは、D−グルコースを構成単位とする糖であって、α−1,4−グルコシド結合によって連結された糖単位を少なくとも2糖単位以上有する糖をいう。α−グルカンは、直鎖状、分岐状または環状の分子であり得る。直鎖状α−グルカンとα−1,4−グルカンとは同義語である。直鎖状α−グルカンでは、α−1,4−グルコシド結合によってのみ糖単位の間が連結されている。α−1,6−グルコシド結合を1つ以上含むα−グルカンは、分岐状α−グルカンである。α−グルカンは、好ましくは、直鎖状の部分をある程度含む。本発明で使用されるα−グルカンは、好ましくは、アミロース、環状構造を有するグルカンまたは分岐構造を有するグルカンであり、より好ましくは環状構造を有するグルカンである。1分子のα−グルカンに含まれる糖単位の数を、このα−グルカンの重合度という。
α−グルカンは、任意の岐の数(すなわち、α−1,6−グルコシド結合の数)を有し得る。分岐の数は、例えば、0〜10000個、好ましくは0〜1000個、より好ましくは0〜500個、さらに好ましくは0〜100個、さらに好ましくは0〜50個、さらに好ましくは0〜25個、さらに好ましくは0個であり得る。
分岐状α−グルカンが用いられる場合、α−1,6−グルコシド結合を1としたときのα−1,6−グルコシド結合の数に対するα−1,4−グルコシド結合の数の比は、好ましくは1〜10000であり、より好ましくは10〜5000であり、さらに好ましくは50〜1000であり、さらに好ましくは100〜500である。
α−1,6−グルコシド結合は、α−グルカン中に無秩序に分布していてもよいし、均質に分布していてもよい。
α−グルカンは、D−グルコースのみから構成されていてもよいし、α−グルカンの性質を損なわない程度に修飾された誘導体であってもよい。修飾されていないことが好ましい。α−グルカンの性質を損なわない程度の修飾としては、エステル化、エーテル化、架橋などが挙げられるが、これらに限定されない。これらの修飾は、当該分野で公知の方法に従って行われ得る。
α−グルカンの例としては、アミロース、アミロペクチン、グリコーゲン、デキストリン、プルラン、カップリングシュガー、澱粉、環状グルカン(例えば、低分子グルカン、高分子グルカンおよび高度分岐環状グルカン)およびこれらの誘導体が挙げられる。
アミロースとは、α−1,4結合によって連結されたグルコース単位から構成される直鎖分子である。アミロースは、天然の澱粉中に含まれる。
アミロペクチンとは、α−1,4結合によって連結されたグルコース単位に、α1,6結合でグルコース単位が連結された、分枝状分子である。アミロペクチンは天然の澱粉中に含まれる。アミロペクチンとしては、例えば、アミロペクチン100%からなるワキシーコーンスターチが用いられ得る。例えば、重合度が約1×10程度以上のアミロペクチンが用いられ得る。
グリコーゲンは、グルコースから構成されるグルカンの一種であり、高頻度の枝分かれを有するグルカンである。グリコーゲンは、動植物の貯蔵多糖としてほとんどあらゆる細胞に顆粒状態で広く分布している。グリコーゲンは、植物中では、例えば、トウモロコシの種子などに存在する。グリコーゲンは、代表的には、グルコースのα−1,4−結合の糖鎖に対して、グルコースおよそ3単位おきに1本程度の割合で、平均重合度12〜18のグルコースのα−1,4−結合の糖鎖がα−1,6−結合で結合している。また、α−1,6−結合で結合している分枝にも同様にグルコースのα−1,4−結合の糖鎖がα−1,6−結合で結合している。そのため、グリコーゲンは網状構造を形成する。グリコーゲンの分子量は代表的には約1×10〜約1×10であり、好ましくは約1×10〜約1×10である。
プルランは、マルトトリオースが規則正しく、階段状にα−1,6−結合した、分子量約10万〜約30万(例えば、約20万)のグルカンである。プルランは、例えば、澱粉を原料として黒酵母Aureobasidium pullulansを培養することにより製造される。プルランは、例えば、林原商事から入手され得る。
カップリングシュガーは、ショ糖、グルコシルスクロース、マルトシルスクロースを主成分とする混合物である。カップリングシュガーは、例えば、ショ糖と澱粉との混合溶液にBacillus megateriumなどが産生するサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼを作用させることにより製造される。カップリングシュガーは、例えば、林原商事から入手され得る。
澱粉は、アミロースとアミロペクチンとの混合物である。澱粉としては、通常市販されている澱粉であればどのような澱粉でも用いられ得る。澱粉に含まれるアミロースとアミロペクチンとの比率は、澱粉を産生する植物の種類によって異なる。モチゴメ、モチトウモロコシなどの有する澱粉のほとんどはアミロペクチンである。他方、アミロースのみからなり、かつアミロペクチンを含まない澱粉は、通常の植物からは得られない。
澱粉は、天然の澱粉、澱粉分解物および化工澱粉に区分される。
天然の澱粉は、原料により、いも類澱粉および穀類澱粉に分けられる。いも類澱粉の例としては、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、甘藷澱粉、くず澱粉、およびわらび澱粉などが挙げられる。穀類澱粉の例としては、コーンスターチ、小麦澱粉、および米澱粉などが挙げられる。天然の澱粉の例は、澱粉を生産する植物の品種改良の結果、アミロースの含量を50%〜70%まで高めたハイアミロース澱粉(例えば、ハイアミロースコーンスターチ)である。天然の澱粉の別の例は、澱粉を生産する植物の品種改良の結果、アミロースを含まないワキシー澱粉である。
可溶性澱粉は、天然の澱粉に種々の処理を施すことにより得られる、水溶性の澱粉をいう。
化工澱粉は、天然の澱粉に加水分解、エステル化、またはα化などの処理を施して、より利用しやすい性質を持たせた澱粉である。糊化開始温度、糊の粘度、糊の透明度、老化安定性などを様々な組み合わせで有する幅広い種類の化工澱粉が入手可能である。化工澱粉の種類には種々ある。このような澱粉の例は、澱粉の糊化温度以下において澱粉粒子を酸に浸漬することにより、澱粉分子は切断するが、澱粉粒子は破壊していない澱粉である。化工澱粉はまた湿熱処理澱粉(難消化性澱粉)であり得る。
澱粉分解物は、澱粉に酵素処理または加水分解などの処理を施して得られる、処理前よりも分子量が小さいオリゴ糖もしくは多糖である。澱粉分解物の例としては、澱粉枝切り酵素分解物、澱粉ホスホリラーゼ分解物および澱粉部分加水分解物が挙げられる。
澱粉枝切り酵素分解物は、澱粉に枝切り酵素を作用させることによって得られる。枝切り酵素の作用時間を種々に変更することによって、任意の程度に分岐部分(すなわち、α−1,6−グルコシド結合)が切断された澱粉枝切り酵素分解物が得られる。枝切り酵素分解物の例としては、糖単位数4〜10000のうちα−1,6−グルコシド結合を1個〜20個有する分解物、糖単位数3〜500のα−1,6−グルコシド結合を全く有さない分解物、マルトオリゴ糖およびアミロースが挙げられる。澱粉枝切り酵素分解物の場合、分解された澱粉の種類によって得られる分解物の分子量の分布が異なり得る。澱粉枝切り酵素分解物は、種々の長さの糖鎖の混合物であり得る。
澱粉ホスホリラーゼ分解物は、澱粉にグルカンホスホリラーゼ(ホスホリラーゼともいう)を作用させることによって得られる。グルカンホスホリラーゼは、澱粉の非還元性末端からグルコース残基を1糖単位ずつ他の基質へと転移させる。グルカンホスホリラーゼは、α−1,6−グルコシド結合を切断することができないので、グルカンホスホリラーゼを澱粉に充分に長時間作用させると、α−1,6−グルコシド結合の部分で切断が終わった分解物が得られる。本発明では、澱粉ホスホリラーゼ分解物の有する糖単位数は、好ましくは約10〜約100,000、より好ましくは約50〜約50,000、さらにより好ましくは約100〜約10,000である。澱粉ホスホリラーゼ分解物は、分解された澱粉の種類によって得られる分解産物の分子量の分布が異なり得る。澱粉ホスホリラーゼ分解物は、種々の長さの糖鎖の混合物であり得る。
デキストリンおよび澱粉部分加水分解物は、澱粉を、酸、アルカリ、酵素などの作用によって部分的に分解して得られる分解物をいう。本発明では、デキストリンおよび澱粉部分加水分解物の有する糖単位数は、好ましくは約10〜約100,000、より好ましくは約50〜約50,000、さらにより好ましくは約100〜約10,000である。デキストリンおよび澱粉部分加水分解物の場合、分解された澱粉の種類によって得られる分解産物の分子量の分布が異なり得る。デキストリンおよび澱粉部分加水分解物は、種々の長さを持つ糖鎖の混合物であり得る。
澱粉は、可溶性澱粉、ワキシー澱粉、ハイアミロース澱粉、澱粉枝切り酵素分解物、澱粉ホスホリラーゼ分解物、澱粉部分加水分解物、化工澱粉、およびこれらの誘導体からなる群から選択されることが好ましい。
本明細書中で「環状構造を有するグルカン」とは、α−1,4結合および/またはα−1,6結合で結合したグルコシル残基から形成される環状構造を有するグルカンをいう。重合度6以上のものが公知であり使用可能である。例えば、重合度6、7または8の環状グルカンは、デンプンなどに酵素CGTaseを作用させることにより容易に得られる。
環状構造を有するグルカンの重合度は、環状構造を有する限り、任意であり得る。環状構造を有するグルカンの重合度の下限は、例えば、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20などであり得る。環状構造を有するグルカンの重合度の上限は、例えば、10,000、9,000、8,000、7,000、6,000、5,000、4,000、3,000、2,000、1,000、500、400、300、200、100、50などであり得る。
高分子量環状グルカンの例としては、江崎グリコ株式会社から販売されている高分子量環状グルカンが挙げられる。
本発明で用いられる高分子量環状グルカンは、14〜5000個のα−1,4−グルコシド結合により構成される環状構造を分子内に1つ有するグルカンであって、該グルカンが、(i)α−1,4−グルコシド結合のみで構成される環状構造に加えて非環状構造を有するグルカン、(ii)α−1,4−グルコシド結合と少なくとも1個のα−1,6−グルコシド結合とで構成される環状構造に加えて非環状構造を有するグルカン、(iii)α−1,4−グルコシド結合のみで構成される環状構造のみを有するグリカン、および(iv)α−1,4−グルコシド結合と少なくとも1個のα−1,6−グルコシド結合とで構成される環状構造のみを有するグルカン、からなる群より選択される、グルカンであり得る。このような高分子量環状グルカンおよびその製造方法は、特許第3150266号に詳細に記載されている。
本発明で用いられるこのような高分子量環状グルカンは、重量平均重合度が14以上であれば、任意の重合度のものを用い得る。高度分岐環状グルカンの重量平均重合度は好ましくは、約50以上であり、より好ましくは約80以上であり、さらに好ましくは約100以上であり、最も好ましくは約200以上である。高度分岐環状グルカンの重量平均重合度に特に上限はないが、例えば、約5,000以下、約4,000以下、約3,000以下、約2,000以下、約1,000以下などであり得る。
このような高分子量環状グルカンに存在する環状構造部分における重量平均重合度は、好ましくは、約10以上であり、好ましくは約20以上であり、より好ましくは約30以上であり、最も好ましくは約40以上である。このような高分子量環状グルカンに存在する環状構造部分における重量平均重合度は、好ましくは、約500以下であり、好ましくは約400以下であり、より好ましくは約300以下であり、特に好ましくは約200以下であり、最も好ましくは約100以下である。
高度分岐環状グルカンの例としては、江崎グリコ株式会社から販売されている高度分岐環状グルカンが挙げられる。
本明細書中では、「高度分岐環状グルカン」とは、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有する、重合度が50以上であるグルカンをいう。高度分岐環状グルカンおよびその製造方法は、特開平8−134104号(特許第3107358号)に詳細に記載されている。
本発明で用いられる高度分岐環状グルカンは、内分岐環状構造部分に1つと外分岐構造部分とを合わせて分子全体として少なくとも2つの分岐を有すればよい。
本発明で用いられる高度分岐環状グルカンは、重量平均重合度が50以上であれば、任意の重合度のものであり得る。高度分岐環状グルカンの重量平均重合度は好ましくは、約50以上であり、より好ましくは約80以上であり、さらに好ましくは約100以上であり、最も好ましくは約200以上である。高度分岐環状グルカンの重量平均重合度に特に上限はないが、例えば、約10,000以下、約8,000以下、約7,000、約6,000以下、約5,000以下、約4,000以下、約3,000以下、約2,000以下、約1,000以下などであり得る。
高度分岐環状グルカンに存在する内分岐環状構造部分における重量平均重合度は、好ましくは、約10以上であり、好ましくは約20以上であり、より好ましくは約30以上であり、最も好ましくは約40以上である。高度分岐環状グルカンに存在する内分岐環状構造部分における重量平均重合度は、好ましくは、約500以下であり、好ましくは約400以下であり、より好ましくは約300以下であり、特に好ましくは約200以下であり、最も好ましくは約100以下である。
高度分岐環状グルカンに存在する外分岐構造部分における重量平均重合度は、好ましくは約40以上であり、より好ましくは約100以上、さらに好ましくは約300以上、さらにより好ましくは約500以上である。なお、この「外分岐構造部分における重量平均重合度」とは、1つの内分岐環状構造部分に結合している複数の外分岐構造部分の重合度の合計である。外分岐構造部分における重量平均重合度の上限は特にないが、例えば、約10,000以下、約9,000以下、約8,000以下、約7,000以下、約6,000以下、約5,000以下、約4,000以下、約3,000以下、約2,000以下、約1,000以下、約500以下などであり得る。
1つの内分岐環状構造部分に結合している複数の外分岐構造部分の数は、少なくとも1個であれば任意の数であり得る。1つの内分岐環状構造部分に結合している外分岐構造部分の数は、内分岐環状構造部分の重合度に依存して、例えば、1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上などであり得る。高度分岐環状グルカンに存在する、1つの内分岐環状構造部分に結合している外分岐構造部分の数は、内分岐環状構造部分の重合度に依存して、例えば、約200個以下、約150個以下、約100個以下、約50個以下、約40個以下、約30個以下、約20個以下、約10個以下などであり得る。
高度分岐環状グルカンに存在する、内分岐環状構造部分のα−1,6−グルコシド結合は少なくとも1個あればよく、例えば、1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上などであり得る。高度分岐環状グルカンに存在する、内分岐環状構造部分のα−1,6−グルコシド結合は例えば、約200個以下、約150個以下、約100個以下、約50個以下、約40個以下、約30個以下、約20個以下、約10個以下などであり得る。
高度分岐環状グルカンは、1種類の重合度のものを単独で用いてもよいし、種々の重合度のものの混合物として用いてもよい。好ましくは、高度分岐環状グルカンの重合度は、最大の重合度のものと最小の重合度のものとの重合度の比が約100以下、より好ましくは約50以下、さらにより好ましくは約10以下である。
タンパク質としては、任意のタンパク質を用い得る。タンパク質は、植物性タンパク質であっても動物性タンパク質であってもよい。タンパク質の例としては、ダイズタンパク質、ホエイプロテインおよびホエイタンパク質精製物(例えば、β−ラクトグロブリン精製物、α−ラクトアルブミン精製物または血清アルブミン精製物)が挙げられる。
アミノ酸としては、任意のアミノ酸を用い得る。アミノ酸は天然に存在する形態であることが好ましい。すなわち、L異性体とD異性体とが存在するアミノ酸については、L異性体であることが好ましい。アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、リジン、ヒドロキシリジン、アルギニン、システイン、シスチン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジン、プロリン、4−ヒドロキシプロリンおよびオルニチンからなる群より選択され得る。
グァーガム(グァーフラワー、グァルガム)、グァーガム酵素分解物、小麦胚芽、湿熱処理澱粉(難消化性澱粉)、水溶性大豆食物繊維(WSSF)、タマリンドシードガムおよびプルランは、厚生労働省による食物繊維素材のエネルギー換算係数において、エネルギー換算係数(kcal/g)が2であることが示されている。
本発明で用いられる中カロリー食材はこれらに限定されず、例えば、カボチャ、サツマイモ、ジャガイモなどの野菜として、または肉として、用いられてもよい。
(1.3 低カロリー食材)
本発明では、場合によって、低カロリー食材を用いることが好ましい。本明細書中では用語「低カロリー食材」とは、100gあたりエネルギー量が0kcal以上200kcal未満である食材をいう。
低カロリー食材の例としては、ミネラルオイル、多糖類、水および低カロリー甘味料が挙げられる。低カロリー食材としては、1種類のみを用いてもよく、これらを混合して用いてもよい。
ミネラルオイルとは、石油から得られる直鎖飽和炭化水素の混合物であり、わずかに臭うが、無色の液状で非揮発性である。ミネラルオイルは水に不溶である。ミネラルオイルは流動パラフィンとも呼ばれる。ミネラルオイルは化学的に安定な物質であり、通常の条件では酸化を受けない。
低カロリー食材として使用され得る多糖類は、100gあたりのエネルギー量が200kcalである多糖であれば任意の多糖であり得る。このような多糖の例としては、アラビアガム、カラヤガム、トラガントガム、グアガム、ローカストビーンガム、タラガム、サイリウム種皮、ペクチン、寒天粉末、カラギーナン、低分子化アルギン酸ナトリウム、グルコマンナン、キサンタンガム、ジェランガム、カードラン、セルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリデキストロース、難消化性デキストリン、ビートファイバー、グァーガム酵素分解物、難消化性澱粉、水溶性大豆食物繊維、カラゲナンなどが挙げられる。寒天粉末、キサンタンガム、低分子化アルギン酸ナトリウム、サイリウム種皮、ジェランガム、セルロースおよびポリデキストロースは、厚生労働省による食物繊維素材のエネルギー換算係数においても、エネルギー換算係数(kcal/g)が0であることが示されている。アラビアガム、難消化性デキストリンおよびビートファイバーは、エネルギー換算係数(kcal/g)が1であることが示されている。多糖類としては、1種類のみを用いてもよく、これらを混合して用いてもよい。
水は、軟水、中間水および硬水のいずれであってもよい。軟水とは、硬度20°以下の水をいい、中間水とは、硬度10°以上20°未満の水をいい、硬水とは、硬度10°以上の水をいう。水は、好ましくは軟水または中間水であり、より好ましくは軟水である。
低カロリー甘味料の例としては、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、マンニトール、パラチニットが挙げられる。エリスリトールは、ブドウ糖を原料とし、酵母を用いる発酵法により得られる甘味料であり、経口摂取されたエリスリトールの大部分は、小腸で吸収された後、代謝されることなく速やかに尿中に排泄されるので、エネルギーを有さない。難消化性糖質のエネルギー換算係数においても、エネルギー換算係数(kcal/g)が0であることが示されている。エリスリトールは、多数の会社によって販売されており、市販の製品を利用し得る。
(1.4 分散剤または乳化剤)
本発明の飲食品が水を主成分とする飲食品の場合、分散剤または乳化剤を使用することが好ましい。分散剤または乳化剤は、当該分野で公知の任意の分散剤または乳化剤であり得る。
分散剤および乳化剤の例としては、シュガーエステル、キタンサンガム、グアーガムおよびレシチン等が挙げられる。
(1.5 他の食材)
本発明の飲食品においては、遊離脂肪酸またはその塩による油脂代用効果を妨害しない限り、必要に応じて他の食材を含むことができる。他の食材としては、脂質(例えば、油脂)、米、麺類、具材、甘味料、酸味料、香料、色素、保存料、pH安定剤、調味料、ビタミン、ポリフェノールおよびミネラルが挙げられる。これらの他の食材は、そのエネルギー量により、上記の中カロリー食材または低カロリー食材に分類され得る。また、これらの食材には、中カロリー食材と分類される成分が含まれ得るが、このような成分の量は、中カロリー食材の含有量として計算される。これらの食材には、低カロリー食材と分類される成分が含まれ得るが、このような成分の量は、低カロリー食材の含有量として計算される。
本発明においては、通常の油脂の約100分の1の量の遊離脂肪酸で油脂を代用し得るが、本発明の飲食品は、一部油脂を含んでいてもよい。このような油脂は、一般に用いられる任意の油脂であり得る。このような油脂は、天然の油脂であってもよいし、半合成油脂であってもよいし、合成油脂であってもよい。このような油脂は単独で用いられても、混合して用いられてもよい。例えば、通常のチョコレートの原料に用いられているカカオバターは、複数種の油脂の混合物である。一般に、天然の油脂は、複数種の油脂の混合物である。純粋な油脂に夾雑物(例えば、種類の異なる油脂)が混ざると純粋な油脂の融点よりも融点が下がる傾向がある。
天然の油脂は、油脂原料を脱脂することによって得られ得る。天然の油脂の製造方法および入手方法は当業者に公知である。例えば、ココアバターは、原料のカカオ豆を選別し、焙焼し、種皮と胚乳(ニブ)とを分離し、ニブを磨砕機によってすりつぶしてカカオマスを得て、このカカオマスを脱脂することによって得られる。ココアバターは、天然から得られる材料であるので、チョコレートなどの高級感を出すために有用である。天然の油脂の例としては、ココアバター、ヤシ油、パーム油、パーム核油、菜種油などが挙げられる。
半合成油脂は、例えば、原料の油脂に水素添加することによって合成され得る。天然の油脂の価格および供給が一般に不安定であるのに比べて、半合成油脂は価格も安く供給も安定していることが多いという利点がある。半合成油脂の合成方法は、当業者に公知である。半合成油脂の例としては、硬化ヤシ油、硬化パーム油、硬化大豆油、硬化菜種油などが挙げられる。
合成油脂の合成方法は、当業者に公知である。天然の油脂および半合成油脂の組成は比較的変動しやすいのに比べて、合成油脂は、組成が均一なものを得ることができるという利点がある。
本明細書中では、用語「脂質」とは、水に不溶であるが、エーテル、クロロホルムなどの有機溶媒に可溶で、生体内で代謝される成分の総称である。このうち、栄養上重要なものは下記のとおりである。
・脂肪酸:炭化水素にCOOH基がついたもの
・脂肪:グリセリンに脂肪酸が結合したもの。脂肪酸3分子が結合したものが、トリグリセリドで中性脂肪という。グリセリンに脂肪酸2分子が結合したものであってもよい。
・リン脂質:グリセリンに脂肪酸2分子とリン酸−塩基が1分子結合したもの
・糖脂質:脂肪酸、長鎖塩基などからなる疎水性部分と、ヘキソース、またはその類縁化合物などからなる。
親水性部分からなる脂質としては、例えば、以下のものがある。
・ステロール類:4個の炭化水素からなるステロイド核を持つ物質。コレステロールなど。好ましくは、脂質とは、長鎖の脂肪族炭化水素およびその誘導体をいう。脂質は好ましくは油脂である。例えば、脂肪酸,アルコール,アミン,アミノアルコール,アルデヒドなどが例示される。油脂以外の脂質の例としては、グリセロール、ジアシルグリセロール、脂肪リン脂質、ステロール、脂溶性ビタミン、プロスタグランジンなどが挙げられる。
米は、目的とする食品に通常含まれる任意の米であり得る。米は、炊飯後の状態で含まれてもよく、喫食前にその食品が調理されるのであれば、本発明の食品に未加熱の状態で含まれていてもよい。米とは、イネの種子から籾殻を除去したもの(すなわち、玄米)およびその加工品をいう。米としては、精白米、玄米、胚芽米、発芽玄米が挙げられる。米は、精白米であることが好ましい。米は、ジャポニカ米であっても、インディカ米であってもよい。米は、ジャポニカ米であることが好ましい。
麺類は、目的とする食品に通常含まれる任意の麺類であり得る。麺類の例としては、うどん(生麺および乾麺を含む)、そうめん(生麺および乾麺を含む)、中華麺(生麺および乾麺を含む)、そば(生麺および乾麺を含む)、マカロニ(生の状態および乾いた状態を含む)、スパゲッティ(生麺および乾麺を含む)が挙げられる。
具材は、目的とする飲食品に通常含まれる任意の具材であり得る。具材の例としては、シイタケ、キクラゲ、シメジ、マツタケ、ナラタケ、エリンギ、エノキダケなどのキノコ類;ニンジン、ジャガイモ、サツマイモ、カボチャ、トウモロコシ、ゴボウ、コンニャク、タマネギ、ネギ、チャイブス、ホウレンソウ、チンゲンサイ、キャベツ、ミツバ、ニラ、タケノコ、トマト、山菜(例えば、ゼンマイおよびワラビ)などの野菜;グリーンピース、アズキ、ソラマメ、エンドウマメ、ダイズなどの豆類;牛肉、豚肉、鶏肉などの肉類;エビ、カニ、サケ、ホタテ、タラコ等の魚介類;鶏卵(例えば、全卵、卵白、卵黄およびそれらの加工品)などの卵類;ソーセージ、ハム、ベーコン、ミンチ肉等の畜産加工品類;イチゴ、キウイ、ブルーベリー、バナナなどの果実;ワカメ、コンブなどの海藻が挙げられる。
甘味料としては、当該分野で用いられる任意の香料が用いられ得る。
酸味料としては、当該分野で用いられる任意の酸味料が用いられ得る。
香料としては、当該分野で用いられる任意の香料が用いられ得る。香料の例としては、果実系香料、ハーブ系香料、黒糖系香料、ピーナッツ系香料が挙げられる。
色素としては、当該分野で用いられる任意の色素が用いられ得る。色素の例としては、アントシアニン系色素、フラボノイド系色素、ベタシアニン系色素などが挙げられる。具体的な色素名の例としては、クチナシ色素、ベニバナ色素、ウコン色素、ベニコウジ色素、カロテン、アナトー色素、パプリカ色素、デュナリエラ色素、パーム油色素、シタン色素、ビートレッド、コチニール色素、ラック色素、シソ色素、アカカヤベツ色素、アカダイコン色素、ムラサキイモ色素、ムラサキトウモロコシ色素、ブドウ果皮色素、ブドウ果汁色素、ブルーベリー色素、エルダーベリー色素、クロロフィル、スピルリナ色素、カカオ色素、タマリンド色素、カキ色素、コウリャン色素、炭末色素、アカネ色素、ボイセンベリー色素、ハイビスカス色素、タマネギ色素および食用合成色素(黄色4号、黄色5号、赤色2号、赤色3号、赤色40号、赤色102号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、青色1号、青色2号)が挙げられる。
保存料としては、当該分野で用いられる任意の保存料が用いられ得る。
pH安定剤としては、当該分野で用いられる任意のpH安定剤が用いられ得る。
調味料としては、当該分野で用いられる任意の調味料が用いられ得る。調味料の例としては、例えば、醤油、ソース、油、酒、食塩、酢、アミノ酸調味料、核酸調味料、コンソメなどが挙げられる。調味料の形態は、生、乾燥品、ペースト、ピューレ、粉末等の任意の形態であってよい。なお、本明細書中では、糖質および甘味料は調味料の概念に含まれない。
ビタミンとしては、当該分野で用いられる任意のビタミンが用いられ得る。ビタミンの例としては、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、パントテン酸および葉酸が挙げられる。
ポリフェノールとしては、当該分野で用いられる任意のポリフェノールが用いられ得る。ポリフェノールの例としては、例えば、カテキン、タンニン、ウーロン茶ポリフェノール、クロロゲン酸、カカオマスポリフェノール、フラボノイド(例えば、アントシアニン、ヘスペリジン、ネオヘスペリジン、ルチン、ナリンジン、ケルセチン、イソフラボンおよびナリンゲニン)が挙げられる。
ミネラルとしては、当該分野で用いられる任意のミネラルが用いられ得る。ミネラルの例としては、カルシウム、鉄、亜鉛およびマグネシウムが挙げられる。
酸化防止剤としては、当該分野で用いられる任意の酸化防止剤が用いられ得る。酸化防止剤の例としては、アスコルビン酸、トコフェロール、ヘスペレチン、ルチン、酵素処理ルチン、カテキン、オリザノール、ジブチルヒドロキシトルエン、および亜硫酸塩が挙げられる。
(2.本発明の飲食品およびその製造方法)
本発明の飲食品は、遊離脂肪酸またはその塩をある量で含有するので、その量で含有していない通常の飲食品と比較して嗜好性が非常に高い。遊離脂肪酸は、通常油脂が使用される飲食品に油脂の代用品として添加されてもよく、あるいは、通常は油脂を含まない飲食品に添加されてもよい。
本発明の飲食品は、任意の形態であり得る。本発明の飲食品は、例えば、固体状(例えば、粉末状、ブロック状など)、半固体状(例えば、スラリー状、ゲル状など)または液状であり得る。特定の場合には、本発明の飲食品は、粉末または液状であることが好ましい。
本発明の飲食品は、食品または飲料である。食品の例としては、以下が挙げられる:米・麦・小麦粉製品(例えば、ごはん、もち、てんぷら粉、パン、麺、パスタ、ビーフン);いも及びでんぷん食品(例えば、くずきり、はるさめ);甘味料類(例えば、角砂糖、粉飴);菓子類(例えば、スナック菓子、クラッカー、ビスケット、クッキー、ケーキ、パイ、カステラ、ウエハース、ボーロ、チョコレート、チョコレート菓子、キャラメル、キャンディー、錠菓、清涼菓子、チューインガム、ゼリー、ゼリー菓子、プリン、ブランマンジェ、米菓子、豆菓子、甘納豆、ようかん、くずもち、しるこ、中華まん、シリアル、クッキーミックス、プリンミックス、ゼリーミックス);アイスクリーム類(例えば、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、氷菓);油脂類(例えば、植物油、バター、マーガリン、治療用油脂);種実類(例えば、ごま、ねりごま、松の実);大豆・大豆製品(例えば、大豆水煮、豆腐、みそ);魚介・練製品(例えば、水産練製品、かずのこ、くらげ);畜産加工品(例えば、ハム、ソーセージ、ベーコン、ミートローフ);卵類(例えば、ゆで卵、温泉卵、スモーク卵);乳製品(例えば、ヨーグルト、チーズ、クリーム、粉乳、練乳);野菜・きのこ類(例えば、漬物、やまいもパウダー);果実加工品・ペースト類(例えば、ドライフルーツ、ジャム、マーマレード、フルーツうらごし、マッシュ、フルーツソース、ペースト、あん);海藻類(例えば、のり、こんぶ、わかめ、もずく、海藻サラダ);調味料類(例えば、しょうゆ、食酢、ソース類、マヨネーズ類、ドレッシング類、ケチャップ類、ルウ、みりん、料理酒、だしの素、つゆ、たれ、ごはんの素、ミックス調味料、漬け物の素、味付塩こしょう);香辛料類(例えば、からし、こしょう、さんしょう、しょうが、とうがらし、にんにく、わさび、カレー粉、花、椒五香粉、ゆずみそ);半料理・調理済食品(例えば、かゆ、ごはんの素、ハンバーグ、ミートボール、チキンナゲット、カレー、シチュー、ピザ、グラタン、スパゲティ、焼そば、肉まん、中華惣菜、卵豆腐、茶碗蒸し、ファーストフード);冷凍食品(例えば、米飯類、グラタン、ピザ、めん類、いも製品、大豆製品、魚介料理、肉料理、卵料理、惣菜、菓子類、ミックスベジタブル);缶詰・びん詰類(例えば、種実類、豆類、魚介類、肉類、野菜類、果実類、きのこ類、ソース類、デザート、スープ類、植物たんぱく製品、治療用缶詰);即席食品(例えば、袋入りめん類、生タイプめん類、カップめん、ごはん類、カレー、シチュー、スープ、ソース、ごはんの素、植物たんぱく食品);煮豆・佃煮類(例えば、煮豆、しいたけのり、なめたけ);ふりかけ・そぼろ(例えば、かつおふりかけ、ゆかり、お茶漬け、そぼろ);ベビーフード(例えば、米・めん料理、魚料理、肉料理、卵料理、乳製品料理、野菜料理、スープ、フルーツ、ジュース、水分補給飲料、茶、デザート、菓子、ソース、ふりかけ);粉乳(例えば、一般調整粉乳、特殊調整粉乳、妊婦・授乳婦用粉乳);経腸栄養食品(例えば、経腸栄養剤、濃厚流動食、栄養補給・栄養補助食品、経腸栄養剤・濃厚流動食用フレーバー、デザート);その他の食品(例えば、栄養補助食品、ブレンダー食、とろみ食品、検査用食品、シリアル食品、スポーツ用食品、非常食)。
なお、チューインガム、茶葉のように最終的に飲み込まない部分がある食品については、遊離脂肪酸、低カロリー食材、中カロリー食材などの含有量は、飲み込まれない部分(例えば、チューインガムの場合はガムベース)の量を除外して計算される。
飲料類の例としては、以下が挙げられる:乳、乳飲料、豆乳、豆乳飲料、ジュース、炭酸飲料、コーヒー、ココア、茶、アルコール飲料、スポーツドリンク、栄養ドリンク、ミネラルウォーター、しるこ、ドリンクスープ。
本発明の飲食品は、製造の任意の段階で遊離脂肪酸またはその塩(および必要に応じて糖質、タンパク質、アミノ酸または脂質)を添加すること以外は、その飲食品の通常の原料から通常の手順で、通常の組成で製造され得る。遊離脂肪酸またはその塩および必要に応じて糖質、タンパク質、アミノ酸または脂質)は、例えば、直接まぶす、砂糖、食塩等の粉体に分散して噴霧する、水、だし等の液体に溶解して浸漬または噴霧するなど、当該分野で公知の任意の方法によって食品に添加され得る。また、食品が、シュークリーム、アンパンなどのように複数の異なる組成を有する部分から構成される場合、遊離脂肪酸は複数の部分のうちのいずれか1つの部分に含まれてもよく、複数の部分のうちのいくつかの部分に含まれていてもよく、全ての部分に含まれていてもよい。
添加方法としては、使用する遊離脂肪酸の全量を一度に飲食品中に投入してもよく、時間をかけて少量ずつ投入してもよい。遊離脂肪酸を添加するタイミングは、飲食品の加熱前、加熱中または加熱後のいずれであってもよい。添加の際もしくは添加の後には、必要に応じて飲食品の撹拌を行って、飲食品中の材料全体の表面に均一に遊離脂肪酸を接触させるようにすることが好ましい。
(2.1 遊離脂肪酸またはその塩を含有する、高嗜好性の飲食品)
1つの実施形態では、本発明の飲食品は、飲食品の総重量のうちに、約0.01重量%〜約10重量%の遊離脂肪酸またはその塩を含有する、高嗜好性飲食品である。
この実施形態では、高嗜好性飲食品に含まれる遊離脂肪酸またはその塩の含有量は、好ましくは約0.01重量%以上であり、より好ましくは約0.05重量%以上であり、さらに好ましくは約0.1重量%以上であり、特に好ましくは約0.5重量%以上であり、最も好ましくは約1.0重量%以上である。この実施形態では、高嗜好性飲食品に含まれる遊離脂肪酸またはその塩の含有量は、好ましくは約10重量%以下であり、より好ましくは約8重量%以下であり、さらに好ましくは約5重量%以下であり、特に好ましくは約4重量%以下であり、最も好ましくは約3重量%以下である。
好ましい遊離脂肪酸の種類については、上記1.1に記載の通りである。また、遊離脂肪酸が不飽和脂肪酸である場合、不飽和脂肪酸の酸化を防止するために、高嗜好性飲食品は酸化防止剤を含有することが好ましい。酸化防止剤の含有量は、その飲食品に応じて適切に設定され得る。
酸化防止剤の含有量は、不飽和脂肪酸1gあたり、1つの実施形態では0.001g以上であり、好ましくは0.01g以上であり、より好ましくは0.1g以上であり、さらに好ましくは0.5g以上であり、最も好ましくは1.0g以上である。酸化防止剤の含有量は、不飽和脂肪酸1gあたり、好ましくは100g以下であり、より好ましくは10g以下であり、さらに好ましくは5g以下であり、最も好ましくは3g以下である。
酸化防止剤の含有量は、飲食品の全体量を基準として、好ましくは0.01重量%以上であり、より好ましくは0.1重量%以上であり、さらに好ましくは0.5重量%以上であり、最も好ましくは1重量%以上である。酸化防止剤の含有量は、飲食品の全体量を基準として、好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは10重量%以下であり、さらに好ましくは5重量%以下であり、最も好ましくは3重量%以下である。
酸化防止剤の含有量は、飲食品の固形分を基準として、好ましくは0.1重量%以上であり、より好ましくは1重量%以上であり、さらに好ましくは5重量%以上であり、最も好ましくは10重量%以上である。酸化防止剤の含有量は、飲食品の固形分を基準として、好ましくは90重量%以下であり、より好ましくは50重量%以下であり、さらに好ましくは30重量%以下であり、最も好ましくは20重量%以下である。
高嗜好性飲食品は、特定の場合には、糖質、タンパク質、アミノ酸または脂質を含有することが好ましい。糖質、タンパク質、アミノ酸および脂質の好ましい種類については、上記1.2および1.5に記載の通りである。糖質、タンパク質、アミノ酸および脂質の含有量は、その飲食品に応じて適切に設定され得る。
糖質、タンパク質、アミノ酸および脂質の含有量の合計は、飲食品の全体量を基準として、好ましくは1重量%以上であり、より好ましくは5重量%以上であり、さらに好ましくは10重量%以上であり、最も好ましくは15重量%以上である。糖質、タンパク質、アミノ酸および脂質の含有量の合計は、飲食品の全体量を基準として、好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは40重量%以下であり、さらに好ましくは30重量%以下であり、最も好ましくは20重量%以下である。
糖質、タンパク質、アミノ酸および脂質の含有量の合計は、飲食品の固形分を基準として、好ましくは1重量%以上であり、より好ましくは5重量%以上であり、さらに好ましくは10重量%以上であり、最も好ましくは20重量%以上である。糖質、タンパク質、アミノ酸および脂質の含有量の合計は、飲食品の固形分を基準として、好ましくは90重量%以下であり、より好ましくは75重量%以下であり、さらに好ましくは50重量%以下であり、最も好ましくは30重量%以下である。
糖質、タンパク質、アミノ酸および脂質の含有量の合計は、遊離脂肪酸1gあたり、好ましくは5g以上であり、より好ましくは10g以上であり、さらに好ましくは15g以上であり、最も好ましくは20g%以上である。糖質、タンパク質、アミノ酸および脂質の含有量の合計は、遊離脂肪酸1gあたり、好ましくは100g以下であり、より好ましくは50g以下であり、さらに好ましくは25g以下であり、最も好ましくは15g以下である。
(2.2 遊離脂肪酸またはその塩と、中カロリー食材とを含有する、ある程度カロリーが低く、高嗜好性でかつ長期にわたって好まれる飲食品)
1つの実施形態では、本発明の飲食品は、100gあたりのカロリーが30kcal〜600kcalの飲食品であって、該飲食品は、0.01重量%〜10重量%の遊離脂肪酸またはその塩と、中カロリー食材を含有し、該中カロリー食材のエネルギー量が100gあたり200kcal〜600kcalである、飲食品である。
この実施形態では、飲食品に含まれる遊離脂肪酸またはその塩の含有量は、好ましくは約0.01重量%以上であり、より好ましくは約0.05重量%以上であり、さらに好ましくは約0.1重量%以上であり、特に好ましくは約0.5重量%以上であり、最も好ましくは約1.0重量%以上である。この実施形態では、飲食品に含まれる遊離脂肪酸またはその塩の含有量は、好ましくは約10重量%以下であり、より好ましくは約8重量%以下であり、さらに好ましくは約5重量%以下であり、特に好ましくは約4重量%以下であり、最も好ましくは約3重量%以下である。
好ましい遊離脂肪酸の種類については、上記1.1に記載の通りである。また、遊離脂肪酸が不飽和脂肪酸である場合、不飽和脂肪酸の酸化を防止するために、飲食品は酸化防止剤を含有することが好ましい。酸化防止剤の含有量は、その飲食品に応じて適切に設定され得る。
酸化防止剤の含有量は、不飽和脂肪酸1gあたり、1つの実施形態では0.001g以上であり、好ましくは0.01g以上であり、より好ましくは0.1g以上であり、さらに好ましくは0.5g以上であり、最も好ましくは1.0g以上である。酸化防止剤の含有量は、不飽和脂肪酸1gあたり、好ましくは100g以下であり、より好ましくは10g以下であり、さらに好ましくは5g以下であり、最も好ましくは3g以下である。
酸化防止剤の含有量は、飲食品の全体量を基準として、好ましくは0.01重量%以上であり、より好ましくは0.1重量%以上であり、さらに好ましくは0.5重量%以上であり、最も好ましくは1重量%以上である。酸化防止剤の含有量は、飲食品の全体量を基準として、好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは10重量%以下であり、さらに好ましくは5重量%以下であり、最も好ましくは3重量%以下である。
酸化防止剤の含有量は、飲食品の固形分を基準として、好ましくは0.1重量%以上であり、より好ましくは1重量%以上であり、さらに好ましくは5重量%以上であり、最も好ましくは10重量%以上である。酸化防止剤の含有量は、飲食品の固形分を基準として、好ましくは90重量%以下であり、より好ましくは50重量%以下であり、さらに好ましくは30重量%以下であり、最も好ましくは20重量%以下である。
飲食品に含まれる中カロリー食材については、上記1.2に記載の通りである。中カロリー食材の含有量は、その飲食品に応じて適切に設定され得る。
中カロリー食材の含有量の合計は、飲食品の全体量を基準として、好ましくは1重量%以上であり、より好ましくは5重量%以上であり、さらに好ましくは10重量%以上であり、最も好ましくは15重量%以上である。中カロリー食材の含有量の合計は、飲食品の全体量を基準として、好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは40重量%以下であり、さらに好ましくは30重量%以下であり、最も好ましくは20重量%以下である。
中カロリー食材の含有量の合計は、飲食品の固形分を基準として、好ましくは1重量%以上であり、より好ましくは3重量%以上であり、さらに好ましくは5重量%以上であり、最も好ましくは10重量%以上である。中カロリー食材の含有量の合計は、飲食品の固形分を基準として、好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは40重量%以下であり、さらに好ましくは30重量%以下であり、最も好ましくは20重量%以下である。
中カロリー食材の含有量の合計は、遊離脂肪酸1gあたり、好ましくは1g以上であり、より好ましくは5g以上であり、さらに好ましくは10g以上であり、最も好ましくは20g%以上である。中カロリー食材の含有量の合計は、遊離脂肪酸1gあたり、好ましくは40g以下であり、より好ましくは35g以下であり、さらに好ましくは30g以下であり、最も好ましくは25g以下である。
飲食品はまた、低カロリー食材を含んでもよい。低カロリー食材については、上記1.3に記載の通りである。低カロリー食材の含有量は、その飲食品に応じて適切に設定され得る。
低カロリー食材の含有量の合計は、飲食品の全体量を基準として、好ましくは1重量%以上であり、より好ましくは5重量%以上であり、さらに好ましくは10重量%以上であり、最も好ましくは15重量%以上である。低カロリー食材の含有量の合計は、飲食品の全体量を基準として、好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは40重量%以下であり、さらに好ましくは30重量%以下であり、最も好ましくは20重量%以下である。
低カロリー食材の含有量の合計は、飲食品の固形分を基準として、好ましくは1重量%以上であり、より好ましくは3重量%以上であり、さらに好ましくは5重量%以上であり、最も好ましくは10重量%以上である。中カロリー食材の含有量の合計は、飲食品の固形分を基準として、好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは40重量%以下であり、さらに好ましくは30重量%以下であり、最も好ましくは20重量%以下である。
低カロリー食材の含有量の合計は、遊離脂肪酸1gあたり、好ましくは1g以上であり、より好ましくは5g以上であり、さらに好ましくは10g以上であり、最も好ましくは20g%以上である。中カロリー食材の含有量の合計は、遊離脂肪酸1gあたり、好ましくは40g以下であり、より好ましくは35g以下であり、さらに好ましくは30g以下であり、最も好ましくは25g以下である。
(2.3 低カロリー飲食品であって、遊離脂肪酸またはその塩を含む、飲食品)
1つの実施形態では、本発明の飲食品は、低カロリー飲食品である。1つの実施形態では、本発明の飲食品は、ゼロカロリー飲食品である。
本明細書中では、用語「ゼロカロリー飲食品」とは、100gあたりのエネルギー量が5kcal以下である飲食品をいう。本明細書中では、用語「低カロリー飲食品」とは、100gあたりのエネルギー量が、飲料の場合は20kcal以下、食品の場合は40kcal以下である飲食品をいう。すなわち、低カロリー飲食品は、ゼロカロリー飲食品を包含する。ゼロカロリー飲食品は、ノンカロリー飲食品ともいわれる。健康増進法によれば、栄養成分が少ないことを強調する表示の基準として、「低」、「軽」、「ひかえめ」、「低減」、「カット」などのエネルギー表示が可能である。また、「無」、「ゼロ」、「ノン」などのエネルギー表示は、100gあたりのエネルギーが5kcal以下とされている。ゼロカロリー飲食品または低カロリー食品のカロリー数は、当該分野で公知の方法に従って実際に測定されてもよく、あるいは、食品成分表および厚生労働省によるエネルギー換算計数に基づいて計算されてもよい。
本発明の低カロリー飲食品の100gあたりのエネルギー量は、好ましくは約40kcal以下であり、より好ましくは約30kcal以下であり、さらに好ましくは約20kcal以下であり、特に好ましくは約10kcal以下であり、とりわけ好ましくは約5kcal以下であり、そして最も好ましくは約0kcalである。
この実施形態では、飲食品に含まれる遊離脂肪酸またはその塩の含有量は、好ましくは約0.01重量%以上であり、より好ましくは約0.05重量%以上であり、さらに好ましくは約0.1重量%以上であり、特に好ましくは約0.5重量%以上であり、最も好ましくは約1.0重量%以上である。この実施形態では、飲食品に含まれる遊離脂肪酸またはその塩の含有量は、好ましくは約4重量%以下であり、より好ましくは約3重量%以下であり、さらに好ましくは約2重量%以下であり、特に好ましくは約1.5重量%以下であり、最も好ましくは約1重量%以下である。
好ましい遊離脂肪酸の種類については、上記1.1に記載の通りである。また、遊離脂肪酸が不飽和脂肪酸である場合、不飽和脂肪酸の酸化を防止するために、飲食品は酸化防止剤を含有することが好ましい。酸化防止剤の含有量は、その飲食品に応じて適切に設定され得る。
酸化防止剤の含有量は、不飽和脂肪酸1gあたり、1つの実施形態では0.001g以上であり、好ましくは0.01g以上であり、より好ましくは0.1g以上であり、さらに好ましくは0.5g以上であり、最も好ましくは1.0g以上である。酸化防止剤の含有量は、不飽和脂肪酸1gあたり、好ましくは100g以下であり、より好ましくは10g以下であり、さらに好ましくは5g以下であり、最も好ましくは3g以下である。
酸化防止剤の含有量は、飲食品の全体量を基準として、好ましくは0.01重量%以上であり、より好ましくは0.1重量%以上であり、さらに好ましくは0.5重量%以上であり、最も好ましくは1重量%以上である。酸化防止剤の含有量は、飲食品の全体量を基準として、好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは10重量%以下であり、さらに好ましくは5重量%以下であり、最も好ましくは3重量%以下である。
飲食品に含まれる中カロリー食材については、上記1.2に記載の通りである。中カロリー食材の含有量は、その飲食品に応じて適切に設定され得る。
中カロリー食材の含有量の合計は、飲食品の全体量を基準として、好ましくは1重量%以上であり、より好ましくは5重量%以上であり、さらに好ましくは10重量%以上であり、最も好ましくは15重量%以上である。中カロリー食材の含有量の合計は、飲食品の全体量を基準として、好ましくは8重量%以下であり、より好ましくは7重量%以下であり、さらに好ましくは6重量%以下であり、最も好ましくは5重量%以下である。
中カロリー食材の含有量の合計は、飲食品の固形分を基準として、好ましくは1重量%以上であり、より好ましくは3重量%以上であり、さらに好ましくは5重量%以上であり、最も好ましくは10重量%以上である。中カロリー食材の含有量の合計は、飲食品の固形分を基準として、好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは40重量%以下であり、さらに好ましくは30重量%以下であり、最も好ましくは20重量%以下である。
中カロリー食材の含有量の合計は、遊離脂肪酸1gあたり、好ましくは1g以上であり、より好ましくは5g以上であり、さらに好ましくは10g以上であり、最も好ましくは20g%以上である。中カロリー食材の含有量の合計は、遊離脂肪酸1gあたり、好ましくは40g以下であり、より好ましくは35g以下であり、さらに好ましくは30g以下であり、最も好ましくは25g以下である。
飲食品はまた、低カロリー食材を含んでもよい。低カロリー食材については、上記1.3に記載の通りである。低カロリー食材の含有量は、その飲食品に応じて適切に設定され得る。
低カロリー食材の含有量の合計は、飲食品の全体量を基準として、好ましくは10重量%以上であり、より好ましくは15重量%以上であり、さらに好ましくは20重量%以上であり、最も好ましくは30重量%以上である。低カロリー食材の含有量の合計は、飲食品の全体量を基準として、好ましくは90重量%以下であり、例えば、80重量%以下、70重量%以下、60重量%以下、50重量%以下などであり得る。
低カロリー食材の含有量の合計は、飲食品の固形分を基準として、好ましくは1重量%以上であり、より好ましくは3重量%以上であり、さらに好ましくは5重量%以上であり、最も好ましくは10重量%以上である。中カロリー食材の含有量の合計は、飲食品の固形分を基準として、好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは40重量%以下であり、さらに好ましくは30重量%以下であり、最も好ましくは20重量%以下である。
低カロリー食材の含有量の合計は、遊離脂肪酸1gあたり、好ましくは1g以上であり、より好ましくは5g以上であり、さらに好ましくは10g以上であり、最も好ましくは20g%以上である。中カロリー食材の含有量の合計は、遊離脂肪酸1gあたり、好ましくは40g以下であり、より好ましくは35g以下であり、さらに好ましくは30g以下であり、最も好ましくは25g以下である。
(3.油脂代用材料およびその製造方法)
本発明により、油脂の代わりに使用され得る油脂代用材料が提供される。本明細書中では用語「油脂代用材料」とは、油脂の代わりに使用される材料のことをいう。なお、油脂代用材料には、油脂は含まない。
油脂代用材料は、油脂の全量を置換して使用してもよく、油脂の一部を置換して(すなわち、油脂と混合して)使用してもよい。
本発明の油脂代用材料は、遊離脂肪酸またはその塩を含む。好ましい遊離脂肪酸の種類については、上記1.1に記載の通りである。
油脂代用材料に含まれる遊離脂肪酸またはその塩の含有量は、好ましくは約0.01重量%以上であり、より好ましくは約0.05重量%以上であり、さらに好ましくは約0.1重量%以上であり、特に好ましくは約0.5重量%以上であり、最も好ましくは約1.0重量%以上である。この実施形態では、高嗜好性飲食品に含まれる遊離脂肪酸またはその塩の含有量は、好ましくは約10重量%以下であり、より好ましくは約8重量%以下であり、さらに好ましくは約5重量%以下であり、特に好ましくは約4重量%以下であり、最も好ましくは約3重量%以下である
遊離脂肪酸が不飽和脂肪酸である場合、不飽和脂肪酸の酸化を防止するために、高嗜好性飲食品は酸化防止剤を含有することが好ましい。酸化防止剤の含有量は、その飲食品に応じて適切に設定され得る。
酸化防止剤の含有量は、不飽和脂肪酸1gあたり、1つの実施形態では0.001g以上であり、好ましくは0.01g以上であり、より好ましくは0.1g以上であり、さらに好ましくは0.5g以上であり、最も好ましくは1.0g以上である。酸化防止剤の含有量は、不飽和脂肪酸1gあたり、好ましくは100g以下であり、より好ましくは10g以下であり、さらに好ましくは5g以下であり、最も好ましくは3g以下である。
酸化防止剤の含有量は、飲食品の全体量を基準として、好ましくは0.01重量%以上であり、より好ましくは0.1重量%以上であり、さらに好ましくは0.5重量%以上であり、最も好ましくは1重量%以上である。酸化防止剤の含有量は、飲食品の全体量を基準として、好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは10重量%以下であり、さらに好ましくは5重量%以下であり、最も好ましくは3重量%以下である。
酸化防止剤の含有量は、飲食品の固形分を基準として、好ましくは0.1重量%以上であり、より好ましくは1重量%以上であり、さらに好ましくは5重量%以上であり、最も好ましくは10重量%以上である。酸化防止剤の含有量は、飲食品の固形分を基準として、好ましくは90重量%以下であり、より好ましくは50重量%以下であり、さらに好ましくは30重量%以下であり、最も好ましくは20重量%以下である。
より好ましい実施形態では、本発明の油脂代用材料は、中カロリー食材をさらに含有する。中カロリー食材については、上記1.2に記載の通りである。中カロリー食材の含有量は、適切に設定され得る。
中カロリー食材の含有量の合計は、油脂代用材料の全体量を基準として、好ましくは1重量%以上であり、より好ましくは5重量%以上であり、さらに好ましくは10重量%以上であり、最も好ましくは15重量%以上である。中カロリー食材の含有量の合計は、油脂代用材料の全体量を基準として、好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは40重量%以下であり、さらに好ましくは30重量%以下であり、最も好ましくは20重量%以下である。
中カロリー食材の含有量の合計は、飲食品の固形分を基準として、好ましくは1重量%以上であり、より好ましくは3重量%以上であり、さらに好ましくは5重量%以上であり、最も好ましくは10重量%以上である。中カロリー食材の含有量の合計は、飲食品の固形分を基準として、好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは40重量%以下であり、さらに好ましくは30重量%以下であり、最も好ましくは20重量%以下である。
中カロリー食材の含有量の合計は、遊離脂肪酸1gあたり、好ましくは1g以上であり、より好ましくは5g以上であり、さらに好ましくは10g以上であり、最も好ましくは20g%以上である。中カロリー食材の含有量の合計は、遊離脂肪酸1gあたり、好ましくは40g以下であり、より好ましくは35g以下であり、さらに好ましくは30g以下であり、最も好ましくは25g以下である。
より好ましい実施形態では、本発明の油脂代用材料は、低カロリー食材をさらに含有する。低カロリー食材については、上記1.3に記載の通りである。低カロリー食材の含有量は、適切に設定され得る。
低カロリー食材の含有量の合計は、油脂代用材料の全体量を基準として、好ましくは1重量%以上であり、より好ましくは5重量%以上であり、さらに好ましくは10重量%以上であり、最も好ましくは15重量%以上である。低カロリー食材の含有量の合計は、油脂代用材料の全体量を基準として、好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは40重量%以下であり、さらに好ましくは30重量%以下であり、最も好ましくは20重量%以下である。
低カロリー食材の含有量の合計は、飲食品の固形分を基準として、好ましくは1重量%以上であり、より好ましくは3重量%以上であり、さらに好ましくは5重量%以上であり、最も好ましくは10重量%以上である。中カロリー食材の含有量の合計は、飲食品の固形分を基準として、好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは40重量%以下であり、さらに好ましくは30重量%以下であり、最も好ましくは20重量%以下である。
低カロリー食材の含有量の合計は、遊離脂肪酸1gあたり、好ましくは1g以上であり、より好ましくは5g以上であり、さらに好ましくは10g以上であり、最も好ましくは20g%以上である。中カロリー食材の含有量の合計は、遊離脂肪酸1gあたり、好ましくは40g以下であり、より好ましくは35g以下であり、さらに好ましくは30g以下であり、最も好ましくは25g以下である。
(嗜好性の評価方法:リックメーターを用いた嗜好性の評価)
マウスのような動物を用いた嗜好性の評価においては、リックメーターが用いられる。リックメーターの概略図を図1に示す。マウスは、導電性の床に置かれ、評価しようとする溶液を含む容器と床とは、A/D変換器を挟んだ電線で結ばれている。評価しようとする溶液を含む容器にストローを通し、ストローの先の溶液をマウスが舐めるとマウスを通して床に電気が流れるため、A/D変換器を通った電気のパルス数を数えることにより、マウスのリック回数が測定され得る。「リック」とは、溶液を舐める行為をいう。リックメーターを用いた測定では、例えば、10秒間〜180秒間という短時間でも測定が可能であり、消化管以降の情報(満腹感など)の影響が極めて少なくなるために、口腔内の認識(知覚)に焦点をあてて嗜好性を評価することができる。
実験プロトコル:
実験プロトコルを図2に示す。
8週齢のBALB/c雄マウスを使用した。まず、トレーニング(Training)期間として、1日目にリック装置に入れ、環境に馴れさせた。2日目に、50%コーン油溶液を呈示して、摂取することを学習させるとともに、コーン油に馴れさせた。
試験を3日目〜8日目に行った。試験の30分前から絶水および絶食させた。試験開始時(0時)に評価対象の溶液を含む容器をリック装置に取り付けて、リック開始から10秒後まで、20秒後まで、30秒後まで、40秒後まで、50秒後まで、60秒後までの1分間のリック回数を測定した。その後29分間溶液を呈示して、合計30分間の溶液提示後、この容器を取り外し、翌日の測定時まで提示しなかった。
(実施例1および比較例1:リノレン酸によるコーン油の嗜好性の代用)
遊離脂肪酸が口腔内で油脂を認識する手がかりとなることを検証するため、マウスが溶液を舐める頻度で、その嗜好性を数値化するリック測定を用いてリノール酸とコーン油の1分間のリック回数を比較した。
呈示溶液として脂肪酸(実施例:リノール酸;0、0.125、0.25、0.5、1、2、4%)(n=9)または油脂(比較例:油脂(コーン油;0、1、5、10、100%)(n=9)を用いた。脂肪酸または油脂をミネラルオイルで希釈することにより濃度0.125%〜4%のいずれかの濃度の溶液を作製し、マウスごとにランダムに提示した。0%の溶液としては100%ミネラルオイルを用いた。
これらの呈示溶液を用いて、上記「嗜好性の評価方法」のプロトコルに従ってリック回数およびリック頻度を測定した。結果を図3〜図7に示す。
図3は、コーン油の濃度と累積リック数との関連を示すグラフである。図3は、コーン油の濃度がリック回数に及ぼす影響を示す。横軸は時間(秒)を示し、縦軸は累積リック数を示す。0%コーン油(100%ミネラルオイル)のリック回数は極めて少ないことから、ミネラルオイルはマウスに好まれないこと、コーン油の濃度が上がるほどリック回数が増えることからコーン油がマウスに好まれることが示される。
図4は、60秒間の累積リック数とコーン油の濃度との関係を示すグラフである。このデータは、図3の60秒間の累積リック数と同じデータである。横軸はコーン油の濃度を示し、縦軸は60秒間の累積リック数を示す。図4は、濃度依存的にリック回数が増加したことを示す。従って、コーン油の嗜好性は濃度依存的(0〜100%)に高くなることが明らかとなった。
図5は、リノール酸の濃度と累積リック数との関連を示すグラフである。図5は、リノール酸の濃度がリック回数に及ぼす影響を示す。横軸は時間(秒)を示し、縦軸は累積リック数を示す。0%リノール酸(100%ミネラルオイル)のリック回数は極めて少ないことから、ミネラルオイルはマウスに好まれないこと、リノール酸の濃度が上がるほどリック回数が増えることからリノール酸がマウスに好まれることが示される。リノール酸は0.25%以上の濃度で好まれ、1%という濃度で最もリック回数が多かった。
図6は、60秒間の累積リック数とリノール酸の濃度との関係を示すグラフである。このデータは、図5の60秒間の累積リック数と同じデータである。横軸はリノール酸の濃度を示し、縦軸は60秒間の累積リック数を示す。図6は、リノール酸の濃度1%付近でリック回数が最大になることを示す。これにより、脂肪酸の嗜好性には至適濃度(0.5〜2%)が存在することが明らかとなった。
図7は、1%リノール酸含有ミネラルオイルと100%コーン油の60秒間のリック回数(リック頻度;Licking rate)を比較したグラフである。1%脂肪酸のリック速度は100%油脂と同程度であった。
従って、リックテストにおいて、動物は低濃度の脂肪酸に応答すること、および低濃度の脂肪酸の嗜好性は高濃度の油脂に匹敵するほど高いことが示唆された。このように、ラット嗜好性試験より、食用油脂のおいしさは1〜2%の長鎖脂肪酸で代替できることがわかった。
(実施例2および実施例3:他の脂肪酸によるコーン油の嗜好性の代用)
実施例1のリノール酸の代わりにオレイン酸(実施例2)およびリノレン酸(実施例3)を用いてリック頻度を測定したところ、オレイン酸およびリノレン酸のいずれも、リノール酸と同等に食用油脂を代替し得ることが示された。
(実施例4および比較例4:レバー押しオペラント実験)
マウスを用いてレバー押しオペラント実験を行った。
呈示溶液として脂肪酸(実施例4:リノール酸1%)または油脂(比較例4:コーン油100%)を用いた。脂肪酸をミネラルオイルで希釈することにより濃度1%の濃度の溶液を作製した。
この結果、コーン油を用いた場合も、ミネラルオイルに脂肪酸を加えて作製された脂肪酸溶液を用いた場合も、レバー押しオペラント実験により、執着行動(強化効果)が観察された。
(実施例5:脂肪酸およびミネラルオイルを代用油脂材料としたサラダ油代用品の作製)
カネダ株式会社製ミネラルオイルK−280(99重量部)にリノール酸1重量部を添加して混合することにより、リノール酸1%含有ミネラルオイルを作製した。リノール酸1%含有ミネラルオイルを十分訓練されたパネラー5名により官能評価したところ、サラダ油様の良好な風味であった。
(実施例6および比較例6−1、6−2:脂肪酸およびミネラルオイルを代用油脂材料として用いたドレッシングの作製)
上記実施例5で作製したリノール酸1%含有ミネラルオイル(実施例6−1)、市販のサラダオイル(比較例6−1)またはミネラルオイル(比較例6−2)を以下の表1に示す配合で用い、これらの材料を充分に混合することにより、サラダ用ドレッシングを作製した。
実施例6、比較例6−1および6−2のドレッシングを、十分訓練されたパネラー5名により官能評価したところ、実施例6および比較例6−1は同程度に良好な風味を有したものの、比較例6−2の風味は好ましくなかった。
(実施例7および比較例7−1、7−2:脂肪酸およびミネラルオイルを代用油脂材料として用いたマヨネーズの作製)
以下の表2に示す配合を用いた。まず、卵黄と食酢とを混合し、その後、上記実施例5で作製したリノール酸1%含有ミネラルオイル(実施例7)または市販のサラダオイル(比較例7)を少しずつ加えて攪拌し、さらに食塩を加えて攪拌することにより、マヨネーズを作製した。
実施例7、比較例7−1および7−2のマヨネーズを、十分訓練されたパネラー5名により官能評価したところ、実施例7および比較例7−1は同程度に良好な風味を有したものの、比較例7−2の風味はやや好ましくなかった。
このことから、脂肪酸を含むミネラルオイルが食用油脂の代替材料として有用であることが示された。ミネラルオイルのエネルギー量は100gあたり0kcalであり、リノール酸およびサラダ油のエネルギー量はいずれも100gあたり900kcalである。1%リノール酸含有ミネラルオイルのエネルギー量は100gあたり9kcalである。そのため、油脂を100分の1のエネルギー量の油脂代替材料で代用できることがわかった。
これらの実験結果は、油脂のおいしさには油脂の物性ではなく、油脂の分解産物である脂肪酸の情報が大きな役割を果たすことを示唆している。
(実施例8、比較例8−1、8−2:さらに糖質を加えた油脂代用材料の検討)
エネルギー情報が与える影響を検討した。
水、20%高分岐環状グルカン水溶液または1%リノール酸および20%高分岐環状グルカンを含む水溶液を作製した。高分岐環状グルカンとしては、江崎グリコ株式会社製のクラスターデキストリン(CCD;重量平均分子量15万)を用いた。
経日的に摂取量は増加し、脂肪に対する嗜好性は増大する。このため、本実施例では、コーン油を3日以上摂取させ、脂肪を好んで摂取するマウスを使用した。8週齢のBALB/c雄マウスを各群9匹使用した。上記の「嗜好性の評価方法」のプロトコルに従って、マウスを30分間絶水絶食させ、その後、各種の溶液(水(比較例8−1)、20%高分岐環状デキストリン水溶液(比較例8−1)または1%リノール酸および20%高分岐環状デキストリンを含む水溶液(実施例8))をマウスに呈示して、リックセンサーによりリック回数およびリック頻度を測定した。結果を図8Aおよび図8Bに示す。
図8Aは、1分間のリック数の推移を示すグラフである。横軸は時間(秒)を示し、縦軸は累積リック数を示す。マウスは水のみまたはCCDのみに対しては嗜好性を示さなかった。しかし、CCDに1% リノール酸を添加したものに対して高い嗜好性を示し、時間の経過にともなってリック数が極めて増加した。
図8Bは、各溶液に対する60秒間の累積リック数(Initial licking rate)を示すグラフである。Initial licking rateは1分間の総リック数であり、溶液に対する嗜好性の指標となる。このデータは、図8Aの60秒間の累積リック数と同じデータである。横軸は試験した溶液を示し、縦軸は60秒間の累積リック数を示す。図8Bにおいては、マウスは水のみおよびCCDのみに対しては嗜好性を示さないが、CCDに1% リノール酸を添加したものに対して高い嗜好性を示すことが明らかとなった。このように、20%CCD水溶液に1%脂肪酸を添加したもののエネルギー量は、0.8kcal/mlであり、同重量の油脂の1/10以下のカロリーである。そのため、20%CCD水溶液に1%脂肪酸を添加したもので食品の油脂を代用すれば、その食品のエネルギー量を低減できる。
(実施例9、比較例9:糖質を加えた油脂代用材料の検討)
エネルギー情報が与える影響を4日間にわたって検討した。
20%高分岐環状グルカン水溶液または1%リノール酸および20%高分岐環状グルカンを含む水溶液を作製した。高分岐環状グルカンとしては、江崎グリコ株式会社製のクラスターデキストリン(CCD;重量平均分子量15万)を用いた。
マウスに初めて脂肪を与えたときは新奇恐怖の影響もありほとんど飲まない。しかし、時間を経ると新奇恐怖の影響は無くなる。経日的に摂取量は増加し、脂肪に対する嗜好性は増大する。本実施例では、脂肪の摂取経験のないマウスを使用した。8週齢のBALB/c雄マウスを各群9匹使用した。マウスを30分間絶水絶食させ、その後、各種の溶液(20%高分岐環状グルカン水溶液(比較例9)または1%リノール酸および20%高分岐環状グルカンを含む水溶液(実施例9))をマウスに10分間呈示して、その摂取量を測定した。この10分間の呈示を4日間繰り返した。結果を図9に示す。
図9は、各種溶液の摂取量の経日変化を示すグラフである。横軸は日数(日目)を示し、縦軸は摂取量(g/10分間)を示す。1日目には、1%リノール酸に対して新奇恐怖があるため、1%リノール酸を含む溶液よりも、含まない溶液(20%CCDのみ)の方が摂取量が多かった。しかし、2日目では、20%CCDにリノール酸を加えたものの摂取量が増大した。これは新奇恐怖の影響がなくなり、且つ、リノール酸による嗜好性とエネルギーが得られるという情報の両方が合わさり、摂取量の増大を引き起こしたものと考えられる。CCDのみの溶液はエネルギーを得られるという情報が摂取量を増大させたものと考えられる。
この実験の結果および上記実施例7とを組み合わせると、油脂のおいしさは口腔内刺激とエネルギー情報から成り、両者を組み合わせると理想的な油脂代替物ができることがわかった。
(実施例10:脂肪酸およびミネラルオイルで一部代用した油脂混合物)
1%のリノール酸と75%のミネラルオイルと24%の市販の食用油脂とを混合して油脂混合物を得た。
この油脂混合物について、実施例4と同様にレバー押しオペラント実験を行ったところ、実験動物は油脂と同様の執着行動を見せた。このことから、脂肪酸とミネラルオイルとを用いることによって、高度な嗜好性を維持したままカロリーを1/4以下に減らすことが可能であることがわかる。
(実施例11:脂肪酸およびミネラルオイルで一部代用した油脂混合物)
1%のリノール酸と75%のミネラルオイルと24%の市販の食用油脂とを混合して油脂混合物を得た。
この油脂混合物について、実施例1と同様にリック試験を行ったところ、実験動物は油脂と同様の回数のリック数を示した。このことから、脂肪酸とミネラルオイルとを用いることによって、高度な嗜好性を維持したままカロリーを1/4以下に減らすことが可能であることがわかる。
本発明により、油脂の嗜好性を維持しつつ、カロリーオフの実現が可能な本発明の油脂代用材料が提供される。嗜好性を維持した油脂代用材料は、例えば、ダイエット食品用素材として需要性が高い。
図1は、リックメーターの概略図を示す。 図2は、実験プロトコルの試験日3〜8日目の試験のスケジュールを示す。 図3は、コーン油の濃度と累積リック数との関連を示すグラフである。 図4は、60秒間の累積リック数とコーン油の濃度との関係を示すグラフである。 図5は、脂肪酸であるリノール酸の濃度と累積リック数との関連を示すグラフである。 図6は、60秒間の累積リック数とリノール酸の濃度との関係を示すグラフである。 図7は、1%リノール酸含有ミネラルオイルと100%コーン油の60秒間のリック回数を比較したグラフである。 図8Aは、1分間のリック数の推移を示すグラフである。図8Bは、各溶液に対する60秒間の累積リック数(Initial licking rate)を示すグラフである。図8Aおよび8Bともに、値は平均±SEMである。 図9は、各種溶液の摂取量の経日変化を示すグラフである。値は平均±SEMである。

Claims (65)

  1. 0.01重量%〜10重量%の遊離脂肪酸またはその塩を含有する、高嗜好性飲食品。
  2. 前記遊離脂肪酸が、長鎖脂肪酸である、請求項1に記載の高嗜好性飲食品。
  3. 前記遊離脂肪酸が、不飽和脂肪酸である、請求項2に記載の高嗜好性飲食品。
  4. 酸化防止剤を含有する、請求項3に記載の高嗜好性飲食品。
  5. 前記遊離脂肪酸が、飽和脂肪酸である、請求項2に記載の高嗜好性飲食品。
  6. 前記遊離脂肪酸の炭素数が、14から22のいずれかである、請求項2に記載の高嗜好性飲食品。
  7. 糖質、タンパク質、アミノ酸または脂質を含有する、請求項1に記載の高嗜好性飲食品。
  8. 高度分岐環状グルカンを含有する、請求項7に記載の高嗜好性飲食品。
  9. 前記糖質、タンパク質、アミノ酸および脂質の含有量の合計が1重量%〜50重量%である、請求項7に記載の高嗜好性飲食品。
  10. 前記糖質、タンパク質、アミノ酸および脂質の重量の合計が、遊離脂肪酸1gに対して10g〜1000gである、請求項7に記載の高嗜好性飲食品。
  11. 粉末または液状である、請求項1に記載の高嗜好性飲食品。
  12. 食品である、請求項1に記載の高嗜好性飲食品。
  13. 菓子である、請求項12に記載の高嗜好性飲食品。
  14. 調味料である、請求項12に記載の高嗜好性飲食品。
  15. 飲料である、請求項1に記載の高嗜好性飲食品。
  16. 100gあたりのカロリーが30kcal〜600kcalの飲食品であって、該飲食品は、0.01重量%〜10重量%の遊離脂肪酸またはその塩と、中カロリー食材とを含有し、該中カロリー食材のエネルギー量が100gあたり200kcal〜600kcalである、飲食品。
  17. 前記中カロリー食材が、糖質、タンパク質およびアミノ酸からなる群より選択される、請求項16に記載の飲食品。
  18. 前記遊離脂肪酸が、長鎖脂肪酸である、請求項16に記載の飲食品。
  19. 前記遊離脂肪酸が、不飽和脂肪酸である、請求項18に記載の飲食品。
  20. 酸化防止剤を含有する、請求項19に記載の飲食品。
  21. 前記遊離脂肪酸が、飽和脂肪酸である、請求項18に記載の飲食品。
  22. 前記遊離脂肪酸の炭素数が、14から22のいずれかである、請求項18に記載の飲食品。
  23. 前記中カロリー食材が高度分岐環状グルカンである、請求項16に記載の飲食品。
  24. 前記中カロリー食材の含有量の合計が1重量%〜50重量%である、請求項16に記載の飲食品。
  25. 前記中カロリー食材の重量の合計が、遊離脂肪酸1gに対して10g〜30gである、請求項16に記載の飲食品。
  26. 粉末または液状である、請求項16に記載の飲食品。
  27. 食品である、請求項16に記載の飲食品。
  28. 菓子である、請求項27に記載の飲食品。
  29. 調味料である、請求項27に記載の飲食品。
  30. 飲料である、請求項16に記載の飲食品。
  31. 100gあたりのカロリーが1kcal〜40kcalの飲食品であって、該飲食品は、0.01重量%〜4重量%の遊離脂肪酸またはその塩を含有する、飲食品。
  32. 前記遊離脂肪酸が、長鎖脂肪酸である、請求項31に記載の飲食品。
  33. 前記遊離脂肪酸が、不飽和脂肪酸である、請求項32に記載の飲食品。
  34. 酸化防止剤を含有する、請求項33に記載の飲食品。
  35. 前記遊離脂肪酸が、飽和脂肪酸である、請求項32に記載の飲食品。
  36. 前記遊離脂肪酸の炭素数が、14から22のいずれかである、請求項32に記載の飲食品。
  37. 中カロリー食材を含み、該中カロリー食材のエネルギー量が100gあたり200kcal〜600kcalである、請求項31に記載の飲食品。
  38. 前記中カロリー食材が、糖質、タンパク質およびアミノ酸からなる群より選択される、請求項31に記載の飲食品。
  39. 前記中カロリー食材が、高度分岐環状グルカンである、請求項37に記載の飲食品。
  40. 前記中カロリー食材の含有量の合計が1重量%〜8重量%である、請求項37に記載の飲食品。
  41. 前記中カロリー食材の重量の合計が、遊離脂肪酸1gに対して10g〜30gである、請求項37に記載の飲食品。
  42. 粉末または液状である、請求項31に記載の飲食品。
  43. 食品である、請求項31に記載の飲食品。
  44. 健康食品である、請求項43に記載の飲食品。
  45. 菓子である、請求項43に記載の飲食品。
  46. 調味料である、請求項43に記載の飲食品。
  47. 飲料である、請求項31に記載の飲食品。
  48. 低カロリー食材を含有する、請求項31に記載の飲食品。
  49. 前記低カロリー食材のエネルギー量が100gあたり0kcal以上200kcal未満である、請求項48に記載の飲食品。
  50. 前記低カロリー食材の含有量が10重量%〜90重量%である、請求項48に記載の飲食品。
  51. 遊離脂肪酸またはその塩を含む、油脂代用材料。
  52. 中カロリー食材または低カロリー食材をさらに含有する、請求項51に記載の油脂代用材料であって、該中カロリー食材のエネルギー量が、100gあたり200kcal〜600kcalであり、該低カロリー食材のエネルギー量が、100gあたり0kcal以上200kcal未満である、油脂代用材料。
  53. 前記中カロリー食材が、糖質、タンパク質およびアミノ酸からなる群より選択される、請求項52に記載の油脂代用材料。
  54. 前記遊離脂肪酸が、長鎖脂肪酸である、請求項51に記載の油脂代用材料。
  55. 前記遊離脂肪酸が、不飽和脂肪酸である、請求項54に記載の油脂代用材料。
  56. 酸化防止剤を含有する、請求項55に記載の油脂代用材料。
  57. 前記遊離脂肪酸が、飽和脂肪酸である、請求項54に記載の油脂代用材料。
  58. 前記遊離脂肪酸の炭素数が、14から22のいずれかである、請求項54に記載の油脂代用材料。
  59. 前記遊離脂肪酸またはその塩の含有量の合計が、0.2重量%〜30重量%である、請求項51に記載の油脂代用材料。
  60. 前記中カロリー食材が、高度分岐環状グルカンである、請求項51に記載の油脂代用材料。
  61. 前記中カロリー食材の含有量の合計が、5重量%〜30重量%である、請求項51に記載の油脂代用材料。
  62. 前記中カロリー食材の重量の合計が、遊離脂肪酸1gに対して10g〜30gである、請求項51に記載の油脂代用材料。
  63. 低カロリー食材を含有する、請求項52に記載の油脂代用材料。
  64. 前記低カロリー食材の含有量が30重量%〜95重量%である、請求項63に記載の油脂代用材料。
  65. 粉末、固形、半固形または液状である、請求項52に記載の油脂代用材料。
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