JP4598739B2 - 燃料電池 - Google Patents
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Description
一方、前記発電による電力をDMFCの外部に出力するために備えられた一対の集電板はMEAのアノード極及びカソード極に接触する構造となっている。
したがって、アノード極側の集電板は液体燃料であるメタノール水溶液に浸漬し、カソード極側の集電板は副生成物である水に接することになるため、これら集電板には耐食性が要求となる。
そこで、複数のMEAを連結して出力を向上させようとすれば、隣り合うMEAの集電板同士の連結部分も同様に高抵抗率の部材で構成されることとなり、その連結部分における電圧降下による出力損失が大きくなる。
このような、電圧降下による出力損失を低減させるために、DMFCの集電板の厚さを増加させることも考えられるが、電源小型化に対する要請に反する結果となる。
発明がこのような構成を有することにより、前記アノード集電板及び前記カソード集電板を耐食性の高い部材で構成しても、電力を出力する配線の導電性が高いので、電気化学反応による出力される電力の低下が抑制される。これにより、膜電極接合体(又はその積層体)とこれを挟持する一対の前記アノード集電板及び前記カソード集電板とを単位としてモジュール化すれば、複数のモジュールを前記配線により連結することで、出力密度を低下させることなく燃料電池の電力出力を向上させることができる。
以下、図1から図3を参照して、本発明に係る燃料電池の第1実施形態について説明を行う。図1(以下適宜、図2参照)に示すように、本実施形態に係る燃料電池11は、膜電極接合体20と、アノード集電板30と、カソード集電板40と、配線(アノード配線51、カソード配線52)と、第1端板60Aと、第2端板70Aと、シール部材81,82,83,84と、押圧部材85と、を含んで構成される。
ここで、アノード極21は、片面が電解質膜22に接し、反対面がアノード集電板30に接している。ここでアノード極21は、ルテニウム及び白金の合金微粒子からなる触媒と、この触媒を担持する炭素粉末との混合物からなるものである。そして、アノード極21に液体燃料(メタノールと水)がアノード集電板30の燃料通過孔33から供給されると、(1)式に示すように、この燃料を酸化して水素イオンと電子とが発生する。そして、この発生した電子は、後記するアノード集電板30に移動して、外部負荷に伝達されることが可能な状態になる。そして副生成ガスである二酸化炭素は、アノード集電板30の排気孔32と第1端板60Aの排気通過孔67とを経由して外部に排出される。
カソード極23 : 3/2O2+6H++6e−→3H2O …(2)
全反応 : CH3OH+3/2O2→CO2+2H2O …(3)
カソード配線52は、カソード集電板40よりも高導電性の部材(例えば銅)からなり、後記する押圧部材85から付与された圧力によってカソード集電板40の接片41に接続し、電気化学反応による電力を外部負荷に出力するものである。
なお、配線51,52は、前記したFPCやFFCに限定されるものでないが、集電板(アノード集電板30、カソード集電板40)との接触抵抗を小さくするために平面型であることが望ましい。
さらに配線51,52は、端板60A,70Aに対する絶縁性を確保するために、端板60A,70Aに接触する面には絶縁処理が施こされている必要がある。一方、集電板30,40と配線51,52との接触抵抗の低減のために、配線51,52の集電板30,40側の側面は金メッキ処理が施こされていることが望ましい。
これら配線51,52は、少なくとも集電板30,40よりも、導電性が高いので、これら集電板30,40から携帯電子機器に電力が供給される経路上の電圧降下を抑制することができ、燃料電池11の出力向上に寄与することとなる。
その結果、比較例と対比して実施例の燃料電池11における全体抵抗値は7.4%の低減となり低損失化の効果が大きいことが確認できた。また本シミュレーションは集電板30,40を0.3mmの厚さとしているが、この厚さに依存すること無く、同等の効果が得られた。
さらに他の変形例としては、アノード配線51及びカソード配線52のいずれか一方のみを配する構成とし、この唯一の配線の接続端子と、配線が無い集電板に直結された接続端子(図示せず)とを、モジュール化された複数の燃料電池間において連結するように構成してもよい。
このように、モジュール化した燃料電池を複数連結させても、配線51,52の方が、集電板30,40よりも導電性が高いので、出力密度を低下させることなく燃料電池11の電力出力を向上させることができる。
第1端板60Aの底面61は、さらに燃料供給路63Aと、排気通過孔67とが設けられている。そして、燃料供給路63Aは、第1端板60Aの底面61のアノード集電板30の側に開口する複数の燃料供給孔64と、これら全ての燃料供給孔64に連通する連通路65と、この連通路65が延長して第1端板60Aの外側に開口する燃料注入口66と、から構成される。
ところで、本実施形態において、燃料のアノード極21への供給は、前記したように燃料供給路63Aを手段として用いるものであったが、これに限定されるものではなく変形例として、連通路65及び燃料供給孔64のような穿孔を設けるのでなく、これら全体を連続した空間とし液体燃料が保持されるように形成してもよい。
アノード引出口68は、アノード集電板30の接片31が位置する部分で、第2端板70Aが組みつけられた状態で(図2(a)参照)、アノード押圧部位72が係合するように構成されている。この接片31とアノード配線51の末端の一部とを重ねた状態で、アノード引出口68とアノード押圧部位72とを係合させる。すると、この接片31とアノード配線51の末端の一部とは圧力により押し付けられて電気的に良好に接続することとなる。
カソード引出口69は、カソード集電板40の接片41が位置する部分で、第2端板70Aが組みつけられた状態で(図2(a)参照)、カソード押圧部位73が対峙するように構成されている。この接片41とカソード配線52の末端の一部とを重ねた状態で、第1端板60Aと第2端板70Aとを合わせる。すると、この接片41とカソード配線52の末端の一部とは圧力により押し付けられて電気的に良好に接続することとなる。
第1シール部材81は、燃料供給孔64を包囲するようにして第1端板60Aに刻設されたパッキン溝75に配置され、アノード集電板30及び第1端板60Aの接触面を伝って液体燃料が漏洩するのを防止する。
このようにアノード極21側から液体燃料の漏洩を防止し、液体燃料がカソード極23側に浸入するのを防止するのは、カソード極23の活性が低下して発電効率が低下することを防止するためである。
なお、図示される押圧部材85は、例示であって、前記機能を発揮させるものであれば全て該当する、例えば、第1端板60と第2端板70Aとを接触面にて接合させる接着剤等も該当する。
このようなガス透過膜86により、排気孔32及び排気通過孔67に滞留している液体燃料が外部に漏洩しないようにその開口を密閉しつつ、副生成ガスのみを外部に排出することが可能になる。
図3(a)は図2(b)のカソード配線52の末端周辺を拡大した拡大図である。図3(b)は、第2端板70Aとカソード配線52との間に絶縁性を有する第1弾性部材87を配置して構成した図である。
第1弾性部材87は、第2端板70Aから伝達される圧力をさらに仲介して伝達し、カソード配線52をカソード集電板40に接続させるものである。
また図3(c)は、この第1弾性部材87と第4シール部材84とが一体化して構成された第4シール部材84´を適用した図である。
第2弾性部材88は、第1端板60Aから伝達される圧力をさらに仲介して伝達しカソード配線52が接続するカソード集電板40の反対面に配置されるものである。
このような第1弾性部材87及び第2弾性部材88により集電板40(30)と配線52(51)との接触による電気的接続が向上することとなる。
さらに、配線51,52と、これら弾性部材87,88を介して接触する他の部位(例えば、カソード引出口69、カソード押圧部位73等)の寸法精度を緩めることができ、燃料電池の組み立て時の歩留まり向上に寄与する。
以下、図4、図5を参照して、本発明に係る燃料電池の第2実施形態について説明する。以下において、図2(b)に示すように膜電極接合体20、アノード集電板30及びカソード集電板40を予め組み合わせたものをMEAユニット90という。
DMFCは単独のMEAユニット90当りの電圧が通常0.8V以下と低いため、複数のMEAユニット90を直列に接続して燃料電池を構成するのが一般的である。
図4、図5に示される燃料電池12は、複数のMEAユニット90を直列に接続し電力の出力の向上を図るものである。
この第1端板60Bの側面には、MEAユニット90のカソード集電板の接片41及びアノード集電板の接片31が配置されるそれぞれ対応する位置にカソード引出口69及びアノード引出口68が切欠形状に設けられている。
また、複数のMEAユニット90を連結する連結用配線54は、図4に示されるように、第1端板60B及び第2端板70Bの外側に引き回されるので、液体燃料や、副生成物である水が付着して腐食する恐れがない。
なお図4においては、シール部材の記載を省略しているが、各MEAユニット90を単位にその両面においてそれぞれ外縁を囲むように配置されている。これにより、MEAユニット90の両面における接触している隙間から液体燃料及び副生成物である水が漏洩してアノード配線51、カソード配線52、連結用配線54に付着してこれらを腐食させることがない。
以下、図6を参照して、本発明に係る燃料電池の第3実施形態について説明を行う。
本実施形態は、複数の膜電極接合体20が積層してなる積層型の燃料電池13に関する。この燃料電池13は、図6(a)に示されるように、カソード配線51と、アノード配線52と、第1端板60Cと、第2端板70Cと、MEAユニット90Cと、から構成される。
この燃料電池13において、MEAユニット90Cの最も第2端板70C側に配置されるセパレータ91(後述する)が、カソード集電板40Cの役割を担い、MEAユニット90Cの最も第1端板60C側に配置されるセパレータ91(図中死角)がアノード集電板の役割を担う。
そして、第2端板70Cは、液体燃料が注入される燃料注入口76と、この燃料注入口76から燃料通過路93(図6(b)参照)を通過してMEAユニット90Cを循環した液体燃料が排出される燃料排出口77と、を有している。また第2端板70CとMEAユニット90Cとが接する境界の燃料注入口76及び燃料排出口77の周縁部には、液体燃料の漏洩を防止するシール部材81Cが配置されている。
なお図6(b)において、液体燃料及び酸素(エア)の循環する経路が、部分的に記載されているが、具体的には公知の構成がそのまま採用されるものである。
セパレータ91は、その第1面に液体燃料が通過する燃料通過路93が設けられ、第2面に酸素(エア)が通過する酸素通過路92が設けられている。そして、セパレータ91は、前記第1面において膜電極接合体20のアノード極21に接し、前記第2面において膜電極接合体20のカソード極23に接している。このように構成されてセパレータ91は、アノード極21へ液体燃料を供給しカソード極23へ酸素を供給する。
このように構成されてカソード配線51は、第1端板60C及び第2端板70Cが挟持される際に付与される圧力によりカソード集電板40Cに接続し電気化学反応により消費される電子を外部負荷から移動させるものである。
20 膜電極接合体
21 アノード極
22 電解質膜
23 カソード極
30,30C アノード集電板(集電板)
31,41 接片
40 カソード集電板(集電板)
51 アノード配線(配線)
52 カソード配線(配線)
54 連結用配線(配線)
60A,60B,60C 第1端板(端板)
68 アノード引出口
69 カソード引出口
70A,70B,70C 第2端板
72 アノード押圧部位
73 カソード押圧部位
81,81C 第1シール部材(シール部材)
82 第2シール部材(シール部材)
83 第3シール部材(シール部材)
84 第4シール部材(シール部材)
85 押圧部材
87 第1弾性部材(弾性部材)
88 第2弾性部材(弾性部材)
90 MEAユニット
90C MEAユニット(積層体)
91 セパレータ
Claims (7)
- アノード極において燃料を酸化させカソード極において酸素を還元して電気化学反応する膜電極接合体と、
前記膜電極接合体の前記アノード極の側に設けられ前記電気化学反応により生成した電子を収集するアノード集電板と、
前記膜電極接合体の前記カソード極の側に設けられ前記電気化学反応により消費される電子を収集するカソード集電板と、
前記アノード集電板に面接触するとともに前記アノード極へ前記燃料を供給する第1端板と、
前記カソード集電板に面接触するとともに前記カソード極へ前記酸素を供給する第2端板と、
前記アノード集電板及び前記カソード集電板で前記膜電極接合体を挟持する方向に前記第1端板と前記第2端板とに圧力を付与する押圧部材と、
前記押圧部材により付与された前記圧力により前記アノード集電板又は前記カソード集電板のいずれかの面に押圧されて接続し、これら集電板よりも高導電性の部材からなる配線と、を備え、
前記集電板は、SUS系金属板あるいはTi系金属板からなることを特徴とする燃料電池。 - 請求項1に記載の燃料電池において、
前記アノード集電板及び前記カソード集電板の面のうち前記配線が接続する接触面に液体の漏洩を防止するシール部材を配置し、
前記配線は前記シール部材が囲む前記接触面の前記液体が通過する領域の外側で前記接続をしていることを特徴とする燃料電池。 - 請求項1又は請求項2に記載の燃料電池において、
第1端板又は第2端板と前記配線との間に配置されると共に、前記第1端板又は前記第2端板からの前記圧力が伝達される絶縁性を有する第1弾性部材を備えることを特徴とする燃料電池。 - 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の燃料電池において、
第1端板又は第2端板と前記アノード集電板又は前記カソード集電板との間に配置されると共に、前記第1端板又は前記第2端板からの前記圧力が伝達される絶縁性を有する第2弾性部材を備えることを特徴とする燃料電池。 - アノード極において燃料を酸化させカソード極において酸素を還元して電気化学反応する膜電極接合体と、
複数の前記膜電極接合体と交互に配列して積層体を構成するとともに前記アノード極へ前記燃料を供給し前記カソード極へ前記酸素を供給するセパレータと、
前記積層体の一方の端面に設けられ前記電気化学反応により生成した電子を収集するアノード集電板と、
前記積層体の他方の端面に設けられ前記電気化学反応により消費される電子を収集するカソード集電板と、
前記積層体と前記アノード集電板及び前記カソード集電板とを挟持する第1端板及び第2端板と、
前記第1端板及び第2端板が前記挟持する際に付与する圧力により前記アノード集電板又は前記カソード集電板の外側の面に押圧されて接続し、前記電気化学反応による前記積層体からの電力を出力し、これら集電板よりも高導電性の部材からなる配線と、を備え、
前記集電板は、SUS系金属板あるいはTi系金属板からなることを特徴とする燃料電池。 - 前記請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の燃料電池において、
前記配線はフレキシブルプリント基板又はフレキシブルフラットケーブルであることを特徴とする燃料電池。 - 前記請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の燃料電池において、
前記配線と第1端板又は第2端板とが接触する部位には絶縁処理が施されていることを
特徴とする燃料電池。
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