JP4138473B2 - 発泡性液の蒸発濃縮方法及び装置 - Google Patents

発泡性液の蒸発濃縮方法及び装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発泡性のある被処理液を蒸発濃縮装置の液溜部に溜めて液散布部材と液蒸発部とを介して循環ポンプで循環させつつ前記液散布部材で前記液蒸発部に散布してほぼ一定の温度で蒸発させて濃縮する蒸発濃縮方法及び蒸発濃縮装置に関し、発泡防止技術として利用される。
【0002】
【従来の技術】
被処理液の濃縮は一般に蒸発濃縮操作によって行われることが多い。この場合、被処理液が発泡性溶液であることも多い。このような液を濃縮する過程で多量に泡が発生すると、安定した良好な蒸発濃縮操作が行われなくなると共に、発生蒸気側に泡が随伴され、薄膜状でこの泡を形成している被処理液が蒸留水側に混入してその水質を低下させたり、凝縮液が生産物である場合にはその生産量も減少する等の不具合が生ずる。
【0003】
そのため、従来から、被処理液に消泡剤を添加して発泡を抑制する方法、液表面の泡をパドル等でたたいて機械的に破泡する方法、泡に不活性ガスや蒸気等を吹きつけて泡表面を乾燥破泡する方法、遠心薄膜蒸発機のように蒸発面を回転させて液面と蒸発蒸気との間に剪断力を与えて発泡を抑える方法、等が一般的発泡抑制方法として知られている。
【0004】
しかしながら、発泡剤を添加する方法では、被濃縮液を回収して再利用することができないという問題がある。又、他の方法では、蒸発濃縮装置の本体部分の構造や操作が特殊なものになり、発泡性液を濃縮対象としないときに通常の蒸発濃縮装置を通常の運転と同様の運転方法で使用できないという問題がある。
【0005】
他の特殊な発泡抑制方法又は装置としては、原液を加熱手段で加熱し、密封タンク内に設けたフラッシュノズルからフラッシュ蒸発させて拡散噴霧し、噴霧エネルギーで泡の流出を阻止するようにしたフラッシュ式の濃縮装置(特許文献1参照)、加熱器で被濃縮液を過熱状態にし、この流体が管内で間欠流又は環状流になるようにその流量及び過熱度を制御し、蒸発缶内へ噴出させる流体内での発泡を防止すると共に、その噴流に消泡効果を発生させるようにしたフラッシュ式の蒸発方法(特許文献2参照)、液溜めの中に冷却水管を導設し、その中の被濃縮液を飽和温度より低い温度に冷却し、過冷却状態にして液中発泡を抑制するようにした減圧濃縮装置(特許文献3参照)、等が提案されている。
【0006】
しかしながら、このような方法又は装置では、それぞれ、特許文献1の装置では、液溜部の上方に配置された液蒸発部を備えた蒸発管式の蒸発濃縮装置には適用できないこと、特許文献2の方法では、上記に加えて、気液2相流を目的とする相状態に制御するのが難しいと共に、過熱度に相当する僅かの液が蒸発するだけで大部分の液は飽和温度になって液溜めに戻り多量に液中発泡することになるため、噴流によってこれを消泡するのが難しく、確実な発泡抑制効果が得られないこと、特許文献3の装置では、多量の冷却水を消費すると共に冷却した熱量を回復するために多量の加熱エネルギーが余分に必要になり、更に加熱装置も大きくなること、等の問題がある。
【0007】
【特許文献1】
特開昭63−54901号公報(第1図及び関連説明)
【特許文献2】
特開平5−49801号公報(第1図及び関連説明)
【特許文献3】
特開平7−701号公報(図1及び関連説明)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、従来技術における上記問題を解決し、被処理液を回収して再利用することができ、濃縮装置本体部分の構造や操作が通常のものと同様であり、発泡抑制操作が簡単で確実に発泡抑制効果が得られ、余分な水消費や加熱エネルギー消費がなく運転及び装置コストが低い蒸発濃縮方法又は装置を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、請求項1の発明は、発泡性のある被処理液を蒸発濃縮装置の液溜部に溜めて、溜められた前記被処理液を、前記液溜部から循環ポンプで取り出して蒸発循環系を介して液散布部材に送り、該液散布部材と該液散布部材の下に配置された蒸発管からなる液蒸発部とを介して該液蒸発部の下に設けられた前記液溜部に戻すように前記循環ポンプで循環させつつ前記液散布部材で前記液蒸発部に散布して一定の温度で蒸発させて濃縮する蒸発濃縮方法において、
前記被処理液を前記一定の温度で蒸発させて濃縮する前に前記液溜部から取り出し液体を充満させて流しつつ熱媒体で加熱するように形成された加熱器を介して、前記蒸発循環系とは別に設けられた昇温循環系により、前記液蒸発部より下の位置から前記液溜部に戻すように循環させ、前記加熱器で加熱して泡の出やすい温度を通過して前記一定の温度までの温度に昇温させることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、発泡性のある被処理液を液溜部に溜めて、溜められた前記被処理液を、前記液溜部から循環ポンプで取り出して蒸発循環系を介して液散布部材に送り、該液散布部材と該液散布部材の下に配置された蒸発管からなる液蒸発部とを介して該液蒸発部の下に設けられた前記液溜部に戻すように前記循環ポンプで循環させつつ前記液散布部材で前記液蒸発部に散布して一定の温度で蒸発させて濃縮可能にした蒸発濃縮装置において、
前記被処理液を前記ほぼ一定の温度で蒸発させて濃縮する前に前記液溜部から取り出して加熱器を介して前記液蒸発部より下の位置から前記液溜部に戻すように循環させる昇温循環系であって前記蒸発循環系とは別に設けられた昇温循環系と、液体を充満させて流しつつ熱媒体で加熱するように形成されていて前記循環される前記被処理液を加熱して泡の出やすい温度を通過して前記一定の温度までの温度に昇温可能にする前記加熱器と、を有することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は本発明を適用した蒸発濃縮方法の主要工程の一例を示し、図2はこの工程を実施可能な蒸発濃縮装置の全体構成の例を示す。
本例の蒸発濃縮方法は、発泡性のある被処理液として例えば空気や炭酸ガス等を含有し発泡性のある半導体や機械部品の洗浄液等からなる原液を、蒸発濃縮装置の本体部分1の液溜部2に溜めて液散布部材であるノズル3と液蒸発部である水平配置された蒸発管4とを介して循環ポンプ5で循環させつつノズル3で蒸発管4に散布してほぼ一定の温度として本例では循環水温度で下設定温度t1 =75.5℃から上設定温度t2 =76.5℃の範囲の温度tで蒸発させて濃縮する方法であり、通常の蒸発濃縮工程に加えて、昇温循環工程S4 及び加熱工程S6 を有する。
【0012】
昇温循環工程S4 及び加熱工程S6 は、原液を前記ほぼ一定の温度tで蒸発させて濃縮する前に昇温循環系6によって液溜部2から取り出して液溜部2の原液からなる循環液のうちの下循環液を加熱器である循環液ヒータ7を介して蒸発管4より下にある液溜部2に戻すように循環させ、循環液ヒータ7で加熱して少なくとも前記ほぼ一定の温度tに近い温度とし本例では温度tまで昇温させる。
【0013】
蒸発濃縮装置は、上記のように、本体部分1をなす液溜部2及び蒸発管4、ノズル3、循環ポンプ5、昇温循環系6、循環液ヒータ7、等を有するが、本例のものは、蒸発濃縮のための加熱源として蒸発管4で蒸発させた蒸気をブロワ8で昇圧・昇温させて蒸発管4に供給する蒸気圧縮式装置になっている。又、通常の構成部分として、蒸発管4の外面を形成する蒸発室9、この中を一定の真空として本例では0. 039〜0.04 MPa程度の圧力にする真空ポンプ10、ミストセパレータ11、凝縮水室12、凝縮水ポンプ13、等を備えている。
【0014】
又、センサ類や弁類等を含む管系として、液溜部2に設けられた液面センサ21、これによって開閉制御される原液供給弁22、原液供給系23、ノズル3及び蒸発管4を介して液溜部2の原液からなる循環液のうち上まで循環させる上循環液として循環ポンプ5で循環させる蒸発循環系51、温度tを検出する本例では循環ポンプ5の入口側に設けられた循環水温度センサ52、蒸発循環系51を開閉する循環開閉弁53、蒸発循環系51を流れる上循環液の流量をほぼ一定にするためのオリフィス54、循環ポンプ5から濃縮の完了した濃縮液を送出する濃縮液系55及び濃縮液送出弁56、昇温循環系6に設けられた絞り弁61、循環液ヒータ7に熱媒体として加熱用の蒸気を供給する加熱蒸気系71及び自動開閉される加熱蒸気弁72、等が設けられている。
【0015】
ノズル3は、上循環液を噴射拡散させて蒸発管4に散布するように本体部分1の頂部に取り付けられている。これにより、上循環液が飛散して蒸発管4に当たり、管内に高温の蒸気等の熱媒体が供給されているとその一部分が蒸発することになる。
【0016】
循環ポンプ5は、本例では蒸発循環系51及び昇温循環系6の両方に兼用されている。そのため、循環開閉弁53を設けて、蒸発循環系51は循環開閉弁53が開いているときに使用されるようにしている。なお、昇温循環系6に流される下循環液は蒸発循環系51に流される上循環液の1/20程度の小量にされるため、昇温循環系6に対して循環ポンプ5とは別に小容量の循環ポンプを設けるようにしてもよい。
【0017】
循環液ヒータ7は、液体を充満させて流しつつ熱媒体で加熱するように形成された形式のもので、本例では、液室71、胴体72、下循環液が流される加熱管73、等を備えた通常のシェル&チューブ型の熱交換器である。加熱管73の管外側になる胴体72内には、熱媒体として本例では圧力0.22MPa、温度約123℃の飽和蒸気が供給される。このとき、加熱管73内には下循環液が充満して流され、蒸発することなく昇温して液溜部2に戻される。なお、循環液ヒータ7としては、例えばプレート式等の他の形式の熱交換器であってもよい。
【0018】
ブロワ8は、蒸発室9内で蒸発した圧力0.04MPa、温度75℃程度の飽和蒸気を吸入して昇圧・昇温させ、圧力0.05MPa、温度81℃程度の蒸気にして蒸発管4の管内に供給する。このような蒸気圧縮式の蒸発方式によれば、蒸発濃縮時の熱効率を良くすることができる。但し、循環液ヒータ7と同様に、蒸発管4に外部から加熱蒸気等の熱媒体を供給するようにしてもよい。
【0019】
真空ポンプ10は、上記の如く蒸発室9内の圧力を0.04MPa程度の真空にする。この真空度はオリフィス101 で調整される。なお、真空ポンプ10に代えて蒸気エゼクタ等の真空手段を用いてもよい。大気圧蒸発式の装置では当然真空ポンプは設けられない。
【0020】
本発明を適用した以上のような蒸発濃縮装置により、図1に一例を示す如く、本発明を適用した蒸発濃縮方法は通常の蒸発濃縮操作を含み以下のように実施される。
原液供給工程S1 では、常時原液が供給可能な状態にされている原液供給系23において、蒸発濃縮装置の起動と共に液面センサ21及び原液供給弁22が作動し、液溜部2内で一定のレベルになるまで原液が供給される。この工程S1 は、原液張り込み後にも液溜部2内の原液レベルを一定範囲に維持するように実行される。
【0021】
真空形成工程S2 では、原液供給と同時に真空ポンプ10が起動し、その後連続運転される。これにより、オリフィス101を介して蒸発室9内の主として空気からなる非溶解性ガスが吸引され、その中の圧力が次第に低下し、約30分程度で最終的に水蒸気の飽和温度で約76℃に相当する0.04 MPa程度の真空にされる。蒸発室9及び液溜部2内の圧力低下と共に、ごく小量の水蒸気が発生し、凝縮室12に至る間に自然冷却されて凝縮水になるため、凝縮水ポンプ13が間欠運転される(凝縮水送出工程S3 の鎖線部分)。
【0022】
昇温循環工程S4 では、原液がある程度供給された後循環ポンプ5が起動され、その後連続運転される。これにより、原液は、昇温循環系6と共通になっている蒸発循環系51の一部分を介して循環液ヒータ7を通過し、絞り弁61で絞られて小流量になって下循環液として液溜部2に戻り、昇温循環系6によって循環される。
【0023】
蒸気圧縮工程S5 では、蒸発室9内の真空がある程度上がった後ブロワ8が運転される。これにより、圧力低下と共に液溜部2で発生したごく小量の蒸気が蒸発室9を介してブロワ8で吸引され、昇圧・昇温されて蒸発管4の管内に供給されることになる。しかし、液溜部2内の原液が昇温循環系6を循環しているだけで加熱されていない間は、原液はほぼ初期張り込み時の低い温度の状態にある共に、蒸発循環系51が使用されていないため、起動直後にブロワ8の吸引・吐出する蒸気はごく小量であり、従ってその電流値は定格電流値より低くなっている。そして、原液が殆ど蒸発していないため、これまでの工程では泡は発生しない。
【0024】
加熱工程S6 では、以上の予備的運転状態を経て蒸発室9内の真空度が相当程度上がった後加熱蒸気弁72が開き、加熱蒸気の供給が可能になっている加熱蒸気系71から、昇温循環系6を介して下循環液が流れている循環液ヒータ7に、前記の如く圧力0.22 MPa、温度123 ℃程度の飽和加熱蒸気が供給される。原液を昇温循環系6の下循環液として循環させつつこれを加熱すると、下循環液は循環液ヒータ7で10℃程度昇温して液溜部2に戻される。その結果、液溜部2内の原液は加熱開始後20分程度で一定温度tのうちの下設定温度t1 =75.5℃に到達する。
【0025】
ところで、発泡性のある原液では、その発泡性に影響する要因として水の表面張力があり、表面張力が小さいと泡が出にくく、反対に大きいときには泡が出ても潰されるため泡ができにくいことが知られている。又、水は温度が高くなると表面張力が小さくなり、従って泡が出にくくなることも知られている。そして、上記の昇温過程では、原液が常温から一定温度tになる間に、水の表面張力が泡の出やすい値になる温度範囲を通過することになる。
【0026】
そして、本発明の適用により、この加熱では、原液を上循環液として蒸発管4に散布して加熱・蒸発させるのではなく、下循環液として循環液ヒータ7の液室71を介して加熱管73内に液を充満させて流しつつ胴体72から導入された蒸気で加熱するので、蒸気加熱式の通常の熱交換器のように、下循環液は蒸発することなく昇温しただけの状態で液溜部2に戻る。その結果、原液に発泡性があっても、原液が蒸発しないため発泡しない。即ち、発泡しやすい水の表面張力の温度域を発泡のおそれのない温度上昇だけの間に通過することができる。
【0027】
一方、下循環液が小量づつ昇温を繰り返して液溜部2に戻って循環加熱されると、その中の原液が昇温して次第に器内真空の飽和温度に近づくため小量の蒸気が発生するが、この蒸発は沸騰前に湯気が出るような自然蒸発に近い穏やかな蒸発現象であるため、前述の如く泡の発生の問題は生じない。そして、このような時間をかけた昇温過程により、原液の含有している空気を主とする溶解ガスが泡に包含されることなく原液から分離して気散し、真空ポンプ10によって排出されることになる。
【0028】
なお、前記昇温循環工程S4 とこの加熱工程S6 とは、主として通常運転でも必要となる真空形成中に行われるので、このような工程の追加により、通常100時間程度連続運転される十分長い蒸発濃縮の全工程に与える時間的影響は全く問題にならない。
【0029】
蒸発循環工程S7 では、加熱工程S6 で下循環液の温度が下設定温度t1 に到達した後、循環液開閉弁53が開く。これにより、循環ポンプ4が吐出する液のうちの90%程度が上循環液となって蒸発循環系51に流れ、10%程度が下循環液となって昇温循環系6に流れ、液溜部2内の原液が多流量で循環されることになる。そして、そのうちの上循環液がノズル4から噴射され、蒸発室9内の圧力の飽和温度75.5℃より高くなっているときにはその高くなった温度分だけフラッシュ蒸発すると共に、蒸発した蒸気がブロワ8によって昇圧・昇温されて加熱蒸気として蒸発管4の中を流れ、上循環液が蒸発管4に接触して蒸発し、このように現象が繰り返され、次第に加熱蒸気量でもある蒸発量が増えて行く。
【0030】
ブロワ8が上循環液を加熱する熱量は主として上循環液を蒸発させるために消費されるが、上記の如く10%程度の下循環液があると共に、加熱工程S6 が継続しているので、循環液は下設定温度t1 に到達した後更に温度上昇し、この工程の最後には上設定温度t2 に到達する。
【0031】
この工程では、上循環液の一部分が蒸発してその量が小量から濃縮時の一定多量まで移行する。そして、この蒸発工程S7 は、蒸発濃縮装置の起動直後であり発泡しやすい不安定な運転状態にあるため、従来の装置及び運転方法では多量の泡が発生していた。
【0032】
しかし本発明の適用によって昇温循環工程S4 が実行された後であるため、温度条件が泡の出やすい水の表面張力に相当する温度範囲を経過していること、循環液がほぼ一定温度まで到達していて運転状態が安定していること、加熱工程での泡の発生がないためそれに追従した継続的な泡の発生がないこと、泡の内包物の一部になり泡をつぶれにくくする空気を主としたガスが時間をかけた加熱工程S6 で液溜部2の全体の原液の中から相当程度抜け出していること、等により、上循環液からの相当な蒸発が起こっても泡の発生を十分小量に抑えることができる。
【0033】
濃縮工程S8 では、蒸発循環工程S7 で循環液の温度がt2 に到達した後、加熱蒸気弁72が閉鎖して循環液ヒータ7の熱源がなくなり、加熱工程S6 が一応終了し、一方、蒸発蒸気が十分な量になってブロワ8が定格能力で運転され、設定温度tの範囲で予定した一定蒸発量の下に、一定量の原液が供給されつつ(原液供給工程S1 )原液が濃縮されて行く。又、蒸発蒸気はブロワ8で加熱蒸気となった後凝縮し、凝縮水ポンプ13の連続運転により(凝縮水送出工程S3 )、凝縮水が純水として図示しない回収先又は利用先に送り出される。
【0034】
この工程において、本例の蒸発濃縮装置では、ブロワ8の蒸気圧縮能力に相当する熱量が一定蒸発量に相当する熱量より少し少ないように計画されているため、循環水温度がt2 からt1 まで下がる可能性があり、そのときには、加熱蒸気弁72が開き、循環液ヒータ7が間欠運転されることになる。なお、蒸発管4に圧縮蒸気とは別の蒸気等を流す場合等には、循環液ヒータ7の間欠運転は不要になる。
【0035】
この工程では、泡の出にくい温度であるほぼ一定温度における安定した蒸発運転状態になる。この場合、従来の蒸発濃縮運転では、起動直後に多量に泡が発生し、この一定温度濃縮工程にもこの多量の泡が持ち越され、この泡が粗大化して継続的に泡を発生させ、安定運転状態に入っても容易に発泡を抑えることができなかったが、本発明を適用した運転により、前の蒸発循環工程S7 までの工程で泡の発生を十分抑制できているため、この工程S8 では、泡の発生を殆ど解消し、ミストセパレータ11を通過して凝縮水に持ち込まれる泡成分を殆どなくすることができる。
【0036】
濃縮液送出工程S9 では、例えば、濃縮工程S8 が6時間継続して行われて液溜部2内の原液が40倍程度に濃縮された後、濃縮工程S8 が継続しつつ原液が濃縮液となって図示しない回収先や再利用先に送出される。このときには送出弁56が開かれる。なお、場合によっては、一時的に循環開閉弁53及び絞り弁61が絞られたり閉にされることがある。
【0037】
以上のような各工程を実行するための機器類の運転操作は、通常、装置起動後にはほぼ全自動で行われる。但し、手動操作の装置に対しても本発明を適用可能であることは勿論である。
【0038】
発明者等は、以上のような実際の蒸発濃縮装置を使用して以上のような蒸発濃縮方法を実施し、以下のような運転結果を得た:
〔運転条件〕
被処理原液 発泡性の強いアンモニア除去水
原液平均流量 1.5 〜1.6 m3/h
循環液温度t 75.5〜76.5℃
蒸発室の真空 0.0389〜0.04 MPa
加熱蒸気圧力 0.22 MPa
〔運転結果〕
起動後の経過時間(分) 40 100 160 250 310 370 1120
凝縮水電導度(μs/cm) 120 45 33 22 17 17 10
凝縮水出口温度
この運転結果によれば、蒸発濃縮装置の起動直後から泡の発生を十分抑制でき、泡成分の凝縮水への持ち込みが最初から十分少なかったため、定常的な安定運転に入り起動して数時間経過したときには、凝縮水電導度を目標とする管理値である10〜20μs/cmの範囲に完全に抑えることができた。
【0039】
一方、同じ装置で従来と同様の運転方法により、加熱循環系6を使用することなく蒸発濃縮運転をした結果では、多量の泡の発生が継続し、凝縮水電導度は起動直後400μs/cmで、その後数時間を経過しても泡の発生がおさまらず、凝縮水電導度は数時間40〜60μs/cm程度で推移した。そして、その後にも目標とする管理値には全く到達しないことが推定された。
【0040】
以上の如く、本発明によれば、泡の発生を十分抑制することができる。その結果、蒸発した凝縮水を質の良い純水として使用することができる。又、原液を凝縮水側に持ち出すことなく、そのほぼ全量を濃縮して再利用に供することができる。そしてこの場合、発泡剤を使用しないので、濃縮液が良質になり、その液に適当な全ての用途に使用可能となる。
【0041】
一方、本発明によって追加される装置は、蒸発濃縮装置の本体部分1とは別に装備可能な循環液ヒータ7と昇温循環系6だけであり、このヒータ7では、真空形成時間を利用して時間をかけて循環液を蒸発させることなく加熱だけをすればよいので、ヒータ及び循環系からなる追加装置を十分小容量で小サイズで低コストのものにすることができる。
【0042】
又、本体部分1が一般用途の標準的蒸発濃縮装置と同じものであるため、装置の生産性が良いと共に、既設の装置に対しても、泡対策装置として容易に追加装備することができる。
【0043】
又、本体部分1を変更しないため、運転操作も標準のものに加えて昇温循環工程と加熱工程が追加されるだけであり、本体部分を含む基本的な運転操作の変更がない。従って、操作及び制御が容易である。そしてこの場合、上記追加工程は、循環液温度センサの検出温度によって循環開閉弁53及び加熱器蒸気弁72を開閉させるだけである。従って、追加される操作はごく僅かであり容易である。又、自動化も極めて容易であり、通常そのようにされる。
【0044】
更に、加熱工程では蒸気等の熱媒体によって循環液を昇温させるために熱エネルギーを消費するが、この熱エネルギーは加熱工程によらない場合でも常に必要になること、加熱蒸気を用いず蒸気圧縮方式でこの加熱を行えば熱効率はよくなるが、加熱蒸気は液溜部の初期張り込み原液を昇温させるだけであるため、この加熱エネルギーは蒸発濃縮の全消費エネルギーに対してごく僅かであり、結局本発明適用によって増加するエネルギー消費は全く問題にならない。従って、余分な運転コストも発生しない。
【0045】
その結果、本発明によれば、低コストで容易に設置可能で本体装置に影響のない僅かの追加設備だけで、容易な操作の下に、追加のエネルギー消費もなく極めて効果的に泡の発生を防止し、再利用に適した濃縮液及び凝縮水からなる純水を生成させることができる経済的及び省資源的に優れた極めて実用価値の高い蒸発濃縮方法及び装置を提供することができる。
【0046】
【発明の効果】
以上の如く本発明によれば、請求項1の発明においては、発泡性のある被処理液を、ほぼ一定の温度で蒸発部に散布して蒸発させて濃縮する前に、昇温循環系によって蒸発濃縮装置の液溜部から取り出し、液体を充満させて流しつつ熱媒体で加熱するように形成された加熱器を介して循環させ、この加熱器で加熱して少なくとも前記ほぼ一定の温度に近い温度まで昇温させるので、不安定な運転状態にあって多量の泡を発生しやすい運転開始時に、加熱器によって蒸発現象を伴うことなく循環液の加熱だけをすることができるので、この加熱時及びそれ以後の蒸発濃縮運転における泡の発生を十分抑制することができる。
【0047】
即ち、発泡しやすい水の表面張力の温度域と発泡しやすい運転開始時とを発泡のおそれのない温度上昇だけの間に通過すると共に、循環液がほぼ一定温度まで到達していて運転状態が安定した後に蒸発部で一定温度で循環液を蒸発させて濃縮することができるので、初期発泡を十分抑制し、その後の蒸発濃縮における継続的な泡の発生を防止し、蒸発濃縮の全過程を殆ど泡の発生のない良好な状態に維持することができる。
【0048】
その結果、蒸発させた凝縮水を純水として使用することができる。又、原液を泡にして凝縮水側に持ち出すことなく、濃縮液として再利用することができる。この場合、発泡剤を使用しないので、濃縮液が良質になってその利用性が良くなる。
【0049】
又、この蒸発濃縮方法によれば、通常の方法に対して、蒸発濃縮の前に蒸発を伴わない液加熱を行うだけであるから、通常の蒸発濃縮操作自体を変更する必要がないと共に、液加熱の操作は簡単であり、運転操作の負担が増すということはない。そして、このような液加熱は、通常液温検出によって容易に自動化できるので、その場合には運転操作の追加は殆どない。
【0050】
更に、循環液を蒸発させることなく加熱するのでそのための熱エネルギーを消費するが、循環液を蒸発部で蒸発させつつ加熱する通常の蒸発濃縮方法の場合でも、一定の温度で蒸発濃縮させるために一定温度まで循環液を加熱する熱エネルギーが必要であるため、液加熱のために余分の熱エネルギーを消費するというこはない。従って、発泡防止のための余分の運転コストが発生しない。
【0051】
以上の如く、請求項1の発明によれば、容易な操作の下に、追加のエネルギー消費もなく極めて効果的に泡の発生を防止し、再利用に適した濃縮液及び凝縮水からなる純水を生成させることができる経済的及び省資源的に優れた極めて実用価値の高い蒸発濃縮方法を提供することができる。
【0052】
請求項2の発明において、上記のような作用効果を奏する請求項1の発明の蒸発濃縮方法を実施できる蒸発濃縮装置を提供することができる。そしてこの装置では、通常の蒸発濃縮装置に対して昇温循環系と液加熱のための加熱器が追加されるが、発泡を防止するためには急激な液加熱を避けてある程度時間をかけるのがよいので、昇温循環系及び加熱器は小容量のものにされる。従って、追加装置は低コストのものである。
【0053】
又、追加装置の他は通常の蒸発濃縮装置と同じものであるため、装置の生産性が良いと共に、既設の装置に対しても、泡対策装置として容易に追加装備することができる。
【0054】
その結果、請求項2の発明によれば、低コストで容易に設置可能な追加設備だけで請求項1の効果を持つ蒸発濃縮方法を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した蒸発濃縮方法の一例を示す工程図である。
【図2】本発明を適用した蒸発濃縮装置の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
2 液溜部
3 ノズル(液散布部材)
4 蒸発管(液蒸発部)
5 循環ポンプ
6 昇温循環系
7 循環液ヒータ(加熱器)

Claims (2)

  1. 発泡性のある被処理液を蒸発濃縮装置の液溜部に溜めて、溜められた前記被処理液を、前記液溜部から循環ポンプで取り出して蒸発循環系を介して液散布部材に送り、該液散布部材と該液散布部材の下に配置された蒸発管からなる液蒸発部とを介して該液蒸発部の下に設けられた前記液溜部に戻すように前記循環ポンプで循環させつつ前記液散布部材で前記液蒸発部に散布して一定の温度で蒸発させて濃縮する蒸発濃縮方法において、
    前記被処理液を前記一定の温度で蒸発させて濃縮する前に前記液溜部から取り出し液体を充満させて流しつつ熱媒体で加熱するように形成された加熱器を介して、前記蒸発循環系とは別に設けられた昇温循環系により、前記液蒸発部より下の位置から前記液溜部に戻すように循環させ、前記加熱器で加熱して泡の出やすい温度を通過して前記一定の温度までの温度に昇温させることを特徴とする蒸発濃縮方法。
  2. 発泡性のある被処理液を液溜部に溜めて、溜められた前記被処理液を、前記液溜部から循環ポンプで取り出して蒸発循環系を介して液散布部材に送り、該液散布部材と該液散布部材の下に配置された蒸発管からなる液蒸発部とを介して該液蒸発部の下に設けられた前記液溜部に戻すように前記循環ポンプで循環させつつ前記液散布部材で前記液蒸発部に散布して一定の温度で蒸発させて濃縮可能にした蒸発濃縮装置において、
    前記被処理液を前記ほぼ一定の温度で蒸発させて濃縮する前に前記液溜部から取り出して加熱器を介して前記液蒸発部より下の位置から前記液溜部に戻すように循環させる昇温循環系であって前記蒸発循環系とは別に設けられた昇温循環系と、液体を充満させて流しつつ熱媒体で加熱するように形成されていて前記循環される前記被処理液を加熱して泡の出やすい温度を通過して前記一定の温度までの温度に昇温可能にする前記加熱器と、を有することを特徴とする蒸発濃縮装置。
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