JP4683773B2 - 発泡性液の蒸発濃縮方法 - Google Patents

発泡性液の蒸発濃縮方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蒸発濃縮装置の液溜部に溜められた滞留液に発泡性のある被濃縮液を供給しつつ循環液として循環させて該循環液を加熱してその一部分を蒸発部で蒸発させ前記被濃縮液を濃縮するようにした蒸発濃縮方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
被処理液の濃縮は一般に蒸発濃縮操作によって行われることが多い。この場合、被濃縮液が発泡性溶液であることも多い。このような液を濃縮する過程で多量に泡が発生すると、安定した良好な蒸発濃縮操作が行われなくなると共に、発生蒸気側に泡が随伴され、薄膜状でこの泡を形成している被濃縮液が蒸留水側に混入してその水質を低下させたり、凝縮液が生産物である場合にはその生産量も減少する等の不具合が生ずる。そのため、従来から消泡剤を使用する方法の他、種々の発泡抑制方法が提案され実施されている。
【0003】
一般に、蒸発濃縮装置では、液溜部の中では飽和温度になった被濃縮液の一部が気化して気泡になって液面上に出ることにより多量に発泡するが、一方、被濃縮液を加熱する伝熱管の表面では、滴状又は膜状に付着している液を比較的緩やかに蒸発させるためその液が発泡するものの、その液が小量であるため泡立ちが少なく、泡が発生と消滅を繰り返し、濃縮操作に影響を及ぼす程の量にはならないことが知られている。従来の発泡を抑制する技術ではこの現象を利用したものが多い。
【0004】
例えば、被濃縮液を液溜めに溜めて循環させつつ加熱蒸発させて水分を除去するようにした蒸発濃縮装置において、液溜めの中に冷却水管を導設し、放置すれば飽和温度になる液溜め内の被濃縮液を飽和温度より2〜3℃程度又はそれ以上に低い温度に冷却し、過冷却状態にして液中発泡を抑制するようにした減圧濃縮装置が提案されている(特開平7−701号公報参照)。
【0005】
しかしながら、このような装置では、多量の冷却水を消費すると共に冷却した熱量を回復するために多量の加熱エネルギーが余分に必要になり、更に加熱装置も大きくなるという問題がある。
【0006】
又、加熱器で被濃縮液を過熱状態にし、この流体を配管及び管端を介して蒸発缶内へ排出して蒸発濃縮するようにした減圧蒸発濃縮装置において、管及び管端内の流体が間欠流又は環状流になるように被濃縮液の流量及び過熱度を制御し、蒸発缶内へ噴出される流体内での発泡を防止すると共に、その噴流に消泡効果を発生させるようにした発泡性溶液の蒸発方法が提案されている(特開平5−49808号公報)。
【0007】
しかしながら、このような方法では、気液2相流を目的とする相状態に制御するのが難しいと共に、過熱度に相当する僅かの液が蒸発するだけで大部分の液は飽和温度になって液溜めに戻り多量に液中発泡することになるため、噴流によってこれを消泡するのが難しく、確実な発泡抑制効果が得られないという問題がある。
【0008】
発生した泡に蒸気を吹きつけて破泡する技術は、例えば実開昭62−199103号公報にも示されている。しかしながら、このような方法では、発泡量が多いときには十分低いレベルまで効果的に消泡することはできない。又、このように物理的に消泡する方法として、例えば外気空気のように被濃縮液より温度の低いガスを発生した泡に吹きつけて消泡する技術も提案されている(特開昭59−111914号公報参照)。この消泡方法はある程度効果的であるが、空気等の気体を導入するため減圧蒸発濃縮方法には採用できない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、従来技術における上記問題を解決し、簡単で容易な操作により、水消費や加熱エネルギー消費が少なく運転コストが低く、蒸発濃縮装置によって確実に発泡を抑制できる蒸発濃縮方法を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、請求項1の発明は、蒸発濃縮装置の液溜部に溜められた滞留液に発泡性のある被濃縮液を供給しつつ循環液として循環させて該循環液を加熱してその一部分を蒸発部で蒸発させ前記被濃縮液を濃縮するようにした蒸発濃縮方法において、
前記滞留液として前記液溜部に清水を溜めてから前記被濃縮液を濃縮することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は本発明を適用した蒸発濃縮方法の主要工程の一例を示し、図2はこの工程を実施できる蒸発濃縮装置の構成例を示す。
本例の蒸発濃縮方法は、蒸発濃縮装置の本体部分1の下部に形成された液溜部11に溜められた滞留液L1 に例えば空気や炭酸ガス等を含有し発泡性のある被濃縮液として半導体や機械部品の洗浄液等からなる原液L2 を供給しつつ循環液L3 として循環させて、循環液L3 を加熱してその一部分を本体部分1の蒸発部12で蒸発させ、原液L2 を濃縮するようにした蒸発濃縮方法であり、滞留液L1 として液溜部11に清水Fwを溜めてから原液L2 を濃縮する方法であり、清水供給工程S1 、真空形成工程S2 、滞留液循環工程S3 、蒸気供給工程S4 、蒸気凝縮工程S5 、原液供給工程S6 、濃縮工程S7 、等の主要工程を含む工程で構成されている。
【0012】
この蒸発方法を実施できる蒸発濃縮装置は、前記本体部分1、清水供給系2、真空形成と随伴蒸気を凝縮させる発生ガス処理系3、加熱蒸気及びドレン系4、滞留液を循環させる循環系5、原液供給系6、濃縮液排出系7、その他図示を省略しているが通常設けられる洗浄用の薬品供給系や洗浄廃液系等で構成されている。
【0013】
本体部分1は、前記液溜部11、水平蒸発管12aが多本数配設されて形成された前記蒸発部12、多数のノズル穴を持つリング体や管からなり循環液を分配する散布器13、本例では3折流に形成され加熱蒸気及びそのドレンが流入及び排出される加熱室14、循環液から蒸発した発生蒸気及び非凝縮性ガスを水分を分離しつつ排出するためのワイヤメッシュ等で形成されたデミスタ15が入れられた蒸気出口室16、等で構成されている。液溜部11には、液面を検出して表示及び液面制御をするためのレベルコントローラ17が設けられている。
【0014】
清水供給系2は、水道水配管等から導設され、本例では清水供給弁21を介して配管22で蒸気出口室16まで導設されていて、ここから本体部分1内に清水が張り込まれるようになっている。なお、この清水は、蒸気出口室でデミスタ15を洗浄する他、濃縮操作後の装置各部の洗浄等のためにも使用されるが、それらの系統については図示を省略している。
【0015】
発生ガス処理系3は、コンデンサ31、本体部分1から空気や炭酸ガス等の非凝縮性ガス及び随伴蒸気をコンデンサ31に導く導入管32、主として発生蒸気を後述する蒸気供給系4のエゼクタ41に吸引させるための吸引管33、コンデンサ31内の主として非凝縮性ガスを吸引し排出する真空ポンプ34、コンデンサ31のホットウェル31a内の凝縮水を取り出す凝縮水ポンプ35、凝縮水出口配管36、等で構成されている。
【0016】
真空ポンプ34には、図示を省略しいているが、シール水を冷却しつつ循環供給するためのシール水循環供給系やタンクやシール水循環冷却系等が設けられる。又、ホットウェル31aにはレベルコントローラが設けられ、凝縮水ポンプ35はホットウェル31a内に溜まる凝縮水の水位によって自動発停される。
【0017】
加熱蒸気及びドレン系4は、前記エゼクタ41、工場等に配設された蒸気ラインに接続され直接又は減圧弁を介して例えば圧力0.5MPaG程度の蒸気が供給される駆動蒸気管42、この管に設けられた蒸気供給弁43、駆動蒸気及びこれによって前記吸引管33から吸引された蒸発部12からの発生蒸気が混合され蒸発管12aに流されるように入口側の加熱室14に結合された混合蒸気管44、加熱室14で凝縮したドレンを前記コンデンサ31のホットウエル31aに排出するUシール管45、等によって構成されている。
【0018】
循環系5は、循環ポンプ51、吸入管52、吐出管53、循環弁54、等で構成されていて、本体部分1の液溜部11から散布器13まで導設されている。原液供給系6は、通常工場等に配設される図示しない原液タンク及び必要によって設けられるポンプ等によって構成される原液設備に接続される原液供給管61、原液供給弁62、等によって構成されている。原液供給弁62は、前記レベルコントローラ17により、滞留液L1 の液面を検出してこれを一定範囲にするように自動制御される。
【0019】
濃縮液排出系7は、工場等に配設される濃縮液貯留設備等に接続される濃縮液管71、濃縮液排出弁72、液溜部11内の滞留液L1 が取り出されて循環される上記循環系5の循環液L3 の比重を検出してこれを一定範囲に制御するための比重コントローラ73、等によって構成される。濃縮液排出弁72は通常比重コントローラ73によって開閉制御される。
【0020】
以上のような構成の蒸発濃縮装置は、人の操作によっても運転され得るが、通常、濃縮期間中ほぼ自動的に運転されるようになっている。そのため、本例では、前記のように原液供給弁62や濃縮液排出弁72が自動開閉されたり凝縮水ポンプ35が自動発停される他、蒸気供給弁43、循環弁54、清水供給弁21等が自動開閉されるようになっている。
【0021】
図3は、図1の濃縮方法を図2の装置によって実施するときに装置を構成するポンプ及び弁類の動作状態の一例を示す。これらの図によって本例の蒸発濃縮方法を説明する。蒸発濃縮装置を運転可能にするように機器や弁等からなる周辺の諸設備を操作して蒸発濃縮装置の運転を開始すると、図1の各工程が実施されるように図3のようにポンプ及び弁が自動的に作動する。
【0022】
清水供給工程S1 では、水道水等の元ラインを開通させると、最初液溜部11内に水が入っていないので、レベルコントローラ17によって清水供給弁21が開き、配管22から蒸気出口室16内に清水が入り、デミスタ15から蒸発部12を経由して液溜部11内に落下して溜められる。液溜部11内で清水が図示のような一定レベルまで溜まると、レベルコントローラ17によって清水供給弁21が閉鎖される。これにより、それ以後には原液供給弁62が開かれ、この弁がレベルコントローラ17によって開閉制御されることになる。なお、清水供給弁21と原液供給弁62との切換を、循環水が蒸発温度になる程度の時期にしてもよい。
【0023】
真空形成工程S2 では真空ポンプ34が運転される。真空ポンプ34は、清水供給と同じ位の時期に起動され、濃縮期間中継続して運転される。なお、図示しないシール水ポンプは予め運転されていて、循環ポンプ51及び真空ポンプ34には真空形成が可能なようにシール水が循環供給されている。この工程により、空気等の非凝縮ガスが排出され、本例の装置では蒸発部12内が0.02MPa(600mmHgVac)程度の真空で約60℃の飽和蒸気温度の条件にされる。
【0024】
滞留液循環工程S3 では循環ポンプ51が運転される。このポンプは、清水供給工程S1 で液溜部11内に所定レベルまで清水が入れられた程度の時期に起動され、濃縮終了まで運転される。又、図3では図示を省略しているが、濃縮終了後継続して行われる濃縮液の排出及び装置の洗浄のときにも循環ポンプが使用される。なお循環弁54は常時開いていて、上記の濃縮終了後に濃縮液となって液溜部11内に残存する滞留液L1 を排出するときには閉鎖される。
【0025】
この工程により、滞留液L1 は循環液L3 となって散布器13から蒸発部12の蒸発管12aに全面的にほぼ一様に散布され、蒸発管に直接かかったり上方から下方に滴下しつつ蒸発管を伝って再び液溜部11内に落とされ、次に循環されるまでその中に滞留することになる。
【0026】
蒸気供給工程S4 では蒸気供給弁43が開かれる。この弁は、循環ポンプ51が運転され最初に張り込まれた清水の循環が開始された後に開かれ濃縮終了まで開状態にされる。蒸発部12内は、前記の如く真空ポンプ34によって約60℃の飽和温度の真空状態になっている。一方、液溜部11に入れられている清水はまだ加熱されていないので、例えば20℃程度の水道水の温度になっていて過冷状態にある。従って、このような状態から蒸気供給弁43が開くと、圧力0.5MPaG程度で温度約159℃の飽和蒸気からなる駆動蒸気がエジェクタ41を通過し、蒸発管12aに入って管外を流れる循環水を加熱し、蒸発させることなく昇温させる。
【0027】
循環水が連続的に加熱されると、循環水の温度が次第に上昇し、その温度が蒸発温度に近づくと循環水の一部分が蒸発するようになる。循環水が蒸発すると、その蒸気はエジェクタ41に吸引され、駆動蒸気によって加圧昇温され、駆動蒸気と共に循環水を加熱することになる。循環水が連続的に蒸発する連続濃縮工程になると、駆動蒸気の3〜4倍程度の蒸気が循環水から蒸発し、これらの合計蒸気がエジェクタ41から加熱蒸気となって流出することなる。
【0028】
この加熱蒸気は、蒸発蒸気よりも飽和温度で3〜5℃程度分だけ圧力の高い蒸気である共に、駆動蒸気と混合されているためその圧力における過熱蒸気になっている。この過熱度は、3折流になっている加熱管12aの1折流部分で循環液によって取り去られることになる。このように、本例の蒸発濃縮装置ではエジェクタによる蒸気圧縮式の加熱方式が採用されている。
【0029】
蒸気凝縮工程S5 では、上記駆動蒸気及び循環水からの蒸発蒸気が蒸発管12a内で凝縮する。又、循環水から分離した空気や炭酸ガス等の非凝縮ガス及びこれに随伴する小量の蒸気がコンデンサ31内に吸引され、蒸気はこの中で凝縮する。非凝縮ガスは真空ポンプ34によって系外に排出される。蒸発管12a内で凝縮した蒸気のドレンは、Uシール管45を介してコンデンサのホットウエル31aに導入される。コンデンサ内で凝縮した蒸気もホットウエル31aに落とされて溜められる。この工程は、最初から実行可能な状態になっているが、実際には主として蒸気供給工程S4 が開始されてから実行される。
【0030】
原液供給工程S6 は、前述の如く、清水供給弁21が閉鎖され原液供給弁62が作動可能になることによって開始されるが、実際には、清水からなる循環液が加熱されて蒸発温度に近づいて蒸発を開始し、循環水量が減少して液溜部11内の液面が低下し、原液供給弁62が開かれることによって開始される。これにより、洗浄液等からなり発泡性のある原液が供給される。
【0031】
供給された原液は、溜められている清水と混合して循環液L3 の一部分を構成しつつ散布器13から蒸発部12内に放散される。このとき、循環液L3 は蒸発温度になっているので、蒸発管12aの表面に接触するとその一部分が薄膜状になって管表面から熱を受けて蒸発する。このときには、加熱蒸気が凝縮し循環水の一部分が蒸発し相互に潜熱を交換することになる。この蒸発では、蒸発管表面から薄膜状の液が直接気化するため、循環液中の原液部分が蒸発しても泡の発生量は僅かである。
【0032】
蒸発することなく液溜部11に落下した大部分の循環液は、飽和温度になっているため液溜部11内でも部分的に蒸発する。このときには、液中での沸騰蒸発になるので、原液成分は気化した水蒸気や炭酸ガス等の非凝縮性ガスを包含して気泡になり、液面上に出て泡となって生成する。しかしながら、原液供給を開始した濃縮工程の初期には、液溜部11内では清水が大部分を占めていて原液は十分少ないため、泡の生成量はごく僅かである。
【0033】
その結果、この泡は上方から落下してくる循環水と接触して破壊されたり自然消滅し、泡の中の水蒸気やガスは開放され、泡の構成部分の原液は滞留液に復元する。このような作用により、原液の包含する非凝縮性ガスが放出され、小量づつ供給される原液が、常にこのようなガス含有量が十分少なくなって発泡性の低下した液になる。
【0034】
原液の供給が継続すると、滞留液中の清水に対する原液成分が多くなり、遂には原液成分のみになる。しかしながら、このとき液溜部11内に存在する原液は、既に飽和温度に到達後の液で小量づつ発泡した後の液であるため、従来の濃縮方法のように、液溜部11内に溜められた原液の全体が一気に飽和温度に到達して多量発泡するような現象はもはや起こらない。
【0035】
濃縮工程S7 は、上記の如く原液を供給して清水と原液とが置換した後、更に原液を供給しつつ原液中の主として水分を蒸発させることによって行われる。この工程では、比重コントローラ73により、滞留液L1 の比重を循環系5から検出してこれが目的とする値として例えば1.095〜1.105の範囲になるように、濃縮液排出弁72が開閉制御される。この濃縮工程S7 は例えば一ヵ月間連続して実施される。
【0036】
濃縮工程が終了すると、特に図示していないが、循環弁54が閉鎖されて液溜部11内の濃縮液が全て排出され、清水が供給されて装置本体や配管系統等が洗浄される。この場合、清水によって装置が十分洗浄されると、そのとき液溜部11に入れられている清水を、前記清水供給工程における清水として利用することも可能である。
【0037】
以上のような蒸発濃縮方法によれば、原液が例えば空気や炭酸ガス等を含有する半導体や機械部品の洗浄液等からなる発泡性廃液であっても、濃縮の期間中発泡による運転障害を生ずることがない。一方、本発明を適用せず最初から原液を入れて昇温させ濃縮する従来の方法では、液溜部11内の原液からなる滞留液の温度が飽和温度の近くになると、滞留液が全体的に一気に発泡するため、液溜部11の液表面に多量の泡が発生し、消滅不能になってついにはデミスタ15を通過し、エジェクタ41で吸引されたりコンデンサ31内に侵入し、原液成分が凝縮水側に混入することになる。
【0038】
発明者等は、本発明の方法によって図1に示すような実際の蒸発濃縮装置を運転した場合と、従来のように最初から原液を供給して同じ濃縮運転をした場合との比較実験を行い、それぞれ表1及び表2の結果を得た。
【0039】
【表1】
Figure 0004683773
本発明を適用した表1の実験では、清水張り込みによって蒸発濃縮装置の運転を開始し、清水を循環させつつ加熱して数分間で蒸発温度に到達させ、原液供給によって原液の少ない状態から循環水の濃縮を開始し、最初から2時間23分後に循環水を目的とする濃度に到達させて濃縮液の間歇的排出を開始し、表1に示すようにその前後の数時間の運転データを採取した。
【0040】
この結果によれば、濃縮の前後から濃縮中常に凝縮水電気伝導度が十分小さい値で安定し、液溜部11内での泡の発生は十分少なく、良好な濃縮操作が行われたことが実証された。即ち、液溜部11内である程度以上の発泡があると、気泡と共に原液成分がデミスタ15を通過して凝縮水側に入り込み、電気伝導度等で示す凝縮水の水質を急激に低下させることになるが、そのような不具合が全く発生しなかった。
【0041】
【表2】
Figure 0004683773
本発明を適用していない表2の実験では、原液張り込みによって蒸発濃縮装置の運転を開始し、原液を循環させつつ加熱して数分間で蒸発温度に到達させ、原液のみの状態から循環水の濃縮を開始し、最初から2時間後に循環水を目的とする濃度に到達させて濃縮液の間歇的排出を開始し、表2に示すようにその前後の運転データを採取した。
【0042】
この実験では、循環液が飽和温度に到達する前後から凝縮水の電気伝導度が異常に高い値になり、液溜部11内で多量の泡が発生し、気泡と共に原液成分が凝縮水側に入り込み、凝縮水の水質が大幅に低下すると共に、安定した良好な濃縮操作が行われなかった。なお、表2で凝縮水電気伝導度が>1000となっているのは、使用した計測器でスケールオーバーしたことによる。
【0043】
以上の同じ原液を使用した比較実験により、本発明の濃縮方法が発泡の抑制に極めて効果的であることが明らかになった。この場合、本発明を適用すれば、最初に張り込んだ清水を蒸発させるための加熱蒸気であるエジェクタ駆動蒸気が余分に消費されることになるが、表1、2の実験結果でも示す如く、20分間程度の蒸気供給によって清水が蒸発するので、例えば一ヵ月の蒸気を供給して連続濃縮操作を行うとすれば、その最初に一回だけ清水を蒸発させるために消費される蒸気量即ち加熱エネルギー量は殆ど問題にならない値である。清水消費量も500kg程度で同様に問題にならない量である。
【0044】
これに対して、例えば従来技術の1つである液溜部の液を冷却する方法では、濃縮操作の期間中常に液溜部の滞留液を飽和温度以下にしておく必要があるため、飽和温度以下に冷却された循環液を加熱部で飽和温度まで再加熱することになり、そのための熱量及び冷却に使用する冷却水量が多大になる。従って、本発明の濃縮方法は、従来技術に較べて、余分な運転費用が殆どかからない極めて経済的な発泡抑制方法である。
【0045】
一方、本発明を適用するためには、図1に示す如く清水供給系2が必要になる。しかしながら、このような清水供給系は、蒸発濃縮装置の本体部分及び付属機器等の濃縮操作後の洗浄のために通常装備されるものである。従って、本発明の実施のために特別に追加される設備は殆どない。これに対して従来技術の循環水を冷却する方法によれば、冷却器や冷却水配管等の余分な設備が必要になる。
【0046】
なお図2では、循環水からの蒸発蒸気をコンデンサに排熱することなく再加熱に利用し熱効率を向上させるようにしたエジェクタ使用の蒸気圧縮式の蒸発濃縮装置の例を示したが、単に加熱蒸気を供給するだけの簡易で操作容易な蒸発濃縮装置に対しても本発明の濃縮方法を適用できることは勿論である。又、エジェクタに代えて圧縮機を用いて、駆動蒸気を供給することなく加熱昇圧された蒸発蒸気だけを加熱蒸気として使用する蒸気圧縮式装置にしてもよい。更に、真空ポンプに代えてエジェクタ等の他の真空発生手段を用いることも可能である。
【0047】
【発明の効果】
以上の如く本発明によれば、蒸発濃縮装置の液溜部に溜められた滞留液に発泡性のある被濃縮液を供給しつつ循環液として循環させ、循環液を加熱してその一部分を蒸発部で蒸発させ、被濃縮液を濃縮するようにした蒸発濃縮方法において、滞留液として液溜部に清水を溜めてから被濃縮液を濃縮するので、供給された被濃縮液は、溜められている清水と混合して循環液の一部分を構成しつつ加熱され、蒸発部で部分的に蒸発する。このときには、液溜部の中の沸騰蒸発ではないので、被濃縮液に発泡性があっても泡はごく僅かである。
【0048】
蒸発することなく液溜部に落下した大部分の循環液は、飽和温度になっているため液溜部でも部分的に蒸発する。このときには、液中蒸発であるため、循環液のうちの被濃縮液が発泡する可能性があるが、濃縮の初期には液溜部内には清水が大部分を占めているため、発泡するとしても泡の生成量は僅かであり、多量化することなく消滅する。そして、被濃縮液が循環液中で多くの比率を占めるようになり、定常濃縮状態になっても、供給されてくる被濃縮液は順次小量づつ飽和温度に到達して蒸発するため一度に多量に蒸発することがないと共に、順次蒸発する過程で非凝縮性ガス等の発泡成分が脱出しているので、正常な濃縮操作が妨げられるような多量の発泡が起こることがない。
【0049】
以上の如く、本発明によれば、発泡性のある被濃縮液の蒸発初期における発泡を効果的に防止することができる。その結果、従来のように消泡剤を使用する必要がなくなり、蒸発濃縮操作の運転費用を削減することができる。又、濃縮液自体が製品になり消泡剤を使用できない場合には、本発明の方法が一層有効になる。更に、消泡剤を使用する場合でも、その消費量を十分少なくすることができる。
【0050】
一方、本発明の方法によれば、最初に張り込んだ清水を蒸発させる必要があり、そのための清水及び加熱エネルギーが必要になる。しかしながら、濃縮操作が通常一ヵ月程度連続して行われるのに対して、清水張り込みは濃縮操作の初期に一度だけ必要なものであるため、清水や加熱エネルギーの増加量は殆ど問題にならない程度のものである。
【0051】
又、本発明の方法を適用するためには、蒸発濃縮装置に清水を供給する系統が必要になるが、蒸発濃縮装置の本体部分や付属機器等は通常濃縮操作後に清水で洗浄されるので、清水供給系統が特別に追加されることにはならない。従って、本発明の方法では、装置が複雑になったりコスト高になることがなく、通常の装置をそのまま利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した蒸発濃縮方法の主要工程の一例を示す説明図である。
【図2】上記方法を適用できる蒸発濃縮装置の構成例を示す説明図である。
【図3】上記装置で上記方法を実施するときのポンプ及び弁の作動状態の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
2 清水供給系
11 液溜部
Fw 清水
1 滞留液
2 原液(被濃縮液)
3 循環液
1 清水供給工程

Claims (4)

  1. 蒸発濃縮装置の液溜部に溜められた滞留液に発泡性のある被濃縮液を供給しつつ循環液として循環させて該循環液を加熱してその一部分から蒸発部で水蒸気を蒸発させ前記被濃縮液を濃縮するようにした蒸発濃縮方法において、
    前記滞留液として前記液溜部に清水を溜めてから前記被濃縮液を濃縮することを特徴とする蒸発濃縮方法。
  2. 前記液溜部に溜められた滞留液の減少の検出に基づいて、前記被濃縮液を、前記滞留液に供給する、請求項1に記載の蒸発濃縮方法。
  3. 前記蒸発部には、複数の蒸発管が設けられており、
    前記循環液から蒸発した水蒸気は、前記蒸発管内に供給されて、循環液を加熱する、請求項1または2に記載の蒸発濃縮方法。
  4. 濃縮工程の終了後、前記蒸発部に清水を供給し、当該蒸発部内の洗浄を行い、
    前記洗浄の終了後、当該洗浄に用いた清水を前記液溜部に溜めて、濃縮作業を行う、請求項1から3のいずれかに記載の蒸発濃縮方法。
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