JP5696275B2 - 風と太陽熱による溶液の濃縮装置 - Google Patents

風と太陽熱による溶液の濃縮装置 Download PDF

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Description

発明の詳細な説明
本発明は、海水や食品溶液、工業溶液、廃液等の溶液を濃縮するための装置に関する。
技術背景
風と太陽熱を利用して海水を蒸発・濃縮する方法は、帯状の網をジグザグ状に張り渡し、海水が流下する網面を蒸発面に利用して濃縮するものがある(例えば、特許文献1参照。)。この方法では、網は吸水性の材質でなくてもよく、海水は主として網材の表面を流れる。また、海水を循環させて繰り返し流下させるので、溶質成分の石膏が析出し網材を覆うようになる。なお、この濃縮方法は、海水以外の溶液にも適用できる。これと類似した濃縮技術として、濡れ性のよい布を多数枚吊り下げて上端から水溶液を供給し布面を流下させて濃縮させる方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
一方、不織布などの吸液性の材料を用いた濃縮技術は、樹脂や金属の支持シートの片面または両面に接して不織布などの吸液層を設け、その層に溶液を供給して流下させて蒸発・濃縮する方法がある(例えば、特許文献3参照。)。この方法では、溶液の流量が少ない場合は、溶液は吸液層に吸収されて流下する。また、含液した吸液層と支持シートの自重や熱応力等に起因してひずみが生じ、重力の作用により溶液の流れに偏流が生じるが、この濃縮技術では、吸液層に多数のスジ状の疎液性部分を形成する加工を行い、その疎液性部分に挟まれた流路を流れる溶液が隣の流路に侵入するのを抑制して偏流を防いでいる。
吸液層や蒸発面に溶液を均一に供給する技術は、管に小さな径の穴を多数空けてその穴を通して溶液を供給する方法が知られている。
特開平6−23348号 公報
特開平11−42475号 公報
特開平9−229487号 公報
溶液を蒸発面に流下させる方法では、溶液が蒸発面に乾き面を作らずに全面を濡らして流下させるためには溶液の流量を十分多くする必要があり、その結果、溶液は短時間で蒸発面を流下し1回の流下では溶液が濃縮される度合い、すなわち濃縮度が小さい。そのため溶液をポンプなどで循環させて繰り返し蒸発面に流下させる必要があり、ポンプ動力が嵩むことになる。
布や網を吊り下げる又はジグザグ状に張る方法では、風によって比較的多くの溶液が蒸発面から飛散されるので損失が大きい。また、布や網の丈が高いと強風時には強い風圧を受けることになり、運転を停止して布や網を保護する必要があり、利用可能な風速が比較的小さい範囲に限られる。
溶液を吸液層に吸収・流下させる方法では、吸液層に乾き面を発生させることなく溶液の流量を小さくし、少ない回数の循環で十分な濃縮度まで濃縮できるが、吸液層と支持シートの自重や熱応力等によるひずみに起因して偏流が生じる。吸液層の流量が多い所では濃縮度が低く、流量が少ないところでは過剰に濃縮されて溶質が析出して吸液層に目詰まりを起こし、その目詰まりは拡大する。そのため、吸液層の取替えなどのメンテナンス作業が高い頻度で必要である。
吸液層に多数のスジ状の疎液性部分を形成加工して偏流を防止する方法では、スジ状の疎液性部分を形成するための高度な加工技術を必要とする。また、形成されたスジ状の疎液性部分は、蒸発に有効に使われず蒸発面積が減少して性能が低下する。
不織布などの吸液層を樹脂や金属のシートに付着させて支持する方法では、吸液層を支持シートに付着させる加工や接着させる加工が必要になる。また、これらの加工により吸液層の吸液能力が低下し、溶液を十分吸収できない場合が生ずる。
管に多数の穴を空けてその穴を通して溶液を供給する方法では、穴を通る溶液の流量は穴の径の4乗に比例し、径のわずかな差によって流量に大きな差が生ずることから、この方法で均一な供給を実現するためには、多数の穴空けに精密な加工が必要である。
本発明の目的
本発明の目的は、以下の通りである。
風と太陽熱を効果的に利用して効率よく溶液を濃縮できる濃縮装置を提供すること
高度または複雑な加工を施すことなく織布などの吸液性の材料を吸液シートとして使用して、乾き面を作ることなく簡便に低速での均一な流下を実現できる、溶液の濃縮装置を提供すること
比較的強風のときでも含液した吸液シートから溶液の飛散を無くす、または少なくできる、溶液の濃縮装置を提供すること
少ない回数の溶液循環で十分な濃縮度を実現し、ポンプ動力を小さくできる、溶液の濃縮装置を提供すること
簡便な制御装置を用いて、少ない回数の溶液循環で溶液を溶質析出の直前の濃度まで濃縮できる濃縮装置を提供すること
溶液を溶質析出の直前の濃度まで濃縮する場合でも、吸液シートへの溶質析出による固体の成長を遅くでき、吸液シートを取り替える等のメンテナンス作業の頻度を少なくできる濃縮装置を提供すること
精度の良い加工を必要とせずに簡便に溶液を均一に吸液シートに供給できる、溶液の濃縮装置を提供すること
問題点を解決するための手段
以下に、図1〜図7に基づいて本発明について説明する。
濃縮装置全体の構造: 図1に濃縮装置の一部を省略した全体構成図を示す。濃縮装置は、吸液シート1からなる濃縮器本体と給液塔2、濃縮された溶液の集液樋3、電子制御器4から構成される。図2に示すように濃縮器本体は、傾斜させた吸液シート1とその上下の端を固定して支持する2本の支持棒17aと18、吸液シートの数箇所においてスパン方向に張りを与えるための数本の桟14、吸液シート上端の深底樋12から構成される。
吸液シート: 吸液シート1は、高さの異なる水平な2本の支持棒17aと18の間に広げて設置されるシート状の部材で、綿やポリエステルなど公知の素材からなる被濃縮溶液Sを吸収する能力のある布やシートなどで構成される。溶液は吸液シートに吸収されて低速で流下するので、吸液シートの長さは1.5〜4m程度あれば1又は2回の流下で十分な濃縮度が得られる。吸液シートの幅は1〜2m程度が適している。太陽熱を効果的に吸収できるよう、その上面は黒色にし南の方向に向けて水平から10度程度以上傾斜させて地面から0.3〜2m程度の高さに設置する。その傾斜角度は、吸液シートが受ける風圧と太陽熱量のバランスを勘案して決めればよい。通常の強風に耐えられる強度があればよく、公知の綿やポリエステルの厚手の織布等が吸液シートとして利用できる。
支持棒: 2本の支持棒17aと18は、吸液シート1を傾斜させてその上下の端を異なる高さで水平に固定する部材である。吸液シートの端を支持棒18に巻きつける、または図3の様に押さえ棒17bと支持棒17aの間に挟むなどにより固定してよいが、吸液シートの少なくとも一方の端は押さえ棒で挟む方法で固定するほうがよい。吸液シートを溶液が均一に流下するよう吸液シート両端の支持棒は異なる高さで水平に設置する。吸液シートの上下の端を支持棒に固定する際、吸液シートに張りを与えても良いし適度にたるませても良いが、布製の吸液シートなどの場合、張りが強いとトタン板のようにスパン方向に波打つことがあるので過剰な張りを与えるのは禁物である。たるませる場合は、溶液が吸液シートの途中で滴下せずに下端まで流下するよう適度なたるみ具合にする。また、固定の際、吸液シートの張りまたはたるみが均一になるよう調節しながら押さえ棒で挟んで固定する。この調節は、溶液を吸液シートに流した状態で溶液の流れや吸液シート下端での滴下の様子を観察しながら行うと容易である。
桟: 桟14は、吸液シート1の数箇所においてスパン方向に渡され、その両端と吸液シート左右の側端の間をゴムひも15等で結んで吸液シートにスパン方向に適度の張りを与える棒状またはパイプ状の部材である。ゴムひもの代わりにバネを用いてもよい。また、桟をしならせてその両端と吸液シートの端を紐で結んで、桟の弾性力を利用して吸液シートに張りを与えてもよい。桟は水平な状態で吸液シートの上面に載るように配置する。張りは、吸液シートのスパン方向のたるみや波打ちが無くなる程度でよく、過度な張りは左右の側端のゴムひもとの連結部を大きく変形させるので好ましくない。図4のように吸液シートの端にプラスチック等の数cm角の格子16を縫い付けその格子にゴムひもの端を結びつけると吸液シートの変形が改善される。桟の間隔は吸液シートの材質や厚さによって異なるが、吸液シート全面にスパン方向のたるみや波打ちが現れない間隔にする。一例として、綿製の吸液シートを使用した場合、その間隔は50cm程度である。桟の太さや重さには特に制限はないが、吸液シートが風に揺れると蒸発量が促進されるので、それが可能なように軽量の桟を用いることが望ましい。腐食性の溶液を濃縮する際は、耐食性のアルミ管やステンレス管等を使用するのがよい。
深底樋と帯状布: 図3のように深底樋12は、吸液シート1の上端の支持棒に隣接して取り付けられる比較的底の深い樋である。給液塔2から供給された溶液Sが一旦その中に溜められる。吸液性のある帯状布11が吸液シートのスパン方向に縫い付けてあり、その帯状布は深底樋の中に垂れ下げられ、その下端は深底樋の底に溜まった溶液に浸される。その帯状布は毛管力によって溶液を吸い上げて吸液シートに供給する働きをする。深底樋中の液面から吸液シートまでの吸い上げ高さが均一になるよう吸液シート上端の支持棒を水平に設置する。図2のように深底樋の両端面を透明側壁13にしておけば帯状布両端の吸い上げ高さが目視でき、吸い上げ高さの均一性が容易に確認できる。帯状布の素材は、綿やポリエステルなど公知の吸液性のある織布や不織布又は多孔質材でよく、枚数を重ねて使用することで吸い上げ量を増加できる。溶液の供給量は、日射量等の天候の変化に応じて変化させるが、それに対応して吸い上げ高さも変動するため深底の樋が必要である。帯状布の重ね枚数を変えることで吸い上げ高さを調節できるので、深底樋の深さは数cmから10cm程度あればよい。
集液樋: 図2のように集液樋3は、吸液シート1の下端に配置され、滴下する濃縮溶液を受け止めて集める部材である。集められた溶液は、電磁駆動の三方コック31を経て回収用貯液槽32へ導かれる。三方コックは、電子制御器4と連結されており、電子制御器からの信号により切り替えられる。
給液塔: 図5に給液塔2を示す。給液塔は、比較的背の高い容器であり、公知のレベルセンサー23を併設している。公知のレベルセンサーの種類は複数あるが、水頭圧で5mm程度の精度があればその多くが利用できる。溶液は、供給用貯液槽25から電磁弁24を経て給液塔に流入し一旦溜められた後、一部に管路抵抗体22を有する導管21を経て深底樋12に供給される。吸液シート1が複数ある場合は、1つの給液塔から個々の吸液シートの深底樋まで一部に管路抵抗体を有する導管が配管される。管路抵抗体として毛細管等を用いると簡便である。レベルセンサーからの信号は電子制御器に常時送られるよう配線されている。電磁弁は、電子制御器4からの信号により開閉できるよう配線されている。
電子制御器: 電子制御器4は、公知のコンピューターにより構成される。ワンボードコンピューターなど性能の低いコンピューターで十分である。図では省略しているが電子制御器は、吸液シート1の裏面に取り付けられた公知の温度センサーと公知の気温や湿度、風速のセンサーおよび給液塔のレベルセンサー23からの信号を受けると共に電磁弁24と三方コック31に信号が送られるように配線されている。
作用
以下に、濃縮装置の作用について説明する。
溶液を吸液シートに吸収させて均一に流下させる方法: 図3のように帯状布11は、毛管力により深底樋12に溜められた溶液吸い上げて吸液シート1の上端に供給する。吸い上げ高さがスパン方向に均一になるよう設定されているので、溶液を均一に供給できる。図2のように吸液シートは水平な2本の支持棒17aと18の間において吸液シートの張りまたはたるみが均一になるよう調節されて固定されていること、また吸液シートはスパン方向のたるみや波打ちを無くすように桟14とゴムひも15を用いてスパン方向に張りが与えられていることから、吸液シートの上端に均一に供給された溶液は吸液シートに吸収されて下端まで均一に流下する。
溶液の濃縮の方法: 図2のように、深底樋12に供給された溶液は、帯状布11に吸い上げられて吸液シート1に吸収された後、下端まで遅い速度で均一に流下すると共に、吸液シートの表裏の面から蒸発し濃縮が進行する。日中は、吸液シートの上面の黒色面で太陽熱が吸収され、溶液の蒸発が促進される。
吸液シート上端への溶液供給量の制御の方法: 図5に示すように、吸液シート1への溶液Sの供給量は給液塔2と電子制御器4により制御される。電子制御器からの信号を受けて電磁弁24は開閉し、給液塔への溶液の供給量を制御する。給液塔内の溶液のレベルすなわち液位は、レベルセンサー23により検知されその信号が電子制御器に常時送られており、流体力学の公知の関係式より給液塔内の溶液の水頭圧に換算される。導管21の管路抵抗体22の管路抵抗は配管する前に測定し、その値を電子制御器に入力しておく。電子制御器では、レベルセンサーの信号に基づく水頭圧と導管の管路抵抗の値から供給量が算出される。
吸液シート下端から回収される溶液濃度の制御方法: 吸液シート1の下端から回収される溶液濃度は吸液シートへの溶液の供給量を変化させて制御される。吸液シートからの蒸発量は日射量や湿度、風速などによって変化するので、吸液シート出口濃度を所望の値に保つには、吸液シートからの蒸発量を常時正確に知る必要がある。電子制御器4では、蒸発量が、気温と湿度、風速のセンサーおよび吸液シート裏面に取り付けたの温度センサーの信号から物質移動工学の公知の関係式により計算され、さらに出口濃度を所望の値に保つために必要な供給量が計算される。レベルセンサー23でモニターされている実際の供給量が計算された必要供給量に一致するよう電磁弁24の開閉を通して給液塔2への供給量が制御される。複数の吸液シートを同時に稼動させる場合は、1台の給液塔から個々の吸液シートに配管して溶液を供給できるので、前記のセンサー類と電子制御器は1セットあればよい。なお、一例として、海水の濃縮の場合における蒸発量と、出口濃度を所望の値に制御するために必要な供給量を計算するための公知の関係式は、表1のようになる。
Figure 0005696275
雨天や雲天下で湿度が高い時の対策: 雨天や雲天下で湿度が高い時には蒸発量が極端に低くなるので、電子制御器4で計算された蒸発量が指定された値より低い場合には、電子制御器からの信号により電磁弁24は閉じられ三方コック31は切り替えられて、雨水や濃度の低い溶液が回収用貯液槽32へ流入するのを遮断する。
暴風時の対策: 暴風時には、下端の集液樋3を取り外し下端から吸液シート1を巻き付けて上端の支持棒17aに紐で縛り付けるなどして固定し、吸液シートを保護する。
その他の実施例
前記実施例は、1回の濃縮過程で溶液を濃縮する場合について説明したが、図6のように前記の濃縮装置を連結して複数の段階に分けて濃縮してもよい。一例として、海水を2段階に分けて濃縮する場合を以下に説明する。第1段で海水を3.5wt%から10.5wt%まで濃縮し、第2段で14.0wt%まで濃縮するとすると、第1段で行われる蒸発量は、第2段の8倍になる。そのため、第1段の8枚に対し第2段に1枚の割合で吸液シート1が配置される。
発明の効果
本発明は以上説明したようであるので、次のような効果を得ることができる。
吸液シートの上面の黒色面を南の方向に向けて傾斜させて設置するので、太陽熱を効率よく利用できる。また、吸液シートは地面から0.3〜2m程度の高さに設置されるので、多数の吸液シートを互いに隣接して設置しても全ての吸液シートで良好な通風が得られ、溶液を効率よく蒸発・濃縮できる。
溶液は吸液シートに吸収されて遅い速度で流下するので、吸液シートに溶液を1回又は2回程度循環させれば十分な濃縮度が達成できる。このように、溶液の循環回数が極めて少ないので、ポンプ動力が大幅に低減できる。
溶液は吸液シートに吸収されて均一に流下するので、局所的な溶質の析出による目詰まりが生じにくく、吸液シートの取替え等のメンテナンスが大幅に軽減される。
溶液を複数の段階に分けて濃縮することにより、最終段の出口濃度を溶質析出直前の狭い範囲内に保って溶液を濃縮できる。複数段の濃縮方法においては、最終段の吸液シートのみに溶質析出が生じるので、全体の吸液シートの数に対して溶質が析出する吸液シートの数を大幅に低減できる。それに加えて、最終段の出口濃度の変動幅を小さくできることから溶質の析出による目詰まりを抑制できるので、吸液シートの取替え等のメンテナンスが大幅に軽減される。以上のことを、海水の単段濃縮と2段階濃縮を例にして以下に説明する。単段濃縮では、3.5wt%から14.0wt%まで1回で濃縮するのに対し、2段階濃縮では、第1段目で海水を3.5wt%から10.5wt%まで、第2段目で14.0wt%まで濃縮するとし、各段における吸液シートへの海水の供給量が±5wt%の範囲で制御されると仮定して物質移動工学の公知の関係式から算出すると、単段濃縮では出口濃度が12.3〜16.6wt%と大幅に変動するに対し、2段階の濃縮では最終段の出口濃度が13.8〜14.25wt%と変動幅を大変小さくできる。濃度が14wt%を超えると海水の溶質が析出しやすくなるので、2段階の濃縮方法により溶質析出が大幅に低減できることになる。
図7に沖縄県那覇市の気象条件を用い熱・物質移動工学の公知の関係式から計算した、海水濃縮の場合の吸液シートからの蒸発量の年間の変化を示す。平均で吸液シート1m当たり1日5.39kgの蒸発が見込め、湿度の高い6月には最小値の4.51kg、日射の多い7月には最大値の6.01kgの蒸発が見込める。太陽熱を利用しない場合は平均で3.09kgであり、さらに多数の布を吊り下げるなどで内部の通風が半減した場合は1.79kgと見積もられる。この結果が示すように、良好な通風を確保し太陽熱を効率よく利用する本発明においては大幅な蒸発量の増加が見込める。
深底樋と帯状布による溶液の均一な供給方法は大変簡便である。また、帯状布の溶液吸い上げ高さが均一かどうかを目視できるので、溶液の均一な供給の確認が容易である。
暴風時には、下端から吸液シートを巻き付けて上端の支持棒に紐で縛り付けるなどして固定し吸液シートを保護できるので、対策が簡便である。
個々の吸液シートへの溶液供給流量は小さいのでその測定には精度のよい高価な測定器が必要であるが、給液塔と公知のレベルセンサーを用いると供給流量を精度よく測定できると共に安価である。また、給液塔とレベルセンサーによる供給量の制御も簡便である。
気温と湿度、風速のセンサーおよび吸液シート温度のセンサーを併設した電子制御器を用いた吸液シート出口濃度の制御方法は、高価な濃度計や流量計を使用しないので安価である。
本発明による溶液の濃縮装置の実施例を示す全体構成図である。 本発明による溶液の濃縮器本体の斜視図である。 帯状布を介して溶液を吸液シートに吸収させる手段を示す、図2における濃縮器本体の上端部の拡大図である。 ゴムひもの取り付けの方法を示す、吸液シートの側端部裏面の拡大図である。 溶液供給量の検知と供給量の制御の手段を示す、給液塔の図である。 図1に示す本発明による濃縮装置を連結した2段階濃縮の構成を示す図である。 沖縄県那覇市の気象条件下で本発明により海水を濃縮する場合における、図2に示す吸液シート1mからの1日の蒸発量の推算値を示す図である。
付号の説明
1 吸液シート
11 帯状布
12 深底樋
13 透明壁
14 桟
15 ゴムひも
16 プラスチック製の網片
17a 吸液シート上端の支持棒
17b 押さえ棒
18 吸液シート下端の支持棒
2 給液塔
21 導管
22 管路抵抗体
23 レベルセンサー
24 電磁弁
25 供給用貯液槽
3 集液樋
31 三方コック
32 回収貯液槽
4 電子制御器

Claims (2)

  1. 高さの異なる水平かつ平行な2本の支持棒の間に吸液シートを傾斜させて張り渡し、吸液シートの数箇所において吸液シートの幅よりも長い桟をスパン方向に渡し、桟の端と吸液シートの左右の側端をゴムひもまたはバネで連結してゴムまたはバネの張力を利用して吸液シートにスパン方向の張りを与え、これにより吸液シートに吸収された溶液を均一に流下させるとともに、風による吸液シートのはためきを抑えて溶液の飛散を防止する手段を備えた溶液の濃縮装置。
  2. 前記吸液シートの上端部にスパン方向に深底樋を設け、吸液シートから帯状の布を深底樋の中に垂れ下げてその下端を深底樋に溜めた溶液中に浸すことによって、帯状布の毛管作用を利用して溶液を吸い上げて、前記吸液シートに溶液を均一に供給する手段を備えた請求項1に記載の溶液の濃縮装置。
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