JP4596892B2 - 積層コンデンサ - Google Patents

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本発明は、少なくとも一方の主面に設けられた外部電極と、内部電極とをビアホール導体により電気的に接続するようにした積層コンデンサに関する。
従来からある典型的な積層コンデンサは、図に示すように、複数の第一の内部電極41及び第二の内部電極42がセラミック誘電体層43を介して互いに対向しながら交互に配置されて積層構造を形成し、複数のコンデンサユニットを形成している。
近年、高容量且つ低インダクタンスのコンデンサの需要が高まり、誘電体層43の薄層化が進むと共に、コンデンサ本体の少なくとも一方の主面に複数の第一の外部端子電極(電源回路用電極)51及び第二の外部端子電極(接地回路用電極)52を備え、この第一の外部端子電極と上記第一の内部電極41及び第二の外部端子電極と上記第二の内部電極42とをそれぞれビアホール導体61,62によって電気的に接続する構造が採用されている(特許文献1参照)。
特開平7−326536号公報
このようなコンデンサにおいては、その強度を補強するために、一般に容量形成部4の上下に誘電体層43と同種、若しくは、より高強度のセラミックスからなる補強層7が積層されている。この補強層7の厚みは、例えば容量形成部4の厚み700〜1000μmに対し、通常70〜100μmの厚みとなっている。したがって、上記の構造では、外部端子電極51,52から内部電極41,42までのビアホール導体の長さが補強層の分だけ長くなってしまうので、コンデンサ全体のインダクタンスが増加してしまう。
つまり、容量形成部4の中の内部電極41,42は入出力端子間に並列に接続される形になっている為、積層数を増やす程、容量形成部4全体のインダクタンスは小さくなる。その結果、コンデンサ全体のインダクタンスに対して補強層7のインダクタンスが占める割合が多くなるので、コンデンサの等価直列インダクタンスの主要成分はビアホール導体の補強層7領域におけるインダクタンスとなる。
ここで、インダクタンスが増加すると、給電経路に於いて応答の遅れが起こり、スイッチングノイズが発生してしまうという問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、積層コンデンサの誘電体層の薄層化によって、容量形成部の上下に強度補強層を形成する必要がある場合に、容量を確保したまま、ビアホール導体の伸長によるインダクタンスの増加を抑える構造を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討の結果、補強層における第一のビアホール導体及び第二のビアホール導体の横断面の面積を、容量形成部における第一のビアホール導体及び第二のビアホール導体の横断面の面積よりも大きくすることにより、上記目的を達成することを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、第一の内部電極及び第二の内部電極を誘電体層を介して交互に積層した容量形成部と、該容量形成部の外側に積層された補強層とからなるコンデンサ本体と、該コンデンサ本体の少なくとも一方の主面に設けられた電源回路用外部端子及び接地回路用外部端子と、前記補強層を貫通するように設けられ前記第一の内部電極と前記電源回路用外部端子とを電気的に接続する第一のビアホール導体と、前記補強層を貫通するように設けられ前記第二の内部電極と前記接地回路用外部端子とを電気的に接続する第二のビアホール導体と、を含んでなる積層コンデンサであって、前記補強層における前記第一のビアホール導体及び前記第二のビアホール導体の横断面の面積が、前記容量形成部における前記第一のビアホール導体及び前記第二のビアホール導体の横断面の面積よりも大きいことを特徴とする積層コンデンサである。コンデンサの等価直列インダクタンスの主要成分はビアホール導体の補強層領域におけるインダクタンスとなるので、補強層における第一のビアホール導体及び第二のビアホール導体の横断面の面積を、第一のビアホール導体及び第二のビアホール導体の容量形成部における横断面の面積よりも大きくすることにより、積層コンデンサ全体のインダクタンスを低減させることができる。
ここで、第一のビアホール導体及び第二のビアホール導体を平面視したときの形状が円形状であるとともに、補強層における第一のビアホール導体及び第二のビアホール導体の横断面の径を、容量形成部における第一のビアホール導体及び第二のビアホール導体の横断面の径よりも大きくしたものが採用できる
尚、補強層が容量形成部の誘電体層よりも高強度のセラミックスからなるのが好ましい。これにより、第一のビアホール導体及び第二のビアホール導体の補強層に位置する領域の第一のビアホール導体及び第二のビアホール導体の横断面の面積が、容量形成部における第一のビアホール導体及び第二のビアホール導体の横断面の面積よりも大きいことによる強度低下を解消することができる。
本発明によれば、ビアホール導体の容量形成部に位置する領域の横断面の断面積はそのままで、補強層に位置する領域の横断面の断面積を増やすことができるので、容量を減らすことなくインダクタンスを低減させることができる。
図1は、本発明に係る積層コンデンサを示す断面模式図である。
図1に示す積層コンデンサは、第一の内部電極111と第二の内部電極112が誘電体層113を介して交互に積層されてなる容量形成部11と、この容量形成部11の外側に積層された補強層12とからなるコンデンサ本体1を有している。そして、コンデンサ本体1の一方の主面には、電源回路用外部端子21と接地回路用外部端子22が設けられており、この電源回路用外部端子21と第一の内部電極111は第一のビアホール導体31(電源回路用)により電気的に接続されるとともに、接地回路用外部端子22と第二の内部電極112は第二のビアホール導体32(接地回路用)により電気的に接続されている。このとき、第一のビアホール導体31と第二のビアホール導体32は補強層を貫通するように設けられている。そして、第一のビアホール導体31及び第二のビアホール導体32の補強層12における、それぞれのビアホール導体の横断面の面積が容量形成部の面積より大きくなっている。
第一の内部電極111と第二の内部電極112は、例えばPd、Ag、Pt、Ni、Cu、Pb及びそれらの合金等の材料からなり、これらの厚みは通常1〜3μm程度である。そして、これらが誘電体層113を介して交互に積層されることにより複数のコンデンサユニットが直列に配置された容量形成部11となる。言い換えると、容量形成部11は、第一の内部電極111、誘電体層113、第二の内部電極112、誘電体層113、第一の内部電極111の順で積層された構造になっている。ここで、誘電体層113の材質としては、例えばBaTiO3、LaTiO3、CaTiO3、NdTiO3、MgTiO3、SrTiO3、CaZrO3、SrSnO3、BaTiO3にNb25、Ta25、ZnO、CoO等を添加した組成物、BaTiO3の構成原子であるBaをCaで、TiをZrやSnで部分的に置換した固溶体等のチタン酸バリウム系材料や、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3、Pb(Fe,Nd,Nb)O3系ペロブスカイト型構造化合物、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3−PbTiO3等の2成分系組成物、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3−PbTiO3−Pb(Mg1/21/2)O3、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3−Pb(Zn1/3Nb2/3)O3−PbTiO3、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3−Pb(Zn1/3Nb2/3)O3−Pb(Sm1/2Nb1/2)O3等の3成分系組成物、あるいはそれらにMnO、MnO2、CuO、BaTiO3等を添加したもの等の鉛系リラクサー材料などが挙げられる。また、この誘電体層113の厚みや積層数は目的とする容量値によって適宜設定されるが、通常、3〜4μmの厚みであり、200層程度積層される。
容量形成部11の外側には、誘電体層113と同材質または誘電体層113よりも高強度のセラミックスからなる補強層12が積層されており、これによりコンデンサ本体1の製造時及び使用時の強度が維持されている。ここで、補強層12は第一のビアホール導体31及び第二のビアホール導体32の補強層12における、それぞれのビアホール導体の横断面の面積が容量形成部の面積より大きいことによる強度低下を考慮すると誘電体層113よりも高強度のセラミックスであるのが望ましいが、選択される材質は熱膨脹係数差を考慮して適宜決定される。この補強層12の厚みは、図面上は容量形成部11と同じ程度の厚みで表されているが、実際は少なくとも容量形成部11を構成する誘電体層113の厚みよりはかなり厚いが、容量形成部11(第一の内部電極111と第二の内部電極112と誘電体層113の厚みの和)よりもかなり薄く形成されており、通常70〜100μm程度になっている。
コンデンサ本体1の一方の主面には、半田バンプ等からなる電源回路用外部端子21と接地回路用外部端子22が設けられており、この電源回路用外部端子21と第一の内部電極111は第一のビアホール導体31により電気的に接続されるとともに、接地回路用外部端子22と第二の内部電極112は第二のビアホール導体32により電気的に接続されている。このとき、第一のビアホール導体31が第一の内部電極111のみと接続されて第二の内部電極112と接触しないように、第二の内部電極112の第一のビアホール導体31が貫く部位周辺には導体非形成領域1111が設けられている。また、第一の内部電極111の第二のビアホール導体32が貫く部位周辺にも同様に導体非形成領域1111が設けられている。尚、ビアホール導体の材質としては、一般に内部電極と同様の材料が採用されるが、特に限定はない。
そして、図に示す積層コンデンサは、補強層における第一のビアホール導体31及び
第二のビアホール導体32の横断面の面積が、容量形成部11における横断面の面積よりも大きくなっており、具体的には、補強層12における第一のビアホール導体31及び第二のビアホール導体32の横断面の径が、容量形成部11における横断面の径よりも大きくなっている。このように、容量形成部11における第一のビアホール導体31a及び第二のビアホール導体32aの横断面の面積をそのままに維持するとともに、補強層12における第一のビアホール導体31b及び第二のビアホール導体32bの横断面の面積を大きくすることにより、静電容量は保ちながらインダクタンスを低減させることができる。尚、補強層12におけるビアホール導体の横断面の径は、補強層12の強度を保てる範囲であれば特に限定はないが、後述のようにそれぞれのビアホール導体が接触しないように配置する必要がある。
ここで、第一のビアホール導体31と第二のビアホール導体32は、これらを流れる電流によって誘起される磁界を互いに相殺するように隣り合うように設けられるのが好ましい。これらのビアホール導体の配置については、例えば第一のビアホール導体31及び第二のビアホール導体32を一列あるいは二列に交互に配置することができる。このとき、第一のビアホール導体31と第二のビアホール導体32を極めて近接あるいは隣接して配置すると、図2に示すように、補強層12において第一のビアホール導体31bと第二のビアホール導体32bが重なってしまうこととなる。尚、図2は第一の内部電極に沿って切断した切断面の一例を示しており、図中の点線は、この切断面から外部端子方向を見たときの補強層12における第一のビアホール導体31bと第二のビアホール導体32bの外周の位置を示すものである。したがって、第一のビアホール導体31と第二のビアホール導体32の間にはある程度の間隔をあけるのがよいが、図3に示すように、容量形成部11におけるビアホール導体31a,32aの中心軸と補強層12におけるビアホール導体31b,32bの中心軸とをずらすことにより、容量形成部11におけるビアホール導体31a,32aの間隔をそのままにすることもできる。これにより、ビアホール導体31aとビアホール導体32aの間隔をそれほど広げなくてもいいので、磁界を互いに相殺する効果を維持することができる。
また、図4に示すように、横断面略正方形のコンデンサ本体1のそれぞれの角部に近接して第一のビアホール導体31と第二のビアホール導体32を二本ずつ配置してもよい。具体的には、最も角部に近接する位置に第一のビアホール導体31を配置したときは、この位置から図面上縦方向及び横方向に隣り合う部位には第二のビアホール導体32を配置し、斜め方向に隣り合う部位には第一のビアホール導体31を配置している。このような配置とすることによっても、第一のビアホール導体31と第二のビアホール導体32を流れる電流が反対方向に流れるので、誘起される磁界を互いに相殺し、積層コンデンサに生じるインダクタンスを低減することができる。しかしながら、図4においても上述のように第一のビアホール導体31と第二のビアホール導体32を極めて近接あるいは隣接して配置すると、図中の点線で示すように、補強層12において第一のビアホール導体31と第二のビアホール導体32が重なってしまうこととなる。したがって、ある程度の間隔をあけるのもよいが、図5に示すように、ビアホール導体の容量形成部における中心軸と補強層における中心軸をずらすことにより、容量形成部を貫くビアホール導体の間隔をそのままにすることができる。尚、上述のように容量形成部における中心軸と補強層における中心軸をずらした場合であっても、容量形成部の横断面が補強層の横断面に含まれるような範囲内でずれるのが望ましい。
このような積層コンデンサの形成に際しては、誘電体粉末をバインダーと十分に混合したスリップからセラミックグリーンシートに成形したものを使用する。そして、内部電極の形成にあたっては、このような電極材料粉末をバインダーと混合粉砕してペースト状にした導電性ペーストが用いられる。この導電性ペーストを、スクリーン印刷法などによってセラミックグリーンシート上に内部電極パターンとして印刷して、積層、圧着、焼成することにより、所望の内部電極を形成する。この内部電極形成の際、レーザーの照射や、マイクロドリル又はパンチングを用いた打ち抜き法などにより加工された穴に導電性ペーストが充填されてビアホール導体が形成される。
本発明に係る積層コンデンサの一実施例を示す断面模式図である。 図1に示す積層コンデンサのビアホール導体の一配置例の説明図である。 図1に示す積層コンデンサのビアホール導体の一配置例の説明図である。 図1に示す積層コンデンサのビアホール導体の他の一配置例の説明図である。 図1に示す積層コンデンサのビアホール導体の他の一配置例の説明図である。 従来の積層コンデンサを示す断面模式図である。
符号の説明
1:コンデンサ本体
11:容量形成部
111:第一の内部電極
112:第二の内部電極
113:誘電体層
1111:導体非形成領域
12:補強層
123,124:導体層
125:導体パターン
21:電源回路用外部端子
22:接地回路用外部端子
31:第一のビアホール導体
31a:容量形成部における第一のビアホール導体
31b:補強層における第一のビアホール導体
311:第一のバイパス状ビアホール導体
32:第二のビアホール導体
32a:容量形成部における第二のビアホール導体
32b:補強層における第二のビアホール導体
321:第二のバイパス状ビアホール導体
322:筒状ビアホール導体
323:切り欠き

Claims (3)

  1. 第一の内部電極及び第二の内部電極を誘電体層を介して交互に積層した容量形成部と、該容量形成部の外側に積層された補強層とからなるコンデンサ本体と、該コンデンサ本体の少なくとも一方の主面に設けられた電源回路用外部端子及び接地回路用外部端子と、前記補強層を貫通するように設けられ前記第一の内部電極と前記電源回路用外部端子とを電気的に接続する第一のビアホール導体と、前記補強層を貫通するように設けられ前記第二の内部電極と前記接地回路用外部端子とを電気的に接続する第二のビアホール導体と、を含んでなる積層コンデンサであって、
    前記補強層における前記第一のビアホール導体及び前記第二のビアホール導体の横断面の面積が、前記容量形成部における前記第一のビアホール導体及び前記第二のビアホール導体の横断面の面積よりも大きいことを特徴とする積層コンデンサ。
  2. 前記第一のビアホール導体及び前記第二のビアホール導体を平面視したときの形状が円形状であるとともに、前記補強層における前記第一のビアホール導体及び前記第二のビアホール導体の横断面の径、前記容量形成部における前記第一のビアホール導体及び前記第二のビアホール導体の横断面の径よりも大きことを特徴とする請求項に記載の積層コンデンサ。
  3. 前記補強層が、前記容量形成部の前記誘電体層よりも高強度のセラミックスからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層コンデンサ。
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