JP4592581B2 - 発泡性液の濃縮装置 - Google Patents

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本発明は、発泡性のある循環液が供給されて加熱され一部分が蒸発し残部が落下するように形成された蒸発部と、前記残部が滞留し前記蒸発部と間隔を空けて液面を形成するように前記蒸発部の下方に形成された液溜部と、該液溜部の液を取り出して前記蒸発部に前記循環液として供給するように形成された循環系と、を有する蒸発濃縮装置に関する。
発泡性液の蒸発濃縮装置としては、例えば、循環液を蒸発させることなく加熱するだけで発泡しやすい温度条件範囲を通過させることにより、発泡を効果的に防止するようにした装置や、発泡性がなくなった中間の高い濃度から蒸発濃縮を始めるようにした装置(それぞれ特許文献1及び2参照)が知られている。又、濃縮塔下部の液溜部の液が上部蒸発室の飽和温度より低くなるように液溜部の液を冷却し、液の突沸による発泡を防止するようにした発泡防止機構を備えた減圧濃縮装置が知られている(特許文献3参照)。
特開2004−202373号 特開2004−267860号 特開平7−701号
上記の従来技術において、加熱により発泡しやすい温度条件範囲を通過させる装置では、例えば界面活性剤が混入しているような被処理液の場合には、被処理液の発泡しやすい温度条件の範囲が広くなるため、加熱する温度を十分高くしなければならず、加熱器が大きくなったり加熱のために多くの電力等のエネルギーが必要になるという問題がある。
又、中間濃度から蒸発濃縮を始めるようにした装置では、発泡しにくい中間濃度と最終的に蒸発濃縮する濃度とが近い場合には、常に濃度が高い状態で蒸発運転をすることになるため、濃度が高いことによる沸点上昇、粘度や比重の上昇等の液の物性変化により、伝熱性能の低下や循環ポンプの出力上昇等が発生するという問題があった。
又、液溜部の液の温度を低下させる装置では、上方から飽和温度で落ちてくる循環液の全体の温度を下げることになるので、多量の冷却及び再加熱熱量が必要になり、冷却装置が大きくなると共に熱損失が多大になるという問題がある。そこで本発明は、従来技術における上記問題を解決し、発泡しやすい濃度範囲が広くなっても、少ない損失熱量で伝熱性能の低下がなく小型の簡易な装置により確実に発泡を防止することができる蒸発濃縮装置を提供することを課題とする。
本発明は、上記課題を解決するために、請求項1の発明は、発泡性のある循環液が供給されて加熱され一部分が蒸発し残部が落下するように形成された蒸発部と、前記残部が滞留し前記蒸発部と間隔を空けて液面を形成するように前記蒸発部の下方に形成された液溜部と、該液溜部の液を取り出して前記蒸発部に前記循環液として供給するように形成された循環系と、を有する蒸発濃縮装置において、
前記循環液の一部分が分岐液として流される分岐系と、前記分岐液の温度を下げて消泡用液にするように形成された温度低下手段と、前記消泡用液を前記間隔の部分から前記液面に分散させて放出するように形成された液分散放出手段と、を有することを特徴とする。
請求項2の発明は、上記に加えて、前記循環液になる原液を連続して供給可能にする原液供給系を有し、該原液供給系を前記分岐系に接続し、前記温度低下手段を前記原液供給系が接続された前記分岐系で構成したことを特徴とする。
請求項1の発明においては、蒸発部は、循環液が供給されて加熱されその一部分が蒸発するように形成されているので、通常、循環液は蒸発部の中でその圧力の飽和液に近い温度の液になっていて、加熱された熱量分に相当する液中の揮発分が蒸発することになる。循環液が例えばある種の洗浄剤の水溶液であるとすれば、循環液の温度はその圧力における水の飽和温度近くになっている。そしてこのように溶液が水の場合には、腐食防止等のために蒸発部の中の圧力が真空にされ、飽和温度が60〜70℃程度にされている。
循環液の一部分として前記の例では水が蒸発すると、残部の循環液である洗浄剤の水溶液は、水の蒸発分だけ濃縮されていると共に、飽和温度の液である飽和液となって蒸発部から落下する。
液溜部は、落下した濃縮液が滞留し蒸発部と間隔を空けて液面を形成するように蒸発部の下方に形成されているので、その中の液もほぼ飽和液になっている。その結果、液溜部においても、特にその上方部分では、液中で水が気化して多数の気泡が発生し液面から出て行く。この気泡は、前記洗浄剤のように発泡性を有する成分を持つ液体の膜で覆われて泡になって出てくると共に、間隔部分が飽和温度になっていて泡が冷やされないため、単に循環蒸発をさせるだけの装置である場合には、気泡は水面上に出ても消滅せず、そのような気泡からなる泡が増加して行くようになる。
そして、循環系は、液溜部にこのように発泡しつつ溜められた液を取り出して前記循環液として蒸発部に供給するので、循環液は発泡して泡量を増やしつつ濃縮されてゆく。このような蒸発濃縮装置では、通常連続濃縮する装置が使用されていて、従来の装置では、単に液溜部又は循環系に原液を供給しつつ、目的濃度に到達した液溜部の液の一部分を濃縮液として取り出し、残部を循環液にするようにしている。
以上のような特性も持つ蒸発部と液溜部と循環系とを有する蒸発濃縮装置において、請求項1の発明は、循環液の一部分が分岐液として流される分岐系と、分岐液の温度を下げて消泡用液にするように形成された温度低下手段と、消泡用液を間隔の部分から液面に分散させて放出するように形成された液分散放出手段とを有するので、前記泡の発生及び増加を効果的に阻止することができる。
即ち、液分散放出手段により、蒸発部と液溜部との間隔の部分から消泡用液を液溜部の液面に分散させて放出することにより、液面に出た泡に全体的に消泡用液の液滴を当て、全体的に泡を機械的に破壊し、その増加及びを上昇を阻止することができる。又、液面及びその近傍の液の温度を僅かではあるが低下させ、飽和温度との差を生じさせ、液中での気泡の発生条件を低下させ、表面から出てくる泡の量を減少させることができる。
この場合、単なる循環液を泡に向かって放出するときには、循環液がほぼ飽和温度になっていると共に細粒化されているため、フラッシュ蒸発して消滅したり、急激に大容積化するフラッシュ蒸発現象によって液滴の進行が乱されしたりするので、放出した液の機械的な泡破壊力が大幅に減殺されることになる。
これに対して請求項1の発明によれば、単なる循環液に代えて、循環系から分岐させた分岐系を流れる分岐液の温度を温度低下手段によって低下させて消泡用液とし、このように温度低下した消泡用液を液分散放出手段によって液面に分散させて放出するので、消泡用液はフラッシュ蒸発することなく、従って、消泡用液の液滴はその形状や進行方向や速度を維持して液面から出て来た泡に当たるため、極めて効果的な消泡作用をすることができる。
又、消泡用液を蒸発部と液溜部との間隔の部分から液面に分散放出することにより、液面から発生した泡が増大し上昇する前の消泡しやすい少数小泡の状態の時に消泡することになるので、十分な消泡効果を上げることができる。
更に、消泡用液は、消泡しても泡から熱供給を受けることは殆どないためほぼ温度低下した状態を維持しているので、消泡後液面に到達すると、前記の如く液面近傍の液の温度を下げて、液内での液の蒸発気化を抑制し、発泡量自体を減少させる作用もすることになる。
又、循環系は蒸発濃縮操作の初期段階から使用されるので、循環液を分岐液にして温度低下手段で温度低下させて消泡用液にする操作も初期段階から適当な任意の時期に実行可能であるため、発泡しやすい濃度範囲や温度条件が広い場合でも、必要な時期に消泡操作を開始することにより発泡を阻止することができる
以上において、温度低下手段により分岐液の温度を低下させると、その温度によっては、温度低下させるための除去熱量と蒸発濃縮するための再加熱熱量とが必要になるので、消泡用液の量及び温度低下量は、上記のフラッシュ蒸発を十分減少させ少なくとも機械的消泡効果が発揮される程度に、できるだけ少量にされる。そして、そのような量は、被処理液の種類等によっても異なるので、実際の装置において、消泡効果を確認しつつ定められることが望ましい。
請求項2の発明においては、循環液になる原液を連続して供給可能にする原液供給系を有する場合に、即ち回分濃縮でなく連続濃縮する場合に、原液供給系を分岐系に接続し、温度低下手段を原液供給系が接続された分岐系で構成するので、温度低下手段による冷却熱量及び余分な再加熱熱量が不要になる。その結果、余分な電力等のエネルギーを消費することなく消泡することができる。
なお、濃縮倍率が大きいときに、循環液量等に対して相対的に原液供給量が少なくなる場合や、被濃縮液の種類等で消泡用液量や温度低下量を多くする必要がある場合等には、温度低下手段として、上記分岐系に接続された原液供給系の他に、又はこれに代えて冷却器等の追加の冷却手段が設けられる。
図1は本発明を適用した蒸発濃縮装置の全体構成の一例を示す。
本例の装置は、例えば希薄TMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)廃液のような発泡性のある循環液が供給されて加熱され一部分が蒸発し残部が落下するように形成された蒸発部1、残部が滞留し蒸発部1と間隔を空けて液面Sを形成するように蒸発部1の下方に形成された液溜部2、この中の液を取り出して蒸発部1に循環液として供給するように形成された循環系3、等を備えた装置であり、循環液の一部分が分岐液として流される分岐系4、分岐液の温度T℃を下げて温度T1 ℃の消泡用液にするように形成された温度低下手段5、消泡用液を間隔の部分である下部空間Vから液面Sに分散させて放出するように形成された液分散放出手段としてのノズル6、等を有する。
又本例では、循環液になる原液を連続して供給可能にする原液供給系7を有し、この原液供給系7を分岐系4に接続し、温度低下手段5を原液供給系が接続された分岐系4で構成している。従って、分岐系4と共に原液供給系7も温度低下手段5を構成している。
このような蒸発濃縮装置の通常の機器としては、蒸発部1の上部の空気溜まり部分から空気と随伴蒸気とを吸引して排出し蒸発部1内を目的とする真空圧力にする真空ポンプ8、循環系3を構成し液溜部2と蒸発部1との間で液溜部の液を循環液として循環させる循環ポンプ9、循環液が入れられて蒸発部1の頂部から蒸発部の蒸発管1aに均一的に循環液を放出する主ノズル10、始動時に加熱用の蒸気を供給するように導設された蒸気供給系11、ヒートポンプを形成するように蒸気を圧縮するためのブロワ12、加熱蒸気の凝縮水を取り出す蒸留水ポンプ13、液面Sを一定範囲のレベルに制御するための液面制御器14及び原液制御弁15、循環液の一部を濃縮液として循環系から取り出すための濃縮液系16、等が設けられている。
蒸発部1には、多数の蒸発管1aが水平方向に配列されている。なお、図1ではそれらのごく一部分だけを大きく示している。又、管板や必要によって設けられる中間支持板等の図示を省略している。液溜部2では、定常濃縮状態になると循環液が濃縮液として一定時間滞留する。循環系3には循環液量を調整する流量調整弁31が設けられている。分岐系4には、この系を開閉させる元弁41が設けられている。この弁は遠隔又は自動開閉弁や制御弁にされてもよい。
ノズル6は、消泡用液が液面Sに均一状に放出されるように液面Sに対向してバランス良く適当数配設される。なお、液面Sから発生する泡が例えば中央部分で多いような場合には、その部分に多くの消泡用液が当たるように、泡の発生状態に対応した分布になるように配設されてもよい。又、消泡用液をある程度圧力のある適当な量の液にして、ノズル6の複数の穴から初速度を持ち且つ機械的な消泡機能を発揮できるような粒度にして分散させて放出する。なお、ノズル6は特別なものでなく、格子状の管に多数の穴を明けたようなものであってもよい。消泡用液の量や圧力や液分散放出手段の構造等は、目的とする消泡作用が得られるように適当に定められる。
原液供給系7が接続された分岐系4で構成されている本例の温度低下手段5は、高低温液の混合により分岐液の温度を下げるようになっている。即ち、分岐循環液の流量及び温度をGkg/h及びT℃、原液の流量及び温度をgkg/h及びt℃とすると、これらの混合液である消泡用液の温度T1 及びその分岐循環液からの低下温度δTは、
1 =(GT+gt)/(G+g)
δT=(T−T1 )=〔T−(TG+gt)/(G+g)〕
となる。ここで、通常、gはGより小さいがtはTより大きいので、δTは2〜3℃程度又はそれ以上になる。
以上のような蒸発濃縮装置は、次のように運転され所望の作用効果を発生させる。
図示しない貯蔵タンクに溜められている希薄THAH廃液が原液として原液供給系7に連続供給されると共に、真空ポンプ8が運転され、蒸発部1内が飽和温度60℃〜70℃に相当する圧力0.02〜0.03Mpa 程度の真空にされる。
供給された原液が液溜部2に入れられてある程度溜められると、循環ポンプ9が運転され、液溜部2から原液が循環液として取り出され、循環系3を経由して蒸発部1に入れられ、頂部に取り付けられた循環液放射用の主ノズル10から蒸発管1a上に均一状に供給される。
このように液が循環されると、蒸気供給系11から通常水蒸気からなる起動用蒸気が供給され、圧力が0.5Mpa で温度が150℃程度の蒸気が蒸発管1aの管内に流され、管外に流れ落ちてくる循環液を加熱してその一部分を蒸発させる。循環液が加熱されて蒸発を開始すると、蒸気圧縮用のブロワ12が運転され、蒸発した蒸気を吸入して圧縮し、圧力及び温度を上昇させて蒸発管1aの管内に供給する。最終的に定常蒸発濃縮状態になると、ブロワ12から出される圧縮蒸気も起動用蒸気と同程度の圧力及び温度になる。
蒸発管1aに供給された起動用蒸気及びこの蒸気に代わって供給された圧縮蒸気は、循環液に熱を与えてその一部分を蒸発させることによって凝縮し、蒸留水となって蒸留水ポンプ13で取り出され回収される。液溜部2では、循環液中の水分を蒸発させつつ原液が供給されて液面が次第に上昇し、液面制御器14によって一定液面範囲になるように原液制御弁15で原液供給量が制御されることになる。又、循環液も循環中に加熱されて次第に昇温し、定常蒸発濃縮状態では、蒸発部1内の真空に対応して60℃〜70℃に近い温度になる。前記真空ポンプ8が空気と共に吸引した随伴蒸気は、余剰水となって排水される。
原液が供給され循環液が昇温し蒸発濃縮されつつ液溜部2に溜められると、定常的な蒸発濃縮状態になるまでの適当な時期に元弁41を開いて循環水の一部分を分岐系4に流す。このときには、循環液の一部分として20%程度が分岐系4に流され、分岐循環液は既に供給されている原液と混合し、少し温度低下して消泡用液になり、蒸発部1の蒸発管1aの下方に配設された補助ノズル6から液溜部2の液面S上に均一状に分散して放出される。
このような蒸発濃縮装置は、定常濃縮運転時には、例えば次のような運転状態になるように計画される:
供給原液 濃度約0.6重量%の希薄TMAH液
供給量 3000kg/h
温度 25℃
蒸発部
圧力(真空) 0.025Mpa
飽和温度 約65℃ 循環液
流量 120m3/h(約120000kg/h)
温度(T) 64℃
分岐循環液
流量 24m3/h(約24000kg/h )
温度(T) 64℃
濃縮液
流量 90kg/h
濃度 20重量%
濃縮倍率 33倍
消泡用液
流量 27000 kg/h
温度(T1 ) 59.7℃( 前式から[(24000 ×64) +( 3000×25)]/27000=59.7)
温度低下量 4.3℃(前式からδt=64-58.7 =4.3)
本発明を適用した以上のような蒸発濃縮装置によれば、発泡性液を濃縮するときに以下のように極めて効果的に発泡を防止することができる。
通常の蒸発濃縮装置の液溜部2では、蒸発部1で一部分が蒸発した循環液が上方から飽和温度で落下してくるため、液面Sの近くでは液中でも部分的に蒸発が継続して多数の気泡が継続的に発生する。この気泡は、発泡成分の液膜で覆われて液面上に出てきて泡になる。そして、下部空間Vも飽和温度になっていて泡が冷やされないため、水面上に出ても泡が消滅せず、次第に増量して行くことになる。このような発泡現象は、液の種類等によるが定常濃縮状態に至る前から生ずることもある。
なお、液溜部2には、蒸発部1の蒸発管1aを順次伝って落ちてくる多量の循環液があるが、この液は連続流れ状態になっていたり大粒になっていると共に、泡に当たるときの流速が小さく且つ飽和温度になっているため、泡を消滅させることはできず、泡の形状を変えたり泡を分割することはあっても、殆ど破壊消滅させることはなく、それ自体が発泡することがあっても、泡の発生や増加を抑制する作用をすることはない。
これに対して本発明を適用した本例の装置によれば、前記の如く、定常的な蒸発濃縮状態になるまでの適当な時期に元弁41を開いて循環液の一部分を分岐系4に流すので、原液に循環液が加えられて十分に増量されると共に、低温原液が高温循環液に加えられて温度低下作用が生じ、循環液から約4℃下がった消泡用液が生成し、この液がノズル6から液溜部2の液面Sに均一状に分散供給されることになる。
このような消泡用液は、初速度を持ってノズル6から45°程度の角度まで分散させて放出され、45°程度の角度でもこれに近い角度を維持して液面Sに到達するようにされる。この場合、循環ポンプ9は例えば揚程12m程度のポンプにされるため、分岐系4では0.14Mpa 程度までの圧力が得られるので、消泡用液としては、原液と流量調整された後ノズル6の前で約0.13Mpa 程度の圧力にされる。原液もこの程度の圧力が得られるように供給される必要があるので、図示しない原液貯蔵タンクが3m程度の高さ位置に設置されたり、そのようにされないときには、ごく小揚程のポンプが設けられることになる。
以上のように散布される消泡用液は、前記の如く、循環液の温度より約4℃低下していて、蒸発部1内の飽和温度からは約5℃低下しているので、ノズル6から多数の小滴となって放出されたときに、周囲に充満している飽和蒸気の中を突き進んでも、フラッシュ蒸発のような挙動をすることはなく、ある程度の大きさの液粒状態を保持すると共に飽和温度との温度差をほぼ維持して流速を持って泡に突き当たる。このような小液滴は1つの泡に対して複数個当たる。その結果、泡粒を機械的に効率良く消滅させることができる。そして、泡の増加成長を確実に阻止し、蒸気側への泡の混入を防止し、回収する蒸留水の水質を良好に維持すると共に、濃縮液の回収率も良くすることができる
又、本発明を適用した本例の装置では、原液を含む消泡用液が液溜部2に飽和温度で落ちてくる循環液よりも約5℃低い温度で液面S上に供給されるため、液面近傍の部分では液温が飽和温度より低くなるので、液中蒸発による気泡の発生自体がある程度抑制され、一層効果的な発泡防止作用が生ずることになる。
発明者等は、以上のような蒸発濃縮装置を実際に製作して運転した結果、十分な消泡効果を得ることができた。即ち、本例の装置では、装置の除き窓から目視した結果、泡が効果的に消泡され一定以上増加成長しないことが確認された。又、製造された蒸留水の水質として、電気伝導度が50〜100μS/cmという小さい値になり、数値的にも泡による水質低下が全く発生していないことが確認された。
なお、本例の装置で、仮に、従来の装置のように分岐系4を使用せず、又、原液供給系7を循環系に接続して実験したところ、多量の泡が発生し、蒸留水の水質も、電気伝導度が1000μS/cmを超えるという大きい値になり、泡による相当の水質低下が確認された。一方、本発明を適用した本例の装置では、原液の供給量を少なくし、循環水の温度と消泡用液の温度との差を2℃程度以上にすれば、消泡効果が得られ実用可能であることも確認された。
以上のような装置によれば、原液だけで分岐循環液の温度を下げて消泡用液にするので、循環濃縮系から熱を取り去ることがない。従って、再加熱熱量が不要になり、電力等の余分なエネルギーや冷却水等を消費することなく消泡することができる。又、通常の濃縮装置に対しては、分岐系4とノズル6の部分が追加されるだけであるから、消泡のための追加装備が極めて簡単で安価なものになる。
又、蒸発濃縮装置の始動後の適当な任意の時期に分岐系4を使用して消泡操作をすることができるので、原液によって発泡しやすい濃度範囲や温度条件が広い場合でも、問題なく確実に発泡を防止することができる。
図2は本発明を適用した発泡性液の蒸発濃縮装置の全体構成の他の例を示す。
本例の装置では、図1の装置に比べて、温度低下手段5として、冷却系17が追加装備されている。冷却系17は、分岐循環液に原液が加えられた消泡用液の一部分がバイパスして流されるバイパス系18、冷却器19、バイパス量を調整する調整弁20、最終的に供給される消泡用液の温度を制御する温度調節器21、等で構成されている。
本例の装置では、循環液からの消泡用液の温度低下量を確実に大きくすることができるので、泡の発生を一層確実に防止することができる。従って、蒸発濃縮装置において濃縮倍率が大きく、循環液量に対して相対的に原液供給量が少なくなる場合や、原液の温度か高かったり原液の種類等で消泡用液の流量や温度低下量を多くする必要があるような場合にも、確実に泡の発生を防止することができる。
この場合、冷却器で低下させる温度は2〜3℃程度の僅かな温度であればよいので、冷却器側へのバイパス量は少量でよく、又循環液と冷却水との温度差も大きいため、冷却器19は十分小型のものでよい。従って、冷却熱量の損失に対する再加熱熱量が十分少ないと共に、追加設備も簡単で安価なものである。又、冷却水は低温のものでなくてもよいので、河川水や工業用水や冷却塔の水等の適当なものを容易に使用することができる。
なお、本例では分岐系4に原液を入れるようにしているが、循環液を主として冷却系17で温度低下させて消泡用液にする場合には、原液は循環ポンプの吸入側や直接液溜部2に入れられてもよい。
本発明は、被利用物質が溶解した希薄な溶液の液部分を蒸発させて溶液を濃縮して再使用を可能にする分野に利用され、特に発泡性溶液の濃縮に好都合に利用される。
本発明を適用した蒸発濃縮装置の全体構成の一例を示す説明図である。 本発明を適用した蒸発濃縮装置の全体構成の他の例を示す説明図である。
符号の説明
1 蒸発部
2 液溜部
3 循環系
4 分岐系(分岐系、温度低下手段)
5 温度低下手段
6 ノズル(液分散放出手段)
7 原液供給系(原液供給系、温度低下手段)
17 冷却系(温度低下手段)
18 バイパス系(冷却系、温度低下手段)
19 冷却器(冷却系、温度低下手段)
20 調整弁(冷却系、温度低下手段)
21 温度調整器(冷却系、温度低下手段)
S 液面
V 下部空間(間隔の部分)

Claims (2)

  1. 発泡性のある循環液が供給されて加熱され一部分が蒸発し残部が落下するように形成された蒸発部と、前記残部が滞留し前記蒸発部と間隔を空けて液面を形成するように前記蒸発部の下方に形成された液溜部と、該液溜部の液を取り出して前記蒸発部に前記循環液として供給するように形成された循環系と、を有する蒸発濃縮装置において、
    前記循環液の一部分が分岐液として流される分岐系と、前記分岐液の温度を下げて消泡用液にするように形成された温度低下手段と、前記消泡用液を前記間隔の部分から前記液面に分散させて放出するように形成された液分散放出手段と、を有することを特徴とする蒸発濃縮装置。
  2. 前記循環液になる原液を連続して供給可能にする原液供給系を有し、該原液供給系を前記分岐系に接続し、前記温度低下手段を前記原液供給系が接続された前記分岐系で構成したことを特徴とする請求項1に記載の蒸発濃縮装置。
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