JP4595280B2 - 一方向性珪素鋼板の製造方法ならびにセラミック被膜の被覆装置 - Google Patents

一方向性珪素鋼板の製造方法ならびにセラミック被膜の被覆装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一方向性珪素鋼板の製造方法ならびにセラミック被膜の被覆装置に関し、特に該珪素鋼板の地鉄表層部、地鉄とセラミック被膜の界面およびセラミック被膜について、その純化を促進することにより、長期間にわたって、セラミック被膜の変色や耐食性の経時劣化、さらには鉄損の経時劣化を防止しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】
TiNやTiC, Ti(CN)等を物理的手段により成膜するPVD法(Physical Vapor Deposition)および化学的手段により成膜するCVD法(Chemical Vapor Deposition)によるセラミックコーティング技術が、低鉄損一方向性珪素鋼板の製造に適用されている(例えば特許文献1,2ご参照)。
【0003】
しかしながら、CVD法を利用した場合、珪素鋼板の地鉄表層部、地鉄とセラミック被膜の界面およびセラミック被膜の純化が不十分なことから、セラミック被膜の変色のみならず、耐食性や磁気特性の経時劣化を招いていた。
【0004】
そこで、上記の問題を解決するものとして、発明者らは先に、CVD法によりTiN、TiCまたはTi(CN)被膜を被成したのち、 600〜1000℃のH2雰囲気中にて焼鈍処理を施すことによって純化を促進し、鋼中や被膜中から TiCl4やC, Nなどの不純物を除去することからなる一方向性珪素鋼板の製造方法を提案した(例えば特許文献3ご参照)。
【0005】
【特許文献1】
特公昭63−54767 号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】
特公昭63−32850 号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】
特公平3−37844 号公報(特許請求の範囲)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献3に開示した技術に従って、CVD法によりTiNを被覆した珪素鋼板を、劣化促進試験(約15年の期間経過に相当)に供して、その被膜外観、耐食性および磁気特性の変化について調査したところ、上記の珪素鋼板は、PVD法(HCD法とマルティ・アーク放電法の2手法で実施)によりTiNを被覆した珪素鋼板と比べると、いずれの性質も経時劣化が進行する傾向にあることが新たに見出された。
【0007】
ここに、上記の劣化促進試験とは、温度:80℃、湿度:85%の雰囲気を有するデシケータ中に試料を入れ、外気を封じて60日間放置する処理のことである。
この試験により、珪素鋼板を通常の状態で使用した場合において約15年間の期間経過に相当するサンプルが得られる。
【0008】
上記の劣化促進試験後における各珪素鋼板の表面の鉄損の変化量、表面の色調および表面近傍における不純物成分について調べた結果を表1に示す。
また、特に表面の色調についての比較結果を図1に示す。
なお、表1において、
(1) は、単にCVD法によってTiN被膜を形成しただけの特性、
(2) は、中空陰極放電法(Hollow Cathode Discharge:HCD法)によってTiN被膜を形成したときの特性、
(3) は、アークによるプラズマ成膜で、ターゲットを多数並べたマルティ・アーク法(Multi Arc Discharge )によってTiN被膜を形成したときの特性
である。
また、本発明でいう鉄損の変化量とは、劣化促進試験後の鉄損値から同試験前の鉄損値を差し引いた量もしくは値をいうものとする。
【0009】
【表1】
Figure 0004595280
【0010】
同表から明らかなように、(1) のCVD処理によりTiN被覆処理した低鉄損一方向性珪素鋼板は、鉄損の変化量が大きく、また図1に示したとおり、TiN被膜は茶褐色に変色しており、所々に小さな錆も見られた。
さらに、このTiN被覆珪素鋼板の表面近傍における不純物成分を分析したところ、若干ながらClが検出された。
これに対し、HCD法やマルティ・アーク放電法などのPVD法で製造されたTiN被覆珪素鋼板は、鉄損の劣化度が小さく、また鋼板の表面近傍においてClは全く検出されなかった。
【0011】
以上の結果から、劣化促進試験における鉄損の劣化や鋼板表面の色調変化は、鋼板中、特に鋼板の表面近傍に TiCl4,ClまたはHCl等の形で残留するCl成分が原因と考えられる。
【0012】
本発明は、上記の問題を有利に解決するもので、珪素鋼板の地鉄表層部、地鉄とセラミック被膜の界面およびセラミック被膜中におけるCl成分の残留を極力低減することにより、セラミック被膜の変色についてはもとより、耐食性や磁気特性の劣化を長期間にわたって防止することができる一方向性珪素鋼板の有利な製造方法を、その実施に用いて好適なセラミック被膜の被覆装置と共に提案することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.一方向性珪素鋼板の地鉄表面に、CVD法によってセラミック被膜を被覆するに際し、CVD処理後、6.65×10-1Pa以下の真空中にて 850〜1200℃の温度でベーキング処理を施すものとし、その際、雰囲気中に1〜500 (sccm)の水素を導入すると共に、ベーキング処理温度をCVD処理温度よりも 200℃以内で高温とすることを特徴とする一方向性珪素鋼板の製造方法。
【0016】
2.一方向性珪素鋼板の地鉄表面に、CVD法によってセラミック被膜を被覆するに際し、CVD処理後、6.65×10-1Pa以下の真空中にて850〜1200℃の温度でベーキング処理を施すものとし、その際、850〜1200℃の高温帯域での前記ベーキング処理と500〜800℃の低温帯域での処理を交互に行うパルス焼鈍とすることを特徴とする一方向性珪素鋼板の製造方法。
【0017】
3.一方向性珪素鋼板の地鉄表面に、CVD法によってセラミック被膜を被覆するに際し、CVD処理後、6.65×10-1Pa以下の真空中にて850〜1200℃の温度でベーキング処理を施すものとし、その際、雰囲気中に1〜500(sccm)の水素を導入すると共に、ベーキング処理温度をCVD処理温度よりも200℃以内で高温とし、さらに、850〜1200℃の高温帯域での前記ベーキング処理と500〜800℃の低温帯域での処理を交互に行うパルス焼鈍とすることを特徴とする一方向性珪素鋼板の製造方法。
【0018】
4.上記1,2または3において、一方向性珪素鋼板の地鉄表面に被覆するセラミック被膜が、TiN,TiCまたはTi(CN)であることを特徴とする一方向性珪素鋼板の製造方法
【0020】
徐熱帯、CVD処理炉および徐冷帯からなるセラミック被膜の被覆装置において、CVD処理炉と徐冷帯との間に、真空差圧室を挟んでベーキング処理炉を設置し、該ベーキング処理炉の内部を、850〜1200℃の高温帯域と500〜800℃の低温帯域とに区画し、両帯域にそれぞれ、鋼板の巻き掛け通板用のロールを複数個配置したことを特徴とするセラミック被膜の被覆装置
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に説明する。
まず、本発明を由来するに至った実験結果について説明する。
C:0.075 mass%、Si:3.44mass%、Mn:0.076 mass%、Se:0.020 mass%およびSb:0.025 mass%を含有する珪素鋼スラブを、1340℃, 3時間の加熱処理後、熱間圧延により板厚:2.1 mmの熱延板とした。ついで、この熱延板に1030℃で1分間の均一化焼鈍を施したのち、1050℃の中間焼鈍を挟む2回の冷間圧延により板厚:0.23mmの最終冷延板とした。
【0022】
その後、この最終冷延板の表面に、エッチングレジストインキを印刷することにより、非塗布部が圧延方向にはぼ直角に幅:200 μm 、間隔:4mmで線状に残存するように塗布した後、焼き付けた。この時のレジスト厚は2μm であった。このようにしてエッチングレジストを塗布した鋼板に、電解エッチングを施すことにより線状の溝を形成し、ついで有機溶剤中に浸漬してレジストを除去した。
【0023】
ついで、840 ℃の湿H2中で脱炭・1次再結晶焼鈍を行った後、鋼板表面に焼鈍分離剤を塗布し、ついで 850℃で15時間の焼鈍後、 850℃から1050℃まで昇温してゴス方位に強く集積した2次再結晶粒を発達させたのち、1220℃の乾H2中で純化処理して被膜を有しない一方向性珪素鋼板を製造した。
【0024】
かくして得られた珪素鋼板の表面に、図2に示すセラミック被膜の被覆装置を用いて、TiNセラミック被膜を被覆した。
図2において、番号1は徐熱帯、2はCVD処理炉、3は徐冷帯であり、4は仕切り弁、5は真空差圧室、そして6が高真空に保持されたベーキング処理炉である。この例において、ベーキング処理炉6の内部は、高温帯域7と低温帯域8とに区画されており、また両帯域7,8にはそれぞれ、珪素鋼板を両帯域を交互に巻き掛け通板させるためのロール9が複数個配置されている。
なお、10,11はそれぞれ、高温および低温用のヒーター、12, 13はそれぞれ、高温および低温用の温度測定子である。
【0025】
さて、珪素鋼板を、徐熱帯1を通板させたのち、CVD処理炉2に導き、このCVD処理炉2内において熱CVD法により、950 ℃で30分間、次式
2TiCl4 + 4H2+ N2 → 2TiN+ 8HCl
の反応を生じさせて、TiNを 0.8μm 厚被成した。
上記のCVD処理後、仕切り弁4を通板させ、ついで真空差圧室5を介して、6.65×10-2Pa(5×10-4Torr)に保持されたベーキング処理炉6に導き、このベーキング処理炉6内に設けられたロール9を巻き掛け通板させる間に、高温帯域では 970℃, 1分間、低温帯域では 500℃, 1分間の合計6回の急熱・急冷処理すなわちパルス状ヒートサイクルでのベーキング処理を真空中で行った後、再び真空差圧室5を介し、徐冷帯3を経由させて、大気中でコイルに巻き取った。
【0026】
ついで、このTiNセラミック被膜付き方向性電磁鋼板の表面に、りん酸塩とコロイダルシリカを主成分とする絶縁コーティング処理液を塗布・乾燥したのち、窒素中にて 800℃で3時間の歪取焼鈍を行った。
その後、前述した劣化促進試験を実施した。
かくして得られた製品板の磁気特性と表面の色調および表面近傍におけるCl成分量について調べた結果を表2(a) に示す。なお、鋼板の表面近傍におけるCl成分量は、GDS(glow discharge mass spectrometry)によって測定した。
【0027】
また、比較のため、同様のCVD処理を行った後、特許文献3に従い、乾H2中で焼鈍処理を行った鋼板(表2中(b) )および特許文献2のようにCVD処理のみしか実施しなかった鋼板(表2中(c) )の調査結果についても併せて示す。
【0028】
【表2】
Figure 0004595280
【0029】
同表に示したとおり、(a) の本発明に従いCVD処理後、真空中にてベーキング処理を施したものは、鉄損特性は最良で、表面の変色もなく、また鋼板の表面近傍にはCl成分は全く検出されなかった。
これに対して、 (b)や(c) の従来技術に従って製造したものは、鉄損特性の劣化を招き、また鋼板の表面近傍にはClが検出された。
【0030】
以上述べたとおり、本発明では、CVD処理後、真空中でのベーキング処理が必須条件であり、かような真空中で高温の熱処理を行うことによって、珪素鋼板の地鉄表面、地鉄とセラミック被膜の界面およびセラミック被膜中に TiCl4、ClあるいはHCl等の形で残留するCl成分が効果的に系外へ除去される結果、長期間にわたって、セラミック被膜の変色が無く、かつ耐食性および鉄損の劣化がない低鉄損一方向性珪素鋼板の製造が可能であると考えられる。
【0031】
これに対し、(b) および(c) の条件で製造した鋼板はいずれも、珪素鋼板の地鉄表面、地鉄とセラミック被膜の界面およびセラミック被膜中に残留したTiCl4、ClあるいはHCl等のCl成分が完全には除去されないために、長期間経過する間に、珪素鋼板の酸化が進行し、TiNセラミック膜の変色と共に、耐食性や鉄損の劣化が進行するものと考えられる。
特に、TiNセラミックを被覆した低鉄損一方向性珪素鋼板は、セラミック膜や珪素鋼板の界面(表面近傍)が重要であり、長期間経過する間に珪素鋼板表面近傍およびセラミック膜中に錆が発生して、セラミック膜や表面近傍において、鉄損の改善に有効な弾性張力の付与が消滅するものと考えられる。
【0032】
ここに、上記したベーキング処理において、処理温度は 850〜1200℃とすることが重要である。というのは、処理温度が 850℃に満たないと、鋼板の表面近傍に残留するCl成分を完全には除去できず、一方1200℃を超えると、鋼板自体に歪みが導入され、磁気特性の劣化とくに鉄損の劣化を招くからである。
また、雰囲気の真空度は6.65×10-1Pa以下(5×10-3Torr以下)とする必要がある。というのは、真空度が6.65×10-1Paに満たないと、やはり鋼板の表面近傍に残留するCl成分を効果的に除去することができないからである。より好ましくは1.33×10-2Pa以下(10-4Torr以下)である。
【0033】
また、本発明において、上記のベーキング処理に際し、高真空中に若干の水素を混入することは有利である。
というのは、ベーキング雰囲気中に若干の水素を導入することにより、鋼板の表面近傍におけるCl成分の除去が、より効果的に進行するからである。
ここに、ベーキング雰囲気中に導入する水素量は、1〜500 (sccm)程度好ましくは30〜200 (sccm)程度である。
さらに、上記したような若干の水素を混入した真空雰囲気中でベーキング処理を行う場合には、処理温度をCVD処理温度よりも 200℃以内で高温とすることは一層有利である。
【0034】
またさらに、本発明では、上記の実験例でも示したように、真空雰囲気中でのベーキング処理を、高温域に急熱したのち低温域に急冷する処理を交互に行う、いわゆるパルス焼鈍とすることによって、鋼板の表面近傍における純化を促進することができる。
かような急熱・急冷のパルス焼鈍は、図2に示したように、高温帯域7と低温帯域8に配置したロール9を介して行うことが極めて有効で、この場合には、高温帯域のロールと低温帯域のロールを交互に巻き掛け通板する際に、珪素鋼板の表面近傍に弾性の伸縮を繰り返し付加されるので、これによってCl成分の除去効果を格段に向上させることができる。
【0035】
なお、ベーキング処理中における、急熱・急冷のパルス鈍焼鈍の付与は、上記の方法に限定されるものではなく、例えば珪素鋼板の通板方向に沿って、高温の加熱帯域と低温の冷却帯域を交互に設けることによっても達成可能である。
【0036】
上記ようなベーキング処理中のパルス型の焼鈍における高温帯域と低温帯域の温度差は、500 ℃以内とすることが望ましい。
すなわち、本発明の重要な骨子は、高真空・高温中で珪素鋼板の地鉄表面、地鉄とセラミック被膜の界面およびセラミック被膜中に残留する TiCl4, Cl, HCl等のCl成分を完全に除去することにあるが、水冷処理等の余りにも急激な温度差が生じる条件では、珪素鋼板の表面からセラミック膜が剥離するおそれがあるので、この点に注意を払う必要がある。
【0037】
なお、本発明における珪素鋼板の成分組成範囲については、特に制限はなく、従来から公知の成分系いずれもが使用できる。
また、珪素鋼板の最終仕上げ焼鈍までの製造工程についても、特に制限はなく、従来から公知の製造方法いずれもが適合し、要は、CVD処理までに、鋼板の地鉄表面における酸化被膜を除去しておくことである。
【0038】
【実施例】
実施例1
C:0.073 mass%,Si:3.45mass%,Mn:0.075 mass%,Se:0.020 mass%およびSb:0.025 mass%を含有する珪素鋼スラブを、1350℃で3時間の加熱処理後、熱間圧延により厚み:2.0 mmの熱延板とした。ついで、1050℃の均一化焼鈍を施したのち、1050℃の中間焼鈍を挟む2回の冷間圧延により0.23mm厚の最終冷延板とした。
【0039】
その後、この最終冷延板の表面に、エッチングレジストインキを印刷することにより、非塗布部が圧延方向にはぼ直角に幅:200 μm 、間隔:4mmで線状に残存するように塗布したのち、焼き付けた。このようにしてエッチングレジストを塗布した鋼板に、電解エッチングを施すことにより、幅:200 μm 、深さ:20μm の線状の溝を形成し、ついで有機溶剤中に浸漬してレジストを除去した。
【0040】
ついで、840 ℃の湿H2中で焼鈍を行った後、鋼板表面に焼鈍分離剤を塗布し、ついで 850℃で15時間の焼鈍後、850 ℃から12℃/hの速度で1050℃まで昇温してゴス方位に強く集積した2 次再結晶粒を発達させたのち、1220℃の乾H2中で純化処理を施して一方向性珪素鋼板を作製した。次に、この一方向性珪素鋼板の地鉄表面の酸化膜を除去した。
【0041】
かくして得られた珪素鋼板の表面に、図2に示したセラミック被膜の被覆装置を用いて、950 ℃のCVD反応により、TiNを約1μm 厚成膜させた後、表3に示す種々の温度および真空度でベーキング処理を行った。
この時、一部については雰囲気中に水素を導入した。さらに、一部については、970 ℃の高温域、650 ℃の低温域を交互に通過させるパルス焼鈍を6回施した。
【0042】
その後、このTiNセラミック被膜付き方向性電磁鋼板の表面に、りん酸塩とコロイダルシリカを主成分とする絶縁コーティング処理液を塗布・乾燥し、さらに815 ℃で窒素中で1分間の焼付処理後、窒素中にて 800℃で3時間の歪取焼鈍を施した。
その後、前述した劣化促進試験を実施した。
かくして得られた各製品板の表面近傍におけるCl成分量および劣化促進試験後における鉄損特性の変化量について調べた結果を、表3,4,5に示す。
なお、鉄損特性の変化量は、劣化促進試験後の鉄損値から同試験前の鉄損値を差し引いた値(ΔW17/50 )で示す。
【0043】
【表3】
Figure 0004595280
【0044】
【表4】
Figure 0004595280
【0045】
【表5】
Figure 0004595280
【0046】
表3,4および5より明らかなように、本発明に従い、CVD処理後に高真空中でベーキング処理を施した場合はいずれも、珪素鋼板の表面近傍におけるCl成分の残留は皆無であり、また劣化促進試験後においても鉄損特性の経時劣化はほとんどなかった。
【0047】
【発明の効果】
かくして、本発明に従い、CVD処理後、高真空中でベーキング処理を施し、珪素鋼板の地鉄表層部、地鉄とセラミック被膜の界面およびセラミック被膜中に残留するCl成分を効果的に除去することにより、低鉄損一方向性珪素鋼板の長期間にわたる鉄損劣化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】劣化促進試験後の珪素鋼板の表面外観を比較して示した写真である。
【図2】本発明の実施に用いて好適なセラミック被膜の被覆装置を示した模式図である。
【符号の説明】
1 徐熱帯
2 CVD処理炉
3 徐冷帯
4 仕切り弁
5 真空差圧室
6 ベーキング処理炉
7 高温帯域
8 低温帯域
9 ロール
10 高温用ヒーター
11 低温用ヒーター
12 高温用温度測定子
13 低温用温度測定子

Claims (5)

  1. 一方向性珪素鋼板の地鉄表面に、CVD法によってセラミック被膜を被覆するに際し、CVD処理後、6.65×10-1Pa以下の真空中にて 850〜1200℃の温度でベーキング処理を施すものとし、その際、雰囲気中に1〜500 (sccm)の水素を導入すると共に、ベーキング処理温度をCVD処理温度よりも 200℃以内で高温とすることを特徴とする一方向性珪素鋼板の製造方法。
  2. 一方向性珪素鋼板の地鉄表面に、CVD法によってセラミック被膜を被覆するに際し、CVD処理後、6.65×10-1Pa以下の真空中にて 850〜1200℃の温度でベーキング処理を施すものとし、その際、850〜1200℃の高温帯域での前記ベーキング処理と500〜800℃の低温帯域での処理を交互に行うパルス焼鈍とすることを特徴とする一方向性珪素鋼板の製造方法。
  3. 一方向性珪素鋼板の地鉄表面に、CVD法によってセラミック被膜を被覆するに際し、CVD処理後、6.65×10-1Pa以下の真空中にて 850〜1200℃の温度でベーキング処理を施すものとし、その際、雰囲気中に1〜500 (sccm)の水素を導入すると共に、ベーキング処理温度をCVD処理温度よりも 200℃以内で高温とし、さらに、850〜1200℃の高温帯域での前記ベーキング処理と500〜800℃の低温帯域での処理を交互に行うパルス焼鈍とすることを特徴とする一方向性珪素鋼板の製造方法。
  4. 請求項1,2または3において、一方向性珪素鋼板の地鉄表面に被覆するセラミック被膜が、TiN,TiCまたはTi(CN)であることを特徴とする一方向性珪素鋼板の製造方法。
  5. 徐熱帯、CVD処理炉および徐冷帯からなるセラミック被膜の被覆装置において、CVD処理炉と徐冷帯との間に、真空差圧室を挟んでベーキング処理炉を設置し、該ベーキング処理炉の内部を、850〜1200℃の高温帯域と500〜800℃の低温帯域とに区画し、両帯域にそれぞれ、鋼板の巻き掛け通板用のロールを複数個配置したことを特徴とするセラミック被膜の被覆装置。
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